JP3016371B2 - 光検出器の製造方法 - Google Patents

光検出器の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光検出器の製造方法
に関し、特にシリコン基板に選択的にアバランシェ層と
光吸収層が形成されたアバランシェフォトダイオードの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】第1の従来例として特開平7−2311
13号公報に開示されている発明者等による光検出器の
製造方法について図4を用いて説明する。
【0003】まず図4(a)に示すように、P型シリコ
ン基板1にN+ 埋込層2を形成したのち更に、N型エピ
タキシャル層3を堆積する。次にシリコン酸化膜などに
より埋設された溝10をN+ 埋込層2に達するまでの深
さに形成する。次に図4(b)に示すように、溝10に
囲まれた領域のN型エピタキシャル層3を除去する。次
に図4(c)に示すように、エピタキシャル層3の除去
された領域内にP型シリコン層(アバランシェ層)11
を選択エピ成長法により形成し、次に、SiGe混晶層
とSi層を交互に選択エピ成長したSiGe/Si層
(光吸収層)7とその上にP+ シリコン層(電極層)8
を選択成長する。
【0004】第2の従来例を図5を用いて工程順に説明
する。まず図5(a)に示すように、P型シリコン基板
1にN+ 埋込層2とN型エピタキシャル層3を堆積して
形成したのち、溝4をN+ 埋込層2に達するまでの深さ
に形成する。次に図5(b)に示すように、全面にシリ
コン酸化膜を成長後、ドライエッチング法によりシリコ
ン酸化膜のエッチバックを行い、溝4の側壁にシリコン
酸化膜5を残す。その後、図5(c)に示すように、P
型シリコン層(アバランシェ層)11を選択エピ成長法
により形成し、次に、SiGe混晶層とSi層を交互に
選択エピ成長したSiGe/Si層(光吸収層)7を形
成し、その上にP+ シリコン層(電極層)8を選択成長
する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した各従来例の光
検出器の製造方法はアバランシェ層の形成を選択エピタ
キシャル成長で行っている。この方法では、エピタキシ
ャル成長中に不純物添加が同時に行われる。発明者は、
従来例に開示されているフォトダイオードのアバランシ
ェ層の不純物濃度を変化させて、光検出器の動作を計算
させたところ、5%の不純物濃度変化で光検出器のPN
接合のアバランシェ降服電圧が、約30%変化すること
が判明した。このアバランシェ電圧の変動は10%程度
以内に収まらなければフォトダイオードの製造は困難で
あるが、そのためには不純物濃度の変動は2%程度に抑
える必要がある。
【0006】しかしながら、不純物添加エピタキシャル
成長法では、現在不純物添加法としてよく用いられるイ
オン注入法に比較して、添加量の制御が難しい。具体的
には不純物添加エピタキシャル成長法の場合10%以上
の濃度ばらつきは避けられない。このため、アバランシ
ェ層をエピタキシャル成長法で形成することは、アバラ
ンシェフォトダイオードの製造ばらつきの点から、現実
性が乏しいといえる。
【0007】本発明の目的は、以上のような従来例の問
題点を解決し、アバランシェ降服電圧ばらつきの小さい
アバランシェ層を有する光検出器の製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明の光検出器の
製造方法は、第1導電型のシリコン基板上に第2導電型
の埋込層および第2導電型のシリコン層を順次形成する
工程と、側壁が第1シリコン酸化膜で覆われている溝を
少なくとも前記第2導電型のシリコン層に形成する工程
と、前記溝内にイオン注入法により選択的に不純物を導
入し、前記第2導電型の埋込層の表面上の一部分に第1
導電型の拡散層を形成する工程と、前記第1導電型の拡
散層上に単結晶層又は単結晶層と混晶層とを選択的に形
成する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0009】第2の発明の光検出器の製造方法は、第1
導電型のシリコン基板上に第2導電型の埋込層および第
2導電型のシリコン層を順次形成する工程と、少なくと
も前記第2導電型のシリコン層に溝を形成したのち全面
に第1のシリコン酸化膜を形成する工程と、この第1シ
リコン酸化膜を通して、前記溝内にイオン注入法により
選択的に不純物を導入し、前記第2導電型の埋込層の表
面上の一部分に第1導電型の拡散層を形成した後、前記
第1シリコン酸化膜の一部を除去し、前記溝の側壁のみ
に前記第1シリコン酸化膜を残す工程と、前記第1導電
型の拡散層上に単結晶層又は単結晶層と混晶層とを選択
的に形成する工程とを含むことを特徴とするものであ
る。
【0010】
【作用】上記のようにイオン注入法によりアバランシェ
層となる拡散層を形成することにより、フォトダイオー
ドのアバランシェ層の濃度ばらつきが従来例より小さく
なり、アバランシェフォトダイオードのアバランシェ降
服電圧の製造ばらつきが小さくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明について図面を参照し
て説明する。図1(a)〜(c)は本発明の第1の実施
の形態を説明する為の工程順に示した半導体チップの断
面図である。
【0012】まず、図1(a)のように、P型シリコン
基板1に厚さ約0.8μmのN+ 埋込層2を形成し、更
に、N型エピタキシャル層3を約1μmの厚さに堆積し
て形成したのち、深さ約1μmの溝4をN型エピタキシ
ャル層3内に形成する。
【0013】次に図1(b)に示すように、全面にシリ
コン酸化膜を約0.2μmの厚さに成長後、ドライエッ
チング法によりシリコン酸化膜のエッチバックを行い、
溝4の側壁にシリコン酸化膜5を残す。ここまでの工程
は第2の従来例と同じである。次に、リンをイオン注入
(加速電圧10keV,ドーズ量1×1013cm-2)す
ることにより、N型エピタキシャル層3にP型拡散層
(アバランシェ層)6を形成する。このとき、熱処理に
より、P型拡散層の活性化を行う必要があるが、所望の
層厚より拡散層が広がらないように、ランプ加熱等によ
り、900℃1分程度の熱処理にするのがよい。
【0014】次に、図1(c)のように、SiGe混晶
層とSi層を交互に選択エピタキシャル成長したSiG
e/Si層(光吸収層)7を溝内に選択的に成長し、そ
の上にP+ シリコン層(電極層)8を約0.1μmの厚
さに選択成長する。
【0015】なお、N型エピタキシャル層3の厚さや溝
4の深さは、必要とする光吸収層の厚さにより、適宜決
定すればよく、これにより本実施の形態の工程に何の変
化も生じない。また、本実施の形態では、溝4をN+
込層2に達するように形成しているが、N型エピタキシ
ャル層3の途中までの溝形成でも本発明の効果に変わり
はない。溝4の深さは、使用するフォトダイオードの用
途や、後の製造工程などにより、適宜決定することがで
きる。
【0016】このように第1の実施の形態によればP型
拡散層6をイオン注入法により形成している為、不純物
濃度のばらつきを小さくすることができる。
【0017】図2(a),(b)は本発明の第2の実施
の形態を説明する為の半導体チップの断面図である。
【0018】本実施の形態は、途中までは第1の実施の
形態の図1(a)の溝4の形成までと同じである。続い
て全面にシリコン酸化膜を成長後、ドライエッチング法
によりシリコン酸化膜のエッチバックを行い、図2
(a)のように溝4の側壁にシリコン酸化膜5を残す。
次でシリコン酸化膜9を約0.03μm程度全面に成長
する。
【0019】次に図2(b)に示すように、リンをイオ
ン注入(加速電圧50keV,ドーズ量1×1013cm
-2)することにより、P型拡散層(アバランシェ層)6
を形成する。続いてシリコン酸化膜9を除去し、その後
は第1の実施の形態と同様に図1(c)のように、Si
Ge混晶層とSi層を交互に選択エピタキシャル成長し
たSiGe/Si層(光吸収層)7を選択的に成長し、
その上にP+ シリコン層(電極層)8を選択成長する。
本第2の実施の形態では、P型拡散層6形成のためのイ
オン注入による不純物導入をシリコン酸化膜9を通して
行うので、P型拡散層に与えるダメージ(欠陥)を、直
接N型エピタキシャル層にイオン注入する場合より低減
できるという利点がある。
【0020】図3は本発明の第3の実施の形態を説明す
る為の半導体チップの断面図である。本実施の形態も、
途中までは第1の実施の形態の図1(a)までと同じで
ある。続いて、図3のように、全面にシリコン酸化膜5
Aを約0.2μm成長する。次でリンをイオン注入(加
速電圧210keV,ドーズ量2×1013cm-2)する
ことにより、P型拡散層(アバランシェ層)6を形成す
る。次にドライエッチング法によりシリコン酸化膜5A
のエッチバックを行い、第1の実施の形態の図1(b)
のように、溝4の側壁にシリコン酸化膜5Aを残す。
【0021】以下図1(c)のように、SiGe混晶層
とSi層を交互に選択エピタ成長したSiGe/Si層
(光吸収層)7を選択的に成長し、その上にP+ シリコ
ン層(電極層)8を選択成長する。本第3の実施の形態
では、第2の実施の形態のようにシリコン酸化膜を通し
て、P型拡散層形成のためのイオン注入を行うので、P
型拡散層のダメージを低減できるとともに、溝に残すた
めのシリコン酸化膜をイオン注入時のスルーシリコン酸
化膜として利用するので、第1の実施の形態より工程数
を減らすことができる。
【0022】なお、光吸収層はSiGe/Si層に限ら
ず、受光波長により、どのようなものを使ってもかまわ
ない。上記SiGe/Si層は波長が1.0μm帯以上
のいわゆる長波長帯の受光には必要であるが、例えば、
0.8μm帯以下の波長の受光は、単結晶シリコンで可
能であり、したがって、SiGe/Si層の代りに単結
晶シリコン層を選択的にエピタキシャル成長してもよ
い。
【0023】以上のようなイオン注入によるアバランシ
ェ層の形成工程を含む実施の形態によりにより、アバラ
ンシェフォトダイオードの光吸収層に接して、不純物濃
度のばらつきを2%以内に収めたアバランシェ層を形成
することが可能となる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明はイオン注
入法によりアバランシェ層を形成している為、アバラン
シェ層の不純物濃度ばらつきを従来例より低減すること
が可能である。これにより、アバランシェ降服電圧の製
造ばらつきが小さくなり、アバランシェフォトダイオー
ドを用いた光検出器を安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する為の半導
体チップの断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を説明する為の半導
体チップの断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態を説明する為の半導
体チップの断面図。
【図4】第1の従来例を説明する為の半導体チップの断
面図。
【図5】第2の従来例を説明する為の半導体チップの断
面図。
【符号の説明】
1 P型シリコン基板 2 N+ 埋込層 3 N型エピタキシャル層 4 溝 5,5A シリコン酸化膜 6 P型拡散層(アバランシェ層) 7 SiGe/Si層(光吸収層) 8 P+ シリコン層(電極層) 9 シリコン酸化膜 10 溝 11 P型シリコン層(アバランシェ層)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型のシリコン基板上に第2導電
    型の埋込層および第2導電型のシリコン層を順次形成す
    る工程と、側壁が第1シリコン酸化膜で覆われている溝
    を少なくとも前記第2導電型のシリコン層に形成する工
    程と、前記溝内にイオン注入法により選択的に不純物を
    導入し、前記第2導電型の埋込層の表面上の一部分に第
    1導電型の拡散層を形成する工程と、前記第1導電型の
    拡散層上に単結晶層又は単結晶層と混晶層とを選択的に
    形成する工程とを含むことを特徴とする光検出器の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 側壁が第1シリコン酸化膜で覆われてい
    る溝を形成したのち全面に第2シリコン酸化膜を形成す
    る工程と、この第2シリコン酸化膜を通して前記溝内に
    イオン注入法により選択的に不純物を導入し、前記第2
    導電型の埋込層の表面上の一部分に第1導電型の拡散層
    を形成したのち、前記第2シリコン酸化膜を除去する工
    程とをさらに含む請求項1記載の光検出器の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1導電型のシリコン基板上に第2導電
    型の埋込層および第2導電型のシリコン層を順次形成す
    る工程と、少なくとも前記第2導電型のシリコン層に溝
    を形成したのち全面に第1シリコン酸化膜を形成する工
    程と、この第1シリコン酸化膜を通して、前記溝内にイ
    オン注入法により選択的に不純物を導入し、前記第2導
    電型の埋込層の表面上の一部分に第1導電型の拡散層を
    形成したのち、前記第1シリコン酸化膜の一部を除去
    し、前記溝の側壁のみに前記第1シリコン酸化膜を残す
    工程と、前記第1導電型の拡散層上に単結晶層又は単結
    晶層と混晶層とを選択的に形成する工程とを含むことを
    特徴とする光検出器の製造方法。
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