JP2003327911A - 被膜の形成方法、該方法によって得られる被膜、反射防止膜及び光触媒膜 - Google Patents

被膜の形成方法、該方法によって得られる被膜、反射防止膜及び光触媒膜

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JP2003327911A JP2002139958A JP2002139958A JP2003327911A JP 2003327911 A JP2003327911 A JP 2003327911A JP 2002139958 A JP2002139958 A JP 2002139958A JP 2002139958 A JP2002139958 A JP 2002139958A JP 2003327911 A JP2003327911 A JP 2003327911A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゾルゲル法を使用せずに、低温での硬化性に
優れ、高温耐水性及び表面強度にも優れた無機被膜を提
供すること。 【解決手段】 (a)オルガノシラン類、アルミニウム
アルコキシド類、チタンアルコキシド類、ジルコニウム
アルコキシド類及びそれらの部分縮合物からなる群から
選ばれる1種類以上の化合物、(b)アルミニウム錯
体、チタン錯体及びジルコニウム錯体からなる群から選
ばれる1種類以上の金属錯体、及び(c)有機溶媒を含
有する組成物に、水を添加することなく、前記組成物を
基材に塗布した後、前記有機溶媒を蒸発させる被膜の形
成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射防止膜、光触
媒膜として有用な被膜の形成方法に関し、更に詳しく
は、表面強度、温水耐水性、耐擦傷性、耐候性に優れた
被膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】湿式法によって形成される無機被膜は、
膜強度、耐熱性、耐候性に優れており、新しい用途展開
として各種ディスプレイの保護膜、反射防止膜あるいは
光触媒膜等にも適用されつつある。無機被膜の中でも、
オルガノシラン類の加水分解・縮合によって生成するシ
ロキサンポリマーはよく知られており、米国特許第44
08009号明細書、特開昭58−28850号公報、
特開昭63−46095号公報、特開昭63−2410
76号公報、特開平3−126612号公報、特開平3
−188179号公報等にも多く提案されている。
【0003】しかしながら、これらの先行技術に開示さ
れている無機被膜は、膜厚が厚くなるとクラックが発生
したり、また、温水耐水性も充分でないという問題点が
ある。また、これらの無機被膜は、一般的にゾルゲル法
によって形成されるため、被膜形成液の保存安定性、塗
工適性も満足するものでなかった。
【0004】これらの課題を解決するために、特開平3
−279210号公報、特開平3−20377号公報、
特開平5−78489号公報、特開平5−179201
号公報等には、オルガノシラン類を加水分解・縮合して
ポリマーを形成する際に、金属キレートを添加する方法
が提案されている。
【0005】しかしながら、これらの金属キレートを添
加する方法もゾルゲル法を適用するものであり、クラッ
クの発生、液の保存安定性については多少の改良は見ら
れるが、低温での硬化性が悪く、温水耐水性及び表面強
度についても、満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】今後、用途展開が拡が
るプラスチック加工分野への適用には、低温硬化性が不
可欠で、加えて実用面から更なる液の保存安定性、コー
ト適性の改良が求められている。本発明が解決しようと
する課題は、ゾルゲル法を使用せずに、低温での硬化性
に優れ、温水耐水性及び表面強度にも優れた無機被膜を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】従来のゾルゲル法による
無機ポリマーの形成では、オルガノシラン類又は金属ア
ルコキシド類に水を添加し、加水分解・縮合によってポ
リマーを生成していたが、本発明者は、ポリマーの形成
に関して、鋭意検討した結果、オルガノシラン類又は/
及び金属アルコキシド類、それぞれの部分縮合物からな
る群から選ばれる1種類以上と、特定の金属錯体及び有
機溶媒を含有する組成物に、水を添加することなく、組
成物を塗布した後、溶媒の蒸発により被膜を形成するこ
とによって、組成物の保存安定性、塗工適性が大幅に良
くなり、低温で硬化が可能になり、また、形成された被
膜の表面強度、温水耐水性に優れることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、(a)オルガノシラン類、アルミニウムアルコキシ
ド類、チタンアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシ
ド類及びそれらの部分縮合物からなる群から選ばれる1
種類以上の化合物、(b)アルミニウム錯体、チタン錯
体及びジルコニウム錯体からなる群から選ばれる1種類
以上の金属錯体、及び(c)有機溶媒を含有する組成物
に、水を添加することなく、前記組成物を基材に塗布し
た後、前記有機溶媒を蒸発させることを特徴とする被膜
の形成方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明の被覆方法で使用す
る組成物を構成する主要成分について説明する。
【0010】<(a)成分>本発明で使用する(a)成
分は、オルガノシラン類、アルミニウムアルコキシド
類、チタンアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド
類及びそれらの部分縮合物からなる群から選ばれる化合
物を単独で、あるいは2種類以上を併用して用いられ
る。
【0011】オルガノシロキサン類としては、一般式
(1)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、R、R、RおよびRのう
ちの1〜4つは、それぞれ独立的に、(a)水酸基、アル
コキシル基、アリールオキシ基及びアシルオキシ基から
成るA群から選ばれる基を表わし、残りは、(b)水素原
子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、及び、一
部の水素原子がハロゲン原子、芳香族基、脂環基、エポ
キシ基、ビニル基、メルカプト基及びアミノ基からなる
群から選ばれる基で置換されたアルキル基の部分の炭素
原子数が1〜8のアルキル基からなるB群から選ばれる
基を表わす。)で表わされる化合物が挙げられる。ま
た、アルミニウムアルコキシド類としては、一般式
(2)
【0014】
【化5】
【0015】(式中、R、R及びRは、それぞれ
独立的に、水素原子、アルキル基、アリール基又はアシ
ル基を表わす。)で表わされる化合物が挙げられる。さ
らに、チタンアルコキシド類及びジルコニウムアルコキ
シド類としては、一般式(3)
【0016】
【化6】
【0017】(式中、R、R、R10及びR
11は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアシル
基を表わす。Mは、チタン又はジルコニウムを表わ
す。)で表わされる化合物が挙げられる。
【0018】前記一般式(1)におけるA群に属する基
としては、例えば、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、
n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n
−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキ
シ基の如きアルコキシル基;フェノキシ基の如きアリー
ルオキシ基;アセチルオキシ基の如きアシルオキシ基、
などが挙げられる。
【0019】前記一般式(1)におけるB群に属する基
としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基の如きア
ルキル基;フェニル基、トリル基の如きアリール基;ビ
ニル基、アリル基の如きアルケニル基;γ−クロロプロ
ピル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフル
オロプロピル基の如きハロゲン原子で置換されたアルキ
ル基;β−フェニルエチル基の如き芳香族基で置換され
たアルキル基;β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチル基の如き脂環基で置換されたアルキル基;γ
−グリシドキシプロピル基の如きエポキシ基で置換され
たアルキル基;γ−メタクリロキシプロピル基の如きビ
ニル基で置換されたアルキル基;γ−メルカプトプロピ
ル基の如きメルカプト基で置換されたアルキル基;γ−
アミノプロピル基、N−フェニル−γ−アミノプロピル
基、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル基、ア
ミノ基で置換されたアルキル基、などが挙げられる。こ
れらの中でも、アミノ基、エポキシ基、アクリロイル
基、メタクリロイル基及びメルカプト基からなる群から
選ばれる置換基を有するアルキル基が好ましい。
【0020】前記一般式(2)におけるR、R、R
、前記一般式(3)におけるR、R、R11及び
12としては、例えば、水素;メチル基、エチル基、
n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基の如きアルキル
基;フェニル基の如きアリール基;アセチル基の如きア
シル基、などが挙げられる。
【0021】前記一般式(1)で表わされる化合物の如
きオルガノシロキサン類としては、例えば、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロ
ポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシランの如
きテトラアルコキシシラン類;テトラフェノキシシラン
の如きテトラアリールシラン類;メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プ
ロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ランの如きアルキルトリアルコキシシラン類;ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランの如きア
ルケニルトリアルコキシシラン類;ビニルトリアセトキ
シシランの如きアルケニルトリアシロキシシラン類;
【0022】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシランの如きアリールトリアルコキシシラン
類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシ
シランの如きジアルキルジアルコキシシラン類;ジフェ
ニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランの
如きジアリールジアルコキシシラン類;トリメチルメト
キシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメ
トキシシラン、トリエチルエトキシシランの如きトリア
ルキルモノアルコキシシラン類;トリフェニルメトキシ
シラン、トリフェニルエトキシシランの如きトリアリー
ルモノアルコキシシラン類;
【0023】γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ンの如き(メタ)クリロキシアルキルトリアルコキシシ
ラン類;γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシ
シランの如き(メタ)クリロキシアルキルアルキルジア
ルコキシシラン類;3,4−エポキシシクロヘキシルエ
チルトリメトキシシランの如きシクロアルキルアルキル
トリアルコキシシラン類;γ−グリシドキシプロピルト
リメトシキシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
シキシランの如きグリコキシアルキルトリアルコキシシ
ラン類;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトシキシ
ランの如きグリコキシアルキルアルキルジアルコキシシ
ラン類;
【0024】γ−クロロプロピルトリメトキシシランの
如きハロゲノアルキルトリアルコキシシラン類;γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシランの如きメルカプト
アルキルトリアルコキシシラン類;γ−メルカプトプロ
ピルメチルジメトキシシランの如きメルカプトアルキル
アルキルジアルコキシシラン類;γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメ
トキシシランの如きアミノアルキルトリアルコキシシラ
ン類;γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチル
ジメトキシシランの如きアミノアルキルアルキルジアル
コキシシラン類;N−フェニル−γ−アミノプロピルト
リメトキシシランの如きアミノアルキルトリアルコキシ
シラン類;
【0025】パーフルオロオクチルエチルトリエトキシ
シラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラ
ン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシ
ラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシ
シラン、3,3,3−トリフルオロブチルトリエトキシ
シランの如きパーフルオルアルキルトリアルコキシシラ
ン類;3−パーフルオロエトキシプロピルトリメトキシ
シランの如きの如きパーフルオルアルコキシアルキルト
リアルコキシシラン類;ビス(3,3,3−トリフルオ
ロプロピル)ジエトキシシラン、などが挙げられる。
【0026】また、オルガノシロキサン類の部分縮合物
としては、例えば、テトラアルコキシシラン類の部分縮
合物、アルキルアルコキシシラン類の部分縮合物、など
が挙げられる。
【0027】テトラアルコキシシラン類の部分縮合物の
市販品としては、例えば、コルコート社製の「エチルシ
リケート40」、「メチルシリケート51」、「メチル
シリケート56」、多摩化学工業社製の「エチルシリケ
ート40」、「エチルシリケート45」、などが挙げら
れる。これらの部分縮合物はテトラアルコキシシラン類
の多量体であり、2〜10多量体のものが好ましい。
【0028】また、アルキルアルコキシシラン類の部分
縮合物の市販品としては、例えば、信越化学工業社製の
「KC89」、「KR500」、「KR213」、東レ
・ダウコーニング社製の「DC3037」、「SR24
02」、東芝シリコーン社製の「TSR145」、など
が挙げられる。これらの部分縮合物は、ポリスチレン換
算重量平均分子量が300〜5000のものが好まし
く、500〜3000のものが特に好ましい。
【0029】前記一般式(2)及び前記一般式(3)で
表わされる金属アルコキシドとしては、例えば、トリ−
iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシ
アルミニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、
テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n
−ブトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシ
チタン、テトラ−n−ブトキシチタン、などが挙げられ
る。
【0030】また、金属アルコキシドの部分縮合物の市
販品としては、例えば、日本曹達社製の「TBT(B−
6)」、「TBT(B−10)」、などが挙げられる。
【0031】<(b)成分>本発明で用いられる(b)
成分の金属錯体は、アルミニウム錯体、チタン錯体及び
ジルコニウム錯体からなる群から選ばれる1種類以上の
金属錯体であれば、特に制限なく、用いることができ
る。
【0032】前記金属錯体のキレート(配位子)となる
材料としては、例えば、アセチルアセトン、べンゾイル
アセトン、ジベンゾイルメタンの如きβ−ジケトン類;
アセト酢酸、プロピオニル酪酸、ベンゾイル酢酸、ビル
ピル酸、ベンゾイル蟻酸の如きα−又はβ−ケトン酸類
及びそれらのメチル、エチル、n−プロピル、iso−
プロピル、n−ブチル、tert−ブチルなどのエステ
ル類;グルコール酸、乳酸、α−オキシ酪酸、ヒドロア
クリル酸、サリチル酸の如きα−又はβ−オキシ酸類の
エステル類;ジアセトンアルコール、アセトインの如き
α−又はβ−オキシケトン類;グリコールアルデヒド、
アルドールの如きα−又はβ−オキシアルデヒド類;グ
リシン、アラニンの如きα−アミノ酢酸;アミノエチル
アルコールの如きα−又はβ−アミノアルコール類、な
どが挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン、
アセト酢酸エチルが好ましい。
【0033】アルミニウム錯体としては、例えば、ジ−
iso−プロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミ
ニウム、ジ−iso−プロポキシ(アセチルアセトナー
ト)アルミニウム、iso−プロポキシビス(エチルア
セトアセテート)アルミニウム、iso−プロポキシビ
ス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(ア
セチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルア
セトアセテート)アルミニウム、アセチルアセトナート
ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、などが
挙げられる。
【0034】チタン錯体としては、例えば、ジ−n−プ
ロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i
so−プロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタ
ン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−
n−プロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタ
ン、ジ−iso−プロポキシビス(エチルアセトアセテ
ート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)
チタン、トリス(アセチルアセトナート)(エチルアセ
トアセテート)チタン、などが挙げられる。
【0035】ジルコニウム錯体としては、例えば、テト
ラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−
n−ブトキシ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、
ジ−n−ブトキシビス(アセチルアセトナート)ジルコ
ニウム、トリ−n−ブトキシ(エチルオセトアセテー
ト)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセ
トアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エ
チルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エ
チルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ
(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテー
ト)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトア
セテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセト
アセテート)ジルコニウム、などが挙げられる。
【0036】これらの錯体は、金属成分とキレート(配
位子)となる成分とを別けて添加し、混合時にキレート
化してもよい。
【0037】<(c)成分>本発明で用いられる(c)
成分は、上記した(a)成分及び(b)成分に対する溶
解性に優れた有機溶媒を用いる。そのような有機溶媒と
しては、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系
溶媒、アミド系溶媒、芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化
水素、等が挙げられる。(c)成分は、これらの溶媒の
中から単独で、あるいは2種類以上を併用して使用する
ことができる。
【0038】アルコール系溶媒としては、例えば、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロ
パノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、se
c−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、な
どが挙げられる。
【0039】エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エ
チル、γ−ブチロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸n
−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、などが挙げられる。
【0040】ケトン系溶媒としては、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチル−iso−ブチルケト
ン、などが挙げられる。のケトン系溶媒、
【0041】アミド系溶媒としては、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0042】芳香族系炭化水素溶媒あるいは脂肪族系炭
化水素溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘ
キサン、シクロヘキサン、などが挙げられる。
【0043】これらの溶媒の中でも、低温硬化性をより
有利にするため、沸点が150℃以下、できれば120
℃以下の溶媒が好ましく、そのような溶媒としては、エ
タノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、i
so−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、メチル−iso−ブチルケトン、酢酸ブチル、
等が挙げられ、これらの溶媒は、単独で用いることも、
2種類以上を混合して用いることもできる。
【0044】<その他の添加物>本発明の形成方法で使
用する組成物には、必要に応じて、ノニオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、含
フッ素界面活性剤などの界面活性剤、レベリング剤、増
粘剤、コルコート社製の「HAS1」、「HSA6」、
東レ・ダウコーニング社製の「DC6−2230」、
「SH6018」などのオルガノシラン類、金属アルコ
キシド類の加水分解物などの硬化助剤、各種カップリン
グ剤などの接着助剤、染顔料、体質顔料などの着色剤、
コロイダルシリカ、コロイダルアルミナなどのコロイダ
ル微粒子、酸化チタン、酸化錫、ATO、ITOなどの
金属酸化物ゾル、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防かび
剤、など各種の添加剤を添加することができる。
【0045】本発明の形成方法で使用する組成物は、上
記した(a)成分、(b)成分、(c)成分を均一に混
合することによって得られる。混合の仕方は、(c)成
分中に(a)成分、(b)成分を順次に溶かし込んで行
く方法が一般的である。(a)成分と(b)成分の混合
比率は、(a)成分1モルに対して、(b)成分が0.
005〜1モルの範囲が好ましく、0.01〜0.3モ
ルの範囲が特に好ましい。(a)成分1モルに対する
(b)成分の混合割合が1モルよりも多い場合、(c)
成分への溶解が充分でなかったり、得られた皮膜が脆く
なる傾向にあるので、好ましくない。また、(a)成分
1モルに対する(b)成分の混合割合が0.005モル
よりも少ない場合、硬化が不足する傾向にあるので、好
ましくない。本発明の形成方法で使用する組成物中の
(c)成分の割合は、組成物の全固形分濃度が、2〜4
0重量%の範囲となる割合が好ましく、2〜25重量%
の範囲となる割合が特に好ましい。
【0046】本発明の形成方法で使用する組成物は、組
成物中に水を含まないものが好ましいが、前記(a)成
分がゲル化を起こさない程度に、前記(c)成分由来の
水を含んでいても良い。本発明の形成方法で使用する組
成物中の含水率は、0〜0.4質量%の範囲にあること
が好ましい。
【0047】本発明の形成方法で使用する基材として
は、ステンレス、アルミニウムの如き金属類;セラミッ
クス、ガラス、セメントの如き無機質材;プラスチック
類、紙・繊維類、などが挙げられる。これらの基材の形
状は、板状、曲面状、球状など、組成物を塗布可能な形
状であれば、特に制限はない。
【0048】本発明の形成方法で使用する組成物を各種
基材に塗布する方法は、例えば、ディッピング、スピ
ン、スプレー、スクリーン、ロール、フローなどの公知
の塗布方法のほか、グラビアフレキソ、スクリーン、グ
ラビア、オフセットなどの印刷方法であっても良い。本
発明で使用する組成物を各種基材に、好ましくは、溶媒
乾燥後の膜厚が0.01〜20μmとなるように塗布し
た後、溶媒を蒸発させる。溶媒の蒸発方法としては、常
温で乾燥させる方法でも良いが、50〜150℃で、5
〜30分間加熱乾燥させる方法が好ましい。
【0049】本発明の被覆方法で使用する水を含まない
組成物が、低温、短時間で、強靱な被膜を形成する過程
はつまびらかではないが、金属錯体の適用量から推論し
て、オルガノシラン類及び/又は金属アルコキシド類と
金属錯体との間で、何らかの複合体が形成されたものと
思われる。
【0050】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定される
ものではない。以下の実施例及び比較例において、
「部」及び「%」は、特に断りがない限り、それぞれ、
「質量部」及び「質量%」を表わす。
【0051】<実施例1>エタノール71.0部に、テ
トラエトキシシラン(コルコート社製の「ES28
P」)15.7部及びテトラメトキシシランの部分縮合
物(コルコート社製の「MS51」)8.6部を溶解
し、この溶液に、テトラキス(アセチルアセトナート)
ジルコニウム(松本製薬社製の「オルガチックスZC1
50」)4.7部を添加し、混合することによって有効
成分10%の組成物を得た。
【0052】次に得られた組成物をガラス板(10×1
0cm)上にスピンコーター(500rpmで、20秒
間)を用いて塗布し、80℃で10分間熱板上で加熱乾
燥させることによって透明で、平担な被膜を得た。
【0053】このようにして作成した組成物及び被膜
は、1昼夜放置した後、以下の性能試験方法に従って、
評価し、その結果を表1に示した。
【0054】<性能試験及び評価基準> 液の保存安定性:組成物を、密閉し、25℃で保管し
て、保管後の液の状態によって判定した。7日以内に増
粘又は異物が発生したものを×、14日間で変化がない
ものを△、60日間経過しても変化のないものを○とし
た。
【0055】液の流動性:ガラス板(10×10cm)
上に組成物を垂して、スピンコート(100rpm×2
0sec)し、その時の液の流れ状態によって判定し
た。一面にコートできたものを○、一面にコートできた
がコート面にムラがあるものを△、一面にコートできな
いものを×とした。
【0056】膜硬度:鉛筆引っかき値(手かき法;JI
S K5400)により膜の破れを鉛筆の硬度で評価し
た。
【0057】膜平担性:ガラス板(10×10cm)上
に組成物液を垂して、スピンコート(500rpm×2
0sec)し、110℃で、5分間乾燥した後、膜の状
態によって判定した。一面、平滑で均一にコートできた
ものを○、放射状にスジが発生したものを△、全面、曼
陀羅状になったものを×とした。
【0058】膜表面強度:膜の表面を消しゴムで50往
復擦り、膜の状態によって判定した。膜が破れたものを
×、膜に擦れ傷のついたもの△、膜に変化のないものを
○とした。
【0059】耐擦傷性:膜の表面を手指爪先で引っかく
ことによって判定した。膜に引っかき傷のついたものを
×、膜に変化のないものを○とした。
【0060】温水耐水性:膜を80℃の温水中に1日間
浸せきした後、膜の状態によって判定した。全く変化の
ないものを○、僅かに白化するものを△、白化し、ブリ
スター発生のきざしがあるものを×とした。
【0061】耐候性:曝露(オープンフレームカーボン
アークランプ法;JIS K7350)により1000
時間曝露後の膜の状態で、判定した。変化のないものを
○、僅かに白化するものを△、白化又は剥離傾向のある
ものを×とした。
【0062】<実施例2〜5>実施例1において、アル
コキシシラン類及びその部分縮合物を表1に示した成分
及び配合に代えた以外は、実施例1と同様にして、有効
成分10%の組成物を得た。このようにして得た各組成
物について、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0063】各実施例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表1にま
とめて示した。
【0064】
【表1】
【0065】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS39 =コルコート社製のテトラメトキシシラン ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム HAS1 =コルコート社製のES40の部分加水分
解物
【0066】実施例1で得た組成物は25℃で60日間
保存しても増粘したり、異物の発生もなく、良好な液保
存性を有していた。また、実施例1で得た被膜は、膜硬
度が鉛筆硬度4Hで、温水耐水性テストによる白化もな
かった。又消しゴムによる膜表面の摩耗テストでも表面
状態に変化はなく、良好な膜物性を有していた。さら
に、実施例2〜5で得た各組成物及び被膜も、実施例1
と同様に、良好な組成物特性と膜物性を有していた。
【0067】<実施例6〜11>実施例1において、成
分(a)のアルコキシシラン類の部分縮合物として、そ
れぞれテトラメトキシシランの部分縮合物(MS51;
コルコート社製)あるいはテトラエトキシシランの部分
縮合物(ES40;コルコート社製)を用い、さらに表
2及び表3に示す配合により成分(a)の各種アルコキ
シシラン類を添加して、混合することによって、有効成
分10%の組成物を得た。このようにして得た各組成物
について、実施例1と同様にして被膜を形成した。
【0068】各実施例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表2及び
表3にまとめて示した。
【0069】
【表2】
【0070】上表における略号は次のとおりである。 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 SZ6070=東レダウコーニイング社製のメチルトリ
メトキシシラン SZ6072=東レダウコーニイング社製のメチルトリ
エトキシシラン KBM22=信越化学工業社製のジメチルジメトキシシ
ラン TC401 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセト
アセトナート)チタン
【0071】
【表3】
【0072】上表における略号は次のとおりである。 ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 KR500 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 SR2402=東レダウコーニイング社製のアルキルア
ルコキシシランの部分縮合物 TC100 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(アセチルアセトナート)チタン
【0073】実施例6〜11で得た各組成物及び被膜
も、実施例1と同様に、良好な組成物特性と膜物性を有
していた。
【0074】<実施例12〜14>実施例1において、
成分(a)のアルコキシシラン類の部分縮合物として、
テトラエトキシシランの部分縮合物(ES40;コルコ
ート社製)を用い、さらに表4に示す配合により成分
(a)の各種金属アルコキシ類を添加して、混合するこ
とによって、有効成分10%の組成物を得た。このよう
にして得た各組成物について、実施例1と同様にして被
膜を形成した。
【0075】各実施例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表4にま
とめて示した。
【0076】
【表4】
【0077】上表における略号は次のとおりである。 ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 AMD =川研ファインケミカル社製のsec-ブトキ
シジ-iso-プロポキシアルミニウム ZA40 =松本製薬工業社製のテトラ−n−プロポ
キシジルコニウム ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム
【0078】実施例12〜14で得た各組成物及び被膜
も、実施例1と同様に、良好な組成物特性と膜物性を有
していた。
【0079】<実施例15〜19>実施例1において、
成分(a)のアルコキシシラン類の部分縮合物として、
テトラエトキシシラン(ES28P;コルコート社製)
とテトラメトキシシランの部分縮合物(MS51;コル
コート社製)を用い、さらに表5に示す配合により成分
(b)の各種金属錯体を添加して、混合することによっ
て、有効成分10%の組成物を得た。このようにして得
た各組成物について、実施例1と同様にして被膜を形成
した。
【0080】各実施例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表5にま
とめて示した。
【0081】
【表5】
【0082】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 ZC570 =松本製薬工業社製の(アセチルアセトナ
ート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム ZC550 =松本製薬工業社製のジ−n−ブトキシビ
ス(アセチルアセトナート)ジルコニウム TC750 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(エチルアセトアセテート)チタン S75P =川研ファインケミカル社製のジ−iso
−プロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム キレートD=川研ファインケミカル社製の(アセチルア
セトナート)ビス(エチルアセトアセテート)アルミニ
ウム
【0083】実施例15〜19で得た各組成物及び被膜
も、実施例1と同様に、良好な組成物特性と膜物性を有
していた。
【0084】<比較例1〜2>実施例1と実施例9とそ
れぞれ同様の成分(a)、成分(b)の配合によって、
まず成分(c)に成分(a)及び水を溶解し、0.1N
の塩酸を添加して、液のpHを5に調整し、60℃で、
3時間保温した。次に成分(b)を添加し、混合するこ
とによって、有効成分10%の組成物を得た。このよう
にして得た各組成物について、実施例1と同様にして被
膜を形成した。
【0085】各比較例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表6にま
とめて示した。
【0086】
【表6】
【0087】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム TC100 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(アセチルアセトナート)チタン
【0088】表6に示した結果から、比較例1又は2で
得た組成物は、いずれも増粘傾向があり、スピンコート
時の流動性も悪く、液特性は充分でなかった。また、比
較例1又は2で得た被膜の温水耐水性も満足できるもの
ではなく、膜強度も、80℃で10分間の熱キュアーで
は、不充分で、160℃以上の熱キュアーが必要であっ
た。
【0089】<比較例3〜4>比較例1、2において、
成分(b)を添加しないで、有効成分10%の組成物を
得た。このようにして得た各組成物について、実施例1
と同様にして被膜を形成した。
【0090】各比較例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表7にま
とめて示した。
【0091】
【表7】
【0092】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物
【0093】表7に示した結果から、比較例3又は比較
例4で得た組成物は、いずれも1週間以内にゲル化し
た。また、比較例3又は比較例4で得た被膜の物性も8
0℃で、10分間の熱キュアーではいずれも満足なもの
ではなかった。
【0094】<比較例5〜6>実施例1及び9におい
て、成分(b)を添加しないで、有効成分10%の組成
物を得た。このようにして得た各組成物について、実施
例1と同様にして被膜を形成した。
【0095】各比較例で得た各組成物及び各被膜につい
て、実施例1と同様にして評価し、その結果を表8にま
とめて示した。
【0096】
【表8】
【0097】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物
【0098】表8に示した結果から、比較例5又は6で
得た組成物は、いずれも実施例1及び9の本発明の組成
物と同等の良好な液特性を有していたが、熱キュアーし
ても膜は形成しなかった。
【0099】<実施例20>三酢酸セルロース製フィル
ム(厚さ50μm)上に、ワイヤーバーを用いて、溶媒
酢酸ブチルで10%に調製されたウレタンアクリル樹脂
(17−806;大日本インキ化学工業社製)液(イル
ガキュアー184;チバガイギー社製、0.05%含
有)を、硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布した
後、350mJ/cmで紫外線照射して重合・硬化さ
せて、アンダーコート層を形成した。
【0100】次に、アンダーコート層上に、ワイヤーバ
ーを用いて、4%のルチル型チタニアの微分散体(is
o−プロパノール溶媒、平均粒径30nm)16部と4
%の上記ウレタンアクリル樹脂4部を混合した液を、硬
化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布した後、35
0mJ/cmで紫外線照射して重合・硬化させて、ハ
ードコート層を形成した。
【0101】さらに、ハードコート層上に、ワイヤーバ
ーを用いて、実施例1で使用した組成物にエタノールを
加えて有効成分の濃度を4%に調整した組成物を、乾燥
後の膜厚が0.1μmとなるように塗布した後、110
℃で5分間乾燥させて、本発明の反射防止膜を形成し
た。
【0102】このようにして得た反射防止膜は、その表
面を消ゴムを用いた耐摩耗試験によっても、擦傷が生じ
ることもなく、良好な膜強度を有し、また、手指爪によ
る耐擦傷性試験によっても、傷はなく、良好な膜物性を
示した。
【0103】<実施例21〜22>実施例20におい
て、実施例1で使用した組成物に代えて、実施例9及び
実施例15で用いた組成物を用いた以外は、実施例20
と同様にして、反射防止膜を形成した。このようにして
得た反射防止膜について、実施例20と同様に評価した
結果、耐摩耗試験によっても擦傷がなく、良好な膜強度
を有し、また、耐擦傷性試験によっても、傷がなく、良
好な膜物性を示した。
【0104】
【表9】
【0105】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム ZC570 =松本製薬工業社製の(アセチルアセトナ
ート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム TC100 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(アセチルアセトナート)チタン
【0106】<比較例7〜10>実施例20において、
実施例1で用いた組成物に代えて、比較例1〜4で使用
した組成物を用いた以外は、実施例20と同様にして、
反射防止膜を形成した。このようにして得た反射防止膜
について、実施例20と同等にした結果、耐摩耗試験及
び耐擦傷性試験において、実施例20で得た反射防止膜
よりも、劣っていた。
【0107】
【表10】
【0108】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム ZC570 =松本製薬工業社製の(アセチルアセトナ
ート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム TC100 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(アセチルアセトナート)チタン
【0109】<実施例23>ポリエステル製フィルム
(厚さ50μm)上に、ワイヤーバーを用いて、実施例
9で使用した組成物を乾燥後の膜厚が1μmとなるよう
に塗布した後、110℃で5分間乾燥させて、アンダー
コート層を形成した。
【0110】次に、アンダーコート層上に、ワイヤーバ
ーを用いて、10%のアナタース型チタニアの微分散体
(n−ブタノール溶媒、平均粒径30nm)12部及び
実施例1で使用した組成物8部を混合した混合液を、乾
燥後の膜厚が1μmとなるように塗布した後、80℃で
10分間乾燥させて、本発明の光触媒シートを形成し
た。
【0111】このようにして得た光触媒シートは、サン
シャインウェザオメーターによる耐候性試験(曝露10
00時間)においても白化することなく、また、クラッ
クの発生もなかった。
【0112】<実施例24〜25>実施例23におい
て、実施例1で使用した組成物液に代えて、実施例9及
び実施例15で使用した組成物をそれぞれ用いた以外
は、実施例23と同様にして、光触媒シートを形成し
た。
【0113】このようにして得た光触媒シートは、実施
例23と同様にサンシャインウェザオメーターによる耐
候性テスト(曝露1000時間)で白化することなく、
また、クラックの発生もなかった。
【0114】
【表11】
【0115】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム ZC570 =松本製薬工業社製の(アセチルアセトナ
ート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム TC100 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(アセチルアセトナート)チタン
【0116】<比較例11〜14>実施例23におい
て、実施例1で使用した組成物に代えて、比較例1〜4
で使用した各組成物を用いた以外は、実施例23と同様
にして、光触媒シートを形成した。
【0117】このようにして得た光触媒シートは、いず
れも耐候性試験において、白化の傾向があった。
【0118】
【表12】
【0119】上表における略号は次のとおりである。 ES28P =コルコート社製のテトラエトキシシラン ES40 =コルコート社製のテトラエトキシシラン
の部分縮合物 MS51 =コルコート社製のテトラメトキシシラン
の部分縮合物 KC89 =信越化学工業社製のアルキルアルコキシ
シランの部分縮合物 ZC150 =松本製薬工業社製のテトラキス(アセチ
ルアセトナート)ジルコニウム ZC570 =松本製薬工業社製の(アセチルアセトナ
ート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム TC100 =松本製薬工業社製のジ−n−プロポキシ
ビス(アセチルアセトナート)チタン
【0120】
【発明の効果】本発明の被膜の形成方法によれば、湿式
無機コートにおいて非ゾルゲル法を適用しているので、
作業適性(液の保存安定性、コート適性)が良く、加え
て低温、短時間の熱処理によって表面強度、温水耐水性
に優れた被膜を形成することができる。また、本発明の
被膜の形成方法によれば、非耐熱素材であるプラスチッ
ク類への塗工が容易となり、耐擦傷性に優れた反射防止
膜あるいは耐候性に優れた光触媒膜を提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA02 AA15 CC42 CC45 DD02 EE02 4J038 DL021 DL031 DM021 FA241 GA01 GA07 GA09 GA13 JA16 JC32 JC38 KA04 KA06 NA03 NA04 NA11 NA19 PA18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)オルガノシラン類、アルミニウム
    アルコキシド類、チタンアルコキシド類、ジルコニウム
    アルコキシド類及びそれらの部分縮合物からなる群から
    選ばれる1種類以上の化合物、(b)アルミニウム錯
    体、チタン錯体及びジルコニウム錯体からなる群から選
    ばれる1種類以上の金属錯体、及び(c)有機溶媒を含
    有する組成物に、水を添加することなく、前記組成物を
    基材に塗布した後、前記有機溶媒を蒸発させることを特
    徴とする被膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記オルガノシロキサン類、アルミニウ
    ムアルコキシド類、チタンアルコキシド類、ジルコニウ
    ムアルコキシド類及びそれらの部分縮合物が、アミノ
    基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基及
    びメルカプト基から成る群から選ばれる置換基を有する
    化合物である請求項1記載の被膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記オルガノシロキサン類が、一般式
    (1) 【化1】 (式中、R、R、RおよびRのうちの1〜4つ
    は、それぞれ独立的に、(a)水酸基、アルコキシル基、
    アリールオキシ基及びアシルオキシ基から成るA群から
    選ばれる基を表わし、残りは、(b)水素原子、アルキル
    基、アリール基、アルケニル基、及び、一部の水素原子
    がハロゲン原子、芳香族基、脂環基、エポキシ基、ビニ
    ル基、メルカプト基及びアミノ基からなる群から選ばれ
    る基で置換されたアルキル基の部分の炭素原子数が1〜
    8のアルキル基からなるB群から選ばれる基を表わ
    す。)で表わされる化合物である請求項1又は2に記載
    の被膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウムアルコキシド類が一般
    式(2) 【化2】 (式中、R、R及びRは、それぞれ独立的に、水
    素原子、アルキル基、アリール基又はアシル基を表わ
    す。)で表わされる化合物である請求項1又は2に記載
    の被膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記チタンアルコキシド類又は前記ジル
    コニウムアルコキシド類が一般式(3) 【化3】 (式中、R、R、R10及びR11は、水素原子、
    アルキル基、アリール基又はアシル基を表わす。Mは、
    チタン又はジルコニウムを表わす。)で表わされる化合
    物である請求項1又は2に記載の被膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記(a)成分が請求項3に記載の前記
    一般式(1)で表わされる化合物と、請求項4に記載の
    前記一般式(2)で表わされる化合物又は請求項5に記
    載の前記一般式(3)で表わされる化合物とを含有する
    請求項1に記載の被膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載された形成方法を用いて
    形成されたことを特徴とする被膜。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載された形成方法を用いて
    形成されたことを特徴とする反射防止膜。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載された形成方法を用いて
    形成されたことを特徴とする光触媒膜。
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