JP3017368B2 - グラファイトペーストおよびそれを用いた蛍光表示管の製造方法 - Google Patents

グラファイトペーストおよびそれを用いた蛍光表示管の製造方法

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JP3017368B2
JP3017368B2 JP4281840A JP28184092A JP3017368B2 JP 3017368 B2 JP3017368 B2 JP 3017368B2 JP 4281840 A JP4281840 A JP 4281840A JP 28184092 A JP28184092 A JP 28184092A JP 3017368 B2 JP3017368 B2 JP 3017368B2
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正秋 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光表示管の陽極電極
層に使用するグラファイトペーストおよび蛍光表示管の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光表示管は、自己発光型のディスプレ
イであり、かつ高輝度である特徴を有している。この蛍
光表示管の一般的構造は、真空に保持した外容器内に、
蛍光体層を被着した陽極電極層と、この陽極電極層の上
に張られたフィラメントと、陽極電極層とフィラメント
との間に設けられたグリッドとを備えてなる。そして、
フィラメントから放射される熱電子をグリッドにより制
御し、蛍光体層の表面に衝突させることによって励起発
光を行っている。
【0003】このような蛍光表示管に関する従来技術に
ついては、特開昭58−40746号公報、特開昭60
−68536号公報、特開昭61−243646号公
報、特開昭64−24345号公報、特開平2−466
37号公報等に開示されている。これら従来の蛍光表示
管においては、陽極電極層には、導体成分がグラファイ
ト粉末であるグラファイトペーストが使用されている。
従来のグラファイトペーストでは、印刷性及び焼結性等
の点からPbOを主成分とするフリットガラスの焼結剤
とセルロース系からなる有機バインダーを混合しペース
ト化し、550〜600°Cの温度範囲で焼結してい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
グラファイトペーストでは、焼結剤のフリットガラスに
PbOが含まれているため、次のような問題点があっ
た。すなわち、PbOを含むため、蛍光体層印刷後の焼
成時に蛍光体を汚染し、発光効率が著しく低くなってい
た。また、バインダーの完全焼却が難しいため、CO2
やCH2 等の有機性ガスを含む傾向があり、蛍光体やフ
ィラメントを汚染しやすかった。
【0005】本発明の目的は、前述したような従来技術
の問題点を解消しうるような蛍光表示管の陽極導体層に
使用するグラファイトペーストおよび蛍光表示管の製造
方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、蛍光表
示管の陽極導体層に使用するグラファイトペーストは、
グラファイト粉末と、該グラファイト粉末を結合させる
焼結剤としてのフリットガラスと、粘度を調整する溶媒
とからなり、前記フリットガラスは、ZnOを主成分と
し、Bi2 3 をフリットガラス1重量部に対して0.0
4〜0.77重量部含有したことを特徴とする。
【0007】また、本発明の別の特徴によれば、前述し
たようなグラファイトペーストの組成に、グラファイト
粉末1重量部に対してTiH2 を0.2〜3.0重量部およ
びWO3 を0.005〜0.1重量部含有させる。
【0008】さらにまた、本発明による蛍光表示管の製
造方法は、陽極導体層をグラファイトペーストにて形成
し、該グラファイトペーストは、グラファイト粉末と、
該グラファイト粉末を結合させる焼結剤としてのフリッ
トガラスと、粘度を調整する溶媒とからなり、前記フリ
ットガラスは、ZnOを主成分とし、Bi2 3 をフリ
ットガラス1重量部に対して0.04〜0.77重量部含有
したものであり、さらに、前記グラファイトペースト
は、グラファイト粉末1重量部に対してTiH2を0.2
〜3.0重量部およびWO3 を0.005〜0.1重量部含有
したものであり、排気工程完了後、150〜350°C
にて加熱処理を行うことを特徴とする。
【0009】
【実施例】次に、添付図面に基づいて、本発明の実施例
について本発明をより詳細に説明する。
【0010】添付図面の図1は、本発明によるグラファ
イトペーストにて陽極導体層を形成した一実施例として
の蛍光表示管の一部を破断して示す平面図であり、図2
は、図1の蛍光表示管の拡大断面図である。図1および
図2の蛍光表示管において、基板1は、ガラスなどの絶
縁材料からなる。この基板1に、先ず、配線導体2を形
成し、更に、この配線導体2を所定のスルーホール3a
を形成した絶縁層3により被う。この絶縁層3の上に陽
極導体層4が形成され、これら陽極導体層4は、スルー
ホール3aを通して配線導体2に接続されている。そし
て、これら陽極導体層4の上には蛍光体5が被着され
て、陽極6が形成され、パターン表示部7が形成されて
いた。なお、参照符号8は、パターン表示部7に対面す
る上方に配設されたメッシュ状の制御電極を示し、参照
符号9は、加熱されて電子を放出するフィラメント状の
陰極を示しており、参照符号10は、平底舟形状に成形
されて、基板1の周辺部に封着され、基板1と共に外囲
器を構成する前囲器を示しており、参照符号11は、外
部端子を示している。
【0011】一般的に、このような蛍光表示管における
陽極導体層4は、グラファイト(黒鉛)にフリットガラ
ス、アルミナ、シリカを加え混合し、更に有機質バイン
ダーを加えペースト状に調合したものを印刷、焼成する
ことにより、形成している。本発明は、次のような実験
結果に基づいてなされたものである。すなわち、このよ
うな陽極導体層を形成するためのグラファイトペースト
において、グラファイトに混合するフリットガラスの成
分を従来のPbO系からZnO系に変える。ZnO系の
フリットガラスは、PbO系に比べ軟化温度が高くな
り、グラファイトペーストの焼成温度550〜590°
Cでは焼結剤としての強度が弱く(焼結性が悪い)、陽
極層のグラファイトペーストを印刷、焼成後に蛍光体層
を印刷する時にグラファイトの接着強度が弱くカーボン
層が剥がれる等の不具合が生じた。そのために、ZnO
系のフリットガラスにBiO2 をフリットガラス1重量
部に対して0.04〜0.77重量部混合することにより、
ZnO系のフリットガラスの焼結温度が下がり、550
°Cでもグラファイト層の接着強度が増し、グラファイ
ト層の剥がれ等の問題が無くなった。また、ZnO系の
フリットガラスにしたことにより、輝度が従来のPbO
系のフリットガラスを使用した時より、10%向上し
た。
【0012】次に、ZnO系フリットガラスを用いたグ
ラファイトペースト中にグラファイト粉末1重量部に対
してTiH2 を0.2〜3.0重量部およびWO3 を0.00
5〜0.1重量部加えることにより、蛍光体の発光効率を
高め、また高温放置特性を良くすることができ、輝度向
上が30%図れた。これは、陽極のグラファイト層に含
まれるTiH2 が、蛍光体層を印刷焼成するときに、水
素ガスを発生し、これにより、蛍光体表面の変質、汚染
等を防ぎ、発光効率を改善することができたからであ
る。また、これらTiH2 およびWO3 は、別の働きと
して、管内真空排気後に管内ガス吸着剤として働く作用
がある。すなわち、TiH2 は、酸素に対するゲッター
作用があり、また、WO3 は、炭素化合物の分解ガスや
2 Oに対するゲッター作用があり、管内真空度の向上
および蛍光体の表面の洗浄効果がある。このようなTi
2 およびWO3 の蛍光体の表面洗浄効果およびゲッタ
ー効果をより効率よく引き出すために、排気工程完了後
(蛍光表示管の真空処理)に加熱処理を行い、管内真空
度をよくし、蛍光体表面をよりきれいに洗浄し、蛍光体
の発光効率をあげ、耐熱性をよりよくすることができ
た。その加熱処理温度範囲としては、150〜350°
Cである。より効果を引き出す温度は、より高温にする
方がよい。但し、封着しているフリットガラスの軟化温
度が、300°Cが好ましい工程温度であった。このよ
うに、管内ガス吸着剤としての働きをより高めるため
に、管内真空排気工程後、バリウムのゲッターフラッシ
ュを行い管内真空を上げた後、管を前述したような温度
に加熱し、陽極層に含まれるTiH2およびWO3 にガ
スを吸着させる働きを行うことにより、管内ガスが少な
くなり、蛍光表示管特性を良くすることができた。
【0013】図3は、従来のPbO系フリットガラスを
使用したグラファイトペーストによって陽極導体層を形
成した蛍光表示管の発光輝度を100とした場合におけ
る、本発明の種々な実施例による蛍光表示管の相対輝度
を示している。図3に示すように、実施例1は、ZnO
系フリットガラスを使用したグラファイトペーストによ
って陽極導体層を形成した蛍光表示管の例であり、その
相対輝度は110であった。実施例2は、ZnO系フリ
ットガラスにTiH2 1.0重量%、WO3 0.01重量%
を加えたグラファイトペーストによって陽極導体層を形
成した蛍光表示管の例であり、その相対輝度は130で
あった。
【0014】また、実施例3は、実施例2のように、Z
nO系フリットガラスにTiH2 1.0重量%、WO3 0.
01重量%を加えたグラファイトペーストによって陽極
導体層を形成し、ゲッターフラッシュ後、300°Cに
て加熱処理することにより作製された蛍光表示管の例で
あり、その相対輝度は、140であった。
【0015】
【発明の効果】本発明によるグラファイトペーストは、
蛍光表示管の輝度特性に大きく影響するPbOを含んだ
フリットガラスをZnOを主成分とし、Bi2 3 を添
加したフリットガラスにすることにより、グラファイト
ペーストの印刷焼成後の基板への接着強度を落とすこと
なく、蛍光表示管の輝度特性を向上させることができ
る。
【0016】また、グラファイトペースト中にTi
2 、WO3 を添加させることにより更に輝度向上を図
ることができる。この場合において、蛍光表示管を真空
状態にし、管を加熱処理することにより、カーボン層に
含まれる、TiH2 、WO3 のガス吸着性を利用して、
蛍光表示管の特性の向上をさらに図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるグラファイトペーストにて陽極導
体層を形成した一実施例としての蛍光表示管の一部を破
断して示す平面図である。
【図2】図1の蛍光表示管の拡大断面図である。
【図3】本発明の実施例と従来例との相対発光輝度を例
示するための表を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 配線導体 3 絶縁層 3a スルーホール 4 陽極導体層 5 蛍光体 6 陽極 7 パターン表示部 8 制御電極 9 陰極 10 前囲器 11 外部端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−9372(JP,A) 特開 昭57−123638(JP,A) 特開 昭62−285334(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 31/15 H01J 9/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光表示管の陽極導体層に使用するグラ
    ファイトペーストにおいて、グラファイト粉末と、該グ
    ラファイト粉末を結合させる焼結剤としてのフリットガ
    ラスと、粘度を調整する溶媒とからなり、前記フリット
    ガラスは、ZnOを主成分とし、Bi2 3 をフリット
    ガラス1重量部に対して0.04〜0.77重量部含有した
    ことを特徴とするグラファイトペースト。
  2. 【請求項2】 グラファイト粉末1重量部に対してTi
    2 を0.2〜3.0重量部およびWO3 を0.005〜0.1
    重量部含有する請求項1記載のグラファイトペースト。
  3. 【請求項3】 基板上に陽極導体層を形成し該陽極導体
    層上に蛍光体層を被着せしめる構造の蛍光表示管の製造
    方法において、前記陽極導体層をグラファイトペースト
    にて形成し、該グラファイトペーストは、グラファイト
    粉末と、該グラファイト粉末を結合させる焼結剤として
    のフリットガラスと、粘度を調整する溶媒とからなり、
    前記フリットガラスは、ZnOを主成分とし、Bi2
    3 をフリットガラス1重量部に対して0.04〜0.77重
    量部含有したものであり、さらに、前記グラファイトペ
    ーストは、グラファイト粉末1重量部に対してTiH2
    を0.2〜3.0重量部およびWO3 を0.005〜0.1重量
    部含有したものであり、排気工程完了後、150〜35
    0°Cにて加熱処理を行うことを特徴とする蛍光表示管
    の製造方法。
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JP6009707B1 (ja) * 2015-10-30 2016-10-19 株式会社ジャスト 浄水器用原水供給装置

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