JP4821234B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents
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Description
従来より、酸素ガスおよび水蒸気等に対するバリア性を備え、食品や医薬品等の良好な保存適性を有する包装用材料として、種々のものが開発され提案されている。近年それら包装材料として、可撓性のプラスチック基材上にポリ塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体のコーティング層を設けた構成からなる透明バリアフィルムや、可撓性のプラスチック基材上に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリアフィルム、また、それらを使用した包装用積層材および包装用容器等が提案されている。これらは、従来のアルミニウム箔等を使用した包装用積層材等と比較して透明性に優れ、同時に水蒸気、酸素ガス等に対する高いバリア性と保香性等を有し、包装用材料等にその需要が大いに期待されているものである。
また、前記特許文献3には基材としてノルボルネン樹脂を用いることが記載され、前記特許文献4にはプラスチックフィルムとしてノルボルネン系ポリマーを用いることが記載されているが、これらは、ノルボルネン樹脂の耐熱性に着目して支持体材料としての使用について述べているにすぎない。
しかも、本発明に係るガスバリア性積層体は、湿式の製造プロセスで製造されるにもかかわらず非常に高いガスバリア性を有している。本発明のように、ゾルゲル層と環状オレフィン樹脂層が隣接した積層構造が形成されると、前記2つの各層が接する界面が生じ、結合の歪んだ空間が形成される。このような空間は、通常の無機膜や有機膜が単一でとりうる結合により形成される空間よりも狭い空間となる。そのため、酸素や水蒸気等のガスの透過を妨げる効果の高い複合バリア膜として作用すると考えられる。
また、本発明においては、ガスバリア性積層体の各層を湿式プロセスで形成できることから、膜中にピンホール等の欠陥が生じにくくなり、さらに欠陥が生じたとしても次の層を形成する際に穴埋め効果が生じ、欠陥の少ない複合バリア膜を形成できる。
従って、本発明に係るガスバリア性積層体は、非常に優れたガスバリア性能を発揮することができ、しかも低コストで生産することができる。
以下、図1を参照しつつ本発明を説明する。
本発明のガスバリア性積層体に用いられる基材は、ゾルゲル層、環状オレフィン樹脂層、および、その他のアンカーコート層などの任意の層からなるバリア性積層構造を支持することができる基材であれば、プラスチック製のフィルム、シート、又はプレートやガラス板、及び、これらの上にカラーフィルターや色変換フィルター等を設けたもの、さらにはガスバリア性を必要とする立体物など、いかなるものを用いてもよい。
特に、本発明では、汎用樹脂であるポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などのプラスチックを用いる基材とした場合にも、高度なガスバリア性積層体を提供することができることを特徴としている。
上記に挙げた樹脂等を用いた本発明の基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
またガラス基材には、ソーダガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなどと呼ばれるものがあり、液晶表示装置では無アルカリガラスが好ましく用いられる。
上記の洗浄処理としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤で表面を研磨する洗浄、超音波洗浄等の手法が挙げられる。
本発明においてゾルゲル層とは、いわゆる湿式プロセスに属するゾルゲル法により生成させた反応物を用いて形成した固形状塗膜である。一般にゾルゲル層は、無機酸化物構造の、又は、無機酸化物部分と有機ポリマー部分が混在した構造の縮重合物からなるか、又は、そのような縮重合物を多量に含む混合物からなり、緻密で透明性が高い塗膜である。
本発明には、通常のゾルゲル法を広く適用することができ、そのほかにも例えば、上記特許文献3の段落0006に記載された湿式の成膜プロセス(金属酸化物を基材に接触・吸着させる工程、洗浄工程、金属酸化物を加水分解縮合させる工程、乾燥工程からなる一連のプロセス)等の変法も適用可能である。ゾルゲル法の好ましい例として、以下に2つの方法を詳しく説明する。
第1のゾルゲル法は、加水分解重縮合性有機金属化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物(a)、水溶性高分子(b)、シランカップリング剤(c)、及び必要に応じて、さらにその他の成分をゾルゲル法により反応させる方法である。この方法では一般に、(1)上記各成分(a)、(b)、(c)及びその他の任意成分を含有する組成物を、ゾルゲル法触媒及び/又は鉱酸、水、及び有機溶剤の存在下に部分的に重縮合することにより、各成分が相互に反応して生成した直鎖状の複合ポリマーを含有する塗工液を調整する工程、(2)基材にこの塗工液を塗布する工程、(3)前記基材を90℃以上で熱処理し基材上で前記塗工液をさらに重縮合し、必要に応じ乾燥させる工程によりゾルゲル層(I)を形成する。このゾルゲル層(I)は主な構成元素として珪素、酸素を含む膜であり、この他、成膜原料や硬化条件により構成元素として炭素や窒素を含む膜が形成される。
シランカップリング剤(c)としては、例えば、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤及びその加水分解物から選択される1種あるいは2種以上を用いることができる。
アミノ基を有するオルガノアルコキシシランの具体例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐β‐(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランの具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオールとシランカップリング剤の配合比(ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオール/シランカップリング剤)は、重量比で1/1から100/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1から50/1の範囲である。
シランカップリング剤の使用量は、上記加水分解重縮合性有機金属化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物(a)100重量部に対して1〜20重量部の範囲内であることが好ましい。シランカップリング剤が20重量部を超えるとゾルゲル層の剛性と脆性とが大きくなり、加工性及びガスバリア性が低下する。
で表され、その中でもテトラアルコキシドが特に好ましい。具体的には、Zr(OCH3)4、Zr(OC2H5)4、Zr(O−iso−C3H7)4、Zr(OC4H9)4などを例示できる。
で表され、その中でもテトラアルコキシドが特に好ましい。具体的には、Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(OC3H7)4、Ti(OC4H9)4などが例示される。
で表され、その中でもトリアルコキシドが特に好ましい。具体的には、Al(OCH3)3、Al(OC2H5)3、Al(OC3H7)3、Al(O−iso−C3H7)3などを例示できる。
鉱酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などが用いられる。鉱酸の使用量は、加水分解重縮合性有機金属化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物(a)、シランカップリング剤(c)及び他の金属アルコキシドに含まれるシリケート部分のアルコキシド分の総モル量に対し、通常0.001〜0.05モル%である。
第2のゾルゲル法は、活性水素が結合した窒素原子を有する有機化合物(I)、及び、前記活性水素と反応しうる官能基を有する有機化合物(II)をゾルゲル法により反応させる方法である。第2のゾルゲル法では、有機化合物(I)、有機化合物(II)とともに、さらに下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解縮合物(III)を反応させることが好ましく、さらに、その他の成分を反応させてもよい。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリメチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリイソプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソブチレンイミン、およびそれらの誘導体などが挙げられる。ポリアルキレンイミンは各種公知の合成方法を用いて調製することができ、また、市販品を用いてもよい。例えば、株式会社日本触媒製のエポミンシリーズ;エポミンSP−003、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−103、エポミンSP−110、エポミンSP−200、エポミンSP−300、エポミンSP−1000、エポミンSP−1020(いずれも商品名)等のポリエチレンイミンを用いることができる。
ポリアリルアミンとしては、各種公知の方法で合成したものを用いることができるほか、日東紡績株式会社製のPAA−L、PAA−H(いずれも商品名)などを用いることができる。
有機ケイ素化合物(III−1)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類およびこれらの錯体化合物、メチルトリアセトキシシラン、トリメチルシラノール、並びにこれらの化合物を含む高分子有機ケイ素化合物類等が挙げられる。この中では、R2が3つ以上であるトリ又はテトラアルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシランがより好ましく、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。有機ケイ素化合物(III−1)は、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒は、有機化合物(I)、有機化合物(II)、有機ケイ素化合物および/または有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(III)やその他の任意成分を溶解しうるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、前記第1のゾルゲル法で使用する溶媒と同様のもの、及び水が使用できる。それらのうち、加水分解反応時の安定性や保存安定性に優れている点でアルコール性水酸基含有溶媒が好ましく、特に、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。これらから1種または2種以上を組み合わせて溶媒として使用できる。また、溶媒は作業性の向上を図るため、ゾルゲル層用組成物を調製した後、そのまま成形体にコーティングできる化合物を選択することが好ましい。
(2) 溶媒中で、有機化合物(I)と有機化合物(II)とを反応させ、次に有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解縮合物(III)を加える方法。
なお、乾燥の際に有機ケイ素化合物(III−1)の蒸発を防ぐ観点からは、有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(III−2)を配合したガスバリア層用組成物を用いることがより好ましい。この加水分解縮合反応は公知の触媒を用いることができ、溶媒中で反応させることが有利である。
基材にゾルゲル層用組成物を含む溶液を塗布して得られるゾルゲル層(II)の乾燥後の厚さは、前記第1のゾルゲル法より得られるゾルゲル層と同様に0.01〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがさらに好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン樹脂とは、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロノネン、シクロデセンなどの単環状オレフィンモノマー及びその誘導体、ビシクロペンテン、ビシクロヘキセン、ノルボルネン等のビシクロヘプテン、ビシクロオクテン、ビシクロノネン、ビシクロデセン、トリシクロノネン、トリシクロデセン、トリシクロドデセン、テトラシクロドデセンなどの縮合多環系オレフィンモノマー及びその誘導体のうち少なくともひとつをモノマー単位として有する重合体である。
従って、
α13=α12+α23cosθ (式A)
すなわち、
cosθ = (α13−α12)/α23 (式B)
が得られる。
式Bは−1<(α13−α12)/α23<1のときにのみ適用でき、1≦(α13−α12)/α23のときはθ=0°となり、液体は固体表面上に無限に広がって固体表面を完全に濡らす状態である。一方、(α13−α12)/α23≦−1のときは、θ=180°となり、液体は完全にはじかれた状態となる。
環状オレフィン樹脂層は、1種又は2種以上の環状オレフィン樹脂に加えて他の樹脂、添加剤等の他の成分を含有していてもよいが、環状オレフィン樹脂層の撥水性を充分確保するために、環状オレフィン樹脂層用組成物の溶剤を除く全量中に、環状オレフィン樹脂を20質量%以上含有していることが好ましい。
環状オレフィン樹脂層は、環状オレフィン樹脂を溶媒に溶解させて溶液とし、該塗工用溶液をゾルゲル層上に塗布し、その後加熱して溶媒を蒸発させる、いわゆる溶液溶解法によるか、環状オレフィン樹脂を加熱して溶融させて基材上に塗布し、その後徐冷する、いわゆる熱溶融法により形成することができる。
溶媒は、単一溶媒でも、混合溶媒でもよい。また、これらの溶媒以外でも、上記芳香族炭化水素系溶剤やハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤と混合して使用することができ、25℃において、固形分濃度で10重量%以上の樹脂を均一に溶解できるものであれば、ベンゼンやシクロヘキサンの他にテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、n−ヘキサン、n―オクタン等の直鎖の炭化水素等を含んでいてもよい。
環状オレフィン樹脂層形成用溶液又は熱溶融液を塗布するに先立ち、被塗布面であるゾルゲル層の表面に、コロナ放電処理、熱処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、酸素を含む雰囲気中で200〜400nm付近の波長の紫外線照射、紫外線オゾン処理、基材表面の洗浄、粗面化処理、薬品処理等の表面改質やアンカーコート層の形成等の表面処理を行ってもよい。ゾルゲル層の表面処理は、基材上に表面処理を行う場合と同様に行うことができる。
以上に述べたような方法によって、基材の少なくとも一面側に、少なくとも一つのゾルゲル層と、該ゾルゲル層の基材から遠い側に隣接して環状オレフィン樹脂層が積層された基本的積層構造を有する、本発明に係るガスバリア性積層体が得られる。
さらに、本発明のガスバリア性積層体は、該ゾルゲル層と前記環状オレフィン樹脂層以外にも、任意の層を有していても良い。例えば、前記アンカーコート層や、ハードコート層、保護層、透明導電層、カラーフィルターの着色層等を、前記ゾルゲル層と前記環状オレフィン樹脂層間以外の任意の位置に設けてもよい。
このようにして形成される本発明に係るガスバリア性積層体は、乾式の製造プロセスを用いる必要がなく、該積層体に含まれる各層を全て湿式のプロセスのみで製造することも可能であるために低コストで生産できる。
しかも、本発明に係るガスバリア性積層体は、湿式の製造プロセスで製造されるにもかかわらず非常に高いガスバリア性を有している。本発明のように、ゾルゲル層と環状オレフィン樹脂層が隣接した積層構造が形成されると、前記2つの各層が接する界面が生じ、結合の歪んだ空間が形成される。このような空間は、通常の無機膜や有機膜が単一でとりうる結合により形成される空間よりも狭い空間となる。そのため、酸素や水蒸気等のガスの透過を妨げる効果の高い複合バリア膜として作用すると考えられる。
また、本発明においては、ガスバリア性積層体の各層を湿式プロセスで形成できることから、膜中にピンホール等の欠陥が生じにくくなり、さらに欠陥が生じたとしても次の層を形成する際に穴埋め効果が生じ、欠陥の少ない複合バリア膜を形成できる。
特に、本発明では、汎用樹脂であるポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などのプラスチックを主体とする基材を用いる場合にも、高度なガスバリア性積層体を提供することができるという利点もある。プラスチック基材を用いることにより、軽量で形状加工の自由度が大きいガスバリア性積層体が得られ、可撓性の高ガスバリア性積層体も得られる。
また、本発明では、可撓性が大きいプラスチックフィルムの長尺状基材を用いることも可能である。長尺状基材をロール上に巻き取った形態で生産ラインに供給し、使用する場合には、高ガスバリア性積層体を効率良く連続生産することができ、製造コストを下げる効果がさらに高い。
ゾルゲル層用組成物Aの全原料組成を表1に示す。
次に、第2液として、水‐イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール=90:10(重量比))97重量%と、ポリビニルアルコール(水溶性高分子(b))3重量%との混合液を得た。
上記第1液と第2液を60対40の重量混合比で混合し、ゾルゲル層用組成物Aを得た。
ゾルゲル層用組成物Bの全原料組成を表2に示す。
次に、この反応液に水(8.8g)とメタノール(55.5g)との混合液を加えて30分間反応させ、さらに有機ケイ素化合物の加水分解縮合物(III)としてテトラメトキシシランの加水分解縮合物(137.0g:多摩化学工業株式会社製、Mシリケート51)とメタノール(246.3g)との混合液を加えた。これを室温で1時間反応させて、ゾルゲル層用組成物Bを得た。
環状オレフィン樹脂(日本ゼオン製、ゼオネックス 480R)をシクロヘキサン溶媒に3重量%の濃度で溶解させて、環状オレフィン樹脂層用組成物を得た。
基材として厚さ12μmのポリエステルフィルム(PETフィルム)(ユニチカ製)を用意し、表面処理が施されていない未処理面側にゾルゲル層用組成物Aを、乾燥後の厚さが10μmになるようにバーコート法を用いて塗布し、硬化温度を120℃で1分間乾燥後、さらに熟成し、ゾルゲル層Aを形成した。次に環状オレフィン樹脂層用組成物を、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート法により塗布した後、80℃、30分間乾燥させ環状オレフィン樹脂層を形成し、実施例1のガスバリアフィルムを作製した。
実施例1において環状オレフィン樹脂層を溶液溶解法により形成し、乾燥後の厚さを10μmとした代わりに、環状オレフィン樹脂層を熱溶融法により形成し、乾燥後の厚さを20μmとした以外は実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。具体的には、実施例1と同様にしてゾルゲル層を形成した後、280℃で溶融させた環状オレフィン樹脂を、冷却後の厚さが20μmとなるようにバーコート法により塗布し、室温で放置することで実施例2のガスバリアフィルムを作製した。
実施例1において、ゾルゲル層Aの上に環状オレフィン樹脂層を形成した後、該環状オレフィン樹脂層の上に、最初のゾルゲル層Aと同じ方法で、さらに第2のゾルゲル層Aを形成した。ただし、第2のゾルゲル層Aの厚さは3μmとした。このようにして実施例3のガスバリアフィルムを作製した。
実施例3において、第2のゾルゲル層Aの上に、実施例1の環状オレフィン樹脂層と同じ方法で第2の環状オレフィン樹脂層を形成した。ただし、第2の環状オレフィン樹脂層の厚さは10μmとした。このようにして、ゾルゲル層Aと環状オレフィン樹脂層を交互に二組積層した実施例4のガスバリアフィルムを作製した。
基材として、実施例1と同じ、厚さ12μmのポリエステルフィルム(PETフィルム)(ユニチカ製)を用意した。このPETフィルムの未処理面側に、ゾルゲル層用組成物Bを乾燥後の厚さが10μmになるようにバーコート法を用いて塗布し、120℃で1分乾燥後、さらに60℃で24時間熟成しゾルゲル層Bを形成した。
次に環状オレフィン樹脂層用組成物を、乾燥後の厚さが10μmとなるようにバーコート法により塗布した後、80℃、30分間乾燥させ環状オレフィン樹脂層を形成し、実施例5のガスバリアフィルムを作製した。
ゾルゲル層Aを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリアフィルムを作製した。
環状オレフィン樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例2のガスバリアフィルムを作製した。
ゾルゲル層を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして比較例3のガスバリアフィルムを作製した。
環状ポリオレフィン樹脂層を形成する代わりに、エポキシ樹脂層を設けたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4のガスバリアフィルムとした。エポキシ樹脂層は、下記エポキシ樹脂組成物を用意して、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにバーコート法により塗布した後、100℃で1時間乾燥させて形成した。
まず、二官能エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:172)と、ハロゲン化二官能フェノール類としてテトラブロモビスフェノールA(水酸基当量:272)とを、エポキシ基/フェノール性水酸基=1.00/1.00となるように配合した。これに、触媒として二官能エポキシ樹脂1モルに対して水素化リチウムを0.05モル、イミダゾールを0.05モル添加した。そして、溶媒としてN,N-ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が20重量%となるように配合を調整した。これを加熱(120℃、10時間)して重合させて、高分子量エポキシ重合体を合成した。次いで、上記の高分子量エポキシ重合体をメチルエチルケトンで希釈して、硬化性エポキシ樹脂組成物とした。
基材としてノルボルネン樹脂基材(JSR製、アートンフィルム、厚み100μm)を用いた。この基材に、比較例4で用いたエポキシ樹脂を乾燥後厚み10μmとなるようバーコート法により塗布し、100℃で1時間乾燥させ、エポキシ樹脂層を形成した。さらにその上に、ゾルゲル層用組成物Aを、乾燥後の厚さが10μmとなるようバーコート法を用いて塗布した。続いて、硬化温度120℃で1時間乾燥、さらに熟成し、ゾルゲル層Aを形成して、比較例5のガスバリアフィルムとした。
実施例1において、環状オレフィン樹脂層の上に、さらに、最初の環状オレフィン樹脂層と同じ方法で第2の環状オレフィン樹脂層を形成した。ただし、第2の環状オレフィン樹脂層の厚さは10μmとした。このようにして参考例1のガスバリアフィルムを作製した。
(参考例2)
実施例3において、第2のゾルゲル層Aの上に、最初のゾルゲル層Aと同じ方法で、さらに第3のゾルゲル層Aを形成した。ただし、第3のゾルゲル層Aの厚さは10μmとした。このようにして参考例2のガスバリアフィルムを作製した。
作製したガスバリアフィルムのガスバリア性を以下の方法で評価した。測定結果を表3に示す。
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OXTRAN2/20)を用い、23℃、90%RHの条件で測定した。
(2)水蒸気透過率測定
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、40℃、90%RHの条件で測定した。
1…基材
2…アンカーコート層
3…ゾルゲル層
4…環状オレフィン樹脂層
Claims (6)
- 基材上に、少なくともゾルゲル層と環状オレフィン樹脂層を夫々1層以上含む複数の層を積層してなり、その積層構造中において少なくとも一つのゾルゲル層の基材から遠い側に該ゾルゲル層に隣接して環状オレフィン樹脂層が積層されており、蒸着膜を含まず、
前記ゾルゲル層が、ゾルゲル法により少なくとも下記成分を反応させた重縮合反応生成物により形成されていることを特徴とする、ガスバリア性積層体。
(a)下記式(2’)で表される加水分解重縮合性有機金属化合物及び/又はその部分加水分解重縮合物
及び
(b)水溶性高分子 - 前記ゾルゲル層が、さらに、(c)シランカップリング剤を反応させた重縮合反応生成物により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
- 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層体。
- 基材上に、少なくともゾルゲル層と環状オレフィン樹脂層を夫々1層以上含む複数の層を積層してなり、その積層構造中において少なくとも一つのゾルゲル層の基材から遠い側に該ゾルゲル層に隣接して環状オレフィン樹脂層が積層されており、蒸着膜を含まず、
前記ゾルゲル層が、ゾルゲル法により少なくとも下記成分を反応させた反応生成物により形成されていることを特徴とする、ガスバリア性積層体。
(I)活性水素が結合した窒素原子を有する有機化合物、
(II)前記活性水素と反応しうる官能基を有する有機化合物、及び、
(III)下記式(1)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物
- 前記環状オレフィン樹脂層の23℃での水の接触角が60度以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
- 前記環状オレフィン樹脂層が、溶液溶解法または熱溶融法により形成されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
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