JP2924018B2 - コーティング用組成物 - Google Patents

コーティング用組成物

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JP2924018B2
JP2924018B2 JP1303174A JP30317489A JP2924018B2 JP 2924018 B2 JP2924018 B2 JP 2924018B2 JP 1303174 A JP1303174 A JP 1303174A JP 30317489 A JP30317489 A JP 30317489A JP 2924018 B2 JP2924018 B2 JP 2924018B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、コーティング用組成物に関し、さらに詳細
にはセメント、モルタルおよびその他の無機窯業系基
材、ステンレスおよびアルミニウムなどの金属、さらに
はガラス、プラスチックなどの製品の表面に、耐水性、
耐薬品性、耐クラック性、耐熱性撥水性、耐候性および
密着性に優れた塗膜を形成するために好適なコーティン
グ用組成物に関する。
〔従来の技術〕
近年、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐クラック性、耐
熱性、撥水性および各種基材との密着性に優れた塗膜を
形成することが可能なコーティング用組成物が求められ
ている。
このような要求の一部を満たすコーティング用組成物
として、オルガノトリアルコキシシランおよびその部分
縮合物とコロイダルシリカとの分散液ならびにシリコー
ン変性アクリル樹脂からなる組成物(特開昭60−135465
号公報)、(a)オルガノアルコキシシラン、(b)一
般式Zr(OR′)で表されるジルコニウム化合物、一般
式Ti(OR′)で表されるチタン化合物およびこれらの
加水分解もしくは部分重縮合物から選ばれる少なくとも
1種、ならびに(c)有機溶剤からなる組成物(特開昭
63−81176号公報)などが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記特開昭60−135465号公報に記載さ
れているコーティング用組成物を使用して塗膜を形成さ
せても、紫外線により塗膜の光沢の低下や変色が生じる
という問題点を有しており、また前記特開昭63−81176
号公報に記載されているコーティング用組成物を使用し
て塗膜を形成させた場合には、紫外線による塗膜の光沢
の低下や変色がないものの、温水浸漬や乾湿サイクル試
験において塗膜にクラックが発生するという問題点を有
している。
本発明は、前記従来の技術的課題を背景になされたも
ので、耐水性、耐薬品性、耐クラック性、耐熱性、撥水
性、耐候性および各種基材との密着性に優れた塗膜を形
成させることのできるコーティング用組成物を提供する
ことを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、(a)一般式RSi(OR′)(式中、Rは
炭素数1〜8の有機基、R′は炭素数1〜5のアルキル
基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表されるオ
ルガノシラン、 (b)一般式R2Si(OR′)(式中、RおよびR′は前
記に同じ)で表されるオルガノシラン、 (c)一般式Zr(OR″)、Ti(OR″)およびAl(O
R″)(式中、R″は炭素数2〜5のアルキル基を示
す)の群から選ばれた少なくとも1種の金属アルコレー
ト、該金属アルコレートとβ−ジケトン類および/また
はβ−ケトエステル類との反応で得られるキレート化合
物、ならびに該キレート化合物を水と反応させて得られ
る部分的加水分解物から選ばれた少なくとも1種、 (d)親水性有機溶媒、および (e)水 を混合し、上記(a)成分と(b)成分とを共縮合させ
てなることを特徴とするコーティング用組成物を提供す
るものである。
次に、本発明の組成物を構成要件別に記述する。
(a)成分 この(a)オルガノシラン中のRは、炭素数1〜8の
有機基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基などのアルキル基、そのほかγ−
クロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプロ
ピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリル
オキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニ
ル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−ア
ミノプロピル基などが挙げられる。
また、(a)オルガノシラン中のR′は、炭素数1〜
5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル
基、アセチル基などが挙げられる。
これらの(a)オルガノシランの具体例としては、メ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルト
リエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、
i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシ
ラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタ
クリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタク
リルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル
トリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエ
チルトリエトキシシランなどを挙げることができるが、
好ましくはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシランなどである。
これらの(a)オルガノシランは、1種単独で使用す
ることも、または2種以上を併用することもできる。
(b)成分 (b)一般式R2Si(OR′)で表されるオルガノシラ
ン中のRは、前記(a)オルガノシラン中のRと、また
(b)オルガノシラン中のR′は、前記(a)オルガノ
シラン中のR′と同様である。
これらの(b)オルガノシランの具体例としては、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロ
ピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシ
ラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランどが挙
げられ、好ましくはジメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシランである。
これらの(b)成分は、1種単独で使用することも、
また2種以上を併用することもできる。
(b)成分の組成物中における配合割合は、(a)成
分100重量部に対して、通常、5〜70重量部、好ましく
は20〜50重量部であり、5重量部未満では得られる塗膜
の耐クラック性を向上させることが困難であり、一方70
重量部を超えると得られる塗膜の硬度が充分でなくな
る。
(c)成分 金属アルコレートとしては、一般式Zr(OR″)、Ti
(OR″)およびAr(OR″)で表される化合物の少な
くとも1種を挙げることができる。
この(c)金属アルコレート中のR″は、炭素数2〜
5のアルキル基、例えばエチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブ
チル基、n−ペンチル基などが挙げられる。
これらの(c)金属アルコレートの具体例としては、
テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシ
ジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、
テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブ
トキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウ
ム、テトラ−n−ペントキシジルコニウム、テトラ−i
−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テ
トラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラ
ステアリルオキシチタン、トリエトキシアルミニウム、
トリ−i−プロポキシアルミニウム、モノ−sec−ブト
キシ−プロポキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシ
アルミニウムなどを挙げることができる。
また、これらの(c)金属アルコレートは、例えば一
般式R1COCH2COR2で表されるβ−ジケトン類またはβ−
ケトエステル類(以下、単に「β−ジケトン類および/
またはβ−ケトエステル類」という)とを反応させて得
られる前記金属アルコレートとβ−ジケトン類および/
またはβ−ケトエステル類とが配位結合を形成したキレ
ート化合物としても用いることができる。
このβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル
類中のR1は、炭素数1〜5のアルキル基、例えばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−
ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などであり、R
2はR1と同様の炭素数1〜5のアルキル基のほか、炭素
数1〜4のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキ
シ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。
このβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル
類の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メ
チル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、
アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、
アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、
2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5
−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノ
ナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙
げることができる。
これらのうち、特にアセト酢酸エチルおよびアセチル
アセトンが好ましい。
これらのβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエス
テル類は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることもできる。
このβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル
類は、前記金属アルコレート1モルに対して好ましくは
0.8〜2.5モル、特に好ましくは1〜1.5モルの割合で使
用される。
このキレート化合物の具体例としては、エチルアセト
アセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニ
ウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム
モノアセチルアセトネート、ビス(エチルアセトアセテ
ート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、
環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、ジ−i
−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタンなど
を挙げることができ、特にエチルアセトアセテートアル
ミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エ
チルアセトアセテート)が好ましい。
さらに、(c)成分としては、これらのキレート化合
物を水と反応させて部分的加水分解物として用いてもよ
い。
この水は、前記キレート化合物1モルに対して好まし
くは0.8〜3モル、さらに好ましくは1〜2モルの割合
で使用される。
これらの(c)成分のうち、(a)成分と(b)成分
の共縮合性と得られる組成物の保存安定性の点から、キ
レート化合物が好ましい。
なお、(c)成分の(b)成分に対する割合は、
(b)成分中のケイ素原子1モルに対して好ましくは0.
001〜1モル、さらに好ましくは0.01〜0.5モルである。
この割合が0.001モル未満では(a)成分と(b)成
分の共縮合体の生成が不充分となりやすく、一方1モル
を超えると組成物の保存安定性が悪くなりやすい。
(d)成分 (d)成分の新水性有機溶媒としては、アルコール類
または沸点が120℃以下の低沸点親水性有機溶剤を挙げ
ることができる。
アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは
2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アル
コールとして炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好
ましい。
これらのアルコール類の具体例としては、メタノー
ル、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルア
ルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレン
グリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができ
る。また、沸点が120℃以下の低沸点親水性有機溶剤と
しては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、テトラ
ヒドロフランなどを挙げることができる。
これらの(d)成分のうち、好ましくはi−プロピル
アルコール、sec−ブチルアルコール、n−プロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコー
ル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどの
アルコール類であり、特に好ましくはi−プロピルアル
コールおよび酢酸エチレングリコールモノエチルエーテ
ルである。
これらの(d)成分は、1種単独で使用することも、
また2種以上を併用することもできる。
(d)成分の使用量は、組成物の全固形分濃度が、好
ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜35重量%と
なる量であり、10重量%未満では固形分濃度が薄すぎて
得られる組成物をコーティングに供することにより形成
される塗膜の耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性などの
諸特性が発現されない場合があり、また形成される塗膜
にピンホールが発生する場合があり、一方50重量%を超
えると固形分濃度が高すぎて組成物の保存安定性が悪化
したり、組成物をコーティングに供しても均一な塗膜の
形成が困難となるなどの弊害が生起する場合がある。
(e)成分 この(e)成分である水の組成物における使用割合
は、(a)成分1モルに対し、通常、0.5〜3モル、好
ましくは1.0〜2.0モル、(d)成分のオルガノシランに
対し0.5〜3モル、好ましくは1.0〜2.0モルであり、い
ずれも0.5モル未満では組成物を基板に塗布し加熱乾燥
した際、硬化が不充分で充分な表面硬度が得られ難く、
一方3モルを超えると組成物を保管する際、保存安定性
が悪化しやすい。
なお、本発明の組成物には、得られる塗膜の透明性を
保持しながら硬度を高めるために、上記(a)〜(e)
成分以外に、さらに(f)コロイド状シリカやコロイド
状アルミナを配合することもできる。
このコロイド状シリカとは、例えば高純度の無水ケイ
酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通
常、平均粒径が5〜30mμ、好ましくは10〜20mμ、固形
分濃度が10〜40重量%程度のものである。
このような、コロイド状シリカとしては、例えば日産
化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプ
ロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカ
ルなどが挙げられる。
このコロイド状シリカは、固形分換算で、通常、
(a)成分と(b)成分の固形分総量の5〜40重量%、
好ましくは5〜10重量%使用される。
また、コロイド状アルミナとしては、日産化学工業
(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファイ
ンケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナ
ゾル10、同132などが挙げられる。
これらのコロイド状アルミナは、固形分換算で、通
常、(a)成分と(b)成分の固形分総量の3〜15重量
%、好ましくは5〜10重量%使用される。
また、本発明の組成物をより速く硬化させるにあたっ
ては、硬化条件により硬化促進剤を使用してもよく、比
較的低い温度で硬化させるためには、硬化促進剤を併用
する方が効果的である。
この硬化促進剤としては、ナフテン酸、オクチル酸、
亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属
塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、p−トルエンス
ルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミ
ン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレペンタミン、ピペリジ
ン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノール
アミン、トリエチルアミン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノ
プロピルトリメトキシシランなどのアミン化合物; (C4H92Sn(OCOC11H23、 (C4H92Sn(OCOCH=CHCOOCH3、 (C4H92Sn(OCOCH=CHCOOC4H9、 (C8H172Sn(OCOC11H23、 (C8H172Sn(OCOCH=CHCOOCH3、 (C8H172Sn(OCOCH=CHCOOC4H9、 (C8H172Sn(OCOCH=CHCOOC8H17、 Sn(OCOCC8H17、(C4H92Sn(SCH2COO)、 (C4H92Sn(SCH2COOC8H17、 (C8H172Sn(SCH2COO)、 (C8H172Sn(SCH2CH2COO)、 (C8H172Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S)、 (C8H172Sn(SCH2COOCH2CH2CH2CH2OCOCH2S)、 (C8H172Sn(SCH2COOC8H17、 (C8H172Sn(SCH2COOC12H25などの有機スズ化合物; (C4H92SnO、(C8H172SnO、(C4H9)SnO、 (C8H17)SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケ
ート、エチルシリケート40、マレイン酸ジメチル、マレ
イン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化
合物との反応生成物からなる有機スズ化合物などが使用
される。
これらの硬化促進剤の組成物中における割合は、固形
分100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましく
は0.5〜10重量部用いられる。
なお、本発明の組成物には、各種界面活性剤、前記以
外のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、染
料、顔料、分散剤、増粘剤、各種無機充填剤などを添加
することもできる。
特に、無機充填剤として、二酸化マンガンや二酸化マ
ンガン/三酸化クロム/酸化銅の焼結体などを添加する
と、得られる塗膜の遠赤外線放射率を高めることができ
る。
さらに、本発明の組成物中には、前記(d)成分以外
の有機溶剤を含有させることができる。
この有機溶剤としては、前記(a)〜(c)成分と混
合した際に、沈澱を生起しない溶剤であればどのよのよ
うなものでもよく、一般の塗料、コーティング剤などに
用いられる脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロ
ゲン化炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル
類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエ
ーテル類などを挙げることができ、この具体例として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミルな
どである。これらの有機溶剤は、本発明の組成物の固形
分換算濃度が、通常、20〜40重量%となるように使用す
る。
本発明の組成物を調製するに際しては、前記成分を一
度に混合してもよいし、あるいは逐次混合してもよい
が、(a)〜(e)の各成分を混合したのち、40〜80℃
で1〜10時間、加熱および撹拌することにより、(a)
成分と(b)成分の共縮合物が得られる。
本発明の組成物は、対象物である基材の表面に刷毛、
スプレー、ディッピングなどの塗装手段により、1回塗
りで厚さ1〜20μm程度、2〜3回の塗装で厚さ2〜40
μm程度の塗膜を形成することができ、80〜300℃程度
の温度で10〜60分間程度加熱し、乾燥することにより硬
い塗膜を形成することが可能である。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明す
るが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、
実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準で
ある。
参考例1(ジルコニウムキレート化合物の調製) 撹拌機を備えた反応器に、テトラブトキシジルコニウ
ム100部、アセト酢酸エチル35部を加え、60℃で30分間
撹拌してジルコニウムキレート化合物(キレート化合物
3)を得た。
参考例2(ジルコニウムキレート化合物の部分的加水分
解物の調製) 撹拌機を備えた反応器に、テトラブトキシジルコニウ
ム100部、アセト酢酸エチル35部を加え、60℃で30分間
撹拌してジルコニウムキレート化合物を得た。これに水
5%を含有するi−プロピルアルコール溶液95部を加え
て、さらに30分間撹拌してジルコニウムキレート化合物
の部分的加水分解物(キレート化合物4)を得た。
実施例1 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメ
トキシシラン100部、ジメチルジメトキシシラン30部、
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレー
ト(川研ファインケミカル(株)製、ALCH)4部、i−
プロピルアルコール125部および水28部を加え、60℃に
加熱して5時間反応させ、組成物(イ)を得た。
実施例2 実施例1のエチルアセトアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート4部の代わりに、ジ−i−プロポキシ・
ビス(アセチルアセテート)チタン(日本曹達(株)
製、TAA)4部を用いた以外は、実施例1と同様にして
組成物(ロ)を得た。
実施例3 実施例1のエチルアセトアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート4部の代わりに、参考例1のキレート化
合物3を4部用いた以外は、実施例1と同様にして組成
物(ハ)を得た。
実施例4 実施例1のエチルアセトアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート4部の代わりに、テトラブトキシジルコ
ニウム4部を用いた以外は、実施例1と同様にして組成
物(ニ)を得た。
実施例5 実施例1のエチルアセトアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート4部の代わりに、参考例2のキレート化
合物4を4部用いた以外は、実施例1と同様にして組成
物(ホ)を得た。
比較例1〜3 実施例1において、エチルアセトアセテートアルミニ
ウムジイソプロピレートを用いない例を比較例1、
(b)オルガノシランおよび(c)成分を用いない例を
比較例2、(b)オルガノシランを用いず、(c)成分
を添加した例を比較例3として示す。
比較例4 メチルトリエトキシシラン20部、テトラブトキシジル
コニウム6部、i−プロピルアルコール44部、アルミナ
(平均粒径=1μm)30部、酢酸0.3部およびシランカ
ップリング剤(東芝シリコーン(株)製、TSL8331)0.0
5部を撹拌機に投入し、1,500rpm/分の回転速度で60分間
撹拌し、比較例4の組成物を得た。
比較例5 還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリエ
トキシシラン100部、メタノールシリカゾル(日産化学
工業(株)製)80部、水25部を加え、60℃に加熱して3
時間反応させ、オルガノポリシロキサンを得た。
さらに、このオルガノポリシロキサン100部、トルエ
ン10部、i−プロピルアルコール50部、シリル基含有ア
クリル重合体(カネカゼムラック、鐘淵化学工業(株)
製)20部を加え、室温で24時間撹拌し、比較例5の組成
物を得た。
試験例1 実施例1〜5および比較例1〜5で得られた組成物
を、保存安定性試験として、ガラス製ビン中で常温2ヶ
月間密栓保存し、目線によりゲル化の有無を判定した。
結果を第1表に示す。
試験例2 主剤である実施例1〜5および比較例1〜5で得られ
た組成物99%に、硬化剤としてγ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン1%を室温で混合した。
次に、JISスレート板〔JIS A5403(F)〕に、無機質
系コーティング材〔日本合成ゴム(現ジェイエスアー
ル)(株)製、グラスカE1102〕を乾燥膜厚で40μm塗
布し、160℃で10分間加熱処理し試験片を作製した。
この試験片上に、前記各主剤と硬化剤の混合物を乾燥
膜厚で5μm塗布し、160℃で10分間加熱処理した。
このようにして得られた試験片を用い、以下のとおり
評価を行った。結果を第1図に示す。
硬度;JIS K5400による鉛筆硬度に拠った。
光沢;光沢計(スガ試験機(株)製)を用い、60゜光
沢を測定した。
耐温水性;温度60℃の温水中に連続して72時間浸漬し
たのち、取り出して塗膜の状態を観察した。
耐水性;流水中に常温で30日間浸漬したのち、取り出
して塗膜の状態を観察した。
耐候性;JIS K5400により、サンシャインウエザーメー
ターで1,000時間照射試験を実施し、塗膜の状態を観察
した。
*1)メチルトリメトキシシラン *2)ジメチルジメトキシシラン *3)エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレート(川研ファインケミカル(株)製、ALCH) *4)ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトナ
ト)チタン(日本曹達(株)製、TAA) *5)参考例1で調製されたもの *6)テトラブトキシジルコニウム *7)参考例2により調製されたもの *8)i−プロピルアルコール *9)東芝シリコーン(株)製、TSL8331 *10)日産化学工業(株)製 *11)鐘淵化学工業(株)製、シリル基含有アクリル重
合体 *12)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 〔発明の効果〕 本発明のコーティング用組成物は、セメント、モルタ
ルおよびその他の無機窯業系基材、ステンレスおよびア
ルミニウムなどの金属類、さらにはガラス、プラスチッ
クなどの製品の表面に、耐水性、耐薬品性、耐クラック
性、耐熱性、撥水性、耐候性および密着性に優れた膜を
作ることができる。
また、硬化促進剤を混合しない場合は、長時間ゲル化
せずに安定性を保持することがきるため、その工業的利
用価値は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−16868(JP,A) 特開 昭56−104973(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 183/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式RSi(OR′)(式中、Rは
    炭素数1〜8の有機基、R′は炭素数1〜5のアルキル
    基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表されるオ
    ルガノシラン、 (b)一般式R2Si(OR′)(式中、RおよびR′は前
    記に同じ)で表されるオルガノシラン、 (c)一般式Zr(OR″)、Ti(OR″)およびAl(O
    R″)(式中、R″は炭素数2〜5のアルキル基を示
    す。)の群から選ばれた少なくとも1種の金属アルコレ
    ート、該金属アルコレートとβ−ジケトン類および/ま
    たはβ−ケトエステル類との反応で得られるキレート化
    合物、ならびに該キレート化合物を水と反応させて得ら
    れる部分的加水分解物から選ばれた少なくとも1種、 (d)親水性有機溶媒、および (e)水 を混合し、上記(a)成分と(b)成分とを共縮合させ
    てなることを特徴とするコーティング用組成物。
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