JP3010156U - 冷却用帽体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷却効果が比較的長時間持続し、且つ、屋外
でも手軽に再使用できることに加え、外見上及び作業安
全上も好適な形態である冷却用帽体を提供する。 【構成】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に吸水
性を有する高分子繊維からなる不織布を封入した三層布
を主材とした。また、周長調節手段を備えた。上記、メ
ッシュ状の表地及び防水性裏地のうち、少くとも一方が
紫外線カット加工を施したもの、又は高分子ポリマーに
紫外線を吸収し、太陽熱線を反射する効果を有する無機
質を含有させた繊維からなる編織物であることが好まし
い。また、上記不織布を構成する繊維体中に抗菌剤を混
入し、更には前記三層布に多数の通気孔を開口した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、暑い屋外環境での太陽からの日差しを防いだり、高温・高熱の作業 現場で作業する作業者が快適且つ安全に作業を行うためにかぶる帽子、及び前頭 部へ着けるヘアバンド、或いはヘルメット等の内側に着用するインナーキャップ 等の冷却用帽体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

高熱の溶接作業，製鉄，鋳造，電力などの高温作業現場、及びフォークリフト 作業，土木作業，農作業等の炎天下での屋外作業、或いは屋外でのスポーツ，ハ イキング、及びスポーツ観戦では発汗を抑えるために、タオルを水に浸し頭部に 取り付けるか帽子の下に汗とりの素材を併用していたが、通常外気温３０℃以上 ではタオルに水を含ませても５〜１０分程度で冷却効果が失われてしまう上に、 タオルは外見上及び作業安全上好ましいものではなかった。

【０００３】 また、より強力な冷却効果が必要な場合には、帯状の袋体にゲル状の冷却剤を 封入したものを冷蔵庫に入れて凍らせて頭部に取り付けたりしていたが、このよ うな冷却剤の持続時間にも自ずと限界があり、再度使用するには再び冷凍する必 要があり、冷蔵庫の無い屋外では事実上再使用は不可能で冷凍するにしても時間 を要するので直ちに使用することはできなかった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の技術の上述の点に鑑みて、冷却効果が比較的長時間持続し、 且つ、屋外でも手軽に再使用できることに加え、外見上及び作業安全上も好適な 形態である冷却用帽体を提供する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

メッシュ状の表地と防水性裏地との間に吸水性を有する高分子繊維からなる不 織布を封入した三層布を主材とした。そして、帽体に周長調節手段を備えた。上 記、メッシュ状の表地及び防水性裏地のうち、少くとも一方が紫外線カット加工 を施したもの、又は高分子ポリマーに紫外線を吸収し、太陽熱線を反射する効果 を有する無機質を含有させた繊維からなる編織物であることが好ましい。また、 上記、不織布を構成する繊維体中に抗菌剤を混入した。

【０００６】

【作用】

冷却用帽体を水中に浸漬すると、メッシュ状の表地より水が三層布内部に浸透 し、不織布に吸収される。そして、含水した冷却用帽体を頭部に着用すると、外 部及び頭部からの熱により水が緩かに蒸発し、その際、蒸発熱が奪われることに よって帽体と、該帽体に接触している頭部は冷却され、冷却効果は長時間に亘り 持続する。

【０００７】 そして、周長調節手段により帽体の周長を調節し、帽体を頭部表面に密着させ ることにより、冷却効果が頭部に確実に及ぶようにする。また、紫外線カット加 工を施した表地及び裏地は、帽体の昇温を抑制する。更に、不織布の繊維体中に 混入された抗菌剤は、帽体を乾燥保管する際、該帽体に残留した水分等によるカ ビ等の発生及び、繁殖を阻止する。

【０００８】

【実施例】

実施例について図面と共に説明する。

【０００９】 図１は、本考案冷却用帽体１１をヘルメット１０等の内側に装着するインナー キャップに、実施した例を示すものである。図において、冷却用帽体１１は、メ ッシュ状の表地２１と防水性裏地２２との間に吸水不織布２３を封入した三層布 １２を縫製してなり、図２は、該三層布１２を示した拡大断面図である。

【００１０】 メッシュ状の表地２１は、例えば、綿，麻，ナイロン，ポリエステル等よりな るラッセル編地，絡み織等、粗目で通気性，透水性の良いものが冷却効果を得る うえで好適である。また、太陽光線中の紫外線を吸収すると共に太陽熱線を反射 する効果に優れた特殊セラミックスを練り込んだポリエステルよりなる編地，織 地を使用すると更に優れた冷却効果が得られる。

【００１１】 防水性裏地２２は、不織布２３に含まれた水の漏れを防止するため、防水性， 撥水性の良いものを用いる。例えば、ナイロン，ポリエステル，ポリエステル／ 綿混紡等の編織物に、片面コーティング方式によって防水被膜を形成し、更に、 シリコン系，フッ素系の撥水剤で処理した防水布を用いる。上記コーティング剤 は、アミノ酸，ポリウレタン自己架橋型アクリル樹脂等が好ましい。

【００１２】 吸水性不織布２３は、例えば、高分子ゲル物質で表層を覆われたアクリルステ ープルを用い、カーディングによって開繊し、通常の不織布製造工程によってウ エブを形成し、更に、ニードリング機でステープルファイバー同志を絡めた不織 布シートが好ましい。吸水量は自重の５〜８倍程が好適であり、吸水量をコント ロールするために、通常のポリエステル，アクリル，ポリプロピレン等の合成繊 維，又は、羊毛，木綿，麻等の天然繊維を１０〜５０％混綿しても良い。ウエブ の目付としては３０〜２００ｇ／ｍ² を使用目的に応じて調整する。

【００１３】 また、上述の吸水性不織布２３に用いる高分子ゲル物質で表層で表層を覆われ たアクリルステープルは、多量の水を吸水し、多少の圧力を加えても離水せず、 冷却効果を長時間に亘り持続することが可能である反面、分子間に含水した水分 の蒸発速度が遅いため、蒸発速度を高め、蒸発熱による冷却効果の発生を促進す るためには、遠赤外線放射繊維を３０％程度混綿した不織布としても良い。

【００１４】 上記遠赤外線放射繊維としては、アルミナ，シリカ，炭化ジルコニウム等の微 粉セラミックスを高分子ポリマーに練り込んだ合成繊維を用いる。更に、綿繊維 を混紡し表面積を大きくすることも蒸発を促進する上で有効である。

【００１５】 また、吸水性不織布２３に用いるアクリルステープルの表面を被う高分子ゲル 物質は、含水状態によって固相−液相−固相と変化するため、乾燥状態では、冷 却用帽体１１を通常のインナーキャップとして使用でき、夏季には汗とり用とし て冬季には防寒用として機能を有し、オールシーズンでの使用が可能である。

【００１６】 冷却用帽体１１を保管する際には乾燥させるが、水分が残留するとカビが発生 することが考えられる。これを防止するためには、繊維状の抗菌剤を１０〜５０ ％混合すると良い。

【００１７】 以上の如き組成を有する三層布１２を縫製して冷却用帽体１１を構成するに際 しては、図２に示すように三層布１２の端縁部（特に下端部）１２ｅにおいて防 水性裏地２２を折り返して吸水性不織布２３を覆い、テープ２４により玉縁縫い するか若しくはヘム縫いして吸水性不織布２３に吸収した水分の流出を防止する ことが好ましい。

【００１８】 また、冷却用帽体１１は頭部表面に密着することによりその冷却効果を上げる ことができる。そこで、図１に示す如く周縁部の一部に切欠部１３を形成すると 共に、該切欠部１３をベルト１４，１５、及びバックル１６により連結して、周 長を調節可能としている。

【００１９】 上述の如く構成された冷却用帽体１１の使用に際して、冷却用帽体１１を水中 に浸漬すれば、水は、メッシュ状の表地２１を通り三層布１２内に浸透し、吸水 性不織布２３に吸収され、含水した吸水性不織布２３は自重の５〜８倍に膨潤す る。

【００２０】 そして、上記含水した冷却用帽体１１をヘルメット１０のインナーキャップと して頭部に着用すると、外部及び頭部からの熱によって吸水性不織布２３に含水 した水分を緩やかに蒸発し、その際蒸発熱が奪われることで冷却用帽体１１と、 該帽体１１に接触している頭部は冷却される。

【００２１】 この際において、メッシュ状の表地２１は通気性が良好であるので、水分の蒸 発が促進され速やかに冷却効果が得られ、且つ、防水性裏地２２により吸水性不 織布２３に吸収した水により頭部が濡れることがないので快適である。

【００２２】 また、図３は、本考案を帯状のインナーキャップに実施した冷却用帽体３１を 示すものであり、該冷却用帽体３１は有端帯状の三層布に１２の端部同志をベル ト３４，３５、及び面ファスナー３６，３７により連結して周長を調節可能とし ている。尚、周長調節手段としてゴムバンド等の伸縮性バンドを用いても良い。

【００２３】 本考案の冷却用帽体は、上述の如く高温，高熱作業現場で使用するヘルメット のインナーキャップとしての利用は勿論、これ以外にも各種帽体に実施して、炎 天下での作業，スポーツ、或いはレジャーをする際に、着用することによって頭 部の温度上昇を防ぎ、これらの活動を快適化することが出来る。以下、各実施例 について図面と共に説明する。

【００２４】 図４に示す冷却用帽体４１は、三層布１２を縫製して通常の帽子に実施したも のであって、後頭部の切欠部４３をベルト４４，４５、及びバックル４６で連結 して周長を調節可能とすると共に、側頭部４７はメッシュ単層として通気性を確 保し、頭部の蒸れを防止している。また、ひさし４２は合成樹脂製として水に浸 漬されることにより劣化するのを防止する。

【００２５】 図５に示す冷却用帽体５１は、帯状の三層布１２よりなるヘアバンドであり、 結び目５２により周長を調節可能としてある。図６に示す冷却用帽体６１は、ヘ アキャップ（サンバイザー）であり、三層布１２を貫通して馬蹄形の弾性体６２ を設け、頭部に固定可能とすると共に、三層布１２を前頭部に密着可能としてい る。

【００２６】 更に、図７に示す冷却用帽体７１は、クラウン全体を三層布１２で形成し、ブ リム７２には通常の素材を用いている。また、三層布１２に多数の通気孔７３を 開口して内部にこもる蒸気を外へ出すことも快適感を得る上で有効である。

【００２７】 上記、各実施例の冷却用帽体１１，３１，４１，５１，６１，７１の主材であ る三層布１２は、繊維素材のみで構成されているため風合もソフトで軽く、外観 上も通常の帽体と何ら変わらないものとなっている。

【００２８】

【考案の効果】

本考案冷却用帽体は、上述の通り構成されているので以下に記載されるような 効果を奏する。

【００２９】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に吸水性を有する高分子繊維からなる不 織布を封入した三層布を主材としたので、着用前に冷却用帽体を水に浸漬するだ けで大量の水分を吸水性不織布に保持させることが可能であり、該水分の緩やか な蒸発と、それに伴う蒸発熱により良好な冷却効果が得られ高温，高熱の作業現 場，炎天下での屋外作業、及び、スポーツ，レジャー等を安全且つ、快適に行う ことが可能となる。また、冷却用帽体の主材である三層布は繊維素材のみよりな り、通常の各種の帽子に容易に縫製可能であり、帽体は、外見上、及び、作業安 全上も好適な形態をなしている。

【００３０】 上記帽体に、周長調節手段を備えたので、帽体が頭部に密着し、頭部に対する 良好な冷却効果が得られる。

【００３１】 上記メッシュ状の表地及び防水性裏地のうち、少くとも一方が紫外線カット加 工を施したもの、又は高分子ポリマーに紫外線を吸収し、太陽熱線を反射する効 果を有する無機質を含有させた繊維からなる編織物であるので、紫外線及び太陽 熱線による帽体の昇温が抑制され、これにより主に頭部の熱により水分の蒸発が なされ頭部に対する冷却効果を高めることができる。

【００３２】 不織布を構成する繊維体中に抗菌剤を混入したので、乾燥保管する際等におけ るカビ等の発生，繁殖が防止され、清潔な状態で繰り返し使用することができ、 且つ、冷却を必要としない時期・環境においても乾燥状態で通常の帽体としての 使用に好適である。

【提出日】平成６年８月１０日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００５

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００５】

【課題を解決するための手段】

メッシュ状の表地と防水性裏地との間に吸水性を有する高分子繊維からなる不 織布を封入した三層布を主材とした。そして、帽体に周長調節手段を備えた。上 記、メッシュ状の表地及び防水性裏地のうち、少くとも一方が紫外線カット加工 を施したもの、又は高分子ポリマーに紫外線を吸収し、太陽熱線を反射する効果 を有する無機質を含有させた繊維からなる編織物であることが好ましい。また、 上記、不織布を構成する繊維体中に抗菌剤を混入し、更には、前記三層布に多数 の通気孔を開口した。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】 そして、周長調節手段により帽体の周長を調節し、帽体を頭部表面に密着させ ることにより、冷却効果が頭部に確実に及ぶようにする。また、紫外線カット加 工を施した表地及び裏地は、帽体の昇温を抑制する。更に、不織布の繊維体中に 混入された抗菌剤は、帽体を乾燥保管する際、該帽体に残留した水分等によるカ ビ等の発生及び、繁殖を阻止する。また、上記三層布に多数の通気孔を開口する ことにより、着帽時内部にこもる蒸気を外へ出すことができる。

【手続補正４】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２６

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２６】 更に、図７に示す冷却用帽体７１は、クラウン全体を三層布１２で形成し、ブ リム７２には通常の素材を用いている。また、三層布１２に多数の通気孔７３を 開口して着帽時内部にこもる蒸気を外へ出すことも快適感を得る上で有効である 。

【手続補正５】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００３２

【補正方法】変更

【補正内容】

【００３２】 不織布を構成する繊維体中に抗菌剤を混入したので、乾燥保管する際等におけ るカビ等の発生，繁殖が防止され、清潔な状態で繰り返し使用することができ、 且つ、冷却を必要としない時期・環境においても乾燥状態で通常の帽体としての 使用に好適である。更に、三層布に多数の通気孔を設けることにより、着帽時内 部にこもる蒸気を外へ出し快適感を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の冷却用帽体の一部切開した状態
を示す斜視図である。

【図２】三層布の拡大断面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す斜視図である。

【図４】本考案の他の実施例を示す斜視図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す斜視図である。

【図６】本考案の他の実施例を示す斜視図である。

【図７】本考案の他の実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１１，３１，４１，５１，６１，７１ 冷却用帽体 １２ 三層布 ２１ 表地 ２２ 防水性裏地 ２３ 吸水性不織布

【手続補正書】

【提出日】平成６年８月１０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項５

【補正方法】追加

【補正内容】

【請求項５】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に
吸水性を有する高分子繊維からなる不織布を封入した三
層布を主材とし、上記三層布に多数の通気孔を開口した
冷却用帽体。 ─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成６年１１月１６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に
   吸水性を有する高分子繊維からなる不織布を封入した三
   層布を主材としたことを特徴とする冷却用帽体。
2. 【請求項２】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に
   吸水性を有する高分子繊維からなる不織布を封入した三
   層布を主材とし、且つ、周長調節手段を備えた冷却用帽
   体。
3. 【請求項３】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に
   吸水性を有する高分子繊維からなる不織布を封入した三
   層布を主材とし、且つ、上記メッシュ状の表地及び防水
   性裏地のうち、少くとも一方が紫外線カット加工を施し
   たもの、又は高分子ポリマーに紫外線を吸収し、太陽熱
   線を反射する効果を有する無機質を含有させた繊維から
   なる編織物である冷却用帽体。
4. 【請求項４】 メッシュ状の表地と防水性裏地との間に
   吸水性を有する高分子繊維からなる不織布を封入した三
   層布を主材とし、且つ、上記不織布を構成する繊維体中
   に抗菌剤を混入した冷却用帽体。