JP3049701U - 冷却部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 かぶり物或いは衣料等に特に取付支持部材を
有せずとも取り付けることの出来る冷却体に関する。 【解決手段】 吸水性高分子繊維吸収体を透湿透水性を
有する表地でくるみ、偏平体となした冷却体を撓屈性を
有する偏平体よりなる係止片の一側面に、該係止片の少
なくとも一側縁を自由状態にして設けてなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、帽子，ヘルメット，菅笠等のかぶり物の内面，衣料の衿等人体の発 汗部位に接する部分に取り付け、該部を冷却する冷却部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、身体を簡易的に冷却する手段として身体に当てがい熱を奪う手段が考え られ、袋体に入れた高分子ゲルパックを冷却して身体に当てるもの、冷水を浸し たタオル等の吸水性布地を身体に当て冷水が身体の熱を奪って蒸発することによ り体温を下げるもの、高分子吸収体により前記タオルより多量の水を吸収させ、 冷却効果を持続させるもの等があった。

【０００３】 然し、高分子ゲルパック高分子吸収体のいずれを使用するにしても、それを身 体に当てがうための手段が必要で、例えば帽子等のかぶり物に取り付けるには、 かぶり物内部にポケット状の支持部材を取り付けたりしなければならず、市販の 帽子を購入し直ちに、その帽子を使用しようとしても、冷却手段の支持部材を取 り付けなければならず、購入後直ちに冷却体を使用することは出来ない。 また、衣料品等では、もともと上記の如き冷却体を取り付けようとする思想が なく、全く取り付けのための手段は講じられていない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上述の点に鑑みて、かぶり物或いは衣料等に特に取付支持部材を有 せずとも取り付けることの出来るようにした冷却体に関する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

吸水性高分子繊維吸収体を透湿透水性を有する表地でくるみ、偏平体となした 冷却体を撓屈性を有する偏平体よりなる係止片の一側面に、該係止片の少なくと も一側縁を自由状態にして設けてなる。そして、透湿透水性を有する表地は、一 面を粗く他面を密に編成したものとし、粗い面を内側として吸水性高分子繊維吸 収体をくるむことにより、表地の微細な凹凸粗面は、吸収性高分子の繊維吸収体 と接し毛細管現象により吸水性高分子繊維吸収体から表地に水分が浸み出し易く している。吸水性高分子繊維吸収体は、吸水性繊維をわた状或いは不織布とした 、吸水性高分子繊維吸収体に保形性を高めるため１０〜７０％のポリエステル繊 維を混綿した。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案、冷却部材１の実施形態を次に説明する。

【０００７】 冷却部材１は、吸水性高分子繊維吸水体２を表地３でくるみ冷却体４とし、該 冷却体４を係止片５の一側面に取り付けている。

【０００８】 上記各部材の構成の詳細を次に説明する。 吸水性高分子繊維吸収体２は、吸水性繊維をわた状に或るいは不織布状にして いる。上記吸水性高分子繊維吸収体２をわた状に或るいは不織布状にする際に、 形状保持のために１０〜７０％のポリエステル繊維等を混綿することによって、 吸水性高分子繊維吸収体２外への水分移動の効率を高めている。且つ吸水性高分 子繊維吸収体２の強度維持の為に、一例を揚げると目付が１０〜２０ｇのポリエ ステルシートと共にニードリングした繊維状高分子吸収体の不織布とすることに よって、吸水性高分子繊維吸収体２の保形性を高める。上記混綿の際に抗菌防臭 防カビ性のいずれか又は全てを有する抗菌繊維を混入し、或いは、吸水性高分子 繊維吸収体２に抗菌防臭防カビ処理をすることにより、吸水性高分子繊維吸収体 ２に抗菌防臭防カビ性を発揮させることも出来る。

【０００９】 冷却体１は、吸水性高分子繊維吸収体２とポリエステル繊維とを混綿すること によって、吸水性高分子繊維吸収体２のみの場合と異なり吸水時に塊状とならず 、その為水分は吸水性高分子繊維吸収体２内部で移動して繊維全体が一様な含水 率を保たせることが出来る上、吸水性高分子繊維吸収体２内部の繊維間の間隙が 確保されている事により、該部からの空気の流入、及び排出の流通が確保され、 極めて効率的な冷却を行なうことが出来る。この導水効果、又は拡散効果が大き い程冷却効果が大きい。

【００１０】 表地３は、導水効果及び又は蒸散効果を発揮させるために、親水性ポリエステ ル，ナイロン，アクリル等の繊維素材を用いてなるトリコット地よりなり、一側 が粗く他側が密に編まれ、粗い面を内側として吸水性高分子繊維吸収体２をくる んでいる。その微細な凹凸よりなる粗面は、前記吸水性高分子繊維吸収体２と接 し、前記吸収体２から毛細管現象により水分を吸収し表地３の表面即ち冷却部材 １の表面に水分が浸み出し易くしている。上記表地３は上記と同等の効果を発揮 することが出来れば綿等の吸水性編織地であっても良いことは勿論である。また 、表地２は水への浸漬と乾燥を繰り返えすこと、人体からの汗や分泌物が付着す ること等による菌の発生・増殖或いは臭気の発生を防止するため、抗菌繊維を使 用するか抗菌処理をしても良い。上記抗菌繊維とは、抗菌防臭防カビ剤のいずれ か又は全てを担持した繊維で、ポリエステル，ナイロン，アクリルに、例えば、 ゼオライト金属付加物を繊維を作る段階で添加する、或いは、後加工でシリコー ン第四級アンモニウム塩系のものを付加する、などにより抗菌防臭防カビ効果を 発揮する。

【００１１】 表地３は帯状の吸収性高分子繊維吸収体２をくるんだ状態で表地３の表裏面を 通して縫合６して前記吸収体２と表地３とを一体にし冷却体４を構成しているが 、上記冷却体４を表地３でくるんでなる冷却体４は使用する位置に応じ適宜長さ に高周波ウエルダーによりヒートカットする。従って、冷却体４は、必ずしも帯 状に長く延びるとは限らず使用状態によれば方形のものも作られる。

【００１２】 係止片５は、冷却体４の使用部位によって適宜形状のものが選択される。図１ に示す例は、帽子のスベリに係止して発汗帽子の目的に使用するもので、細幅の 織布よりなり必要に応じ幅方向中央部分に例えば他部分に比べて太繊度の経糸を 適宜数適宜組織で置くことにより、長手方向に続く他部より凸出した凸出部７を 構成し係合が外れにくくしている。そして、該細幅の織布よりなる係止片５を前 記冷却体４の一方の側縁に縫着８する。

【００１３】 本考案の冷却部材１を帽子１０に取り付けた状態を図２に示す。帽子，ヘルメ ット，菅笠等のかぶり物では、その内周に汗止めのためスベリ１１と称するバン ド状の汗止めが取り付けられている。スベリはかぶり物の端縁１２を一体にして 帽子内側を巡って設けられているが、スベリ１２の上縁は開放されており、帽子 外被１３とスベリ１１とはＶ字状或いはＵ字状をなして一体となっている。そこ で本考案冷却部材１を取り付けるには、冷却部材１の係止片４を前記Ｖ字或いは Ｕ字に開いた部分に挿入することにより、冷却部材１の表地３全面が帽子の内側 に位置するようにセットする。前記のセット位置は、図２に示す如く帽子の前面 鍔１４の内側の位置であると、額に冷却部材が当接するので望ましい。

【００１４】 然し、帽子の内周面には大部分の位置にスベリ１１が設けられているのである から、所望の位置に冷却部材１の係止片７を係止することが出来るので、取付け 位置は任意となる。また、図示の例では冷却部材１を鍔１４内側にのみ設けてい るが、帽子内側全周にわたって設けても差支えない。

【００１５】 帽子ヘルメット等のかぶり物にあっては、首筋を日照から防ぐために、日除け 布（フラップ）を首筋に下げることが行われている。図３に示す例は日除け布１ ５に冷却部材１を設けたもので、帽子着用時日除け布１５の首筋に当る位置に冷 却部材１を縫着等適宜の手段により固定し、日除け布１５の上端を２つ折りに折 り返し、折り返し部分１６をかぶり物１０のスベリ１１に挟み込むことにより日 除け布１５をかぶり物１０に固定する。

【００１６】 図４に上衣２０に取り付ける状態を示す。上衣２０にも、もともと商標及びＬ ，Ｍ等と大きさを示す所謂織ネームと称するテープが襟内面に設けられている。 この織ネームはテープ状をなし、その両端が襟内面に縫着等されているので、本 考案冷却部材の係止片を織ネーム２１に挟み込んでも、或いは襟当を有する上衣 では襟当てとして設けられた布等に挟み込んでも良い。

【００１７】 冷却体１は次のような操作により冷却効果を発揮する。すなわち、使用する時 に、冷却体１を水中に没するなどして、吸水性高分子繊維吸収体２に水を吸収さ せる。吸水性高分子繊維吸収体２に取り込まれた水は、その吸水性高分子繊維吸 収体２自身の体積を膨脹させるだけで、混綿されているポリエステル繊維により わたとしての形状を保持したまま存在する。この為に、水を含んで吸水性高分子 繊維吸収体２の表面積は拡大され、取り込まれた水の蒸発は円滑に行われる。更 に、吸収性高分子繊維吸収体２の表地３に接触した部分では毛細管現象が起り、 水は冷却体１の外郭へと導かれ表地３から蒸散する。そして、冷却体１の身体部 分に接する部位の水は、身体の熱によって温度が上昇し、繊維の隙間を通って蒸 散して行く。この気化熱により冷やされた空気により、身体の温度は下げられる 。

【００１８】 長時間の使用により吸水性高分子繊維吸収体２の水分が蒸発した場合には、係 止片５をスベリ１１等から外し吸水性高分子繊維吸収体２を水中に浸し吸水させ て再度使用する。

【００１９】

【考案の効果】

本考案冷却部材は、次の如き効果を有する。 吸水性高分子繊維吸収体内部において、水が移動し繊維全体が一様な含水率を 保つ事により全体に均一な冷却効果が得られ、且、冷却体内部の繊維間の間隙が 確保され外部からの空気の流入及び外部への空気の排出の流通が良好で効果的な 冷却が行なえる。

【００２０】 冷却体が係止片によって所定部位に止着されるため、必要時の取り付け、不使 用時の取り外し等において極めて操作が簡単であり、係止片が作用するような構 造のものに対して総て取り付けることが出来、利用範囲は極めて広い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案冷却部材を示す斜視図。

【図２】帽子にセットした状態を示しＡは下面から見た
状態を、Ｂは帽子断面をそれぞれ示す。

【図３】防止用日除け布に取り付けた状態を示し、Ａは
斜視図、Ｂは断面図。

【図４】Ａは衣服にセットした状態を示す斜視図、Ｂは
汗取りパッドを取り外した状態を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 冷却部材 ２ 吸水性高分子繊維吸収体 ３ 表地 ４ 冷却体 ５ 係止片 ６ 縫合 ７ 凸出部 ８ 縫着 １０ 帽子 １１ スベリ ２０ 上衣 ２１ 織ネーム

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸水性高分子繊維吸収体を透湿透水性を
   有する表地でくるみ、偏平体となした冷却体を撓屈性を
   有する偏平体よりなる係止片の一側面に、該係止片の少
   なくとも一側縁を自由状態にして設けてなる冷却体。
2. 【請求項２】 透湿透水性を有する表地は、一面を粗く
   他面を密に編成したものとし、粗い面を内側として吸水
   性高分子繊維吸収体をくるむことにより、表地の微細な
   凹凸粗面は、吸収性高分子の繊維吸収体と接し毛細管現
   象により吸水性高分子繊維吸収体から表地に水分が浸み
   出し易くしたものである請求項１記載の冷却体。
3. 【請求項３】 吸水性高分子繊維吸収体は、吸水性繊維
   をわた状或いは不織布としたものである請求項１記載の
   冷却体。
4. 【請求項４】 吸水性高分子繊維吸収体をわた状或いは
   不織布状とする際に１０〜７０％のポリエステル繊維を
   混綿したことを特徴とする請求項３記載の冷却体。