JP2978244B2 - 事務椅子のための同期位置調節装置 - Google Patents

事務椅子のための同期位置調節装置

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Description

【発明の詳細な説明】 従来の技術 本発明は事務椅子、腰掛け家具等のための同期位置調
節装置に関する。
事務椅子の場合、同期位置調節装置とは、背部位置調
節及び座部位置調節が互いに連動した装置として理解さ
れており、原則的に背部傾斜の調節が座部着座面の調節
にもなる。
従来の事務椅子は、座部と背部の間の動作を同調させ
るために、複数の支持点により形成された比較的複雑な
機構を有する。また背部の傾斜調節の際には、背部の傾
斜を大きくするにつれて増大する背部への圧力、モーメ
ント力に抵抗しうる対向圧力、対抗モーメントを生じさ
せるように行われなければならない。この対抗モーメン
ト等を生じさせるために、背部の傾斜調節に同期させて
座部に加わる圧力を利用するものもあるが、この際、座
部の動作の制御及び緩衝のために補助的に圧力部材が用
いられるものが殆どであり、事務椅子の構造が煩雑なも
のとなっていた。
上記従来の事務椅子における主な問題は、一般にユー
ザーの体重乃至サイズに椅子が調節されなければならな
いことである。体が大きな重いユーザーは、本質的に軽
い小さなユーザーよりも背部に大きな力を及ぼす。同じ
ことが座部荷重についてもいえる。このため、従来はユ
ーザーの体の大きさによって上記圧力部材の能力を選択
する必要があった。
本発明の特長 本発明の目的は、従来の技術で述べられている短所を
無くすること、又は機械部品を少なくし極めてシンプル
且つ効果的に構成された事務椅子の同期位置調節機構、
場合によっては補助的な緩衝装置と圧力部材を省略でき
る椅子機構を提供することである。また、事務椅子に、
緩衝作用を有する快適な位置調節機構を具備させること
にある。
本発明の同期位置調節機構は、背部位置調節時の背部
の復帰運動を、ユーザーの体重に依存して行う。背部に
かかる回転モーメントは、背部の傾斜の増大に伴い常に
増加するが、本発明の当該機構は、これに対抗する復帰
モーメントを背部の傾斜の増大に伴い自動的に増加させ
るものである。
本発明では、背部が座部の上方に回動可能に支持され
る構成において、背部の上部領域にかかるユーザーのも
たれる力に対して反対に作用する復帰力を、背部の下部
領域に作用させることにより上記復帰モーメントを生じ
させる。このとき、支持台により回動可能に支持された
背部はシーソーのように動作する。背部の下部領域の復
帰力はユーザーの体重により生じ、その体重は背部と座
部との連結部を介して上記復帰モーメントを生じさせ
る。また、座部の前部領域では、その傾斜によっても復
帰モーメントを生じさせる。その場合、背部の傾斜が大
きいほど当該復帰モーメントも大きくなる。上記各モー
メントは、固定された回動中心点に関して、背部の上
部、下部、あるいは座部の前部領域が回動するときのて
この作用から生じる。
本発明では、支持台の前部領域に揺動てこを介して座
部が回動可能に連結しており、その揺動てこは座部の可
動支持を可能にしている。揺動てこの代わりに、座部の
前部領域を、支持台のガイドスロット又は曲線案内部上
でガイドする形態をとることも可能である。
座部の前部領域の動きは背部の位置調節に同期して行
われる。その場合、座部の前部領域も後部領域も、上向
きの動きを行い、その動きにより、復帰モーメントを増
大させるてこの作用が生じる。
本発明の効果的な点は、椅子の中立位置、即ち背部に
対して回転モーメントがほとんど作用しない位置におい
て、背部と座部との間の連結部が、支持台における背部
の支持点のほぼ真下に位置することである。すなわち、
当該連結点はこの支持点を通る垂線の僅か前方に位置す
る。このため、背部に荷重がかかる度に、直ちに座部荷
重による復帰モーメントが生じる。支持台の支持点の下
方及び上方の背部の長さ並びに座部の揺動てこの長さ
は、背部の傾斜の位置調節が常に背部荷重に応じて行わ
れるように選ばれるのが好ましい。この場合、背部の傾
斜位置調節及び座部前部領域の前方への上昇運動は、座
部荷重による復帰モーメントを常に生じさせる。
従って、座部の所望の復帰モーメントを得るために、
背部に荷重が加わる際の回転モーメントの増加に伴い、
座部の前部領域も揺動てこ、ガイドスロット又は曲線案
内部を介して、上方向の揺動運動が生じるように案内さ
れる。その上方向の揺動運動にはユーザーの体重が対抗
し、それにより背部には追加の復帰モーメントが生じ
る。
また、本発明の支持台は細長い基礎縦通材からなる。
その基礎縦通材は座部の下方に位置し、座部の後部領域
より延出している。基礎縦通材端部には弓形部が設けら
れており、その弓形部は背部を連結するための支持点を
両側に有し、背部と基礎縦通材とを連結している。それ
ら弓形部には、両方の肘掛けが直接連結可能である。更
に、ユーザーがなるべく後方に向かって広く腰掛けるこ
とが可能なように、背部が大きく膨出し湾出した構造と
することができる。この構造によりデザイン的価値を高
めることもできる。
本発明では、ユーザー自身が重量バランサーとして、
位置調節時に復帰力を生じされる役目をするので、本発
明の事務椅子自体は、基本的にいかなる緩衝装置も蓄力
装置も使わずに動かすことができる。また、座部の動き
の緩衝及び座り位置の調整を実現するために、本発明の
展開では、両側に動作可能なシリンダー装置、又は固定
した支持台と座部との間に架設されて同様に動作するベ
ローズが設けられている。座部及び背部の位置調節運動
は、シリンダー装置乃至ベローズの前部と後部との間の
液体の案内によって制御されうる。液流の抑制又は阻止
により、様々なパラメーターが設定可能である。
図面の簡単な説明 本発明のさらなる詳細を図示し、以下の説明でより詳
細に明らかにする。
図1は、同期位置調節装置を有する事務椅子の模式図
を示す。
図2は、異なる座部位置調節装置と背部位置調節装置
とを有する図1の模式図を示す。
図3は、別の座部案内部を有する変形実施例を示す。
図4は、図3の更に別の実施例を示す。
図5は、補助的な緩衝装置及び係止装置を有する本発
明の実施例を示す。
図6は、緩衝装置及び係止装置の模式図を示す。
図7は、図6の実施例において別の弁構造の実施例を
示す。
実施例の説明 図1に示した事務椅子1は、椅子脚柱3に取り付けら
れた支持台2と、前部椅子領域4で支持台2と連結した
座部5と、後部椅子領域6で支持された背部7とからな
る。座部5は、揺動てこ8を介して支持台2へ関節状に
連結されている。背部7は、固定された支持点Aで支持
台2に回動可能に連結されている。座部5と背部7間の
連結は後支持点Bで行われる。支持台2の揺動てこ8の
ジョイント支持は支持点(回動中心点)Cで行われる。
揺動てこ8と座部5との連結は、前支持点D(揺動てこ
の長さ「c」)で行われる。支持点A、B、C、D(以
下、端に「点A,B,C,D」という)は、事務椅子の四点同
期位置調節装置の基礎をなす。
図1及び図2には、てこ比及び力の比が示してある。
これらを以下に解説する。
詳細に図示しないユーザーにより背部7へ加えられる
もたれ重心10(以下、単に「点10」という)のもたれる
力9は、点Aの周囲を反時計回りの回転モーメント11を
生じさせ、その回転モーメント11は、力の平行四辺形か
ら生じるもたれ力9′×てこ長さa(点Aと点10との間
隔)により計算される(力9′は10とAとを結ぶ線に対
して垂直の、力9の成分である)。その回転モーメント
11は矢印のごとく点Bの円運動12を行わせる。円運動
は、背部7の固定された支持部(点A)を中心として行
われる。間隔A−Bは「b」で示してある。
点Bの円運動12により、更に座部5が図のごとく矢印
13方向に右へ動かされる。揺動てこ8は座部5に支持さ
れ、点Dは揺動てこ8の点Cを中心とする揺動により、
上向きの円運動14を行う。これにより、図1及び図2に
一点鎖線で示したごとく、座部5は位置5′へ持ち上が
る。揺動てこ8の長さは「c」で示されている。
図1には、ほぼ中立的な初期状態にある事務椅子が実
線で描かれている。その場合、点Aと点Bを通る垂線は
間隔d>0を有する。その結果、座部5に加わった荷重
が復帰モーメントを生じさせることになり、そのモーメ
ントは復帰回転モーメント11′として記入されている。
座部5に荷重をかけた時に復帰モーメント11′を生じさ
せるために、点(連結点)Bは、常に点(回動中心点)
Aの真下(d=0)よりも前方(図中右方向)に(d≧
0)位置する。点C、Dの水平間隔「e」も、補足的な
復帰モーメントを生じさせる。
図1及び図2には、ユーザーの体重15が記入されてい
る。その体重15は、図1に示すように、力15′と力1
5′′との力の平行四辺形に分解可能で、その場合、力1
5′は点Bにかかり(同一角度α1)、この結果、点10
と点Bとを結ぶ線に対して垂直に向く。従って力15′に
よる復帰モーメント11′が生じる。この復帰モーメント
の大きさは、力15′の値×てこ長さb(点Aと点Bとの
距離)の積により表される。
図1及び図2から判るように、力15′は背部7後方へ
の傾斜が増大するに伴い(区間dの拡大に伴い)増加す
る(α1→α2)。即ち、ユーザーの体重15により生じ
る復帰モーメント11′は、増加するモーメント11に対し
て常に対抗するために、増加する背部7の傾斜角βに伴
い増加する。その場合力15′は、点10と点Bとを結ぶ線
に対して常に垂直の方向に向く。同じく合力15′′は点
10と点Bとを結ぶ線に平行に向く。また図1及び図2で
は、背部7の傾斜が増大した時の各要素の移動後の状態
が、対応した符号に′印を添えて示してある。
それにより点BはB′へ移動し、点Dは点D′へ移動
する(図2)。点AとCは支持台2に固定されるため変
わらない。
従って本発明の場合、背部にかかる力9により生じる
回転モーメント11に対して、体重15の力により生じる復
帰モーメント11′が対抗する。回転モーメント11、11′
を生じさせるてこの長さaとbの最適な設計により、又
回動運動14を行う揺動てこ8の長さcにより、補助的な
復帰バネを使わずに事務椅子の最適な調節が達成可能で
ある。また、背部7の傾斜増大時に、背部7と座部5と
が点Bで逆向きに折れることのないように、てこの長さ
cは常にてこの長さbより小さくされる。従って、揺動
てこ8は、傾斜限界においてBとCとを結ぶ延長線状に
位置することとなる。図1に示すように、延長位置は、
B′、C、及びD′′を結ぶ一点鎖線で示してある。こ
の構成により、B、C、Dの連結線が線(19′′)上に
あることになり、それにより点Bがそれ以上点Aの周囲
を回動できないので、背部の折れが生じない。従ってこ
の延長位置は、てこ比に基づきそれ自身で決まる椅子の
限界位置となる。その場合、復帰力乃至復帰モーメント
11′は、背部傾斜が増大するにつれ増大する間隔d′と
e′により増加する。それにより、復帰モーメントの連
続的な増加及び背部位置調節の大まかな限界が生じる。
その場合ユーザーは、座部5の前部領域の軽い脚圧によ
り復帰作用を支援できる。これはCとDとの水平間隔が
大きな間隔「e′′」(図1及び図2を参照)を有する
とき、つまり背部7が後方の背部位置7′に位置すると
きである。
支持台2の後方へ向いた弓形部16は、可動部品が押し
つぶされることに関し機構的にも安全工学的にも役に立
つ。従って支持台2は、座部5の下方に位置する基礎縦
通材17から成り、その基礎縦通材17は、点Aを通る垂線
を越えて後方へ延出し(点18)、更にその基礎縦通材17
端部(点18)からは、弓形部16が上方に向い背部7の側
面に設けられた点Aへ延びている。
図3及び図4には、座部5の前部領域の支持部の別の
実施例が示してある。図1及び図2における揺動てこ8
による固定回動中心点Cの周囲の点Dの案内に代わり、
図3の実施例では、中心点Cを中心とする曲率半径cを
有する曲線20に沿ったころ軸受が用いられる。その場合
座部5には、ころ22を有するころ架台21が固定され、そ
のころ22は、支持台2の曲線20上にて転動する。ころ22
は図1及び図2における点Dに相当する。また固定点A
の周囲を回動して位置7′へ背部7が傾斜する際にも、
矢印12に沿って点Bの位置B′への移動が生じるので、
それにより座部は位置5から位置5′へ持ち上げられる
と同時に前方に移動する。このとき、ころ架台21は前方
の位置21′へ、又ころ22乃至点Dは位置22′乃至D′へ
移動する。それにより上を向いた曲線20は、図1の曲線
14に沿った点Dの回動運動と同じ運動を生じさせる。ま
た、ころ軸受19に代わりガイドスロットでも同様に行う
ことができる。
図1〜3には想像結線B−Dが関連記号19で記入され
ている。点B、C、Dが線19′′上にあるとき(B′′
−C−D′′のとき)、復帰の限界位置に達しており、
その場合図3の点Cは曲線20の中心点と見なすことがで
きる。
図4の実施例には、図3の原理の応用として、下部領
域に形成された膨出部23を有する、後方へ向け形成され
た背部7が示してある。その膨出部23により、ユーザー
は椅子の更に後方へ座ることができ、従って模式的に示
したユーザーの腰回動点24は背部7及び座部5の回動点
である点Bへより接近する。それにより所謂「シャツの
抜け出し作用」が最少隈になる。
更に図4の椅子脚柱3には椅子十字脚25が描かれてい
る。
図1〜4の本発明は、原則的に何らの緩衝材や復帰媒
体を使わないで使用できる。これは上述のごとく、もた
れる力9による回転モーメント11と体重15による対抗回
転モーメント11′とのバランス作用によるものである。
事務椅子のさらに快適な適合のために、図5と6の本
発明に従って運動行程に影響を及ぼすことが効果的であ
る。そのために支持台2には両方向に作用するベローズ
27のための支持架台26が取付けられている。ベローズ27
は、隔壁30により互いに隔離した前室28と後室29から成
る。中間の隔壁30は、同時に支持架台26のための円筒形
の当接部となる。室28、29の両端部は、締め金38に取り
囲まれ且つそれへ固着されている。締め金38自体は、座
部5へ固着しており、座部にベローズ27の動作を伝え
る。ベローズ27は、動力学的に動作方向を反転すること
が可能である。ベローズ27の室28、29の内部には、液
体、例えば液油又は水が充填されている。その場合、両
室28、29は、二つの別々に導かれた循環管路31、32を通
じて互いに連通している。循環管路32は、人の着座して
いない椅子の復帰循環路の役割をなし、また循環管路31
は、人の着座した椅子の位置調節並びに人の着座した椅
子の緩衝及び係止の役割をなす。切換弁33は、様々な位
置に応じて室28、29間の液流を制御する。循環管路32内
の背圧弁34(逆止弁)、背圧弁36を有する絞り弁35及び
循環管路31内の制御弁37は、様々な着座位置での液体の
制御のために使用される。室28、29の端部領域は、締め
金38を介して座部5へ固定連結されている。補助の復帰
バネ39は、引っ張りバネとして形成されており、図5に
示すごとく事務椅子をその初期状態に復帰させる。
図5の位置調節機構につき、図6の原理図に基づきそ
の動作を以下に説明する。
1.ユーザーの着座した椅子 座部5にユーザーの体重15による荷重がかかると、切
換弁33は作動されて図6の位置から下方へ移動される。
それにより弁33の上室40は循環路32内へ達してその循環
路32を閉ざすので、液体は通れなくなり(遮断43)、ま
た中間の室41は循環路31内へ達してその循環路31を開く
(矢印44)。弁33の下室42は無関係になる。背部7が後
方へ動かされことにより、座部5が前方へ動かされる。
締め金38によりベローズ27も同じく前方、即ち図6にお
ける右方向へ動かされる。一方、ベローズ27の中間部30
は、支持架台26に固定支持されているために、液体が室
29から管路31を通って室28へ流入する(矢印46)。それ
は背圧弁36(矢印47)と開いた制御弁37を通じて行われ
る。その流れはさらに減衰(緩衝)されずに、即ち絞り
弁35に影響されずに実行される。しかし運動の最少限の
減衰は管路の流れ損失によって生じる。この場合は補助
の減衰部材が循環管路31内へ配置される。
必要な場合、背部位置調節は、制御弁37の作動により
あらゆる位置で係止可能である。それにより循環管路31
内の循環路は絶たれ、支持架台26と座部5との間の固定
連結がベローズ27を介して達成される。
背部が前方への復帰位置に戻る際、座部は後方へ移動
する。その場合液体は、室28から管路31及び絞り弁35を
通って室29(矢印46′)へ流れる。その場合復帰は絞り
弁35により減衰されて行われる。それにより人の着座し
た椅子の場合、専ら循環管路31が働く。循環管路31には
背部7の傾斜の増大時に反時計回り(矢印46)に、また
背部の傾斜の減少時に時計回り(矢印46′)に液体の流
れが生ずる。
2.ユーザーの使用していない椅子 椅子が使用されていないと、弁33は図6の状態に戻
る。それにより液体は室41と上循環管路32とを通っての
み流れ、また下循環管路31は閉塞している。上循環管路
32は、時には後方へ傾斜される背部の復帰のために使用
される。その場合液体は、前室28から管路32と背圧弁34
を通って後室29へ流れる(矢印48)。復帰バネ39はその
行程を支援する。背部7が正常位置にある場合、管路32
も背圧弁34により閉塞されている。背部位置調節は、切
換弁33の作動により可能となる。
図7には、図5と6の実施例の弁の構造のための別の
実施例が示してある。それは特に図6の切換弁33の構造
である。
図7の実施例の場合、切換弁33′は前室28と後室29と
の間の隙間に位置し、即ち切換弁33′自体が両側に作用
するベローズの隔壁30′を成している。図6に示した二
つの循環管路31、32の代わりに、液体は一方の室から他
方の室へ直接切換弁33′を介して導かれる。
図7aに断面図で示したごとく、そのために切換弁33′
が弁箱49を有し、その弁箱49の左右には、両側に作用す
るベローズ27′の両室28、29が接続されている。ベロー
ズ27′の両端部50、51は、図6の実施例とは動力学的に
反対に、支持台2へ固定され連結されており、また弁箱
49は座部5へ連結しており、それにより往復運動可能で
ある。その連結は図7aに模式的に示してある。
切換弁33′は垂直に位置調節可能な作動棒52を有し、
その作動棒52は、上位置53と下位置54の間で垂直に摺動
可能である。その位置調節は同時にユーザーによる椅子
への荷重により行われ、即ち、上位置53では椅子は荷重
がかからない状態であり、下位置54では椅子に荷重がか
かった状態である。図7aには下位置、即ち人が着座した
椅子の位置が示してある。作動棒52はその下領域で水平
の通孔55へ嵌通し、その通孔55は両室28、29を連通し且
つ背圧弁56と57とにより閉止可能である。その場合、背
圧弁56、57は各々通孔55から室28、29へ貫流可能且つ反
対方向には閉止するように設計されている。それは更に
図7aの上方に模式的に示してある。背圧弁56、57はその
ディスク面上中心に通孔55内へ作動棒52まで達する作動
ピン58、59を有し、その作動ピン58、59は作動棒52の外
周面の予め定められた形状と協働する。この場合、縦軸
61の周囲に調節輪60を90゜だけ手動で回動することによ
り、対応する作動棒の外周面の形状を変化させることも
可能である。例えば図7aでは、室29の背圧弁57の左作動
ピン58が作動棒52の外面へ当接しており、それにより背
圧弁57がその位置で開いている。それにより液体は、リ
ング形隙間62を介して室29から通孔55と背圧弁56とを通
り、室28内へ入る。その場合、背圧弁56は、押圧バネ
(付勢バネ)63の圧力に抗して開く。対応する押圧バネ
(付勢バネ)64は背圧弁57を有する。
開いた循環管路31に関して図6で説明したように、液
体は、背部7の傾斜の位置調節時に室29から室28及び逆
に室28から室29へ流れる。その場合、両作動ピン58、59
は、作動棒52の外周面へ当接しており、それにより二つ
の背圧弁56、57が半径方向外側へ押されて、開かれてい
る(これに対し図7aでは右の背圧弁56は閉じた状態で示
してある)。背圧弁57の弁座は、リング形隙間62の領域
に補助のリング形カラー65を有し、そのカラー65は、そ
のリング形隙間を通る液体のための流れ抵抗を高める。
その結果、背部が後方へ位置調節される時よりも前方へ
の復帰時のほうが、より緩衝されて操作されることにな
る。従って弁座は、図6の絞り弁35に似た作用をする。
背部位置調節を係止するために、通孔55を経る液体の
流れが閉止される。その位置は図7aに右の背圧弁56で示
してある。調節輪60の90゜だけの回動により、作動棒52
のシリンダー外周面の凹部66へ、作動ピン58、59が滑入
するので、それにより二つの背圧弁56、57は径方向に内
側へ滑入して閉じる。その場合液体は一室から他室に、
どの方向へも同様に流れることができない。これは図6
の制御弁37の作用に相当する。
椅子が座られなくなれば、作動棒52は下位置54から上
位置53へ滑動する。その場合作動ピン58、59は、作動棒
52の下領域の他の凹部67へ滑入し、それにより弁が閉じ
られる。
しかし、作動棒52の持ち上げにより、バイパス穴68が
下の作動ピン69により開かれ、それにより液体が左室29
から通孔55へ、そしてそこから背圧弁56を通って右室28
へ達することができる。前記液体通路を有するそのバイ
パス穴68は、図6の循環管路32に相当する。
即ち図7aの実施例の場合、切換弁33′が座部5と共に
摺動するので、背部7の傾斜の復帰時には、図7aの弁が
右から左へ動き、室29から室28への流体の流れが生じ
る。それにより流れ方向は図6の図と比べて、反対方向
に向く。切換弁33′内の液体の流れ方向46、48は、図7a
に矢印で示されている。
図7bには図7aの切換弁の正面図が示してある。同一部
品は同一の関連記号で示してある。押圧バネ(付勢バ
ネ)63を有する背圧弁56は、橋絡部70を介して弁箱49へ
取り付けられる。
図7cと共にして図7bに示したごとく、弁箱49は更に二
つの安全弁71、72を有し、その安全弁71、72は、室28、
29間の通孔73、74を閉止する。弁ディスク75、76は、板
バネ77により弁座へ押圧されている。これらの補助安全
弁は、背部の傾斜が極端に突発的且つ余りに強力に動作
し、着座していない椅子の流れ調節が切換弁33乃至33′
を介して行えなくなる場合に、ベローズ27乃至27′の保
護のために使用される。その場合、両室28、29間及び逆
向きの液体の流れは、安全弁71、72を介して行われる。
図7cの断面図は、上下に位置する安全弁71、72の縦断面
図を示す。その場合縦作動棒78、79は同時に板バネ77の
ための凹部80を有する片側の支持部として使われる。
更に図7bには、背部位置調節の係止のため乃至係止の
解除のためのそれぞれの位置決めを達成するために、調
節輪60の90゜位置調節操作のためのV形の係止金具81が
示してある。
本発明は、説明し且つ図示した実施例に限られていな
い。また本発明は、むしろその発明の基本思想のあらゆ
る変形及び展開を包含するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ビゲル フランツ ドイツ連邦共和国 7988 ヴァンゲン コールベルグ 1 (72)発明者 シュミッツ ブルクハルト ドイツ連邦共和国 7900 ウルム ノイ エ グラッセ 35 (56)参考文献 特開 昭63−111811(JP,A) 実開 昭62−98545(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47C 1/00 - 1/16

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】椅子脚柱(3)に取り付けられた支持台
    (2)と、 支持台(2)の上方に配置され、その前端部が支持台
    (2)の下方に延び、該前端部で揺動てこ(8)を介し
    て支持台(2)の前端部に連結された座部(5)と、 座部(5)よりも上方に延びた支持台(2)の後端部
    と、座部(5)の後端部との各々に連結された背部
    (7)とを有し、 背部(7)の揺動運動に連動して、座部(5)が水平運
    動及び上下運動を行う事務椅子のための同期位置調節装
    置であって、 揺動てこ(8)は、座部(5)の固定された回動中心点
    (C)周りに揺動可能に連結され、かつ、前支持点
    (D)を介して座部(5)に揺動可能に連結され、 背部(7)は、その下端部が座部(5)の後端部の後支
    持点(B)周りに揺動可能に連結され、かつ、該下端部
    の上方に位置する、支持台(2)の後端部の固定された
    支持点(A)周りに回動可能に連結され、 前支持点(D)が後支持点(B)の下方に位置し、 揺動てこ(8)の長さが、支持点(A)と後支持点
    (B)との距離よりも小さいことを特長とする同期位置
    調節装置。
  2. 【請求項2】揺動てこ(8)は、その一端が回動中心点
    (C)を介して支持台(2)に揺動可能に連結され、そ
    の他端が前支持点(D)を介して座部(5)に揺動可能
    に連結されたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】揺動てこ(8)の回動中心点(C)周りの
    揺動運動における支持点(D)の上死点(D′′)が、
    後支持点(B)と回動中心点(C)とを通る直線(1
    9′′)の延長線上に位置することを特徴とする請求項
    1又は2記載の装置。
  4. 【請求項4】座部(5)と支持台(2)との連結が円形
    のガイドスロット又は曲線案内部(20)を介して行わ
    れ、該ガイドスロット又は曲線案内部(20)の曲率半径
    が、揺動てこ(8)の長さに相当することを特徴とする
    請求項1又は2記載の装置。
  5. 【請求項5】座部(5)の前部領域の前記ガイドスロッ
    ト又は曲線案内部(20)での案内が、背部(7)の位置
    調節運動によって行われ、その場合座部(5)の前部領
    域も後部領域も上方へ向けた運動を実行することを特徴
    とする請求項4記載の装置。
  6. 【請求項6】事務椅子の中立位置において、背部(7)
    にかかる荷重による回転モーメント(11)に対抗して、
    座部(5)にかかる荷重による復帰モーメント(11′)
    が生じるようにするために、後支持点(B)が、固定さ
    れた支持点(A)の鉛直下方から予め定める間隔をおい
    て前方に位置することを特徴とする請求項1記載の装
    置。
  7. 【請求項7】背部(7)に荷重が加わった時に、座部
    (5)の支持点(D)が、揺動てこ(8)の揺動により
    ガイドスロット又は曲線案内部(20)内を案内され、支
    持点(D)が上向きの運動を実行することを特徴とする
    請求項2〜5のいずれかに記載の装置。
  8. 【請求項8】支持台(2)が基礎縦通材(17)から成
    り、該基礎縦通材(17)が座部(5)の下方中間に位置
    し且つ事務椅子の後部に突出し、弓形部(16)が基礎縦
    通材(17)の後方の端部(18)からその上方に位置する
    背部(7)の両側の固定された支持点(A)へ至ること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
  9. 【請求項9】固定された支持台(2)には、両側に作動
    可能な油圧シリンダー装置のケーシングが固定され、該
    シリンダー内を摺動可能なピストンが座部(5)へ連結
    していることと、背部(7)の位置移動により生じる座
    部(5)の水平移動と、それによる前記シリンダー内の
    ピストンの水平移動が、該シリンダー内の液体により緩
    衝され、乃至案内されることを特徴とする請求項1〜8
    のいずれかに記載の装置。
  10. 【請求項10】両側に作動可能なピストンを有する前記
    シリンダーの代わりに、切換弁(33)を有する両側に作
    動するベローズ(27)が設けられており、該ベローズ
    (27)の中央に、隔壁(30)及び支持台(2)に固定さ
    れた支持ブロック(26)を有し、且つ隔壁(30)によっ
    て分けられたベローズ(27)内の室(28、29)が少なく
    とも一つの循環管路(31、32)を通じて互いに連通して
    いることを特徴とする請求項9記載の装置。
  11. 【請求項11】背部(7)の傾斜の位置調節時に、液体
    がベローズ(27)の後室(29)から切換弁(33)を貫流
    して循環管路(31)を循環し、前室(28)へ流れること
    ができ、またはその逆に流れることができ、 背部(7)の傾斜増大時には、後室(29)内の前記液体
    が、循環管路(31)に配置された背圧弁(36)及び制御
    弁(37)を通って前室(28)へ流れ、 背部(7)の傾斜減少時には、前室(28)内の前記液体
    が、循環管路(31)に配置された制御弁(37)及び絞り
    弁(35)を通って後室(29)へ流れることを特徴とする
    請求項9又は10記載の装置。
  12. 【請求項12】着座時に座部(5)に荷重が加わった時
    に、循環環路(31)の切換弁(33)が開かれることを特
    徴とする請求項11記載の装置。
  13. 【請求項13】非着座時に、椅子の背部(7)の傾斜が
    中立位置に復帰するために、背圧弁(34)を有する復帰
    循環路(32)が設けられており、 前室(28)の液体が、切換弁(33)を貫流して該復帰循
    環路(32)を循環し、後室(29)へ流れ、さらに復帰バ
    ネ(39)が背部(7)の復帰を支援することを特徴とす
    る請求項10又は11記載の装置。
  14. 【請求項14】両側に作用するベローズ(27′)の両室
    (28、29)間に、通孔(55)を有する切換弁(33′)が
    設けられており、 該切換弁(33′)は、ベローズ(27′)の両室(28、2
    9)へ向けて各々作動可能な背圧弁(56、57)を有し、
    手動で操作可能な作動棒(52)がその外周面の形状を介
    して背圧弁(56、57)の同時又は異なった時の開放又は
    閉止、及びそれによる液体の通行を制御することを特徴
    とする請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
  15. 【請求項15】両背圧弁(56、57)の同時開放が、各々
    に背圧弁(56、57)の径方向に摺動可能な作動ピン(5
    8、59)を介して行われ、該作動ピン(58、59)が、背
    圧弁(56,57)の開放又は閉止のために作動棒(52)の
    外周面に各々支持されていることを特徴とする請求項14
    記載の装置。
  16. 【請求項16】室(28、29)間の背圧弁(56、57)の閉
    止が、作動棒(52)の湾曲凹部への作動ピン(58、59)
    の径方向の挿入により行われることを特徴とする請求項
    14又は15記載の装置。
  17. 【請求項17】両背圧弁(56、57)の同時開放時に、弁
    座(65)の様々な形状に基づき背圧弁(56、57)を流体
    が通る際の流れ抵抗が異なることを特徴とする請求項14
    記載の装置。
  18. 【請求項18】背圧弁(56、57)が閉塞され、椅子の非
    着座時に、作動棒(52)が垂直に上方へ摺動可能である
    ことと、室(29)と通孔(55)間のバイパス穴が弁箱
    (49)内に設けられていることと、座っていない椅子の
    場合に背部の傾斜の復帰のために、液流が後室(29)か
    ら前室(28)へバイパス穴(68)を通って流れることを
    特徴とする請求項14記載の装置。
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