JP2020070388A - コーティング用組成物 - Google Patents

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芥川 寛信
Hironobu Akutagawa
寛信 芥川
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Abstract

【課題】被覆層を形成する場合に、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることができる、コーティング用組成物を提供すること。【解決手段】下記成分(I)〜(IV)を含む原料から製造したコーティング用組成物であって、下記成分(I)〜(IV)の総質量に占める(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物の配合量が6.0質量%以上であるコーティング用組成物を提供する。(I)アミノ基を有する有機高分子化合物(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR1基(R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物(III)R2mSi(OR3)n(R2は炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング用組成物に関する。
従来、基材フィルムにコーティングして被覆層を形成することにより、高いガスバリア性やハードコート性を有する積層フィルムを提供できるコーティング用組成物が求められている。
特許文献1には、アミノ基を有する有機高分子化合物(I)と、アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(ただし、式中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物(II)と、R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数でかつm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物(III)および/またはその加水分解縮合物と、Ti(OR(ただし、式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)で表される有機チタン化合物(IV)および/またはその加水分解縮合物と、溶媒(V)とを含むことを特徴とするコーティング用組成物が記載されている。
ポリエチレンイミン、グリシジル基含有シランカップリング剤、テトラメトキシシラン部分縮合体、溶剤としてのメタノールを反応させたコーティング用組成物においては、コーティング用組成物を基材に塗布し、硬化させる際の反応であるアルコキシシランのアルコキシ基脱離からシラン縮合の反応が遅く、被覆層を形成する場合に、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることに課題があった。
特開2002−371245号公報
従って、本発明の課題は、被覆層を形成する場合に、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることができるコーティング用組成物を提供することにある。
本発明者は、上記コーティング用組成物の各構成成分について検討した結果、有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物についてその量や種類を特定のものとすることにより、被覆層を形成する場合に、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることができるコーティング用組成物を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のコーティング用組成物は、下記成分(I)〜(IV)を含む原料から製造したコーティング用組成物であって、下記成分(I)〜(IV)の総質量に占める、(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物の配合量が6.0質量%以上である。
(I)アミノ基を有する有機高分子化合物
(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物
(III)R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物
(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物
また、本発明のコーティング用組成物は、
(I)アミノ基を有する有機高分子化合物、
(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物、
(III)R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物、及び
(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物
を構成成分として含み、
上記構成成分(IV)が、1,3−ジカルボニル構造、または炭素数7〜17の炭化水素鎖とカルボキシレート構造とを含む有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物である。
本発明のコーティング用組成物によれば、被覆層を形成する場合に、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることができるコーティング用組成物を提供できる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。なお、本明細書において、「A〜B」の記載は「A以上、B以下」を意味する。
[コーティング用組成物]
本発明のコーティング用組成物は、下記成分(I)〜(IV)を含む原料から製造したコーティング用組成物であって、下記成分(I)〜(IV)の総質量に占める、(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物の配合量が6.0質量%以上である。
(I)アミノ基を有する有機高分子化合物
(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物
(III)R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物
(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物
また、本発明のコーティング用組成物は、
(I)アミノ基を有する有機高分子化合物、
(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物、
(III)R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物、及び
(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物
を構成成分として含み、
上記構成成分(IV)が、1,3−ジカルボニル構造、または炭素数7〜17の炭化水素鎖とカルボキシレート構造とを含む有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物である。
(I)アミノ基を有する有機高分子化合物[成分(I)または構成成分(I)]
(I)アミノ基を有する有機高分子化合物[以下、有機高分子化合物(I)という場合がある]としては、特に制限されるものではないが、具体的には、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類、陽イオン交換樹脂などが挙げられる。
上記ポリアルキレンイミン類としては、炭素数2〜6のアルキレンイミンの1種又は2種以上を重合して得られるポリアルキレンイミン、ポリアルキレンイミンに不飽和カルボン酸やアルキレンオキシドを付加させた誘導体等が挙げられる。炭素数2〜6のアルキレンイミンとしては、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等が挙げられる。ポリアルキレンイミン類としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリエチレンイミン誘導体、ポリプロピレンイミン誘導体が好ましく、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン誘導体がより好ましい。上記ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン誘導体としては、例えば、既に市販されてなる株式会社日本触媒製のエポミンシリーズ;エポミンSP−003、エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−103、エポミンSP−110、エポミンSP−200、エポミンSP−300、エポミンSP−1000、エポミンSP−1020(いずれも商品名である)等が挙げられる。
また、上記ポリアリルアミン類としては、例えば、ジアリルアミン塩酸塩/アクリルアミド共重合体、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩/二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩/ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド/ジアリルアミン共重合体、ポリビニルアミン共重合体、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド/塩化アンモニウム/尿素/ホルムアルデヒド縮合体、ポリアルキレンポリアミン/ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合体、アクリル酸塩/アクリルアミド/ジアリルアミン塩酸塩共重合体等が挙げられる。
有機高分子化合物(I)としては、なかでも、上記コーティング用組成物を基材上にコーティング・乾燥(必要に応じて熟成)して得られる被覆層の透明性、耐熱水性の観点から、ポリアルキレンイミン類が好ましく、特にポリエチレンイミンおよび/またはポリエチレンイミン誘導体が好適である。有機高分子化合物(I)としてポリエチレンイミンおよび/またはポリエチレンイミン誘導体を使用すると、上記被覆層の可とう性、基材等への密着性、製膜容易性がより優れたものとなる。
上記有機高分子化合物(I)の数平均分子量は、250〜20万、好ましくは300〜10万、より好ましくは500〜2万の範囲である。数平均分子量が250より小さいと形成された上記被覆層の可とう性が劣ったり、基材等(基材、および該基板上に形成されてなる他の層を含む)の表面上にコーティングして被覆する際の成膜性に劣る一方、20万より大きいと、上記被覆層の透明性に劣ることがあるほか、上記被覆層の可とう性に劣ることがある。ただし、本発明に使用することのできる有機高分子化合物(I)のなかには、上記に規定する数平均分子量では計測できない複雑な構造を持つものも含まれるものであり、ここに規定する数平均分子量によって、本発明からこれらのものを排除するものではない。
(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基を分子内に有する有機化合物[成分(II)または構成成分(II)]
(II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物[以下、有機化合物(II)という場合がある]は、分子内にSiOR基を有することで、上記有機高分子化合物(I)と反応する前もしくは反応後に加水分解縮合が進行し、また、(III)R Si(ORで表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物や、(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物の加水分解性縮合基と共加水分解縮合することにより、有機高分子化合物(I)と、(III)R Si(ORで表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物や(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物とを結合させ、基材等との密着性、ガスバリア性や種々の環境下における耐久性に優れる被覆層の形成に寄与する。
ここで、上記アミノ基と反応し得る官能基としては、特に制限されず、例えば、エポキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、(メタ)アクリロイル基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド基などが挙げられ、アミノ基との反応容易性、耐熱水性の観点からエポキシ基、イソシアネート基が好ましい。
また、上記SiOR基のRは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、特に制限されるものではなく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の直鎖アルキル基、イソプロピル基の分岐鎖アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基の環状(脂環式)アルキル基のいずれであってもよい。上記Rとしては、加水分解縮合の反応性に優れ、被覆層の緻密性、加水分解縮合反応性の観点から、メチル基、エチル基が好ましい。
上記有機化合物(II)としては、特に制限されないが、具体的には、例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基とSi(OR)基(Rは前記と同じ意味)を有するシランカップリング剤(以下、単にエポキシ基含有シランカップリング剤と省略することがある);γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネート基およびSi(OR)基(Rは前記と同じ意味)を有するシランカップリング剤(以下、単にイソシアネート基含有シランカップリング剤と省略することがある)などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
(III)R Si(ORで表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物[成分(III)または構成成分(III)]
(III)R Si(OR[以下、一般式(1)という。式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。]で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物[以下、単に有機ケイ素化合物(III)という場合がある]は、コーティング用組成物より得られる被覆層において、基材等への密着性、ハードコート性、耐熱性、ガスバリア性に優れた被覆層の形成に寄与する。この有機ケイ素化合物(III)は、上記有機高分子化合物(I)のもつ官能基(アミノ基)と反応し得る官能基を持たない点でSiOR基を有する有機化合物(II)と区別できる。
上記一般式(1)中のRは、炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基であればよい。ここで、アミノ基と反応しない官能基としては、特に制限されず、例えば、アミノ基、ビニル基、水酸基、メルカプト基などが挙げられる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、特に制限されず、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の直鎖アルキル基、イソプロピル基の分岐鎖アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基の環状(脂環式)アルキル基のいずれであってもよい。中でも、Rとしては、耐熱性、耐煮沸性の観点からビニル基を有する炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。加水分解縮合の反応性に優れ、緻密な被覆層を形成する上での有利性、反応容易性の観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。なお、Rは、mが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のRは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基としては、特に制限されず、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の直鎖アルキル基、イソプロピル基の分岐鎖アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基の環状(脂環式)アルキル基が挙げられる。Rとしては、加水分解縮合の反応性に優れ、緻密な被覆層を形成する上での有利性の観点からメチル基、エチル基が好ましい。なお、Rは、nが2以上の場合には、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のnは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、かつm+n=4である。上記コーティング用組成物から得られる上記被覆層の耐熱性、耐煮沸性、耐水性の観点から、m=0であり、n=4であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物(III)として具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、トリメチルシラノール等および/またはその加水分解縮合物が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。なかでも、反応性、および上記被覆層が良好な耐湿性、耐水性を示す観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
また、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物(III)において、加水分解縮合物を含んでもよいとしたのは、コーティング用組成物から被覆層を形成する際に、被覆層のクラックや欠陥の発生を防ぐには、上記有機化合物(II)および上記有機ケイ素化合物(III)[さらには後述の有機チタン化合物(IV)]を、予め部分的に加水分解縮合を行っておくことが好ましいためである。言い換えれば、上記コーティング用組成物中に、これらの加水分解縮合物が存在し得るものが好ましいといえる。これらの(共)加水分解縮合反応は、空気中の水分で進行するが、酸または塩基等の公知の触媒を用いると効率よく行うことができる。また、加水分解反応は溶媒中で行うことが好ましく、かかる溶媒を含む上記コーティング用組成物は、基材(あるいは他の層や接着層など)上へのコーティング作業も容易となる。
(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物[成分(IV)または構成成分(IV)]
(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物[以下、有機チタン化合物(IV)という場合がある]としては、1,3−ジカルボニル構造を含む有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物、炭素数7〜17の炭化水素鎖とカルボキシレート構造とを含む有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物、及びTi(OR[以下、一般式(2)という。式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、4個のRは、同じであっても異なっていても良い。]で表される有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物などが挙げられる。
1,3−ジカルボニル化合物構造を含む有機チタン化合物としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン等のβ−ジケトン構造を含む有機チタン化合物;ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のβ−ケトエトエステル構造を含む有機チタン化合物;など、および/またはその加水分解縮合物が例示できる。
炭素数7〜17の炭化水素鎖とカルボキシレート構造とを含む有機チタン化合物としては、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン等のヘキサン酸チタン;チタニウムステアレート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジイソプロポキシチタンジイソステアレート等のステアリン酸チタン(ステアレート構造を含む有機チタン化合物);ラクテートチタン等の乳酸チタン;など、および/またはその加水分解縮合物が例示できる。
また、Ti(ORで表される有機チタン化合物における上記一般式(2)中のRは、炭素数1〜6のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基としては、特に制限されず、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基などの分岐鎖アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状(脂環式)アルキル基のいずれであってもよい。Rとしては、加水分解縮合の反応性に優れ、緻密なコーティング層を形成する上での有利性の観点からn−ブチル基が好ましい。なお、一般式(2)中の4個のRは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、反応容易性の観点から、4個全てが同一であるものが望ましい。
上述したような一般式(2)で表される有機チタン化合物(IV)として具体的には、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラペントキシチタン、テトラヘキシルオキシチタンなど、および/またはその加水分解縮合物が挙げられる。
その他、有機チタン化合物としては、イソプロポキシ(2−(2−アミノエチルアミノ))エトキシチタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレートなど、および/またはその加水分解縮合物が挙げられる。
上記化合物は、これらの1種または2種以上を用いることができる。上記の中でも、有機チタン化合物(IV)としては、β−ジケトン構造またはステアレート構造を含む有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物であることが好ましく、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、および/またはその加水分解縮合物がより好ましい。有機チタン化合物(IV)としてこのような化合物を使用した場合に、被覆層を形成する場合に、シロキサン(−Si−O−Si−)縮合反応が促進され、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることができるコーティング用組成物を提供できる。シロキサン縮合反応の促進度は、コーティング層(または被覆層)のFT−IRを測定し、Si−O−Si縮合ピーク(Si−O−Si伸縮振動由来のピーク)である1050cm−1付近のピーク位置を検出することにより確認できる。
また、反応性、および上記被覆層の着色を極めて小さくできる観点からは、テトラブトキシチタンおよび/またはその加水分解縮合物が好ましい。
また、上記有機チタン化合物(IV)の加水分解縮合物を含んでもよいとしたのは、コーティング用組成物から被覆層を形成する際に、被覆層の割れや欠陥の発生を防ぐには、上記有機化合物(II)、上記有機ケイ素化合物(III)および有機チタン化合物(IV)を、予め部分的に加水分解縮合を行っておくことが好ましいためである。言い換えれば、上記コーティング用組成物中に、これらの加水分解縮合物が存在し得るものが好ましいといえる。これらの(共)加水分解縮合反応は、空気中の水分で進行するが、酸または塩基等の公知の触媒を用いると効率よく行うことができる。また、加水分解反応は、後述の溶媒(V)中で行うことが好ましく、かかる溶媒(V)を含む上記コーティング用組成物は、基材(あるいは他の層や接着層など)上へのコーティング作業も容易となる。
(V)溶媒
上記コーティング用組成物には、上述した主要構成成分等を好適に溶解(ないし分散)し得る溶媒(V)が含まれていてもよい。上記溶媒(V)としては、上記有機高分子化合物(I)、有機化合物(II)、有機ケイ素化合物(III)、有機チタン化合物(IV)、並びに必要に応じて用いられる各種添加剤を溶解(ないし分散)し得るものであれば特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート等のアセテート類;その他、エチルフェノールエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも加水分解反応時の安定性や保存安定性に優れている点で、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。特に、これらの中から上記コーティング用組成物中の上記溶媒(V)以外の他の構成成分の種類に応じて、得られる被覆層の架橋が緻密になり、かつ適当な可とう性を有し、所望のガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性などの諸特性が有効に発現できるように適当な溶媒を適宜選択することが望ましい。
さらに、コーティング用組成物には、必要に応じて、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤などの無機ないし有機系の各種添加剤を適量添加することもできる。
次に、上記有機高分子化合物(I)の配合量は、有機化合物(II)、並びに有機ケイ素化合物(III)、有機チタン化合物(IV)の配合比率や他の添加剤の使用の有無などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、上記コーティング用組成物の構成成分(I)〜(IV)の合計配合量に対して、通常5.0〜80質量%、好ましくは10〜70質量%の範囲である。上記有機高分子化合物(I)の配合量が5質量%未満の場合には、上記被覆層の製膜性が劣ることがある。一方、80質量%を越える場合には、上記被覆層の耐水性やハードコート性が劣ることがある。
上記有機化合物(II)の配合量は、上記有機高分子化合物(I)、有機ケイ素化合物(III)、並びに有機チタン化合物(IV)の配合比率や他の添加剤の使用の有無などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、上記コーティング用組成物の構成成分(I)〜(IV)の合計配合量に対して、通常5〜50質量%、好ましくは7〜15質量%の範囲である。上記有機化合物(II)の配合量が5質量%未満の場合には、上記被覆層の可とう性が劣ることがある。一方、50質量%を越える場合には、上記被覆層の耐水性が劣ることがある。
上記有機ケイ素化合物(III)の配合量は、上記有機高分子化合物(I)、有機化合物(II)、有機チタン化合物(IV)の配合比率や他の添加剤の使用の有無などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、上記コーティング用組成物の構成成分(I)〜(IV)の合計配合量に対して、通常10〜85質量%、好ましくは30〜75質量%の範囲である。上記有機ケイ素化合物(III)の配合量が85質量%を越える場合には、上記被覆層の可とう性が劣ることがある。一方、10質量%未満の場合には、上記被覆層の耐水性が劣ることがある。
上記有機チタン化合物(IV)の配合量は、上記有機高分子化合物(I)、有機化合物(II)、並びに有機ケイ素化合物(III)の配合比率や他の添加剤の使用の有無などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、上記コーティング用組成物の構成成分(I)〜(IV)の合計配合量に対して、通常0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは6.0質量%以上である。上限値としては、通常30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
上記有機チタン化合物(IV)の上記配合量が0.5質量%未満の場合には、コーティング用組成物を基材上にコーティング・乾燥(必要により熟成)して得られる被覆層の紫外線カット性、可とう性などの特性が劣ることがある。上記有機チタン化合物(IV)の上記配合量が6.0質量%以上である場合には、被覆層を形成する場合に、より高いガスバリア性やハードコート性を生産性良く、初期段階から発現させることができる。一方、30質量%を越える場合には、コーティング用組成物の溶媒中での安定性が低下したり、上記被覆層の基材への密着性が劣ることがある。
上記溶媒(V)の配合量は、特に限定されないが、上記コーティング用組成物[ここでは、溶媒(V)を含む]の全質量を100質量%としたときに、通常50〜97質量%、好ましくは70〜90質量%の範囲である。溶媒(V)の配合量が50質量%未満の場合には、上記コーティング用組成物の反応安定性が劣ることがあり、また塗工中に、上記コーティング用組成物の粘度が上昇して均一塗工ができなくなる可能性がある。一方、97質量%を超える場合には、上記被覆層を形成する際の生産性が劣ることがあるほか、有効成分が低濃度となり過ぎるため、必要な被覆層の膜厚を確保できない場合がある。
また、上記有機高分子化合物(I)、有機化合物(II)、有機ケイ素化合物(III)、有機チタン化合物(IV)、並びに溶媒(V)以外の他の硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤などの無機ないし有機系の各種添加剤の配合量にあっては、かかる添加剤の持つ諸特性を十分に発現でき、かつ上記有機高分子化合物(I)、有機化合物(II)、有機ケイ素化合物(III)、有機チタン化合物(IV)、並びに溶媒(V)によるガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性などの発現効果に影響を及ぼさない範囲内であれば、特に制限されない。
なお、上記有機高分子化合物(I)、有機化合物(II)、有機ケイ素化合物(III)、有機チタン化合物(IV)、さらにはその他の添加剤を含む上記コーティング用組成物(ただし、溶媒(V)を除く)の原料の合計配合量は、いかなる組み合わせであっても常に100質量%である。
本発明に係るコーティング用組成物の調製方法としては、特に限定されず、例えば、
(1)上記有機高分子化合物(I)と、上記有機化合物(II)と、上記有機ケイ素化合物(III)と、有機チタン化合物(IV)と、好ましくは溶媒(V)とを含む配合成分(他の任意成分を含んでいても良い)を単に混合する方法、
(2)予め溶媒(V)の存在下で、上記有機高分子化合物(I)と上記有機化合物(II)との官能基反応を行ってから、上記有機ケイ素化合物(III)と、有機チタン化合物(IV)とを同時にまたは順々に加える方法、
(3)上記有機化合物(II)および溶媒(V)の存在下で、上記有機高分子化合物(I)と上記有機ケイ素化合物(III)、および有機高分子化合物(I)と有機チタン化合物(IV)を同時にまたは順々に(共)加水分解縮合する方法、
(4)溶媒(V)の存在下で、上記有機高分子化合物(I)と上記有機ケイ素化合物(III)、および上記有機高分子化合物(I)と有機チタン化合物(IV)を同時にまたは順々に共加水分解縮合してから、上記有機化合物(II)と反応させる方法、
などが挙げられる。
なお、上記溶媒(V)は、その調製段階や方法に応じて適当な種類のものを適時、適量を補充ないし追加することが望ましい。
[コーティング成形体]
コーティング成形体は、基材上に、上記コーティング用組成物をコーティング・乾燥(必要により熟成)した被覆層を有する。上記コーティング成形体に用いることのできる基材としては、ガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性等が要求される各種用途、例えば、食品や飲料品の容器、包装材、工業用フィルムなどに利用されるプラスチック基材などを用いることができる。具体的には、こうした用途ごとに該基材に求められる要求特性も異なることから一義的に規定することはできず、それぞれの要求特性(例えば、機械的特性、光学特性など)に応じて、最適な基材を適宜選択すればよい。
上記基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂、ポリアミド類、ポリスチレン、ABS樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セロファン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂や、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、アルキド樹脂、珪素樹脂等の熱硬化性樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)などの複合材料等が挙げられる。
特に加工のし易さ、機械的強度、透明性、汎用性などの理由から、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの基材自身も単一材料では得られない要求特性を得るために性質の異なる材料により多層にしてもよい。なお、上述したように、透明性を有するプラスチック基材の利用が最も一般的であるが、半透明ないし不透明なプラスチック基材、さらにはガラス、セラミックス、金属箔や金属酸化物なども適用(蒸着などによりその一部に適用する場合を含む)できる。
上記基材の形状としては、特に制限されず、任意の形状に成形でき、使用用途に応じて適宜選択することができる。上記基材の形状としては、フィルム状のもの以外にも、シート状、あるいはボトル形状(ペットボトルを含む)やトレイ形状などの成型形状やフィルム等を2次加工した袋状形状等のものであってもよい。また、フィルム状やシート状のものでも、曲面を有するものであってもよい。
上記基材の厚さは、使用用途により異なるため一義的に規定することは困難であり、用途に応じて適宜選択されるべきものである。一般的には、通常7〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲である。フィルム基材の厚さが、7μm未満の場合には、ピンホールが発生する可能性のほか、機械的強度不足であるなど好ましくない。一方、200μmを越える場合には、該コーティング成形体の生産性に劣るほか、軽量化や薄膜化の要求を満足するのが困難となる場合があるなど好ましくない。
また、上記基材として、例えば、透明なプラスチック基材等を用いる場合には、その表面を予めプラズマ処理またはコロナ放電処理したり、あるいは、基材表面を酸素を含む雰囲気中で200〜400nm付近の波長の紫外線を照射した後に、上記被覆層を形成することが好ましい。
また、上記基材(被塗物)の汚れの付着状態によっては、上記コーティング用組成物などをはじくなどして均一にコーティングできない場合、基材表面の洗浄や表面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質の方法としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、研磨剤により表面を研磨する方法、超音波洗浄などの洗浄法や、紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、熱処理などの表面改質法が挙げられる。
上記コーティング成形体は、上記基材上に、上記コーティング用組成物を用いた被覆層を有するものである。ここで、上記被覆層は、基材上に直接形成されてもよいし、上記被覆層以外の他の層(接着層、易接着層、化粧層などを含む)を介して間接的に形成されてもよい。
また、上記コーティング用組成物を基材ないし他の層等(本明細書中では、単に基材等ともいう)の表面上にコーティングする方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の薄膜作成技術や塗膜塗装技術などを適宜利用することができるものであり、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、ナイフコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法など、あるいはこれらを組み合わせた方法を採用できる。なかでも、ダイコーティング法は、上記コーティング用組成物の塗液としての安定性を増す上で好ましい。
上記コーティング用組成物をコーティングした後は、基板上に形成されたコーティング層の硬化および乾燥を行う。かかる硬化および乾燥では、加熱、あるいは加熱・加湿を行えば、ハードコート性に優れた緻密な被覆層を、より速やかに形成することができる点で好ましい。ここで加熱を行う場合には、基材ないし他の層等の耐熱温度以下で加熱することが好ましい。なお、乾燥の際に上記有機ケイ素化合物(III)や有機チタン化合物(IV)の蒸発を防ぐ観点からは、上記有機ケイ素化合物の加水分解縮合物及び有機チタン化合物の加水分解縮合物を配合してなる上記コーティング用組成物を用いることが好ましい。
さらに被覆層中の未反応の上記有機化合物(II)のSiOR基、有機ケイ素化合物(III)のSiOR基、有機チタン化合物(IV)におけるTiOR基を低減することが高温多湿の環境下においてもガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性等の特性を十分に保持させる上で望ましい。このため、上記コーティング用組成物を基材等の表面上に適当なコーティング方法によりコーティングした後に、該コーティング層の硬化および乾燥を行い、その後にコーティング層中の未反応の上記有機化合物(II)のSiOR基や有機ケイ素化合物(III)のSiOR基や有機チタン化合物(IV)におけるTiOR基の縮合反応を更に進行させる熟成(エージング)処理を行ってもよい。例えば、上記コーティング用組成物を基材等の表面上に塗布乾燥後に、未反応基を減少させる上で有効な加熱処理(例えば、40〜60℃の間の温度で1〜7日間熱処理すること)やコロナ処理を行う方法などが挙げられる。
上記熟成処理は、
(1)上記コーティング用組成物を基材等の表面上に塗布してコーティング層を形成後、乾燥硬化した後に、直ぐに行ってもよいし、
(2)上記コーティング用組成物を基材等の表面上に塗布してコーティング層を形成後、乾燥硬化した後、さらに他の層を形成した後に行ってもよい。ここで、基材等の耐熱温度とは、実質上基材等の特性が保持できる上限の温度のことであり、ガラス基材ならば、例えば、軟化点や失透温度(通常600〜700℃)など、プラスチック基材ならば、例えば、ガラス転移点や結晶化温度や分解点などが挙げられる。なお、上記コーティング用組成物の塗工前に、基材等の表面上にウレタン樹脂等の公知のアンカーコート層等の他の層や接着層などを設けてもよい。
本発明のコーティング用組成物に依れば、有機チタン化合物を所定のものとすることにより、また、所定量配合することにより、シラン部分(上記有機化合物(II)のSiOR基や有機ケイ素化合物(III)のSiOR基)の縮合反応性が向上するため、上記熟成時間を短縮でき、好ましくは熟成を省略できる。
上記硬化および乾燥、さらには熟成処理により、基材等の表面上に所望の被覆層を形成することができる。上記被覆層の厚みとしては、使用用途により異なるため一義的に規定することはできないが、高いガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性を発現し、さらに基材等との密着性、透明性、可とう性、耐湿性等の特性を発揮することができるものであればよく、通常0.1〜5μm、好ましくは0.5〜3μmの範囲である。被覆層の厚みが0.1μm未満の場合には、被覆層が均一になりにくく、ガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性、基材等との密着性、透明性、可とう性、耐湿性等の特性が充分に発現しにくい。一方、被覆層の厚みが5μmを超える場合には、クラックが生じ易くなる。
上記被覆層におけるチタン原子の含有量は、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上である。上限値としては、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。上記被覆層におけるチタン原子の含有量が0.4質量%以上である場合には、シロキサン縮合反応が促進され、コーティング後の熟成が短時間または不要となる、初期段階からより高いガスバリア性やハードコート性を有する生産性の高い被覆層とすることができる。一方、4.0質量%を越える場合には、上記被膜層の着色や基材等への密着性低下を発生することがある。
なお、上記コーティング用組成物を基材上にコーティング(塗布)して得られるコーティング層においては、基材上に同じ種類(組成)の上記コーティング用組成物を何度かに分けてコーティングしてもよいし、あるいは種類(組成)の異なる上記コーティング用組成物を別々にコーティングすることにより、各層ごとに組成及び厚さの異なる多層構造(途中に他の層が形成されていてもよい)の被覆層を形成してもよい。
上記コーティング成形体は、ガスバリア性、ハードコート性、紫外線カット性に優れ、さらには基材等との密着性、透明性、可とう性などに優れ、これらの特性を常に安定して発現させることができるものである。これらの特性のうち、ガスバリア性に関しては、使用用途により要求される基準が異なるほか、基材の種類や全体の積層構造などによっても異なるため一義的に規定することはできないが、例えば、酸化を受けやすく紫外線により風味が失われたり、変色(黄変)しやすいポテトチップスや酒類などの食品や飲料品の容器や包装用のフィルムとして使用する場合を例にとり説明すれば、高湿下(20℃90%Rh)での気体(酸素)透過度が30ml/m・24hrs以下、好ましくは20ml/m・24hrs以下、より好ましくは10ml/m・24hrs以下であることが望ましい。該気体(酸素)透過度が30ml/m・24hrsを超える場合には、コーティング成形体として十分に酸素などの気体をカットできず、かなりの酸素量が透過することになるため、酸素等により、経時的にではあるが、ポテトチップスや酒類などの風味が失われたり、変色(黄変)するようになるため、こうした食品や飲料品の賞味期限の長期化(高品質の長期保持)が充分に達成できなくなる。
なお、上記コーティング成形体としては、例えば、特に食品や飲料品の容器や包装用のフィルムのほか、医薬品、例えば、目薬等の容器、輸液バック、医療用容器の包装材料、あるいはコンテナ等のプラスチック成形品、家電製品、鋼製品、大型構造物、自動車内外装部品、建材、木工品、ガラス製品等が挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
本実施例において、各種物性等の測定条件は下記のとおりである。
<縮合反応度評価>
縮合反応度は、有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物(IV)を添加した塗膜(塗膜a)および有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物(IV)を添加していない塗膜(塗膜b)について、各々、赤外分光法測定(FT−IR測定)を行い、得られた1000cm−1〜1100cm−1の範囲における吸収ピーク(−Si−O−Si−伸縮振動に由来)の最大吸収強度を示す波数(ピーク波数)を読み取り、下記式により得られた値の大きさにより評価を行った。ここで、得られた値が正に大きな値であるほど縮合反応度が高いことを示す。
[縮合反応度評価値(ポイント)]
=[塗膜aより得られたピーク波数(cm−1)]−[塗膜bより得られたピーク波数(cm−1)]
上記赤外分光法測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(型式:Nicolet NEXUS 670、Thermo Scientific社製)を用い、下記条件により行った。
(測定条件)
・測定方法 :全反射測定法(ATR法)
・反射回数 :1回
・クリスタル:ゲルマニウム
・入射角 :45°
・積算回数 :32回
<ヘイズ>
積層フィルムのヘイズは、濁度計(型式:NDH−5000、日本電色工業社製)を用いて、JIS K7136(2000)に準拠して測定した。
<全光線透過率>
積層フィルムの全光線透過率は、濁度計(型式:NDH−5000、日本電色工業社製)を用い、JIS K7361−1(1997)に準拠して測定した。
[製造例1]
ポリエチレンイミン(商品名:エポミンSP−012、日本触媒社製)10g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン8gおよびメタノール100gの混合液を60℃で3時間反応した後、室温まで冷却し、イオン交換水4gを加えて室温で30分間反応した。次いで、メチルシリケートの部分加水分解縮合物(商品名:メチルシリケート51、コルコート社製)45gとメタノール220gを加えて室温で1時間反応することにより、反応液(A)を得た。
得られた反応液(A)を厚さ25μmのPETフィルム上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、100℃で2分乾燥することにより、PETフィルム上に反応液(A)から得られる反応物層(塗膜b)を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムにおいて、反応物層の赤外分光法測定により得られたピーク波数は1043cm−1、ヘイズは1.2%、全光線透過率は90.0%であった。
[実施例1]
製造例1の反応液(A)100gに、テトラ−n−ブトキシチタン2gを加え、コーティング用組成物を得た。
得られたコーティング用組成物を厚さ25μmのPETフィルム上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、100℃で2分乾燥することにより、PETフィルム上にコーティング用組成物層(塗膜a)を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムにおいて、コーティング用組成物層の赤外分光法測定により得られたピーク波数は1048cm−1、反応縮合度評価値は+5ポイントであった。また、得られた積層フィルムのヘイズは1.2%、全光線透過率は89.7%であった。
[実施例2]
製造例1の反応液(A)100gに、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)2.2gを加え、コーティング用組成物を得た。
得られたコーティング用組成物を厚さ25μmのPETフィルム上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、100℃で2分乾燥することにより、PETフィルム上にコーティング用組成物層(塗膜a)を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムにおいて、コーティング用組成物層の赤外分光法測定により得られたピーク波数は1051cm−1、反応縮合度評価値は+8ポイントであった。また、得られた積層フィルムのヘイズは1.1%、全光線透過率は89.9%であった。
[実施例3]
製造例1の反応液(A)100gに、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)1.2gを加え、コーティング用組成物を得た。
得られたコーティング用組成物を厚さ25μmのPETフィルム上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、100℃で2分乾燥することにより、PETフィルム上にコーティング用組成物層(塗膜a)を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、コーティング用組成物層の赤外分光法測定により得られたピーク波数は1049cm−1、反応縮合度評価値は+6ポイントであった。また、得られた積層フィルムのヘイズは1.2%、全光線透過率は90.0%であった。
[実施例4]
製造例1の反応液(A)100gに、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)0.5gを加え、コーティング用組成物を得た。
得られたコーティング用組成物を厚さ25μmのPETフィルム上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、100℃で2分乾燥することにより、PETフィルム上にコーティング用組成物層(塗膜a)を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、コーティング用組成物層の赤外分光法測定により得られたピーク波数は1048cm−1、反応縮合度評価値は+5ポイントであった。また、得られた積層フィルムのヘイズは1.1%、全光線透過率は90.0%であった。
[比較例1]
製造例1の反応液(A)100gに、テトラ−n−ブトキシチタン0.8gを加え、比較例のコーティング用組成物を得た。
得られたコーティング用組成物を厚さ25μmのPETフィルム上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、100℃で2分乾燥することにより、PETフィルム上にコーティング用組成物層(塗膜a)を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、コーティング用組成物層の赤外分光法測定により得られたピーク波数は1043cm−1、反応縮合度評価値は0ポイントであった。また、得られた積層フィルムのヘイズは1.2%、全光線透過率は90.0%であった。
有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物(IV)として、テトラ−n−ブトキシチタンの配合量が6質量%以上となるように調製した実施例1のコーティング組成物では、同化合物の配合量が6質量%よりも少ない比較例1のコーティング組成物と比較して、成膜する際の短時間において、−Si−O−Si−縮合反応がより進行していることが認められた。
同様に、有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物(IV)として、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)を使用した実施例2〜4のコーティング組成物では、テトラ−n−ブトキシチタンを6質量%よりも少ない配合で使用した比較例1のコーティング組成物と比較して、成膜する際の短時間において、−Si−O−Si−縮合反応がより進行していることが認められた。

Claims (2)

  1. 下記成分(I)〜(IV)を含む原料から製造したコーティング用組成物であって、
    下記成分(I)〜(IV)の総質量に占める、(IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物の配合量が6.0質量%以上である、
    コーティング用組成物。
    (I)アミノ基を有する有機高分子化合物
    (II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物
    (III)R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物
    (IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物
  2. (I)アミノ基を有する有機高分子化合物、
    (II)アミノ基と反応し得る官能基およびSiOR基(Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有する有機化合物、
    (III)R Si(OR(Rは炭素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数且つm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解縮合物、及び
    (IV)有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物
    を構成成分として含み、
    前記構成成分(IV)が、1,3−ジカルボニル構造、または炭素数7〜17の炭化水素鎖とカルボキシレート構造とを含む有機チタン化合物および/またはその加水分解縮合物である、
    コーティング用組成物。
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