JP2966875B2 - 食品用材料およびその製造方法 - Google Patents

食品用材料およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、食品用材料およびその製造方法に関するも
のである。詳しく述べると本発明は、従来の澱粉に比べ
て消化・吸収速度の緩やかな食品用材料およびその製造
方法に関するものである。
(従来の技術) 近年、先進社会においては食生活の豊潤化により肥満
症患者が急増している。肥満度の高い人は、正常体重の
人に比べて糖尿病、動脈硬化症、心臓病などに2、3倍
かかりやすく、また痛風や手術後の合併症、胆石症、腰
痛症、肝臓病など肥満と関係の深い病気は増加の一途で
ある。このように肥満症は社会保健上重大な問題になり
つつある。
このような肥満症の治療および予防の手段としては、
従来は例えば摂取カロリーを低減させることが考えられ
ていた。しかしながら、摂取食物量を単に低減させただ
けでは強い空腹感、飢餓感により長続きしないので、同
時に以下の方法がとられている。
その一つは、少量の食物摂取によっても胃に機械的伸
展刺激が加わるように、胃内に風船を留置するか、胃の
大部分を閉塞して胃容積を著しく狭める方法である。し
かし、これらの方法は、手術を必要とする恒久的な処置
であり、しかも副作用等が懸念されるため望ましくな
い。
もう一つの方法は、食物繊維などの増量剤、増粘剤を
単独または他の食品に混合して摂取させる方法である。
これは、食物繊維が難消化性であることを利用し、単位
重量当りのカロリーを低下させたものである。しかしな
がら、食物繊維は味、食感が好ましくないため、単独で
の大量摂取は困難であり、食品に添加したものであって
も多くの場合、その味、食感が著しく低下するという欠
点を有している。また、大量の食物繊維の摂取は、他の
有益な栄養素の吸収を阻害したり、下痢や、便秘を起こ
すなどの副作用があり好ましくない。
一方、近年になって消化・吸収の緩やかな糖質は、消
化・吸収の速やかなものと比べて肥満につながりにくい
ことが明らかになってきた(ジェンキンスら、ザ アメ
リカン ジャーナル オブ クリニカル ニュートゥリ
ション 34、1981年3月、第362〜366頁[Jenkins,D.J.
A.,et al.,Am.J.Clin.Nutr.34:MARCH 1981,pp.362−36
6])。従って、消化・吸収の緩やかな糖質を含む食品
を用いれば、上記のような低カロリー化によらなくと
も、効果的な肥満の防止または改善が行なわれると考え
られる。
また、このような食品を用いれば、摂取後の血糖値が
急激に上昇することを抑えられる(例えば、ジェンキン
スら、“ザ ディアベティック ダイエット、ダイエタ
リィ カルボヒドレート アンド ディファレンス イ
ン ディゲスティビリティ”、ダイアベトロジア 23、
第477〜484頁、1982年[Jenkins,D.J.A.,et al.:The Ci
abetic Diet,Dietary Carbohydrete and Differences i
n Digestibility.Diabetlogia,23:477−484,(198
2)]、コリアーら、“エフェクト オブ コインゲス
ッション オブ ファット オン ザ メタボリック
レスポンス ツゥ スローリィ アンド ラッピッドリ
ィ アブソーブド カルボヒドレートス”、ダイアベト
ロジア 26、第50〜54頁、1984年[Collier,et al.:Eff
ect of co−ingestion of fat on the metabolic respo
nses to slowly and rapidly absurbed carbohydrates.
Diabetologia,26:50−54(1984)])ので、糖尿病患者
の病態および栄養の管理が容易になると考えられる。
従来、消化・吸収の緩やかな糖質として知られるもの
としては、アミメローズ種のとうもろこしより調製され
た、いわゆるハイアミロースコーンスターチおよび大量
の油脂とともに調理した各種糖類がある。しかしなが
ら、前者の場合は用途が限定されており、かつ風味、食
感が悪いことからあまり利用されておらず、後者につい
ては、摂取カロリーの増大をもたらすことから有効でな
い。
このように消化・吸収が緩やかで、かつ通常の澱粉と
同等の風味、食感を有し、広範な用途を持つ食品用材料
は未だ知られていない。
(発明が解決しようとする課題) 従って本発明は、新規な食品用材料およびその製造方
法を提供することを特徴とするものである。本発明はま
た、消化・吸収が緩やかで、かつ通常の澱粉と同様の
味、食感を有し、広範な用途を有する食品用材料および
その製造方法を提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸目的は、澱粉質と脂肪酸化合物とを水の存在下
にて糊化開始温度以下の温度において結合させることを
特徴とする食品用材料の製造方法により達成される。
本発明はまた前記温度が0〜70℃である食品用材料の
製造方法を示すものである。本発明はさらに、上記製造
方法により得られた食品用材料を、乾燥・粉砕し、該粉
砕物を焼成することを特徴とする消化・吸収の緩やかな
パンないし菓子の製法を示すものである。本発明はさら
に上記製造方法により得られた食品用材料を、乾燥・粉
砕し、さらに加水・混練を行うことを特徴とする消化・
吸収の緩やかな麺の製法を示すものである。
上記諸目的はまた、上記記載の製造方法により得られ
た食品用材料を含有することを特徴とする食品用材料の
製造方法により得られた食品用材料を含有することを特
徴とする食品によっても達成される。本発明はまた抗肥
満性用である食品を示すものである。本発明はまた、糖
尿病患者用である食品を示すものである。
(作用) しかして、本発明の食品用材料の製造方法は、澱粉質
と脂肪酸化合物とを水の存在下にて糊化開始温度以下の
温度において結合させることを特徴とするものである。
本発明の上記製造方法により得られた食品用材料にお
いては、澱粉質中のアミロースが脂肪酸化合物と結合し
ており、酵素との複合体を形成しにくい構造となってい
るため澱粉質がアミラーゼ等の消化酵素による作用を受
けにくくなる。そのため、通常の澱粉質に比べて消化・
吸収の速度が遅くなるものである。このように水の存在
下にて糊化開始温度以下の温度において澱粉質に脂肪酸
化合物を結合することによって消化・吸収が緩やかにな
るということは本願発明者らが初めて見い出したもので
あり、本発明の根幹をなすものである。さらにこのよう
な処理を施した澱粉質は、未処理の澱粉質と同等の味、
食感を有するという知見を得、本発明に至ったものであ
る。
なお、小麦粉あるいは米粉などに乳化剤を作用させて
改質する技術については種々の乳化剤の取扱い説明書な
どに記載されており、また特公昭59−13177号、特公昭5
9−30055号、特開昭60−30633号、特開昭62−55048号、
特開昭62−83857号、特開昭62−143659号、特開昭62−1
22549号、特開昭62−158446号および特開昭63−14650
号、特開昭63−71134号、特開昭63−152935号、特開昭6
3−192354号、特開昭64−63332号、特開平1−225438号
などにも開示されている。しかしながら、これらの技術
は、乳化剤による生地の伸びの改良、食感の改良、老化
防止等の目的で、少量の乳化剤を小麦粉や米粉と単に混
合し、場合によって加圧加熱するもので、このような操
作によってもたらされる食品用材料は、澱粉質中のアミ
ロースが十分に脂肪酸化合物によって占有されていない
ので、消化・吸収を有意に遅延化させることはできな
い。なお、この点に関しては、後述する比較例1〜3に
おいても実証されている。
また、澱粉質と脂肪酸エステルとの結合物について
は、種々の文献、例えば澱粉科学ハンドブック(二国二
郎監修、1977年)などに発表されているが、いずれも加
熱糊化されたアミロースと脂肪酸エステルの熱可逆的な
結合を示唆するものであり、本発明においてもたらされ
る加熱糊化されない状態で結合してなる、消化酵素と複
合体を形成しにくくかつ加熱してもその効果が可逆的に
解消されない結合物とは異なる構造物であると考えられ
る。
またソホチ[Sohoch]の実験(T.J.Sohoch,Bakers Di
gest,39 48(1965))にみられる純アミロースと脂肪
酸エステルとを長時間にわたって加熱して得られる結合
物のごときは、その本質、製法においても本発明の食品
用材料とはかけ離れたものであり、本発明を何ら示唆す
るものではない。
なお、本明細書において、「消化・吸収速度の遅い」
ものとは、例えば、アミラーゼによる分解が通常の澱
粉、すなわち未処理の澱粉に対し、95%以下、より好ま
しくは85%以下となるものである。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明す
る。
本発明において原料として用いられる澱粉質として
は、通常、食用に供される穀物由来の澱粉、物理化学的
あるいは生物学的に合成された澱粉、およびそれらの粗
原料や加工物、あるいはこれらの澱粉質の2種以上の混
合物等であって澱粉を十分量に含むものであればいずれ
も好適に用いることができる。例えば、米、小麦、大
麦、ライ麦、燕麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、ある
いはタピオカなどから調製したものが挙げられる。特
に、これらの原料穀物の穀物粉または穀物粒を用いるこ
とが、栄養面および経済的な面から好ましい。なお、純
アミロース澱粉(アミロース含有率100%)は、後述す
る脂肪酸化合物との結合によって消化・吸収が過度に抑
えられて消化不良を起す虞れがあり、かつ風味・食感が
著しく低下するため好ましくない。
一方、このような澱粉質と結合される脂肪酸化合物と
しては、遊離脂肪酸、脂肪酸塩あるいは脂肪酸エステル
などが含まれ、このうち特に、上記澱粉と複合体を形成
するための疎水性のアルキル(脂肪酸)部分と、澱粉に
効率よく接触するための親水性の水酸基供与体を合せ持
つ物質であればより好ましく用いることができ、脂肪酸
エステルが望ましい。なお、上記の理由から脂肪酸化合
物であっても、トリグリセリド等の水酸基供与体を持た
ない物質は使用し得えない。脂肪酸エステルは、カルボ
キシル基を有する飽和または不飽和のアルキル化合物と
アルコール性水酸基を有する化合物(アルコール供与
体)とがエステル結合した状態の物質をいう。これらの
脂肪酸化合物の構成脂肪酸としては、例えばカプリル
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリ
ン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、
パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデ
カン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレ
イン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラ
シジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸など
のような炭素数8〜22のものが好ましい。
脂肪酸塩としては、上記のような脂肪酸のナトリウム
塩、カリウム塩、マグネシウム塩などがある。
また脂肪酸エステルのアルコール供与体としては、グ
リセリン、プロピレングリコールないしポリプロピレン
グリコール類、ショ糖およびマルトースなどの糖類、ソ
ルビット、マンニット、エリトリット、アラビットなど
の糖アルコール類、グリセロリン酸などがある。なお、
脂肪酸エステル化合物として具体的なものをいくつか例
示すると、例えば、デカグリセリルモノラウレート、デ
カグリセリルモノミリステート、ヘキサグリセリルモノ
ステアレート、デカグリセリルモノステアレート、モノ
グリセリルモノステアレート、デカグリセリルジステア
レート、デカグリセリルトリステアレート、デカグリセ
リルモノオレエート、デカグリセリルトリオレエート、
ヘキサグリセリルモノオレエート、デカグリセリルペン
タオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル類、ショ
糖ステアレート、ショ糖パルミテート、ショ糖オレエー
ト、ショ糖ラウレート、ショ糖ベヘネートなどのショ糖
脂肪酸エステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビ
タンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなど
のソルビタン脂肪酸エステル類、レシチン、リゾレシチ
ンなどが挙げられる。なお、このような脂肪酸エステル
のHLB(Hydorophilic Hydorophobic Balance)は何れの
領域のものを用いても良い。
本発明の食品用材料において、原料の澱粉質と脂肪酸
化合物の結合比率は、澱粉および脂肪酸化合物の種類や
製造条件によっても異なってくるが、脂肪酸化合物によ
る澱粉質のアミロース占有率が10%以上、特に40〜95%
であることが望ましい。すなわち、脂肪酸化合物による
澱粉質のアミロース占有率が10%未満であると、消化・
吸収速度の十分な遅延化がもたらされない虞れがあるた
めである。
なお、本明細書における「脂肪酸化合物による澱粉質
のアミロース占有率」とは、電流滴定法を用いたヨウ素
親和力(アミロースとヨウ素の結合量)の測定値より算
出されたものである。すなわち、ヨウ素親和力は、ヨウ
素が澱粉中の主としてアミロースと結合して複合体を形
成することを利用してアミロース含量を推定するもので
あるが、本発明の食品用材料におけるように脂肪酸化合
物で澱粉質を処理した場合には、脂肪酸化合物と結合し
たアミロース(ヨウ素を結合しない)の割合だけ未処理
の澱粉質よりもヨウ素親和力が小さくなる。従って、未
処理の澱粉質のヨウ素親和力から処理した澱粉質のヨウ
素親和力を差引いた値を、未処理の澱粉質のヨウ素親和
力で割った値に百をかけたものが、脂肪酸化合物による
澱粉質のアミロース占有率(%)である。
上記したような本発明の食品用材料は、澱粉質と脂肪
酸化合物とを水の存在下にて糊化開始温度以下の温度に
おいて結合させることにより製造することができる。
原料としての澱粉質に、予め溶媒としての水に溶解あ
るいは分散させた脂肪酸化合物を添加する操作は、例え
ば、脂肪酸化合物を溶解あるいは分散させてなる溶媒の
流通する中に、澱粉質を晒すことによっても行なわれ得
るが、通常は、脂肪酸化合物を溶解あるいは分散させた
適当な量の溶媒中に澱粉質を添加し混合することにより
行なわれる。このようにすることにより、原料澱粉質に
対する脂肪酸化合物の接触効率がよくなり、結合が首尾
よくなされるものとなる。
使用される溶媒は、澱粉と脂肪酸化合物を均一に効率
よく接触させるために添加するが、澱粉になじみ易い親
水性の溶媒であり、かつ脂肪酸化合物を均一に分散させ
る溶媒であることが望ましい。具体的には、水が好まし
い。また溶媒の量は、使用される澱粉質、脂肪酸化合物
および溶媒の種類によっても左右されるが、澱粉質100
重量部に対し10〜1000重量部であることが望まれる。ま
た溶媒に予め溶解あるいは分散させられた脂肪酸化合物
の量は、脂肪酸化合物100重量部に対し、2〜50重量部
であることが望まれる。
原料の澱粉質と脂肪酸化合物の接触に際しての反応系
の温度としては、食品用材料として加熱調理されるもの
を得るために、原料の澱粉質が完全に糊化してしまわな
い温度において行われる必要がある。この場合、経済性
等の面から0℃以上でかつ糊化が起らない温度という点
で糊化開始温度(澱粉質の種類によって異なるが、概ね
60℃前後〜70℃前後)以下とすることが望ましい。な
お、このような糊化開始温度以下の温度において、予め
溶媒に溶解あるいは分散させた脂肪酸化合物を澱粉質に
添加して、澱粉質を脂肪酸化合物と接触させても脂肪酸
化合物を澱粉質に結合させることができ、さらにこのよ
うな温度域で脂肪酸化合物を結合させた澱粉質は、糊化
温度自体が上昇するために、その後加熱調理した場合に
おいても糊化が起りにくくなり、消化・吸収の遅延化が
より促進される。
本発明の食品用材料は、このように澱粉質と脂肪酸化
合物とを水の存在下に接触させ、澱粉質に脂肪酸化合物
を結合させることによって得られるが、このような操作
において澱粉質に残留する溶媒は、必要に応じて、例え
ば凍結乾燥、減圧乾燥、風乾などの各種の乾燥方法によ
って除去される。
さらに、本発明の食品用材料は、原料となる澱粉質の
風味・食感を損なわないので、通常の澱粉と同様に使用
が可能である。すなわち、そのまま食品として食するこ
とができるほか、通常澱粉を用いて製造される食品すべ
てに応用されることができる。なお、このように加工さ
れて食品とされる場合、必要に応じて本発明の食品用材
料に対し洗浄、破砕、加熱等の処理を加えることができ
る。
特に、本発明の食品用材料を乾燥、粉砕し、この粉砕
物に必要によりデキストリン等の糖質、食塩、かんす
い、色素、蛋白質、各種のミネラルおよびビタミンなど
を添加し、加水して混練することにより、消化・吸収の
緩やかな麺を製造することができる。
また、本発明の食品用材料を乾燥、粉砕し、この粉砕
物に必要により油脂、糖類、粉乳、卵、ベーキングパウ
ダー等の膨脹剤、食塩、酵母、酵母食品、L−アスコル
ビン酸等の酸化還元剤などを添加し、これらを混合し
て、得られた混合物を焼成することにより、消化・吸収
の緩やかなパンないし菓子を製造することができる。
このようにして得られる本発明に係わる食品は、通常
の澱粉を含有するものと比較して、風味・食感などは何
ら遜色がなく、消化・吸収速度は有意に緩やかなもので
あり、抗肥満性食品として、あるいは糖尿病患者用食品
として好適に使用される。さらに、本発明に関する食品
は、ヒト用のみでなく、ヒト以外の動物用としても用い
ることができるものである。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1 市販の小麦粉50gを、ショ糖ステアリン酸エステル
(S−1570、三菱化成(株)製)5gを予め溶解した水5
と混合した。この混合物を65℃で60分間攪拌しながら
保持し、その後、3000rpmで3分間遠心し上清液を除去
して食品用材料試料を得た。
得られた試料に対し、以下に示すような方法に従い脂
肪酸化合物による澱粉質のアミロース占有率ならびにブ
タ膵臓α−アミラーゼ(PPA)による消化性(予め糊
化)を調べたところ、脂肪酸化合物による澱粉質のアミ
ロース占有率は95%であり、またPPA分解性は未処理の
澱粉質の74%であった。
実施例2 ショ糖ステアリン酸エステルに代えてグリセリンモノ
ステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン
(株)製)を用いる以外は実施例1と同様にして食品用
材料試料を得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸化合物
による澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる消
化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸化合物による
澱粉質のアミロース占有率は約100%であり、またPPA分
解性は未処理の澱粉質64%であった。
実施例3 市販の白米粉50gを、ショ糖ステアリン酸エステル
(S−1570、三菱化成(株)製)5gを予め溶解した水5
と混合した。この混合物を65℃で120分間攪拌しなが
ら保持し、その後、3000rpmで3分間遠心し上清液を除
去して食品用材料試料を得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸化合物
による澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる消
化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸化合物による
澱粉質のアミロース占有率は78%であり、またPPA分解
性は未処理の澱粉質の87%であった。
実施例4 ショ糖ステアリン酸エステルに代えてグリセリンモノ
ステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン
(株)製)を用いる以外は実施例3と同様にして食品用
材料試料を得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸化合物
による澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる消
化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸化合物による
澱粉質のアミロース占有率は34%であり、またPPA分解
性は未処理の澱粉質の90%であった。
実施例5 市販の小麦粉1Kgに、予めグリセリンモノステアリン
酸エステル50g(エマルジーMS、理研ビタミン(株)
製)を溶解した水3を加え、30℃で60分間緩やかに攪
拌しながら保持した。その後、凍結乾燥して食品用材料
試料を得、実施例1と同様に脂肪酸化合物による澱粉質
のアミロース占有率を調べたところ、脂肪酸化合物によ
る澱粉質のアミロース占有率は43%であった。
実施例6 市販の小麦粉に、予めレシチン(AY−A 豊年製油
(株)製)5gを分散させた水3を加え、30℃で60分間
緩かに攪拌しながら保持した。その後、凍結乾燥して食
品用材料試料を得、実施例1と同様に脂肪酸化合物によ
る澱粉質のアミロース占有率を調べたところ、脂肪酸化
合物による澱粉質のアミロース占有率は15%であった。
また、PPAによる消化性を調べたところ、未処理の澱粉
質の93%であった。
比較例1 市販の小麦粉1kgに、単にグリセリンモノステアリン
酸エステル50g(エマルジーMS、理研ビタミン(株)
製)を混合し、実施例1と同様に脂肪酸化合物による澱
粉質のアミロース占有率を調べたところ、脂肪酸化合物
による澱粉質のアミロース占有率は0%(ヨウ素結合能
が未処理のものの107%となる。)であり、澱粉質に脂
肪酸化合物を単に混合するのみでは、脂肪酸化合物が澱
粉質に結合しないことが明らかとなった。
比較例2 薄力小麦粉400gにショ糖ステアリン酸エステル(S−
770、三菱化成(株)製)8g、水80mlを同時に添加し、
容量5のミキサーを使い均一になるよう回転数60r.p.
mで5分間混合し、さらに凍結・乾燥して食品用材料試
料を得た。得られた試料について、実施例1と同様に脂
肪酸化合物による澱粉質のアミロース占有率ならびにPP
Aによる消化性を調べたところ、脂肪酸化合物による澱
粉質のアミロース占有率は5%であり、また、PPAによ
る消化性は未処理の小麦粉の98%までしか低下しておら
ず、澱粉質に脂肪酸化合物を単に混合するのみでは、脂
肪酸化合物が澱粉質に結合しないことが明らかとなっ
た。
比較例3 薄力小麦粉400gにグリセリンモノステアリン酸エステ
ル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)50g、水1
を同時に添加し、容量5のミキサーを使い均一にな
るよう回転数60r.p.mで5分間混合し、さらに凍結・乾
燥して食品用材料試料を得た。得られた試料について、
実施例1と同様に脂肪酸化合物による澱粉質のアミロー
ス占有率ならびにPPAによる消化性を調べたところ、脂
肪酸化合物による澱粉質のアミロース占有率は8%であ
り、また、PPAによる消化性は未処理の小麦粉の97%ま
でしか低下しておらず、澱粉質に脂肪酸化合物を単に混
合するのみでは、脂肪酸化合物が澱粉質に結合しないこ
とが明らかとなった。
実施例7〜17 市販のバレイショ澱粉1Kgを、第2表に示すような各
種の脂肪酸化合物50gを懸濁した水500gと混合した。こ
の混合物を25℃で20分間攪拌しながら保持して、食品用
材料試料を得た。
得られた試料を50℃で風乾し、PPAによる消化性(予
め糊化)を調べた。なお、比較対照としては、脂肪酸化
合物を添加しない水500gと混合し、25℃で20分間攪拌し
ながら保持したものを用いた。結果を第1表に示す。
実施例18 白米粒100gに、あらかじめショ糖ステアリン酸エステ
ル(S−1570、三菱化成(株)製)20gを予め溶解した
水5を加え、55℃で24時間保持した。次いで上清を捨
て凍結乾燥して食品用材料試料を得た。
得られた試料を粉砕して0.5gとり、PPAによる消化性
(予め糊化)を調べたところ、PPA分解性は第1図に示
すように未処理の澱粉質の75%であった。
実施例19 小麦粉50gに、あらかじめグリセリンモノステアリン
酸エステル(エマルジーMM100、理研ビタミン(株)
製)5gを予め溶解した水5を加え、70℃で60分間浸漬
して食品用材料試料を得た。
得られた試料を凍結乾燥し、PPAによる消化性を調べ
たところ、PPA分解性は第2図に示すように未処理の澱
粉質の41%であった。
実施例20 市販のもち米を粉砕した物400gに、市販の薄力粉100g
を混合して原料澱粉を調製した。この原料澱粉500gに、
予めショ糖ステアリン酸エステル(S−1570、三菱化成
(株)製)200gを分散させた水5を加え、10℃で10分
間攪拌しながら保持した。この混合物から上清を捨て、
凍結乾燥して食品用材料試料を得た。
得られた試料に対し、脂肪酸化合物による澱粉質のア
ミロース占有率ならびにPPAによる消化性を調べたとこ
ろ、脂肪酸化合物による澱粉質のアミロース占有率は38
%であり、また、PPAによる消化性は未処理の原料澱粉
の92%であった。
実施例21〜24 第5表に示す各種の澱粉質1kgに、予めショ糖ステア
リン酸エステル(S−1570、三菱化成(株)製)または
グリセリンモノステアリン酸エステル(エマルジーMS、
理研ビタミン(株)製)50gを溶解した水3を加え、3
0℃で1時間緩かに攪拌しながら保持した。この後、上
清を捨て、凍結乾燥して食品用材料試料を得た。得られ
た試料を常温で風乾し、以下に述べる方法により糊化開
始温度を測定し、未処理物の糊化開始温度との差を調べ
た。結果を第2表に示す。なお、第3〜5図はそれぞ
れ、比較対照としての未処理の小麦粉、S−1570処理小
麦粉(実施例21)およびエマルジーMS処理小麦粉(実施
例22)の糊化開始温度の測定に用いたフォトペーストグ
ラフィーの吸光度曲線を示すものである。
実施例25 小麦粉(アミロース含有率 22%)100gに、予めショ
糖ステアリン酸エステル(S−1570、三菱化成(株)
製)5gを65℃にて懸濁しておいた水300gを加え、30℃で
60分間攪拌しながら保持し、その後全量を凍結乾燥して
食品用材料試料を得た。
得られた試料50gを水150mlと共に121℃で30分加圧加
熱した後、健常男子1名に経口投与した。投与後、定時
的に採血し、血糖値を測定した。なお、血糖値の測定
は、市販の測定装置(グルコスター、エイムス三共
(株)製)を用いた。
その結果、第6図に示すように、この試料を投与した
場合には、比較対照の小麦粉(121℃で30分間加熱した
のみ)の場合に対し、面積比で63%、ピーク高さで61%
と明らかに血糖値の上昇が遅延していた。
実施例26 澱粉質を白米粉とする以外は実施例25と同様にして食
品用材料試料を調製し、同様に加熱処理して健常男子1
名に経口投与し、投与後の血糖値の変化を測定した。そ
の結果、第6図に示すように、この試料を投与した場合
には、比較対照の白米粉(121℃で30分間加熱したの
み)の場合に対し、面積比で64%と明らかに血糖値の上
昇が遅延していた。
実施例27〜28 ショ糖ステアリン酸エステルに代えて、ソルビタンラ
ウリン酸エステル(エマゾールL−10、花王(株)製)
(実施例27)またはグリセリンモノステアリン酸エステ
ル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)(実施例2
8)を用いる以外は実施例25と同様にして食品用材料試
料を調製し、同様に加圧加熱処理して健常男子1名に経
口投与し、投与後の血糖値の変化を測定した。
その結果、これら試料を投与した場合にも、比較対照
の小麦粉(121℃で30分間加熱したのみ)の場合に対
し、それぞれ面積比で88%(実施例27)および75%(実
施例28)と明らかに血糖値の上昇が遅延していた。
実施例29〜30 ショ糖ステアリン酸エステルに代えて、グリセリンモ
ノステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン
(株)製)(実施例29)またはレシチン(AY−A、豊年
製油(株)製)(実施例30)を用いる以外は実施例26と
同様にして食品用材料試料を調製し、同様に加熱処理し
て健常男子1名に経口投与し、投与後の血糖値の変化を
測定した。
その結果、これら試料を投与した場合にも、比較対照
の白米粉(121℃で30分間加熱したのみ)の場合に対
し、それぞれ面積比で85%(実施例29)および75%(実
施例30)と明らかに血糖値の上昇が遅延していた。
実施例31 市販の強力粉1kgに、予めグリセリンモノステアリン
酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)50
gを溶解した水3を加え、30℃で1時間攪拌しながら
保持した。この混合物から上清を捨て、凍結乾燥して食
品用材料試料を得た。
得られた試料2Kgに、油脂150g、砂糖150gおよびタン
パク質120gを加えてパンミックスを作り、このパンミッ
クス280gにドライイースト3gを添加して市販のパン焼き
機にて調理したところ、風味・食感の良好な食パンが得
られた。さらに数名の協力者に対し、この処理強力粉を
用いて作成した食パンと、未処理の強力粉を用いて上記
と同様にして得られた食パンとを、盲検法において食さ
せ、好みの方を選択してもらったところ、この選択に有
意差は認められなかった。
またさらに、上記で得られた処理強力粉を用いた食パ
ンを凍結乾燥して食品試料を得た。この食品試料を0.5g
とり、水50mlを加えて95℃で30分間加熱した後、PPAに
よる消化性を調べたところ、PPA分解性は第7図に示す
ように未処理の強力粉を用いた食パンの48%であった。
さらにこの食品試料を0.5gとり、水50mlを加えて加熱処
理することなく、そのままPPAによる消化性を調べたと
ころ、PPA分解性は第8図に示すように未処理の強力粉
を用いた食パンの27%であった。
実施例32 市販の薄力粉1kgに、予めショ糖ステアリン酸エステ
ル(S−1570、三菱化成(株)製)50gを溶解した水30
を加え、30℃で1時間攪拌しながら保持した。この混
合物から上清を捨て、凍結乾燥して食品用材料試料を得
た。
得られた試料78gに砂糖9、卵白粉末1.5g、小麦粉グ
ルテン7g、食塩0.5g、膨化剤2.5g、香料1.5gを加えて10
0gとし、よく混合してホットケーキミックスを得た。該
ミックスを常法に従って焼成したところ風味・食感の良
好なホットケーキが得られた。さらに数名の協力者に対
し、この処理小麦粉を用いて作成したホットケーキと、
未処理の小麦粉を用いて上記と同様にして得られたホッ
トケーキとを、盲検法において食させ、好みの方を選択
してもらったところ、この選択に有意差は認められなか
った。
実施例33 市販の白米粉1kgに、予めショ糖ステアリン酸エステ
ル(S−1570、三菱化成(株)製)50gを溶解した水3
を加え、30℃で1時間攪拌しながら保持した。この混
合物から上清を捨て、凍結乾燥して食品用材料試料を得
た。
得られた試料90gに、粉末油脂3g、とうもろこし繊維5
g、卵殻粉2gを加えてよく混合した。該混合物を適宜加
水しながら、温度120〜130℃、押出し圧力20〜25kg/cm2
で、2軸エクストルーダーにて押出し加工し、風味・食
感の良好な膨化食品を得た。さらに数名の協力者に対
し、この処理白米粉を用いて作成した膨化食品と、未処
理の白米粉を用いて上記と同様にして得られた膨化食品
とを、盲検法において食させ、好みの方を選択してもら
ったところ、この選択に有意差は認められなかった。
実施例34 市販の強力粉1kgに、予めグリセリンモノステアリン
酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)50
gを溶解した水3を加え、30℃で1時間攪拌しながら
保持した。この混合物から上清を捨て、凍結乾燥して食
品用材料試料を得た。
得られた試料800gに、デキストリン(パインデックス
4、松谷化学製)20g、バイタルグルテン(パウダーグ
ルA、昭和産業(株)製)30gおよび水400gを配合し、
ミキサーにて混合し混練生地を得た。
この混練生地を常法により製麺ロールで複合および圧
延し、さらに切り出しを行ない生麺を得た。
この生麺300gを沸騰水中でゆであげたところ、風味・
食感の良好なゆでうどんが得られた。
さらに数名の協力者に対し、この処理強力粉を用いて
作成したゆでうどんと、未処理の強力粉を用いて上記と
同様にして作成したゆでうどんとを盲検法において食さ
せ、好みの方を選択してもらったところ、この選択に有
意差は認められなかった。
なお、本発明の実施例において用いられた各測定法は
以下に述べる通りである。
脂肪酸化合物による澱粉質のアミロース占有率 試料0.1gをアルカリ糊化させるために20mlの0.5N KO
Hを加え完全に塊がなくなるまでよく混釈した後、精製
水150mlを加え、さらに1N HClを20ml添加して中和し、
総液量190mlとする。調製した試料液95mlを氷冷しなが
ら、0.4N KI 5mlを加え、25mVの電圧をかけながら、
0.00157N KIO3で毎分0.5mlの速度で滴定し、電流の変
化を測定する。電流が急激に上昇し始める点を変曲点と
し、その時の滴定量を滴定値とする。一方、同試料0.1g
の全糖量をフェノール・硫酸法により別に測定してお
く。これらの滴定値および全糖量より次式に基づき各試
料のヨウ素親和力を算出し、さらに以下の式により脂肪
酸化合物による澱粉質のアミロース占有率を求める。
ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)による消化性 試料0.5gを取り、これに50mM リン酸緩衝液(pH6.
9)49mlを加え、次いで37℃に調整した振盪恒温槽中で3
0分間放置した。PPA(シグマ[SIGMA]社製)をリン酸
緩衝液にて50μU/mlに希釈した酵素液1mlを加え、反応
を開始する。反応開始から0、20、40、60分後に反応液
を0.2mlずつ各2本、0.1N NaOH 3.8mlを分注した試験
管に入れ酵素反応を停止した。
PPAによる消化により生起した還元糖の定量は、ソモ
ギ−ネルソン[Somogi−Nelson]法により行なった。
なお、試料を予め糊化する場合には、リン酸緩衝液を
加えたあと、沸騰湯浴中で30分間加熱することにより糊
化させた。
糊化開始温度 得られた試料0.1gに、精製水を加え100mlにメスアッ
プした(0.1重量%試料懸濁液)後、フォトペーストグ
ラフィー測定装置(PHPG)のセルにセットする。セル中
の試料液を攪拌しながら、2℃/分の昇温速度で温度を
上昇させ、372nmの吸光度を95℃になるまで連続的に測
定し、吸光度が急激に変化する変曲点における温度を糊
化開始温度とする。なお、フォトペーストグラフィー測
定装置としては、平間理化研究所製のものを用いた。
(発明の効果) 以上述べたように本発明の食品用材料の製造方法は、
澱粉質と脂肪酸化合物とを水の存在下にて糊化開始温度
以下の温度において結合させることを特徴とするもので
あり、上記製造方法により得られた食品用材料は、澱粉
質に脂肪酸化合物が有意に結合してなり、消化・吸収が
緩やかで、かつ通常の澱粉と同様の味、食感を有してお
り、広範な用途に用いることができる。さらに本発明の
食品用材料において、前記脂肪酸化合物が両親媒性物質
であり、さらに前記両親媒性物質が、遊離脂肪酸または
その塩ないしエステルであると、消化・吸収速度の遅延
化はより優れたものとなり、また澱粉質が穀物粉または
穀粒であると、経済的にもさらに有利なものとなり、よ
り広範な用途に安易に用いることができるものである。
さらに本発明の製造方法は上記のように優れた特性を
有する食品用材料を、極めて簡単な操作によりかつ安全
性高く製造できるものである。さらに本発明の製造方法
においては、澱粉質と脂肪酸とを水の存在下にて糊化開
始温度以下の温度、例えば、0〜70℃において結合させ
るものであるからである。また本発明の製造方法が、澱
粉質と脂肪酸とを水の存在下にて糊化開始温度以下の温
度、例えば、0〜70℃において結合させるものである
と、得られる澱粉質は、糊化温度自体が上昇するため
に、その後加熱調理した場合においても糊化が起こりに
くくなり、消化・吸収の遅延化がより促進されるもので
ある。さらに、このような製造方法により得られた食品
用材料を、乾燥・粉砕し、該粉砕物を焼成することによ
り消化・吸収の緩やかなパンないし菓子が、またこのよ
うな製造方法により得られた食品用材料を、乾燥・粉砕
し、さらに加水・混練を行なうことにより消化・吸収の
緩やかな麺がそれぞれ提供されるものである。
本発明はまた、上記製造方法によって得られた食品用
材料を含有することを特徴とする食品であるので風味・
食感が良好であり、何ら苦難をもたらすことなく摂取可
能であり、肥満を予防するまたは改善するための食品と
して好適に用いることができる。さらに本発明の食品
は、摂取後における血糖値の上昇も緩やかなものとなる
ため、糖尿病の予防用または糖尿病患者用の食品として
も有用である。
【図面の簡単な説明】 第1〜2図はそれぞれ、本発明の食品用材料の実施例と
比較対照とのPPA処理における還元糖生成量を示すグラ
フ、第3図は比較対照の澱粉質のフォトペーストグラフ
ィーにおける吸光度曲線を示す図、第4〜5図は本発明
の食品用材料のフォトペーストグラフィーにおける吸光
度曲線を示す図、第6図は本発明の食品用材料の実施例
または比較対照となる澱粉質を投与した後のヒトにおけ
る血糖値の経時的変化を示す図であり、また第7〜8図
は、本発明の食品の実施例と比較対照とのPPA処理にお
ける還元糖生成量を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 1/16 A23L 1/16 B 1/307 1/307 (72)発明者 鈴木 誠 山梨県中巨摩郡昭和町築地新居1727番地 の1 テルモ株式会社内 (72)発明者 渡部 誠 山梨県中巨摩郡昭和町築地新居1727番地 の1 テルモ株式会社内 (72)発明者 柴田 実千代 山梨県中巨摩郡昭和町築地新居1727番地 の1 テルモ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−12936(JP,A) 特開 昭53−99347(JP,A) 特開 昭58−51857(JP,A) 特開 昭61−47162(JP,A) 特開 昭63−14650(JP,A) 特開 昭62−83857(JP,A) 特開 昭60−30633(JP,A) 特開 昭56−72654(JP,A) 米国特許3023104(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/10 A23L 1/307 A23L 1/16 - 1/164 A21D 2/14 - 2/18 A23G 3/00 - 3/32 WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】澱粉質と脂肪酸化合物とを水の存在下にて
    糊化開始温度以下の温度において結合させることを特徴
    とする食品用材料の製造方法。
  2. 【請求項2】前記温度が0〜70℃である請求項1に記載
    の食品用材料の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の製造方法により
    得られた食品用材料を、乾燥・粉砕し、該粉砕物を焼成
    することを特徴とする消化・吸収の緩やかなパンないし
    菓子の製法。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の製造方法により
    得られた食品用材料を、乾燥・粉砕し、さらに加水・混
    練を行うことを特徴とする消化・吸収の緩やかな麺の製
    法。
  5. 【請求項5】請求項1または2に記載の製造方法により
    得られた食品用材料を含有することを特徴とする食品。
  6. 【請求項6】抗肥満性食品である請求項5に記載の食
    品。
  7. 【請求項7】糖尿病患者用食品である請求項5に記載の
    食品。
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