JP5037025B2 - エポキシ樹脂組成物及びエポキシ−ポリシロキサン塗料組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及びエポキシ−ポリシロキサン塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は二液形のエポキシ樹脂組成物に係り、更に詳しくは、密着性、可撓性、耐候性に優れ、無溶剤化が可能でポットライフが長く、低温でも短時間で硬化可能なエポキシ-ポリシロキサン塗料組成物に適するエポキシ樹脂組成物に関する。
シリコーン樹脂は耐候性、耐熱性、耐薬品性に優れる被膜を形成できることから様々な分野に広く使用されている。この内、分子末端がアルコキシシリル基で封鎖されたSi-OR型シリコーン樹脂はアルコキシオリゴマーと呼ばれ、空気中の湿気により常温で硬化することから、現場施工が可能な無溶剤塗料として利用されてきている。しかし、アルコキシオリゴマーは、3次元架橋構造により表面硬度が高いという長所を有するが、その反面可撓性に劣り、塗膜にクラックが生じる場合があるのと、鋼板等の下地への密着性に劣るという問題がある。
一方、エポキシ樹脂は、ビスフェノール型液状エポキシ樹脂とポリアミン、ポリアミドアミン等の硬化剤からなる組成物が密着性、防食性の観点から広く利用されている。しかし、耐候性に劣る問題を有していた。また、低温時では、硬化に長時間を要し、従来の硬化剤や触媒の選択組み合わせ等により低温硬化乾燥性を改善することができた場合でも、主剤と硬化剤を混合した後のポットライフが短いために施工の直前に計量混合する必要があり、塗装までの時間も十分確保することができず、施工性が悪いといった問題もあわせて有していた。
これらの欠点を改善すべく、エポキシ樹脂とアルコキシオリゴマーを組み合わせて、防食性と耐候性に優れる常温硬化乾燥性組成物が提案されてきている。
特表平10-509195号公報 特開2000-345104号公報 特開2002-265869号公報 特開平8-176304号公報 特開2001-114897号公報
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、オルガノシロキサン及びアミノシランと有機錫触媒の混合物が開示されている。また、特許文献2には、エポキシ樹脂とカルボキシル基を有する化合物と特定のアルコキシシリル基を有するオルガノシロキサンとを反応させた樹脂組成物とアミノ基含有化合物より成る塗料組成物が開示されている。しかし、これらの塗料組成物については粘度が高いため溶剤で希釈する必要があり、無溶剤であり、且つ短時間硬化乾燥性あるいは低温硬化乾燥性とポットライフを両立するものではない。
なお、特許文献3には、エポキシ基含有珪素化合物、アルコキシシラン及び微粒子珪素を含む組成物をリン酸系触媒で重縮合した被覆用組成物が開示されている。特許文献4には、アクリルウレタン塗料等の改質に使用されるアルコキシラン縮合物の製造方法が開示されている。特許文献5には、エポキシ樹脂等に配合又は反応させることによりその耐熱性を向上させたエポキシ変性アルコキシラン縮合物が開示されている。
本発明の目的は、常温硬化性組成物の欠点を改善でき、素地に対する密着性と耐候性に優れ、無溶剤で、主剤と硬化時を混合した後の増粘が遅く、長いポットライフを持ち、且つ素地に塗装後は低温でも短時間で硬化する施工性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために種々の検討を行なった結果、主剤にエポキシ樹脂と特定のアルコキシシリル基を有する低分子量のオルガノポリシロキサンを配合し、硬化剤に縮合リン酸又は無水リン酸と特定のシラン化合物及びその縮合物を配合することにより、長いポットライフを持ち、素地に塗装後は低温でも短時間で硬化可能な、密着性、防食性、耐候性に優れる、低粘度で無溶剤化も可能な樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、主剤(A)と硬化剤(B)からなる2液形のエポキシ樹脂組成物であって、主剤(A)が
a)成分:エポキシ当量が100〜1000g/eqのエポキシ樹脂、
b)成分:下記一般式(1)
(R1O)a2 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、0.8≦b≦1.8、0<a≦3、0<a+b≦4であり、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示し、R2に占めるフェニル基の割合が0〜50%である)で表されるシラン化合物の縮合物を必須成分として含み、
硬化剤(B)が、
c)成分:下記一般式(2)
(n+2)n(3n+1) (2)
(式中、nは2以上の整数である)で示される縮合リン酸又は無水リン酸、
d)成分:下記一般式(3)
(R1O)a2 bSiO(4-a-b)/2 (3)
(但し、1.2≦b≦2.0、0<a≦3、0<a+b≦4であり、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す)で表されるシラン化合物を必須成分として含み、存在割合が、a)成分1〜90重量部、b)成分10〜90重量部、c)成分0.1〜10重量部、d)成分が縮合リン酸又は無水リン酸の1〜10倍量であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
本発明の実施の態様を次に示す。
1) 顔料又は充填剤が、10〜60重量%存在する上記のエポキシ樹脂組成物。
2) a)成分が、脂肪族エポキシ樹脂である上記のエポキシ樹脂組成物。
3) a)成分が、ダイマー酸のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル又はひまし油トリグリシジルエーテルである上記のエポキシ樹脂組成物。
4) b)成分が、一般式(1)において、0.8≦b≦1.2、0<a≦3、0<a+b≦4を満足する上記のエポキシ樹脂組成物。
5) エポキシ-ポリシロキサン塗料用である上記のエポキシ樹脂組成物。
本発明のエポキシ樹脂組成物を更に説明する。エポキシ樹脂組成物は主剤(A)と硬化剤(B)の2液を混合することにより得られる。主剤(A)はa)成分及びb)成分を必須の成分として含み、硬化剤(B)はc)成分及びd)成分を必須の成分として含む。
a)成分のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が100〜1000g/eqであるものが使用されるが、b)成分との相溶性、組成物の粘度の面からは、100〜600g/eqであるものが好ましい。エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであることがよく、好ましくは2個又は3個のエポキシ基を有する2官能又は3官能エポキシ樹脂をエポキシ樹脂中に60重量%以上含むエポキシ樹脂である。また、架橋度の調整のため、単官能のグリシジル化合物を併用してもよい。エポキシ樹脂の種類としては、耐候性の面から、脂肪族エポキシ樹脂が好ましい。脂肪族エポキシ樹脂には脂環式エポキシ樹脂を含む。
a)成分のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、キシリレングリコールのジグリシジルエーテルなどの芳香族エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の水素添加物、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ひまし油のトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂が挙げられ、適宜選択して用いることができ、2種類以上の混合物であってもよい。塗膜に高度の伸びが求められる場合には、ダイマー酸のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ひまし油トリグリシジルエーテル等が好適である。
また、単官能のグリシジル化合物を併用する場合は、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル等の単官能のエポキシ化合物、γ-グリシドキシプロポキシトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロポキシトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロポキシメチルジエトキシシランなどのエポキシシラン化合物などが挙げられる。
b)成分は、上記一般式(1)で表される組成式を有するシラン化合物の縮合物又は縮合物とシラン化合物の混合物であるが、混合物である場合、縮合物が50wt%以上であることが好ましい。
一般式(1)中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を表し、R1Oは炭素数が1〜4のアルコキシ基を表す。また、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R2中におけるフェニル基の割合は0〜50%である。R2中におけるアリール基、特にフェニル基の割合が50%を上回ると硬化乾燥性が低下する。アルキル基、アルケニル基又はアリール基の炭素数は1〜6であることが好ましい。また、aは0より大きく3以下である。aが3を上回ると素地との密着性が低下しやすくなる。bは0.8〜1.8であり、好ましくは0.8〜1.4であり、より好ましくは1.0〜1.4である。0.8未満では、硬化物が脆くなりやすく、1.8を上回ると硬化乾燥性が低下しやすくなる。
b)成分の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルセロソルブオルソシリケートなどの4官能アルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシランなどの3官能アルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの2官能アルコキシシラン類、その混合物及びその縮合物が挙げられる。b)成分のシラン化合物の縮合物とは、反応性官能基を有する低分子量のオルガノシロキサンオリゴマーであり、一分子内に、アルキル基のような有機置換基とアルコキシ基のような加水分解性の反応性官能基を同時に含有する低分子量の液状シリコーン樹脂又は有機シロキサン化合物であることがよい。シラン化合物の縮合物の縮合度としては、エポキシ樹脂との相溶性の点より、縮合度が2〜100である液状のものが好ましい。また、b)成分のシラン化合物の縮合物は、一般式(1)においてa及びbが上記の条件を満たす範囲で、1種類のみとしてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいし、少量のシラン化合物が含まれていてもよい。
硬化塗膜に高度の硬度や耐傷つき性を付与する場合には、一般式(1)において、0.8≦b≦1.2、0<a≦3、0<a+b≦4を満足するシラン化合物の縮合物又は縮合物とシラン化合物の混合物が好適である。
b)成分の縮合物の具体例としては、DC3074、DC3037、SR2402(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製品)、KR−9218、KR−500、KR−400、X40−9225、KR−510、X40−9227、X40−9247(以上、信越化学工業(株)製品)等を単独あるいは混合して得ることができる。
c)成分の縮合リン酸又は無水リン酸としては、前記一般式(2)で示される縮合リン酸とP25で示される無水リン酸がある。一般式(2)で示される縮合リン酸は、リン酸(H3PO4)の脱水縮合物であり、ピロリン酸(n=2)、トリリン酸(n=3)、テトラリン酸(n=4)、更に縮合度の高いポリリン類がある。無水リン酸は更に脱水が進んだものということができる。これらの縮合リン酸と五酸化リンは単独であっても、2種以上の混合物としても使用できる。
なお、上記c)成分中に少量のメタリン酸の縮合物等の一般式(2)で表すことのできない環状縮合体を含んでもよい。しかし、一般的に、工業用用途で広く利用されている、リン酸水溶液は、溶媒としての水が、塗料の使用可能時間(ポットライフ)を短くしたり、貯蔵安定性に悪影響を与えるため好ましくない。このc)成分は、エポキシ樹脂組成物を形成する際、特異な働きをすることが見いだされた。
c)成分は本発明の組成物を塗料や接着剤等として塗布後、塗膜表面より吸湿して一部がリン酸に変化することにより、a)成分及びb)成分に対する硬化触媒としての活性が発現し、一種の潜在性硬化触媒として作用する。未変化のc)成分は、硬化機構の異なるポリシロキサン(シリコーン樹脂)及びエポキシ樹脂硬化系内で、−Si−O−P−O−Si−結合、−C−O−P−O−C−結合、−Si−O−P−O−C−結合を形成して架橋剤としても作用して、硬化乾燥性を高めつつ強靱な塗膜を形成させる。SiとPを架橋構造の中で複合化することにより、塗膜の難燃性も高める効果がある。
また、触媒として作用したリン酸は、シリコーン樹脂を形成する硬化反応の際に副生するアルコールと反応してリン酸エステルに変化して、完全硬化後は、可塑剤として作用するため加工性に優れた塗膜を得ることができる。
d)成分は上記一般式(3)で表される組成式を有するシラン化合物又はシラン化合物とその縮合物の混合物であるが、混合物の場合シラン化合物が50wt%以上であることが好ましい。c)成分は、粘ちょうな液体か固形であり、吸湿性が大きくハンドリング性や貯蔵時の安定性が不安定になりやすいが、予め一般式(3)において、1.2≦b≦2.0、0<a≦3、0<a+b≦4を満足させるd)成分に溶解することで、ハンドリング性や貯蔵安定性が改善し、更にa)成分、b)成分を配合した主剤と混合した時の混合性が改善し、反応性が安定する。一般式(3)において、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を示す。R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示し、これらの炭素数は1〜6の範囲が好ましい。d)成分の具体的な例としては、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、ジイソプロピルジアルコキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジアルコキシシラン、メチルフェニルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、シクロヘキシルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシランの混合物及びその縮合物が挙げられる。粘度の観点から縮合していないシラン化合物の混合物あるいは縮合度の低いシラン縮合物が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、無溶剤クリヤー塗料として使用でき、また必須成分であるa)〜d)成分に加えて、他成分(e成分)としてとして着色顔料、体質顔料等の顔料、脱水剤又は充填剤等を適宜含んでいてもよい。
着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料が挙げられる。体質顔料としては炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等が挙げられ、雲母などの鱗片状顔料、チタン酸カリウムなどの針状顔料を併用してもよい。
脱水剤としては、合成シリカ、活性アルミナ、ゼオライト、消石灰、金属アルコキシド類や有機アルコキシ化合物等が挙げられる。
着色顔料、体質顔料等を配合する場合の配合量は10〜60重量%が好ましい。顔料の分散方法としては特に限定しないが、主剤中に配合することが好ましい。その場合、a)成分とb)成分等の液状成分を混合攪拌し、その後に顔料等を混合して、ボールミル、サンドミル等によって分散することができるが、主剤成分の一部を用いて顔料を分散し、その後、主剤の残り成分を加えて製造することもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中における各成分の配合量、配合方法について説明する。
まず、必須成分であるa)〜d)成分の4成分の合計100重量部に対して、a)成分が1〜90重量部、b)成分が10〜90重量部、c)成分が0.1〜10重量部の範囲内にあるのが好ましく、d)成分はc)成分の1〜10倍量であることが好ましい。
a)成分の配合量が1重量部以下では、耐食性、密着性が低下し、50重量部以上では、常温下での硬化乾燥性が低下する傾向があり、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部である。
また、b)成分とd)成分については、シラン化合物(b1成分、d1成分)とその縮合物(b2成分、d2成分)に分けられる。b1成分とd1成分は、b2成分、d2成分と同様にポリシロキサンを与えるが、塗膜表面にシリル基を配向させて耐候性を向上させることができることや、シロキサン架橋構造の架橋剤としての役割を担っている。また、c)成分に対する溶解が優れている他、組成物の貯蔵安定性を高める。b)成分の配合量は10〜90重量部が好ましく、10重量部以下では塗料組成物の安定性が劣ること、90重量部以上では塗膜の可とう性と、防食性が低下する傾向がある。また、d)成分はc)成分の1〜10倍量であることが好ましい。
b)成分とd)成分において、b1成分とd1成分の合計(シラン化合物の合計)とb2成分とd2成分の合計(縮合物の合計)の比率については、相溶性と硬化乾燥性のバランスの観点から、シラン化合物が5〜70wt%、好ましくは10〜50wt%、より好ましくは10〜40wt%でることが望ましい。縮合物の割合が30wt%以下では耐候性が低下し、95wt%以上では耐食性が低下する。
硬化触媒であるc)成分は、配合量によって硬化乾燥性を調整することができ、その配合量は0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部以下では硬化が遅く、10重量部以上では塗料の安定性に影響するためであり、より好ましくは3〜7重量部である。
d)成分は、予めc)成分と混合溶解して用いる。d)成分量はc)成分の1〜10倍量であることがハンドリング性などの観点から好ましいが、更に塗膜物性の観点から、b)成分とd)成分の合計が、a)〜d)成分の4成分の合計100重量部に対して、10〜90重量部であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下塗り塗料、上塗り塗料等の各種塗料用、接着剤用、充填用等の用途に使用可能である。中でも、無溶剤塗料として優れる。
塗料として使用する場合、塗装方法は特に限定されるものではなく、刷毛塗り、スプレー塗り、ローラー塗り、流し塗り等により塗装するこができる。また、塗布膜厚は特に限定されるものではないが、通常1回の塗装で1〜200μm、好ましくは3〜100μmの範囲内が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、常温で硬化することができるが、強制乾燥や加熱硬化することもでき、鋼板等の金属やセメント系構造物、無機質硬化物等に塗布することにより、密着性、耐食性、耐候性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明の樹脂組成物を、硬化させる際、水分が必要であるが、これは空気中の水分を吸湿することにより、自然に硬化が進行する。特に、塗布して薄膜状とすれば速やかに硬化した皮膜が得られる。この皮膜は付着力を増大させたり、表面硬度を高めたり、光沢や美観を与えたりする。
本発明の樹脂組成物は、無溶剤とすることが可能であり、耐食性、耐候性、耐屈曲性に優れた塗膜や皮膜を形成することができる。そして、コンクリート構造物、鉄鋼構造物等の土木建築分野、各種金属類、プラスチック製の家電製品部材、生活、レジャー用品の特殊コート分野などでも広く使用できその実用価値は高い。
以下、本発明についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定される訳ではない。なお、以下において、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
実施例、比較例に用いたエポキシ樹脂、ポリオルガノシロキサン(POS)、シラン化合物並びに硬化剤は下記の通りである。φはフェニル基を示す。
エポキシ樹脂
ST‐3000;東都化成(株)製、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量230g/eq
YD‐128;東都化成(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量186g/eq
PG‐207;東都化成(株)製、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量315g/eq
YD‐171東都化成(株)製、ダイマー酸ポリグリシジルエーテル、エポキシ当量440g/eq
ポリオルガノシロキサン
POS1;(CH3)1.2(CH3O)0.6SiO1.1で表せるジメチルポリシロキサンとランダムポリオルガノシロキサンがブロック縮合した粘度が160mm/s(25℃)のポリオルガノシロキサン
POS2;(CH3)1.0(CH3O)0.8SiO1.1で表せるランダムに縮合した粘度が80mm/s(25℃)のポリオルガノシロキサン
POS3;(CH3)0.7φ0.7(CH3O)0.6SiO1.0で表せるランダムに縮合した粘度が110mm/s(25℃)のポリオルガノシロキサン
シラン化合物
KBM22;信越化学工業(株)製ジメチルジメトキシシラン
KBM103;信越化学工業(株)製フェニルトリメトキシシラン
Z−6258;東レ・ダウコーニング(株)製ジイソプロピルジメトキシシラン
硬化剤
ピロリン酸;関東化学(株)製、オルトリン酸縮合物
フジキュアー5420‐A;富士化成工業(株)製、速硬化性変性脂肪族ポリアミン系エポキシ樹脂用硬化剤
主剤1〜6の調製
ST‐3000を20部、POS2を60部、POS3を20部、常温でよく混合し主剤1を作成した。同様にして、表1に示す割合で主剤2〜6を作成した。
硬化剤1〜3の調製
これとは別に、ピロリン酸を15部、KBM22を85部とを常温でよく混合し硬化剤1を作成した。同様にして、表2に示す割合で硬化剤2〜3を作成した。
Figure 0005037025
Figure 0005037025
実施例1
100部の主剤1と40部の硬化剤1を混合し塗料組成物1を得た。
実施例2〜5
配合量を表3のとおりとした以外は実施例1と同様にして、塗料組成物2〜5を得た。
比較例1〜2
配合量を表3のとおりとした以外は実施例1と同様にして、塗料組成物6〜7を得た。
実施例及び比較例で得られた塗料組成物について、ポットライフ、硬化乾燥性を測定した。また、主剤、硬化剤を常温で混合し、メチルエチルケトンで脱脂した鋼板に乾燥膜厚が約60μmになるように塗装して、常温で1週間乾燥させた後、耐屈曲性、防食性及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。
Figure 0005037025
試験方法
ポットライフ:JIS K5600−2−6 により測定した。温度は23℃とした。
硬化乾燥性:JIS K5600−3−3により測定した。ただし、測定は10℃で行ない、膜厚は60μmとした。
屈曲性:JIS K 5600−5−1.1により測定した。但し、心棒の直径10mmのものを使用した。評価は目視にて行ない、塗膜の屈曲部を観察し、割れ、剥がれのないものを○、それ以外を×とした。
防食性:JIS K 5600−7−1により測定した。塩水噴霧試験を500時間行なった後、塗膜状態を観察し、異常のないものは○、錆、ワレ、ハガレが発生したものは×とした。
耐候性:サンシャインウエザオメーターによる促進耐候性試験を600時間行なった後、塗膜の光沢を初期の塗膜と比較して変化無い(光沢低下が5%未満)ものは○、光沢低下5〜10%未満のものを△、光沢が低下した(光沢低下が10%以上)ものは×とした。
付着性:JIS K5600−5−6付着性(クロスカット法)により測定した。但し、カットの間隔は2mmとし、結果はJIS K5600−5−6 表1に示される6段階の分類により表した(0:0%、1:5%未満、2:5〜15%、3:15〜35%、4、5:35%以上)。

Claims (6)

  1. 主剤(A)と硬化剤(B)からなる2液形のエポキシ樹脂組成物であって、主剤(A)が
    a)成分:エポキシ当量が100〜1000g/eqのエポキシ樹脂、
    b)成分:下記一般式(1)
    (R1O)a2 bSiO(4-a-b)/2 (1)
    (但し、0.8≦b≦1.8、0<a≦3、0<a+b≦4であり、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示し、R2に占めるフェニル基の割合が0〜50%である)で表されるシラン化合物の縮合物を必須成分として含み、
    硬化剤(B)が、
    c)成分:下記一般式(2)
    (n+2)n(3n+1) (2)
    (式中、nは2以上の整数である)で示される縮合リン酸又は無水リン酸、
    d)成分:下記一般式(3)
    (R1O)a2 bSiO(4-a-b)/2 (3)
    (但し、1.2≦b≦2.0、0<a≦3、0<a+b≦4であり、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す)で表されるシラン化合物を必須成分として含み、存在割合が、a)成分1〜90重量部、b)成分10〜90重量部、c)成分0.1〜10重量部、d)成分がc)成分の1〜10倍量であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 顔料又は充填剤が、10〜60重量%存在する請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. a)成分が、脂肪族エポキシ樹脂である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. a)成分が、ダイマー酸のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル又はひまし油トリグリシジルエーテルである請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. b)成分が、一般式(1)において、0.8≦b≦1.2、0<a≦3、0<a+b≦4を満足する請求項1〜4記載のいずれかにエポキシ樹脂組成物。
  6. エポキシ-ポリシロキサン塗料用である請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
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