JP2011052202A - コーティング組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】貯蔵安定性に優れており、かつ効率よく塗装面に撥水性および防汚性に優れ、かつ艶のある美しい塗装面を造り出すことができるコーティング組成物及びその製造方法の提供。
【解決手段】脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤をベースとし、前記ベース中に、(a)水分硬化性シリコーン樹脂と、(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを含有する。
【選択図】なし
【解決手段】脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤をベースとし、前記ベース中に、(a)水分硬化性シリコーン樹脂と、(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば自動車塗装面などに適用されるコーティング組成物及びその製造方法に関する。詳細には貯蔵安定性に優れており、かつ効率よく塗装面に撥水性および防汚性に優れ、かつ艶のある美しい塗装面を造り出すことができるコーティング組成物及びその製造方法に関する。
従来、例えば自動車塗装面に保護被膜を形成するコーティング組成物としては、表面を保護するワックスおよび樹脂から成る被膜成分と、艶出し効果をもたらすシリコーンオイル成分と、界面活性剤および水などの分散成分を含有するものや(例えば特許文献1参照)、空気中の水分により硬化する成分を含有するものが知られている(例えば特許文献2参照)。
しかし、特許文献1の組成物における艶出し成分であるシリコーンオイルは定着性に乏しく、長期にわたって光沢などの美観を維持することが困難であった。また、該組成物において被膜成分として含まれるワックスには、美観を著しく損なう水アカの主成分である煤煙、排気ガスなどの汚れが付着しやすく、また一旦付着した汚れは落とし難く、このため、美観維持のために定期的なクリーナーワックスまたは水アカ落としクリーナなどによる煩雑なクリーニング作業が必要であった。
一方、特許文献2の組成物は、長期にわたって美観を維持できるものの、硬化前に施工面に雨や雪などが降りかかって施工面が水で濡れると、完全な保護被膜を形成することができないという問題があった。このため、施工現場においては、コーティング組成物を施工後、数時間屋内で放置しなければならず、次の作業までの待ち時間が長く、作業効率の悪化を招いていた。
そこで、本発明者らは、上記技術的課題に鑑み、鋭意研究の結果、その解決のための新たな手段として、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系容剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤をベースとし、前記ベース中に、(a)水分硬化性シリコーン樹脂と、(b)反応促進剤と、(c)少なくとも分子中に1つ以上のシラノール基を有する反応性シリコーンオイルとを含有することを特徴とするコーティング組成物を提案している(特許文献3参照)。
このコーティング組成物は、塗装表面の美観をより簡単なメンテナンスで維持もしくは回復したいという市場ニーズに的確に対応するものであり、効率よく塗装面に撥水性および防汚性に優れ、かつ艶のある美しい塗装面を造りだすことができ、水アカが付着しても、水洗いなどの簡単な作業で除去することができるという効果を奏するものである。
本発明者らは、上記コーティング組成物の研究開発を通じて、該組成物中に微量に含まれる水分によって水分硬化性シリコーン樹脂の加水分解、縮合反応が進行してしまい、このため、使用時には水分硬化性シリコーン樹脂の反応が効果的に進行せず、均質な硬質被膜が形成できなかったり、十分な防汚性や硬度を有する硬質被膜が形成できなかったりするなどの不都合が生じる恐れがあることを確認した。
上記知見に基づき、本発明者らは、硬質被膜の形成に悪影響を与えることがない組成物中の水分量、そのような水分量に留めるための手段につき、鋭意検討の結果、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち本発明は、貯蔵安定性に優れており、かつ効率よく塗装面に撥水性および防汚性に優れ、かつ艶のある美しい塗装面を造り出すことができるコーティング組成物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
また本発明の別の目的は、該組成物を塗装面に塗布し拭取る一連の作業の過程で塗装表面の汚れを確実に除去することができるコーティング組成物を提供することである。
上記目的を達成するため、請求項1〜13に記載の発明は、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系容剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤をベースとし、前記ベース中に、
(a)水分硬化性シリコーン樹脂と、
(b)反応促進剤と、
(c)水分除去剤と、
を含有することを特徴とするコーティング組成物をその要旨とした。
(a)水分硬化性シリコーン樹脂と、
(b)反応促進剤と、
(c)水分除去剤と、
を含有することを特徴とするコーティング組成物をその要旨とした。
請求項14〜16に記載の発明にあっては、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系容剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤からなるベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂を配合することを特徴とするコーティング組成物の製造方法をその要旨とした。
本発明のコーティング組成物にあっては、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択される1種若しくは2種以上の有機溶剤からなるベース中に、(a)水分硬化性シリコーン樹脂と(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを含有することから、該組成物中に含まれる水分が効率的かつ確実に除去されるため、該組成物中に含まれる水分による(a)成分の加水分解、縮合反応を効果的に抑制でき、貯蔵安定性に優れる。
本発明者等は、本発明の組成物において、上述の(a)成分、(b)成分及び(c)成分をベースに配合する順序によって異なる組成が生ずることを発見した。すなわち、ベース中には微量の水分が含まれている。このため、ベース中に(a)成分、(b)成分及び(c)成分を一度に配合した組成物の場合には、(c)成分によってベース中の水分の除去が行われるものの、水分と接触した(a)成分については反応が進行し、該組成物中には(a)成分の加水分解、縮合反応物が存在することになる。この結果、使用時における均質な硬質被膜の形成に悪影響を及ぼす恐れがある。
そこで、本発明者等は、ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂を配合する、という本発明の組成物の製造方法を提案した。この方法によれば、ベースに配合された(c)成分がベース中に含まれる水分を除去するので、その後に配合される(a)成分がベース中の水分と反応することがなく、(a)成分の加水分解、縮合反応を効果的に抑制でき、優れた貯蔵安定性を有する組成物を得ることができる。
以下、本発明のコーティング組成物(以下、単に組成物という)を更に詳しく説明する。本発明の組成物は、例えば自動車の塗装面などに適用されるものであり、該組成物中の成分を溶解または分散させて均一なコーティング被膜を形成させるベースとして、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系容剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤を使用している。
このような有機溶剤として、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、ミネラルスピリットなどの石油系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、HFE、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテル、メチルノナフルオロイソブチルエーテルなどのフッ素系溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
本発明の組成物は、上記有機溶剤からなるベース中に、(a)水分硬化性シリコーン樹脂と(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを含有している。
(a)成分をなす水分硬化性シリコーン樹脂としては、例えぱ分子末端がSi−ORで表されるアルコキシシリル基で封鎖された、比較的分子量の低いシリコーンアルコキシオリゴマーであり、後述する(b)成分である反応促進剤の存在下で、空気中の水分によリアルコキシシリル基が加水分解によりシラノール基(Si−OH)を生じ、そのシラノール基同士が縮合してシロキサン結合(Si−O−Si)を形成するものを性質を持つものを好ましいものとして挙げることができる。
このような性質を特つ水分硬化性シリコーン樹脂は、具休的には、下記平均組成式で示される。
RmSi(OR’)nO(4-m-n)/2
上記式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキル基およびアリール基から選択された1種あるいは2種以上の基であり、R’は水素原子および炭素原子数1〜4のエーテル結合を有するアルキル基から選択された1種あるいは2種以上の基であり、mおよびnは下記関係式を満たす数である。
0.5≦m≦1.8、0.01≦n≦2.5および1≦m+n≦3
上記式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキル基およびアリール基から選択された1種あるいは2種以上の基であり、R’は水素原子および炭素原子数1〜4のエーテル結合を有するアルキル基から選択された1種あるいは2種以上の基であり、mおよびnは下記関係式を満たす数である。
0.5≦m≦1.8、0.01≦n≦2.5および1≦m+n≦3
水分硬化型シリコーン樹脂の添加量は、ベース100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは1〜15重量部である。1重量未満では、均一なコーティング被膜を得ることができず、30重量部を超えると拭取り作業に悪影響を及ぼす恐れがあるからである。
水分硬化性シリコーン樹脂は、市販品として入手可能であり、例えばKR−500(商品名)(信越化学工業株式会社製)、KR−510(商品名)(信越化学工業株式会社製)、X−40−2327(商品名)(信越化学工業株式会社製)、X−40−9225(商品名)(信越化学工業株式会社製〉などが挙げられる。これら水分硬化性シリコーン樹脂は単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
(b)成分である反応促進剤は、上記(a)成分である水分硬化性シリコーン樹脂に含まれるSi−OR’で表されるアルコキシシリル基(式中R’は、水素原子および炭素原子数1〜4のエーテル結合を有するアルキル基から選択された1種あるいは2種以上の基である)が空気中の水分で加水分解、縮合する反応を促進させる成分であり、該(b)成分を含有することにより、上記(a)成分の架橋密度が高まり、硬化が進んで硬質被膜を得ることが出来る。
このような作用効果を奏する(b)成分には、例えばアルミ、チタン、スズなどを含む有機金属化合物、硫酸、塩
酸、酢酸、リン酸のような無機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのようなアルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアミン化合物などを用いることができる。
酸、酢酸、リン酸のような無機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムのようなアルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアミン化合物などを用いることができる。
(b)成分は市販品として入手することが可能であり、例えばD−20(商品名)(信越化学工業株式会社製、チタン系金属含有)、DX−9740(商品名)(信越化学工業株式会社製、アルミ系金属含有)、X−40−2309A(商品名)(信越化学工業株式会社製、リン酸含有)などが挙げられる。
(b)成分の添加量としては、ベース100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では反応速度が遅いため硬化性が低く、30重量部を超えると防汚性および被膜の硬度に悪影響を与える恐れがあるからである。
(c)成分である水分除去剤としては、水分と反応する物質であれば、特に限定されないが、副生成物の生成などの悪影響が少なく、かつ反応性に優れるものが望ましくは、具体的にはシラン化合物、シラザン、オルトエステル化合物、アセタール類、金属アルコシド及びイソシアネート化合物、ゼオライト、シリカゲル、イモゴライト、クレイなどの無機系吸湿剤から選ばれるいずれか1種若しくは2種以上を用いることができる。
シラン化合物は、下記平均組成式で示される。
R゛aSiX4−a
上記式中、R゛は置換または非置換のアルキル基及びアリール基、または反応性有機基であり、Xは加水分解基であり、aは下記関係式を満たす整数である。
0≦a≦3
R゛aSiX4−a
上記式中、R゛は置換または非置換のアルキル基及びアリール基、または反応性有機基であり、Xは加水分解基であり、aは下記関係式を満たす整数である。
0≦a≦3
具体的には、クロロシラン、アルコシキシラン、シランカップリング剤などを挙げることができる。より具体的には、クロロシランとしては、メチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、i−プロピルジメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、フェニルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、1−ナフチルジメチルクロロシラン、ジメシチルジクロロシラン、1,1−ジクロロ−1−シラシクロペンタン、1、2−ジクロロ−1、1、2、2−テトラメチルジシラン、或いは1、2−ジクロロ−2−フェニル−1、1、2−トリメチルジシランなどを挙げることができる。
アルコシキシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン類、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等のトリアルキルアルコシキシラン類、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン等のフェニルアルコキシシラン類、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等のヘキシルアルコキシシラン類、デシルトリメトキシシラン、或いはトリフルオロプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、或いはγ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシランなどを挙げることができる。
シラザンとしては、 ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、或いはヘプタメチルジシラザンなどを挙げることができる。
オルトエステル化合物としては、オルソ蟻酸トリアルキル、オルソ酢酸トリアルキル、或いはオルソ硼酸トリアルキルなどを挙げることができる。
アセタール類としては、ジメトキシプロパン(アセトンジメチルアセタール)などを挙げることができる。
金属アルコシドとしては、アルミニウムイソプロポキシド、或いはアルミニウム−sec−ブチレートなどを挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ビニルイソシアネート、イソプロペニルイソシアネート、或いはフェニルイソシアネートなどを挙げることができる。
上記(c)成分の中でも、テトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類の場合、水分と反応した後に下記構造式のように(a)成分に類似する安定性に優れるシラン構造となることから好ましい。
OR
|
RO−Si−OR
|
OR
OR
|
RO−Si−OR
|
OR
(c)成分の添加量としては、ベース100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。1重量部未満では該組成物中の水分を十分に除去することができず、使用前に(a)成分の加水分解、縮合反応が進行してしまい、このため、使用時には水分硬化性シリコーン樹脂の反応が効果的に進行せず、均質な硬質被膜が形成できなかったり、十分な防汚性や硬度を有する硬質被膜が形成できなかったりするなどの不都合を生ずる結果を招く恐れがある。一方、30重量部を超えると防汚性および被膜の硬度に悪影響を与える恐れがある。
本発明の組成物においては、上述の(a)成分、(b)成分及び(c)成分をベースに配合する順序によって異なる組成が生ずる。すなわち、ベース中には微量の水分が含まれているため、ベース中に(a)成分、(b)成分及び(c)成分を一度に配合した組成物の場合には、(c)成分によってベース中の水分の除去が行われるものの、水分と接触した(a)成分については反応が進行し、該組成物中には(a)成分の加水分解、縮合反応物が存在することになる。
すなわち本発明の組成物は、ベース中に(a)成分と(b)成分と(c)成分とを含有することで特徴づけられるものであるが、(b)成分と(c)成分とが配合されているベース中に、(a)成分を配合することで得られる組成物にあっては、ベースに(b)成分と共に配合された(c)成分がベース中に含まれる水分を除去するので、このベースに配合される(a)成分は水分と反応することがなく、得られる組成物は、(a)成分の加水分解、縮合反応物の生成が効果的に抑制されており、優れた貯蔵安定性を有することになる。
本発明の組成物にあっては、(d)被膜向上剤を含有する形態を採ることもできる。(d)成分は、潤滑効果による拭き取り作業性の向上、防汚性、撥水性の向上に効果的な成分である。このような(d)成分としては、分子の片端末のみに、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ジオール基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基及びフェノール基から選ばれる少なくとも1つ以上の反応性有機基が結合している反応性シリコーンオイル、または分子の側鎖のみに、アルコキシ基、水素基、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ジオール基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基及びフェノール基から選ばれる少なくとも1つ以上の反応性有機基が結合している反応性シリコーンオイルを挙げることができる。
分子の片端末のみに、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ジオール基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基及びフェノール基から選ばれる少なくとも1つ以上の反応性有機基が結合している反応性シリコーンオイルは、市販品として入手することが可能であり、例えばX−22−170BX(カルビノール変性タイプ、信越化学工業株式会社製)やX−22−176F(ジオール変性タイプ、信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。
分子の側鎖のみに、アルコキシ基、水素基、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ジオール基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基及びフェノール基から選ばれる少なくとも1つ以上の反応性有機基が結合している反応性シリコーンオイルは、市販品として入手することが可能であり、例えばKF−99(水素変性タイプ、信越化学工業株式会社製)やX−22−4039(カルビノール変性タイプ、信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。
(d)成分の含有量としてはベース100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量部であり、最適には0.5〜10重量部である。(d)成分の含有量が0.1重量部を下回る場合には、撥水性および防汚性を発現することができず、30重量部を超えると防汚性および被膜の硬度に悪影響を与える恐れがあるからである。
(d)被膜向上剤を含有する形態を採る場合、該組成物においては、上述の(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分をベースに配合する順序によって異なる組成が生ずる。すなわち、ベース中には微量の水分が含まれている。このため、ベース中に(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を一度に配合した組成物の場合には、(c)成分によってベース中の水分の除去が行われるものの、水分と接触した(a)成分及び(d)成分については反応が進行し、該組成物中には(a)成分及び(d)成分の加水分解、縮合反応物が存在することになる。
ベース中に(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含む組成物であって、(b)成分及び(c)成分が配合されているベース中に、(a)成分及び(d)成分を配合することで得られる組成物にあっては、ベースに(b)成分と共に配合された(c)成分がベース中に含まれる水分を除去するので、このベースに配合される(a)成分及び(d)成分は水分と反応することがなく、得られる組成物は、(a)成分及び(d)成分の加水分解、縮合反応物の生成が効果的に抑制されており、優れた貯蔵安定性を有することになる。
また、本発明の組成物は、均一なコーティング被膜を形成させ、かつ塗布および拭取りなどの作業性の改善を目的として、(e)微粉末を含む形態を採ることもできる。本発明の組成物に適用する(e)微粉末としては、平均粒径が0.1〜50μmのものが好ましく、より好ましくは2〜30μmである。添加する(e)微粉末の平均粒径が0.1μmを下回る場合、施工時の拭取り作業に困難を生じる恐れがあり、50μm以上では拭取り時に塗装表面にキズをつける恐れがある。
(e)微粉末は、市販品として入手することが可能であり、例えばテクポリマー(積水化成品工業株式会社製、PMMA微粉末)、フロービーズCL2080(住友精化株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂粉末)、エポスターS(日本触媒製、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粉末〉、ASP200(BASF社製、カオリンクレー)、サイリシア470(富士シリア化学株式会社製、合成シリカ)、ラジオライト、マイクロファイン(昭和化学工業株式会社製、珪藻土)、ホワイトモランダムWA(昭和電工株式会社製、アルミナ)、MS−P(日本タルク株式会社製、タルク)が挙げられる。
また(e)微粉末には、施工済部分と未施工部分の区別、若しくは拭取り残しを防ぐために、顔料を添加したものも好適に使用することができる。市販品で入手可能なものとしては、例えばタフチックビーズAR650シリーズ(東洋紡社製、架橋アクリル樹脂粉末)、アートパールC−200、C−300、C−400、C−800(根上工業社製、架橋ウレタン微粉末)などが挙げられる。
上記(e)微粉末の中でも、粒径0.4〜10μmの無機材質より成る微粉末(以下、無機微粉末という)であって、モース硬度が3〜6であるものがより好ましい。例えば自動車塗装面などには水垢汚れ(所謂ウォータースポット)やピッチなどの汚れが付着している。これらの汚れは、塗装面に強固に付着しており、洗浄剤などによっても確実に除去することは困難であった。これに対し、上記無機微粉末を用いた場合には、該組成物を塗装面に塗布し、塗り延ばしていく過程で該無機微粒子が塗装面を研磨し、塗装表面の汚れを落とし、且つ塗装表面の凸部を削り取り、後の拭取り作業で塗装表面から削り取られた汚れなどが除去されるため、塗布および拭取りという一連の作業で塗装面表面の汚れを確実に除去できるとの効果を奏するものである。
無機微粉末の粒径及びモース硬度は、上記範囲を下回る場合には、十分な汚れの除去ができなくなり、無機微粉末の粒径及びモース硬度が上記範囲を上回る場合には、拭取り時に塗装表面にキズをつける恐れがある。
このような無機微粉末としては、例えばASP200(BASF社製、カオリンクレー)、カオファイン(THIELE社製、白色クレー)などを挙げることができる。
(e)微粉末の添加量としては、該組成物100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では、拭取り作業の向上に効果を発揮できず、30重量部を超えると、均一な被膜ができない恐れがあるからである。
(e)微粉末として無機微粉末を用いる場合は、該組成物100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましい。というのは1重量部を下回る場合、塗布及び拭取りという一連の作業で塗装表面の汚れを確実に除去できる効果を十分に発揮できず、20重量部を超えると、均一な被膜ができない恐れがあるからである。
(e)微粉末を添加する形態を採る場合、該組成物においては、上述の(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(e)成分、または(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分をベースに配合する順序によって異なる組成が生ずる。すなわち、ベース及び(e)成分中には微量の水分が含まれている。このため、ベース中に(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(e)成分、または(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を一度に配合した組成物の場合には、(c)成分によってベース及び(e)成分中の水分の除去が行われるものの、水分と接触した(a)成分や(d)成分については反応が進行し、該組成物中には(a)成分や(d)成分の加水分解、縮合反応物が存在することになる。
ベース中に(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(e)成分を含む組成物であって、(b)成分、(c)成分及び(e)成分が配合されているベース中に、(a)成分を配合することで得られる組成物にあっては、ベースに(b)成分及び(e)成分と共に配合された(c)成分がベース及び(e)成分中に含まれる水分を除去するので、このベースに配合される(a)成分は水分と反応することがなく、得られる組成物は、(a)成分の加水分解、縮合反応物の生成が効果的に抑制されており、優れた貯蔵安定性を有することになる。
ベース中に(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を含む組成物であって、(b)成分、(c)成分及び(e)成分が配合されているベース中に、(a)成分及び(d)成分を配合することで得られる組成物にあっては、ベースに(b)成分及び(e)成分と共に配合された(c)成分がベース及び(e)成分中に含まれる水分を除去するので、このベースに配合される(a)成分及び(d)成分は水分と反応することがなく、得られる組成物は、(a)成分及び(d)成分の加水分解、縮合反応物の生成が効果的に抑制されており、優れた貯蔵安定性を有することになる。
本発明の組成物は、防汚性の向上、並びに該組成物における上記微粉末の沈降速度を低下させることを目的として、親有機層状粘土鉱物を含む形態を採ることもできる。本発明の組成物に適用する親有機層状粘土鉱物としては、モンモリロナイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。
親有機層状粘土鉱物の親有機化処理方法としては、層表面修飾、端面修飾またはそれらの複合処理が挙げられる。さらに有機処理材料としては、4級アンモニウムイオン、アニオン系ポリマー、アルキルトリアルコキシシラン、カルボキシビニルポリマーおよび高極性有機溶剤などが挙げられる。
親有機層状粘土鉱物の添加量としては、該組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。親有機層状粘土鉱物の添加量が0.01重量部以下の場合、防汚性の向上効果及び沈降防止効果が低く、10重量部を超える場合には、拭取り作業性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明の組成物には、その他に、硬質被膜の形成に悪影響を与えない範囲で、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、防かび剤、抗菌剤、防腐剤等の添加剤を添加することができる。
本発明の組成物を自動車の塗装面に塗布する場合には、該紺成物をスポンジまたは布に含浸させ、塗装表面を擦るなどの方法を用いることができる。なお、塗布方法は、たとえぼ刷毛塗り、エアゾールスプレーでのコーティングなど、その目的および用途により選択することができる。
このようにして塗装表面に塗布された組成物は、ベースである溶剤が揮発するに伴い、空気中の水分及び(b)成分が(a)成分の反応を促進し、塗装表面に硬化被膜が形成される。さらに、(d)成分の反応性シリコーンオイルが被膜と化学結合することにより、塗装表面に艶および光沢を付与し、水アカが付着しても水洗いなどの簡単な作業により除去することができるものである。
次に、本発明のコーティング組成物の製造方法(以下、単に本方法という)について説明する。本方法は、脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択される1種若しくは2種以上の有機溶剤をベースとし、前記ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂を配合することを特徴とするものである。尚、本方法を説明するに際し、(a)〜(e)の各成分の説明、配合量については、本発明の組成物の説明の箇所で述べた内容と同じであることから、ここでの説明は割愛する。
貯蔵安定性を損なう最も大きな原因は、ベース中に微量の水分が含まれていることであると考えられる。そこで、本方法では、(b)成分及び(c)成分をベースに配合し、その上で、これらの混合物中に(a)成分を配合するようにした。つまり、前もってベース中の水分を(c)成分によって確実に除去し、その上で(a)成分を配合することで、(a)成分とベース中の水分との接触機会を極力少なくし、ベース中の水分による(a)成分の加水分解、縮合反応を抑制したのである。
(d)被膜向上剤を含有する組成物を製造する場合においては、ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂と(d)被膜向上剤とを配合することが望ましい。(d)被膜向上剤は、(a)水分硬化性シリコーン樹脂と同様ベース中の水分との接触によって加水分解、縮合反応する。このため、前もってベース中の水分を(c)成分によって確実に除去し、その上で(a)成分及び(d)成分を配合することで、(a)成分及び(d)成分とベース中の水分との接触機会を極力少なくし、ベース中の水分による(a)成分及び(d)成分の加水分解、縮合反応を抑制し、優れた貯蔵安定性を担保したのである。
均一なコーティング被膜を形成させ、かつ塗布および拭取りなどの作業性を向上させることを目的として、(e)平均粒径0.1〜50μmの微粉末を含む組成物を製造する場合、ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤と(e)平均粒径0.1〜50μmの微粉末とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂を配合することが望ましい。(e)成分はベースと同様に微量の水分を含んでいる。このため、(e)成分と(a)成分とを一時にベース中に配合した場合には、(a)成分は、ベース及び(e)成分に含まれる水分との接触によって加水分解、縮合反応する。このため、ベース中に(b)成分、(c)成分及び(e)成分を配合することで、前もってベース及び(e)成分中の水分を(c)成分によって確実に除去しておき、その上で(a)成分を配合することで、(a)成分とベース及び(e)成分中の水分との接触機会を極力少なくし、ベース及び(e)成分中の水分による(a)成分の加水分解、縮合反応を抑制し、優れた貯蔵安定性を担保したのである。
(d)成分及び(e)成分を含有する組成物を製造する場合においては、ベース中に(b)成分と(c)成分と(e)成分とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)成分と(d)成分とを配合することが望ましい。この場合、ベース中に(b)成分、(c)成分及び(e)成分を配合することで、前もってベース及び(e)成分中の水分を(c)成分によって確実に除去しておき、その上で(a)成分及び(d)成分を配合することで、(a)成分及び(d)成分とベース及び(e)成分中の水分との接触機会を極力少なくし、ベース及び(e)成分中の水分による(a)成分及び(d)成分の加水分解、縮合反応を抑制し、優れた貯蔵安定性を担保したのである。
尚、本発明の組成物及びその製造方法は、下記例に限定されるものではなく、例えばゼオライトなどの吸湿性の水分除去剤と、水分と反応することで水分を除去するクロロシランなどの水分除去剤など、吸水のメカニズムの異なる複数の(c)成分を併用し、ベースや(e)成分中の水分を効率的かつ確実に除去するようにするなど、特許請求の範囲に記載された範囲内で自由に変更することができる。
下記表1には実施例1〜4、並びに比較例1〜4に係る各組成物の組成並びに配合順を示し、表2には実施例1〜4、並びに比較例1〜4に係る各組成物についての被膜硬化時間変化並びに撥水性発現時間を示した。尚、表2中のそれぞれの時間は、組成物中での反応により変化するため、時間変化の少ない組成物が貯蔵安定性に優れるという評価となる。
被膜硬化時間変化の評価
各組成物の調整直後、JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片に、ウレタンスポンジにて各組成物を均一に塗布する。そのまま室温にて放置し、塗布した組成物が拭き取れなくなるまで時間を測定し、調合直後の被膜硬化時間とする。
各組成物の調整直後、JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片に、ウレタンスポンジにて各組成物を均一に塗布する。そのまま室温にて放置し、塗布した組成物が拭き取れなくなるまで時間を測定し、調合直後の被膜硬化時間とする。
各組成物をガラス瓶に密栓し、50℃、4週間保持する。上記同様の操作にて、組成物が拭き取れなくなるまでの時間を測定し、貯蔵安定性試験後の被膜硬化時間とする。
評価基準
被膜硬化時間の変化は以下の式で求める。
被膜硬化時間変化=
貯蔵安定性試験後の被膜硬化時間−調合直後の被膜硬化時間
被膜硬化時間の変化の評価基準は、以下のとおりとする。
○:0≦被膜硬化時間変化<30分
×:30分≦被膜硬化時間変化
被膜硬化時間の変化は以下の式で求める。
被膜硬化時間変化=
貯蔵安定性試験後の被膜硬化時間−調合直後の被膜硬化時間
被膜硬化時間の変化の評価基準は、以下のとおりとする。
○:0≦被膜硬化時間変化<30分
×:30分≦被膜硬化時間変化
撥水性発現時間変化の評価
各組成物の調整直後、JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片に、ウレタンスポンジにて各組成物を均一に塗布する。そのまま室温にて放置し、接触角が一定になるまでの時間を測定し、調合直後の撥水性発現時間とする。
各組成物の調整直後、JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片に、ウレタンスポンジにて各組成物を均一に塗布する。そのまま室温にて放置し、接触角が一定になるまでの時間を測定し、調合直後の撥水性発現時間とする。
評価基準
撥水性発現時間の変化は以下の式で求める。
撥水性発現時間の変化=
貯蔵安定性試験後の撥水性発現時間−調合直後の撥水性発現時間
撥水性発現時間の変化の評価基準は、以下のとおりとする。
○:0≦撥水性発現時間の変化<30分
×:30分≦撥水性発現時間の変化
撥水性発現時間の変化は以下の式で求める。
撥水性発現時間の変化=
貯蔵安定性試験後の撥水性発現時間−調合直後の撥水性発現時間
撥水性発現時間の変化の評価基準は、以下のとおりとする。
○:0≦撥水性発現時間の変化<30分
×:30分≦撥水性発現時間の変化
表2から、比較例1及び2の各組成物にあっては、いずれも有機溶剤ベース中に(a)水硬性シリコーン樹脂、(b)反応促進剤、(c)水分除去剤及び(e)微粒子、又は(a)水硬性シリコーン樹脂、(b)反応促進剤、(c)水分除去剤、(d)被膜向上剤及び(e)微粒子を含んでいるものの、その製造過程での配合順序が、請求項12又は13に記載の順序ではなく、それら各成分を一度に配合しているため、被膜硬化時間の変化並びに撥水性発現時間の変化についてはいずれも×であり、貯蔵安定性に劣ることが確認された。
比較例3の組成物は、(c)水分除去剤を含まないため、(a)成分の反応が進行してしまい、該比較例3の組成物についても、被膜硬化時間の変化並びに撥水性発現時間の変化は×であった。
これに対し、実施例1〜4の各組成物、並びに(a)、(b)、(c)及び(e)を含み、請求項12に記載の順序で各成分が配合されている比較例4の各組成物にあっては、いずれも○の評価であり、貯蔵安定性に優れることが確認された。
次に、表1に示す実施例1〜4並びに比較例1〜4に係る各組成物について、その汚れ防汚性及び傷つき性を評価した。その結果を表3に示した。
汚れ除去性の評価
JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される白色試験片に、塗装用コンパウンドにて研磨したものを試験片とする。試験片をカラーテスターHC1(スガ試験機株式会社製)により、白色度を測定し、その値を初期白色度とする。
JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される白色試験片に、塗装用コンパウンドにて研磨したものを試験片とする。試験片をカラーテスターHC1(スガ試験機株式会社製)により、白色度を測定し、その値を初期白色度とする。
汚染物質として、カーボンブラックFW−200(ホルベイン工業株式会社製、粒径0.002〜0.028μm)5重量部を水95重量部に均一に分散し、エアスプレー(空気圧0.4〜0.5MPa)で、試験片表面に均一に塗布した。
試験片を60℃で1時間乾燥させ、汚染物質を焼き付けた後、室温まで放冷した。放冷後、流水下にて、試験片表面に付着した汚染物質をガーゼなどの柔らかい布で摺りながら洗浄した。
試験片から水分を除去した後、2cm角にカットしたウレタンスポンジに調整した実施例1〜4並びに比較例1〜3の各組成物を取り、200gの荷重で3往復洗浄した。
洗浄後、イソプロピルアルコールで試験片を清浄にし、これをカラーテスターHC1(スガ試験機株式会社製)により、白色度を測定し、これを洗浄後の白色度とした。
汚れ除去性の評価基準
汚れ除去性は以下の式で求める。
汚れ除去性 = 初期白色度−洗浄後の白色度
評価方法
以下の基準に従い、評価した。
汚れ除去性
◎: 汚れ除去性 < 1
○:1 ≦ 汚れ除去性 < 3
□:3 ≦ 汚れ除去性 < 5
△:5 ≦ 汚れ除去性 < 10
×:10 ≦ 汚れ除去性
汚れ除去性は以下の式で求める。
汚れ除去性 = 初期白色度−洗浄後の白色度
評価方法
以下の基準に従い、評価した。
汚れ除去性
◎: 汚れ除去性 < 1
○:1 ≦ 汚れ除去性 < 3
□:3 ≦ 汚れ除去性 < 5
△:5 ≦ 汚れ除去性 < 10
×:10 ≦ 汚れ除去性
傷つき性の評価
JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片を塗装用コンパウンドにて光沢度90程度まで研磨したものを試験片とした。2cm角にカットしたウレタンスポンジに調整した実施例1及び2並びに比較例1〜3の各組成物を取り、500gの荷重で10往復洗浄した。
JIS K2396(自動車用艶出しコーティング剤)に規定される黒色試験片を塗装用コンパウンドにて光沢度90程度まで研磨したものを試験片とした。2cm角にカットしたウレタンスポンジに調整した実施例1及び2並びに比較例1〜3の各組成物を取り、500gの荷重で10往復洗浄した。
洗浄後、イソプロピルアルコールで試験片を清浄にし、これを肉眼により傷を評価した。
傷つき性の評価基準
◎:まったく傷が付かない
○:ごく小さい傷がつく
×:かなり目立つ傷が付く
◎:まったく傷が付かない
○:ごく小さい傷がつく
×:かなり目立つ傷が付く
表3の試験結果から、(e)成分として有機微粉末を配合した実施例1及び3、並びに比較例1〜3の各組成物にあっては、傷つき性については良好な結果が得られたものの、汚れ除去性についてはいずれも×の評価となり、(e)成分としてモース硬度が12の無機微粉末を配合した比較例4の組成物については、傷つきが見られた。これに対し、(e)成分としてモース硬度が3の無機微粉末を配合した実施例2及び4の各組成物にあっては、汚れ除去性及び傷つき性のいずれも良好な結果が得られ、汚れ除去性及び傷つき性に優れることが確認された。
Claims (17)
- 脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系容剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤をベースとし、前記ベース中に、
(a)水分硬化性シリコーン樹脂と、
(b)反応促進剤と、
(c)水分除去剤と、
を含有することを特徴とするコーティング組成物。 - (b)成分と(c)成分とが配合されているベース中に、(a)成分を配合することで得られることを特徴とする請求項1記載のコーティング組成物。
- ベース100重量部に対して、
1〜30重量部の(a)成分と、
0.1〜30重量部の(b)成分と、
1〜30重量部の(c)成分と、
を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング組成物。 - (c)成分が、シラン化合物、シラザン、オルトエステル化合物、アセタール類、金属アルコシド及びイソシアネート化合物から選ばれるいずれか1種若しくは2種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
- (d)被膜向上剤として、分子の片端末のみに、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ジオール基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基及びフェノール基から選ばれる少なくとも1つ以上の反応性有機基が結合している反応性シリコーンオイル、または分子の側鎖のみに、アルコキシ基、水素基、カルビノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ジオール基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基及びフェノール基から選ばれる少なくとも1つ以上の反応性有機基が結合している反応性シリコーンオイルをさらに含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
- (d)成分の含有量がベース100重量部に対して0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項5に記載のコーティング組成物。
- (b)成分と(c)成分とが配合されているベース中に、(a)成分と(d)成分とを配合することで得られることを特徴とする請求項5又は6に記載のコーティング組成物。
- (e)平均粒径0.1〜50μmの微粉末をさらに含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物。
- (e)成分の含有量が、ベース100重量部に対して0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項8に記載のコーティング組成物。
- (e)成分が、粒径0.4〜10μmの無機材質より成る微粉末であって、モース硬度が3〜6であることを特徴とする請求項8に記載のコーティング組成物。
- 無機材質より成る微粉末の含有量が、ベース100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とする請求項10に記載のコーティング組成物。
- (b)成分と(c)成分と(e)成分とが配合されているベース中に、(a)成分とを配合することで得られることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のコーティング組成物。
- (b)成分と(c)成分と(e)成分とが配合されているベース中に、(a)成分と(d)成分とを配合することで得られることを特徴とする請求項12記載のコーティング組成物。
- 脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤脂肪族炭化水素系溶剤、石油系溶剤、芳香族系容剤、アルコール及びフッ素系溶剤から選択された1種あるいは2種以上の有機溶剤からなるベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂を配合することを特徴とするコーティング組成物の製造方法。
- ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂と(d)被膜向上剤とを配合することを特徴とする請求項14記載のコーティング組成物の製造方法。
- ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤と(e)平均粒径0.1〜50μmの微粉末とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂を配合することを特徴とする請求項14記載のコーティング組成物の製造方法。
- ベース中に(b)反応促進剤と(c)水分除去剤と(e)平均粒径0.1〜50μmの微粉末とを配合し、次いで、前記ベース中に(a)水分硬化性シリコーン樹脂と(d)被膜向上剤とを配合することを特徴とする請求項14記載のコーティング組成物の製造方法。
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