JP4520102B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗料分野では、環境に対する負荷低減の動き等を背景に水性化が進んでおり、建築物や土木構造物等の表面仕上げ用塗料においても、各種の水性塗料が提案されている。このうち、水性アクリルウレタン樹脂塗料は、可とう性、密着性等の塗膜物性が良好であること、及び価格面において比較的安価であること等の理由により、汎用的に使用されている。しかし、水性アクリルウレタン樹脂塗料では、耐候性、耐汚染性等の塗膜物性において限界があり、それ以上の性能を発揮させることは難しいというのが現状である。
【0003】
水性アクリルシリコン樹脂塗料は、一般に水性アクリルウレタン樹脂塗料に比べると高価であるが、耐候性等の塗膜物性に優れた塗膜が形成できることから、近年注目を浴びている。水性アクリルシリコン樹脂塗料では、樹脂中のシリコン成分の比率を上げることによって耐汚染性を高めることも可能である。
ところが、水性アクリルシリコン樹脂のシリコン成分を増量すると、塗膜の可とう性が低下し、塗膜に割れが生じやすくなる。また、樹脂中に残存した反応性のシリコン成分に起因して、塗料が貯蔵中に不安定化(増粘、ゲル化等)しやすくなる。
【0004】
これに対し、特開2002−294137号公報(特許文献1)には、アクリル樹脂とシリコーン樹脂とがハイブリッド化した合成樹脂エマルションに、ポリウレタンエマルションを混合することによって、塗膜に可とう性を付与する技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献では、塗料の貯蔵安定性については未解決のままである。すなわち、上記特許文献のような水性塗料組成物では、長期の貯蔵によって塗料が不安定化しやすく、実用的な安定性を確保することは困難である。しかも、アクリルシリコン樹脂エマルションとウレタン樹脂エマルションとの相溶性が悪い場合があり、そのような場合には所望の塗膜物性を発揮することができないという問題もある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−294137号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、アクリルシリコン樹脂とウレタン樹脂を含む水性塗料において、その貯蔵安定性を改善して実用的な安定性を確保すること、及びアクリルシリコン樹脂とウレタン樹脂との相溶性を高めて塗膜物性を改善することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、それぞれ特定のアクリルシリコン樹脂エマルションと水性ポリウレタン樹脂とを組み合せた水性塗料組成物に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の水性塗料組成物は以下の特徴を有するものである。
1.(A)反応性シリル基、水酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含む樹脂にシラン化合物を付加させて得られ、シリカ残量比率が0.1〜50重量%である合成樹脂エマルション、
(B)反応性シリル基を有する水性ポリウレタン樹脂
を含有し、
(A)成分と(B)成分の固形分重量比率が99:1〜1:99であることを特徴とする水性塗料組成物。
2.上記(A)成分におけるシラン化合物が、3官能アルコキシシラン類と2官能アルコキシシラン類を含むことを特徴とする1.に記載の水性塗料組成物。


【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分は、反応性シリル基、水酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含む樹脂に、シラン化合物を付加させて得られ、シリカ残量比率が0.1〜50重量%である合成樹脂エマルション(以下「(A)成分」という)である。
【0010】
(A)成分における官能基としては、シラン化合物と強固な化学結合が形成可能な点で、反応性シリル基が好適である。反応性シリル基は、珪素原子にアルコキシル基、水酸基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン等が結合したものである。この中でも、珪素原子にアルコキシル基が結合したアルコキシシリル基、珪素原子に水酸基が結合したシラノール基から選ばれる1種以上が特に好適である。
【0011】
(A)成分は、例えば、以下の方法によって得ることができる。
▲1▼反応性シリル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、及びカルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種以上のモノマーを共重合した樹脂に、シラン化合物を付加させる。
▲2▼樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤とを反応させ、さらにシラン化合物を付加させる。
【0012】
上記▲1▼における反応性シリル基含有モノマーは、反応性シリル基と重合性二重結合を含有する化合物であり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等を使用することができる。
【0013】
上記▲1▼における水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記▲1▼におけるカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0014】
上記▲1▼、▲2▼におけるシラン化合物としては、反応性シリル基を一分子中に2個以上有するものが用いられる(ただし、重合性二重結合を含有する化合物を除く)。シラン化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等の3官能アルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン類;テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン等のアセトキシシラン類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、反応性シリル基を一分子中に1個有する化合物を併用することもできる。本発明では、特に、3官能アルコキシシラン類と2官能アルコキシシラン類とを併用することが望ましい。
【0015】
上記▲2▼における官能基の組み合わせとしては、水酸基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、アルコキシシリル基どうし等が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、一分子中に、少なくとも1個以上の反応性シリル基とそのほかの置換基を有する化合物であり、具体的には、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート官能性シラン等が挙げられる。
【0016】
(A)成分の共重合モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸含有ビニルモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等の塩素含有モノマー;エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のアルキレングリコールモノアリルエーテル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;エチレン、プロピレン、イソブチレン等を使用することができる。この他、エチレン性不飽和二重結合含有紫外線吸収剤、エチレン性不飽和二重結合含有光安定剤等を用いることもできる。
【0017】
(A)成分においては、(A)成分の固形分中にシリカ残量比率が0.1〜50重量%(好ましくは0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%)となるようにシラン化合物が付加される。本発明では、シリカ残量比率がこのような範囲内となるようにシラン化合物を付加させることにより、耐候性、耐汚染性等の塗膜物性を向上させることができる。さらに(B)成分との相溶性を十分に高めることもできる。(A)成分のシリカ残量比率が小さすぎる場合は、耐候性や耐汚染性等が低下する傾向となる。(B)成分との相溶性改善効果を得ることもできない。(A)成分のシリカ残量比率が大きすぎる場合は、貯蔵安定性を確保することが難しく、形成塗膜においては密着性不良や、割れ発生等を引き起こすおそれがある。
【0018】
なお、シリカ残量比率とは、Si−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO)となって残る重量分にて表したものである。
一般に、アルコキシシランやシリケート等は、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノールどうしやシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO)となる。これらの反応は一般式、
RO(Si(OR)O)R+(n+1)HO→nSiO+(2n+2)ROH
という反応式で表される。本発明におけるシリカ残量比率は、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
【0019】
(A)成分の重量平均分子量は30000以上、さらには50000以上であることが望ましい。分子量が30000以上であることにより、耐候性、硬度、耐汚染性、耐水性等を向上させることができる。
また、(A)成分のガラス転移温度(以下「Tg」という)は、通常−10〜100℃、好ましくは0〜80℃である。Tgが−10℃より低い場合は塗膜に汚染物質が付着しやくなる。Tgが100℃より高い場合は塗膜に割れが生じやすくなる。
【0020】
本発明における(B)成分は、反応性シリル基を有する水性ポリウレタン樹脂(以下「(B)成分」という)である。(B)成分としては、1分子中に反応性シリル基を1個以上含有する水性ポリウレタン樹脂であれば、特に限定されず使用することができる。(B)成分における反応性シリル基としては、アルコキシシリル基、シラノール基から選ばれる1種以上が特に好適である。
本発明では、(B)成分がこのような反応性シリル基を有することにより、塗料の貯蔵安定性を確保することができ、(A)成分と(B)成分との相溶性を高めることもできる。さらに、本発明では(A)成分と(B)成分を組み合わせることによって、十分な可とう性を有するとともに、耐候性、耐汚染性等に優れた塗膜を得ることもできる。
【0021】
(B)成分は、例えば、以下の方法によって得ることができる。
▲3▼イソシアネート基含有化合物(p)と、活性水素及び反応性シリル基を含有する化合物(q)とを反応させる。
▲4▼活性水素含有化合物(r)と、イソシアネート基及び反応性シリル基を含有する化合物(s)とを反応させる。
【0022】
上記▲3▼におけるイソシアネート基含有化合物(以下「(p)成分」という)は、ポリイソシアネート化合物、あるいはポリイソシアネート化合物とポリオール化合物等との合成物等を使用することができる。
このうち、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及びその誘導体等を使用することができる。具体的には、キシリレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系ポリオール等を使用することができる。
(p)成分において、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を反応させる場合は、ポリアミン類やグリコール類等の鎖延長剤を使用することもできる。
【0023】
上記▲3▼における活性水素及び反応性シリル基を含有する化合物(以下「(q)成分」という)は、活性水素を有することによって(p)成分と反応することができるものである。活性水素を有する官能基としては、アミノ基、メルカプト基、水酸基等が挙げられる。
(q)成分としては、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
上記▲4▼における活性水素含有化合物(以下「(r)成分」という)としては、ポリオール化合物が好適である。このようなポリオール化合物は、分子中にウレタン結合等を有するものであってもよい。
【0025】
上記▲4▼におけるイソシアネート基及び反応性シリル基を含有する化合物(以下「(s)成分」という)としては、例えば、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
【0026】
(B)成分の形態は、水溶性樹脂、水分散性樹脂のいずれであってもよい。
(B)成分に親水性を付与するためには、活性水素及び親水性基含有化合物を含有する化合物(以下「(t)成分」という)を反応させればよい。例えば、上記▲3▼においては、(p)成分の合成時及び/または合成後に(t)成分を反応させることができる。上記▲4▼においては、(r)成分の合成時に(t)成分を反応させることができる。
親水性基としては、カルボキシル基、スルホン基、ポリオキシアルキレン基、4級アンモニウム基等が挙げられる。このうち、好ましい親水性基はカルボキシル基である。
【0027】
本発明の水性塗料組成物では、(A)成分と(B)成分の固形分重量比率が99:1〜1:99(好ましくは95:5〜20:80、さらに好ましくは90:10〜40:60)となるように両成分を混合する。このような範囲内であれば、耐候性、耐汚染性、密着性等の塗膜物性のバランスが良好な塗膜を形成することができる。また、本発明では、(B)成分の比率が比較的高い場合であっても、(A)成分と(B)成分の相溶性を確保することができる。
【0028】
本発明では、上述の成分の他に、ポリオキシアルキレン基を有するポリシロキサン化合物(但し、ウレタン結合を有するものを除く)を混合することによって、塗料の貯蔵安定性をいっそう高めることができる。このような化合物としては、特に、ポリオキシアルキレン基の末端が−OH基であって、水酸基価が5〜150KOHmg/g(好ましくは10〜100KOHmg/g、より好ましくは40〜80KOHmg/g)であるものが好適である。
【0029】
本発明の水性塗料組成物を着色塗料として使用する場合は、無機系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料等の顔料を混合することができる。
【0030】
無機系着色顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等、有機系着色顔料としては、例えば、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等が使用できる。体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム等を使用することができる。
【0031】
顔料の混合量は、(A)成分と(B)成分の合計固形分100重量部に対し、通常5〜600重量部程度である。特に5〜100重量部の場合は、有光沢の塗膜を得ることができる。本発明では、(A)成分と(B)成分の相溶性が良好であるため、高光沢の塗膜を形成することもできる。
【0032】
本発明組成物においては、通常塗料に使用可能な成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、骨材、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0033】
本発明組成物のpHは通常5〜10、好ましくは6〜8である。pHがこのような範囲内に調整されることにより、十分な貯蔵安定性、塗膜物性を確保することができる。
【0034】
本発明組成物は、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用することができ、主に建築物、土木構築物等の躯体の保護に使用するものである。この際、本発明の水性塗料組成物は、最終の仕上面に施されているものであり、基材に直接塗装することもできるし、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー等による下地処理等)を施した上に塗装することも可能である。塗装方法としては、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の方法を採用することができる。建材を工場内で塗装する場合は、ロールコーター、フローコーター等によって塗装することも可能である。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0036】
なお、実施例において使用した原料は以下の通りである。
・合成樹脂エマルションA:アクリルシリコン樹脂エマルション(メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−アクリル酸−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体のメチルトリメトキシシラン・ジメチルジメトキシシラン付加物、Tg25℃、固形分50重量%、pH7.0、シリカ残量比率3重量%)
・合成樹脂エマルションB:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体、Tg25℃、固形分50重量%、pH7.3)
・水性ポリウレタン樹脂A:アルコキシシリル基含有ポリウレタン樹脂エマルション(固形分35重量%、pH7.2)
・水性ポリウレタン樹脂B:ポリウレタン樹脂エマルション(固形分35重量%、pH7.5)
・安定化剤:ポリオキシアルキレン基含有ポリシロキサン化合物(水酸基価45KOHmg/g)
・顔料:酸化チタン
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・増粘剤:会合性ポリマー系増粘剤
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
【0037】
(1)相溶性試験
合成樹脂エマルションと水性ポリウレタン樹脂を、固形分比率で95:5、50:50となるように混合した試料を、すきま0.125mmのフィルムアプリケータを用いてガラス板上に塗付し、130℃に設定した乾燥器中で5分間乾燥した。以上の操作によって得られた塗膜について、その外観を確認した。評価は以下のとおりである。
○:異常なし
△:わずかに白化または曇りが認められる
×:明らかに白化または曇りが認められる
【0038】
相溶性試験における樹脂の組み合わせ、及び試験結果を表1に示す。合成樹脂エマルションAと水性ポリウレタン樹脂Aの組み合わせでは、どの混合比率であっても塗膜に白化、曇り等の異常が認められず、相溶性に優れる結果となった。
【0039】
【表1】
Figure 0004520102
【0040】
(2)貯蔵安定性試験
表2に示す配合によって各原料を常法で均一に混合し、水性塗料組成物を製造した。得られた水性塗料組成物について、BH型粘度計(回転数20rpm、測定温度23℃)で粘度を測定した後、250ccの容器に200g入れて密封した後、50℃の恒温器で一定期間(7日間、28日間)貯蔵した。貯蔵後の塗料を標準状態で放冷後、粘度をBH型粘度計で測定し、貯蔵前の粘度に対する変化を調べた。評価は以下のとおりである。
◎:粘度変化10%未満
○:粘度変化10%以上30%未満
△:粘度変化30%以上50%未満
×:粘度変化50%以上
【0041】
(3)耐候性試験
予めシーラーを塗装した100×40×6mmのスレート板に、表2に示す配合の水性塗料組成物を塗付量300g/mでスプレー塗装し、標準状態で14日間養生した。得られた試験体について、促進耐候性試験機としてスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用い、光照射6時間・結露2時間(計8時間)を1サイクルとして40サイクルまで試験を行った。評価は40サイクル後の光沢保持率を測定することによって行った。
◎:光沢保持率90%以上
○:光沢保持率80%以上90%未満
△:光沢保持率70%以上80%未満
×:光沢保持率70%未満
【0042】
【表2】
Figure 0004520102
【0043】
【表3】
Figure 0004520102
【0044】
貯蔵安定性試験及び耐候性試験の結果を表3に示す。
本発明の水性塗料組成物である配合例1及び配合例2は、いずれの試験においても優れた結果を得ることができた。
これに対し、水性ウレタン樹脂として反応性シリル基を含有しない化合物を使用した配合例3及び配合例4は、貯蔵安定性に劣る結果となった。配合例5については、耐候性に劣る結果となった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、アクリルシリコン樹脂とウレタン樹脂を含む水性塗料において、その貯蔵安定性を改善し、実用的な安定性を確保することができる。さらに、アクリルシリコン樹脂とウレタン樹脂との相溶性を高め、塗膜物性を改善することもできる。

Claims (2)

  1. (A)反応性シリル基、水酸基、及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種以上の官能基を含む樹脂にシラン化合物を付加させて得られ、シリカ残量比率が0.1〜50重量%である合成樹脂エマルション、
    (B)反応性シリル基を有する水性ポリウレタン樹脂
    を含有し、
    (A)成分と(B)成分の固形分重量比率が99:1〜1:99であることを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 上記(A)成分におけるシラン化合物が、3官能アルコキシシラン類と2官能アルコキシシラン類を含むことを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
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