JP2005001161A - ガスバリア積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスバリア特性を損なうことなく、生産過程で生じるアルコールやガスバリア用コーティング剤に使用した溶剤の残留濃度を大幅に低減し、ガスバリア性が発現するまでの時間短縮(エージング時間短縮)し得るガスバリア積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材(1)とSiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む(有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物を含む)組成物から得られる被覆層(2)とを有する積層体(3)で、前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】基材(1)とSiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む(有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物を含む)組成物から得られる被覆層(2)とを有する積層体(3)で、前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素、二酸化炭素、水蒸気などの気体の透過度が極めて小さいガスバリア積層体に関し、より詳しくは、高い品質保持機能や安全保証機能が求められる分野に好適に適用し得るガスバリア積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装、医療等の分野において、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気などの気体の透過度が極めて小さいガスバリア積層体に対する需要が増大している。
【0003】
ガスバリア積層体を製造する手法としては、▲1▼エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、芳香族系ナイロン等のガスバリア性を有する材料でフィルムそのものを形成する、▲2▼これらのガスバリア性を有する材料をフィルム基材にラミネートまたはコーティングする、▲3▼アルミ箔をフィルム基材にラミネートする、▲4▼フィルム基材表面に金属酸化物を蒸着する等の方法がある。
【0004】
しかしながら、これらのガスバリア性材料は、いずれも耐湿性、環境性、透明性、可撓性の全てを満足するものとはいえなかった。具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合体や芳香族系ナイロンは、雰囲気の湿度が大きくなるに従ってガスバリア性が大幅に低下してしまう。塩化ビニリデン系共重合体は塩素原子を含んでいるため、公害の原因となる恐れがある。アルミ箔をフィルム基材にラミネートした場合にはガスバリア積層体が不透明になり、包装物の内容を確認できなくなる。また、ガスバリア積層体表面に金属酸化物を蒸着した場合には蒸着層にクラックが生じ易く、ガスバリア性の低下が生じる。
【0005】
そこで、本発明者らは、これらの問題を解決すべく、ガスバリア用コーティング剤およびこれを用いてポリシロキサン系重合体を含む膜を表面に形成したガスバリア積層体を既に提案している(例えば、特許文献1参照。)。かかるガスバリア積層体は、高いガスバリア性を保持し、耐湿性、環境性、透明性、可撓性に優れたものであり、各種用途に適用するに当たり、非常に高い有用性を有するものといえる。
【0006】
しかしながら、ガスバリア用コーティング剤にアルコキシル基を含有する化合物を含む場合、製造過程で加水分解反応によりアルコールが出てくる。特にこうしたガスバリア積層体の多くは、ロールフィルム基材にガスバリア用コーティング剤を塗布、乾燥して被覆層(ガスバリア層)を形成した後、得られたガスバリア積層体のロールに巻き取る方法が取られている。しかしながら、こうしたアルコールや溶剤が抜ける速度が遅くロールに巻き取った後に、一定期間加温下で一定期間放置して、該アルコールや溶剤が抜けるのを待つ必要があり、生産性が落ちる原因となっている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−295848号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、ガスバリア特性を損なうことなく、生産過程で生じるアルコールやガスバリア用コーティング剤に使用した溶剤の残留濃度を大幅に低減し、ガスバリア性が発現するまでの時間短縮(エージング時間短縮)し得るガスバリア積層体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、(A) 基材(1)と、SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む組成物から得られる被覆層(2)と、を有する積層体(3)で、前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法である。
【0010】
また本発明は、(B) 前記被覆層(2)が、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合物(a−1)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分子内に有する有機化合物(a−2)、および下記式(I):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R2は水素原子または前記活性水素と反応しない官能基を有していてもよいアルキル基であり、R3は水素原子またはアルキル基であり、mは0以上の整数であり、nは1以上の整数であり、m+n=4であり、mまたはnが2以上の場合にはR2またはR3は異なっていてもよい)で表される有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)を反応して得られた組成物を用いて形成されてなる被覆層(2−1)である上記(A)に記載のガスバリア積層体の製造方法である。
【0013】
さらに本発明は、(C) 前記被覆層(2−1)が、前記有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)並びに有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)の合計配合量に対して、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)が、60〜90質量%含むものを反応して得られた組成物を用いて形成されてなるものである上記(B)に記載のガスバリア積層体の製造方法である。
【0014】
本発明者は、上記目的を達成すべくガスバリア積層体の製造方法に関し鋭意検討したところ、基材にガスバリア用コーティング剤を塗布、乾燥して形成した被覆層(ガスバリア層)に対して、ロール巻き取り前に、被覆面に水を塗布し、該被覆層に残留するアルコールなどの溶剤を水に溶解させ、これを乾燥することで、こうしたアルコールなどの溶剤も水と一緒に飛ばすことができ、ロール巻き取り後の放置期間(残留溶剤が抜けるのに要する期間)ないし熟成期間(被覆層内での架橋反応の進行によってガスバリア性が発現するまでの時間(エージング時間);残留溶剤が抜けるのに要する期間と略同じであるため、以下、特に断らない限りは、これらを総称して単に放置期間ともいう。)を格段に短縮ないし省略することができることを見出したものである。さらに、本発明者は、ガスバリア積層体の被覆層中のアルコール等の残留溶剤濃度を大幅に低減することにより、耐熱水試験後のガスバリア性向上効果を奏し得ることをも見出したものである。即ち、本発明の製造方法では、安全かつ簡便な方法でもって、むらなく残留溶剤を除去することができ、高品質で安全性の高いガスバリア積層体を安価に製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア積層体の製造方法は、基材(1)とSiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む組成物から得られる被覆層(2)とを有する積層体(3)で、前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法である。以下、製造工程に沿って、▲1▼基材(1)上に被覆層(2)を被覆する工程(単に、被覆工程ともいう)、▲2▼被覆面に水を塗布し乾燥する工程(単に、水処理工程ともいう)に分けて説明する。
【0016】
▲1▼基材(1)上に被覆層(2)を被覆する工程
当該被覆工程に関しては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の方法を適宜利用することができる。なお、ここで、基材(1)上への被覆層(2)の被覆するとは、基材(1)表面上に直接被覆層(2)を被覆形成する場合に制限されるものではなく、基材(1)と被覆層(2)との間に1層以上の中間層が被覆形成されている場合を含む。以下、説明の都合上、特に断らない限り、基材(1)と言う場合には、かかる中間層を形成したものも含めて単に基材(1)と称するものとする。また、使用用途に応じて、基材(1)の片面に被覆層(2)を被覆してもよいし、基材(1)の両面に被覆層(2)を被覆形成してもよい。したがって、次工程で言う被覆面とは、両面同時に被覆層(2)を形成するような場合には、両面に水を塗布することになる。
【0017】
まず、当該被覆工程に用いられる基材(1)は、使用用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限されるものではないが、プラスチックフィルムが好ましい。これは、該プラスチックフィルムを用いて被覆層を形成しロール状に巻き取る場合において、本発明の効果が顕著なためである。
【0018】
上記基材(1)として好適な材料としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどが挙げられる。熱安定性の観点からは、ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムがより好ましい。フィルム強度も考慮すると、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0019】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルが挙げられる。ポリアミドとしては、ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジポアミド、ポリメタキシリレンアジポアミドなどが挙げられる。基材(1)は無延伸のものであっても良いし、一軸あるいは二軸に延伸あるいは圧延されているものであっても構わない。また、これらの基材(1)は重合により合成してもよいし、市販されているフィルムを用いてもよい。
【0020】
基材(1)の形状は、特に限定されるものではなく、使用用途や作業性などを考慮して決定すればよい。厚さに関しても特に限定されるものではないが、薄すぎるとフィルム強度が不充分なものとなる恐れがあり、厚すぎると後工程での乾燥効率低下による生産性低下の可能性がある。このため、基材(1)の厚さは、一般的には5〜500μm、好ましくは7〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0021】
基材(1)上に被覆層(2)形成するには、まず該被覆層(2)を形成するために用いられる組成物(以下、「被覆層用組成物」とも記載)を予め調製し、これを基材(1)上に塗布することによって形成される。被覆層用組成物の調製方法については、例えば、特開平8−295848号公報などに記載されている手法を適宜参照することができる。
【0022】
被覆層用組成物の一実施形態は、前記SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含むものであればよい。SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む化合物の例としては、例えば、下記式(II)
【0023】
【化3】
【0024】
(式中、R4は水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基であり、R1は水素原子またはアルキル基であり、xは0以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+y=4であり、xまたはyが2以上の場合にはR4またはR1は異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物が挙げられるが、これらに制限されるものではなく、後述する有機化合物(a−1)と、有機化合物(a−2)のうちSiOR5基(式中、R5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)を分子内に有してなる有機化合物(a−2)とを含むものなどが挙げられる(詳しくは後述するため、ここでの説明は省略する。)。
【0025】
上記式(II)において、R4は水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基といった分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかでは、緻密な被覆層(2)を形成する上での反応容易性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。アルキル基に有され得る官能基としては、特に限定されるものではないが、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、水酸基、ビニル基が挙げられる。特に、ビニル基を有する場合には、耐熱性が向上する効果がある。なお、R4は、xが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
前記式(II)において、R1は水素原子またはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基といった分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかでは、緻密な被覆層(2)を形成する上での反応容易性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。なお、R1は、yが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
前記式(II)において、xは0以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+y=4である。特に限定されるものではないが、形成される被覆層(2)の耐熱性、耐煮沸性、耐水性を考慮すると、x=0であり、y=4であることが好ましい。
【0028】
上記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類およびこれらの錯体化合物、メチルトリアセトキシシラン、トリメチルシラノール、並びにこれらの化合物を含む高分子有機ケイ素化合物類が挙げられる。この中では、被覆層(2)の耐湿性、耐水性などを考慮すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。なお、これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用して用いてもよい。
【0029】
上記有機ケイ素化合物の加水分解縮合物は、上記式(II)で表される有機ケイ素化合物の加水分解縮合によって得られる化合物である。有機ケイ素化合物の代わりに、または有機ケイ素化合物に加えて、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物を含んでもよいとしたのは、被覆層(2)を形成する際における有機化合物(詳しくは後述する有機化合物(a−1)や(a−2)が挙げられる。)および有機ケイ素化合物の不本意な乾燥を防止するためには、これらを予め加水分解縮合させておくことが好ましいからである。つまり、本発明の被覆層用組成物は、有機ケイ素化合物を含むものであってもよく、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物を含むものであってもよい。両者を含むものであってもよいことは勿論である。これらの加水分解縮合反応は、空気中に存在する水分によっても進行するが、酸または塩基等の公知の触媒を用いて反応効率を向上させてもよい。また、作業性を考慮すると、加水分解反応は溶媒中で行うことが好ましい。
【0030】
上記式(II)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物を含む被覆層用組成物には、他の成分が含まれていてもよい。例えば、後述する有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)などが含まれていてもよい。
【0031】
被覆層用組成物の他の実施形態は、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合物(a−1)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成し得る官能基を分子内に有する有機化合物(a−2)並びに下記式(I):
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、R2は水素原子または前記活性水素と反応しない官能基を有していてもよいアルキル基であり、R3は水素原子またはアルキル基であり、mは0以上の整数であり、nは1以上の整数であり、m+n=4であり、mまたはnが2以上の場合にはR2またはR3は異なっていてもよい)で表される有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)を含む。被覆層(2)のうち、上記(a−1)、(a−2)並びに(a−3)および/または(a−4)を含む被覆層用組成物から得られるものに関しては被覆層(2−1)とも称する。また本明細書中で特に断らない限り、単に被覆層(2)とした場合には、上記被覆層(2−1)も含まれるものとする。
【0034】
上記有機化合物(a−1)は、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有するものであれば特に限定されるものではない。本願において活性水素とは、反応性が強く各種の試薬と反応する水素原子をいい、具体的には、−NH−(式中、Nには他に水素原子が結合していない)または−NH2として分子中に存在する。有機化合物(a−1)からなる成分が被覆層用組成物に含まれる場合、形成される被覆層(2)の可撓性を高める上で特に効果がある。
【0035】
有機化合物(a−1)の分子量は特に限定されるものではないが、形成される被覆層(2)の製膜性や可撓性を考慮すると、高分子化合物であることが好ましい。有機化合物(a−1)としての高分子化合物は、数平均分子量が小さすぎると形成された被覆層(2)の可撓性が劣る恐れや、基材(1)や中間層、あるいは他の被覆層(2)上にコーティングして積層する際の製膜性が劣る恐れがある。このため、有機化合物(a−1)としての高分子化合物の数平均分子量は250以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。一方、数平均分子量が大きすぎると形成される被覆層(2)の透明性が劣る恐れがあり、また、被覆層(2)の可撓性が劣る恐れがある。このため、有機化合物(a−1)としての高分子化合物の数平均分子量は200000以下であることが好ましく、100000以下であることがより好ましく、10000以下であることが特に好ましい。ただし、数平均分子量では計測できない複雑な構造を持つものも有機化合物(a−1)として使用可能であり、本発明においてはこれらのものを排除するものではない。
【0036】
有機化合物(a−1)の具体例としては、エタノールアミンなどの低分子化合物や、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミンなどの高分子化合物が挙げられる。
【0037】
ポリアルキレンイミンとしては、ポリメチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリイソプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソブチレンイミンなどが挙げられる。ポリアルキレンイミンは各種公知の合成方法を用いて調製することができ、また、市販品を用いてもよい。例えば、株式会社日本触媒製のエポミンシリーズ;エポミンSP−003、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−103、エポミンSP−110、エポミンSP−200、エポミンSP−300、エポミンSP−1000、エポミンSP−1020(いずれも商品名)等のポリエチレンイミンを用いることができる。ポリアリルアミンとしては、各種公知の方法で合成したものを用いることができるほか、日東紡績株式会社製のPAA−L、PAA−H(いずれも商品名)などを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。上記列挙した有機化合物(a−1)のなかでは、被覆層(2)の透明性、耐熱性、可撓性、密着性を考慮すると、ポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンが特に好ましい。
【0038】
有機化合物(a−2)は、有機化合物(a−1)に含まれる窒素原子に結合した活性水素と反応してこの窒素原子と化学結合を形成し得る官能基を分子内に有するものであれば特に限定されるものではない。このような官能基としては、特に制限されるものではないが、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、(メタ)アクリル基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド基などが挙げられる。窒素原子に結合した活性水素との反応容易性、耐熱水性を考慮すると、エポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましい。なお、有機化合物(a−2)からなる成分を被覆層用組成物に含ませた場合、被覆層用組成物の製膜性を向上させる上で特に効果がある。
【0039】
有機化合物(a−2)は、特に制限されるべきものではないが、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル等の脂肪族モノ−,ジグリシジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、フェニルグリシジルエーテル等の脂肪族および芳香族モノ−,ジグリシジルエステル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルなどの芳香環またはその水素添加環(核置換誘導体も含む)を有するグリシジル類;グリシジル基を官能基として有するオリゴマー類;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリアクリル酸等のカルボキシル基含有重合体;オキサゾリニル基含有重合体などが挙げられる。
【0040】
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上記例示した有機化合物(a−2)の中では、芳香環または脂肪族環を有する有機化合物が好ましい。芳香環または脂肪族環を有する有機化合物を使用することにより、被覆層(2)の耐水性を向上させ得る。
【0041】
有機化合物(a−2)は、下記式(III):
【0042】
【化5】
【0043】
で表される官能基(以下、「SiOR5基」とも記載)を分子内に有していているものが望ましい。これは、SiOR5基を分子内に有していているものでは、組成物をコーティングして基材(1)上に被覆後に、該SiOR5基の加水分解反応によっても溶剤が発生することがあるため、本発明の製法を適用することで、より顕著に本発明の効果を享受し得るためである。上記式(III)中、R5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状(脂環式)アルキル基のいずれであってもよい。アルキル基の中では、被覆層(2)を緻密にする観点からは、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0044】
有機化合物(a−2)中にSiOR5基を有している場合には、有機化合物(a−1)と反応前または反応後にSiOR5基において加水分解縮合が進行する。また、後述の有機ケイ素化合物(a−3)に含まれる加水分解性縮合基との間で共加水分解縮合が進行する。これらの縮重合の作用により、ハードコート性に優れ、緻密な被覆層(2)の速やかな形成が可能となる。また、被覆層(2)の密着性を高める効果も有する。なお、有機化合物(a−1)が低分子化合物である場合には、有機化合物(a−2)との反応前に加水分解縮合しておくとよい。
【0045】
SiOR5基を有する有機化合物(a−2)の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基とSiOR5基を有するシランカップリング剤(以下、単にエポキシ基含有シランカップリング剤と省略することがある);γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネート基およびSiOR5基含有シランカップリング剤(以下、単にイソシアネート基含有シランカップリング剤と省略することがある)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用して用いてもよい。
【0046】
有機ケイ素化合物(a−3)は前記式(I)で表される化合物である。R2は、水素原子またはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基といった分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかでは、緻密な被覆層(2)を形成する上での反応容易性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。また、有機化合物(a−1)を被覆層用組成物中に含ませる場合には、上記R2の1種であるアルキル基は、さらに有機化合物(a−1)に含まれる窒素原子に結合した活性水素と反応しない官能基を有していてもよい。有機化合物(a−1)に含まれる前記活性水素と反応しない官能基としては、特に限定されるものではないが、ビニル基が挙げられる。ビニル基を有する場合、耐熱性が向上する効果がある。なお、R2は、mが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R3、m、およびnは、前記式(II)に関して説明したものと同様であるためここでは説明を省略する。具体的には、R1とR3、xとm、yとnがそれぞれ対応する。また、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(a−4)は、上記式(I)で表される有機ケイ素化合物(a−3)の加水分解縮合によって得られる化合物である。有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(a−4)に関しても前記式(II)に関して説明したものと同様であるため、説明を省略する。
【0047】
なお、この有機ケイ素化合物(a−3)およびその加水分解縮合物(a−4)は、有機化合物(a−1)が有する窒素原子に結合した活性水素と反応し得る官能基を有さない点で、有機化合物(a−2)とは明確に異なるものである。
【0048】
被覆層用組成物を調製する上で使用する化合物は、得られる特性を考慮して選択すればよい。前記(a−1)〜(a−4)から選択する場合には、(a−1)としてポリエチレンイミン、(a−2)としてエポキシ基含有シランカップリング剤、(a−3)としてテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いる、または、(a−1)としてアミノ基含有シランカップリング剤、(a−2)として芳香環もしくは脂肪族環を有するエポキシ化合物、(a−3)としてテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いる。以下、前記(a−1)〜(a−4)を用いて被覆層用組成物を製造する場合について説明するが、本願発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
前記(a−1)〜(a−4)から被覆層用組成物を製造するためには、まず、上述の(a−1)および(a−2)、必要に応じて(a−3)および/または(a−4)を反応させて、これらが反応した組成物を調製する。反応の媒体は、後述する溶媒(a−5)と同一の化合物を用いることができる。上述の(a−1)〜(a−4)を反応させて組成物を得る際の配合量は、他の添加剤の使用の有無などに応じて決定されるべきものであり、一義的に規定することはできないが、前記被覆層(2−1)では、前記(a−1)〜(a−4)から被覆層用組成物を製造するために前記(a−1)〜(a−4)の合計配合量に対して、前記(a−3)および/または(a−4)の配合量が、60〜90質量%の範囲で含まれるように調整するのが望ましい。前記(a−3)および/または(a−4)の配合量が60質量%未満の場合には、得られた被覆層の耐熱水性が劣ることがあり、90質量%を超える場合には、得られた被覆層の可とう性に劣ることがある。なお、「前記(a−3)および/または(a−4)の配合量」とは、両者の合計の配合量を意味するものであり、いずれか一方を含むものを反応させて被覆層用組成物が調製される場合には、一方の配合量を意味するものである。
【0050】
(a−1)〜(a−4)が配合される溶媒(a−5)は、有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)、有機ケイ素化合物(a−3)および/または有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(a−4)、ならびにこれらの反応生成物を溶解しうるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;メチルアセテート、エチルアセテート等のアセテート類;その他、エチルフェノールエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、水などが挙げられる。この中では、加水分解反応時の安定性や保存安定性に優れている点で、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。なお、これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用して用いてもよい。溶媒は、使用する成分(a−1)〜(a−4)との相性を考慮して選択するとよい。
【0051】
溶媒(a−5)の配合量は、特に限定されないが、被覆層用組成物(ここでは、溶媒(a−5)を含む)の全質量を100質量%としたときに、通常20〜97質量%、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは75〜90質量%の範囲である。溶媒(a−5)の配合量が20質量%未満の場合には、被覆層用組成物の反応安定性に劣ることがあり、また塗工中に、被覆層用組成物の粘度が上昇して均一塗工ができなくなる可能性がある。一方、97質量%を超える場合には、被覆層(2)を形成する際の生産性が劣ることがあるほか、有効成分が低濃度となり過ぎるため、必要な被覆層(2)の厚さを確保できない場合がある。
【0052】
また、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤などの各種添加剤を、被覆層用組成物の特性を損なわない範囲でさらに適量配合してもよい。
【0053】
被覆層用組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の方法を用いることができる。
【0054】
(1) 有機化合物(a−1)と、有機化合物(a−2)と、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)と、溶媒(a−5)とを含む配合成分(他の任意成分を含んでいても良い)を反応させる方法、
(2) 予め溶媒(a−5)中で、有機化合物(a−1)と有機化合物(a−2)とを反応させて、その後、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)を加える方法、
(3) 有機化合物(a−1)を含む溶媒(a−5)中で、有機化合物(a−2)と有機ケイ素化合物(a−3)とを加水分解縮合する方法、
などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。なお、溶媒(a−5)は、その調製段階や方法に応じて適当なものを適時、補充ないし追加することが望ましい。
【0055】
反応条件は、組成物中に有機化合物(a−1)の未反応物が実質的に残存しない条件とすることが好ましい。未反応の有機化合物(a−1)が残存していると、得られる被覆層(2)の安定性が低下する恐れがあるからである。例えば、30〜80℃程度で、0.5〜5時間程度反応させればよい。
【0056】
このようにして調製した被覆層用組成物を用いて、基材(1)上に被覆層(2)を被覆形成する。被覆層用組成物を塗布するには、各種コーティング法や印刷法などを用いることができる。例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法などが挙げられる。これらを組み合わせてもよい。通常は、被覆層用組成物は、乾燥後の被覆層(2)の厚さが0.1〜3.0μm、好ましくは0.3〜1.5μmになるように供給される。被覆層(2)の乾燥後の厚さが0.1μm未満であると、充分なガスバリア性が発現しない恐れがある。一方、被覆層(2)の乾燥後の厚さが3.0μmを超えると、クラックの発生や不充分な密着強度によって、ガスバリア性が低下する恐れがある。
【0057】
コーティング後は、被覆層用組成物の硬化および乾燥を行う。加熱を行う場合には、基材(1)の耐熱温度以下で加熱することが好ましい。ここで、基材(1)の耐熱温度とは、実質上、プラスチックフィルム等の基材(1)の特性が保持できる上限の温度のことを意味し、ガラス転移点、結晶化温度または分解点を意味する。硬化および乾燥の条件は、特に限定されないが、迅速に被覆層(2)を形成するためには60〜120℃で1〜300秒間処理するとよい。また、当該硬化および乾燥の際の圧力や雰囲気ガスに関しては、特に制限されるものではないが、通常は、常圧、空気雰囲気下で実施するのが経済的に有利である。また、後述する水処理工程と併用して行ってもよく、例えば、ミスト存在下で乾燥してもよい。
【0058】
また、本発明では、次の水処理工程で、被覆面に水を塗布した際に、被覆層(2)ないしその表面が水で流亡したり溶解しない程度に、硬化・乾燥できていればよい。すなわち、被覆層(2)が基板(1)に密着し、一定の形状保持性を有していればよく、いわゆる生乾き状態や半乾き状態であってもよい。この場合、濡れ性向上剤などの添加剤を用いなくとも被覆層(2)の被覆面で水を弾くことなく素早く水がなじんで、被覆層(2)中の残留溶剤を水に溶解させることができるためである。したがって、上記コーティング後の被覆層用組成物の硬化および乾燥条件は、本被覆工程では必ずしも上記要件を満足しなくてもよい。本発明では、本被覆工程で充分に硬化・乾燥した後に、後述する水処理工程を行うのが好ましい。これは、吸水による被覆層(2)の不均一化を防止するためである。
【0059】
▲2▼被覆面に水を塗布し乾燥する工程
次に、本発明の製造方法では、新たに当該水処理工程を行うことをその特徴とするものであり、これにより残留溶剤が抜けるのに要する期間を格段に短縮することができ、さらに、耐熱水試験後のガスバリア性を向上することができる。即ち、当該水処理工程を付加することにより、簡便にむらなく残留溶剤を除去することができ、高品質で安全性の高いガスバリア積層体を安価に製造することができる。
【0060】
まず、上記被覆工程で基材(1)上に形成された被覆層(2)の被覆面に水を塗布する。
【0061】
被覆面に塗布する水には、上述した本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、適当な添加剤を含んでいてもよい。例えば、濡れ性向上剤(せっけん等)を適量添加することで、被覆面全体に素早く均一に水を塗布することができ、水の使用量の節約になるなど、必要に応じて従来公知の各種添加剤を適宜使用できるものである。ただし、これらの一部は、被覆層(2)に残留することになるので、この点を充分に考慮して使用する添加剤及びその添加量を決定する必要がある。好ましくは添加剤全体で7質量%未満、言い換えれば、水が93質量%以上となるようにするのが望ましい。添加剤全体で7質量%以上となる場合には、得られるガスバリア積層体を食品包装材などの用途に利用した際に、該被覆層(2)に残留する添加剤によって、ガスバリア性能などに影響する場合がある。
【0062】
なお、水自身は、通常使われる上水が安価でよいが、純水、イオン交換水、超純水、井戸水、地下水など、本発明のガスバリア積層体に影響を及ぼさないレベルであれば、不純物(ミネラル分や塩素系殺菌剤など)を含んでいてもよいことはいうまでもない。
【0063】
被覆層(2)の被覆面に水を塗布する方法としては、特に制限されるべきものではなく、各種コーティング法や印刷法などを用いることができる。例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法などが挙げられる。これらを組み合わせてもよい。
【0064】
また、水を塗布する際の水温または雰囲気(特にスチームバスの場合)温度としては、当該水処理目的が達成できるものであればよく、室温〜100℃の広範囲で利用可能である。好ましくは、溶剤の水への溶解を促進させ、素早くむらなく被覆層から溶剤を取り除くことができるのが望ましく、続く乾燥時間の短縮にも有利なように、一定温度に温めた温水を用いるのが望ましく、具体的には、被覆層(2)を構成するポリマーとの間での熱振動による溶解促進効果などの観点から50℃以上が好ましく、特に50〜90℃の範囲が好ましい。
【0065】
上記水塗布後の乾燥条件としては、塗布した水を飛ばし、被覆層(2)を最終乾燥させることができるものであればよい。
【0066】
乾燥温度としては、水を塗布する際の温度条件などにもよるが、通常60〜120℃の範囲である。60℃未満の場合には乾燥に要する生産ラインが長く必要となるため不経済である。一方、120℃を超える場合には被覆層(2)にクラックが生じる場合がある。
【0067】
乾燥時間としては、被覆層表面に水が残らなければ充分である。
【0068】
本発明では、上記被覆工程と水処理工程の各工程ごとにそれぞれの目的に応じた条件にて乾燥処理を行うようにすればよいが、被覆工程での乾燥開始から当該水処理工程の乾燥終了まで、連続的に乾燥処理を行ってもよい。例えば、被覆層用組成物を塗布した基材(1)を連続乾燥炉内を走行させる途中で、水を塗布する領域を設けておけばよい。こうした連続焼結炉を用いることで、該乾燥炉内を通過する間、いわば連続して乾燥処理されながら、各工程が進行することになる。すなわち、連続焼結炉内に進入した被覆層用組成物を塗布した基材(1)は、はじめに(被覆工程での)硬化・乾燥処理が上記に規定した条件下でなされる。その後に水を塗布する領域を通過することで、基材(1)上の被覆層(2)の被覆面に水を塗布することができる。さらに乾燥炉内を進む間に(水処理工程での)最終乾燥が上記に規定した条件下で行われ、ガスバリア積層体として該乾燥炉から出てきたものをロールに巻き取るようにすることもできる。こうした場合には、連続乾燥炉を走行中は常に乾燥処理を受けていることになるが、連続乾燥内の温度分布は一定でなくてよく、各工程での処理条件に応じた温度になるように連続乾燥炉内の各工程に応じた領域ごとに温度制御すればよい。また、本発明では、水を塗布する際にも乾燥炉内の雰囲気温度を制御して乾燥状態におくこともできるが、さらに、基材(1)上の被覆層の被覆面に水を塗布しない側(裏面側)に直接熱風を吹き付けたり、赤外線を照射するなどして直接的に加熱乾燥するようにしてもよい。この場合、基材(1)を水平方向(傾斜していてもよいが垂直方向は除く)に走行させる場合、水を塗布する被覆面が上面側であれば、下面側から熱風を吹きつけたり、赤外線を照射するなどすればよいし、水を塗布する被覆面が下面側であれば、上面側から熱風を吹きつけたり、赤外線を照射するなどすればよい。水を塗布した後に、素早く水を除去する観点からは、後者の方が適しているともいえる。また、基材(1)を垂直方向に走行させる場合には、まさしく基材(1)に水を塗布する側を表面とすると、水を塗布しない側である裏面側から熱風を吹きつけたり、赤外線を照射するなどすればよい。
【0069】
次に、本発明では、水処理工程を行った後に、高温多湿の環境下においても被覆層(2)に高いガスバリア性を発現させるためには、熟成(エージング)処理を行うのが望ましい。従来法では、この熟成(エージング)処理期間も利用して残留溶剤を除去するのに利用していたが、本発明では、こうした必要が無いため、実際上、高温多湿の環境下においても被覆層(2)に高いガスバリア性を発現させるために必要な期間のみ熟成(エージング)処理を行えばよく、かかる熟成期間の大幅な短縮にもつながるものである。熟成処理には、加熱処理やコロナ処理など従来公知の方法を利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【実施例】
続いて、実施例および比較例を用いて、本発明の有用性について具体的に説明する。なお、各物性の測定に用いた装置および条件は以下の通りである。
【0071】
<ガスバリア性(酸素透過度)測定>
モダンコントロールズ社製酸素透過度測定装置MHを用いた。測定は、耐熱水試験前および耐熱水試験後のいずれも20℃90%Rhで測定した。
【0072】
<耐熱水試験>
試験片(実施例1のガスバリア積層体1ないし比較例1の比較用ガスバリア積層体1)を20cm各の大きさで切り出し、95℃の熱水に20分間浸漬した後、取り出して、20℃で6時間放置後、耐熱水試験を終了する。
【0073】
<残存溶剤量(濃度)測定>
実施例1で説明したとおりである。
【0074】
<参考例1:被覆層用組成物1の調製>
有機化合物(a−1)としてポリエチレンイミン(500g:株式会社日本触媒製エポミンSP−200(商品名))、有機化合物(a−2)としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(300g)、および溶媒(a−5)としてエタノール(5kg)を混合した混合液を、70℃で3時間反応した。室温まで冷却後、この反応液に溶媒(a−5)として水(100g)とメタノール(3kg)との混合溶媒を加えて、室温で30分間反応し、さらに有機ケイ素化合物(a−3)としてテトラメトキシシラン(1.5kg:多摩化学工業株式会社製)と溶媒(a−5)としてエタノール(2kg)との混合液を加えた。これを室温で1時間反応(熟成)させて、被覆層用組成物1を得た。
【0075】
<実施例1>
▲1▼被覆工程
塗布機(バーコーター)で、基材(1)である厚さ12μmのPETフィルムに参考例1で得られた被覆層用組成物1を乾燥後の厚みが1μmになるように塗布し、100℃で7秒間硬化・乾燥した。
【0076】
▲2▼水処理工程
引き続いて、基材(1)のPETフィルム上に被覆された被覆層(2)の被覆面(塗布面)を85℃の熱水の入ったウォータバスに2秒間浸漬した後、100℃で20秒間乾燥して、ロールに巻き取って長さ500mの塗布ロールフィルムを得た。
【0077】
▲3▼熟成(エージング)工程
この塗布ロールフィルムを50℃で7日間熟成して、基材(1)と被覆層(2)とが積層されたガスバリア性ロールフィルム1を得た。
【0078】
▲4▼シーラント層(シーラントフィルム)の積層
ガスバリア性ロールフィルム1の被覆層(2)上に、ウレタン樹脂であるタケラックA3およびタケネートA−310(共に三井武田ケミカル株式会社製)を1:6(質量比)の比率で混合し、酢酸エチルで不揮発分が20質量%になるように希釈して、乾燥後の厚みが2.2μmになるように塗布し、80℃で10分間乾燥して接着剤層を形成した。その後、厚さ50μmのCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムをガスバリア性ロールフィルム(ガスバリア積層体1)の接着剤層塗布面と向き合うようにして貼り合わせ、40℃で2日間熟成して、ラミネートフィルム(ガスバリア積層体1)を得た。
【0079】
▲5▼このラミネートフィルム(ガスバリア積層体1)につき、上述した測定方法に従って酸素透過度測定を行った。また残存溶剤量(濃度)測定は下記のとおり行った。
【0080】
ラミネートフィルム(ガスバリア積層体1)を20cm各の大きさで切り出し、27mlの容器に密封後、80℃で30分間放置し、容器内のガス成分をガスクロマトグラフィーにより分析した。ガス中のメタノール濃度は、1mg/m2以下であった。
【0081】
比較例1
実施例1で熱水に浸漬しなかった以外は同様にして、比較用ラミネートフィルム(比較用ガスバリア積層体1)を得た。
【0082】
このラミネートフィルム(比較用ガスバリア積層体1)につき、酸素透過度測定及び残存溶剤量(濃度)測定を実施例1と同様にして行った。得られた物性結果を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、本発明のガスバリア積層体は、熱安定性に関して優れており、残存溶剤濃度が格段に低減できていることが確認できた。
【0085】
【発明の効果】
本発明のガスバリア積層体の製造方法では、極めて簡便かつ安価な方法によって、ガスバリア性が発現するまでの時間(エージング時間)を大幅に短縮することができ、得られるガスバリア積層体の非常に優れた熱安定性を有し、残存溶剤濃度が格段に低減することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素、二酸化炭素、水蒸気などの気体の透過度が極めて小さいガスバリア積層体に関し、より詳しくは、高い品質保持機能や安全保証機能が求められる分野に好適に適用し得るガスバリア積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装、医療等の分野において、酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気などの気体の透過度が極めて小さいガスバリア積層体に対する需要が増大している。
【0003】
ガスバリア積層体を製造する手法としては、▲1▼エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、芳香族系ナイロン等のガスバリア性を有する材料でフィルムそのものを形成する、▲2▼これらのガスバリア性を有する材料をフィルム基材にラミネートまたはコーティングする、▲3▼アルミ箔をフィルム基材にラミネートする、▲4▼フィルム基材表面に金属酸化物を蒸着する等の方法がある。
【0004】
しかしながら、これらのガスバリア性材料は、いずれも耐湿性、環境性、透明性、可撓性の全てを満足するものとはいえなかった。具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合体や芳香族系ナイロンは、雰囲気の湿度が大きくなるに従ってガスバリア性が大幅に低下してしまう。塩化ビニリデン系共重合体は塩素原子を含んでいるため、公害の原因となる恐れがある。アルミ箔をフィルム基材にラミネートした場合にはガスバリア積層体が不透明になり、包装物の内容を確認できなくなる。また、ガスバリア積層体表面に金属酸化物を蒸着した場合には蒸着層にクラックが生じ易く、ガスバリア性の低下が生じる。
【0005】
そこで、本発明者らは、これらの問題を解決すべく、ガスバリア用コーティング剤およびこれを用いてポリシロキサン系重合体を含む膜を表面に形成したガスバリア積層体を既に提案している(例えば、特許文献1参照。)。かかるガスバリア積層体は、高いガスバリア性を保持し、耐湿性、環境性、透明性、可撓性に優れたものであり、各種用途に適用するに当たり、非常に高い有用性を有するものといえる。
【0006】
しかしながら、ガスバリア用コーティング剤にアルコキシル基を含有する化合物を含む場合、製造過程で加水分解反応によりアルコールが出てくる。特にこうしたガスバリア積層体の多くは、ロールフィルム基材にガスバリア用コーティング剤を塗布、乾燥して被覆層(ガスバリア層)を形成した後、得られたガスバリア積層体のロールに巻き取る方法が取られている。しかしながら、こうしたアルコールや溶剤が抜ける速度が遅くロールに巻き取った後に、一定期間加温下で一定期間放置して、該アルコールや溶剤が抜けるのを待つ必要があり、生産性が落ちる原因となっている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−295848号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、ガスバリア特性を損なうことなく、生産過程で生じるアルコールやガスバリア用コーティング剤に使用した溶剤の残留濃度を大幅に低減し、ガスバリア性が発現するまでの時間短縮(エージング時間短縮)し得るガスバリア積層体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、(A) 基材(1)と、SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む組成物から得られる被覆層(2)と、を有する積層体(3)で、前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法である。
【0010】
また本発明は、(B) 前記被覆層(2)が、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合物(a−1)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分子内に有する有機化合物(a−2)、および下記式(I):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R2は水素原子または前記活性水素と反応しない官能基を有していてもよいアルキル基であり、R3は水素原子またはアルキル基であり、mは0以上の整数であり、nは1以上の整数であり、m+n=4であり、mまたはnが2以上の場合にはR2またはR3は異なっていてもよい)で表される有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)を反応して得られた組成物を用いて形成されてなる被覆層(2−1)である上記(A)に記載のガスバリア積層体の製造方法である。
【0013】
さらに本発明は、(C) 前記被覆層(2−1)が、前記有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)並びに有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)の合計配合量に対して、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)が、60〜90質量%含むものを反応して得られた組成物を用いて形成されてなるものである上記(B)に記載のガスバリア積層体の製造方法である。
【0014】
本発明者は、上記目的を達成すべくガスバリア積層体の製造方法に関し鋭意検討したところ、基材にガスバリア用コーティング剤を塗布、乾燥して形成した被覆層(ガスバリア層)に対して、ロール巻き取り前に、被覆面に水を塗布し、該被覆層に残留するアルコールなどの溶剤を水に溶解させ、これを乾燥することで、こうしたアルコールなどの溶剤も水と一緒に飛ばすことができ、ロール巻き取り後の放置期間(残留溶剤が抜けるのに要する期間)ないし熟成期間(被覆層内での架橋反応の進行によってガスバリア性が発現するまでの時間(エージング時間);残留溶剤が抜けるのに要する期間と略同じであるため、以下、特に断らない限りは、これらを総称して単に放置期間ともいう。)を格段に短縮ないし省略することができることを見出したものである。さらに、本発明者は、ガスバリア積層体の被覆層中のアルコール等の残留溶剤濃度を大幅に低減することにより、耐熱水試験後のガスバリア性向上効果を奏し得ることをも見出したものである。即ち、本発明の製造方法では、安全かつ簡便な方法でもって、むらなく残留溶剤を除去することができ、高品質で安全性の高いガスバリア積層体を安価に製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア積層体の製造方法は、基材(1)とSiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む組成物から得られる被覆層(2)とを有する積層体(3)で、前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法である。以下、製造工程に沿って、▲1▼基材(1)上に被覆層(2)を被覆する工程(単に、被覆工程ともいう)、▲2▼被覆面に水を塗布し乾燥する工程(単に、水処理工程ともいう)に分けて説明する。
【0016】
▲1▼基材(1)上に被覆層(2)を被覆する工程
当該被覆工程に関しては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の方法を適宜利用することができる。なお、ここで、基材(1)上への被覆層(2)の被覆するとは、基材(1)表面上に直接被覆層(2)を被覆形成する場合に制限されるものではなく、基材(1)と被覆層(2)との間に1層以上の中間層が被覆形成されている場合を含む。以下、説明の都合上、特に断らない限り、基材(1)と言う場合には、かかる中間層を形成したものも含めて単に基材(1)と称するものとする。また、使用用途に応じて、基材(1)の片面に被覆層(2)を被覆してもよいし、基材(1)の両面に被覆層(2)を被覆形成してもよい。したがって、次工程で言う被覆面とは、両面同時に被覆層(2)を形成するような場合には、両面に水を塗布することになる。
【0017】
まず、当該被覆工程に用いられる基材(1)は、使用用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限されるものではないが、プラスチックフィルムが好ましい。これは、該プラスチックフィルムを用いて被覆層を形成しロール状に巻き取る場合において、本発明の効果が顕著なためである。
【0018】
上記基材(1)として好適な材料としては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどが挙げられる。熱安定性の観点からは、ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムがより好ましい。フィルム強度も考慮すると、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0019】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルが挙げられる。ポリアミドとしては、ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジポアミド、ポリメタキシリレンアジポアミドなどが挙げられる。基材(1)は無延伸のものであっても良いし、一軸あるいは二軸に延伸あるいは圧延されているものであっても構わない。また、これらの基材(1)は重合により合成してもよいし、市販されているフィルムを用いてもよい。
【0020】
基材(1)の形状は、特に限定されるものではなく、使用用途や作業性などを考慮して決定すればよい。厚さに関しても特に限定されるものではないが、薄すぎるとフィルム強度が不充分なものとなる恐れがあり、厚すぎると後工程での乾燥効率低下による生産性低下の可能性がある。このため、基材(1)の厚さは、一般的には5〜500μm、好ましくは7〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0021】
基材(1)上に被覆層(2)形成するには、まず該被覆層(2)を形成するために用いられる組成物(以下、「被覆層用組成物」とも記載)を予め調製し、これを基材(1)上に塗布することによって形成される。被覆層用組成物の調製方法については、例えば、特開平8−295848号公報などに記載されている手法を適宜参照することができる。
【0022】
被覆層用組成物の一実施形態は、前記SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含むものであればよい。SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む化合物の例としては、例えば、下記式(II)
【0023】
【化3】
【0024】
(式中、R4は水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基であり、R1は水素原子またはアルキル基であり、xは0以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+y=4であり、xまたはyが2以上の場合にはR4またはR1は異なっていてもよい。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物が挙げられるが、これらに制限されるものではなく、後述する有機化合物(a−1)と、有機化合物(a−2)のうちSiOR5基(式中、R5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)を分子内に有してなる有機化合物(a−2)とを含むものなどが挙げられる(詳しくは後述するため、ここでの説明は省略する。)。
【0025】
上記式(II)において、R4は水素原子または官能基を有していてもよいアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基といった分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかでは、緻密な被覆層(2)を形成する上での反応容易性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。アルキル基に有され得る官能基としては、特に限定されるものではないが、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、チオール基、水酸基、ビニル基が挙げられる。特に、ビニル基を有する場合には、耐熱性が向上する効果がある。なお、R4は、xが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
前記式(II)において、R1は水素原子またはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基といった分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかでは、緻密な被覆層(2)を形成する上での反応容易性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。なお、R1は、yが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
前記式(II)において、xは0以上の整数であり、yは1以上の整数であり、x+y=4である。特に限定されるものではないが、形成される被覆層(2)の耐熱性、耐煮沸性、耐水性を考慮すると、x=0であり、y=4であることが好ましい。
【0028】
上記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類およびこれらの錯体化合物、メチルトリアセトキシシラン、トリメチルシラノール、並びにこれらの化合物を含む高分子有機ケイ素化合物類が挙げられる。この中では、被覆層(2)の耐湿性、耐水性などを考慮すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。なお、これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用して用いてもよい。
【0029】
上記有機ケイ素化合物の加水分解縮合物は、上記式(II)で表される有機ケイ素化合物の加水分解縮合によって得られる化合物である。有機ケイ素化合物の代わりに、または有機ケイ素化合物に加えて、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物を含んでもよいとしたのは、被覆層(2)を形成する際における有機化合物(詳しくは後述する有機化合物(a−1)や(a−2)が挙げられる。)および有機ケイ素化合物の不本意な乾燥を防止するためには、これらを予め加水分解縮合させておくことが好ましいからである。つまり、本発明の被覆層用組成物は、有機ケイ素化合物を含むものであってもよく、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物を含むものであってもよい。両者を含むものであってもよいことは勿論である。これらの加水分解縮合反応は、空気中に存在する水分によっても進行するが、酸または塩基等の公知の触媒を用いて反応効率を向上させてもよい。また、作業性を考慮すると、加水分解反応は溶媒中で行うことが好ましい。
【0030】
上記式(II)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物を含む被覆層用組成物には、他の成分が含まれていてもよい。例えば、後述する有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)などが含まれていてもよい。
【0031】
被覆層用組成物の他の実施形態は、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合物(a−1)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成し得る官能基を分子内に有する有機化合物(a−2)並びに下記式(I):
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、R2は水素原子または前記活性水素と反応しない官能基を有していてもよいアルキル基であり、R3は水素原子またはアルキル基であり、mは0以上の整数であり、nは1以上の整数であり、m+n=4であり、mまたはnが2以上の場合にはR2またはR3は異なっていてもよい)で表される有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)を含む。被覆層(2)のうち、上記(a−1)、(a−2)並びに(a−3)および/または(a−4)を含む被覆層用組成物から得られるものに関しては被覆層(2−1)とも称する。また本明細書中で特に断らない限り、単に被覆層(2)とした場合には、上記被覆層(2−1)も含まれるものとする。
【0034】
上記有機化合物(a−1)は、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有するものであれば特に限定されるものではない。本願において活性水素とは、反応性が強く各種の試薬と反応する水素原子をいい、具体的には、−NH−(式中、Nには他に水素原子が結合していない)または−NH2として分子中に存在する。有機化合物(a−1)からなる成分が被覆層用組成物に含まれる場合、形成される被覆層(2)の可撓性を高める上で特に効果がある。
【0035】
有機化合物(a−1)の分子量は特に限定されるものではないが、形成される被覆層(2)の製膜性や可撓性を考慮すると、高分子化合物であることが好ましい。有機化合物(a−1)としての高分子化合物は、数平均分子量が小さすぎると形成された被覆層(2)の可撓性が劣る恐れや、基材(1)や中間層、あるいは他の被覆層(2)上にコーティングして積層する際の製膜性が劣る恐れがある。このため、有機化合物(a−1)としての高分子化合物の数平均分子量は250以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。一方、数平均分子量が大きすぎると形成される被覆層(2)の透明性が劣る恐れがあり、また、被覆層(2)の可撓性が劣る恐れがある。このため、有機化合物(a−1)としての高分子化合物の数平均分子量は200000以下であることが好ましく、100000以下であることがより好ましく、10000以下であることが特に好ましい。ただし、数平均分子量では計測できない複雑な構造を持つものも有機化合物(a−1)として使用可能であり、本発明においてはこれらのものを排除するものではない。
【0036】
有機化合物(a−1)の具体例としては、エタノールアミンなどの低分子化合物や、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミンなどの高分子化合物が挙げられる。
【0037】
ポリアルキレンイミンとしては、ポリメチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリイソプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソブチレンイミンなどが挙げられる。ポリアルキレンイミンは各種公知の合成方法を用いて調製することができ、また、市販品を用いてもよい。例えば、株式会社日本触媒製のエポミンシリーズ;エポミンSP−003、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−103、エポミンSP−110、エポミンSP−200、エポミンSP−300、エポミンSP−1000、エポミンSP−1020(いずれも商品名)等のポリエチレンイミンを用いることができる。ポリアリルアミンとしては、各種公知の方法で合成したものを用いることができるほか、日東紡績株式会社製のPAA−L、PAA−H(いずれも商品名)などを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。上記列挙した有機化合物(a−1)のなかでは、被覆層(2)の透明性、耐熱性、可撓性、密着性を考慮すると、ポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンが特に好ましい。
【0038】
有機化合物(a−2)は、有機化合物(a−1)に含まれる窒素原子に結合した活性水素と反応してこの窒素原子と化学結合を形成し得る官能基を分子内に有するものであれば特に限定されるものではない。このような官能基としては、特に制限されるものではないが、エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、(メタ)アクリル基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド基などが挙げられる。窒素原子に結合した活性水素との反応容易性、耐熱水性を考慮すると、エポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましい。なお、有機化合物(a−2)からなる成分を被覆層用組成物に含ませた場合、被覆層用組成物の製膜性を向上させる上で特に効果がある。
【0039】
有機化合物(a−2)は、特に制限されるべきものではないが、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル等の脂肪族モノ−,ジグリシジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、フェニルグリシジルエーテル等の脂肪族および芳香族モノ−,ジグリシジルエステル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルなどの芳香環またはその水素添加環(核置換誘導体も含む)を有するグリシジル類;グリシジル基を官能基として有するオリゴマー類;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリアクリル酸等のカルボキシル基含有重合体;オキサゾリニル基含有重合体などが挙げられる。
【0040】
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上記例示した有機化合物(a−2)の中では、芳香環または脂肪族環を有する有機化合物が好ましい。芳香環または脂肪族環を有する有機化合物を使用することにより、被覆層(2)の耐水性を向上させ得る。
【0041】
有機化合物(a−2)は、下記式(III):
【0042】
【化5】
【0043】
で表される官能基(以下、「SiOR5基」とも記載)を分子内に有していているものが望ましい。これは、SiOR5基を分子内に有していているものでは、組成物をコーティングして基材(1)上に被覆後に、該SiOR5基の加水分解反応によっても溶剤が発生することがあるため、本発明の製法を適用することで、より顕著に本発明の効果を享受し得るためである。上記式(III)中、R5は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状(脂環式)アルキル基のいずれであってもよい。アルキル基の中では、被覆層(2)を緻密にする観点からは、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0044】
有機化合物(a−2)中にSiOR5基を有している場合には、有機化合物(a−1)と反応前または反応後にSiOR5基において加水分解縮合が進行する。また、後述の有機ケイ素化合物(a−3)に含まれる加水分解性縮合基との間で共加水分解縮合が進行する。これらの縮重合の作用により、ハードコート性に優れ、緻密な被覆層(2)の速やかな形成が可能となる。また、被覆層(2)の密着性を高める効果も有する。なお、有機化合物(a−1)が低分子化合物である場合には、有機化合物(a−2)との反応前に加水分解縮合しておくとよい。
【0045】
SiOR5基を有する有機化合物(a−2)の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基とSiOR5基を有するシランカップリング剤(以下、単にエポキシ基含有シランカップリング剤と省略することがある);γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネート基およびSiOR5基含有シランカップリング剤(以下、単にイソシアネート基含有シランカップリング剤と省略することがある)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用して用いてもよい。
【0046】
有機ケイ素化合物(a−3)は前記式(I)で表される化合物である。R2は、水素原子またはアルキル基である。アルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基といった直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基といった分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基といった環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。このなかでは、緻密な被覆層(2)を形成する上での反応容易性の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。また、有機化合物(a−1)を被覆層用組成物中に含ませる場合には、上記R2の1種であるアルキル基は、さらに有機化合物(a−1)に含まれる窒素原子に結合した活性水素と反応しない官能基を有していてもよい。有機化合物(a−1)に含まれる前記活性水素と反応しない官能基としては、特に限定されるものではないが、ビニル基が挙げられる。ビニル基を有する場合、耐熱性が向上する効果がある。なお、R2は、mが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。R3、m、およびnは、前記式(II)に関して説明したものと同様であるためここでは説明を省略する。具体的には、R1とR3、xとm、yとnがそれぞれ対応する。また、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(a−4)は、上記式(I)で表される有機ケイ素化合物(a−3)の加水分解縮合によって得られる化合物である。有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(a−4)に関しても前記式(II)に関して説明したものと同様であるため、説明を省略する。
【0047】
なお、この有機ケイ素化合物(a−3)およびその加水分解縮合物(a−4)は、有機化合物(a−1)が有する窒素原子に結合した活性水素と反応し得る官能基を有さない点で、有機化合物(a−2)とは明確に異なるものである。
【0048】
被覆層用組成物を調製する上で使用する化合物は、得られる特性を考慮して選択すればよい。前記(a−1)〜(a−4)から選択する場合には、(a−1)としてポリエチレンイミン、(a−2)としてエポキシ基含有シランカップリング剤、(a−3)としてテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いる、または、(a−1)としてアミノ基含有シランカップリング剤、(a−2)として芳香環もしくは脂肪族環を有するエポキシ化合物、(a−3)としてテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いる。以下、前記(a−1)〜(a−4)を用いて被覆層用組成物を製造する場合について説明するが、本願発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
前記(a−1)〜(a−4)から被覆層用組成物を製造するためには、まず、上述の(a−1)および(a−2)、必要に応じて(a−3)および/または(a−4)を反応させて、これらが反応した組成物を調製する。反応の媒体は、後述する溶媒(a−5)と同一の化合物を用いることができる。上述の(a−1)〜(a−4)を反応させて組成物を得る際の配合量は、他の添加剤の使用の有無などに応じて決定されるべきものであり、一義的に規定することはできないが、前記被覆層(2−1)では、前記(a−1)〜(a−4)から被覆層用組成物を製造するために前記(a−1)〜(a−4)の合計配合量に対して、前記(a−3)および/または(a−4)の配合量が、60〜90質量%の範囲で含まれるように調整するのが望ましい。前記(a−3)および/または(a−4)の配合量が60質量%未満の場合には、得られた被覆層の耐熱水性が劣ることがあり、90質量%を超える場合には、得られた被覆層の可とう性に劣ることがある。なお、「前記(a−3)および/または(a−4)の配合量」とは、両者の合計の配合量を意味するものであり、いずれか一方を含むものを反応させて被覆層用組成物が調製される場合には、一方の配合量を意味するものである。
【0050】
(a−1)〜(a−4)が配合される溶媒(a−5)は、有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)、有機ケイ素化合物(a−3)および/または有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(a−4)、ならびにこれらの反応生成物を溶解しうるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;メチルアセテート、エチルアセテート等のアセテート類;その他、エチルフェノールエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、水などが挙げられる。この中では、加水分解反応時の安定性や保存安定性に優れている点で、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。なお、これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種以上を併用して用いてもよい。溶媒は、使用する成分(a−1)〜(a−4)との相性を考慮して選択するとよい。
【0051】
溶媒(a−5)の配合量は、特に限定されないが、被覆層用組成物(ここでは、溶媒(a−5)を含む)の全質量を100質量%としたときに、通常20〜97質量%、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは75〜90質量%の範囲である。溶媒(a−5)の配合量が20質量%未満の場合には、被覆層用組成物の反応安定性に劣ることがあり、また塗工中に、被覆層用組成物の粘度が上昇して均一塗工ができなくなる可能性がある。一方、97質量%を超える場合には、被覆層(2)を形成する際の生産性が劣ることがあるほか、有効成分が低濃度となり過ぎるため、必要な被覆層(2)の厚さを確保できない場合がある。
【0052】
また、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤などの各種添加剤を、被覆層用組成物の特性を損なわない範囲でさらに適量配合してもよい。
【0053】
被覆層用組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の方法を用いることができる。
【0054】
(1) 有機化合物(a−1)と、有機化合物(a−2)と、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)と、溶媒(a−5)とを含む配合成分(他の任意成分を含んでいても良い)を反応させる方法、
(2) 予め溶媒(a−5)中で、有機化合物(a−1)と有機化合物(a−2)とを反応させて、その後、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)を加える方法、
(3) 有機化合物(a−1)を含む溶媒(a−5)中で、有機化合物(a−2)と有機ケイ素化合物(a−3)とを加水分解縮合する方法、
などが挙げられるが、これらに何ら制限されるべきものではない。なお、溶媒(a−5)は、その調製段階や方法に応じて適当なものを適時、補充ないし追加することが望ましい。
【0055】
反応条件は、組成物中に有機化合物(a−1)の未反応物が実質的に残存しない条件とすることが好ましい。未反応の有機化合物(a−1)が残存していると、得られる被覆層(2)の安定性が低下する恐れがあるからである。例えば、30〜80℃程度で、0.5〜5時間程度反応させればよい。
【0056】
このようにして調製した被覆層用組成物を用いて、基材(1)上に被覆層(2)を被覆形成する。被覆層用組成物を塗布するには、各種コーティング法や印刷法などを用いることができる。例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法などが挙げられる。これらを組み合わせてもよい。通常は、被覆層用組成物は、乾燥後の被覆層(2)の厚さが0.1〜3.0μm、好ましくは0.3〜1.5μmになるように供給される。被覆層(2)の乾燥後の厚さが0.1μm未満であると、充分なガスバリア性が発現しない恐れがある。一方、被覆層(2)の乾燥後の厚さが3.0μmを超えると、クラックの発生や不充分な密着強度によって、ガスバリア性が低下する恐れがある。
【0057】
コーティング後は、被覆層用組成物の硬化および乾燥を行う。加熱を行う場合には、基材(1)の耐熱温度以下で加熱することが好ましい。ここで、基材(1)の耐熱温度とは、実質上、プラスチックフィルム等の基材(1)の特性が保持できる上限の温度のことを意味し、ガラス転移点、結晶化温度または分解点を意味する。硬化および乾燥の条件は、特に限定されないが、迅速に被覆層(2)を形成するためには60〜120℃で1〜300秒間処理するとよい。また、当該硬化および乾燥の際の圧力や雰囲気ガスに関しては、特に制限されるものではないが、通常は、常圧、空気雰囲気下で実施するのが経済的に有利である。また、後述する水処理工程と併用して行ってもよく、例えば、ミスト存在下で乾燥してもよい。
【0058】
また、本発明では、次の水処理工程で、被覆面に水を塗布した際に、被覆層(2)ないしその表面が水で流亡したり溶解しない程度に、硬化・乾燥できていればよい。すなわち、被覆層(2)が基板(1)に密着し、一定の形状保持性を有していればよく、いわゆる生乾き状態や半乾き状態であってもよい。この場合、濡れ性向上剤などの添加剤を用いなくとも被覆層(2)の被覆面で水を弾くことなく素早く水がなじんで、被覆層(2)中の残留溶剤を水に溶解させることができるためである。したがって、上記コーティング後の被覆層用組成物の硬化および乾燥条件は、本被覆工程では必ずしも上記要件を満足しなくてもよい。本発明では、本被覆工程で充分に硬化・乾燥した後に、後述する水処理工程を行うのが好ましい。これは、吸水による被覆層(2)の不均一化を防止するためである。
【0059】
▲2▼被覆面に水を塗布し乾燥する工程
次に、本発明の製造方法では、新たに当該水処理工程を行うことをその特徴とするものであり、これにより残留溶剤が抜けるのに要する期間を格段に短縮することができ、さらに、耐熱水試験後のガスバリア性を向上することができる。即ち、当該水処理工程を付加することにより、簡便にむらなく残留溶剤を除去することができ、高品質で安全性の高いガスバリア積層体を安価に製造することができる。
【0060】
まず、上記被覆工程で基材(1)上に形成された被覆層(2)の被覆面に水を塗布する。
【0061】
被覆面に塗布する水には、上述した本発明の作用効果を損なわない範囲内であれば、適当な添加剤を含んでいてもよい。例えば、濡れ性向上剤(せっけん等)を適量添加することで、被覆面全体に素早く均一に水を塗布することができ、水の使用量の節約になるなど、必要に応じて従来公知の各種添加剤を適宜使用できるものである。ただし、これらの一部は、被覆層(2)に残留することになるので、この点を充分に考慮して使用する添加剤及びその添加量を決定する必要がある。好ましくは添加剤全体で7質量%未満、言い換えれば、水が93質量%以上となるようにするのが望ましい。添加剤全体で7質量%以上となる場合には、得られるガスバリア積層体を食品包装材などの用途に利用した際に、該被覆層(2)に残留する添加剤によって、ガスバリア性能などに影響する場合がある。
【0062】
なお、水自身は、通常使われる上水が安価でよいが、純水、イオン交換水、超純水、井戸水、地下水など、本発明のガスバリア積層体に影響を及ぼさないレベルであれば、不純物(ミネラル分や塩素系殺菌剤など)を含んでいてもよいことはいうまでもない。
【0063】
被覆層(2)の被覆面に水を塗布する方法としては、特に制限されるべきものではなく、各種コーティング法や印刷法などを用いることができる。例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法などが挙げられる。これらを組み合わせてもよい。
【0064】
また、水を塗布する際の水温または雰囲気(特にスチームバスの場合)温度としては、当該水処理目的が達成できるものであればよく、室温〜100℃の広範囲で利用可能である。好ましくは、溶剤の水への溶解を促進させ、素早くむらなく被覆層から溶剤を取り除くことができるのが望ましく、続く乾燥時間の短縮にも有利なように、一定温度に温めた温水を用いるのが望ましく、具体的には、被覆層(2)を構成するポリマーとの間での熱振動による溶解促進効果などの観点から50℃以上が好ましく、特に50〜90℃の範囲が好ましい。
【0065】
上記水塗布後の乾燥条件としては、塗布した水を飛ばし、被覆層(2)を最終乾燥させることができるものであればよい。
【0066】
乾燥温度としては、水を塗布する際の温度条件などにもよるが、通常60〜120℃の範囲である。60℃未満の場合には乾燥に要する生産ラインが長く必要となるため不経済である。一方、120℃を超える場合には被覆層(2)にクラックが生じる場合がある。
【0067】
乾燥時間としては、被覆層表面に水が残らなければ充分である。
【0068】
本発明では、上記被覆工程と水処理工程の各工程ごとにそれぞれの目的に応じた条件にて乾燥処理を行うようにすればよいが、被覆工程での乾燥開始から当該水処理工程の乾燥終了まで、連続的に乾燥処理を行ってもよい。例えば、被覆層用組成物を塗布した基材(1)を連続乾燥炉内を走行させる途中で、水を塗布する領域を設けておけばよい。こうした連続焼結炉を用いることで、該乾燥炉内を通過する間、いわば連続して乾燥処理されながら、各工程が進行することになる。すなわち、連続焼結炉内に進入した被覆層用組成物を塗布した基材(1)は、はじめに(被覆工程での)硬化・乾燥処理が上記に規定した条件下でなされる。その後に水を塗布する領域を通過することで、基材(1)上の被覆層(2)の被覆面に水を塗布することができる。さらに乾燥炉内を進む間に(水処理工程での)最終乾燥が上記に規定した条件下で行われ、ガスバリア積層体として該乾燥炉から出てきたものをロールに巻き取るようにすることもできる。こうした場合には、連続乾燥炉を走行中は常に乾燥処理を受けていることになるが、連続乾燥内の温度分布は一定でなくてよく、各工程での処理条件に応じた温度になるように連続乾燥炉内の各工程に応じた領域ごとに温度制御すればよい。また、本発明では、水を塗布する際にも乾燥炉内の雰囲気温度を制御して乾燥状態におくこともできるが、さらに、基材(1)上の被覆層の被覆面に水を塗布しない側(裏面側)に直接熱風を吹き付けたり、赤外線を照射するなどして直接的に加熱乾燥するようにしてもよい。この場合、基材(1)を水平方向(傾斜していてもよいが垂直方向は除く)に走行させる場合、水を塗布する被覆面が上面側であれば、下面側から熱風を吹きつけたり、赤外線を照射するなどすればよいし、水を塗布する被覆面が下面側であれば、上面側から熱風を吹きつけたり、赤外線を照射するなどすればよい。水を塗布した後に、素早く水を除去する観点からは、後者の方が適しているともいえる。また、基材(1)を垂直方向に走行させる場合には、まさしく基材(1)に水を塗布する側を表面とすると、水を塗布しない側である裏面側から熱風を吹きつけたり、赤外線を照射するなどすればよい。
【0069】
次に、本発明では、水処理工程を行った後に、高温多湿の環境下においても被覆層(2)に高いガスバリア性を発現させるためには、熟成(エージング)処理を行うのが望ましい。従来法では、この熟成(エージング)処理期間も利用して残留溶剤を除去するのに利用していたが、本発明では、こうした必要が無いため、実際上、高温多湿の環境下においても被覆層(2)に高いガスバリア性を発現させるために必要な期間のみ熟成(エージング)処理を行えばよく、かかる熟成期間の大幅な短縮にもつながるものである。熟成処理には、加熱処理やコロナ処理など従来公知の方法を利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
【実施例】
続いて、実施例および比較例を用いて、本発明の有用性について具体的に説明する。なお、各物性の測定に用いた装置および条件は以下の通りである。
【0071】
<ガスバリア性(酸素透過度)測定>
モダンコントロールズ社製酸素透過度測定装置MHを用いた。測定は、耐熱水試験前および耐熱水試験後のいずれも20℃90%Rhで測定した。
【0072】
<耐熱水試験>
試験片(実施例1のガスバリア積層体1ないし比較例1の比較用ガスバリア積層体1)を20cm各の大きさで切り出し、95℃の熱水に20分間浸漬した後、取り出して、20℃で6時間放置後、耐熱水試験を終了する。
【0073】
<残存溶剤量(濃度)測定>
実施例1で説明したとおりである。
【0074】
<参考例1:被覆層用組成物1の調製>
有機化合物(a−1)としてポリエチレンイミン(500g:株式会社日本触媒製エポミンSP−200(商品名))、有機化合物(a−2)としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(300g)、および溶媒(a−5)としてエタノール(5kg)を混合した混合液を、70℃で3時間反応した。室温まで冷却後、この反応液に溶媒(a−5)として水(100g)とメタノール(3kg)との混合溶媒を加えて、室温で30分間反応し、さらに有機ケイ素化合物(a−3)としてテトラメトキシシラン(1.5kg:多摩化学工業株式会社製)と溶媒(a−5)としてエタノール(2kg)との混合液を加えた。これを室温で1時間反応(熟成)させて、被覆層用組成物1を得た。
【0075】
<実施例1>
▲1▼被覆工程
塗布機(バーコーター)で、基材(1)である厚さ12μmのPETフィルムに参考例1で得られた被覆層用組成物1を乾燥後の厚みが1μmになるように塗布し、100℃で7秒間硬化・乾燥した。
【0076】
▲2▼水処理工程
引き続いて、基材(1)のPETフィルム上に被覆された被覆層(2)の被覆面(塗布面)を85℃の熱水の入ったウォータバスに2秒間浸漬した後、100℃で20秒間乾燥して、ロールに巻き取って長さ500mの塗布ロールフィルムを得た。
【0077】
▲3▼熟成(エージング)工程
この塗布ロールフィルムを50℃で7日間熟成して、基材(1)と被覆層(2)とが積層されたガスバリア性ロールフィルム1を得た。
【0078】
▲4▼シーラント層(シーラントフィルム)の積層
ガスバリア性ロールフィルム1の被覆層(2)上に、ウレタン樹脂であるタケラックA3およびタケネートA−310(共に三井武田ケミカル株式会社製)を1:6(質量比)の比率で混合し、酢酸エチルで不揮発分が20質量%になるように希釈して、乾燥後の厚みが2.2μmになるように塗布し、80℃で10分間乾燥して接着剤層を形成した。その後、厚さ50μmのCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルムをガスバリア性ロールフィルム(ガスバリア積層体1)の接着剤層塗布面と向き合うようにして貼り合わせ、40℃で2日間熟成して、ラミネートフィルム(ガスバリア積層体1)を得た。
【0079】
▲5▼このラミネートフィルム(ガスバリア積層体1)につき、上述した測定方法に従って酸素透過度測定を行った。また残存溶剤量(濃度)測定は下記のとおり行った。
【0080】
ラミネートフィルム(ガスバリア積層体1)を20cm各の大きさで切り出し、27mlの容器に密封後、80℃で30分間放置し、容器内のガス成分をガスクロマトグラフィーにより分析した。ガス中のメタノール濃度は、1mg/m2以下であった。
【0081】
比較例1
実施例1で熱水に浸漬しなかった以外は同様にして、比較用ラミネートフィルム(比較用ガスバリア積層体1)を得た。
【0082】
このラミネートフィルム(比較用ガスバリア積層体1)につき、酸素透過度測定及び残存溶剤量(濃度)測定を実施例1と同様にして行った。得られた物性結果を表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、本発明のガスバリア積層体は、熱安定性に関して優れており、残存溶剤濃度が格段に低減できていることが確認できた。
【0085】
【発明の効果】
本発明のガスバリア積層体の製造方法では、極めて簡便かつ安価な方法によって、ガスバリア性が発現するまでの時間(エージング時間)を大幅に短縮することができ、得られるガスバリア積層体の非常に優れた熱安定性を有し、残存溶剤濃度が格段に低減することができる。
Claims (3)
- 基材(1)と、
SiOR1基(R1は水素原子またはアルキル基である。)を含む組成物から得られる被覆層(2)と、を有する積層体(3)で、
前記基材(1)上に前記被覆層(2)を被覆後、被覆面に水を塗布し乾燥することを特徴とするガスバリア積層体の製造方法。 - 前記被覆層(2)が、
活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合物(a−1)、前記活性水素と反応して前記窒素原子と化学結合を形成しうる官能基を分子内に有する有機化合物(a−2)並びに下記式(I):
- 前記被覆層(2−1)が、前記有機化合物(a−1)、有機化合物(a−2)並びに有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)の合計配合量に対して、有機ケイ素化合物(a−3)および/またはその加水分解縮合物(a−4)が、60〜90質量%含むものを反応して得られた組成物を用いて形成されてなるものである請求項2に記載のガスバリア積層体の製造方法。
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JP2003164949A JP2005001161A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | ガスバリア積層体の製造方法 |
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JP2013130289A (ja) * | 2011-11-22 | 2013-07-04 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | 真空断熱構造体及び積層体 |
-
2003
- 2003-06-10 JP JP2003164949A patent/JP2005001161A/ja active Pending
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