JP3292158B2 - コーティング用組成物 - Google Patents

コーティング用組成物

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JP3292158B2
JP3292158B2 JP32893698A JP32893698A JP3292158B2 JP 3292158 B2 JP3292158 B2 JP 3292158B2 JP 32893698 A JP32893698 A JP 32893698A JP 32893698 A JP32893698 A JP 32893698A JP 3292158 B2 JP3292158 B2 JP 3292158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーティング用組
成物に関し、さらに詳細にはセメント、モルタルおよび
その他の無機窯業系基材、ステンレスおよびアルミニウ
ムなどの金属、さらにはガラス、プラスチックなどの製
品の表面に、耐水性、耐薬品性、耐クラック性、耐熱
性、撥水性、耐候性および密着性に優れた塗膜を形成す
るために好適なコーティング用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐ク
ラック性、耐熱性、撥水性および各種基材との密着性に
優れた塗膜を形成することが可能なコーティング用組成
物が求められている。このような要求の一部を満たすコ
ーティング用組成物として、オルガノトリアルコキシシ
ランおよびその部分縮合物とコロイダルシリカとの分散
液ならびにシリコーン変性アクリル樹脂からなる組成物
(特開昭60−135465号公報)、(a)オルガノ
アルコキシシラン、(b)一般式Zr(OR′)4 で表
されるジルコニウム化合物、一般式Ti(OR′)4
表されるチタン化合物およびこれらの加水分解物もしく
は部分重縮合物から選ばれる少なくとも1種、ならびに
(c)有機溶剤からなる組成物(特開昭63−8117
6号公報)などが提案されている。
【0003】しかしながら、前記特開昭60−1354
65号公報に記載されているコーティング用組成物を使
用して塗膜を形成させても、紫外線により塗膜の光沢の
低下や変色が生じるという問題点を有しており、また前
記特開昭63−81176号公報に記載されているコー
ティング用組成物を使用して塗膜を形成させた場合に
は、紫外線による塗膜の光沢の低下や変色がないもの
の、温水浸漬や乾湿サイクル試験において塗膜にクラッ
クが発生するという問題点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術的課題を背景になされたもので、耐水性、耐薬品
性、耐クラック性、耐熱性、撥水性、耐候性および各種
基材との密着性に優れた塗膜を形成させることのできる
コーティング用組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)一般式
RSi(OR′)3 (式中、Rは炭素数1〜8のアルキ
ル基、γ−クロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−
トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、
γ−メタクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロ
ピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシル
エチル基およびγ−アミノプロピル基の群から選ばれた
少なくとも1種の有機基、R′は炭素数1〜5のアルキ
ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
オルガノシラン、 (b)一般式Ra SiO(4-a)/2 (式中、Rは前記に同
じ、aは1.1〜1.8である)で表される繰り返し構
造単位を有するオルガノポリシロキサン、 (c)一般式Ti(OR″)4 およびAl(OR″)3
(式中、R″は炭素数2〜5のアルキル基を示す)の群
から選ばれた少なくとも1種の金属アルコレート、なら
びに該金属アルコレートとβ−ジケトン類および/また
はβ−ケトエステル類との反応で得られるキレート化合
物の群から選ばれた少なくとも1種、 (d)親水性有機溶媒、ならびに (e)水 を混合し、上記(a)成分と(b)成分とを共縮合させ
てなることを特徴とするコーティング用組成物を提供す
るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の組成物を構成要件別に詳
述する。(a)成分 この(a)オルガノシラン中のRは、例えばメチル基、
エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などの炭素
数1〜8のアルキル基、γ−クロロプロピル基、ビニル
基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシド
キシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、γ
−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキ
シシクロヘキシルエチル基およびγ−アミノプロピル基
の群から選ばれた少なくとも1種の有機基である。
た、(a)オルガノシラン中のR′は、炭素数1〜5の
アルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、例え
ばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、
アセチル基などが挙げられる。
【0007】これらの(a)オルガノシランの具体例と
しては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プ
ロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシ
シラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
エトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルト
リメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシ
クロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポ
キシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランなどを挙
げることができるが、好ましくはメチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシランなどである。これらの
(a)オルガノシランは、1種単独で使用することも、
または2種以上を併用することもできる。
【0008】(b)成分 (b)オルガノポリシロキサン中のRは、前記(a)オ
ルガノシラン中のRと同様である。また、(b)オルガ
ノポリシロキサン中のaは、1.1〜1.8、好ましく
は1.2〜1.6の範囲であり、1.1未満では組成物
のコーティング塗膜にクラックが発生し、一方1.8を
超えると塗膜が硬化し難い。(b)オルガノポリシロキ
サンは、通常、分子量が2,000〜20,000であ
り、シラノール基および/またはアルコキシ基を、通
常、1重量%以上、好ましくは3重量%以上有するもの
である。このような(b)オルガノポリシロキサンの具
体例としては、トーレ・シリコーン(株)製のSR24
02、東芝シリコーン(株)製のXR31−323、同
YR3370などが挙げられる。これらの(b)成分
は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用す
ることもできる。(b)成分の組成物中における配合割
合は、(a)成分100重量部に対して、通常、5〜7
0重量部、好ましくは20〜50重量部であり、5重量
部未満では得られる塗膜の耐クラック性を向上させるこ
とが困難であり、一方70重量部を超えると得られる塗
膜の硬度が充分でなくなる。
【0009】(c)成分 金属アルコレートとしては、一般式Ti(OR″)4
よびAl(OR″)3で表される化合物の少なくとも1
種を挙げることができる。この(c)金属アルコレート
中のR″は、炭素数2〜5のアルキル基、例えばエチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基など
が挙げられる。これらの(c)金属アルコレートの具体
例としては、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−
n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシル
オキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、トリ
エトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニ
ウム、モノ−sec−ブトキシ−ジ−プロポキシアルミ
ニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウムなどを挙
げることができる。
【0010】また、これらの(c)金属アルコレート
は、例えば一般式R1 COCH2 COR2 で表されるβ
−ジケトン類またはβ−ケトエステル類(以下、単に
「β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類」
という)とを反応させて得られる前記金属アルコレート
とβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類と
が配位結合を形成したキレート化合物としても用いるこ
とができる。このβ−ジケトン類および/またはβ−ケ
トエステル類中のR1 は、炭素数1〜5のアルキル基、
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル
基などであり、R2 はR1 と同様の炭素数1〜5のアル
キル基のほか、炭素数1〜4のアルコキシ基、例えばメ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポ
キシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブ
トキシ基などである。
【0011】このβ−ジケトン類および/またはβ−ケ
トエステル類の具体例としては、アセチルアセトン、ア
セト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−
プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n
−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−
t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプ
タン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オ
クタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル
−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これら
のうち、特にアセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン
が好ましい。これらのβ−ジケトン類および/またはβ
−ケトエステル類は、1種単独でまたは2種以上を混合
して使用することもできる。このβ−ジケトン類および
/またはβ−ケトエステル類は、前記金属アルコレート
1モルに対して好ましくは0.8〜2.5モル、特に好
ましくは1〜1.5モルの割合で使用される。
【0012】このキレート化合物の具体例としては、エ
チルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、
アルミニウムモノアセチルアセトネート、ビス(エチル
アセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルア
セテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレ
ート、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナ
ト)チタンなどを挙げることができ、特にエチルアセト
アセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニ
ウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
【0013】これらの(c)成分のうち、(a)成分と
(b)成分の共縮合性と得られる組成物の保存安定性の
点から、キレート化合物が好ましい。なお、(c)成分
の(b)成分に対する割合は、(b)成分中のケイ素原
子1モルに対して好ましくは0.001〜1モル、さら
に好ましくは0.01〜0.5モルである。この割合が
0.001モル未満では、(a)成分と(b)成分の共
縮合体の生成が不充分となりやすく、一方1モルを超え
ると組成物の保存安定性が悪くなりやすい。
【0014】(d)成分 (d)成分の親水性有機溶媒としては、アルコール類ま
たは沸点が120℃以下の低沸点親水性有機溶剤を挙げ
ることができる。アルコール類としては、例えば1価ア
ルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、こ
のうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪
族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体
例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルア
ルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエ
ーテルなどを挙げることができる。また、沸点が120
℃以下の低沸点親水性有機溶剤としては、例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどを挙
げることができる。これらの(d)成分のうち、好まし
くはi−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
ジエチレングリコール、酢酸エチレングリコールモノエ
チルエーテルなどのアルコール類であり、特に好ましく
はi−プロピルアルコールおよび酢酸エチレングリコー
ルモノエチルエーテルである。これらの(d)成分は、
1種単独で使用することも、また2種以上を併用するこ
ともできる。
【0015】(d)成分の使用量は、組成物の全固形分
濃度が、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは
15〜35重量%となる量であり、10重量%未満では
固形分濃度が薄すぎて得られる組成物をコーティングに
供することにより形成される塗膜の耐熱性、耐水性、耐
薬品性、耐候性などの諸特性が発現されない場合があ
り、また形成される塗膜にピンホールが発生する場合が
あり、一方50重量%を超えると固形分濃度が高すぎて
組成物の保存安定性が悪化したり、組成物をコーティン
グに供しても均一な塗膜の形成が困難となるなどの弊害
が生起する場合がある。
【0016】(e)成分 この(e)成分である水の組成物における使用割合は、
(a)成分1モルに対し、通常、0.5〜3モル、好ま
しくは1.0〜2.0モル、(b)成分のオルガノシラ
ンに対し0.5〜3モル、好ましくは1.0〜2.0モ
ルであり、いずれも0.5モル未満では組成物を基板に
塗布し加熱乾燥した際、硬化が不充分で充分な表面硬度
が得られ難く、一方3モルを超えると組成物を保管する
際、保存安定性が悪化しやすい。
【0017】なお、本発明の組成物には、得られる塗膜
の透明性を保持しながら硬度を高めるために、上記
(a)〜(e)成分以外に、さらに(f)コロイド状シ
リカやコロイド状アルミナを配合することもできる。こ
のコロイド状シリカとは、例えば高純度の無水ケイ酸を
前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平
均粒径が5〜30mμ、好ましくは10〜20mμ、固
形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このよ
うな、コロイド状シリカとしては、例えば日産化学工業
(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノー
ルシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが
挙げられる。このコロイド状シリカは、固形分換算で、
通常、(a)成分と(b)成分の固形分総量の5〜40
重量%、好ましくは5〜10重量%使用される。また、
コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製の
アルミナゾル520、同100、同200;川研ファイ
ンケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナ
ゾル10、同132などが挙げられる。これらのコロイ
ド状アルミナは、固形分換算で、通常、(a)成分と
(b)成分の固形分総量の3〜15重量%、好ましくは
5〜10重量%使用される。
【0018】また、本発明の組成物をより速く硬化させ
るにあたっては、硬化条件により硬化促進剤を使用して
もよく、比較的低い温度で硬化させるためには、硬化促
進剤を併用する方が効果的である。この硬化促進剤とし
ては、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アル
ミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキル
チタン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸
などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、
メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチ
ルアミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ
−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメト
キシシランなどのアミン化合物;
【0019】(C4 9)2 Sn(OCOC11232
(C4 9)2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2
(C4 9)2 Sn(OCOCH=CHCOOC4 9)
2 、(C8 17)2Sn(OCOC11232 、(C8
17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2 、(C8
17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4 9)2 、(C8
17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8 17)2、Sn
(OCOCC8 172 、(C4 9 2 Sn(SCH
2 COO)、(C4 9 2 Sn(SCH2 COOC8
17)2、(C8 172 Sn(SCH2 COO)、(C
8 172 Sn(SCH2 CH2 COO)、(C
8 17)2Sn(SCH2 COOCH2CH2OCOCH
2 S)、(C8H17)2 Sn(SCH2COOCH2CH2CH2CH2OCOCH
2S)、(C8 17)2Sn(SCH2 COOC8 17)2
(C8 17)2Sn(SCH2 COOC1225)2
【0020】 などの有機スズ化合物;
【0021】(C4 9 2 SnO、(C8 17)2Sn
O、(C4 9 )SnO、(C8 17)SnOなどの有
機スズオキサイドとエチルシリケート、エチルシリケー
ト40、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フ
タル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物
からなる有機スズ化合物などが使用される。これらの硬
化促進剤の組成物中における割合は、固形分100重量
部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは
0.5〜10重量部用いられる。
【0022】なお、本発明の組成物には、各種界面活性
剤、前記以外のシランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤、染料、顔料、分散剤、増粘剤、各種無機充填剤
などを添加することもできる。特に、無機充填剤とし
て、二酸化マンガンや二酸化マンガン/三酸化クロム/
酸化銅の焼結体などを添加すると、得られる塗膜の遠赤
外線放射率を高めることができる。
【0023】さらに、本発明の組成物中には、前記
(d)成分以外の有機溶剤を含有させることができる。
この有機溶剤としては、前記(a)〜(c)成分と混合
した際に、沈澱を生起しない溶剤であればどのよのよう
なものでもよく、一般の塗料、コーティング剤などに用
いられる脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲ
ン化炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、
ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテ
ル類などを挙げることができ、この具体例としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミルなどで
ある。これらの有機溶剤は、本発明の組成物の固形分換
算濃度が、通常、20〜40重量%となるように使用す
る。本発明の組成物を調製するに際しては、前記成分を
一度に混合してもよいし、あるいは逐次混合してもよい
が、(a)〜(e)の各成分を混合したのち、40〜8
0℃で1〜10時間、加熱および攪拌することにより、
(a)成分と(b)成分の共縮合物が得られる。
【0024】本発明の組成物は、対象物である基材の表
面に刷毛、スプレー、ディッピングなどの塗装手段によ
り、1回塗りで厚さ1〜20μm程度、2〜3回の塗装
で厚さ2〜40μm程度の塗膜を形成することができ、
80〜300℃程度の温度で10〜60分間程度加熱
し、乾燥することにより硬い塗膜を形成することが可能
である。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り
重量基準である。 実施例1 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルトリメト
キシシラン100部、オルガノポリシロキサン〔東芝シ
リコーン(株)製、XR31−323〕45部、エチル
アセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート〔川
研ファインケミカル(株)製、ALCH〕1部、i−プ
ロピルアルコール120部および水20部を加え、60
℃に加熱して5時間反応させ、組成物(イ)を得た。
【0026】比較例1〜3 実施例1においてエチルアセトアセテートアルミニウム
ジイソプロピレートを用いない例を比較例1に、実施例
1においてオルガノポリシロキサンおよびエチルアセト
アセテートアルミニウムジイソプロピレートを用いない
例を比較例2に、実施例1においてオルガノポリシロキ
サンを用いない例を比較例3に、それぞれ示す。
【0027】比較例4 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルトリエト
キシシラン100部、メタノールシリカゾル〔日産化学
工業(株)製〕80部、水25部を加え、60℃に加熱
して3時間反応させ、オルガノポリシロキサンを得た。
さらに、このオルガノポリシロキサン100部、トルエ
ン10部、i−プロピルアルコール50部、シリル基含
有アクリル重合体〔カネカゼムラック、鐘淵化学工業
(株)製〕20部を加え、室温で24時間攪拌し、比較
例4の組成物を得た。
【0028】試験例1 実施例1および比較例1〜4で得られた組成物を、保存
安定性試験として、ガラス製ビン中で常温で2ヶ月間密
栓保存し、目視によりゲル化の有無を判定した。結果を
第1表に示す。
【0029】試験例2 主剤である実施例1および比較例1〜4で得られた組成
物99%に、硬化剤としてγ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1%を室温で混合した。次に、JISスレー
ト板〔JIS A5403(F)〕に、無機質系コーテ
ィング材〔日本合成ゴム(現ジェイエスアール)(株)
製、グラスカE1102〕を乾燥膜厚で40μm塗布
し、160℃で10分間加熱処理し試験片を作製した。
この試験片上に、前記各主剤と硬化剤の混合物を乾燥膜
厚で5μm塗布し、160℃で10分間加熱処理した。
このようにして得られた試験片を用い、以下のとおり評
価を行った。結果を表1に示す。
【0030】硬度;JIS K5400による鉛筆硬度
に拠った。 光沢;光沢計〔スガ試験機(株)製〕を用い、60°光
沢を測定した。 耐温水性;温度60℃の温水中に連続して72時間浸漬
したのち、取り出して塗膜の状態を観察した。 耐水性;流水中に常温で30日間浸漬したのち、取り出
して塗膜の状態を観察した。 耐候性;JIS K5400により、サンシャインウエ
ザーメーターで1,000時間照射試験を実施し、塗膜
の状態を観察した。
【0031】
【表1】
【0032】*1)メチルトリメトキシシラン *2)メチルシリコンワニス〔東芝シリコーン(株)
製、XR31−323〕 *3)エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレート〔川研ファインケミカル(株)製、ALCH〕 *4)i−プロピルアルコール *5)日産化学工業(株)製 *6)鐘淵化学工業(株)製、シリル基含有アクリル重
合体 *7)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
【0033】
【発明の効果】本発明のコーティング用組成物は、セメ
ント、モルタルおよびその他の無機窯業系基材、ステン
レスおよびアルミニウムなどの金属類、さらにはガラ
ス、プラスチックなどの製品の表面に、耐水性、耐薬品
性、耐クラック性、耐熱性、撥水性、耐候性および密着
性に優れた膜を作ることができる。また、硬化促進剤を
混合しない場合は、長時間ゲル化せずに安定性を保持す
ることがきるため、その工業的利用価値は極めて大であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−140507(JP,A) 特開 昭64−16868(JP,A) 特開 昭63−221123(JP,A) 特開 昭63−123838(JP,A) 特開 昭63−99269(JP,A) 特開 昭63−81176(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 185/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式RSi(OR′)3 (式
    中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、γ−クロロプロピ
    ル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、
    γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプ
    ロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、
    3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基およびγ−ア
    ミノプロピル基の群から選ばれた少なくとも1種の有機
    基、R′は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜
    4のアシル基を示す)で表されるオルガノシラン、 (b)一般式Ra SiO(4-a)/2 (式中、Rは前記に同
    じ、aは1.1〜1.8である)で表される繰り返し構
    造単位を有するオルガノポリシロキサン、 (c)一般式Ti(OR″)4 およびAl(OR″)3
    (式中、R″は炭素数2〜5のアルキル基を示す)の群
    から選ばれた少なくとも1種の金属アルコレート、なら
    びに該金属アルコレートとβ−ジケトン類および/また
    はβ−ケトエステル類との反応で得られるキレート化合
    物の群から選ばれた少なくとも1種、 (d)親水性有機溶媒、ならびに (e)水 を混合し、上記(a)成分と(b)成分とを共縮合させ
    てなることを特徴とするコーティング用組成物。
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