JP2983255B2 - 表皮及び装飾シートを接着した成形ボードの製造法 - Google Patents

表皮及び装飾シートを接着した成形ボードの製造法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は装飾面を有する成形ボードの製造法に関
し、詳しくはシートバックボードなどの、成形基材に表
皮と装飾シートが接着された成形ボードの製造法に係わ
るものである。
[従来の技術] 一般に、シートバックボードは成形基材の外面に表皮
を被着し、外面の中央部に装飾シートを接着して製造さ
れる。
従来のシートバックボードは第14図に示すシートバッ
クボード21の構造、あるいは第17図に示すシートバック
ボード31の構造のものが知られている。第14図のシート
バックボード21は決め込み溝(なお、現場の当業者は木
目込み溝と称している)22Aを有する成形基材22の外面
に表皮23を接着し、接着した表皮23の所定の表皮部分23
Aにファブリックシート24を接着剤30にて接着し、ファ
ブリックシート24の外周部を決め込み溝22Aに挿入処理
して製造される。なお第14図において、25はビス孔、26
はビス、27はフレーム、28はスプリング、29はシートバ
ッククッションである。
そして、第17図のシートバックボード31は、第15図に
示すように、予めファブリックシート32を板状基材33に
接着剤37Aにて接着したファブリックシート加工体34を
用意し、これを第16図に示す表皮35を接着した成形基材
36の所定の表皮部分35Aに第17図のように接着剤37Bにて
接着(リテーナによる固定の場合もある。)して製造さ
れる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前者のシートバックボード21は成形基
材22の所定の表皮部分23Aに、ファブリックシート24を
位置決めして接着し、ファブリックシート24の外周部を
決め込み溝22Aに挿入処理しなければならず、製造が面
倒である。
そして、後者のシートバックボード31は、成形基材36
に決め込み溝を必要としないが、ファブリックシート32
を板状基材33に接着する必要があり、製造が面倒であ
る。また、前者及び後者においては成形基材22,36の表
皮23,35面にファブリックシート24あるいはファブリッ
クシート加工体34を後付けすることにより製造工程が面
倒な問題がある。
そこで本発明は従来の両シートバックボードの製造に
おける前記した面倒な問題点を解消し得て、かつ類似の
成形ボードに対しても適用できるようにしたものであ
り、製造工程を簡略にし生産性良好にし得る、装飾シー
トによる装飾面を有するシートバックボードなどの成形
ボードの製造法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記した課題を達成するために、本発明は、上型と下
型を用いて、表皮及び装飾シートを接着した成形ボード
を得る方法であって、上型あるいは下型の成形面の所定
位置には、成形面に表側を向けた表皮及び、外周部に多
数の小孔をあけるかあるいは外周部の表面にホットメル
トタイプの接着剤を塗った装飾シートを、その表側を前
記表皮の裏面に重ねた状態で支持し、表皮及び装飾シー
トの裏面側に加熱溶融樹脂を供給し、上型と下型を圧締
して成形し、表皮で被着された成形体を成形した後、該
成形体の装飾シートを被う非接着表皮部分を切断除去し
て装飾シートを露出させることを特徴とする。
[作 用] 溶融樹脂の成形の際、表皮及び装飾シートは重ねた状
態で成形面の所定位置に支持される。溶融樹脂により成
形基材が成形される。また成形基材の成形時には、溶融
樹脂が装飾シートの小孔に入ることより、この部分にお
いて表皮と装飾シートが接着する。接着剤を塗った装飾
シートを用いた場合は、溶融樹脂の熱によって接着剤が
溶けて表皮と装飾シートが接着する。成形体における装
飾シートを被う非接着表皮部分の除去によって、装飾シ
ートの表面が露出する。装飾シートは外周部が表皮裏面
に接着固定されている。
[実施例] 次に本発明の実施例を、第1図〜第13図に基づいて説
明する。
まず、シートバックボード11を成形するための上型
1、下型4、及び表皮6、装飾シート7が用意される。
上型1及び下型4により、決め込み溝10Aを有する成形
基材10を成形する所定のキャビティSが構成される。成
形基材10の決め込み溝10Aは上型1の突起部1Bと下型4
の対応凹部4Bとにより形成される。上型1の突起部1Bに
は表皮6とともに装飾シート7を位置決め固定する止め
ピン2が突設され、かつ上型1の両側方部には表皮6の
クランプ手段3が設けられている。前記下型4は溶融樹
脂9をキャビティSへ供給するゲート部5を有する。
前記表皮6はポリ塩化ビニル(PVC)などの軟質のシ
ート材が使用され、前記装飾シート7はファブリック地
などの装飾性の高いシート材が用いられる。装飾シート
7はシートバックボード11の外面の中央部分を装飾する
ものであり、所定の中央部分を覆う大きさの外周に決め
込み溝10Aに挿入接着する接着代W1の幅を加えた寸法と
される。第3図に示すように、装飾シート7には接着代
W1の全体に多数の小孔8を貫設する。なお、装飾シート
7は小孔8を貫設しないで第4図の装飾シート17のよう
に表側の接着代W2にホットメルトタイプの接着剤18を塗
布し乾燥させたものとしてもよい。
しかして、第1図に示すように、上型1の型面1A側に
は表面を型面1A側に向けた表皮6を配置する。配置した
表皮6は上型1の止めピン2に挿着するとともに、表皮
6の両端部6Bをクランプ手段3に止着する。なお、表皮
6は成形基材10の成形時において表皮6が型面1Aに密着
し得るように適度な余裕をもたせて止めピン2及びクラ
ンプ手段3に止着する。次いで上型1と下型4を圧締
し、加熱した溶融樹脂9をゲート部5より圧入し、第6
図に示すように、装飾シート7の裏面及びその外側を囲
む表皮6の裏面と、下型1の型面4Aとの間のキャビティ
S部分に溶融樹脂9を満たす。この際、装飾シート7は
止めピン2に支持され、かつ表皮6は止めピン2及びク
ランプ手段3に支持さているので位置ずれが生じない。
装飾シート7の接着代W1は対応凹部4Bに位置し、成形の
際には多数の小孔8に溶融樹脂9が流入されるので、装
飾シート7はこの部分で決め込み溝10Aに接着する。
しかして、上型1と下型4を脱型し、止めピン2及び
クランプ手段3を外して第7図に示す成形体12を得る。
この成形体12は成形基材10のオーナメント部11Aとな
る部分に装飾シート7が接着され、かつこの装飾シート
7を被って表皮6が成形基材10面に接着されている。そ
して、成形基材10の決め込み溝10Aは装飾シート7の端
部が挿入接着され、かつこれを被って表皮7が溝内に挿
入状態にされている。なお、成形基材10の裏面側にはゲ
ート部5跡のばり部10Bが残存している。しかして、第
2図に示すように、成形体12のオーナメント部11Aを被
う表皮部分6Aをカッタにて切断し除去して装飾シート7
を露出させるとともにばり部10Bを切断除去する。次い
で、第8図に示すように成形体12の表皮6の端部6Bを成
形基材10の内側に巻込み、余剰部分を切断除去し接着し
て、第9図及び第10図に示すシートバックボード11の製
品を得る。このシートバックボード11の製品はオーナメ
ント部11Aの外周部が決め込み溝10Aに挿入接着処理され
た美しい出来栄えのものであった。このシートバックボ
ード11は第11図に示すようにシート13に組付けて使用さ
れる。
前記した実施例は樹脂圧入用のゲート部5を有する下
型4を使用し、構成したキャビティSにゲート部5によ
り溶融樹脂9を供給したが、溶融樹脂9の供給手段はこ
れに限るものではない。たとえば第12図に示すように、
ゲート部5を有しない下型14を使用し、下型14の型面14
Aに溶融樹脂9の所定量を直接に供給するようにしても
よい。なお、第12図における溶融樹脂9の供給後は、第
13図に示すように上型1と下型14を圧締し、前記の場合
と同様に成形基材10を成形することができる。
前記した実施例はシートバックボード11の場合につい
て説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、
トリムボードなどに適用することができ、かつ決め込み
溝のない場合においても実施可能である。
[発明の効果] しかして、本発明においては、表皮で被着した成形体
を成形した後、該成形体の装飾シートを被う非接着表皮
部分を切断除去して装飾シートを露出させるようにした
成形ボードの製造法としたため、製造工程を簡略にし生
産性を良好となし得る。すなわち、装飾シートは表皮と
ともに重ねた状態でキャビティに配置して成形基材を成
形することができ、表皮で被着した成形体が簡単に得ら
れ、装飾シートを被う表皮部分を除去することで装飾シ
ートが露出した成形ボードとなし得る。本発明は外周部
に多数の小孔をあけるか、あるいは外周部の表面にホッ
トメルトタイプの接着剤を塗った装飾シートを用いるの
で、溶融樹脂による成形の際には装飾シートは外周部の
みが表皮に接着したものとなり、装飾シートを被う部分
の表皮の除去が簡単にできる。そして、本発明はシート
バックボードなどの装飾面を有する成形ボードに広く適
用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第13図は本発明の実施例に係わり、第1図は表
皮の配置工程図、第2図は表皮の除去工程図、第3図は
孔あけした装飾シートの斜視図、第4図はホットメルト
タイプの接着剤を塗布した装飾シートの斜視図、第5図
は表皮及び装飾シートのピン止め工程図、第6図は成形
工程図、第7図は脱型した成形品の状態図、第8図は成
形品の端部処理工程図、第9図はシートバックボードの
斜視図、第10図は第9図X−X線における断面図、第11
図はシートバックボードを装着したシートの斜視図、第
12図及び第13図は成形工程の別例図である。 第14図〜第17図は従来例を示し、第14図は従来シートバ
ックボードの構造図、第15図は従来の別例シートバック
ボードを形成するための装飾シート加工体の断面図、第
16図は同じく従来別例シートバックボードを形成するた
めの成形基材の断面図、第17図は従来の別例シートバッ
クボードの構造図である。 1……上 型 2……止めピン 3……クランプ手段 4,14……下 型 6……表 皮 7,17……装飾シート 8……小 孔 9……溶融樹脂 10……成形基材 11……シートバックボード 11A……オーナメント部 18……接着剤

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上型と下型を用いて、表皮及び装飾シート
    を接着した成形ボードを得る方法であって、上型あるい
    は下型の成形面の所定位置には、成形面に表側を向けた
    表皮及び、外周部に多数の小孔をあけるかあるいは外周
    部の表面にホットメルトタイプの接着剤を塗った装飾シ
    ートを、その表側を前記表皮の裏面に重ねた状態で支持
    し、表皮及び装飾シートの裏面側に加熱溶融樹脂を供給
    し、上型と下型を圧締して成形し、表皮で被着された成
    形体を成形した後、該成形体の装飾シートを被う非接着
    表皮部分を切断除去して装飾シートを露出させることを
    特徴とした表皮及び装飾シートを接着した成形ボードの
    製造法。
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