JP2955063B2 - 食品用材料およびその製造方法 - Google Patents
食品用材料およびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品用材料およびその
製造方法に関するものである。詳しく述べると本発明
は、従来の澱粉に比べて消化・吸収速度の緩やかな食品
用材料およびその製造方法に関するものである。
製造方法に関するものである。詳しく述べると本発明
は、従来の澱粉に比べて消化・吸収速度の緩やかな食品
用材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、先進社会においては食生活の豊潤
化により肥満症患者が急増している。肥満度の高い人
は、正常体重の人に比べて糖尿病、動脈硬化症、心臓病
などに2、3倍かかりやすく、また痛風や手術後の合併
症、胆石症、腰痛症、肝臓病など肥満と関係の深い病気
は増加の一途である。このように肥満症は社会保健上重
大な問題になりつつある。
化により肥満症患者が急増している。肥満度の高い人
は、正常体重の人に比べて糖尿病、動脈硬化症、心臓病
などに2、3倍かかりやすく、また痛風や手術後の合併
症、胆石症、腰痛症、肝臓病など肥満と関係の深い病気
は増加の一途である。このように肥満症は社会保健上重
大な問題になりつつある。
【0003】このような肥満症の治療および予防の手段
としては、従来は例えば摂取カロリーを低減させること
が考えられていた。しかしながら、摂取食物量を単に低
減させただけでは強い空腹感、飢餓感により長続きしな
いので、同時に以下の方法がとられている。
としては、従来は例えば摂取カロリーを低減させること
が考えられていた。しかしながら、摂取食物量を単に低
減させただけでは強い空腹感、飢餓感により長続きしな
いので、同時に以下の方法がとられている。
【0004】その一つは、少量の食物摂取によっても胃
に機械的伸展刺激が加わるように、胃内に風船を留置す
るか、胃の大部分を閉塞して胃容積を著しく狭める方法
である。しかし、これらの方法は、手術を必要とする恒
久的な処置であり、しかも副作用等が懸念されるため望
ましくない。
に機械的伸展刺激が加わるように、胃内に風船を留置す
るか、胃の大部分を閉塞して胃容積を著しく狭める方法
である。しかし、これらの方法は、手術を必要とする恒
久的な処置であり、しかも副作用等が懸念されるため望
ましくない。
【0005】もう一つの方法は、食物繊維などの増量
剤、増粘剤を単独または他の食品に混合して摂取させる
方法である。これは、食物繊維が難消化性であることを
利用し、単位重量当りのカロリーを低下させたものであ
る。しかしながら、食物繊維は味、食感が好ましくない
ため、単独での大量摂取は困難であり、食品に添加した
ものであっても多くの場合、その味、食感が著しく低下
するという欠点を有している。また、大量の食物繊維の
摂取は、他の有益な栄養素の吸収を阻害したり、下痢
や、便秘を起こすなどの副作用があり好ましくない。
剤、増粘剤を単独または他の食品に混合して摂取させる
方法である。これは、食物繊維が難消化性であることを
利用し、単位重量当りのカロリーを低下させたものであ
る。しかしながら、食物繊維は味、食感が好ましくない
ため、単独での大量摂取は困難であり、食品に添加した
ものであっても多くの場合、その味、食感が著しく低下
するという欠点を有している。また、大量の食物繊維の
摂取は、他の有益な栄養素の吸収を阻害したり、下痢
や、便秘を起こすなどの副作用があり好ましくない。
【0006】一方、近年になって消化・吸収の緩やかな
糖質は、消化・吸収の速やかなものと比べて肥満につな
がりにくいことが明らかになってきた(ジェンキンス
ら、ザアメリカン ジャーナル オブ クリニカル ニ
ュートゥリション 34、1981年3月、第362〜
366頁[Jenkins, D. J.A., et al., Am. J. Clin. N
utr. 34: MARCH 1981, pp.362-366])。従って、消化
・吸収の緩やかな糖質を含む食品を用いれば、上記のよ
うな低カロリー化によらなくとも、効果的な肥満の防止
または改善が行なわれると考えられる。
糖質は、消化・吸収の速やかなものと比べて肥満につな
がりにくいことが明らかになってきた(ジェンキンス
ら、ザアメリカン ジャーナル オブ クリニカル ニ
ュートゥリション 34、1981年3月、第362〜
366頁[Jenkins, D. J.A., et al., Am. J. Clin. N
utr. 34: MARCH 1981, pp.362-366])。従って、消化
・吸収の緩やかな糖質を含む食品を用いれば、上記のよ
うな低カロリー化によらなくとも、効果的な肥満の防止
または改善が行なわれると考えられる。
【0007】また、このような食品を用いれば、摂取後
の血糖値が急激に上昇することを抑えられる(例えば、
ジェンキンスら、“ザ ディアベティック ダイエッ
ト、ダイエタリィ カルボヒドレート アンド ディフ
ァレンス イン ディゲスティビリティ”、ダイアベト
ロジア 23、第477〜484頁、1982年[Jenki
ns, D. J. A., et al.: The Ciabetic Diet, Dietary C
arbohydrete and Differences in Digestibility. Diab
etlogia, 23: 477-484, (1982)] 、コリアーら、“エフ
ェクト オブ コインゲスッション オブ ファット
オン ザ メタボリック レスポンス ツゥ スローリ
ィ アンド ラッピッドリィ アブソーブド カルボヒ
ドレートス”、ダイアベトロジア 26、第50〜54
頁、1984年[Collier, et al.: Effect of co-inges
tion of fat on the metabolic responses to slowly a
nd rapidly absurbed carbohydrates. Diabetologia, 2
6:50-54(1984)])ので、糖尿病患者の病態および栄養の
管理が容易になると考えられる。
の血糖値が急激に上昇することを抑えられる(例えば、
ジェンキンスら、“ザ ディアベティック ダイエッ
ト、ダイエタリィ カルボヒドレート アンド ディフ
ァレンス イン ディゲスティビリティ”、ダイアベト
ロジア 23、第477〜484頁、1982年[Jenki
ns, D. J. A., et al.: The Ciabetic Diet, Dietary C
arbohydrete and Differences in Digestibility. Diab
etlogia, 23: 477-484, (1982)] 、コリアーら、“エフ
ェクト オブ コインゲスッション オブ ファット
オン ザ メタボリック レスポンス ツゥ スローリ
ィ アンド ラッピッドリィ アブソーブド カルボヒ
ドレートス”、ダイアベトロジア 26、第50〜54
頁、1984年[Collier, et al.: Effect of co-inges
tion of fat on the metabolic responses to slowly a
nd rapidly absurbed carbohydrates. Diabetologia, 2
6:50-54(1984)])ので、糖尿病患者の病態および栄養の
管理が容易になると考えられる。
【0008】従来、消化・吸収の緩やかな糖質として知
られるものとしては、アミメローズ種のとうもろこしよ
り調製された、いわゆるハイアミロースコーンスターチ
および大量の油脂とともに調理した各種糖類がある。し
かしながら、前者の場合は用途が限定されており、かつ
風味、食感が悪いことからあまり利用されておらず、後
者については、摂取カロリーの増大をもたらすことから
有効でない。
られるものとしては、アミメローズ種のとうもろこしよ
り調製された、いわゆるハイアミロースコーンスターチ
および大量の油脂とともに調理した各種糖類がある。し
かしながら、前者の場合は用途が限定されており、かつ
風味、食感が悪いことからあまり利用されておらず、後
者については、摂取カロリーの増大をもたらすことから
有効でない。
【0009】このように消化・吸収が緩やかで、かつ通
常の澱粉と同等の風味、食感を有し、広範な用途を持つ
食品用材料は未だ知られていない。
常の澱粉と同等の風味、食感を有し、広範な用途を持つ
食品用材料は未だ知られていない。
【0010】
【課題を解決しようとするための手段】上記諸目的は、
澱粉質と、該澱粉質を改質する脂肪酸エステル類とから
なり、吸水性が未改質の澱粉質の90%以下に低減化さ
れたことを特徴とする消化・吸収の緩やかな食品用材料
により達成される。上記諸目的はまた、澱粉質と脂肪酸
エステル類を溶媒の存在下に接触させることを特徴とす
る上記食品用材料の製造方法によっても達成される。本
発明はまた、予め溶媒に溶解あるいは分散させた脂肪酸
エステル類に澱粉質を添加し、澱粉質と脂肪酸エステル
類を溶媒の存在下に接触させることを特徴とする上記食
品用材料の製造方法を示すものである。本発明はさら
に、予め溶媒に分散させた澱粉質に脂肪酸エステル類を
添加して、澱粉質と脂肪酸エステル類を溶媒の存在下に
接触させることを特徴とする上記食品用材料の製造方法
を示すものである。本発明はさらにまた、澱粉質と脂肪
酸エステル類を同時に溶媒に添加して、これらを溶媒に
溶解あるいは分散させ、澱粉質と脂肪酸エステル類を溶
媒の存在下に接触させることを特徴とする上記食品用材
料の製造方法を示すものである。本発明はまた、澱粉質
と脂肪酸エステル類を溶媒の存在下に、60℃以下にお
いて30分間以上接触させる上記食品用材料の製造方法
を示すものである。
澱粉質と、該澱粉質を改質する脂肪酸エステル類とから
なり、吸水性が未改質の澱粉質の90%以下に低減化さ
れたことを特徴とする消化・吸収の緩やかな食品用材料
により達成される。上記諸目的はまた、澱粉質と脂肪酸
エステル類を溶媒の存在下に接触させることを特徴とす
る上記食品用材料の製造方法によっても達成される。本
発明はまた、予め溶媒に溶解あるいは分散させた脂肪酸
エステル類に澱粉質を添加し、澱粉質と脂肪酸エステル
類を溶媒の存在下に接触させることを特徴とする上記食
品用材料の製造方法を示すものである。本発明はさら
に、予め溶媒に分散させた澱粉質に脂肪酸エステル類を
添加して、澱粉質と脂肪酸エステル類を溶媒の存在下に
接触させることを特徴とする上記食品用材料の製造方法
を示すものである。本発明はさらにまた、澱粉質と脂肪
酸エステル類を同時に溶媒に添加して、これらを溶媒に
溶解あるいは分散させ、澱粉質と脂肪酸エステル類を溶
媒の存在下に接触させることを特徴とする上記食品用材
料の製造方法を示すものである。本発明はまた、澱粉質
と脂肪酸エステル類を溶媒の存在下に、60℃以下にお
いて30分間以上接触させる上記食品用材料の製造方法
を示すものである。
【0011】以下、本発明を実施態様に基づきより詳細
に説明する。本発明の食品用材料は、澱粉質と、該澱粉
質を改質する改質剤である脂肪酸エステル類とからなる
ものであるが、しかして本発明の食品用材料は、これら
の改質剤の添加によって澱粉質の吸水性が低下し、吸水
性が未改質の澱粉質の90%以下とされているものであ
る。
に説明する。本発明の食品用材料は、澱粉質と、該澱粉
質を改質する改質剤である脂肪酸エステル類とからなる
ものであるが、しかして本発明の食品用材料は、これら
の改質剤の添加によって澱粉質の吸水性が低下し、吸水
性が未改質の澱粉質の90%以下とされているものであ
る。
【0012】上記諸目的はまた、澱粉質と脂肪酸化合物
を溶媒の存在下に接触させることを特徴とする上記食品
用材料の製造方法によっても達成される。本発明はま
た、予め溶媒に溶解あるいは分散させた脂肪酸化合物に
澱粉質を添加し、澱粉質と脂肪酸化合物を溶媒の存在下
に接触させることを特徴とする上記食品用材料の製造方
法を示すものである。本発明はさらに、予め溶媒に分散
させた澱粉質に脂肪酸化合物を添加して、澱粉質と脂肪
酸化合物を溶媒の存在下に接触させることを特徴とする
上記食品用材料の製造方法を示すものである。本発明は
さらにまた、澱粉質と脂肪酸化合物を同時に溶媒に添加
して、これらを溶媒に溶解あるいは分散させ、澱粉質と
脂肪酸化合物を溶媒の存在下に接触させることを特徴と
する上記食品用材料の製造方法を示すものである。本発
明はまた、澱粉質と脂肪酸化合物を溶媒の存在下に、6
0℃以下において30分間以上接触させる上記食品用材
料の製造方法を示すものである。
を溶媒の存在下に接触させることを特徴とする上記食品
用材料の製造方法によっても達成される。本発明はま
た、予め溶媒に溶解あるいは分散させた脂肪酸化合物に
澱粉質を添加し、澱粉質と脂肪酸化合物を溶媒の存在下
に接触させることを特徴とする上記食品用材料の製造方
法を示すものである。本発明はさらに、予め溶媒に分散
させた澱粉質に脂肪酸化合物を添加して、澱粉質と脂肪
酸化合物を溶媒の存在下に接触させることを特徴とする
上記食品用材料の製造方法を示すものである。本発明は
さらにまた、澱粉質と脂肪酸化合物を同時に溶媒に添加
して、これらを溶媒に溶解あるいは分散させ、澱粉質と
脂肪酸化合物を溶媒の存在下に接触させることを特徴と
する上記食品用材料の製造方法を示すものである。本発
明はまた、澱粉質と脂肪酸化合物を溶媒の存在下に、6
0℃以下において30分間以上接触させる上記食品用材
料の製造方法を示すものである。
【0013】以下、本発明を実施態様に基づきより詳細
に説明する。本発明の食品用材料は、澱粉質と、該澱粉
質を改質する改質剤とからなるものであるが、しかして
本発明の食品用材料は、これらの改質剤の添加によって
澱粉質の吸水性が低下し、吸水性が未改質の澱粉質の9
0%以下とされているものである。
に説明する。本発明の食品用材料は、澱粉質と、該澱粉
質を改質する改質剤とからなるものであるが、しかして
本発明の食品用材料は、これらの改質剤の添加によって
澱粉質の吸水性が低下し、吸水性が未改質の澱粉質の9
0%以下とされているものである。
【0014】本発明者らは、消化・吸収の緩やかな食品
材料を得るために、澱粉質の改質を図るために種々の検
討を行なったところ、澱粉質の吸水性が低下すると、水
の存在下に澱粉質に作用する例えばアミラーゼ等の酵素
の働きは抑制され、澱粉質の消化・吸収速度を遅延化さ
せることができるという知見を得、澱粉質に対する改質
剤としていかなるものを用いた場合においても、この改
質剤の作用によって、吸水性が未改質の澱粉質の90%
以下となれば、生体における消化・吸収速度の有意な遅
延化もたらされることを見い出し本発明に至ったもので
ある。なお、本発明の食品用材料において、さらに好ま
しくは吸水性が未改質の澱粉質の85%以下、特に70
%以下とされたものが望ましい。
材料を得るために、澱粉質の改質を図るために種々の検
討を行なったところ、澱粉質の吸水性が低下すると、水
の存在下に澱粉質に作用する例えばアミラーゼ等の酵素
の働きは抑制され、澱粉質の消化・吸収速度を遅延化さ
せることができるという知見を得、澱粉質に対する改質
剤としていかなるものを用いた場合においても、この改
質剤の作用によって、吸水性が未改質の澱粉質の90%
以下となれば、生体における消化・吸収速度の有意な遅
延化もたらされることを見い出し本発明に至ったもので
ある。なお、本発明の食品用材料において、さらに好ま
しくは吸水性が未改質の澱粉質の85%以下、特に70
%以下とされたものが望ましい。
【0015】本発明において原料として用いられる澱粉
質としては、通常、食用に供される穀物由来の澱粉、物
理化学的あるいは生物学的に合成された澱粉、およびそ
れらの粗原料や加工物、あるいはこれらの澱粉質の2種
以上の混合物等であって澱粉を十分量に含むものであれ
ばいずれも好適に用いることができる。例えば、米、小
麦、大麦、ライ麦、燕麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘
藷、あるいはタピオカなどから調製したものが挙げられ
る。特に、これらの原料穀物の穀物粉または穀物粒を用
いることが、栄養面および経済的な面から好ましい。な
お、純アミロース澱粉(アミロース含有率100%)
は、後述する改質剤によって消化・吸収が過度に抑えら
れて消化不良を起す虞れがあり、かつ風味・食感が著し
く低下するため好ましくない。
質としては、通常、食用に供される穀物由来の澱粉、物
理化学的あるいは生物学的に合成された澱粉、およびそ
れらの粗原料や加工物、あるいはこれらの澱粉質の2種
以上の混合物等であって澱粉を十分量に含むものであれ
ばいずれも好適に用いることができる。例えば、米、小
麦、大麦、ライ麦、燕麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘
藷、あるいはタピオカなどから調製したものが挙げられ
る。特に、これらの原料穀物の穀物粉または穀物粒を用
いることが、栄養面および経済的な面から好ましい。な
お、純アミロース澱粉(アミロース含有率100%)
は、後述する改質剤によって消化・吸収が過度に抑えら
れて消化不良を起す虞れがあり、かつ風味・食感が著し
く低下するため好ましくない。
【0016】一方、本発明の食品用材料において、この
ような澱粉質を改質する改質剤としては種々のものがあ
るが、このうち特に以下に示すような脂肪酸化合物が、
所望の吸水性の低下をもたらすことにより、消化・吸収
速度の有意な遅延化を生じさせるものであるとともに、
該脂肪酸化合物の添加によっては澱粉質の本来有する
味、食感を大きく損なうことがないために望ましい。
ような澱粉質を改質する改質剤としては種々のものがあ
るが、このうち特に以下に示すような脂肪酸化合物が、
所望の吸水性の低下をもたらすことにより、消化・吸収
速度の有意な遅延化を生じさせるものであるとともに、
該脂肪酸化合物の添加によっては澱粉質の本来有する
味、食感を大きく損なうことがないために望ましい。
【0017】本発明の食品用材料において用いられる改
質剤の一態様である脂肪酸化合物としては、遊離脂肪
酸、脂肪酸塩あるいは脂肪酸エステルなどが含まれ、こ
のうち特に、上記澱粉質に強固に結合ないし付着するた
めの疎水性のアルキル(脂肪酸)部分と、澱粉に効率よ
く接触するための親水性の水酸基供与体を合せ持つ物質
であればより好ましく用いることができ、脂肪酸エステ
ルが望ましい。なお、上記の理由から脂肪酸化合物であ
っても、トリグリセリド等の水酸基供与体を持たない物
質は使用し得えない。脂肪酸エステルは、カルボキシル
基を有する飽和または不飽和のアルキル化合物とアルコ
ール性水酸基を有する化合物(アルコール供与体)とが
エステル結合した状態の物質をいう。
質剤の一態様である脂肪酸化合物としては、遊離脂肪
酸、脂肪酸塩あるいは脂肪酸エステルなどが含まれ、こ
のうち特に、上記澱粉質に強固に結合ないし付着するた
めの疎水性のアルキル(脂肪酸)部分と、澱粉に効率よ
く接触するための親水性の水酸基供与体を合せ持つ物質
であればより好ましく用いることができ、脂肪酸エステ
ルが望ましい。なお、上記の理由から脂肪酸化合物であ
っても、トリグリセリド等の水酸基供与体を持たない物
質は使用し得えない。脂肪酸エステルは、カルボキシル
基を有する飽和または不飽和のアルキル化合物とアルコ
ール性水酸基を有する化合物(アルコール供与体)とが
エステル結合した状態の物質をいう。
【0018】これらの脂肪酸化合物の構成脂肪酸として
は、例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウ
ンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、
ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、
ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイ
ン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン
酸、アラキドン酸などのような炭素数8〜22のものが
好ましい。
は、例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウ
ンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、
ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、
ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイ
ン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン
酸、アラキドン酸などのような炭素数8〜22のものが
好ましい。
【0019】脂肪酸塩としては、上記のような脂肪酸の
ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などがあ
る。
ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などがあ
る。
【0020】また脂肪酸エステルのアルコール供与体と
しては、グリセリン、プロピレングリコールないしポリ
プロピレングリコール類、ショ糖およびマルトースなど
の糖類、ソルビット、マンニット、エリトリット、アラ
ビットなどの糖アルコール類、グリセロリン酸などがあ
る。なお、脂肪酸エステル化合物として具体的なものを
いくつか例示すると、例えば、デカグリセリルモノラウ
レート、デカグリセリルモノミリステート、ヘキサグリ
セリルモノステアレート、デカグリセリルモノステアレ
ート、モノグリセリルモノステアレート、デカグリセリ
ルジステアレート、デカグリセリルトリステアレート、
デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルトリオ
レエート、ヘキサグリセリルモノオレエート、デカグリ
セリルペンタオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステ
ル類、ショ糖ステアレート、ショ糖パルミテート、ショ
糖オレエート、ショ糖ラウレート、ショ糖ベヘネートな
どのショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレ
エートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、レシチン、
リゾレシチンなどが挙げられる。なお、このような脂肪
酸エステルのHLB(Hydorophilic Lipophilic Balanc
e )は何れの領域のものを用いても良い。
しては、グリセリン、プロピレングリコールないしポリ
プロピレングリコール類、ショ糖およびマルトースなど
の糖類、ソルビット、マンニット、エリトリット、アラ
ビットなどの糖アルコール類、グリセロリン酸などがあ
る。なお、脂肪酸エステル化合物として具体的なものを
いくつか例示すると、例えば、デカグリセリルモノラウ
レート、デカグリセリルモノミリステート、ヘキサグリ
セリルモノステアレート、デカグリセリルモノステアレ
ート、モノグリセリルモノステアレート、デカグリセリ
ルジステアレート、デカグリセリルトリステアレート、
デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルトリオ
レエート、ヘキサグリセリルモノオレエート、デカグリ
セリルペンタオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステ
ル類、ショ糖ステアレート、ショ糖パルミテート、ショ
糖オレエート、ショ糖ラウレート、ショ糖ベヘネートな
どのショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレ
エートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、レシチン、
リゾレシチンなどが挙げられる。なお、このような脂肪
酸エステルのHLB(Hydorophilic Lipophilic Balanc
e )は何れの領域のものを用いても良い。
【0021】このような脂肪酸化合物を澱粉質に添加す
ると、澱粉質表面に付着した脂肪酸化合物自体の作用に
より、あるいは脂肪酸化合物が澱粉質に結合して澱粉質
が構造変化を起すことにより、澱粉質の吸水性が低下す
るものと考えられる。従って、消化系において、該澱粉
質の水による膨潤が起りにくくなり、このため当然に水
の存在下において作用するアミラーゼ等の消化酵素が、
該澱粉質内部へと入り込みにくくなり、消化・吸収速度
の遅延化がもたらされるものである。
ると、澱粉質表面に付着した脂肪酸化合物自体の作用に
より、あるいは脂肪酸化合物が澱粉質に結合して澱粉質
が構造変化を起すことにより、澱粉質の吸水性が低下す
るものと考えられる。従って、消化系において、該澱粉
質の水による膨潤が起りにくくなり、このため当然に水
の存在下において作用するアミラーゼ等の消化酵素が、
該澱粉質内部へと入り込みにくくなり、消化・吸収速度
の遅延化がもたらされるものである。
【0022】上記したような脂肪酸化合物の一種である
脂肪酸エステル類を改質剤として用いた本発明に係わる
食品用材料は、澱粉質と当該脂肪酸化合物を溶媒の存在
下に接触させることにより製造することができ、例え
ば、原料澱粉質に、予め溶媒に溶解あるいは分散させた
脂肪酸化合物を添加し、澱粉質と脂肪酸化合物を溶媒の
存在下に接触させる操作により行なわれる。
脂肪酸エステル類を改質剤として用いた本発明に係わる
食品用材料は、澱粉質と当該脂肪酸化合物を溶媒の存在
下に接触させることにより製造することができ、例え
ば、原料澱粉質に、予め溶媒に溶解あるいは分散させた
脂肪酸化合物を添加し、澱粉質と脂肪酸化合物を溶媒の
存在下に接触させる操作により行なわれる。
【0023】使用される溶媒は、澱粉と脂肪酸化合物を
均一に効率よく接触させるために添加するが、澱粉にな
じみ易い親水性の溶媒であり、かつ脂肪酸化合物を均一
に分散させる溶媒であることが望ましい。具体的には、
水、アルコール、グリセリン、アルキレングリコール、
アセトンのいずれか1つまたは2つ以上の混合物を、脂
肪酸化合物の性状によって適宜選択して用いればよい。
また溶媒の量は、使用される澱粉質、脂肪酸化合物およ
び溶媒の種類によっても左右されるが、澱粉質100重
量部に対し10〜10000重量部であることが望まれ
る。また溶媒に予め溶解あるいは分散させられた脂肪酸
化合物の量は、脂肪酸化合物100重量部に対し、2〜
50重量部であることが望まれる。
均一に効率よく接触させるために添加するが、澱粉にな
じみ易い親水性の溶媒であり、かつ脂肪酸化合物を均一
に分散させる溶媒であることが望ましい。具体的には、
水、アルコール、グリセリン、アルキレングリコール、
アセトンのいずれか1つまたは2つ以上の混合物を、脂
肪酸化合物の性状によって適宜選択して用いればよい。
また溶媒の量は、使用される澱粉質、脂肪酸化合物およ
び溶媒の種類によっても左右されるが、澱粉質100重
量部に対し10〜10000重量部であることが望まれ
る。また溶媒に予め溶解あるいは分散させられた脂肪酸
化合物の量は、脂肪酸化合物100重量部に対し、2〜
50重量部であることが望まれる。
【0024】原料の澱粉質と脂肪酸化合物の接触に際し
ての反応系の温度としては、溶媒の凝固しない温度であ
れば特に限定されるものではない。しかしながら、食品
用材料として加熱調理されるものを得ようとする場合に
は、原料の澱粉質が完全に糊化してしまわない温度にお
いて行なわれる必要がある。この場合、経済性等の面か
ら0℃以上でかつ糊化が起らない温度という点で糊化開
始温度(澱粉質の種類によって異なるが、概ね60℃前
後〜70℃前後)以下とすることが望ましい。なお、こ
のような糊化開始温度以下の温度において、予め溶媒に
溶解あるいは分散させた脂肪酸化合物を澱粉質に添加し
て、澱粉質を脂肪酸化合物と接触させても脂肪酸化合物
を澱粉質に結合させることができ、さらにこのような温
度域で脂肪酸化合物を結合させた澱粉質は、糊化温度自
体が上昇するために、その後加熱調理した場合において
も糊化が起りにくくなり、消化・吸収の遅延化がより促
進される。一方、食品用材料として加熱調理を必要とし
ないものを得ようとする場合には、もちろん糊化開始温
度以上の温度条件において行なうことが可能である。特
に吸水性を十分に低減せしめるためには、澱粉質と脂肪
酸化合物を溶媒の存在下にて比較的低温下(好ましくは
60℃以下)にて長持間(好ましくは30分以上)接触
させることが望まれる。
ての反応系の温度としては、溶媒の凝固しない温度であ
れば特に限定されるものではない。しかしながら、食品
用材料として加熱調理されるものを得ようとする場合に
は、原料の澱粉質が完全に糊化してしまわない温度にお
いて行なわれる必要がある。この場合、経済性等の面か
ら0℃以上でかつ糊化が起らない温度という点で糊化開
始温度(澱粉質の種類によって異なるが、概ね60℃前
後〜70℃前後)以下とすることが望ましい。なお、こ
のような糊化開始温度以下の温度において、予め溶媒に
溶解あるいは分散させた脂肪酸化合物を澱粉質に添加し
て、澱粉質を脂肪酸化合物と接触させても脂肪酸化合物
を澱粉質に結合させることができ、さらにこのような温
度域で脂肪酸化合物を結合させた澱粉質は、糊化温度自
体が上昇するために、その後加熱調理した場合において
も糊化が起りにくくなり、消化・吸収の遅延化がより促
進される。一方、食品用材料として加熱調理を必要とし
ないものを得ようとする場合には、もちろん糊化開始温
度以上の温度条件において行なうことが可能である。特
に吸水性を十分に低減せしめるためには、澱粉質と脂肪
酸化合物を溶媒の存在下にて比較的低温下(好ましくは
60℃以下)にて長持間(好ましくは30分以上)接触
させることが望まれる。
【0025】さらにこのように澱粉質に脂肪酸化合物を
添加する際において、上記のような操作において澱粉質
に残留する溶媒は、必要に応じて、例えば凍結乾燥、減
圧乾燥、風乾などの各種の乾燥方法によって除去され
る。
添加する際において、上記のような操作において澱粉質
に残留する溶媒は、必要に応じて、例えば凍結乾燥、減
圧乾燥、風乾などの各種の乾燥方法によって除去され
る。
【0026】また上記したような脂肪酸化合物を改質剤
として用いて本発明の食品用材料を得るには、予め溶媒
に分散させた澱粉質に脂肪酸化合物を添加して、澱粉質
と脂肪酸化合物を溶媒の存在下に接触させる、あるいは
また、澱粉質と脂肪酸化合物を同時に溶媒に添加して、
これらを溶媒に溶解あるいは分散させ、澱粉質と脂肪酸
化合物を溶媒の存在下に接触させることも別途考えられ
る。なお、これらの場合において、使用される溶媒の種
類および量、ならびに処理温度条件等は上記の方法と同
様のものが適用され得る。
として用いて本発明の食品用材料を得るには、予め溶媒
に分散させた澱粉質に脂肪酸化合物を添加して、澱粉質
と脂肪酸化合物を溶媒の存在下に接触させる、あるいは
また、澱粉質と脂肪酸化合物を同時に溶媒に添加して、
これらを溶媒に溶解あるいは分散させ、澱粉質と脂肪酸
化合物を溶媒の存在下に接触させることも別途考えられ
る。なお、これらの場合において、使用される溶媒の種
類および量、ならびに処理温度条件等は上記の方法と同
様のものが適用され得る。
【0027】本発明に係わる食品用材料は、通常の澱粉
と比較して吸水性が低下し、水の存在下において作用す
るアミラーゼなどの消化酵素の攻撃を受けにくくされた
ものであるから、生体における消化・吸収速度は有意に
緩やかなものとなり、抗肥満性食品として、あるいは糖
尿病患者用食品として好適に使用される。さらに、本発
明に関する食品用材料は、ヒト用のみでなく、ヒト以外
の動物用としても用いることができるものである。
と比較して吸水性が低下し、水の存在下において作用す
るアミラーゼなどの消化酵素の攻撃を受けにくくされた
ものであるから、生体における消化・吸収速度は有意に
緩やかなものとなり、抗肥満性食品として、あるいは糖
尿病患者用食品として好適に使用される。さらに、本発
明に関する食品用材料は、ヒト用のみでなく、ヒト以外
の動物用としても用いることができるものである。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。実施例1 市販のタピオカ澱粉50gを、グリセリンモノステアリ
ン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)
製)50gと水100mlを同時に加え、37℃で24
0分間保持し、上清を除去してそのまま凍結乾燥して食
品用材料試料を得た。得られた試料に対し、以下に示す
ような方法に従い吸水性ならびにブタ膵臓α−アミラー
ゼ(PPA)による消化性(予め糊化)を調べたとこ
ろ、吸水性は未処理の澱粉質84%であり、またPPA
分解性は未処理の澱粉質の68%であった。
説明する。実施例1 市販のタピオカ澱粉50gを、グリセリンモノステアリ
ン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)
製)50gと水100mlを同時に加え、37℃で24
0分間保持し、上清を除去してそのまま凍結乾燥して食
品用材料試料を得た。得られた試料に対し、以下に示す
ような方法に従い吸水性ならびにブタ膵臓α−アミラー
ゼ(PPA)による消化性(予め糊化)を調べたとこ
ろ、吸水性は未処理の澱粉質84%であり、またPPA
分解性は未処理の澱粉質の68%であった。
【0029】比較例1 37℃で240分間保持しない以外は、実施例1と同様
にして食品用材料試料を得た。この試料の吸水性は、未
処理の澱粉質の94%であり、またPPA分解性は未処
理の澱粉質の95%であった。
にして食品用材料試料を得た。この試料の吸水性は、未
処理の澱粉質の94%であり、またPPA分解性は未処
理の澱粉質の95%であった。
【0030】実施例2 タピオカ澱粉に代えて市販の薄力粉を、グリセリンモノ
ステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン
(株)製)に代えてショ糖ステアリン酸エステル(S−
1570、三菱化成(株)製)を用いる以外は実施例1
と同様にして食品用材料試料を得た。得られた試料に対
し、実施例1と同様に吸水性ならびにPPAによる消化
性(予め糊化)を調べたところ、吸水性は、未処理の澱
粉質の75%であり、またPPA分解性は未処理の澱粉
質の65%であった。
ステアリン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン
(株)製)に代えてショ糖ステアリン酸エステル(S−
1570、三菱化成(株)製)を用いる以外は実施例1
と同様にして食品用材料試料を得た。得られた試料に対
し、実施例1と同様に吸水性ならびにPPAによる消化
性(予め糊化)を調べたところ、吸水性は、未処理の澱
粉質の75%であり、またPPA分解性は未処理の澱粉
質の65%であった。
【0031】実施例3 薄力粉を白米粒に代える以外は実施例2と同様にして食
品用材料試料を得た。得られた試料に対し、実施例1と
同様に吸水性ならびにPPAによる消化性(予め糊化)
を調べたところ、吸水性は未処理の澱粉質の91%であ
り、またPPA分解性は未処理の澱粉質の84%であっ
た。
品用材料試料を得た。得られた試料に対し、実施例1と
同様に吸水性ならびにPPAによる消化性(予め糊化)
を調べたところ、吸水性は未処理の澱粉質の91%であ
り、またPPA分解性は未処理の澱粉質の84%であっ
た。
【0032】実施例4〜7 市販のバレイショ澱粉50gに、表1に示すような各種
の脂肪酸エステル2gを混合し、これに5℃の水5リッ
トルを加えておだやかに攪拌しながら5℃にて10時間
保持した。その後3000rpmで3分間遠心分離して
上清を捨て、さらに25℃で風乾して食品用材料試料を
得た。得られた試料に対し、吸水性およびPPAによる
消化性を調べた。なお、PPA分解性に関する比較対照
としては、脂肪酸エステルを添加しない以外は同様にし
て製造したものを用いた。結果を表1に示す。
の脂肪酸エステル2gを混合し、これに5℃の水5リッ
トルを加えておだやかに攪拌しながら5℃にて10時間
保持した。その後3000rpmで3分間遠心分離して
上清を捨て、さらに25℃で風乾して食品用材料試料を
得た。得られた試料に対し、吸水性およびPPAによる
消化性を調べた。なお、PPA分解性に関する比較対照
としては、脂肪酸エステルを添加しない以外は同様にし
て製造したものを用いた。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】実施例8 薄力粉100gとグリセリンモノステアリン酸エステル
(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)と15%グ
リセリン水溶液1リットルを40℃で60分間混練した
後、5℃の水10リットルを加えて穏やかに10分間攪
拌した。これを3000rpmで3分間遠心分離して上
清を除去し、凍結乾燥して食品用材料試料を得た。得ら
れた食品用材料材料の吸水性およびPPAによる消化性
を調べたところ、吸水性は未処理の澱粉質の75%であ
り、またPPAによる消化性は未処理の澱粉質の76%
であった。得られた試料50gを水150mlと共に1
21℃で30分加熱し、健常男子に投与した。投与後、
定時的に採血し、血糖値を測定した。なお、血糖値の測
定は、市販の測定装置(グルコスター、エイムス三共
(株)製)を用いた。その結果、この試料を投与した場
合には、比較対照の小麦粉(グリセリンモノステアリン
酸エステルを添加しない以外は同様に調製したもの)の
場合に対し、面積比で73%、ピーク高さで69%と明
らかに血糖値の上昇が遅延していた。
(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)と15%グ
リセリン水溶液1リットルを40℃で60分間混練した
後、5℃の水10リットルを加えて穏やかに10分間攪
拌した。これを3000rpmで3分間遠心分離して上
清を除去し、凍結乾燥して食品用材料試料を得た。得ら
れた食品用材料材料の吸水性およびPPAによる消化性
を調べたところ、吸水性は未処理の澱粉質の75%であ
り、またPPAによる消化性は未処理の澱粉質の76%
であった。得られた試料50gを水150mlと共に1
21℃で30分加熱し、健常男子に投与した。投与後、
定時的に採血し、血糖値を測定した。なお、血糖値の測
定は、市販の測定装置(グルコスター、エイムス三共
(株)製)を用いた。その結果、この試料を投与した場
合には、比較対照の小麦粉(グリセリンモノステアリン
酸エステルを添加しない以外は同様に調製したもの)の
場合に対し、面積比で73%、ピーク高さで69%と明
らかに血糖値の上昇が遅延していた。
【0035】なお、本明細書において規定される吸水性
およびアミラーゼによる酵素消化率は以下に述べる方法
によって測定されたものである。吸水性 あらかじめ、水分含有量5重量%に調整した試料10g
をとり、水100ccを加えて、25℃で30分間攪拌
しながら保持する。次いでこれを炉別して水を除去し、
直ちに重量を測定し、以下の式から試料1gあたりの吸
水性を算定する。
およびアミラーゼによる酵素消化率は以下に述べる方法
によって測定されたものである。吸水性 あらかじめ、水分含有量5重量%に調整した試料10g
をとり、水100ccを加えて、25℃で30分間攪拌
しながら保持する。次いでこれを炉別して水を除去し、
直ちに重量を測定し、以下の式から試料1gあたりの吸
水性を算定する。
【0036】
【数1】
【0037】ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)による
消化性 まず、試料はPPAによる消化性を調べる前に、比較対
照となる未処理の澱粉質試料も含めて、全てが予め糊化
される。このため、本発明の実施例に係わる試料のう
ち、改質剤の添加処理における温度条件が低く今だ糊化
されていないものは、リン酸緩衝液を加えたあと、沸騰
湯浴中で30分間加熱することにより糊化させた。ま
た、比較対照となる未処理の澱粉質試料は、それぞれ相
応する実施例試料と同条件(但し改質剤の添加は当然に
ない。)おいて加熱糊化させた。さらに試料が穀物粒な
どである場合には、試験に先立ち微粉砕された。そして
このように糊化された試料0.5gを取り、これに50
mM リン酸緩衝液(pH6.9)49mlを加え、次
いで37℃に調整した振盪恒温槽中で30分間放置し
た。PPA(シグマ[SIGMA] 社製)をリン酸緩衝液にて
50μU/mlに希釈した酵素液1mlを加え、反応を
開始する。反応開始から0、20、40、60分後に反
応液を0.2mlずつ各2本、0.1N NaOH
3.8mlを分注した試験管に入れ酵素反応を停止し
た。PPAによる消化により生起した還元糖の定量は、
ソモギ−ネルソン[Somogi-Nelson] 法により行なった。
消化性 まず、試料はPPAによる消化性を調べる前に、比較対
照となる未処理の澱粉質試料も含めて、全てが予め糊化
される。このため、本発明の実施例に係わる試料のう
ち、改質剤の添加処理における温度条件が低く今だ糊化
されていないものは、リン酸緩衝液を加えたあと、沸騰
湯浴中で30分間加熱することにより糊化させた。ま
た、比較対照となる未処理の澱粉質試料は、それぞれ相
応する実施例試料と同条件(但し改質剤の添加は当然に
ない。)おいて加熱糊化させた。さらに試料が穀物粒な
どである場合には、試験に先立ち微粉砕された。そして
このように糊化された試料0.5gを取り、これに50
mM リン酸緩衝液(pH6.9)49mlを加え、次
いで37℃に調整した振盪恒温槽中で30分間放置し
た。PPA(シグマ[SIGMA] 社製)をリン酸緩衝液にて
50μU/mlに希釈した酵素液1mlを加え、反応を
開始する。反応開始から0、20、40、60分後に反
応液を0.2mlずつ各2本、0.1N NaOH
3.8mlを分注した試験管に入れ酵素反応を停止し
た。PPAによる消化により生起した還元糖の定量は、
ソモギ−ネルソン[Somogi-Nelson] 法により行なった。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように本発明の食品用材料
は、澱粉質と、該澱粉質を改質する脂肪酸エステル類と
からなり、吸水性が未改質の澱粉質の90%以下に低減
化されたことを特徴とするものであるから、水の存在下
において作用する消化酵素による分解を受けにくく、消
化・吸収が緩やかなものとなり、広範な用途に用いるこ
とができる。さらに本発明の食品用材料において、改質
剤は脂肪酸化合物の一種である脂肪酸エステル類である
ので、得られる食品用材料は通常の澱粉と同様の味、食
感を有するものである。本発明はまた、澱粉質と脂肪酸
エステル類を溶媒の存在下に接触させることを特徴とす
る上記食品用材料の製造方法であるから、上記のように
優れた特性を有する食品用材料を、極めて簡単な操作に
よりかつ安全性高く製造できるものである。
は、澱粉質と、該澱粉質を改質する脂肪酸エステル類と
からなり、吸水性が未改質の澱粉質の90%以下に低減
化されたことを特徴とするものであるから、水の存在下
において作用する消化酵素による分解を受けにくく、消
化・吸収が緩やかなものとなり、広範な用途に用いるこ
とができる。さらに本発明の食品用材料において、改質
剤は脂肪酸化合物の一種である脂肪酸エステル類である
ので、得られる食品用材料は通常の澱粉と同様の味、食
感を有するものである。本発明はまた、澱粉質と脂肪酸
エステル類を溶媒の存在下に接触させることを特徴とす
る上記食品用材料の製造方法であるから、上記のように
優れた特性を有する食品用材料を、極めて簡単な操作に
よりかつ安全性高く製造できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 誠 山梨県 中巨摩郡 昭和町築地新居 1727番地の1テルモ株式会社内 (72)発明者 渡部 誠 山梨県 中巨摩郡 昭和町築地新居 1727番地の1テルモ株式会社内 (72)発明者 柴田 実千代 山梨県 中巨摩郡 昭和町築地新居 1727番地の1テルモ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−199202(JP,A) 特開 昭60−180557(JP,A) 特開 昭57−189671(JP,A) 特公 平1−12762(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/307 A23L 1/30 C08B 30/00
Claims (3)
- 【請求項1】 澱粉質と、該澱粉質を改質する脂肪酸エ
ステル類とからなり、吸水性が未改質の澱粉質の90%
以下に低減化されたことを特徴とする消化・吸収の緩や
かな食品用材料。 - 【請求項2】 澱粉質と脂肪酸エステル類を溶媒の存在
下に接触させることを特徴とする請求項1に記載の食品
用材料の製造方法。 - 【請求項3】 澱粉質と脂肪酸エステル類を溶媒の存在
下に、60℃以下において30分間以上接触させるもの
である請求項2に記載の食品用材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3139191A JP2955063B2 (ja) | 1990-06-14 | 1991-06-11 | 食品用材料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15589990 | 1990-06-14 | ||
JP2-155899 | 1990-06-14 | ||
JP3139191A JP2955063B2 (ja) | 1990-06-14 | 1991-06-11 | 食品用材料およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04228053A JPH04228053A (ja) | 1992-08-18 |
JP2955063B2 true JP2955063B2 (ja) | 1999-10-04 |
Family
ID=26472083
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3139191A Expired - Fee Related JP2955063B2 (ja) | 1990-06-14 | 1991-06-11 | 食品用材料およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2955063B2 (ja) |
-
1991
- 1991-06-11 JP JP3139191A patent/JP2955063B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04228053A (ja) | 1992-08-18 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |