JPH07133463A - コーティング用組成物 - Google Patents

コーティング用組成物

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JPH07133463A
JPH07133463A JP30340793A JP30340793A JPH07133463A JP H07133463 A JPH07133463 A JP H07133463A JP 30340793 A JP30340793 A JP 30340793A JP 30340793 A JP30340793 A JP 30340793A JP H07133463 A JPH07133463 A JP H07133463A
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Yuuichi Eriyama
祐一 江利山
Kinji Yamada
欣二 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】種々の基材に対し耐熱性、耐水性、耐薬品性、
耐候性、密着性、耐摩耗性に優れ、高硬度の塗膜を形成
できる特徴を有するコーティング剤を得る。 【構成】(a)一般式(1)RSi(ORl3 で表さ
れるオルガノアルコキシシランの加水分解物またはその
部分縮合物であるオルガノポリシロキサンを固形分換算
で100重量部、(b)コロイド状金属酸化物を固形分
換算で10〜120重量部、(c)有機溶媒200〜4
500重量部および(d)水酸基または加水分解性基と
結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中
に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂20
〜300重量部を含有し、水分量が0.15重量%以下
であるコーティング組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属、ガラス、木材、ス
レ−ト、コンクリ−ト、プラスチックスなどの基材に対
して有用なコ−ティング組成物に関し、さらに詳しく
は、オルガノポリシロキサン、コロイド状金属酸化物、
有機溶媒、シリル基含有ビニル系樹脂および脱水剤を主
成分とする保存安定性に優れたコ−ティング用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、保存安定性、透明性、耐熱性、耐
水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性、密着性、などに優
れ、硬度の高い平滑性の良い塗膜を形成させることので
きるコ−ティング組成物が求められている。このような
要求の一部を満たすコ−ティング組成物としてオルガノ
ポリシロキサンおよびコロイド状金属酸化物へ有機樹脂
を配合した組成物として、特開昭64−1769にはオ
ルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合物、ジルコニ
ウム化合物、キレ−ト化合物、シリコン変性アクリル樹
脂からなる組成物、特開昭63−308077において
はオルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合物、コロ
イド状アルミナ、シリル基含有アクリル樹脂とからなる
組成物が、特公平5−46394においてはオルガノト
リヒドロキシシランおよびその部分縮合物とコロイダル
シリカとの分散液ならびにシリコン変性アクリル樹脂か
らなる組成物が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】前記特開昭64−1
769に開示されるオルガノトリアルコキシシラン加水
分解縮合物、ジルコニウム化合物、キレ−ト化合物、シ
リコン変性アクリル樹脂からなる組成物は密着性、耐ア
ルカリ性に優れているものの、硬度が十分でないという
問題点があった。一方、特開昭63−308077で開
示されたオルガノトリアルコキシシラン加水分解縮合
物、コロイド状アルミナ、シリル基含有アクリル樹脂と
からなる組成物では前記材料の問題点である硬度を改善
しているものの、高温での長期保存安定性は十分ではな
い。特公平5−46394では、特にアクリル樹脂成形
品に対して優れた密着性、硬度、耐摩耗性、耐薬品性、
耐候性、耐水性、透明性が提案され保存安定性の向上の
ため、共沸蒸留により水分量を低減した分散液、すなわ
ちオルガノヒドロキシシランおよびその部分縮合物とコ
ロイド状シリカからなる分散液と、シリコン変性アクリ
ル樹脂との組成物を提案している。しかし、このような
煩雑な脱水工程経ても、到達する組成物の含水量はたか
だか数重量%であり、前記特許の場合と同様にコ−ティ
ング材として一般に使われる高濃度の状態で高温、長期
の保存安定性を確保するまでにはいたっていない。
【0004】保存安定性上の問題は、第一に加水分解性
のシリル基を分子中に含む樹脂は、通常、湿気硬化型塗
料として使用されている事実にあるように微量の水分に
より容易に架橋、硬化するものであること、第二にオル
ガノポリシロキサンは通常、相当するアルコキシシラン
の加水分解,縮合反応により合成するため水分を完全に
除去することは困難である点に基づいている。たとえ実
用上の保存安定性が確保されているオルガノポリシロキ
サンおよびこれとコロイド状金属酸化物からなる分散液
であっても、これと加水分解性のシリル基を分子中に含
む高分子量の有機樹脂との組成物とした場合、保存安定
性が著しく低下するということが理解できよう。
【0005】第二の点に関し従来技術の問題点をさらに
説明する。アルコキシシランの加水分解、縮合反応は、
化学量論的には1つのシロキサン単位を生成するため
に、アルコキシシランに対して0.5当量の水が必要で
ある。従って、3官能性のオルガノトリアルコキシシラ
ンの場合には、一般式RSiO1.5で表されるオルガノ
ポリシロキサンを生成するためには、1.5当量の水が
必要である。このことは同時に、3官能性のアルコキシ
シランに対して1.5当量未満相当の水を添加して加水
分解、縮合を行った場合、すべての水が消費され系内は
無水状態になることが期待される。しかしながら、実際
の反応においては3官能オルガノトリアルコキシシラン
に1.5当量の水を用いて反応させても、すべてのアル
コキシ基が加水分解、縮合するのは極めて限定された条
件のみであり、多くの場合反応は完結しない。すなわ
ち、反応溶液中には目的とするポリシロキサンに加え、
未加水分解のアルコキシ基や未縮合のシラノ−ル基を有
するポリシロキサンとともに相当量の水分が残存する。
このようにして製造されるポリシロキサン分散液はたと
え合成操作の最終段階で脱水操作を行っても、縮合の進
行により新たに水を放出するシラノ−ル基を含んでいる
為、加水分解性のシリル基を有する樹脂と共に長期間保
存した場合、増粘、ゲル化しやすい。特に、顔料配合時
には顔料に吸着している水分や種々の添加材が加えられ
るため保存安定性はさらに悪くなる傾向にある。
【0006】一方、化学量論量より極端に少ない量の水
を加水分解に用いて、系内の残存水分量を低減すること
は可能であるが、そのようにして製造した場合、得られ
るポリシロキサンの分子量および固形分は著しく低下
し、基材表面でのはじきや透明性の低下など、コ−ティ
ング材としての基本性能が損なわれるため好ましい手段
ではない。これらの問題の解決をめざした従来技術とし
て前記特公平5−428は、十分な量の水を用いて加水
分解、縮合後、過剰の水分を共沸蒸留する方法を開示し
ているが、到達できる含水量はたかだか数重量%であ
り、実用上要求される高濃度、高温で長期間の保存安定
性を維持できる水準までの水分量の低減は達成されてい
ない。
【0007】以上の説明したようにオルガノアルコキシ
シランの加水分解、縮合により製造したポリシロキサン
を成分として用いる場合、重合時の含水量の抑制のみで
はコ−ティング材としての性能が低下する。一方、従来
技術である共沸蒸留による重合後の脱水操作では水分量
の低減に限界があり、保管中に副生される水分の抑制に
は効果がないことが容易に理解されよう。本発明は、か
かる従来の技術的課題を背景になされたもので、保存安
定性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐候性、
密着性、などに優れ、硬度の高い平滑性の良い塗膜を形
成させることのできるコ−ティング組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【問題点を解決する為の手段】すなわち、本発明は、
(a)一般式(1)RSi(ORl3 (式中、Rは炭
素数1から8の有機基、Rlは炭素数1〜5のアルキル
基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表されるオ
ルガノアルコキシシランの加水分解物またはその部分縮
合物であるオルガノポリシロキサンを固形分換算で10
0重量部、(b)コロイド状金属酸化物を固形分換算で
10〜120重量部、(c)有機溶媒200〜4500
重量部および(d)水酸基または加水分解性基と結合し
たケイ素原子を有するシリル基を重合体1分子中に少な
くとも1個有するシリル基含有ビニル系樹脂20〜30
0重量部を含有し、水分量が0.15重量%以下である
ことを特徴とするコ−ティング組成物を提供するもので
ある。
【0009】次に本発明の組成物を構成要件別に詳述す
る。本発明における(a)成分は、一般式(1)RSi
(ORl3で表されるオルガノアルコキシシランを加水
分解および部分縮合して得られたオルガノポリシロキサ
ンである。かかる一般式(1)中のRは、炭素数1〜8
の有機基であり、例えば、メチル基、エチル基、ノルマ
ルプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オク
チル基などの鎖状、分岐状および環状アルキル基、その
ほか、γ−クロロプロピル基、ビニル基、トリフルオロ
プロピル基、γ−グリシドキしプロピル基、γ−メルカ
プトプロピル基、γ−メタクリオキシプロピル基、フェ
ニル基、キシリル基、3,4−エポキシシクロヘキシル
エチル基などの官能性アルキル基、アリ−ル基などが挙
げられる。Rの炭素数が8を越える場合、加水分解速
度、塗膜の乾燥性、硬度が低下する場合があり好ましく
ない。
【0010】また、一般式(1)中のRlは、炭素数1
〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であ
り、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、アセチル基などが挙げ
られる。Rlの炭素数が5を越える場合、加水分解性、
塗膜の硬度が低下する場合があり好ましくない。一般式
(1)で表されるオルガノアルコキシシランの具体例と
しては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリイ
ソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラ
ン、ノルマルプロピルトリメトキシシラン、イソプロピ
ルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペ
ンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラ
ン、オクチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘ
キシルエチルトリメトキシシランを挙げることができる
が、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシランである。
【0011】また、一般式(1)で表されるオルガノア
ルコキシシランは、1種単独でも2種以上でも使用する
ことができるが、組成物の硬化性、硬度、耐候性、耐薬
品性の観点から一般式(1)で表されるオルガノアルコ
キシシランのうち、80モル%以上が一般式CH3Si
(ORl3で表されるオルガノトリアルコキシシランで
ある場合が好ましい。
【0012】これら、オルガノアルコキシシランの加水
分解物および/または部分縮合物であるオルガノポリシ
ロキサンの製造法は既に公知であり、多くの方法が提案
されており、例えば、特公昭52−39691に開示さ
れる方法によって実施することができる。すなわち、そ
の方法は前記オルガノアルコキシシランに所定量の水を
加え、加熱することにより、加水分解、縮合を行わせる
工程からなっている。本発明のコ−ティング組成物に用
いる(a)オルガノポリシロキサンとしては、以下に示
すようにコ−ティング材としての性能が発現し、かつ、
本発明の最終組成物の含水量を0.15重量%以下にす
るのに最小量の脱水剤で達成できる水分量を用いて加水
分解、縮合を行ったものが好ましく、その分子量はゲル
パ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)を用い
て評価したポリスチレン換算重量平均分子量として50
0〜50,000、好ましくは500〜10,000の
ものである。
【0013】オルガノアルコキシシランの加水分解に使
用される水としては蒸留水、イオン交換水、もしくは後
述するコロイド状金属酸化物の分散媒体の水を用いるこ
とができる。加水分解に用いる水の添加量は前記オルガ
ノアルコキシシラン1モルに対して通常、1〜2モル、
好ましくは1.1〜1.5モルである。加水分解に使用
される水が1モル未満では組成物の成膜性が悪い場合が
あり、2モルを越えると最終組成物の含水量を0.15
重量%以下にするため多量の脱水剤の添加が必要にな
り、また、オルガノポリシロキサン自身の保存安定性も
低下する傾向にあるため好ましくない。加水分解または
縮合においては使用される水は通常、中性、もしくはコ
ロイド状金属酸化物を使用する場合は酸性のものが用い
られ、水素イオン濃度としては2〜7の範囲のものを使
用する。反応温度は通常20℃以上、溶剤の沸点以下で
あり、好ましくは40℃以上、150℃未満で実施され
る。また、反応時間は通常30分以上12時間未満であ
る。
【0014】(b)成分のコロイド状金属酸化物は、本
発明の組成物の塗膜の硬度、耐熱性の向上および成膜性
向上を目的に使用するものであり、液状の分散媒体中、
球状、棒状、羽毛状、不定形状の微粒子として分散した
コロイド状の金属酸化物を意味する。金属酸化物の例と
してはとしては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコ
ニア、酸化アンチモンなどを挙げることができるがこれ
らに限定されるものではない。分散媒体は水もしくはメ
タノ−ル、イソプロパノ−ル、エチルセロソルブ、ジメ
チルアセトアミドなどの親水性有機溶剤を用いることが
できる。コロイド状金属酸化物の平均粒子径は球状の場
合、0.005〜0.050μm、好ましくは0.01
0〜0.030μmであり、羽毛状、棒状の場合、0.
005〜0.100μmの範囲であるものが使われ、固
形分濃度が通常10〜40重量%程度のものである。分
散媒が水の場合、pHは2〜6の範囲にある酸性コロイ
ド状金属酸化物を用いる事が好ましい。
【0015】そのようなコロイド状金属酸化物の具体例
を示すと、水を分散媒とするコロイド状シリカとして
は、日産化学工業(株)製、スノ−テックス;触媒化成
工業(株)製 カタロイドSN;米国デユポン社製、L
udox 米国モンサント社製Syton 米国ナルコ
ケミカル社製 Nalcoagなどを挙げることができ
るが、そのほかSi(ORl4(式中Rlは前記一般式
(1)のRlに同じ)で表されるテトラアルコキシシラ
ンを加水分解することにより得ることもできる。また、
有機溶剤分散コロイド状シリカとしては、例えば、日産
化学工業(株)製、イソプロパノ−ルシリカゾルおよび
メタノ−ルシリカゾル、触媒化成工業(株)製 オスカ
ルなどが市販されており、コロイド状アルミナとして
は、アルミナクリア−ゾル(川研ファインケミカル
(株)製)、アルミナゾル−100、同200、同52
0(日産化学(株)製)などを用いることができる。
【0016】本発明で用いるコロイド状金属酸化物種の
好ましい例を挙げると、コロイド状シリカ、コロイド状
アルミナであり、さらに好ましくはコロイド状シリカで
ある。これらのコロイド状金属酸化物は水および有機溶
剤分散のものを併用してもよい。コロイド状金属酸化物
は前記一般式(1)のオルガノアルコキシシランの加水
分解、縮合に用いる水として用いることもでき、この場
合コロイド状金属酸化物中の水分量がオルガノアルコキ
シシランの使用モル数に対して通常1〜2倍モルである
量添加される。
【0017】以上のコロイド状金属酸化物の組成物にお
ける割合は前記(a)のオルガノポリシロキサン100
重量部に対し固形分換算で通常10〜120重量部であ
り、好ましくは、20〜80重量部用いることができ
る。コロイド状金属酸化物の割合が10重量部未満の場
合、塗膜の硬度、耐熱性の向上効果は低く、120重量
部を越えると塗膜がもろくなり、また塗料の成膜性、保
存安定性が低下する場合がある。これらのコロイド状金
属酸化物は前記(a)オルガノポリシロキサンの合成
時、原料のオルガノアルコキシシランを加水分解、縮合
するときに共存させても、またオルガノアルコキシシラ
ンの加水分解、縮合後、添加してもよいが、前者の方法
で作製した組成物がコロイド状金属酸化物の分散性が良
好な場合があることからオルガノアルコキシシランの加
水分解、縮合時に共存させることが好ましい。
【0018】(c)成分の有機溶媒は各成分を均一に混
合させ、固形分、粘度を調整するとともにコ−ティング
時の乾燥速度、顔料配合時の分散安定性および保存安定
性を向上させる目的で選定、使用するものであり、乾
燥、硬化処理した後は揮発蒸発する性質を持つ有機物の
中から選ばれる。本発明の特徴のひとつである組成物中
の水分量の低減の目的から、使用される有機溶媒中の水
分量はできる限り低いことが要請され、通常、0.15
重量%以下の含水量、好ましくは0.05重量%以下、
特に好ましくは0.01重量%以下の含水量の有機溶媒
が使用される。そのような有機溶媒としては、例えば、
アルコ−ル類、芳香属炭化水素類、エ−テル類、ケトン
類、エステル類などが好適である。
【0019】アルコ−ル類としては例えば1価アルコ−
ルまたは2価アルコ−ルを挙げることができ、このうち
1価アルコ−ルとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アル
コ−ルが好ましい。これらアルコ−ル類の具体例として
は、メタノ−ル、エタノ−ル、n−プロピルアルコ−
ル、i−プロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、
i−ブチルアルコ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、エ
チレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレ
ングリコ−ル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テ
ル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレン
グリコ−ルモノメチルエ−テルなどを挙げることができ
る。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トル
エン、キシレン、などを、またエ−テル類としては、ジ
メトキシメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢
酸エチレングリコ−ルモノエチルエ−テルなどを、ケト
ン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソ
ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノンなどを、エステル類としては酢酸エチル、酢酸プロ
ピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクト
ンなどを挙げることができる。
【0020】本発明において、(c)有機溶媒は、前記
(a)オルガノポリシロキサンの固形分100重量部に
対して、通常200〜4500重量部、好ましくは、2
50〜4000重量部である。これら有機溶媒は単独で
使用することも、2種以上混合して使用することもでき
る。本発明の有機溶媒としては前記以外に、成分(a)
オルガノポリシロキサンの合成時、原料となるオルガノ
アルコキシシランの加水分解により副成するアルコ−ル
類および成分(b)のコロイド状金属酸化物の有機分散
媒を有機溶媒として用いることができる。本発明におい
て(a)〜(c)成分からなる分散液の調製における各
成分の配合、操作順序について以下説明する。成分
(a)、(b)、(c)の配合順序により本発明の本質
が変わることはないが、(b)成分のコロイド状金属酸
化物を成分(a)の合成時に併用することが好ましい、
これによりコロイド状金属酸化物の分散安定性が向上す
る場合がある。
【0021】本発明の(d)成分であるシリル基含有ビ
ニル系樹脂は、主鎖が炭素骨格のビニル系重合体からな
り、末端あるいは、側鎖にシラノ−ル基もしくは加水分
解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体
1分子中に少なくとも1個以上有するものであり、該シ
リル基の多くは、下記一般式(2):−Si(R23 -n
n(式中、Xは水酸基、アルコキシ基、アシロキシ
基、アミノ基、フェノキシ基、アルキルスルフィド基、
などの加水分解性基、R2は水素原子、炭素数1〜10
のアルキル基またはアラルキル基、nは1〜3の正の整
数である)で示される。ここでXのうちアルコキシ基と
してはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などを、
アシロキシ基としてはアセチル基、プロピオニル基など
を、アルキルスルフィド基としてはメチルスルフィド、
エチルスルフィド基などを挙げることができるが、好ま
しくは、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基などのアルコキシ基を挙げることができる。
【0022】また、R2としては、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のアルキ
ル基、フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリ−
ル基およびベンジル基、フェネチル基、アラルキル基を
挙げることができる。これらのなかで好ましい例を挙げ
ると、メチル基、エチル基、フェニル基である。
【0023】かかるシリル基含有ビニル系樹脂は、例え
ば、下記一般式(3): R3−Si(R23-nn(式
中、R2、Xおよびn は前記一般式(2)と同様であ
り、R3は例えばビニル、2−プロペニル、3−アクリ
ロキシプロピル、3−メタクリロキシプロピル、4−ビ
ニルフェニル、2−(4−ビニル)フェニルエチル、な
どの重合性2重結合を有する有機基である)で示される
シラン化合物とビニル系化合物を共重合することにより
製造することができる。ここでビニル系化合物としては
前記一般式(3)のシラン化合物との付加体が得られ
る限りとくに制限を受けるものではなく、例えば、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸およ
び無水マレイン酸などの酸無水物、グリシジル(メタ)
アクリレ−トなどのエポキシ化合物、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレ−ト、アミノエチルビニルエ−テ
ルなどのアミノ化合物、(メタ)アクリルアミド、クロ
トンアミド、イタコン酸アミド、マレイン酸ジアミドな
どのアミド化合物、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどから選ばれる1種以
上のビニル系化合物と前記一般式(3)のシラン化合物
とをラジカル発生化合物の存在下、一般的方法により共
重合することにより得ることができる。
【0024】これらビニル系化合物のなかで好ましい例
を挙げると、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類で
あり、さらに好ましくはメタクリル酸アルキルエステル
類、特に好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキ
シルなどを挙げることができる。このようにして製造さ
れるシリル基含有ビニル系樹脂中の前記一般式(3)の
シラン化合物の割合はSi元素換算で、通常、0.01
〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%であり、
0.01重量%未満では耐候性、密着性向上の効果は低
く、また20重量%を越えると組成物の保存安定性が低
下する場合がある。また、(d)成分のシリル基含有ビ
ニル系樹脂の示差熱分析法により求めたガラス転移温度
は通常−60℃〜150℃あるものを用いる。ガラス転
移温度が−60℃未満では充分な塗膜硬度が得られない
場合があり、一方150℃を越えると成膜性が低下する
場合がある。。また、(d)シリル基含有ビニル系樹脂
のポリスチレン換算重量平均分子量は、通常、5000
〜100,000である。重量平均分子量が5000未
満または100,000を超える場合には、得られる組
成物の粘度が塗装作業に適さない範囲になってしまう。
【0025】シリル基含有ビニル系樹脂の組成物中の割
合は(a)成分100重量部に対して20〜300重量
部、好ましくは50〜200重量部、さらに好ましくは
80〜150重量部であり、20重量部未満では耐水
性、耐アルカリ性が悪い場合があり、300重量部部を
越えると耐候性および塗膜硬度が低下する場合がある。
これら(d)成分のシリル基含有ビニル系樹脂は、1種
単独でも2種以上を混合しても使用することもできる。
本発明で用いるシリル基含有ビニル系樹脂は前述したよ
うに、水の共存下では分子中のシリル基上の基が容易に
加水分解、縮合反応することから、シリル基含有ビニル
系樹脂の水含有量は0.15重量%以下、好ましくは
0.05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以
下として用いる。また、シリル基含有ビニル系樹脂は必
要に応じて有機溶剤で希釈したり、保存安定性を高める
ため脱水剤を添加したものを用いることができる。その
ような有機溶剤としては組成物を均一に溶解し塗装条件
での加熱乾燥により除去できるものであり、水含有量が
通常0.15重量%以下、好ましくは0.05重量%以
下、特に好ましくは0.01重量%以下であるものが用
いられ、前記(c)成分の有機溶剤中から選定される。
【0026】本発明のコーティング組成物の水分量を
0.15重量%以下とするためには、(e)脱水剤を添
加することが好ましい。本発明で用いる(e)脱水剤
は、水との化学反応によりアルコ−ル類を生成する機構
で水を消費する反応性を保有し、常温で液状もしくは固
体状の特定の化合物の中から選ばれる。脱水剤として使
用できる特定の化合物としては一般式(4);R4 P
(OR14-P(式中、R1は前記一般式(1)と同じ
く、R4は鎖状、分岐状、または環状の炭素数1〜18
の1価または2価の有機基であり、Pは0、1、2のい
ずれかであり、Mは炭素原子またはケイ素原子である)
で示される化合物を挙げることができる。
【0027】一般式(4)で表される化合物の例を挙げ
ると、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻
酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、オ
ルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチ
ルなどのオルトカルボン酸アルキル類、アセトンジメチ
ルアセタ−ル、アセトンジエチルアセタ−ル、シクロヘ
キサノンジメチルアセタ−ル、シクロヘキサノンジエチ
ルアセタ−ルなどのケトンジアルキルアセタ−ル類、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの
アルコキシシラン類、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランなどの官能性アルコキシシラン類あげることが
できる。これらの中で好ましいものを挙げると、オルト
蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル、オ
ルト酢酸エチルなどのオルトカルボン酸アルキル類であ
る。
【0028】脱水剤の使用量は本発明の組成物中の水分
量が0.15重量%以下になる量、好ましくは0.05
重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下となる
量を添加する。なお、本発明において組成物中の水分量
の決定はカ−ルフィッシャ−法により決定したものを用
いる。組成物中の水分量が0.15重量%を越えると組
成物の高温、高濃度での保存安定性は著しく低下し、か
つ硬化促進剤を使用したときの可使時間も短くなる。一
方、多量の脱水剤の添加により組成物中の水分量を限り
なくゼロに近づけることはできるが、その場合、組成物
の固形分の割合が低下し、かつ一般的に高価な脱水剤の
使用量が増えることからコストが高くなるという問題が
生じる。具体的添加量は前記脱水剤が水との化学反応に
より脱水するため、組成物中の成分(a)〜(d)の残
存水分量に対して通常1倍モル以上、通常、(a)成分
のポリオルガノシロキサン100重量部に対して10〜
200重量部、好ましくは20〜100重量部である。
【0029】脱水剤の主たる作用は組成物中に含まれる
水分を低減することであるが、同様の目的で無水塩化カ
ルシウムなどの無機塩類や、ゼオライトなどの無機化合
物を添加した場合はむしろ組成物の保存安定性が低下す
ることから、本発明においての脱水剤としてはコ−ティ
ング組成物としての保存安定性を損なわないものに限定
される。
【0030】次に本発明の組成物の調製法について説明
する。各成分のうち(d)シリル基含有ビニル系樹脂は
水との反応により保存安定性を低下する性質を有するこ
とから、(d)シリル基含有ビニル系樹脂と混合するも
のは予め水分量を低水分量にしておく必要がある。ま
た、各成分を均一に配合するめにも、本発明において
は、通常、(a)オルガノポリシロキサン、(b)コロ
イド状金属酸化物および(c)有機溶媒からなる分散液
に(e)脱水剤を添加して水分量を0.15重量%以下
としたのち、(d)シリル基含有ビニル系樹脂の有機溶
媒希釈液を混合する順序で調整される。また、(b)コ
ロイド状金属酸化物の有機溶媒分散液は、予め十分に水
分量を低減しておけばどの段階で添加してもよいが、
(b)コロイド状金属酸化物の水分散液は(d)シリル
基含有ビニル系樹脂と直接混合することはできない。従
って、(b)コロイド状金属酸化物の水分散液は、予め
オルガノアルコキシシランと混合して、オルガノアルコ
キシシランの加水分解で水を消費させるか、脱水剤を添
加することにより、十分に水分量を低減させた後に
(d)シリル基含有ビニル系樹脂と混合するようにす
る。本発明では、(b)コロイド状金属酸化物は、
(a)オルガノポリシロキサンの合成時に添加すること
が好ましい。さらに、(e)脱水剤を(a)オルガノポ
リシロキサンに添加した後、最後に(d)シリル基含有
ビニル系樹脂を混合する。脱水剤を添加してから(d)
シリル基含有ビニル系樹脂を添加するまでの時間は、脱
水剤と水との反応速度と水分量に依存するが含水量が
0.15重量%以下の恒量値に到達するまで、通常室温
下では3時間以上、脱水反応を行わせることが好まし
い。また、(a)〜(d)の各成分それぞれに、(e)
脱水剤を添加しておき、各成分の水分量を0.15重量
%以下としてから各成分を混合することもできる。
【0031】本発明のコ−ティング用組成物における全
固形分濃度は、通常、10〜50重量%、好ましくは2
0〜40重量%であるようにして用いられる。全固形分
濃度が10重量%未満では固形分濃度が低すぎて得られ
る組成物をコ−ティングして得られる塗膜の耐薬品性、
耐候性などの諸特性が発現されない場合があり、一方、
50重量%を越えると粘度上昇により均一塗膜が得られ
ない場合がある。
【0032】本発明の組成物には、必要に応じて顔料な
どの充填剤を添加することが出来る。このような充填剤
は通常水、有機溶媒に不溶性のものであり、粒子状、板
状、繊維状、不定形の金属および合金ならびにこれらの
酸化物、水酸化物、硫化物、炭化物、窒化物などを挙げ
ることができる。具体例として、鉄、アルミニウム、ニ
ッケル、錫、亜鉛、鉛、クロムなどの金属およびこれら
を含む合金および、カ−ボンブラックやフェライト、シ
リカ、酸化チタン、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄、酸
化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化スズ、
酸化銅、亜酸化銅、などの金属酸化物、合成ムライト、
ケイ酸ジルコニア、チタン酸カリウムなどの複合酸化
物、水酸化アルミニウム、水酸化鉄などの金属水酸化
物、炭化珪素、炭化ほう素などの金属炭化物、窒化珪
素、窒化ほう素などの窒化物、硫化モリブテン、硫化
銅、硫化カドミニウム、硫化亜鉛などの金属硫化物など
を挙げることができる。
【0033】これら充填剤の平均粒子径または平均長さ
は、通常、0.01〜50μm、好ましくは、0.1〜
5μmであり、0.01μm未満では組成物の粘度が上
昇したり、隠ぺい性が不十分の場合がある、また50μ
mを越えると得られる塗膜の平滑性、塗膜の均一性が低
下する場合がある。充填剤中の割合は本発明の組成物の
全固形分量100重量部に対して、通常、20〜70重
量部であり、好ましくは、40〜60重量部である。充
填剤の使用量が20重量部未満では、充填剤添加により
期待される塗膜の機能化、例えば、色隠ぺい性、耐摩耗
性が不十分の場合があり、70重量部を越えると塗膜の
耐薬品性が低下したり、表面からの充填剤の剥離が起き
る場合がある為好ましくない。また、本発明の組成物に
対して主として着色などの意匠性向上を目的として染料
を充填剤として添加することもできる。
【0034】本発明の組成物は基材にコ−ティング後、
加熱処理することにより速やかに硬化塗膜とすることが
できるが、常温で乾燥することにより硬化塗膜とするこ
ともできる。本発明の組成物を常温での乾燥より速く硬
化させるには、乾燥温度を高めたり、硬化促進剤を使用
することもでき、特に比較的低い温度、もしくは短時間
で硬化させるためには硬化促進剤を併用することが効果
的である。ここで、硬化促進剤は塗装時に添加すること
が好ましい。
【0035】かかる硬化促進剤としては、組成物中に含
まれるアルコキシシランの加水分解、およびシラノ−ル
同士の縮合反応を加速する効果のある無機もしくは有機
化合物を挙げることができ、具体例としては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、などのアルカリ金属水酸化
物類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、トルエンスル
フォン酸などの無機および有機酸類、テトラメチルアン
モニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒド
ロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなど
の4級アンモニウム水酸化物類、アンモニア、トリエチ
ルアミン、トリブチルアミン、モルフォリン、ピリジ
ン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、エタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエ
タノ−ルアミンなどのアミン類、3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、N(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、な
どのアミノシラン類、また、(C492Sn(OCO
11232、(C492Sn(OCOCH=CHCO
OCH32、(C492Sn(OCOCH=CHCO
OC492、(C8172Sn(OCOC11232
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOCH32
(C8172Sn(OCOCH=CHCOOC
492、(C8172Sn(OCOCH=CHCOO
8172、Sn(OCOC8172、(C492
n(SCH2COO)、(C492Sn(SCH2CO
OC8172、(C817)2Sn(SCH2COO)、
(C8172Sn(SCH2CH2COO)、(C
8172Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH
2S)、(C8172Sn(SCH2COOCH2CH2
2OCOCH2S)、(C8172Sn(SCH2CH2
COOC8172、(C8172Sn(SCH2CH2
OOC12252、[(C492Sn(SCH2COO
817)]2 O、(C492Sn=S、(C8172
Sn=S、[C49Sn=S]2S、C817Sn(OC
OC11233、C81 7Sn(SCH2CH2COOC8
173、C817Sn(SCH2CH2COOC1225
3などの有機スズ化合物および(C492Sn=O、C
49SnO、(C8172Sn=O、C817SnOな
どの有機スズオキシドとテトラエトキシシラン、エチル
シリケ−ト−40(多摩化学(株)製)などのシリコン
アルコキシド、およびその縮合反応物との反応生成物、
さらに前記有機スズオキシドとマレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル
化合物との反応生成物などの有機スズ化合物を用いる事
ができる。
【0035】前記具体例の中で好ましいものを挙げると
有機スズ化合物である。硬化促進剤の組成物中の割合は
本発明の組成物100重量部(固形分換算)に対して通
常15重量部以下、好ましくは10重量部以下用いら
れ、通常前記成分(c)および水から選ばれる有機溶媒
により希釈して添加する。硬化促進剤の添加量の増大に
伴い硬化時間もしくは硬化温度を低減することができる
が15重量部を越える添加は通常組成物の増粘速度、ゲ
ル化速度を高める為、可使時間が短くなり好ましくな
い。なお、本発明の組成物には、基材に対する濡れ性を
さらに高める目的で、各種界面活性剤を添加してもよ
く、また、基材との密着性をさらに高める目的で、当業
界においてシランカップリング剤と呼ばれている前記以
外の有機珪素化合物や、チタンカップリング剤など、ま
た粘度、硬度の調節を目的のひとつとして当業界でシリ
コンワニスと呼ばれているシリコン樹脂、またこれら以
外公知の添加剤を添加することもできる。
【0036】本発明の組成物は、対象物である基材の表
面に刷毛、スプレ−、ディッピイング、ロ−ルコ−タ
−、フロ−コ−タ−などの塗装手段により、通常1回塗
りで厚さ2〜50μm程度、2〜3回の塗装で4〜15
0μm程度の塗膜を形成することができ、硬化温度は通
常、室温〜300℃程度、好ましくは80〜200℃の
温度で、硬化時間は通常、2分〜12時間程度、好まし
くは5分〜30分で加熱、乾燥することにより硬化塗膜
を形成することができる。
【0037】本発明の組成物をコ−ティングすることの
できる基材としては、ステンレス、アルミニウム、ガラ
ス、セラミックス、セメント、紙、プラスチックスなど
であり、これらは板状、粒子状、繊維状であってもよ
い。特に、本発明の組成物は各種無機酸化物と化学的に
結合可能なシラノ−ル基を含むことから無機酸化物との
密着性が良好であるという特徴を有し、このことから、
金属、ガラス、や窯業系基材、特にセメントを主材に木
チップ、アスベスト、ガラス繊維、有機ポリマー繊維な
どの各種補強用充填材を配合した住宅、ビル、トンネル
などの建築物内装用または外装用スレ−ト板などが基材
として好ましい。これらの各種基材は直接本発明の組成
物を塗装できるが塗膜の外観、密着性、発泡、塗れ性な
ど基材表面に由来する問題を最小限にし、コ−ティング
剤の性能を最大限に発揮するため、各種プライマ−、ま
たはシ−ラ−を予め塗装した基材を用いてもよい。
【0038】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中の部および%は特に断らない
限り重量規準である。実施例中、固形分量を示す%は2
00℃で1時間加熱乾燥後の固形分重量%として求めた
ものであり、含水量はカ−ルフィッシャ−法により決定
した。
【0039】以下に本実施例における組成物および塗膜
評価を記す。外観 目視により塗膜の透明性と平滑性を評価し良好
なものを○、不透明、平滑性不良のものを×とした。密着性 JIS K5400による碁盤目テスト後、テ
−プ剥離試験で残存膜の個数と全個数との比が100/
100の場合○としそれ以外を×として判定した。硬度 JIS K5400により評価した。耐候性 JIS K5400により、サンシャイン
ウェザ−メ−タ−で2000時間照射試験を実施し、塗
膜の外観に変化のないものを○、顕著な変化があるもの
を×と判定した。保存安定性 ガラス容器中に密栓した試料を50℃の恒
温槽に一か月静置、保管後、目視によりゲル化の有無を
判定し、ゲル化していない物については、ブルックフィ
−ルド型回転粘度計で粘度を測定し、増粘率;[(一か
月保管後の粘度/初期粘度)−1]×100が10%未
満のものを◎、10%以上50%未満を○、50%以上
100%未満を△、100%以上もしくはゲル化、のも
のを×の基準で判定した。
【0040】耐水性 水道水に常温で60日間浸漬し、
塗膜の異常がないものを○、変色、ふくれなどの異常の
あるものを×と判定した。耐熱性 試験片を雰囲気温度200℃の熱風乾燥機中に
24時間保管後、塗膜外観に異常のないものを○、変
色、クラックなどの異常のあるものを×と判定した。耐酸性 10%の硫酸水溶液0.5mlを塗膜上に置
き、ガラスシャ−レで蓋をして24時間静置し、水洗乾
燥後の塗膜外観に異常のないものを○、変色、ふくれな
どの異常のあるものを×と判定した。耐アルカリ性 3%のカセイソ−ダ水溶液0.5mlを塗膜
上に置き、ガラスシャ−レで蓋をして24時間静置し、
水洗乾燥後の塗膜外観に異常のないものを○、変色、ふ
くれなどの異常のあるものを×と判定した。可使時間 可使時間は、ポリエチレン製容器中で硬化促
進剤を添加して密栓し、40℃の恒温槽で静置後、増粘
率が50%を越える時間/hrを評価した。
【0041】参考例1 (1)(a)〜(c)成分からなる分散液(A)の調製 表1のA1〜A9に示す配合でオルガノアルコキシシラ
ン、コロイド状金属酸化物およびイオン交換水を還流冷
却器付きガラス製フラスコに仕込み、60℃で4.5時
間加熱攪拌後、室温まで冷却し、これに有機溶媒を添加
して分散液(A)を得た。表1中、コロイド状金属酸化
物は次のものを使用した。 No1 メタノ−ルシリカゾル(日産化学(株)製、固
形分30%、媒体;メタノ−ル) No2 スノ−テックス−O(日産化学(株)製、固形
分20%、媒体;水) No3 アルミナゾル−520(日産化学(株)製、固
形分20%、媒体;水) 表1中、 有機溶媒としては以下のものを使用した。 No1 ブチルセロソルブ No2 キシレン No3 イソプロピルアルコ−ル なお、A1〜A4およびA6〜A9は、(a)〜(c)
成分すべてを一括で仕込み、A5はコロイド状金属酸化
物を後添加した。
【0042】
【表1】
【0043】(2)成分(d)シリル基含有ビニル系樹
脂の合成 表2のB1〜B5に示す配合比で各種ビニル系モノマ
−、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランお
よびキシレンを混合し、これに重合開始剤として2,
2’−アゾイソブチロニトリルを加え、窒素雰囲気下、
60℃で加熱攪拌することにより、それぞれ固形分50
%のシリル基含有ビニル系樹脂を合成した。
【0044】
【表2】
【0045】実施例1〜9および比較例1〜4 表3に示す配合比で参考例1で得られた分散液に対して
脱水剤(e)をポリエチレン容器中攪拌しながら混合後
室温で24時間静置し含水量が恒量値に到達したことを
確認後、成分(d)を混合攪拌することによりコーティ
ング用組成物を調製した。得られた各組成物の各性能を
評価した。結果は表3および表4に示す。表中、各成分
としては以下のものを使用した。 脱水剤 No1 オルト蟻酸メチル No2 オルト酢酸エチル No3 シクロヘキサノンジメチルアセタ−ル No4 テトラエトキシシラン 成分d B4 ゼムラック 鐘淵化学工業製(トルエンで固形
分25%に希釈硬化剤 No1 オクチルスズトリス(オクチルオキシカルボニ
ルエチルチオラ−ト) No2 ジブチルスズジラウレ−ト No3 オクチルスズトリスラウレ−ト
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】実施例10〜18および比較例5〜8 実施例1〜9および比較例1〜4で得られた各組成物
に、さらに表5に示す充填剤を配合し、得られた組成物
の保存安定性を測定した。結果を表5に示す。ここで、
充填剤としては平均粒子径0.8μmの酸化チタン、ウ
イスカ−状チタン酸カリウムおよび平均粒子径2.3μ
mのシリカを用い、ボ−ルミルを用いて分散させた。得
られた各組成物の各性能を評価した。結果は表5および
表6に示す。表中、硬化剤としては以下のものを使用し
た。 No1 オクチルスズトリス(オクチルオキシカルボニ
ルエチルチオラ−ト) No2 ジブチルスズジラウレ−ト No3 オクチルスズトリスラウレ−ト なお、塗膜性能評価の為の試験片作製は塗装機としてエ
アスプレ−を用い基材のアルミニウム板(JIS H4
000 A1050P)上に膜厚5μmで塗膜形成後、
170℃で15分乾燥することにより行った。本実施例
においては前記表5の実施例10〜18の組成物の乾燥
塗膜の性能および硬化剤併用時の可使時間について評価
した結果を表6に示す。塗膜性能評価の為の試験片作製
は塗装機としてアプリケ−タ(100μm)を用い基材
のアルミニウム板(JIS H4000 A1050
P)上に膜厚20μmで塗膜形成後、170℃で15分
乾燥することにより行った。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】本発明は種々の基材上へ塗装、乾燥処理
することにより、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性、
密着性、耐摩耗性に優れ、高硬度の平滑な塗膜を形成す
ることができ、かつ、高温、高濃度で長期間の優れた保
存安定性を有するコ−ティング組成物を提供するもので
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式(1)RSi(ORl3
    (式中、Rは炭素数1〜8の有機基、Rlは炭素数1〜
    5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)
    で表されるオルガノアルコキシシランの加水分解物また
    はその部分縮合物であるオルガノポリシロキサンを固形
    分換算で100重量部、(b)コロイド状金属酸化物を
    固形分換算で10〜120重量部、(c)有機溶媒20
    0〜4500重量部および(d)水酸基または加水分解
    性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体1
    分子中に少なくとも1個有するシリル基含有ビニル系樹
    脂20〜300重量部を含有し、水分量が0.15重量
    %以下であることを特徴とするコ−ティング組成物。
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