JP2966897B2 - 食品用材料およびその製造方法 - Google Patents

食品用材料およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、食品用材料およびその製造方法に関するも
のである。詳しく述べると本発明は、従来の澱粉に比べ
て消化・吸収が緩やかで、かつ消化不良の問題が生じる
ことのない食品用材料およびその製造方法に関するもの
である。
(従来の技術) 近年、先進社会においては食生活の豊潤化により肥満
症患者が急増している。肥満度の高い人は、正常体重の
人に比べて糖尿病、動脈硬化症、心臓病などに2、3倍
かかりやすく、また痛風や手術後の合併症、胆石症、腰
痛症、肝臓病など肥満と関係の深い病気は増加の一途で
ある。このように肥満症は社会保健上重大な問題になり
つつある。
このような肥満症の治療および予防の手段としては、
従来は例えば摂取カロリーを低減させることが考えられ
ていた。しかしながら、摂取食物量を単に低減させたた
けでは強い空腹感、飢餓感により長続きしないので、同
時に以下の方法がとられている。
その一つは、少量の食物摂取によっても胃に機械的伸
展刺激が加わるように、胃内に風船を留置するか、胃の
大部分を閉塞して胃容積を著しく狭める方法である。し
かし、これらの方法は、手術を必要とする恒久的な処置
であり、しかも副作用等が懸念されるため望ましくな
い。
もう一つの方法は、食物繊維などの増量剤、増粘剤を
単独または他の食品に混合して摂取させる方法である。
これは、食物繊維が難消化性であることを利用し、単位
重量当りのカロリーを低下させたものである。しかしな
がら、食物繊維は味、食感が好ましくないため、単独で
の大量摂取は困難であり、食品に添加したものであって
も多くの場合、その味、食感が著しく低下するという欠
点を有している。また、大量の食物繊維の摂取は、他の
有益な栄養素の吸収を阻害したり、下痢や、便秘を起こ
すなどの副作用があり好ましくない。
一方、近年になって消化・吸収の緩やかな糖質は、消
化・吸収の速やかなものと比べて肥満につながりにくい
ことが明らかになってきた(ジェンキンスら、ザ アメ
リカン ジャーナル オブ クリニカル ニュートゥリ
ション 34、1981年3月、第362〜366頁[Jenkins,D.J.
A.,et al.,Am.J.Clin.Nutr.34:MARCH 1981,pp.362−36
6])。従って、消化・吸収の緩やかな糖質を含む食品
を用いれば、上記のような低カロリー化によらなくと
も、効果的な肥満の防止または改善が行なわれると考え
られる。
また、このような食品を用いれば、摂取後の血糖値が
急激に上昇することを抑えられる(例えば、ジェンキン
スら、“ザ ディアベティック ダイエット、ダイエタ
リィ カルボヒドレート アンド ディファレンス イ
ン ディゲスティビリティ”、ダイアベトロジア 23、
第477〜484頁、1982年[Jenkins,D.J.A.,et al.:The Ci
abetic Diet,Dietary Carbohydrete and Differences i
n Digestibility.Diabetlogia,23:477−484,(198
2)]、コリアーら、“エフェクト オブ コインゲス
ッション オブ ファット オン ザ メタボリック
レスポンス ツゥ スローリィ アンド ラッピッドリ
ィ アブソーブド カルボヒドレートス”、ダイアベト
ロジア 26、第50〜54頁、1984年[Collier,et al.:Eff
ect of co−ingestion of fat on the metabolic respo
nses to slowly and rapidly absorbed carbohydrates.
Diabetologia,26:50−54(1984)])ので、糖尿病患者
の病態および栄養の管理が容易になると考えられる。
従来、消化・吸収の緩やかな糖質として知られるもの
としては、アミロメーズ種のとうもろこしより調製され
た、いわゆるハイアミロースコーンスターチおよび大量
の油脂とともに調理した各種糖類がある。しかしなが
ら、前者の場合は用途が限定されており、かつ風味、食
感が悪いことからあまり利用されておらず、後者につい
ては、摂取カロリーの増大をもたらすことから有効では
なかった。
さらに、このような観点から本発明者らが鋭意研究を
進めた結果、澱粉質に脂肪酸化合物を結合させ、該脂肪
酸化合物による澱粉質のアミロース占有率を10%以上と
することで、消化・吸収速度が有意に遅延化された食品
が得られることを見い出した。
なお、小麦粉あるいは米粉などの澱粉質に、脂肪酸化
合物の1種である脂肪酸エステルを乳化剤として少量、
具体的には例えば澱粉質100重量部に対して0.5〜5重量
部程度添加し、改質する技術については種々の乳化剤の
取扱い説明書などに記載されており、また特公昭59−13
177号、特公昭59−30055号、特開昭60−30633号、特開
昭62−55048号、特開昭62−83857号、特開昭62−143659
号、特開昭62−122549号、特開昭62−158446号および特
開昭63−14650号、特開昭63−71134号、特開昭63−1529
35号、特開昭63−192354号、特開昭64−63332号、特開
平1−225438号などにも開示されている。しかしなが
ら、この場合はいずれも、生地の伸びの改良、食感の改
良、老化防止等の改善を図ることを目的とするものであ
って、比較的多量の脂肪酸化合物を使用しかつこの脂肪
酸化合物をアミロース占有率10%以上となるように澱粉
質に結合させることで上記したような消化・吸収速度の
遅延効果が生じることは従来何ら知られていなかったも
のである。
(発明が解決しようとする課題) 従って本発明は、消化・吸収が緩やかである一方、消
化不良を起す虞れがなく、通常の澱粉と同様の風味、食
感を有する食品用材料およびその製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸目的は、澱粉質と、これに結合したグリセリン
脂肪酸エステルとを有し、グリセリン脂肪酸エステルに
よる澱粉質のアミロース占有率が10%以上である消化・
吸収が緩やかでかつ消化不良のない食品用材料によって
達成される。
上記諸目的は、澱粉質100重量部当り、2〜20重量部
のグリセリン脂肪酸エステルを、5〜500重量部の水の
存在下で、接触させることを特徴とする消化・吸収が緩
やかでかつ消化不良のない食品用材料の製造方法によっ
ても達成される。
本発明はまた、澱粉質100重量部当り5〜10重量部の
グリセリン脂肪酸エステルを接触させる上記食品用材料
の製造方法を示すものである。
(作用) しかして、本発明の食品用材料は、澱粉質にグリセリ
ン脂肪酸エステルを結合してなり、該澱粉質のグリセリ
ン脂肪酸エステルによるアミロース占有率が10%以上で
あることを特徴とするものである。
本発明の食品用材料においては、澱粉質中のアミロー
スがグリセリン脂肪酸エステルと結合しており、酸素と
の複合体を形成しにくい構造となっているため澱粉質が
アミラーゼ等の消化酵素による作用を受けにくくなり、
これによって消化・吸収速度の遅延化がもたらされるも
のである。このような消化・吸収速度の遅延化は、他の
脂肪酸化合物を澱粉質に結合させた場合においても同様
に見られる作用であるが、他の脂肪酸化合物を使用した
多くの場合には、その程度の大小はあるが、呈味性の劣
化や、主として摂取後遊離した脂肪酸化合物の作用に起
因すると思われる腹部の膨満感、ガス、軟便などの消化
不良の症状が見られるものであった。従って、このよう
な徴候のほとんど見られないグリセリン脂肪酸エステル
を結合させたものは、食品用材料として極めて有利なも
のとなるものである。
なお、本明細書において、「消化・吸収速度の遅い」
ものとは、例えば、アミラーゼによる分解が通常の澱
粉、すなわち未処理の澱粉に対し、95%以下、より好ま
しくは85%以下となるものである。
以下、本発明を実施態様に基づきより詳細に説明す
る。
本発明において原料として用いられる澱粉質として
は、通常、食用に供される穀物由来の澱粉、物理化学的
あるいは生物学的に合成された澱粉、およびそれらの粗
原料や加工物、あるいはこれらの澱粉質の2種以上の混
合物等であって澱粉を十分量に含むものであればいずれ
も好適に用いることができる。例えば、米、小麦、大
麦、ライ麦、燕麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、ある
いはタピオカなどから調製したものが挙げられる。特
に、これらの原料穀物の穀物粉または穀物粒を用いるこ
とが、栄養面および経済的な面から好ましい。
また、例えば、アミロメーズ種のとうもろこしより調
製された、いわゆるハイアミロースコーンスターチ(ア
ミロース含有量約70%)やアミロース自体などといった
高アミロース含有量の澱粉質も、上記したような原料澱
粉質として一部配合されることが可能である。なお、こ
の場合、原料澱粉質全体としてのアミロース含有量が60
%以下、特に25〜60%とされることが望ましい。すなわ
ちアミロース含有量が60%を越えるものとなると、後述
するような脂肪酸化合物が結合することによる消化・吸
収速度の遅延化自体は生じるものの、消化不良を生じた
り風味・食感が低下してしまうためである。
一方、このような澱粉質と結合されるグリセリン脂肪
酸エステルとしては、各種の脂肪酸とグリセリンとのモ
ノエステルおよびジエステルが含まれる。なお、脂肪酸
とグリセリンとのトリエステル、すなわちトリグリセリ
ドは上記澱粉と複合体を形成するための疎水性のアルキ
ル(脂肪酸)部分を有するものの、澱粉に効率よく接触
するための親水性の水酸基供与体を有しないために好ま
しい化合物とは言えない。さらに、本発明において用い
られるグリセリン脂肪酸エステルの中には、各種の脂肪
酸と、ポリグリセロール、特に重合度2〜10程度のポリ
グリセロールとのエステルも好適に含まれるものであ
る。
グリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては、例
えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシ
ル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペン
タデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリ
ン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ウンデシ
レン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エ
ルカ酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラ
キドン酸などのような炭素数8〜22のものが好ましい。
なお、グリセリン脂肪酸エステル化合物として具体的
なものをいくつか例示すると、例えば、グリセリルモノ
ラウレート、グリセリルジラルレート、グリセリルモノ
パルミテート、グリセリルジパルミテート、グリセリル
モノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセ
リルモノオレエート、グリセリルジオレエート、デカグ
リセリルモノラウレート、デカグリセリルモノミリステ
ート、ヘキサグリセリルモノステアレート、デカグリセ
リルモノステアレート、デカグリルセリルジステアレー
ト、デカグリセリルトリステアレート、デカグリセリル
モノオレエート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキ
サグリセリルモノオレエート、デカグリセリルペンタオ
レエートなどがある。なお、このような脂肪酸エステル
のHLB(Hydorophilic Lipophilic Balance)は何れの領
域のものを用いても良い。
本発明の食品用材料において、原料の澱粉質とグリセ
リン脂肪酸エステルの結合比率は、澱粉およびグリセリ
ン脂肪酸エステルの種類や製造条件によっても異なって
くるが、グリセリン脂肪酸エステルによる澱粉質のアミ
ロース占有率が10%以上、特に40〜95%であることが望
ましい。すなわち、グリセリン脂肪酸エステルによる澱
粉質のアミロース占有率が10%未満であると、消化・吸
収速度の十分な遅延化がもたらされない虞れがあるため
である。
なお、本発明における「脂肪酸エステルによる澱粉質
のアミロース占有率」とは、電流滴定法を用いたヨウ素
親和力(アミロースとヨウ素の結合量)の測定値より算
出されたものである。すなわち、ヨウ素親和力は、ヨウ
素が澱粉中の主としてアミロースと結合して複合体を形
成することを利用してアミロース含量を推定するもので
あるが、本発明の食品用材料におけるように脂肪酸エス
テルで澱粉質を処理した場合には、脂肪酸エステルと結
合したアミロース(ヨウ素を結合しない)の割合だけ未
処理の澱粉質よりもヨウ素親和力が小さくなる。従っ
て、未処理の澱粉質のヨウ素親和力から処理した澱粉質
のヨウ素親和力を差引いた値を、未処理の澱粉質のヨウ
素親和力で割った値に百をかけたものが、脂肪酸エステ
ルによる澱粉質のアミロース占有率(%)である。
このような本発明の食品用材料は、分散媒としての水
の存在下、澱粉質とグリセリン脂肪酸エステルを接触さ
せることによって調製されることができる。
例えば、原料澱粉質に、予め水に分散させたグリセリ
ン脂肪酸エステルを添加し、澱粉質とグリセリン脂肪酸
エステルを接触させることにより製造することができ
る。
分散媒として水を使用するのは、水が澱粉質になじみ
易い親水性のものであって、かつグリセリン脂肪酸エス
テルを均一に分散させることが可能であるため、澱粉質
と脂肪酸化合物を均一に効率よく接触させることができ
るためあり、さらに調製された食品用材料に残留しても
何ら問題とならないものであるためである。
このような製造工程において用いられる水の量は、使
用される澱粉質およびグリセリン脂肪酸エステルの種類
などによっても左右されるが、澱粉質100重量部に対し1
0〜500重量部、特に100〜300重量部であることが望まれ
る。またグリセリン脂肪酸エステルの量は、澱粉質100
重量部に対し、2〜20重量部、特に5〜10重量部である
ことが望まれる。すなわち、グリセリン脂肪酸エステル
の使用量が澱粉質100重量部に対し、2重量部未満では
消化・吸収速度の十分な遅延化をもたらす量のグリセリ
ン脂肪酸エステルを澱粉質に結合させる(グリセリン脂
肪酸エステルによる澱粉質のアミロース占有率を10%以
上とする)ことが困難であり、一方、20重量部を越えて
添加しても、消化・吸収速度の遅延化効果がそれ以上あ
まり向上せず、逆に得られる食品用材料の風味・食感を
低下させたりする虞れがありためである。
原料の澱粉質とグリセリン脂肪酸エステルの接触に際
しての反応系の温度としては、水の凝固しない温度であ
れば特に限定されるものではない。しかしながら、食品
用材料として加熱調理されるものを得ようとする場合に
は、原料の澱粉質が完全に糊化してしまわない温度にお
いて行なわれる必要がある。この場合、経済性等の面か
ら0℃以上でかつ糊化が起らない温度という点で糊化開
始温度(澱粉質の種類によって異なるが、概ね60℃前後
〜70℃前後)以下とすることが望ましい。なお、このよ
うな糊化開始温度以下の温度において、予め水に分散さ
せたグリセリン脂肪酸エステルを澱粉質に添加して、澱
粉質をグリセリン脂肪酸エステルと接触させてもグリセ
リン脂肪酸エステルを澱粉質に結合させることができ、
さらにこのような温度域でグリセリン脂肪酸エステルを
結合させた澱粉質は、糊化温度自体が上昇するために、
その後加熱調理した場合においても糊化が起りにくくな
り、消化・吸収の遅延化がより促進される。一方、食品
用材料として加熱調理を必要としないものを得ようとす
る場合は、もちろん糊化開始温度以上の温度条件におい
て行なうことが可能である。
本発明の食品用材料は、このように澱粉質とグリセリ
ン脂肪酸エステルとを水の存在下に接触させ、澱粉質に
グリセリン脂肪酸エステルを結合させることによって得
られるが、このような操作において澱粉質に残留する水
は、必要に応じて、例えば凍結乾燥、減圧乾燥、風乾な
どの各種の乾燥方法によって除去される。
また水の存在下に澱粉質とグリセリン脂肪酸エステル
を接触させて本発明の食品用材料を得る方法としては、
予め水に分散させた澱粉質にグリセリン脂肪酸エステル
を添加して、澱粉質とグリセリン脂肪酸エステルを水の
存在下に接触させる、あるいはまた、澱粉質とグリセリ
ン脂肪酸エステルを同時に水に添加して、これらを水に
分散させ、澱粉質とグリセリン脂肪酸エステルを溶媒の
存在下に接触させることも別途考えられる。なお、これ
らの場合において、使用される溶媒の種類および量、な
らびに処理温度条件等は上記の方法と同様のものが適用
され得る。
さらに、本発明の食品用材料は、原料となる澱粉質の
風味・食感を損なわないので、通常の澱粉と同様に使用
が可能である。すなわち、そのまま食品として食するこ
とができるほか、通常澱粉を用いて製造される食品すべ
てに応用されることができる。なお、このように加工さ
れて食品とされる場合、必要に応じて本発明の食品用材
料に対し洗浄、破砕、加熱等の処理を加えることができ
る。抗肥満性食品として、あるいは糖尿病患者用食品と
して好適に使用される。さらに、本発明に関する食品
は、ヒト用のみでなく、ヒト以外の動物用としても用い
ることができるものである。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1 市販の小麦粉1kgに、グリセリンモノステアリン酸エ
ステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)100gを
予め分散させた水100gを添加し、これを20℃で連続的
(平均混練時間は5分間)に混練し、その後凍結乾燥し
て食品用材料試料を得た。
得られた試料に対し、脂肪酸エステルによる澱粉質の
アミロース占有率ならびにブタ膵臓α−アミラーゼ(PP
A)による消化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸
エステルによる澱粉質のアミロース占有率は68%であ
り、またPPA分解性は未処理の澱粉質の78%であった。
さらにこのようにして得られた食品用材料試料50gを
水200gに懸濁した後、オートクレーブにて121℃、10分
間加熱して、、健常男子5名にそれぞれ摂取させ、風味
および摂取後の体調を評価した。結果を第1表に示す。
比較例1 グリセリンモノステアリン酸エステルに代えてショ糖
ステアリン酸エステル(S−1570、三菱化成(株)製)
を用いる以外は実施例1と同様にして食品用材料試料を
得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸エステ
ルによる澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる
消化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸エステルに
よる澱粉質のアミロース占有率は約65%であり、またPP
A分解性は未処理の澱粉質の79%であった。
さらにこのようにして得られた食品用材料試料を実施
例1と同様にして健常男子5名に食させ、風味および摂
取後の体調を評価した。結果を第1表に示す。
比較例2 グリセリンモノステアリン酸エステルに代えてソルビ
タンラウリン酸エステル(エマゾールL−10、花王
(株)製)を用いる以外は実施例1と同様にして食品用
材料試料を得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸エステ
ルによる澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる
消化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸エステルに
よる澱粉質のアミロース占有率は約60%であり、またPP
A分解性は未処理の澱粉質の79%であった。
さらにこのようにして得られた食品用材料試料を実施
例1と同様にして健常男子5名に食させ、風味および摂
取後の体調を評価した。結果を第1表に示す。
実施例2 市販の白米粉1kgに、グリセリンモノステアリン酸エ
ステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)50gを
予め分散させた水3を添加し、これを40℃で1時間混
練し、その後凍結乾燥して食品用材料試料を得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸エステ
ルによる澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる
消化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸エステルに
よる澱粉質のアミロース占有率は90%であり、またPPA
分解性は未処理の澱粉質の85%であった。
さらにこのようにして得られた食品用材料試料を実施
例1と同様にして健常男子5名に食させ、風味および摂
取後の体調を評価した。結果を第1表に示す。
比較例3 グリセリンモノステアリン酸エステルに代えてショ糖
ステアリン酸エステル(S−1570、三菱化成(株)製)
を用いる以外は実施例2と同様にして食品用材料試料を
得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸エステ
ルによる澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる
消化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸エステルに
よる澱粉質のアミロース占有率は約83%であり、またPP
A分解性は未処理の澱粉質の88%であった。
さらにこのようにして得られた食品用材料試料を実施
例1と同様にして健常男子5名に食させ、風味および摂
取後の体調を評価した。結果を第1表に示す。
比較例4 グリセリンモノステアリン酸エステルに代えてソルビ
タンラウリン酸エステル(エマゾールL−10、花王
(株)製)を用いる以外は実施例2と同様にして食品用
材料試料を得た。
得られた試料に対し、実施例1と同様に脂肪酸エステ
ルによる澱粉質のアミロース占有率ならびにPPAによる
消化性(予め糊化)を調べたところ、脂肪酸エステルに
よる澱粉質のアミロース占有率は約81%であり、またPP
A分解性は未処理の澱粉質の89%であった。
さらにこのようにして得られた食品用材料試料を実施
例1と同様にして健常男子5名に食させ、風味および摂
取後の体調を評価した。結果を第1表に示す。
比較例3 市販の小麦粉1kgに、単にグリセリンモノステアリン
酸エステル50g(エマルジーMS、理研ビタミン(株)
製)を混合し、実施例1と同様に脂肪酸エステルによる
澱粉質のアミロース占有率を調べたところ、グリセリン
脂肪酸エステルによる澱粉質のアミロース占有率は0%
であり、澱粉質にグリセリン脂肪酸エステルを単に混合
するのみでは、グリセリン脂肪酸エステルが澱粉質に結
合しないことが明らかとなった。
実施例3 市販の小麦粉10kgに、予めグリセリンモノステアリン
酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)20
0gを溶解した水1.5を加え、130℃で加圧加熱しなが
ら、1分間混練した。この後、凍結乾燥して食品用材料
試料を得た。一方、グリセリンモノステアリン酸エステ
ルを添加しない以外は同様に処理したものを対照とし
た。
それぞれ4週齢のSD系雄ラット10匹(平均体重170g)
からなる試験区および対照区に、上記試料を70重量%含
んで調製された飼料あるいは上記対照を70重量%含んで
調製された飼料をそれぞれ摂食させて2週間飼育した。
2週間経過後に、各区のラットを屠殺して体脂肪量を観
察した。
その結果、試験区のラットにおいては、体重は対照区
のラットの104%、試料摂取量は対照区のラットの106%
と、むしろ対照区よりも良好な成長を示したが、体脂肪
量は対照区の89%、肝臓脂肪量は対照区の89%と、明ら
かに少ないものであった。
実施例4 小麦粉100gに、予めグリセリンモノステアリン酸エス
テル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)5gを65℃
にて懸濁しておいた水300gを加え、30℃で60分間攪拌し
ながら保持し、その後全量を凍結乾燥して食品用材料試
料を得た。
得られた試料50gを水150mlと共に121℃で30分加圧加
熱した後、健常男子1名に経口投与した。投与後、定時
的に採血し、血糖値を測定した。なお、血糖値の測定
は、市販の測定装置(グルコスター、エイムス三共
(株)製)を用いた。
その結果、第11図に示すように、この試料を投与した
場合には、比較対照の小麦粉(121℃で30分間加熱した
のみ)の場合に対し、面積比で75%と明らかに血糖値の
上昇が遅延していた。
実施例5 澱粉質を白米粉とする以外は実施例4と同様にして食
品用材料試料を調製し、同様に加熱処理して健常男子1
名に経口投与し、投与後の血糖値の変化を測定した。
その結果、この試料を投与した場合には、比較対照の
白米粉(121℃で30分間加熱したのみ)の場合に対し、
面積比で85%と明らかに血糖値の上昇が遅延していた。
実施例6〜7 第2表に示す澱粉質1kgに、グリセリンモノステアリ
ン酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)
50gを溶解した水3を加え、30℃で1時間緩やかに攪
拌しながら保持した。この後、上清を捨て、凍結乾燥し
て食品用材料試料を得た。得られた試料を常温で風乾
し、以下に述べる方法により糊化開始温度を測定し、未
処理物の糊化開始温度との差を調べた。結果を第2表に
示す。
実施例8 市販の強力粉1kgに、予めグリセリンモノステアリン
酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン(株)製)50
gを溶解した水3を加え、30℃で1時間攪拌しながら
保持した。この混合物から上清を捨て、凍結乾燥して食
品用材料試料を得た。なお、得られた試料における脂肪
酸エステルによる澱粉質のアミロース占有率は39%であ
り、またPPA分解性は未処理の澱粉質の85%であった。
得られた試料2Kgに、油脂150g、砂糖150gおよびタン
パク質120gを加えてパンミックスを作り、このパンミッ
クス280gにドライイースト3gを添加して市販のパン焼き
機にて調理したところ、風味・食感の良好な食パンが得
られた。さらに数名の協力者に対し、この処理強力粉を
用いて作成した食パンと、未処理の強力粉を用いて上記
と同様にして得られた食パンとを、盲検法において食さ
せ、好みの方を選択してもらったところ、この選択に有
意差は認められなかった。
なお、本発明の実施例において用いられた各測定法は
以下に述べる通りである。
脂肪酸エステルによる澱粉質のアミロース占有率 試料0.1gをアルカリ糊化させるために20mlの0.5N KO
Hを加え完全に塊がなくなるまでよく混釈した後、精製
水150mlを加え、さらに1N HClを20ml添加して中和し、
総液量190mlとする。調製した試料液95mlを氷冷しなが
ら、0.4N KI 5mlを加え、25mVの電圧をかけながら、
0.00157N KIO3で毎分0.5mlの速度で滴定し、電流の変
化を測定する。電流が急激に上昇し始める点を変曲点と
し、その時の滴定量を滴定値とする。一方、同試料0.1g
の全糖量をフェノール・硫酸法により別に測定してお
く。これらの滴定値および全糖量より次式に基づき各試
料のヨウ素親和力を算出し、さらに以下の式により脂肪
酸エステルによる澱粉質のアミロース占有率を求める。
ブタ膵臓α−アミラーゼ(PPA)による消化性 試料0.5gを取り、これに50mM リン酸緩衝液(pH6.
9)49mlを加え、次いで37℃に調製した振盪恒温槽中で3
0分間放置した。PPA(シグマ[SIGMA]社製)をリン酸
緩衝液にて50μU/mlに希釈した酵素液1mlを加え、反応
を開始する。反応開始から0、20、40、60分後に反応液
を0.2mlずつ各2本、0.1N NaOH 3.8mlを分注した試験
管に入れ酵素反応を停止した。
PPAによる消化により生起した還元糖の定量は、ソモ
ギ−ネルソン[Somogi−Nelson]法により行なった。
なお、試料を予め糊化する場合には、リン酸緩衝液を
加えたあと、沸騰湯浴中で30分間加熱することにより糊
化させた。
糊化開始温度 得られた試料0.1gに、精製水を加え100mlにメスアッ
プした(0.1重量%試料懸濁液)後、フォトペーストグ
ラフィー測定装置(PHPG)のセルにセットする。セル中
の試料液を攪拌しながら、2℃/分の昇温速度で温度を
上昇させ、372nmの吸光度を95℃になるまで連続的に測
定し、吸光度が急激に変化する変曲点における温度を糊
化開始温度とする。なお、フォトペーストグラフィー測
定装置としては、平間理化研究所製のものを用いた。
(発明の効果) 以上述べたように本発明の食品用材料は、澱粉質と、
該澱粉質に結合されたグリセリン脂肪酸エステルとを有
し、グリセリン脂肪酸エステルによるアミロース占有率
が10%以上であることを特徴とするものであるから、消
化・吸収が緩やかである一方、消化不良といった副作用
もなく、かつ通常の澱粉と同様の味、食感を有してお
り、抗肥満性食品材料、糖尿病患者用などをはじめとす
る広範な用途に好適に用いることができる。さらに本発
明の食品用材料において、澱粉質が穀物粉または穀粒で
あると、経済的にもさらに有利なものとなり、より広範
な用途に安易に用いることができるものである。
さらに本発明は、澱粉質100重量部当り、2〜20重量
部のグリセリン脂肪酸エステルを、5〜500重量部の水
の存在下で接触させることを特徴とする食品用材料の製
造方法であるので、上記のように優れた特性を有する食
品用材料を、極めて簡単な操作によりかつ安全性高く製
造できるものである。さらに本発明の製造方法におい
て、澱粉質100重量部に対し、グリセリン脂肪酸エステ
ル5〜10重量部を配合するものであるとより一層優れた
特性を有する食品用材料を提供できるものとなる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】澱粉質と、これに結合したグリセリン脂肪
    酸エステルとを有し、グリセリン脂肪酸エステルによる
    澱粉質のアミロース占有率が10%以上である消化・吸収
    が緩やかでかつ消化不良のない食品用材料。
  2. 【請求項2】澱粉質100重量部当り、2〜20重量部のグ
    リセリン脂肪酸エステルを、5〜500重量部の水の存在
    下で、接触させることを特徴とする消化・吸収が緩やか
    でかつ消化不良のない食品用材料の製造方法。
  3. 【請求項3】澱粉質100重量部当り5〜10重量部のグリ
    セリン脂肪酸エステルを接触させるものである請求項2
    に記載の食品用材料の製造方法。
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