JP3279015B2 - コーティング用組成物 - Google Patents

コーティング用組成物

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JP3279015B2
JP3279015B2 JP30340793A JP30340793A JP3279015B2 JP 3279015 B2 JP3279015 B2 JP 3279015B2 JP 30340793 A JP30340793 A JP 30340793A JP 30340793 A JP30340793 A JP 30340793A JP 3279015 B2 JP3279015 B2 JP 3279015B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属、ガラス、木材、ス
レート、コンクリート、プラスチックスなどの基材に対
して有用なコーティング組成物に関し、さらに詳しく
は、オルガノポリシロキサン、コロイド状シリカ、有機
溶媒、シリル基含有ビニル系樹脂および脱水剤を主成分
とする保存安定性に優れたコーティング用組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、保存安定性、透明性、耐熱性、耐
水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性、密着性、などに優
れ、硬度の高い平滑性の良い塗膜を形成させることので
きるコーティング組成物が求められている。このような
要求の一部を満たすコーティング組成物としてオルガノ
ポリシロキサンおよびコロイド状金属酸化物へ有機樹脂
を配合した組成物として、特開昭64−1769にはオ
ルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合物、ジルコニ
ウム化合物、キレート化合物、シリコン変性アクリル樹
脂からなる組成物、特開昭63−308077において
はオルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合物、コロ
イド状アルミナ、シリル基含有アクリル樹脂とからなる
組成物が、特公平5−46394においてはオルガノト
リヒドロキシシランおよびその部分縮合物とコロイダル
シリカとの分散液ならびにシリコン変性アクリル樹脂か
らなる組成物が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】前記特開昭64−1
769に開示されるオルガノトリアルコキシシラン加水
分解縮合物、ジルコニウム化合物、キレート化合物、シ
リコン変性アクリル樹脂からなる組成物は密着性、耐ア
ルカリ性に優れているものの、硬度が十分でないという
問題点があった。一方、特開昭63−308077で開
示されたオルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合
物、コロイド状アルミナ、シリル基含有アクリル樹脂と
からなる組成物では前記材料の問題点である硬度を改善
しているものの、高温での長期保存安定性は十分ではな
い。特公平5−46394では、特にアクリル樹脂成形
品に対して優れた密着性、硬度、耐摩耗性、耐薬品性、
耐候性、耐水性、透明性が提案され保存安定性の向上の
ため、共沸蒸留により水分量を低減した分散液、すなわ
ちオルガノヒドロキシシランおよびその部分縮合物とコ
ロイド状シリカからなる分散液と、シリコン変性アクリ
ル樹脂との組成物を提案している。しかし、このような
煩雑な脱水工程を経ても、到達する組成物の含水量はた
かだか数重量%であり、前記特許の場合と同様にコーテ
ィング材として一般に使われる高濃度の状態で高温、長
期の保存安定性を確保するまでにはいたっていない。
【0004】保存安定性上の問題は、第一に加水分解性
のシリル基を分子中に含む樹脂は、通常、湿気硬化型塗
料として使用されている事実にあるように微量の水分に
より容易に架橋、硬化するものであること、第二にオル
ガノポリシロキサンは通常、相当するアルコキシシラン
の加水分解,縮合反応により合成するため水分を完全に
除去することは困難である点に基づいている。たとえ実
用上の保存安定性が確保されているオルガノポリシロキ
サンおよびこれとコロイド状金属酸化物からなる分散液
であっても、これと加水分解性のシリル基を分子中に含
む高分子量の有機樹脂との組成物とした場合、保存安定
性が著しく低下するということが理解できよう。
【0005】第二の点に関し従来技術の問題点をさらに
説明する。アルコキシシランの加水分解、縮合反応は、
化学量論的には1つのシロキサン単位を生成するため
に、アルコキシシランに対して0.5当量の水が必要で
ある。従って、3官能性のオルガノトリアルコキシシラ
ンの場合には、一般式RSiO1.5で表されるオルガノ
ポリシロキサンを生成するためには、1.5当量の水が
必要である。このことは同時に、3官能性のアルコキシ
シランに対して1.5当量未満相当の水を添加して加水
分解、縮合を行った場合、すべての水が消費され系内は
無水状態になることが期待される。しかしながら、実際
の反応においては3官能オルガノトリアルコキシシラン
に1.5当量の水を用いて反応させても、すべてのアル
コキシ基が加水分解、縮合するのは極めて限定された条
件のみであり、多くの場合反応は完結しない。すなわ
ち、反応溶液中には目的とするポリシロキサンに加え、
未加水分解のアルコキシ基や未縮合のシラノール基を有
するポリシロキサンとともに相当量の水分が残存する。
このようにして製造されるポリシロキサン分散液はたと
え合成操作の最終段階で脱水操作を行っても、縮合の進
行により新たに水を放出するシラノール基を含んでいる
為、加水分解性のシリル基を有する樹脂と共に長期間保
存した場合、増粘、ゲル化しやすい。特に、顔料配合時
には顔料に吸着している水分や種々の添加材が加えられ
るため保存安定性はさらに悪くなる傾向にある。
【0006】一方、化学量論量より極端に少ない量の水
を加水分解に用いて、系内の残存水分量を低減すること
は可能であるが、そのようにして製造した場合、得られ
るポリシロキサンの分子量および固形分は著しく低下
し、基材表面でのはじきや透明性の低下など、コーティ
ング材としての基本性能が損なわれるため好ましい手段
ではない。これらの問題の解決をめざした従来技術とし
て前記特公平5−428は、十分な量の水を用いて加水
分解、縮合後、過剰の水分を共沸蒸留する方法を開示し
ているが、到達できる含水量はたかだか数重量%であ
り、実用上要求される高濃度、高温で長期間の保存安定
性を維持できる水準までの水分量の低減は達成されてい
ない。
【0007】以上に説明したようにオルガノアルコキシ
シランの加水分解、縮合により製造したポリシロキサン
を成分として用いる場合、重合時の含水量の抑制のみで
はコーティング材としての性能が低下する。一方、従来
技術である共沸蒸留による重合後の脱水操作では水分量
の低減に限界があり、保管中に副生される水分の抑制に
は効果がないことが容易に理解されよう。本発明は、か
かる従来の技術的課題を背景になされたもので、保存安
定性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性、
密着性、などに優れ、硬度の高い平滑性の良い塗膜を形
成させることのできるコーティング組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【問題点を解決する為の手段】すなわち、本発明は、
(a)一般式(1)RSi(ORl3 (式中、Rは炭
素数1から8の有機基、Rlは炭素数1〜5のアルキル
基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表されるオ
ルガノアルコキシシランの加水分解物またはその部分縮
合物であるオルガノポリシロキサンを固形分換算で10
0重量部、(b)コロイド状シリカを固形分換算で10
〜120重量部、(c)有機溶媒200〜4500重量
部および(d)水酸基または加水分解性基と結合したケ
イ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少なくと
も1個有するシリル基含有ビニル系樹脂20〜300重
量部を含有し、水分量が0.15重量%以下であること
を特徴とするコーティング組成物を提供するものであ
る。
【0009】次に本発明の組成物を構成要件別に詳述す
る。本発明における(a)成分は、一般式(1)RSi
(ORl3で表されるオルガノアルコキシシランを加水
分解および部分縮合して得られたオルガノポリシロキサ
ンである。かかる一般式(1)中のRは、炭素数1〜8
の有機基であり、例えば、メチル基、エチル基、ノルマ
ルプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基などの鎖状、分岐状および環状アルキル基、その
ほか、γ−クロロプロピル基、ビニル基、トリフルオロ
プロピル基、γ−グリシドキしプロピル基、γ−メルカ
プトプロピル基、γ−メタクリオキシプロピル基、フェ
ニル基、キシリル基、3,4−エポキシシクロヘキシル
エチル基などの官能性アルキル基、アリール基などが挙
げられる。Rの炭素数が8を越える場合、加水分解速
度、塗膜の乾燥性、硬度が低下する場合があり好ましく
ない。
【0010】また、一般式(1)中のRlは、炭素数1
〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であ
り、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、アセチル基などが挙げ
られる。Rlの炭素数が5を越える場合、加水分解性、
塗膜の硬度が低下する場合があり好ましくない。一般式
(1)で表されるオルガノアルコキシシランの具体例と
しては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリイ
ソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラ
ン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、イソプロピ
ルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペ
ンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラ
ン、オクチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘ
キシルエチルトリメトキシシランを挙げることができる
が、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシランである。
【0011】また、一般式(1)で表されるオルガノア
ルコキシシランは、1種単独でも2種以上でも使用する
ことができるが、組成物の硬化性、硬度、耐候性、耐薬
品性の観点から一般式(1)で表されるオルガノアルコ
キシシランのうち、80モル%以上が一般式CH3Si
(ORl3で表されるオルガノトリアルコキシシランで
ある場合が好ましい。
【0012】これら、オルガノアルコキシシランの加水
分解物および/または部分縮合物であるオルガノポリシ
ロキサンの製造法は既に公知であり、多くの方法が提案
されており、例えば、特公昭52−39691に開示さ
れる方法によって実施することができる。すなわち、そ
の方法は前記オルガノアルコキシシランに所定量の水を
加え、加熱することにより、加水分解、縮合を行わせる
工程からなっている。本発明のコティング組成物に用い
る(a)オルガノポリシロキサンとしては、以下に示す
ようにコーティング材としての性能が発現し、かつ、本
発明の最終組成物の含水量を0.15重量%以下にする
のに最小量の脱水剤で達成できる水分量を用いて加水分
解、縮合を行ったものが好ましく、その分子量はゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて
評価したポリスチレン換算重量平均分子量として500
〜50,000、好ましくは500〜10,000のも
のである。
【0013】オルガノアルコキシシランの加水分解に使
用される水としては蒸留水、イオン交換水、もしくは後
述するコロイド状シリカの分散媒体の水を用いることが
できる。加水分解に用いる水の添加量は前記オルガノア
ルコキシシラン1モルに対して通常、1〜2モル、好ま
しくは1.1〜1.5モルである。加水分解に使用され
る水が1モル未満では組成物の成膜性が悪い場合があ
り、2モルを越えると最終組成物の含水量を0.15重
量%以下にするため多量の脱水剤の添加が必要になり、
また、オルガノポリシロキサン自身の保存安定性も低下
する傾向にあるため好ましくない。加水分解または縮合
においては使用される水は通常、中性、もしくはコロイ
ド状シリカを使用する場合は酸性のものが用いられ、水
素イオン濃度としては2〜7の範囲のものを使用する。
反応温度は通常20℃以上、溶剤の沸点以下であり、好
ましくは40℃以上、150℃未満で実施される。ま
た、反応時間は通常30分以上12時間未満である。
【0014】(b)成分のコロイド状シリカは、本発明
の組成物の塗膜の硬度、耐熱性の向上および成膜性向上
を目的に使用するものであり、液状の分散媒体中、球
状、棒状、羽毛状、不定形状の微粒子として分散したコ
ロイド状のシリカを意味する。分散媒体は水もしくはメ
タノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ジメ
チルアセトアミドなどの親水性有機溶剤を用いることが
できる。コロイド状シリカの平均粒子径は球状の場合、
0.005〜0.050μm、好ましくは0.010〜
0.030μmであり、羽毛状、棒状の場合、0.00
5〜0.100μmの範囲であるものが使われ、固形分
濃度が通常10〜40重量%程度のものである。分散媒
が水の場合、pHは2〜6の範囲にある酸性コロイド状
シリカを用いる事が好ましい。
【0015】そのようなコロイド状シリカの具体例を示
すと、水を分散媒とするコロイド状シリカとしては、日
産化学工業(株)製、スノーテックス;触媒化成工業
(株)製 カタロイドSN;米国デユポン社製、Lud
ox 米国モンサント社製Syton 米国ナルコケミカ
ル社製 Nalcoagなどを挙げることができるが、
そのほかSi(ORl4(式中Rlは前記一般式(1)
のRlに同じ)で表されるテトラアルコキシシランを加
水分解することにより得ることもできる。また、有機溶
剤分散コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工
業(株)製、イソプロパノールシリカゾルおよびメタノ
ールシリカゾル、触媒化成工業(株)製 オスカルなど
が市販されている。
【0016】本発明で用いるコロイド状シリカは水およ
び有機溶剤分散のものを併用してもよい。コロイド状
リカは前記一般式(1)のオルガノアルコキシシランの
加水分解、縮合に用いる水として用いることもでき、こ
の場合コロイド状シリカ中の水分量がオルガノアルコキ
シシランの使用モル数に対して通常1〜2倍モルである
量添加される。
【0017】以上のコロイド状シリカの組成物における
割合は前記(a)のオルガノポリシロキサン100重量
部に対し固形分換算で通常10〜120重量部であり、
好ましくは、20〜80重量部用いることができる。コ
ロイド状シリカの割合が10重量部未満の場合、塗膜の
硬度、耐熱性の向上効果は低く、120重量部を越える
と塗膜がもろくなり、また塗料の成膜性、保存安定性が
低下する場合がある。これらのコロイド状シリカは前記
(a)オルガノポリシロキサンの合成時、原料のオルガ
ノアルコキシシランを加水分解、縮合するときに共存さ
せても、またオルガノアルコキシシランの加水分解、縮
合後、添加してもよいが、前者の方法で作製した組成物
がコロイド状シリカの分散性が良好な場合があることか
らオルガノアルコキシシランの加水分解、縮合時に共存
させることが好ましい。
【0018】(c)成分の有機溶媒は各成分を均一に混
合させ、固形分、粘度を調整するとともにコーティング
時の乾燥速度、顔料配合時の分散安定性および保存安定
性を向上させる目的で選定、使用するものであり、乾
燥、硬化処理した後は揮発蒸発する性質を持つ有機物の
中から選ばれる。本発明の特徴のひとつである組成物中
の水分量の低減の目的から、使用される有機溶媒中の水
分量はできる限り低いことが要請され、通常、0.15
重量%以下の含水量、好ましくは0.05重量%以下、
特に好ましくは0.01重量%以下の含水量の有機溶媒
が使用される。そのような有機溶媒としては、例えば、
アルコール類、芳香属炭化水素類、エーテル類、ケトン
類、エステル類などが好適である。
【0019】アルコール類としては例えば1価アルコー
ルまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち
1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アル
コールが好ましい。これらアルコール類の具体例として
は、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコー
ル、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができ
る。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トル
エン、キシレン、などを、またエーテル類としては、ジ
メトキシメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢
酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを、ケト
ン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソ
ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノンなどを、エステル類としては酢酸エチル、酢酸プロ
ピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクト
ンなどを挙げることができる。
【0020】本発明において、(c)有機溶媒は、前記
(a)オルガノポリシロキサンの固形分100重量部に
対して、通常200〜4500重量部、好ましくは、2
50〜4000重量部である。これら有機溶媒は単独で
使用することも、2種以上混合して使用することもでき
る。本発明の有機溶媒としては前記以外に、成分(a)
オルガノポリシロキサンの合成時、原料となるオルガノ
アルコキシシランの加水分解により副成するアルコール
類および成分(b)のコロイド状シリカの有機分散媒を
有機溶媒として用いることができる。本発明において
(a)〜(c)成分からなる分散液の調製における各成
分の配合、操作順序について以下説明する。成分
(a)、(b)、(c)の配合順序により本発明の本質
が変わることはないが、(b)成分のコロイド状シリカ
を成分(a)の合成時に併用することが好ましい、これ
によりコロイド状シリカの分散安定性が向上する場合が
ある。
【0021】本発明の(d)成分であるシリル基含有ビ
ニル系樹脂は、主鎖が炭素骨格のビニル系重合体からな
り、末端あるいは、側鎖にシラノール基もしくは加水分
解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体
1分子中に少なくとも1個以上有するものであり、該シ
リル基の多くは、下記一般式(2):−Si(R23-n
n(式中、Xは水酸基、アルコキシ基、アシロキシ
基、アミノ基、フェノキシ基、アルキルスルフィド基、
などの加水分解性基、R2は水素原子、炭素数1〜10
のアルキル基またはアラルキル基、nは1〜3の正の整
数である)で示される。ここでXのうちアルコキシ基と
してはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などを、
アシロキシ基としてはアセチル基、プロピオニル基など
を、アルキルスルフィド基としてはメチルスルフィド、
エチルスルフィド基などを挙げることができるが、好ま
しくは、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基などのアルコキシ基を挙げることができる。
【0022】また、R2としては、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のアルキ
ル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリー
ル基およびベンジル基、フェネチル基、アラルキル基を
挙げることができる。これらのなかで好ましい例を挙げ
ると、メチル基、エチル基、フェニル基である。
【0023】かかるシリル基含有ビニル系樹脂は、例え
ば、下記一般式(3): R3−Si(R23-nn(式
中、R2、Xおよびn は前記一般式(2)と同様であ
り、R3は例えばビニル、2−プロペニル、3−アクリ
ロキシプロピル、3−メタクリロキシプロピル、4−ビ
ニルフェニル、2−(4−ビニル)フェニルエチル、な
どの重合性2重結合を有する有機基である)で示される
シラン化合物とビニル系化合物を共重合することにより
製造することができる。ここでビニル系化合物としては
前記一般式(3)のシラン化合物との付加体が得られ
る限りとくに制限を受けるものではなく、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およ
び無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジル(メタ)
アクリレートなどのエポキシ化合物、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテ
ルなどのアミノ化合物、(メタ)アクリルアミド、クロ
トンアミド、イタコン酸アミド、マレイン酸ジアミドな
どのアミド化合物、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれる1種以
上のビニル系化合物と前記一般式(3)のシラン化合物
とをラジカル発生化合物の存在下、一般的方法により共
重合することにより得ることができる。
【0024】これらビニル系化合物のなかで好ましい例
を挙げると、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類で
あり、さらに好ましくはメタクリル酸アルキルエステル
類、特に好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキ
シルなどを挙げることができる。このようにして製造さ
れるシリル基含有ビニル系樹脂中の前記一般式(3)の
シラン化合物の割合はSi元素換算で、通常、0.01
〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、
0.01重量%未満では耐候性、密着性向上の効果は低
く、また20重量%を越えると組成物の保存安定性が低
下する場合がある。また、(d)成分のシリル基含有ビ
ニル系樹脂の示差熱分析法により求めたガラス転移温度
は通常−60℃〜150℃あるものを用いる。ガラス転
移温度が−60℃未満では充分な塗膜硬度が得られない
場合があり、一方150℃を越えると成膜性が低下する
場合がある。。また、(d)シリル基含有ビニル系樹脂
のポリスチレン換算重量平均分子量は、通常、5,00
0〜100,000である。重量平均分子量が5,00
0未満または100,000を超える場合には、得られ
る組成物の粘度が塗装作業に適さない範囲になってしま
う。
【0025】シリル基含有ビニル系樹脂の組成物中の割
合は(a)成分100重量部に対して20〜300重量
部、好ましくは50〜200重量部、さらに好ましくは
80〜150重量部であり、20重量部未満では耐水
性、耐アルカリ性が悪い場合があり、300重量部を越
えると耐候性および塗膜硬度が低下する場合がある。こ
れら(d)成分のシリル基含有ビニル系樹脂は、1種単
独でも2種以上を混合しても使用することもできる。本
発明で用いるシリル基含有ビニル系樹脂は前述したよう
に、水の共存下では分子中のシリル基上の基が容易に加
水分解、縮合反応することから、シリル基含有ビニル系
樹脂の水含有量は0.15重量%以下、好ましくは0.
05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下と
して用いる。また、シリル基含有ビニル系樹脂は必要に
応じて有機溶剤で希釈したり、保存安定性を高めるため
脱水剤を添加したものを用いることができる。そのよう
な有機溶剤としては組成物を均一に溶解し塗装条件での
加熱乾燥により除去できるものであり、水含有量が通常
0.15重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、
特に好ましくは0.01重量%以下であるものが用いら
れ、前記(c)成分の有機溶剤中から選定される。
【0026】本発明のコーティング組成物の水分量を
0.15重量%以下とするためには、(e)脱水剤を添
加することが好ましい。本発明で用いる(e)脱水剤
は、水との化学反応によりアルコール類を生成する機構
で水を消費する反応性を保有し、常温で液状もしくは固
体状の特定の化合物の中から選ばれる。脱水剤として使
用できる特定の化合物としては一般式(4);R4PM
(OR14-P(式中、R1は前記一般式(1)と同じ
く、R4は鎖状、分岐状、または環状の炭素数1〜18
の1価または2価の有機基であり、Pは0、1、2のい
ずれかであり、Mは炭素原子またはケイ素原子である)
で示される化合物を挙げることができる。
【0027】一般式(4)で表される化合物の例を挙げ
ると、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻
酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、オ
ルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチ
ルなどのオルトカルボン酸アルキル類、アセトンジメチ
ルアセタール、アセトンジエチルアセタール、シクロヘ
キサノンジメチルアセタール、シクロヘキサノンジエチ
ルアセタールなどのケトンジアルキルアセタール類、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの
アルコキシシラン類、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランなどの官能性アルコキシシラン類を挙げること
ができる。これらの中で好ましいものを挙げると、オル
ト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル、
オルト酢酸エチルなどのオルトカルボン酸アルキル類で
ある。
【0028】脱水剤の使用量は本発明の組成物中の水分
量が0.15重量%以下になる量、好ましくは0.05
重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下となる
量を添加する。なお、本発明において組成物中の水分量
の決定はカールフィッシャー法により決定したものを用
いる。組成物中の水分量が0.15重量%を越えると組
成物の高温、高濃度での保存安定性は著しく低下し、か
つ硬化促進剤を使用したときの可使時間も短くなる。一
方、多量の脱水剤の添加により組成物中の水分量を限り
なくゼロに近づけることはできるが、その場合、組成物
の固形分の割合が低下し、かつ一般的に高価な脱水剤の
使用量が増えることからコストが高くなるという問題が
生じる。具体的添加量は前記脱水剤が水との化学反応に
より脱水するため、組成物中の成分(a)〜(d)の残
存水分量に対して通常1倍モル以上、通常、(a)成分
のポリオルガノシロキサン100重量部に対して10〜
200重量部、好ましくは20〜100重量部である。
【0029】脱水剤の主たる作用は組成物中に含まれる
水分を低減することであるが、同様の目的で無水塩化カ
ルシウムなどの無機塩類や、ゼオライトなどの無機化合
物を添加した場合はむしろ組成物の保存安定性が低下す
ることから、本発明においての脱水剤としてはコーティ
ング組成物としての保存安定性を損なわないものに限定
される。
【0030】次に本発明の組成物の調製法について説明
する。各成分のうち(d)シリル基含有ビニル系樹脂は
水との反応により保存安定性を低下する性質を有するこ
とから、(d)シリル基含有ビニル系樹脂と混合するも
のは予め水分量を低水分量にしておく必要がある。ま
た、各成分を均一に配合するためにも、本発明において
は、通常、(a)オルガノポリシロキサン、(b)コロ
イド状シリカおよび(c)有機溶媒からなる分散液に
(e)脱水剤を添加して水分量を0.15重量%以下と
したのち、(d)シリル基含有ビニル系樹脂の有機溶媒
希釈液を混合する順序で調整される。また、(b)コロ
イド状シリカの有機溶媒分散液は、予め十分に水分量を
低減しておけばどの段階で添加してもよいが、(b)コ
ロイド状シリカの水分散液は(d)シリル基含有ビニル
系樹脂と直接混合することはできない。従って、(b)
コロイド状シリカの水分散液は、予めオルガノアルコキ
シシランと混合して、オルガノアルコキシシランの加水
分解で水を消費させるか、脱水剤を添加することによ
り、十分に水分量を低減させた後に(d)シリル基含有
ビニル系樹脂と混合するようにする。本発明では、
(b)コロイド状シリカは、(a)オルガノポリシロキ
サンの合成時に添加することが好ましい。さらに、
(e)脱水剤を(a)オルガノポリシロキサンに添加し
た後、最後に(d)シリル基含有ビニル系樹脂を混合す
る。脱水剤を添加してから(d)シリル基含有ビニル系
樹脂を添加するまでの時間は、脱水剤と水との反応速度
と水分量に依存するが含水量が0.15重量%以下の恒
量値に到達するまで、通常室温下では3時間以上、脱水
反応を行わせることが好ましい。また、(a)〜(d)
の各成分それぞれに、(e)脱水剤を添加しておき、各
成分の水分量を0.15重量%以下としてから各成分を
混合することもできる。
【0031】本発明のコーティング用組成物における全
固形分濃度は、通常、10〜50重量%、好ましくは2
0〜40重量%であるようにして用いられる。全固形分
濃度が10重量%未満では固形分濃度が低すぎて得られ
る組成物をコーティングして得られる塗膜の耐薬品性、
耐候性などの諸特性が発現されない場合があり、一方、
50重量%を越えると粘度上昇により均一塗膜が得られ
ない場合がある。
【0032】本発明の組成物には、必要に応じて顔料な
どの充填剤を添加することが出来る。このような充填剤
は通常水、有機溶媒に不溶性のものであり、粒子状、板
状、繊維状、不定形の金属および合金ならびにこれらの
酸化物、水酸化物、硫化物、炭化物、窒化物などを挙げ
ることができる。具体例として、鉄、アルミニウム、ニ
ッケル、錫、亜鉛、鉛、クロムなどの金属およびこれら
を含む合金および、カーボンブラックやフェライト、シ
リカ、酸化チタン、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化スズ、
酸化銅、亜酸化銅、などの金属酸化物、合成ムライト、
ケイ酸ジルコニア、チタン酸カリウムなどの複合酸化
物、水酸化アルミニウム、水酸化鉄などの金属水酸化
物、炭化珪素、炭化ほう素などの金属炭化物、窒化珪
素、窒化ほう素などの窒化物、硫化モリブテン、硫化
銅、硫化カドミニウム、硫化亜鉛などの金属硫化物など
を挙げることができる。
【0033】これら充填剤の平均粒子径または平均長さ
は、通常、0.01〜50μm、好ましくは、0.1〜
5μmであり、0.01μm未満では組成物の粘度が上
昇したり、隠ぺい性が不十分の場合がある、また50μ
mを越えると得られる塗膜の平滑性、塗膜の均一性が低
下する場合がある。充填剤中の割合は本発明の組成物の
全固形分量100重量部に対して、通常、20〜70重
量部であり、好ましくは、40〜60重量部である。充
填剤の使用量が20重量部未満では、充填剤添加により
期待される塗膜の機能化、例えば、色隠ぺい性、耐摩耗
性が不十分の場合があり、70重量部を越えると塗膜の
耐薬品性が低下したり、表面からの充填剤の剥離が起き
る場合がある為好ましくない。また、本発明の組成物に
対して主として着色などの意匠性向上を目的として染料
を充填剤として添加することもできる。
【0034】本発明の組成物は基材にコーティング後、
加熱処理することにより速やかに硬化塗膜とすることが
できるが、常温で乾燥することにより硬化塗膜とするこ
ともできる。本発明の組成物を常温での乾燥より速く硬
化させるには、乾燥温度を高めたり、硬化促進剤を使用
することもでき、特に比較的低い温度、もしくは短時間
で硬化させるためには硬化促進剤を併用することが効果
的である。ここで、硬化促進剤は塗装時に添加すること
が好ましい。
【0035】かかる硬化促進剤としては、組成物中に含
まれるアルコキシシランの加水分解、およびシラノール
同士の縮合反応を加速する効果のある無機もしくは有機
化合物を挙げることができ、具体例としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、などのアルカリ金属水酸化
物類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、トルエンスル
フォン酸などの無機および有機酸類、テトラメチルアン
モニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒド
ロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなど
の4級アンモニウム水酸化物類、アンモニア、トリエチ
ルアミン、トリブチルアミン、モルフォリン、ピリジ
ン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミンなどのアミン類、3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、N(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、な
どのアミノシラン類、また、(C492Sn(OCO
11232、(C492Sn(OCOCH=CHCO
OCH32、(C492Sn(OCOCH=CHCO
OC492、(C8172Sn(OCOC11232
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC
492、(C8172Sn(OCOCH=CHCOO
8172、Sn(OCOC8172、(C492
n(SCH2COO)、(C492Sn(SCH2CO
OC8172、(C8172Sn(SCH2COO)、
(C8172Sn(SCH2CH2COO)、(C
8172Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH
2S)、(C8172Sn(SCH2COOCH2CH2
2OCOCH2S)、(C8172Sn(SCH2CH2
COOC8172、(C8172Sn(SCH2CH2
OOC12252、[(C492Sn(SCH2COO
817)]2 O、(C492Sn=S、(C8172
Sn=S、[C49Sn=S]2S、C817Sn(OC
OC11233、C817Sn(SCH2CH2COOC8
173、C817Sn(SCH2CH2COOC1225
3などの有機スズ化合物および(C492Sn=O、C
49SnO、(C8172Sn=O、C817SnOな
どの有機スズオキシドとテトラエトキシシラン、エチル
シリケート−40(多摩化学(株)製)などのシリコン
アルコキシド、およびその縮合反応物との反応生成物、
さらに前記有機スズオキシドとマレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル
化合物との反応生成物などの有機スズ化合物を用いる事
ができる。
【0035】前記具体例の中で好ましいものを挙げると
有機スズ化合物である。硬化促進剤の組成物中の割合は
本発明の組成物100重量部(固形分換算)に対して通
常15重量部以下、好ましくは10重量部以下用いら
れ、通常前記成分(c)および水から選ばれる有機溶媒
により希釈して添加する。硬化促進剤の添加量の増大に
伴い硬化時間もしくは硬化温度を低減することができる
が15重量部を越える添加は通常組成物の増粘速度、ゲ
ル化速度を高める為、可使時間が短くなり好ましくな
い。なお、本発明の組成物には、基材に対する濡れ性を
さらに高める目的で、各種界面活性剤を添加してもよ
く、また、基材との密着性をさらに高める目的で、当業
界においてシランカップリング剤と呼ばれている前記以
外の有機珪素化合物や、チタンカップリング剤など、ま
た粘度、硬度の調節を目的のひとつとして当業界でシリ
コンワニスと呼ばれているシリコン樹脂、またこれら以
外公知の添加剤を添加することもできる。
【0036】本発明の組成物は、対象物である基材の表
面に刷毛、スプレー、ディッピング、ロールコーター、
フローコーターなどの塗装手段により、通常1回塗りで
厚さ2〜50μm程度、2〜3回の塗装で4〜150μ
m程度の塗膜を形成することができ、硬化温度は通常、
室温〜300℃程度、好ましくは80〜200℃の温度
で、硬化時間は通常、2分〜12時間程度、好ましくは
5分〜30分で加熱、乾燥することにより硬化塗膜を形
成することができる。
【0037】本発明の組成物をコーティングすることの
できる基材としては、ステンレス、アルミニウム、ガラ
ス、セラミックス、セメント、紙、プラスチックスなど
であり、これらは板状、粒子状、繊維状であってもよ
い。特に、本発明の組成物は各種無機酸化物と化学的に
結合可能なシラノール基を含むことから無機酸化物との
密着性が良好であるという特徴を有し、このことから、
金属、ガラス、や窯業系基材、特にセメントを主材に木
チップ、アスベスト、ガラス繊維、有機ポリマー繊維な
どの各種補強用充填材を配合した住宅、ビル、トンネル
などの建築物内装用または外装用スレート板などが基材
として好ましい。これらの各種基材は直接本発明の組成
物を塗装できるが塗膜の外観、密着性、発泡、塗れ性な
ど基材表面に由来する問題を最小限にし、コーティング
剤の性能を最大限に発揮するため、各種プライマー、ま
たはシーラーを予め塗装した基材を用いてもよい。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中の部および%は特に断らない
限り重量規準である。実施例中、固形分量を示す%は2
00℃で1時間加熱乾燥後の固形分重量%として求めた
ものであり、含水量はカールフィッシャー法により決定
した。
【0039】以下に本実施例における組成物および塗膜
評価を記す。 外観 目視により塗膜の透明性と平滑性を評価し良好なものを
○、不透明、平滑性不良のものを×とした。 密着性 JIS K5400による碁盤目テスト後、テープ剥離
試験で残存膜の個数と全個数との比が100/100の
場合○としそれ以外を×として判定した。 硬度 JIS K5400により評価した。 耐候性 JIS K5400により、サンシャインウェザーメー
ターで2,000時間照射試験を実施し、塗膜の外観に
変化のないものを○、顕著な変化があるものを×と判定
した。 保存安定性 ガラス容器中に密栓した試料を50℃の恒温槽に一か月
静置、保管後、目視によりゲル化の有無を判定し、ゲル
化していない物については、ブルックフィールド型回転
粘度計で粘度を測定し、増粘率;[(一か月保管後の粘
度/初期粘度)−1]×100が10%未満のものを
◎、10%以上50%未満を○、50%以上100%未
満を△、100%以上もしくはゲル化、のものを×の基
準で判定した。
【0040】 耐水性 水道水に常温で60日間浸漬し、塗膜の異常がないもの
を○、変色、ふくれなどの異常のあるものを×と判定し
た。 耐熱性 試験片を雰囲気温度200℃の熱風乾燥機中に24時間
保管後、塗膜外観に異常のないものを○、変色、クラッ
クなどの異常のあるものを×と判定した。 耐酸性 10%の硫酸水溶液0.5mlを塗膜上に置き、ガラス
シャーレで蓋をして24時間静置し、水洗乾燥後の塗膜
外観に異常のないものを○、変色、ふくれなどの異常の
あるものを×と判定した。 耐アルカリ性 3%のカセイソーダ水溶液0.5mlを塗膜上に置き、
ガラスシャーレで蓋をして24時間静置し、水洗乾燥後
の塗膜外観に異常のないものを○、変色、ふくれなどの
異常のあるものを×と判定した。 可使時間 可使時間は、ポリエチレン製容器中で硬化促進剤を添加
して密栓し、40℃の恒温槽で静置後、増粘率が50%
を越える時間/hrを評価した。
【0041】参考例1 (1)(a)〜(c)成分からなる分散液(A)の調製
表1のA1〜A9に示す配合でオルガノアルコキシシラ
ン、コロイド状シリカおよびイオン交換水を還流冷却器
付きガラス製フラスコに仕込み、60℃で4.5時間加
熱攪拌後、室温まで冷却し、これに有機溶媒を添加して
分散液(A)を得た。表1中、コロイド状シリカは次の
ものを使用した。 No1 メタノールシリカゾル(日産化学(株)製、固
形分30%、媒体;メタノール)No2 スノーテックス−O(日産化学(株)製、固形
分20%、媒体;水) 表1中、 有機溶媒としては以下のものを使用した。 No1 ブチルセロソルブNo2 キシレン なお、 A1〜A4およびA7〜A8は、(a)〜(c)
成分すべてを一括で仕込み、A5はコロイド状シリカ
後添加した。
【0042】
【表1】
【0043】(2)成分(d)シリル基含有ビニル系樹
脂の合成 表2のB1〜B5に示す配合比で各種ビニル系モノマ
ー、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランお
よびキシレンを混合し、これに重合開始剤として2,
2’−アゾイソブチロニトリルを加え、窒素雰囲気下、
60℃で加熱攪拌することにより、それぞれ固形分50
%のシリル基含有ビニル系樹脂を合成した。
【0044】
【表2】
【0045】実施例1〜9および比較例1〜 表3に示す配合比で参考例1で得られた分散液に対して
脱水剤(e)をポリエチレン容器中攪拌しながら混合後
室温で24時間静置し含水量が恒量値に到達したことを
確認後、成分(d)を混合攪拌することによりコーティ
ング用組成物を調製した。得られた各組成物の各性能を
評価した。結果は表3および表4に示す。表中、各成分
としては以下のものを使用した。 脱水剤 No1 オルト蟻酸メチルNo2 オルト酢酸エチル No4 テトラエトキシシラン 成分d B4 ゼムラック 鐘淵化学工業製(トルエンで固形分2
5%に希釈硬化剤 No1 オクチルスズトリス(オクチルオキシカルボニ
ルエチルチオラート) No2 ジブチルスズジラウレート No3 オクチルスズトリスラウレート
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】実施例10〜18および比較例5〜 実施例1〜9および比較例1〜で得られた各組成物
に、さらに表5に示す充填剤を配合し、得られた組成物
の保存安定性を測定した。結果を表5に示す。ここで、
充填剤としては平均粒子径0.8μmの酸化チタン、ウ
イスカー状チタン酸カリウムおよび平均粒子径2.3μ
mのシリカを用い、ボールミルを用いて分散させた。得
られた各組成物の各性能を評価した。結果は表5および
表6に示す。表中、硬化剤としては以下のものを使用し
た。 No1 オクチルスズトリス(オクチルオキシカルボニ
ルエチルチオラート) No2 ジブチルスズジラウレート No3 オクチルスズトリスラウレート なお、塗膜性能評価の為の試験片作製は塗装機としてエ
アスプレーを用い基材のアルミニウム板(JIS H4
000 A1050P)上に膜厚5μmで塗膜形成後、
170℃で15分乾燥することにより行った。本実施例
においては前記表5の実施例10〜18の組成物の乾燥
塗膜の性能および硬化剤併用時の可使時間について評価
した結果を表6に示す。塗膜性能評価の為の試験片作製
は塗装機としてアプリケータ(100μm)を用い基材
のアルミニウム板(JIS H4000 A1050P)
上に膜厚20μmで塗膜形成後、170℃で15分乾燥
することにより行った。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】本発明は種々の基材上へ塗装、乾燥処理
することにより、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性、
密着性、耐摩耗性に優れ、高硬度の平滑な塗膜を形成す
ることができ、かつ、高温、高濃度で長期間の優れた保
存安定性を有するコーティング組成物を提供するもので
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式(1)RSi(ORl3
    (式中、Rは炭素数1〜8の有機基、Rlは炭素数1〜
    5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)
    で表されるオルガノアルコキシシランの加水分解物また
    はその部分縮合物であるオルガノポリシロキサンを固形
    分換算で100重量部、(b)コロイド状シリカを固形
    分換算で10〜120重量部、(c)有機溶媒200〜
    4500重量部および(d)水酸基または加水分解性基
    と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子
    中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂2
    0〜300重量部を含有し、水分量が0.15重量%以
    下であることを特徴とするコーティング組成物。
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