JP2886816B2 - 油圧式動力伝達継手 - Google Patents

油圧式動力伝達継手

Info

Publication number
JP2886816B2
JP2886816B2 JP31618395A JP31618395A JP2886816B2 JP 2886816 B2 JP2886816 B2 JP 2886816B2 JP 31618395 A JP31618395 A JP 31618395A JP 31618395 A JP31618395 A JP 31618395A JP 2886816 B2 JP2886816 B2 JP 2886816B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
suction
valve
hole
plunger
cam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP31618395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09158963A (ja
Inventor
忠彦 加藤
和寿 嶌田
真樹 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Yunibansu Kk
Original Assignee
Fuji Yunibansu Kk
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Yunibansu Kk filed Critical Fuji Yunibansu Kk
Priority to JP31618395A priority Critical patent/JP2886816B2/ja
Publication of JPH09158963A publication Critical patent/JPH09158963A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2886816B2 publication Critical patent/JP2886816B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の駆動力配分
に使用する油圧式動力伝達継手に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の油圧式動力伝達継手としては、例
えば図10および図11に示すように、前後軸の差動回
転数に応じて油圧によりトルクを発生するものがある。
図10および図11に示すように、この油圧式動力伝達
継手は、相対回転可能な入出力軸間に設けられ、一方の
軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有するカム面1
を形成したカム2を固定したカムハウジング3と;他方
の軸4に連結されるとともに、カムハウジング3内に回
転自在に収納され、複数のプランジャー室5を軸方向に
形成したロータ6と;複数のプランジャー室5のそれぞ
れに、リターンスプリング7の押圧を受けて往復移動自
在に収納されるとともに、両軸の相対回転時にカム面1
によって駆動される複数のプランジャー8と;ロータ6
に形成され、プランジャー室5と通じる吸入吐出孔9
と;ロータ6の端面に回転自在に摺接するとともに、カ
ムハウジング3との間で所定の関係に位置決めされ、吸
入吐出孔9との位置関係によって吸入弁および吐出弁の
作用をする複数の吸入ポート10、吐出ポート11を表
面に形成したロータリバルブ12と;プランジャー8の
駆動による吐出油の流動により流動抵抗を発生する流動
抵抗発生手段としてのオリフィス13を備え;両軸の回
転速度差に応じたトルクを伝達する。
【0003】すなわち、この油圧式動力伝達継手におい
ては、カム2とロータ6との間に回転差が生じると、吐
出行程にあるプランジャー8はカム2のカム面1により
軸方向に押し込まれ、押し込まれたプランジャー8はプ
ランジャー室5の油を吸入吐出孔9からロータリバルブ
12の吐出ポート11に押し出し、押し出された油は、
オリフィス13を通って、吸入路14から吸入ポート1
0に供給され、このとき、オリフィス13の抵抗により
吐出ポート11およびプランジャー室5の油圧が上昇
し、プランジャー8に反力が発生し、このプランジャー
反力に逆ってカム2を回転させることによりトルクが発
生し、カム2とロータ6との間でトルクが伝達される。
【0004】こうして得られたトルクの特性は、図12
に示すように、差動回転数ΔNの上昇に伴って差動トル
クΔTが上昇する。また、他の従来例としては、図13
に示すような、本出願人の出願に係る電子制御型の油圧
式動力伝達継手がある。図13において、まず、通常特
性について説明すると、ソレノイドコイル15に通電し
ないときは、可動磁性体16は磁気吸引力を発生せず、
図13の位置に保持され、反転レバー17も揺動するこ
とがなく、図13の位置に保持される。
【0005】このため、リリーフ弁18は反転レバー1
7で押圧され、リリーフ孔19を閉じている。また、フ
リー弁20は、反転レバー17が揺動しないため、排出
孔21を開いている。一方、ロック弁22は、可動磁性
体16の吸引力がないため、オリフィス23を開いてい
る。このため、吐出ポート24に押し出された油は、高
圧室25、オリフィス23を通り、吸入ポート26に供
給される。
【0006】そして、オリフィス23の抵抗により高圧
室25、吐出ポート24およびプランジャー室27の油
圧が上昇し、プランジャー28に反力が発生する。この
プランジャー反力に逆ってカム29を回転させることに
よりトルクが発生し、カム29とロータ103との間で
トルクが伝達される。このときのトルク特性は、差動回
転数ΔNの2乗に比例したトルクとなる。
【0007】次に、ロック特性について説明する。ソレ
ノイドコイル15に弱通電したときは、可動磁性体16
の上側のみが、リテーナ100側に吸引され、ロック弁
22を押圧してオリフィス23を閉止する。一方、可動
磁性体16の下側は、移動しないため、反転レバー17
は揺動せず、フリー弁20は排出孔21を開いたままで
あり、リリーフ弁18は反転レバー17に押圧されて、
リリーフ孔19を閉止したままである。
【0008】プランジャー室27からの吐出油は、出口
を塞がれているため、継手は、ロック状態になる。次
に、リリーフ動作について説明する。通常特性およびロ
ック特性のとき、高圧室25の圧力が所定の値を越える
と、リリーフ弁18は、右側に移動し、リリーフ孔19
を開くとともに、反転レバー17を揺動させ、フリー弁
20を閉止させようとするが、フリー弁20は完全に排
出孔21を閉止しない。したがって、高圧室25の圧油
は、オリフィス23を通るとともに、リリーフ孔19、
第3の溝101を通り、排出孔21から吸入ポート26
に流れる。
【0009】このため、リリーフ圧力以上の圧力は発生
しない。したがって、伝達トルクもリリーフ圧力で決ま
る値を越えることはない。次に、フリー特性について説
明する。ソレノイドコイル15に強通電すると、可動磁
性体16は全周がリテーナ100側に吸引される。ロッ
ク弁22はオリフィス23を閉じるとともに、反転レバ
ー17が揺動するので、リリーフ弁18はリリーフ孔1
9を開き、フリー弁20は排出孔21を閉じる。
【0010】このため、高圧室25の圧油は、リリーフ
孔19、第3の溝101から図示しない排油孔に逆流
し、第3のポート102に入る。この逆流のため、ロー
タリバルブ30の油圧バランスがくずれ、ロータ103
との密着が失われる。このフリー特性においては、ロー
タ103とロータリバルブ30の密着状態は失われる。
【0011】したがって、プランジャー室27からの油
は、ロータ103とロータリバルブ30のスキマから流
れ出る。このときのトルク特性は、フリー状態になる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の油圧式動力伝達継手にあっては、前者の場合
には前後軸に異径タイヤを装着していると、図14の
(A)に示すように車速Vの上昇に伴って差動回転が上
昇し、差動トルクΔTも上昇するため、継手が過熱し、
継手に破損が生じる恐れがあった。また、前後デファレ
ンシャルに過大なこもりトルクが入ると、前後デファレ
ンシャルが過熱し、前後デファレンシャルに破損が生じ
る恐れがあった。
【0013】また、後者の場合には前記のような問題は
回避することができるものの構造が複雑でコストも高
く、重量も重いという問題があった。本発明は、このよ
うな従来の問題点に鑑みてなされたものであって、過熱
による破損の恐れがなく、また、過熱による前後デファ
レンシャルの破損の恐れもなく、かつ、構造が簡単でコ
ストが安く、重量も軽い油圧式動力伝達継手を提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は次のように構成する。また、本発明は、相
対回転可能な入出力軸間に設けられ、一方の軸に連結さ
れ、内側面に2つ以上の山を有するカム面を形成したカ
ムハウジングと;他方の軸に連結されるとともに、カム
ハウジング内に回転自在に収納され、複数のプランジャ
ー室を軸方向に形成したロータと;複数のプランジャー
室のそれぞれに、リターンスプリングの押圧を受けて往
復移動自在に収納されるとともに、両軸の相対回転時に
カム面によって駆動される複数のプランジャーと;ロー
タに形成され、プランジャー室と通じる吸入吐出孔と;
ロータの端面に回転自在に摺接するとともに、カムハウ
ジングとの間で所定の関係に位置決めされ、吸入吐出孔
との位置関係によって吸入弁および吐出弁の作用をする
複数の吸入ポート、吐出ポートを表面に形成したロータ
リバルブと;プランジャーの駆動による吐出油の流動に
より流動抵抗を発生する流動抵抗発生手段を備え;両軸
の回転速度差に応じたトルクを伝達する油圧式動力伝達
継手を対象とする。
【0015】このような油圧式動力伝達継手について本
発明は、ロータリバルブに形成され吐出ポート側から高
圧油が導入される収納部と、該収納部内に摺動自在に収
納され車速が所定値以上になると遠心力により浮上する
スプール弁と、収納部内に収納され該スプール弁を付勢
する弾性部材と、スプール弁が浮上したとき高圧油をロ
ータリバルブの外側にドレーンするための収納部とロー
タリバルブの外側を連通するドレーン孔と、を備えたこ
とを特徴とする。
【0016】また、本発明においては、ドレーン孔の開
口面積を変化させる。さらに、本発明においては、弾性
部材とスプール弁の間に、一端側が固定され、他端側が
遠心力によって浮上する重りの他端側を挿入した。この
ような構成を備えた本発明の油圧式動力伝達継手によれ
ば、ロータリバルブ内に収納部を設け、スプール弁と弾
性部材を収納し、車速が所定値以上になるとスプール弁
にかかる遠心力が弾性部材のスプリング力より大きくな
り、スプール弁が浮上してドレーン孔を開放するので、
トルクをカットすることができ、車速の上昇の伴うトル
ク上昇で継手が過熱し、破損するのを防止することがで
きる。また、前後デファレンシャルが過熱し、破損する
のも防止することができる。また、構造が簡単でコスト
が安く、重量も軽い継手でフリーのトルク特性を得るこ
とができる。
【0017】また、ドレーン孔の開口面積を変化させる
ことにより、微小トルクを残し、車両の操案性を向上さ
せることができる。さらに、弾性部材とスプール弁の間
に、一端側が回転され他端側が遠心力によって浮上する
重りの他端側を挿入した場合も、車速が所定値以上にな
ると、遠心力によりスプール弁と重りが浮上してドレー
ン孔を開放し、トルクをカットすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜図4は本発明の実施の形態
を示す図である。図2は本発明の油圧式動力伝達継手の
断面図である。まず、構成を説明すると、図2におい
て、31は内側面に2つ以上の山を有するカム面32を
形成したカムであり、カム31は図示しない出力軸に連
結され、出力軸と一体で回転する。また、カム31は溶
接部33でカムハウジング34に固定され、カム31は
カムハウジング34と一体で回転する。
【0019】35はカムハウジング34内に回転自在に
収納されたロータであり、ロータ35は入力軸36に結
合され、入力軸36と一体で回転する。ロータ35に
は、軸方向に複数個のプランジャー室37が形成され、
プランジャー室37内は複数個のプランジャー38がリ
ターンスプリング39を介して摺動自在に収納されてい
る。また、ロータ35には複数の吸入吐出孔40が各プ
ランジャー室37に通じるように形成されている。
【0020】41は表面に吸入ポート42、吸入路43
および吐出ポート44が形成されたロータリバルブであ
り、このロータリバルブ41の裏面には吐出ポート44
のそれぞれに連通する連通溝45が形成されている。ま
た、前記裏面には密着して蓋部材46が設けられ、連通
溝45を閉止している。また、ロータリバルブ41はカ
ムハウジング34の内周に形成した切欠き47に係合す
る位置決め用の突起48を有する。
【0021】ロータリバルブ41は、吸入吐出孔40の
開閉タイミングを決定するタイミング部材を構成し、切
欠き47と突起48がカム31とロータリバルブ41の
位相関係を規制する位置決め機構を構成している。プラ
ンジャー38が吸入行程にある場合は、ロータリバルブ
41の吸入ポート42とロータ35の吸入吐出孔40が
通じる位置関係となり、後述するオリフィス、吸入ポー
ト42、吸入路43、ロータ35の吸入吐出孔40を通
じて、プランジャー室37に油を吸入することができ
る。
【0022】また、プランジャー38が吐出行程にある
場合は、吸入行程と逆の関係となり、ロータ35の吸入
吐出孔40はロータリバルブ41の吐出ポート44を介
して連通溝45に通じる。49はカムハウジング34と
一体で回転するベアリングリテーナーであり、ベアリン
グ50を介して入力軸36を支持している。ベアリング
リテーナー49とロータリバルブ41との間にはスラス
トニードルベアリング51が介装され、このスラストニ
ードルベアリング51側のフリクショントルクはロータ
35とロータリバルブ41の間のフリクショントルクよ
り小さくなるように設定されている。したがって、差動
回転の方向が変わると、ロータリバルブ41はロータ3
5とともにつれ回りし、ロータリバルブ41の位置決め
用の突起48がカムハウジング34の切欠き47に当た
るまで回転した後、カムハウジング34と一体で回転す
る。これにより、正転時または逆転時にも所定のタイミ
ングで吸入吐出孔40は強制的に開閉する。
【0023】ベアリングリテーナー49と入力軸36の
間にはオイルシール52が設けられ、また、入力軸36
の内部には油の熱膨張・収縮を吸収するためのアキュム
レータピストン53が摺動自在に収納されている。54
はアキュムレータ室55への泥水の侵入を防止する蓋部
材である。アキュムレータ室55は油路56,57を介
して継手の内部に連通している。ロータリバルブ41に
は前記吐出ポート44に連通する高圧室58が形成さ
れ、高圧室58の出口部はプラグ59により閉止されて
いる。なお、60は注油孔、61はニードルベアリン
グ、62はねじ孔、63,64はOリング、65,66
はスナップリング、67は取付孔である。
【0024】次に、図1はロータリバルブ41の正面図
である。図1において、41はロータリバルブであり、
ロータリバルブ41の表面には吸入ポート42、吸入路
43および吐出ポート44が形成されている。また、ロ
ータリバルブ41には通孔68を介して吐出ポート44
に連通する高圧室58が形成され、高圧室58内には硬
化したカラー部材69が収納され、カラー部材69に続
いてプラグ59がねじ止めされている。カラー部材69
内には弁体としてのボール70が移動自在に収納される
収納室71が形成されている。収納室71は開口部72
を介して通孔68に連通し、開口部73を介して連通孔
74に連通している。連通孔74は、ピン部材75を収
納する収納孔76に連通し、収納孔76内にはピン部材
75が摺動自在に収納される。ピン部材75は小径のピ
ン部77と大径の基端部78を有し、ボール70はピン
部材75によりその位置が制御される。
【0025】ピン部77と連通孔74との間の間隙は、
流動抵抗発生手段としてのオリフィス79になってい
る。したがって、連通孔74の孔径は大きく形成するこ
とができ、孔径精度もラフにすることができる。ボール
70がピン部材75により保持されているときは、オリ
フィス79は開放されているが、ボール70がフリーに
なると、ボール70はカラー部材69の開口部73に形
成された弁座80に着座し、オリフィス79を閉止す
る。
【0026】収納孔76内に収納されたピン部材75は
スプリング81により付勢されて、ボール70を保持
し、ボール70を収納する収納室71内の油圧がある所
定値以上に上昇すると、ピン部材75はスプリング81
に抗して右方向に移動し、ピン部材82に当接する。ピ
ン部材82はピン部材75の一定距離以上の移動を阻止
する。なお、83は低圧室側に連通する低圧孔である。
【0027】また、ロータリバルブ41には、図3およ
び図4にも示すように突起48に開口する収納部として
の収納孔85が形成されている。収納孔85の底部には
スプール弁86が浮上可能に収納される。スプール弁8
6は、一対の弁体86A,86Bと、弁体86Aと弁体
86Bを連結する軸部86Cとにより構成され、軸部8
6Cと収納孔85の内壁の間には高圧油が導入される油
圧室87が形成される。また、ロータリバルブ41の表
面には連通溝45を介して吐出ポート44に連通する溝
88が形成されている。溝88は逆U字形状に形成さ
れ、溝88と油圧室87は連通孔89を介して連通して
いる。
【0028】収納孔85の開口部は、ストッパピン90
により閉止されており、ストッパピン90とスプール弁
86との間には弾性部材としてのスプリング91が介装
されている。車速が所定値以上になると、スプール弁8
6にかかる遠心力がスプリング91のスプリング力より
も大きくなるので、スプール弁86は矢印aで示すよう
に浮上する。ロータリバルブ41には吸入路43側に連
通する外部と収納孔85とを連通するドレーン孔92が
形成されており、スプール弁86が矢印bで示すように
スプリング91に付勢されて浮上しないときは、ドレー
ン孔92はスプール弁86により閉止されている。スプ
ール弁86が浮上すると、ドレーン孔92が開放され、
高圧油が油圧室87から吐出されるようになっている。
また、収納孔85の底部には逃がし孔93が形成され、
スプール弁86と収納孔85の底部にたまる油を外部に
逃がすようにしている。また、ドレーン孔92の開口面
積を調整することにより、トルクをカットした後の微小
トルクを残すことができるようにしている。
【0029】ここで、スプリング91のスプリング力を
P1、スプール弁86に作用する遠心力をF1として、
合計力をP=F1−P1とすると、車速VがV=80k
m/hで合計力Pがほぼゼロとなるように設定してい
る。すなわち、スプリング91のスプリング力P1を
0.23(kgf)とすると、車速V=80km/hで
スプール弁86の遠心力F1は0.23(kgf)とな
り、合計力Pはゼロになり、スプール弁86にかかる遠
心力F1とスプリング91のスプリング力P1がつり合
うようにしている。
【0030】次に、作用を説明する。カム31とロータ
35との間に回転差が生じないときは、プランジャー3
8は作動せず、トルクは伝達されない。なお、このと
き、プランジャー38はリターンスプリング39により
カム面32に押し付けられている。次に、カム31とロ
ータ35との間に回転差が生じると、吐出行程にあるプ
ランジャー38はカム31のカム面32により軸方向に
押し込まれる。
【0031】この時、吸入吐出孔40は吐出ポート44
と通じているため、プランジャー38はプランジャー室
37の油を吸入吐出孔40からロータリバルブ41の吐
出ポート44に押し出す。吐出ポート44に押し出され
た油は、通孔68、収納室71、オリフィス79を通っ
て、収納孔76、低圧孔83を経て吸入路43から吸入
ポート42に供給される。このとき、オリフィス79の
抵抗により収納室71、通孔68、吐出ポート44およ
びプランジャー室37の油圧が上昇し、プランジャー3
8に反力が発生する。このプランジャー反力に逆ってカ
ム31を回転させることによりトルクが発生し、カム3
1とロータ35との間でトルクが伝達される。なお、吐
出ポート44は連通溝45で連通されているため、吐出
行程にあるすべてのプランジャー室37の油圧は等しく
なる。
【0032】さらに、カム31が回転すると、吸入行程
となり、吸入吐出孔40は吸入ポート42と通じるた
め、吸入路43の油は、吸入ポート42、吸入吐出孔4
0を介してプランジャー室37に吸入され、プランジャ
ー38はカム31のカム面32に沿って戻る。通常時、
ロックトルク以下の回転差域で車速Vが所定値V1未満
のときは、収納室71の油圧によるピン部材75を押す
力よりもスプリング81によるピン部材75を押す力が
大きいため、ピン部材75によりボール70が保持さ
れ、油はオリフィス79を通過する。このように、ロッ
クトルク以下の回転差域で車速Vが所定値V1未満のと
きは、トルク特性は、前後輪のタイヤ径差により差動回
転が生じ車速Vの上昇に伴って差動トルクΔTが上昇す
る図5のdで示されるトルク特性となる。
【0033】すなわち、車速Vが所定値V1、例えば8
0km/hに達するまでは、スプリング91のスプリン
グ力P1の方がスプール弁86に作用する遠心力F1よ
り大きいので、図3に示すように、スプール弁86はス
プリング91により付勢されて収納孔85の底部に当接
しており、ドレーン孔92はスプール弁86により閉止
されている。したがって、吐出ポート44、連通溝4
5、溝88、連通孔89を通って油圧室87内に導入さ
れた高圧油は、ドレーン孔92から吐出されない。
【0034】車速Vが所定値V1、例えば80km/h
以上になると、スプール弁86に作用する遠心力F1
は、スプリング91のスプリング力P1より大きくな
る。F1>P1になると、図4に示すように、スプール
弁86はスプリング91に抗して矢印aで示すように上
方に浮上し、スプール弁86はドレーン孔92を開放す
る。このため、吐出ポート44、連通溝45、溝88、
連通孔89を通って油圧室87に導入されていた高圧油
は、矢印cに示すように、ドレーン孔92から吸入路4
3側に吐出される、このため、図5のeに示すように、
車速Vが所定値V1以上になると、トルクがカットされ
るトルク特性を示す。なお、ドレーン孔92の開口面積
を調整することにより、図5のfに示すように、微小ト
ルクを残すこともできる。このトルク特性では、車両操
案性を向上させることができる。
【0035】このように、車速Vが所定値V1以上にな
ったときは、ドレーン孔92より高圧油を吐出し、トル
クをカットするため、差動トルクΔTが上昇することが
なく、継手は過熱しない。したがって、継手に破損が生
じることがない。また、前後デファレンシャルも過熱し
ないので、破損が生じることがない。さらに、簡単な構
造で低コストで、かつ重量も軽い継手でフリーのトルク
特性が得られる。
【0036】次に、図6〜図9は本発明の他の実施の形
態を示す図である。図6はロータリバルブ41の正面
図、図7は図6の要部断面図、図8は非作動時の状態を
示す図、図9は作動時の状態を示す図である。図6〜図
9において、ロータリバルブ41の突起48および突起
48の下部には切欠き94が形成され、切欠き94には
重り95が揺動自在に収納される。重り95はその一端
側において固定部96で固定され、他端側はフリーとな
っている。切欠き94はスプール弁86が収納される収
納孔85に連通し、重り95のフリー側の揺動部95A
は、スプリング91とスプール弁86との間に挿入され
ている。
【0037】ロータリバルブ41の表面には溝88が形
成され、溝88は連通溝45を介して吐出ポート44に
連通している。また、溝88と、収納孔85の内壁とス
プール弁86の軸部86Cとの間に形成された油圧室8
7とは連通孔89により連通している。スプール弁86
が浮上しないときは、スプール弁86の上側の弁体86
Aによりドレーン孔92は閉止され、下側の弁体86B
により逃がし孔93が閉止されている。
【0038】重り95の固定部96の中心から重り95
の重心Cまでの距離をL1、重り95の固定部96の中
心からスプリング91の中心までの距離をL2、重り9
5に作用する遠心力をF2とすると、重り95の遠心力
F2によるスプリング91の中心部にかかる荷重はF2
×(L1/L2)となる。また、スプリング91のスプ
リング力をP1、スプール弁86にかかる遠心力をF1
とすると、P1<F2×(L1/L2)+F1となった
とき、重り95とともにスプール弁86が浮上し、ドレ
ーン孔92がスプール弁86により開放され、ドレーン
孔92より高圧油が吐出され、トルクがカットされる。
【0039】なお、重り95とスプール弁86の固定部
96の回りの合計モーメントM1は、F1×L2+F2
×L1となり、スプリング91のリターンモーメントM
2はP2×L2となる。合計モーメントM3=M1−M
2は、車速Vが所定値、例えば80km/hでゼロにな
るようにしてある。すなわち、車速Vが80km/hで
M1を8.34(kgf・mm)、M2を8.33(k
gf・mm)、M3をほぼゼロとなるように設定した。
【0040】次に、動作を説明する。図5において、車
速Vが所定値V1、例えば80km/h未満のときは、
重り95にかかる遠心力F2によるスプリング91の中
心部にかかる荷重{F2×(L1/L2)}とスプール
弁86にかかる遠心力F1がスプリング91のスプリン
グ力P1より小さいので{P1>F2×(L1/L2)
+F1}、図6〜図8に示すように、重り95およびス
プール弁86は浮上せず、ドレーン孔92を閉止してい
る。吐出ポート44に吐出された高圧油は、連通溝4
5、溝88、連通孔89を通って油圧室87に導入され
ている。このときのトルク特性は、前後輪のタイヤ径差
により差動回転が生じ車速Vの上昇に伴って差動トルク
ΔTが上昇する図5のdで示されるトルク特性を示す。
【0041】次に、図5において、車速Vが所定値V
1、例えば80km/h以上になると、P1<{F2×
(L1/L2)+F1}となるので、重り95およびス
プール弁86は、スプリング91に抗して浮上し、スプ
ール弁86はドレーン孔92を開放する。このため、油
圧室87に導入されていた高圧油は、図9の矢印cに示
すように、ドレーン孔92から吸入路43側に吐出さ
れ、トルクがカットされる。
【0042】このため、トルク特性は、図5のeに示す
ようなフリー特性となる。なお、ドレーン孔92の開口
面積を調整することにより、図5のfに示すように微小
トルクを残すことができる。この場合には車両の操案性
を向上させることができる。このように、本実施形態に
おいては、車速Vが所定値V1以上になったときは、ト
ルクをカットしてフリーとしたので、継手が過熱して破
損することがない。また、前後デファレンシャルも過熱
して破損することがない。
【0043】また、構造が簡単でコストが安く、かつ重
量も軽い継手でフリーのトルク特性を得ることができ
る。
【0044】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、車速が所定値以上になると、スプール弁が遠心力に
よりスプリングに抗して浮上し、ドレーン孔を開放する
ため、継手が過熱して破損することがない。また、デフ
ァレンシャルも過熱して破損することがない。また、構
造が簡単でコストも安く、重量も軽い継手でフリーのト
ルク特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油圧式動力伝達継手のロータリバルブ
の正面図
【図2】油圧式動力伝達継手の断面図
【図3】非作動時の状態を示す要部断面図
【図4】作動時の状態を示す要部断面図
【図5】トルク特性を示すグラフ
【図6】本発明の他の実施形態を示すロータリバルブの
正面図
【図7】図6の要部断面図
【図8】非作動時の状態を示す要部断面図
【図9】作動時の状態を示す要部断面図
【図10】従来例を示す断面図
【図11】図10のA−A断面矢視図
【図12】従来のトルク特性を示すグラフ
【図13】他の従来例を示す断面図
【図14】従来のトルク特性を示すグラフ
【符号の説明】
31:カム 32:カム面 33:溶接部 34:カムハウジング 35:ロータ 36:入力軸 37:プランジャー室 38:プランジャー 39:リターンスプリング 40:吸入吐出孔 41:ロータリバルブ 42:吸入ポート 43:吸入路 44:吐出ポート 45:連通溝 46:蓋部材 47:切欠き 48:突起 49:ベアリングリテーナー 50:ベアリング 51:スラストニードルベアリング 52:オイルシール 53:アキュムレータピストン 54:蓋部材 55:アキュムレータ室 56,57:油路 58:高圧室 59:プラグ 60:注油孔 61:ニードルベアリング 62:ねじ孔 63,64:Oリング 65,66:スナップリング 67:取付孔 68:通孔 69:カラー部材 70:ボール 71:収納室 72,73:開口部 74:連通孔 75:ピン部材 76:収納孔 77:ピン部 78:基端部 79:オリフィス(流動抵抗発生手段) 80:弁座 81:スプリング 82:ピン部材 83:低圧孔 84:ストッパピン 85:収納孔(収納部) 86:スプール弁 86A,86B:弁体 86C:軸部 87:油圧室 88:溝 89:連通孔 90:ストッパピン 91:スプリング(弾性部材) 92:ドレーン孔 93:逃がし孔 94:切欠き 95:重り 95A:揺動部 96:固定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−244835(JP,A) 実開 平7−16038(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16D 31/02 B60K 17/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対回転可能な入出力軸間に設けられ、前
    記一方の軸に連結され、内側面に2つ以上の山を有する
    カム面を形成したカムハウジングと;前記他方の軸に連
    結されるとともに、前記カムハウジング内に回転自在に
    収納され、複数のプランジャー室を軸方向に形成したロ
    ータと;前記複数のプランジャー室のそれぞれに、リタ
    ーンスプリングの押圧を受けて往復移動自在に収納され
    るとともに、前記両軸の相対回転時に前記カム面によっ
    て駆動される複数のプランジャーと;前記ロータに形成
    され、前記プランジャー室と通じる吸入吐出孔と;前記
    ロータの端面に回転自在に摺接するとともに、前記カム
    ハウジングとの間で所定の関係に位置決めされ、前記吸
    入吐出孔との位置関係によって吸入弁および吐出弁の作
    用をする複数の吸入ポート、吐出ポートを表面に形成し
    たロータリバルブと;前記プランジャーの駆動による吐
    出油の流動により流動抵抗を発生する流動抵抗発生手段
    を備え;前記両軸の回転速度差に応じたトルクを伝達す
    る油圧式動力伝達継手において、 前記ロータリバルブに形成され前記吐出ポート側から高
    圧油が導入される収納部と、 該収納部内に摺動自在に収納され車速が所定値以上にな
    ると遠心力により浮上するスプール弁と、 前記収納部内に収納され該スプール弁を付勢する弾性部
    材と、 前記スプール弁が浮上したとき前記高圧油を前記ロータ
    リバルブの外側にドレーンするための前記収納部と前記
    ロータリバルブの外側を連通するドレーン孔と、を備え
    たことを特徴とする油圧式動力伝達継手。
  2. 【請求項2】前記ドレーン孔の開口面積を変化させるこ
    とを特徴とする請求項1記載の油圧式動力伝達継手。
  3. 【請求項3】前記弾性部材と前記スプール弁の間に、一
    端側が固定され、他端側が遠心力によって浮上する重り
    の他端側を挿入したことを特徴とする請求項1,2記載
    の油圧式動力伝達継手。
JP31618395A 1995-12-05 1995-12-05 油圧式動力伝達継手 Expired - Fee Related JP2886816B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31618395A JP2886816B2 (ja) 1995-12-05 1995-12-05 油圧式動力伝達継手

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31618395A JP2886816B2 (ja) 1995-12-05 1995-12-05 油圧式動力伝達継手

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09158963A JPH09158963A (ja) 1997-06-17
JP2886816B2 true JP2886816B2 (ja) 1999-04-26

Family

ID=18074227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31618395A Expired - Fee Related JP2886816B2 (ja) 1995-12-05 1995-12-05 油圧式動力伝達継手

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2886816B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3326134B2 (ja) * 1999-04-23 2002-09-17 株式会社フジユニバンス 油圧式動力伝達継手

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09158963A (ja) 1997-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5983635A (en) Rotary shaft coupler with rotary valve plate position dependent on direction of shaft rotation
JP2886816B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3658243B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3807586B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3807585B2 (ja) 油圧式動力伝達継手のドレーン機構
JP3069257B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2886795B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2886796B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2989433B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2886794B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3658242B2 (ja) 油圧式動力伝達継手のドレーン機構
JP3401392B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP4253792B2 (ja) 油圧式動力伝達継手のドレーン機構
JP3486510B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2989467B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2000310246A (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2815742B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2989437B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2905802B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP3486509B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2931705B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2989468B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2731465B2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2564892Y2 (ja) 油圧式動力伝達継手
JP2579034Y2 (ja) 油圧式動力伝達継手

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090212

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100212

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110212

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees