JP4742848B2 - ガスバリア性容器 - Google Patents

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Description

本発明はガスバリア性容器に関する。詳しくは酸素の遮蔽に優れた樹脂と引張破断伸度80%以上である延伸ポリプロピレンを用いた内容物の保存を目的とした食品や医薬品などの保存に使用されるガスバリア性容器に関する。
近年、内容物保存を目的とした包装材料には、透明性、軽量性、経済性等の理由からプラスチックフィルムや容器の使用が主流になっている。
プラスチック容器の製造法として、真空成型、圧空成型などの絞り成型方法があり、プラスチックフィルムやシートをカップ状またはトレー状に成型された容器は、食品や医薬品の容器等として広範囲に利用されている。
食品、医薬品などの包装に用いられるプラスチック容器の要求性能としては、各種ガスに対するバリア性、保香性、透明性、耐煮沸処理性、耐レトルト処理性、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性、などが挙げられるが、内容物の性能あるいは性質を保持するという目的から、酸素および水蒸気に対する高いバリア性が特に要求される。
このようなガスバリア性容器は、通常、基材となる可撓性ポリマー層、ガスバリア層、シーラント層となる可撓性ポリマーなどの各材料を積層し、容器状に成型することにより構成されている。これらのうち、ガスバリア層を形成するガスバリア性材料としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH樹脂)が良く知られている。しかしながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、酸素バリア性の湿度依存性が大きいため内容物の種類によっては酸素バリア性が急激に低下する問題点、また水蒸気バリア性が低い問題点があり、用途が制限されている(非特許文献1および特許文献1参照。)。
ガスバリア性・保香性包装材料の新展開、東レリサーチセンター、1998年8月21日、p.32−57 特開2004−351769号公報
本発明の課題は、上記問題点を解決し、湿度依存性が小さい酸素バリア性および水蒸気バリア性に加え、耐ボイル処理性、透明性、耐衝撃性、ヒートシール性などの諸性能に優れ、内容物の保存を目的とした食品や医薬品などの保存に使用されるガスバリア性容器を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ある特定のエポキシ樹脂組成物が硬化して得られる硬化物を酸素バリア層として、引張破断伸度80%以上である延伸ポリプロピレンを水蒸気バリア層として用いることにより、酸素バリア性、水蒸気バリア性、および透明性、耐ボイル処理性、耐衝撃性、ヒートシール性などの諸性能に優れた容器が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、少なくとも1層の、JIS−Z1712による引張破断伸度80%以上の延伸ポリプロピレン層と、少なくとも1層の酸素バリア層と、少なくとも1層の可撓性ポリマー層を含むガスバリア性ラミネートシートを成型して成る容器であって、該酸素バリア層がエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とするものであり、かつ該エポキシ樹脂組成物が硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物中に(1)式に示される骨格構造が40重量%以上含有されることを特徴とするガスバリア性容器に関するものである。
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本発明のガスバリア性容器は、酸素バリア性の湿度依存性が低く、水蒸気バリア性が良好で内容物保存の面で有利となる。
本発明におけるガスバリア性容器は、少なくとも1層の、JIS−Z1712による引張破断伸度80%以上の延伸ポリプロピレン層と、少なくとも1層の酸素バリア層と、少なくとも1層の可撓性ポリマーを含むガスバリア性ラミネートシートを成型して成る容器であって、延伸ポリプロピレン層は容器の内側または外側の最表面層になるように用いられ、酸素バリア層は延伸ポリプロピレン層の内面に隣接して用いられるのが好ましい。
本発明における、JIS−Z1712による引張破断伸度80%以上の延伸ポリプロピレン層は、JIS−Z1712による引張破断伸度80%以上である延伸ポリプロピレンを含むフィルム材料またはシート材料からなるものである。
引張破断伸度とは、フィルムの引張特性において、破断する際の伸び率を指し、伸び率が高いほど成型加工性が優位であり好ましい。本発明において引張破断伸度はJIS−Z1712により測定される。JIS−Z1712による引張破断伸度80%以上の延伸ポリプロピレン層として、例えばサン・トックス(株)製MF20がMD方向(フィルム製造流れ方向)220%、TD方向(フィルム製造垂直方向)100%の引張破断伸度を有しており、前記延伸ポリプロピレン層として挙げられる。
ここで、前記延伸ポリプロピレン層はポリエチレン、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂が混合されたものでもよい。また、前記延伸ポリプロピレン層に引張破断伸度80%以上である延伸ポリプロピレン層以外のフィルム材料を積層したものでもよい。該フィルム材料としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、などのポリオレフィン系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド(N-MXD6)などのポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどのプラスチックフィルム;カートンなどの紙類;アルミや銅などの金属箔などが挙げられる。フィルム材料は水蒸気バリア性に優れたポリプロピレン系フィルムを主成分とした材料が好ましい。
これらのフィルム材料またはシート材料の厚さとしては10μm〜5mm程度、好ましくは20μm〜2mm程度が実用的であり、フィルム材料の場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものが望ましく、成型加工が容易な引張破断伸度80%以上のフィルム材料がより好ましい。
前記延伸ポリプロピレン層の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着剤層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は前記延伸ポリプロピレン層に対する接着剤層の良好な接着を促進する。また、前記延伸ポリプロピレン層の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
本発明における可撓性ポリマー層としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系シート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系シート、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド(N−MXD6)などのポリアミド系シート、ポリアクリロニトリル系シート、ポリ(メタ)アクリル系シート、ポリスチレン系シート、ポリカーボネート系シート、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系シート、ポリビニルアルコール系シート、およびこれらの材料にポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂やポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系樹脂、アクリル系樹脂などの各種ポリマーによるコーティングを施したシート、シリカ、アルミナ、アルミなどの各種無機化合物あるいは金属を蒸着させたシート、無機フィラーなどを分散させたシート、酸素捕捉機能を付与したシートなどが使用できる。また、コーティングする各種ポリマーについても無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましく、またその分散方法としては例えば押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。良好な成型性の発現を考慮し、ポリプロピレンシートやポリスチレンシート、ポリエチレンテレフタレートなどのシートを選択することが好ましい。これらのシートの厚さは、0.1〜5mm程度、好ましくは0.2〜2mm程度が実用的であり、シートの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
本発明に用いられるラミネートシートにおいて、酸素バリア層を形成する樹脂組成物はエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とし、該エポキシ樹脂組成物が硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物中に上記(1)式の骨格構造が40重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上含有されることを特徴としている。エポキシ樹脂硬化物中に上記(1)式の骨格構造が高い割合で含有されることにより、高い酸素バリア性が発現する。本発明によれば、酸素透過係数1.0ml・mm/m・day・MPa(23℃、60%RH)以下の酸素バリア性を有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。以下に、エポキシ樹脂組成物の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について説明する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよいが、高い酸素バリア性の発現を考慮した場合には芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。
ここで、前記グリシジルアミン部位は、キシリレンジアミン中のジアミンの4つの水素原子と置換できる、モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位を含む。モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位の各比率はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主としてテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が得られる。
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物、またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、ガスバリア性容器の使用用途およびその用途における要求性能に応じて選択することが可能である。
具体的には、ポリアミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。
また、これらのポリアミン類とエポキシ樹脂との反応生成物、ポリアミン類とモノグリシジル化合物との反応生成物、ポリアミン類と炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、ポリアミン類とエピクロロヒドリンとの反応生成物、ポリアミン類と少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応により得られたアミノオリゴマー、ポリアミン類と少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応により得られたアミノオリゴマーなどが使用できる。
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多置換基モノマー、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
また、酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらのカルボン酸などが使用できる。
高い酸素バリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとエポキシ樹脂との反応生成物、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとモノグリシジル化合物との反応生成物、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応により得られたアミノオリゴマー、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応により得られたアミノオリゴマーなどを使用することがより好ましい。
高い酸素バリア性および各種フィルム材料および/またはシート材料との良好な接着性を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)および(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
前記(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
また、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などの炭素数1〜8の一価のカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などを上記多官能性化合物と併用して開始ポリアミンと反応させてもよい。反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および各種フィルム材料への良好な接着強度が得られる。
前記 (A)および(B)、または(A)、(B)および(C)の反応モル比は、(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)に含有される反応性官能基の数の比、または(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)および(C)に含有される反応性官能基の合計数の比として、0.3〜0.97の範囲が好ましい。0.3より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高い酸素バリア性および各種フィルム材料および/またはシート材料との良好な接着性が発現しない。また、エポキシ樹脂硬化剤中に残存する揮発性分子の割合が高くなり、得られる硬化物からの臭気発生の原因となる。また、エポキシ基とアミノ基の反応により生成する水酸基の硬化反応物中における割合が高くなるため、高湿度環境下での酸素バリア性が著しく低下する要因となる。一方、0.97より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり優れた耐衝撃性や耐熱性などが発現せず、また各種有機溶剤あるいは水に対する溶解性も低下する。得られる硬化物の高い酸素バリア性、高い接着性、臭気発生の抑制および高湿度環境下での高い酸素バリア性を特に考慮する場合には、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.6〜0.97の範囲がより好ましい。より高いレベルの各種フィルム材料および/またはシート材料に対する接着性の発現を考慮した場合には、本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤中に、該硬化剤の全重量を基準として、少なくとも6重量%のアミド基が含有されることが好ましい。
本発明において、酸素バリア層を構成するエポキシ樹脂組成物を接着剤として使用して作製したラミネートシートは、ラミネート直後(エージング前)に300mm/minの剥離速度でのラミネート強度(初期粘着力)が30g/15mm以上であることが好ましく、40g/15mm以上であることがより好ましく、50g/15mm以上であることが特に好ましい。この初期粘着力が十分でない場合、ラミネートシートのトンネリングやフィルムを巻き取る際の巻きズレなどの問題が発生する。
高い初期粘着力の発現を考慮した場合には、例えばエポキシ樹脂硬化剤であるメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと、該ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物の反応比を、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比で0.6〜0.97、好ましくは0.8〜0.97、特に好ましくは0.85〜0.97の範囲とし、反応生成物であるオリゴマーの平均分子量を高くしたエポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
より好ましいエポキシ樹脂硬化剤は、メタキシリレンジアミンと、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体との反応生成物である。ここで、メタキシリレンジアミンに対するアクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体の反応モル比は0.8〜0.97の範囲が好ましい。
本発明においてエポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.5〜15.0の範囲である。0.5より少ない範囲では残存する未反応のエポキシ基が、得られる硬化物の酸素バリア性を低下させる原因となり、また15.0より多い範囲では残存する未反応のアミノ基が、得られる硬化物の耐湿熱性を低下させる原因となる。得られる硬化物の酸素バリア性および耐湿熱性を特に考慮する場合には、0.8〜12.0の範囲がより好ましく、2.0〜11.0の範囲が特に好ましい。
また、得られる硬化物の高湿度環境下での高い酸素バリア性の発現を考慮した場合には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.8〜1.4の範囲が好ましい。
本発明における接着剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
本発明における接着剤には各種フィルム材料および/またはシート材料に塗布時の表面の湿潤を助けるために、必要に応じてシリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381などがある。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
本発明における接着剤には各種フィルム材料および/またはシート材料に塗布直後の各種フィルム材料および/またはシート材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
また、本発明における接着剤により形成される酸素バリア層の酸素バリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、接着剤の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤を添加しても良い。
シートの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
また、本発明における接着剤には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
さらに、本発明における接着剤により形成される酸素バリア層の各種フィルム材料および/またはシート材料に対する接着性を向上させるために、接着剤の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
本発明における接着剤は各種フィルム材料および/またはシート材料に対する好適な接着性能に加え、高い酸素バリア性を有する事を特徴としており、低湿度条件から高湿度条件に至る広い範囲において高い酸素バリア性を示す。このことから、本発明における接着剤を使用したラミネートシートは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、ポリメタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。
さらに、本発明におけるエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐煮沸処理性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性ラミネートシートが得られる。
本発明における接着剤を使用して、各種フィルム材料および/またはシート材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。
本発明における接着剤を各種フィルム材料および/またはシート材料に塗布し、ラミネートする場合には、酸素バリア層となるエポキシ樹脂硬化物を得るのに十分なエポキシ樹脂組成物の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料およびラミネート方法の選択により変化し得る。すなわち、エポキシ樹脂組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比、ラミネート方法などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶剤および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈して接着剤を調製する場合までの様々な状態をとり得る。使用される有機溶剤としては、接着剤との溶解性を有するあらゆる溶剤が使用し得る。例えばトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの非水溶性系溶剤、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。
接着剤は、塗布液のザーンカップ(No.3)粘度が5〜30秒(25℃)の範囲となるように溶剤で希釈される。ドライラミネートではザーンカップ(No.3)粘度はその使用中に10〜20秒(25℃)であることが好ましい塗布液がプライマー層上に十分塗布され、ロールの汚染など無く、塗布液がロールに均一に移行する。
塗布液調製の際の泡立ちを抑えるために、塗布液に、シリコン、アクリル系化合物などの消泡剤を添加しても良い。適切な消泡剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK019、BYK052、BYK067N、BYK070、BYK080などや楠本化成(株)より入手しうるディスパロン1930N、ディスパロン1934、ディスパロンLS―009、ディスパロンAQ−501、共栄社化学(株)より入手しうるアクアレン7447、グラノールB−1484、フローレンTW−4000などがあり、特にBYK019やディスパロン1930Nが好ましい。これらを添加する場合には、塗布液中のエポキシ組成物全量に対して0.01〜3重量%0.0001〜3重量%が好ましく、0.01重量%〜2重量%0.0005〜2重量%がより好ましく、0.02〜2重量%0.001〜1.5重量%がさらに好ましい。
また、溶剤を使用した場合には、接着剤を塗布後の溶剤乾燥温度は20℃から140℃までの様々なものであってよいが、溶剤の沸点に近く、被塗物への影響が及ばない温度が望ましい。乾燥温度が20℃以下ではラミネートフィルム中に溶剤が残存し、接着不良や臭気の原因となる。また乾燥温度が140℃以上では、各種フィルム材料および/またはシート材料の軟化などにより、良好な外観のラミネートシートを得るのが困難となる。例えば接着剤を延伸ポリプロピレンフィルムに塗布する際は、40℃〜120℃が望ましい。
接着剤を各種フィルム材料および/またはシート材料に塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布またはスプレー塗布が好ましい。
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。ドライラミネート法の場合には、各種フィルム材料および/またはシート材料に前記塗布液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料をニップロールにより貼り合わせることによりラミネートシートを得ることができる。接着剤を調製する際の溶剤としては、溶解性が良く、比較的沸点が低い、炭素数3以下のアルコールを含む溶剤であることが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびn−プロパノールからなる群から選ばれる1種以上を主成分とする溶剤が例示される。さらに、エポキシ樹脂とポリアミンとの反応を遅延し接着剤の増粘を抑え作業時間を長くする効果があるエステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤を混合した混合液であることが好ましい。エステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤を混合した混合液としては、比較的沸点が低い、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上を混合した混合液が例示される。得られるラミネートフィルムに残留する溶剤量が少ないフィルムを得るために、エステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤の含有量は、全溶剤中の20重量%以下が好ましい。ここで、ラミネートシートに残留する溶剤が多い場合、悪臭の原因となるため、残留する溶剤量は7mg/m以下が実用的であり、7mg/mより多い場合は、シートから異臭が感じられる原因となる。フィルムの臭気を厳密に管理する場合には5mg/m以下が好ましく、3mg/m以下が特に好ましい。
ドライラミネート法において、接着剤は、前記延伸ポリプロピレン層だけではなく、可撓性ポリマー層に塗布することが可能であり、ポリエチレンシートやポリプロピレンシート、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系シートに塗布、乾燥後、延伸ポリプロピレン、ポリアミド系シート、ポリエチレンテレフタレートシートなどの基材を貼りあわせる事により、ラミネートシートを製造することができる。
ニップロールにより貼り合せる場合、ニップロールは20℃〜120℃に加熱して貼り合せることができるが、40〜100℃が望ましい。
この場合、ラミネート後に必要に応じて20〜60℃で一定時間エージングし、硬化反応を完了することが好ましい。該エージングにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化物が形成され、高いガスバリア性と接着力が発現するし、ブロッキングや添加剤の溶出などの問題が起こらない。エージング温度が20℃未満もしくはエージングなしでは、エポキシ樹脂組成物の反応率が低く、十分なガスバリア性及び接着力が得られない。また60℃を超えるエージング温度はポリマーフィルムのブロッキングや添加剤の溶出などの問題が起こり得る。
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、前記延伸ポリプロピレン層に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた本発明における接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなシート材料を貼り合わせることによりラミネートシートを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様にラミネート後に必要に応じて一定時間のエージングを行うことが望ましい。
押出しラミネート法の場合には、前記延伸ポリプロピレン層に接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明における接着剤の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、20℃〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートシートを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
これらのラミネート法およびその他の一般的に使用されうるラミネート法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じてラミネートシートの層構成は変化し得る。
本発明における接着剤を各種フィルム材料および/またはシート材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着剤層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分な酸素バリア性および接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着剤層を形成することが困難になる。
本発明における接着剤を使用して製造したラミネートシートは食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装容器として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。すなわち、本発明におけるラミネートシートをそのまま多層包装材料として使用することもできるし、必要に応じて酸素吸収層や熱可塑性樹脂フィルム層、紙層、金属箔層などを本発明におけるラミネートシートにさらにラミネートさせることもできる。この際、本発明における接着剤を用いてラミネートさせても良いし、他の接着剤やアンカーコート剤を用いてラミネートさせても良い。
本発明のガスバリア性容器は、前記ラミネートシートを一般的に知られる加熱成型方法、例えば真空成型や圧空成型あるいは熱板成型などの成型方法により、所定の形状に加圧、成型することにより、あるいは前記ラミネートシートを別の可撓性フィルムまたはシートにラミネートし真空成型や圧空成型あるいは熱板成型などの成型方法により、所定の形状に加圧、成型することにより得られる。
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<エポキシ樹脂硬化剤a>
反応容器に1モルのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93モルのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で160℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤aを得た。エポキシ樹脂硬化剤a中のアミド基の含有率は21重量%であった。
延伸ポリプロピレン層、酸素バリア層、容器について評価方法は以下の通りである。
<延伸ポリプロピレン層の引張破断伸度>
JIS−Z1712に従い、温度23℃、引張速度300mm/分、フィルム厚み30μmの条件で測定した。
<酸素バリア層の酸素透過率>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX-TRAN10/50A)を使用して、容器の酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定し、容器の酸素透過率(ml/package・day・MPa)を求めた。また容器中に水を入れた状態でも測定した。表面積を測定し、単位面積当たりの酸素透過率(ml/m・day・MPa)を測定した。成型前の酸素バリア層厚を測定し、成型前後の表面積比から絞り比を算出し、平均塗布厚を使用して単位厚当たりの酸素透過係数(ml・mm/m・day・MPa)を算出した。
<水蒸気透過率>
容器に塩化カルシウムを入れてアルミ箔にて蓋をし、40℃、相対湿度90%の条件下での重量変化により測定し、容器の水蒸気透過率(g/package・day)を求めた。表面積を測定し、単位面積当たりの水蒸気透過率(g/m・day)を算出した。
<実施例1>
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD-X)50重量部、エポキシ樹脂硬化剤a608重量部、メタノール613重量部、酢酸エチル88重量部(固形分濃度;35重量%、メタノール/酢酸エチル=9/1溶液)を混合し、そこにアクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.4重量部加え、よく攪拌し、ザーンカップ(No.3)粘度14秒(25℃)の接着剤を得た。
厚み30μmの熱成型性延伸ポリプロピレンフィルム(サン・トックス(株)製MF20、引張破断伸度はMD方向(フィルム製造流れ方向)220%、TD方向(フィルム製造垂直方向)100%)に接着剤を100線/cm深さ100μmグラビアロールを使用して塗布し、60℃(入り口付近)〜90℃(出口付近)の乾燥オーブンで乾燥させた後、厚み0.5mmの無延伸ポリプロピレンシートを70℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、巻取り速度130m/minで巻取り、ロールを40℃で2日間エージングすることによりラミネートシートを得、更に2.7倍絞り比(面積比)の真空成型により表面積363cmの平皿状容器を得た。得られた容器についてその酸素バリア性と水蒸気バリア性を評価した。結果を表1に示す。尚、塗布層(エポキシ樹脂硬化物)中の(1)式に示される骨格構造の含有量は59.5重量%である。
<実施例2>
厚み0.5mmの無延伸ポリプロピレンシートの代わりに厚み30μmの熱成型性延伸ポリプロピレンフィルムを用い、更に厚み0.5mmの発泡ポリスチレンシートにヒートラミネートし更に2.4倍絞り比(面積比)の真空成型により表面積250cmのどんぶり型容器を得た。得られた容器についてその酸素バリア性と水蒸気バリア性を評価した。結果を表1に示す。
参考例
厚み30μmの熱成型性延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに厚み15μmの延伸ナイロンフィルムを用いた以外は実施例2と同様の方法で成型容器を得た。結果を表1に示す。
<比較例1>
構成が厚み12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体と厚み0.5mmの無延伸ポリプロピレンシートにヒートラミネートした以外は実施例1と同様の方法で成型容器を得た。結果を表1に示す。
<比較例2>
構成が厚み12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体と厚み0.5mmの発泡ポリスチレンシートにヒートラミネートした以外は実施例2と同様の方法で成型容器を得た。結果を表1に示す。
Figure 0004742848
Figure 0004742848

Claims (3)

  1. 少なくとも1層の、JIS−Z1712による引張破断伸度80%以上の延伸ポリプロピレン層と、少なくとも1層の酸素バリア層と、少なくとも1層の可撓性ポリマー層を含むガスバリア性ラミネートシートを成型して成る容器であって、該酸素バリア層がエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とするものであり、かつ該エポキシ樹脂組成物が硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物中に(1)式に示される骨格構造が40重量%以上含有され、前記延伸ポリプロピレン層が、MD方向(フィルム製造流れ方向)220%以上、TD方向(フィルム製造垂直方向)100%以上の引張破断伸度を有していることを特徴とするガスバリア性容器。
    Figure 0004742848
  2. 前記エポキシ樹脂硬化物が酸素透過係数1.0ml・mm/m2・day・MPa(23℃、60%RH)以下の酸素バリア性を有する請求項1記載のガスバリア性容器。
  3. 前記エポキシ樹脂組成物を接着剤として使用し、前記ラミネートシートをドライラミネート法により製造したものである請求項1記載のガスバリア性容器。
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