JP2010270272A - ガスバリア性樹脂組成物、塗料および接着剤 - Google Patents

ガスバリア性樹脂組成物、塗料および接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂が有する優れた性能に加え、高いガスバリア性、良好な塗膜外観を与える樹脂組成物、および該組成物により得られる塗料、接着剤を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤およびフッ素系表面調整剤を含むガスバリア性樹脂組成物であって、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対する該表面調整剤の量が0.01〜2重量部であり、且つ該樹脂組成物より形成される硬化物中の(1)式に示される骨格構造の含有量が30重量%以上であることを特徴とするガスバリア性樹脂組成物。
【化1】
Figure 2010270272

【選択図】 なし

Description

本発明はガスバリア性エポキシ樹脂組成物に関するものであり、防食、美粧を目的とする塗料や、高いガスバリア性が要求される食品や医薬品などの包装材料に用いるラミネート用接着剤等の広い産業分野に利用される。
エポキシ樹脂は各種基材に対する接着性、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性など、他の樹脂に比較して多くの優れた特性を有するため、防食、美粧を目的とする塗料や、土木、建築用接着剤など広い産業分野で利用されている。一般に塗料や接着剤分野で使用されるエポキシ樹脂組成物のガスバリア性は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などと比較すれば良好であるが、ガスバリア材料に分類されるポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどには及ばない。従って、エポキシ樹脂を利用する場合には、腐食因子の透過抑制のために、樹脂厚みを大きくする、他材料を重ねて被覆する、フィラーを併用するなど様々な工夫がなされている。
一方、エポキシ樹脂に関して、組成物中のアミン窒素含有率を高くすることにより酸素や二酸化炭素などに対するガスバリア性を向上させる方法が提案されている(特許文献1〜2参照)。しかしながら、これらの樹脂組成物のガスバリア性は必ずしも十分ではなく、また高湿度条件下でガスバリア性が低下するという現象も認められることからさらなる改良が望まれている。
また、ポリアミン中の活性アミン水素とポリエポキシド中のエポキシ基との比が少なくとも1.5:1であって、該ポリアミンが開始ポリアミンであって炭素原子の少なくとも50%が芳香族であるポリアミンの変性物である樹脂組成物を用いることにより、上記組成物よりさらにバリア性を向上させ、また高湿度条件下でのバリア性を向上させる方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、上記の樹脂組成物は塗布後の反応生成物中に未反応の活性アミン水素を有するアミン基が多量に残存するため、防錆、防食目的で金属やコンクリート等への塗布を考えた場合に、接着性、耐熱性、耐薬品性、および電気特性などのエポキシ樹脂が本来有する優れた性能が発現しないという問題がある。
特定のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を使用したエポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂の優れた性能に加え、高湿度条件下でも高いガスバリア性を有する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、フィルムにエポキシ樹脂組成物を塗布した際、フィルムの濡れ性が低い場合は、エポキシ樹脂硬化塗膜の外観が不良となる場合があった。
特公平7−91367号公報 特公平7−91368号公報 特表平9−511537号公報 特開平14−256208号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、エポキシ樹脂が有する優れた性能に加え、高いガスバリア性と良好な塗膜外観を与える樹脂組成物、および該組成物により得られる塗料、接着剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤および特定量のフッ素系表面調整剤を含む樹脂組成物がエポキシ樹脂の優れた性能に加え、高いガスバリア性を有し、塗膜外観が良好であり、密着性に優れたガスバリア性塗料及び接着剤を与えることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、つぎの通りである。
1. エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤およびフッ素系表面調整剤を含むガスバリア性樹脂組成物であって、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対する該表面調整剤の量が0.01〜2重量部であり、且つ該樹脂組成物より形成される硬化物中の(1)式に示される骨格構造の含有量が30重量%以上であることを特徴とするガスバリア性樹脂組成物。
Figure 2010270272

2. 前記フッ素系表面調整剤が、ビックケミー社製BYK−340である第1項記載のガスバリア性樹脂組成物。
3. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである第1項記載のガスバリア性樹脂組成物。
4. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂および/またはビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである第1項に記載のガスバリア性樹脂組成物。
5. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである第1項記載のガスバリア性樹脂組成物。
6. 前記エポキシ樹脂硬化剤が、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物である第1項〜第4項のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
7. 第1項〜第6項のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物を利用してなる塗料。
8. 第1項〜第6項のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤。
9. 第1項〜第6項のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物を利用してなる接着補助剤。
10. 第8項記載のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルム。
11. 第9項記載の接着補助剤を使用し、押出しラミネート法により作製したラミネートフィルム。
本発明のガスバリア性樹脂組成物、または該組成物により得られる塗料は、金属の防錆やコンクリートの防食などを目的として、金属やコンクリートなど従来のエポキシ樹脂塗料が使用されている被塗材料に同様に塗布され得るが、さらに従来のエポキシ樹脂塗料ではそのガスバリア性の低さから適用されていなかった高ガスバリア性が要求される各種ガス透過性基材、例えば食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィンやポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルム、あるいはプラスチック容器などへの塗布も可能となる。
本発明のガスバリア性樹脂組成物から得られる接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有することから、ガスバリア性能と接着性能を1つの層に兼備させることが可能になる。その結果、従来の包装材料用ラミネートフィルムの場合、ガスバリア機能を有する層と、該層とシーラント層との接着のために塗工される接着層を別途使用する必要があったが、本発明のラミネート用接着剤を使用することにより、ガスバリア層を別途設けることなく高いガスバリア性を有する包装材料用ラミネートフィルムを作製する事が可能となる。
本発明のガスバリア性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤およびフッ素系表面調整剤を含み、該樹脂組成物より形成される硬化物中に、上記(1)式の骨格構造が30重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上含有される。上記(1)式の骨格構造が高いレベルで含有されることにより、該樹脂組成物から形成されるエポキシ樹脂硬化物に高いガスバリア性が発現する。以下に、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について説明する。
本発明におけるエポキシ樹脂は、飽和または不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよいが、高いガスバリア性の発現を考慮した場合には芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
前記エポキシ樹脂は、アルコール類、フェノール類またはアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。メタキシリレンジアミンは4つのアミノ水素を有するので、モノ−、ジ−、トリ−およびテトラグリシジル化合物が生成する。グリシジル基の数はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主として4つのグリシジル基を有するエポキシ樹脂が得られる。
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましいい。
本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物、またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、塗料あるいは接着剤の使用用途およびその用途における要求性能に応じて選択することが可能である。
具体的には、ポリアミン類としてはエチレジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン;メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式アミン;ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。また、これらを原料とするエポキシ樹脂、ポリアミン類とモノグリシジル化合物との変性反応物、ポリアミン類とエピクロルヒドリンとの変性反応物、ポリアミン類と炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの変性反応物、ポリアミン類と少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応により得られたアミドオリゴマー、ポリアミン類、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物、および一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応により得られたアミドオリゴマーもエポキシ樹脂硬化剤として使用できる。
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多価フェノール、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
また、酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらのカルボン酸などが使用できる。
高いガスバリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン、およびこれらを原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との反応生成物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、エピクロロヒドリンとの反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などを使用することがより好ましい。
高いガスバリア性および各種材料との良好な接着性を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)および(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
前記(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
また、前記(C)の炭素数1〜8の一価のカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などが挙げられ、また、それらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物なども使用することができる。これらは上記多官能性化合物と併用してポリアミン(メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン)と反応させてもよい。反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
前記 (A)および(B)、または(A)、(B)および(C)の反応モル比は、(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)に含有される反応性官能基の数の比、または(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)および(C)に含有される反応性官能基の合計数の比として、0.3〜0.97の範囲が好ましい。0.3より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高いレベルのガスバリア性および接着性が発現しない。また、エポキシ樹脂硬化剤中に残存する揮発性分子の割合が高くなり、得られる硬化物からの臭気発生の原因となる。また、エポキシ基とアミノ基の反応により生成する水酸基の硬化反応物中における割合が高くなるため、高湿度環境下での酸素バリア性が著しく低下する要因となる。一方、0.97より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり優れた耐衝撃性や耐熱性などが発現せず、また各種有機溶剤あるいは水に対する溶解性も低下する。また、優れた塗膜性能が発現せず、さらに高粘度となるため塗装時の作業性も低下する。得られる硬化物の高いガスバリア性、高い接着性、臭気発生の抑制および高湿度環境下での高い酸素バリア性を特に考慮する場合には、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.6〜0.97の範囲がより好ましい。より高いレベルの接着性の発現を考慮した場合には、本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤中に、該硬化剤の全重量を基準として、少なくとも6重量%のアミド基が含有されることが好ましい。
また、本発明のガスバリア性樹脂組成物は、フッ素系表面調整剤を含む。該表面調整剤を含むことにより、該樹脂組成物を利用して塗布液を調製する際に塗布液のプラスチックなどの基材への濡れ性を向上させることができる。該表面調整剤としては、BYK−340(以上、ビックケミー社製)、F−474、F−479(以上、大日本インキ工業社製)、FC−4430、FC−4432(以上、住友スリーエム社製)、KP323、KP341(以上、信越化学工業社製)、PAINTAD32、PAINTAD54、DK8−8011(以上、東レダウコーニング社製)、サーフロンS−111N、サーフロンS−113、サーフロンS−121、サーフロンS−131、サーフロンS−132、サーフロンS−141、サーフロンS−381、サーフロンS−383(以上、AGCセイケミカル社製)などが挙げられるが、これらの中でもビックケミー社から入手しうるBYK−340が好ましい。フッ素系表面調整剤は、添加量が少ない場合においても良好な表面張力低減効果を発揮し、特に下地への濡れ性が向上するため、ハジキを防止する効果あり、密着性に対しても悪影響を及ぼさない。
本発明において、エポキシ樹脂組成物中の表面調整剤量は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対する表面調整剤の量として0.01〜2重量部であり、好ましくは0.01〜1.5重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部である。表面調整剤が0.01重量部未満では、表面張力低減効果が不足し、塗膜外観が不良となる。また2重量部より大きいと、被着体への密着性の低下が生じる。
本発明における、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤およびフッ素系表面調整剤を含むガスバリア性樹脂組成物の硬化反応は、その硬化反応物を得るのに十分な組成物の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料の選択により変化し得る。すなわち、該組成物を塗料あるいは接着剤用途に用いる場合、組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶剤および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度にする場合までの様々な状態をとり得る。同様に、硬化反応温度は室温から約140℃までの範囲で選択できる。
適切な有機溶剤としては、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどの非プロトン性極性溶剤、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチルなどの非水溶性系溶剤などが挙げられるが、グリコールエーテル類、アルコール類などの水溶性系溶剤がより好ましい。
本発明のガスバリア性樹脂組成物中のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂反応物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数の比が0.5〜5.0、好ましくは0.8〜3.0の範囲である。
また、本発明のガスバリア性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
本発明における塗布液を調製する際に塗布液の泡立ちを抑えるために、塗布液の中に、シリコンあるいはアクリル系化合物といった消泡剤を添加しても良い。適切な消泡剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK019、BYK052、BYK065、BYK066N、BYK067N、BYK070、BYK080、などがあげられるが、特にBYK065が好ましい。また、これら消泡剤を添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対して0.01重量%〜3.0重量%の範囲が好ましく、0.02重量%〜2.0重量%がより好ましい。
また、本発明におけるエポキシ樹脂硬化物により形成されるコート層のガスバリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、エポキシ樹脂硬化物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤を添加しても良い。
フィルムの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
本発明のガスバリア性樹脂組成物を金属やコンクリート、プラスチックなど一般的な基材に塗布する場合においては、各種基材の表面の湿潤を助けるために、本発明のガスバリア性樹脂組成物の中に、必要に応じて、シリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK325、BYK331、BYK333、BYK350、BYK345、BYK347、BYK348、BYK361N、BYK380N、BYK381などがある。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対して0.001〜2重量部の範囲が好ましい。
また、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、本発明のガスバリア性樹脂組成物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
また、本発明のガスバリア性樹脂組成物には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
さらに、本発明のガスバリア性樹脂組成物中には必要に応じ、低温硬化性を増大させるための例えばN-エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第一錫などの硬化促進触媒、ベンジルアルコールなどの有機溶剤、リン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカなどの防錆添加剤、フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラックなどの無機顔料等の各成分を必要割合量添加しても良い。
本発明のガスバリア性樹脂組成物は、そのまま、または必要に応じて溶剤や着色顔料、体質顔料などの各種顔料を混合して、塗料として使用することができる。
本発明のガスバリア性樹脂組成物から得られる塗料は、防食、美粧などを目的として金属やコンクリートなど従来のエポキシ樹脂塗料が使用されている被塗材料に同様に塗布され得る。さらに、従来のエポキシ樹脂塗料ではそのガスバリア性の低さから適用されていなかった高ガスバリア性が要求される各種ガス透過性基材、例えば食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィンやポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルム、あるいはプラスチック容器などへの塗布も可能となる。
本発明のガスバリア性樹脂組成物を利用してラミネート用接着剤とすることができる。該接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としていることから、該接着剤により形成されるラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。また、これら従来のガスバリア性材料とシーラント材料とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。また、接着剤層を形成するエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性ラミネートフィルムが得られる。
また、本発明のガスバリア性樹脂組成物にはプラスチックフィルム、無機蒸着フィルム、金属箔、紙などの各種フィルム材料に対する接着性を向上させるために、該樹脂組成物中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。カップリング剤としては、一般に市販されているものが使用できるが、中でもチッソ(株)、東レ・ダウコーニング(株)、信越化学工業(株)等から入手しうるN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’-ビス[3-トリメトキシシリル]プロピル]エチレンジアミン等のアミノ系シランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤、東レ・ダウコーニング(株)製のSH−6026、Z−6050等のアミノシラン系カップリング剤、信越化学工業(株)製のKP−390、KC−223等のアミノ基含有アルコキシシラン等の本発明のガスバリア性樹脂組成物と反応しうる有機官能基を有するものが望ましい。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲が好ましい。なお、基材がシリカ、アルミナなどの各種無機化合物を蒸着させたフィルムの場合は、シランカップリング剤がより好ましい。
さらに、本発明のガスバリア性樹脂組成物には各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
本発明の接着剤によりラミネートされ得るフィルム材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミドなどのポリアミド系フィルム、ポリ乳酸などの生分解性フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム、カートンなどの紙類、アルミや銅などの金属箔、およびこれらの材料に各種ポリマーによるコーティングを施したり、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
これらのフィルム材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、プラスチックフィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
これらのフィルム材料の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
これらのフィルム材料の中で、シーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層については、良好なヒートシール性の発現を考慮し、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
本発明のラミネート用接着剤を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。
接着剤組成物をポリマーフィルムに塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。そのうちロール塗布またはスプレー塗布が特に好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術および設備が適用され得る。
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。ドライラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に本発明のラミネート用接着剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合、ラミネート後に必要に応じて室温〜60℃で一定時間のエージングを行ない、硬化反応を完了することが望ましい。一定時間のエージングを行なうことにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化反応物が形成され、高いガスバリア性が発現する。
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた本発明のラミネート用接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様にラミネート後に必要に応じて一定時間のエージングを行なうことが望ましい。
押出しラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明のガスバリア性樹脂組成物の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
本発明のラミネート用接着剤を各種フィルム材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性および接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着層を形成することが困難になる。
本発明のラミネート用接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としていることから、本発明のラミネート用接着剤により形成されるラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)コート層、ポリアクリル酸などを使用したアクリル樹脂系コート層、EVOHフィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナ(Al2O3)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現するが、これら従来のガスバリア性材料とシーラント材料とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。また、本発明のラミネートフィルム中の接着剤層を形成するエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性ラミネートフィルムが得られる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
尚、実施例に記載したエポキシ樹脂硬化剤は以下の方法で調製した。
<エポキシ樹脂硬化剤a>
反応容器に1モルのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93モルのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で160℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が65重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤aを得た。
<エポキシ樹脂硬化剤b>
樹脂を希釈する際の溶剤をメタノールの代わりにエタノールを固形分濃度が65重量%になるように加えた以外は、エポキシ樹脂硬化剤aと同様の手法でエポキシ樹脂硬化剤bを得た。
また、ガスバリア性の評価方法は以下の通りである。
<酸素透過率 (ml/m・day・MPa)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN10/50A)を使用して、積層フィルムの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定した。
<ラミネート強度 (g/15mm)>
JISK−6854に指定されている方法を用い、積層フィルムのラミネート強度をT型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
<ラミネートフィルム外観>
エージング後のラミネートフィルム外観を目視にて観察した。
◎:良好、○:やや良好、△:一部不良、×:不良
<実施例1>
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を50重量部およびエポキシ樹脂硬化剤aを160重量部含むメタノール/酢酸エチル=9/1溶液(固形分濃度;35重量%)を作製し、フッ素系表面調整剤(ビックケミー社製;BYK340)を0.1重量部、フッ素含有シリコン系消泡剤(ビックケミー社製;BYK065)を0.08重量部、アクリル系湿潤剤(ビックケミー社製;BYK381)を0.5部加えよく攪拌し、ザーンカップ(No.3)粘度14秒(25℃)の塗布液を得た。
この塗布液を厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製;パイレンP2161)に110線/inch深さ95μmグラビアロールを使用して接着剤を塗布し(塗布量:3.8 g/m(固形分))、次いで60℃(入り口付近)〜90℃(出口付近)の乾燥オーブンで乾燥させた後、厚み40μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製パイレンP1128)を70℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、巻取り速度120m/minで巻取り、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルムを得た。初期粘着力は70 g/15mm、接着層(エポキシ樹脂硬化物)中の(1)式の骨格構造の含有率は62.0重量%であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
アクリル系湿潤剤BYK381の代わりにアクリル系湿潤剤BYK361Nを使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
二軸延伸ポリプロピレンフィルム パイレンP2161の代わりに二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製;ハーデンN1102)および無延伸ポリプロピレンフィルム パイロンP1128の代わりに直鎖状低密度ポリエチエンフィルム(東セロ(株)製:T.U.X MC−S)を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
二軸延伸ポリプロピレンフィルム パイレンP2161の代わりに二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製;E5100)および無延伸ポリプロピレンフィルム パイロンP1128の代わりに直鎖状低密度ポリエチエンフィルム(東セロ(株)製:T.U.X MC−S)を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1の塗布液にチッソ(株)製シランカップリング剤であるサイラエースS330(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)を4.75重量部加えよく攪拌し、ザーンカップ(No.3)粘度14秒(25℃)の塗布液を得た。
この塗布液を厚み12μmのシリカ蒸着ポリエステルフィルム(三菱樹脂(株)製;テックバリアL)に110線/inch深さ95μmグラビアロールを使用して接着剤を塗布し(塗布量:3.8 g/m(固形分))、次いで60℃(入り口付近)〜90℃(出口付近)の乾燥オーブンで乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチエンフィルム(東セロ(株)製:T.U.X MC−S)を70℃に加熱したニップロールにより貼り合わせ、巻取り速度120m/minで巻取り、40℃で2日間エージングすることにより積層フィルムを得た。初期粘着力は70 g/15mm、接着層(エポキシ樹脂硬化物)中の(1)式の骨格構造の含有率は62.0重量%であった。結果を表1に示す。
<実施例6>
エポキシ樹脂硬化剤aの代わりに、エポキシ樹脂硬化剤bを使用し、またメタノール/酢酸エチル=9/1溶液の代わりにエタノール酢酸エチル=9/1溶液(固形分濃度;35重量%)を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
実施例1の塗布液に対し、更にアクリル系湿潤剤(ビックケミー社製;BYK381)を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
表面調整剤BYK340、および湿潤剤BYK381を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
表面調整剤BYK340を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
フッ素系表面調整剤BYK340を0.005重量部にした以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例4>
フッ素系表面調整剤BYK340を3重量部にした以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
Figure 2010270272

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤およびフッ素系表面調整剤を含むガスバリア性樹脂組成物であって、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100重量部に対する該表面調整剤の量が0.01〜2重量部であり、且つ該樹脂組成物より形成される硬化物中の(1)式に示される骨格構造の含有量が30重量%以上であることを特徴とするガスバリア性樹脂組成物。
    Figure 2010270272
  2. 前記フッ素系表面調整剤が、ビックケミー社製BYK−340である請求項1記載のガスバリア性樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基および/またはグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項1記載のガスバリア性樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂および/またはビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1に記載のガスバリア性樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1記載のガスバリア性樹脂組成物。
  6. 前記エポキシ樹脂硬化剤が、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物である請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物。
    (A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
    (B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
    (C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物を利用してなる塗料。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物を利用してなるラミネート用接着剤。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性樹脂組成物を利用してなる接着補助剤。
  10. 請求項8記載のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルム。
  11. 請求項9記載の接着補助剤を使用し、押出しラミネート法により作製したラミネートフィルム。
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