JP2778917B2 - 光学用素子 - Google Patents
光学用素子Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学用素子に関する。
さらに詳しくは、本発明は、メチルメタクリレートおよ
びN−アリールマレイミドからなる共重合体よりなる透
明性及び耐熱性にすぐれた、メタクリル系共重合体樹脂
からなる光学用素子に関する。 【0002】 【従来の技術】メタクリル酸メチルを主成分とするメタ
クリル樹脂は光学的性質および耐候性に極めて優れ、か
つ機械的性質、熱的性質ならびに成形加工性などにおい
ても比較的バランスのとれた性能を有しているため、こ
れらの特性を生かして看板、照明用カバー、銘板、自動
車部品、電気機器部品、装飾用あるいは雑貨品など多く
の分野で広く使用されており、更に用途開発も進められ
ている。 【0003】しかし、一面では熱変形温度が100℃前
後と、耐熱性が充分でないために、その用途展開が制約
されている分野もかなりあり、耐熱性の向上に対する要
求には根強いものがある。メタクリル樹脂の耐熱性を改
善させる方法についてはすでに多くの提案がなされてい
る。例えば、メチルメタクリレートとα−メチルスチレ
ンを共重合させる方法、メチルメタクリレート、α−メ
チルスチレンおよび無水マレイン酸を共重合させる方法
(特公昭49−10156号)、メチルメタクリレー
ト、α−メチルスチレンおよびマレイミドを共重合させ
る方法、多官能単量体を用いた架橋ポリマーの存在下で
メチルメタクリレートを共重合させる方法、メチルメタ
クリレートとメタクリル酸を共重合させる方法、メチル
メタクリレート、α−メチルスチレンおよびアクリロニ
トリルを共重合させる方法などが提案されている。しか
しながら、上記提案の方法では、耐熱性はある程度改善
されるものの、重合速度が極めて小さいため生産性が著
しく低い、機械的性質、耐候性および光学的性質が低
い、また成形品が著しく着色したり、あるいは成形領域
が狭いために、成形加工性が悪いなど実用化において多
くの問題点が残されているのが現状である。 【0004】また、メチルメタクリレートとN−アリー
ルマレイミドを共重合させる方法(特公昭43−975
3号)も提案されているが、この方法によって得られる
樹脂は、メタクリル系樹脂が本来有する優れた機械的性
質や耐候性が損われ、また、単量体の共重合性が異るた
め残存単量体量が多く、従って、成形性が悪く、外観が
損なわれ、着色した製品しか得られない。さらに、重合
方法によってはにごりも著しく、メタクリル樹脂が本来
有する透明性が損われる。 【0005】結局、従来提案された方法はいずれも実用
性に乏しく、特に光学用途の場合には、採用されるには
至っていないのが現状である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
メチルメタクリレート樹脂に匹敵する、すぐれた光学的
性質、機械的性質、耐候性および成形加工性を具備して
いるだけでなく、すぐれた耐熱性と生産性を有するアク
リル系共重合体樹脂からなる光学用素子を提供するにあ
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る光学用素子
は、下式(1) 【0008】 【化3】【0009】で示されるメチルメタクリレート単位99
〜70重量%および下式(2) 【0010】 【化4】 【0011】(式中、R1 ,R2 ,R3 は水素またはハ
ロゲンを示す。)で示されるN−アリールマレイミド1
〜30重量%からなる共重合体であって、25℃クロロ
ホルム中で測定した固有粘度が0.3〜1.0dl/gで
あり、共重合体100重量%に対して共重合体中の残存
メチルメタクリレート量が1.0重量%以下かつ残存N
−アリールマレイミド量が0.3重量%以下である耐熱
性共重合体樹脂からなることを特徴とする。 【0012】上述のような耐熱性共重合体樹脂は、メチ
ルメタクリレート99〜70重量%および下式(3) 【0013】 【化5】 【0014】(式中、R1 ,R2 ,R3 は水素またはハ
ロゲンを示す。)で示されるN−アリールマレイミド1
〜30重量%からなる単量体混合物を、下記(B)成分
と(C)成分および所望により(A)成分の存在下に懸
濁重合を行うことにより製造することができる。 (A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有するアク
リル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸ア
ルキルエステル(I)0〜60重量%と、アクリル酸お
よび/またはメタクリル酸のリチウム、ナトリウム、カ
リウムおよびアンモニウム塩からなる群より選ばれたア
クリル酸および/またはメタクリル酸の塩(II)100
〜40重量%を重合させることによって得られる水溶性
重合体、 (B)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有するアク
リル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸ア
ルキルエステル(I)0〜60重量%と(b)アクリル
酸および/またはメタクリル酸のリチウム、ナトリウ
ム、カリウムおよびアンモニウム塩から成る群より選ば
れた少なくとも1種のアクリル酸および/またはメタク
リル酸の塩(II)0〜20重量%と(c)一般式 【0015】 【化6】【0016】で表わされるアクリル酸誘導体もしくはメ
タクリル酸誘導体(III)100〜20重量%とを重合さ
せることによって得られる水溶性重合体、 (C)一価のカチオンを有する電解質。 本発明に用いられる耐熱性共重合体樹脂においては、メ
タクリル系樹脂のすぐれた機械的性質と耐候性を保持す
るために、共重合体中のメチルメタクリレート単位量は
N−アリールマレイミド単位量に対し優位量にあること
が必要である。また、N−アリールマレイミドを単量体
混合物中に溶解させ、かつ重合の安定化を図ることを考
慮するならば、メチルメタクリレート99〜70重量%
及びN−アリールマレイミド1〜30重量%からなる単
量体混合物を共重合させることが必要である。メチルメ
タクリレートが99重量%を超えると耐熱性の向上の効
果が少ない。なお、本発明の目的を損わない限り、メチ
ルメタクリレートおよびN−アリールマレイミドと共重
合可能な単量体を少割合で共重合させることも可能であ
る。 【0017】本発明に用いられる耐熱性共重合体樹脂
は、成形材料として好ましい流動性を得るために25℃
のクロロホルム中で測定した固有粘度の値が0.3〜1
dl/gの範囲にあることが必要であり、0.35〜0.
8dl/gの範囲が好ましい。特に、光学用途で歪みの少
ない、外観の良い射出成形品を得るには0.35〜0.
60dl/gの範囲が最適であり、また、押出し成形する
場合には0.60〜0.80dl/gの範囲にあることが
望ましい。 【0018】本発明に用いられる耐熱性共重合体樹脂が
着色が少なくすぐれた外観を持つためには、一般に、共
重合体中の残存モノマーが1.5重量%以下であること
が必要であり、好ましくは1.0重量%以下である。よ
り詳しく言えば、残存N−アリールマレイミドについて
は、特に着色の原因になりやすく、0.3重量%以下と
することが必要であり、好ましくは0.2重量%以下で
ある。残存メチルメタクリレートは、シルバーや発泡等
加熱加工時揮発による外観を損ねる主原因となり、1.
0重量%以下とすることが必要であり、好ましくは0.
9重量%以下である。 【0019】用いられるN−アリールマレイミドとし
て、ハロゲン置換体は入手の容易性の点から、クロルお
よびブロム置換体であることが推奨される。かかるN−
アリールマレイミド単量体の例としては、N−(2−ク
ロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロムフェニ
ル)マレイミド、N−(4−クロルフェニル)マレイミ
ド、N−(2,4,6−トリクロルフェニル)マレイミ
ド等が挙げられる。 【0020】メチルメタクリレートおよびN−アリール
マレイミドからなる共重合体は、特公昭43−9753
にも記載されている如く、原理的には塊状、溶液乳化も
しくは懸濁重合により製造することができる。しかしな
がら、特にポリメチルメタクリレート樹脂に匹敵する、
すぐれた光学的性質を備えている樹脂を生産性良く安定
して製造するためには懸濁重合により製造するのが望ま
しい。 【0021】塊状重合では特殊な反応器、脱揮器を必要
とし、反応の制御が複雑である。溶液重合は塊状重合と
同様の欠点を有しかつ生産性は塊状重合に比較して劣
る。相対するセル内に単量体混合物もしくは部分重合混
合物を注入して重合させるシート重合法も一種の塊状重
合方法であるが、生産性が低く、また、成形材料として
使用するためには粉砕、再賦形等の工程を必要とし採用
されない。 【0022】乳化および懸濁重合は、装置面および重合
条件の制御には上記方式に比較し有利である。しかしな
がら、乳化重合では、単量体混合物を乳化するために多
量の乳化剤を必要とし、その結果共重合体にはにごりが
発生し、透明性も懸濁重合に比較して劣る。加えて、重
合系の安定性にも問題があり組成によっては反応中固化
する場合も多い。従って、本発明に用いられる耐熱性共
重合体樹脂は懸濁重合によって製造することが好まし
い。 【0023】重合に際しては、反応系を安定に分散せし
め、粒径のそろったポリマービーズを作ることは工業的
規模では特に重要である。また、用いた化合物によって
共重合体を着色させたりまたは汚染させないことも同様
に重要である。そのためには、前記した(A),(B)
および(C)の3成分、または(B)および(C)の2
成分の存在下に懸濁重合をすることが肝要である。 【0024】上記水溶性重合体(B)を構成する一成分
である、一般式(1)で表わされるアクリル酸またはメ
タクリル酸の誘導体(III)の例としては、メタクリル酸
2−スルフォエチルのナトリウム塩、メタクリル酸2−
スルフォプロピルのナトリウム塩、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸のカリウム塩などが挙
げられる。 【0025】一価のカチオンを有する電解質(C)とし
ては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸などの無
機酸のリチウム、ナトリウム、カリウムおよびアンモニ
ウム塩;炭素数1〜4の低級カルボン酸のリチウム、ナ
トリウム、カリウムおよびアンモニウム塩;ならびに脂
肪族および芳香族スルホン酸のリチウム、ナトリウム、
カリウムおよびアンモニウム塩などが挙げられる。 【0026】上記(A),(B),(C)の割合は、懸
濁重合すべき単量体100重量部に対し、(A)0〜1
重量部、(B)0.002〜1.0重量部、(C)0.
05〜10重量部であることが好ましい。(A)を併用
せずとも反応系の安定性は保たれるが壁面付着ポリマー
や巨大粒子の量の派生量の減少と粒子径の均一化のため
には併用することが好ましい。(B)のさらに好ましい
使用割合は0.003〜1.0重量部であり、0.00
1重量部未満では分散効果が不足し、また1重量部をこ
える量を用いても懸濁重合自体は円滑に行うことができ
るが分散効果はそれほど増大せず経済的にも得策ではな
い。(C)のより好ましい割合は0.15重量部の範囲
であり、この電解質の添加量が過少であると正常な球状
の粒子のほかに好ましくない不定形の粉末状ポリマーの
派生量が増加し、逆に、過大であると粒子径が大きくな
りすぎる傾向が顕著となり、遂には固化に至る。 【0027】他の公知の懸濁の方法のうち、例えば反応
系のpHが8をこすアルカリ性を示す分散系で重合を行う
方法では反応が進むにつれ分散系が不安定となり、固化
しやすく採用できない。CMC(カルボキシメチルセル
ロース)を用いた系は分散性が劣り、また、ポバールを
使用した場合も固化しやすく、又共重合体ににごりが残
り光学的に劣る製品が得られる。 【0028】難溶性無機塩(例えば、リン酸水素カルシ
ウム、第3リン酸カルシウム等)とアニオン界面活性剤
を併用分散剤として重合することも有力な懸濁重合の手
法であるが、分散系の安定性が単量体組成によっては悪
い場合もあり、また、酸洗浄を行う必要があるため共重
合体は分散剤による汚染や着色を回避し難い欠点があ
る。 【0029】上記の(A),(B)および(C)の3成
分または(B)および(C)の2成分よりなる分散剤を
用いて行なう懸濁重合は常法に従って行なえばよい。た
とえば、反応器中に水、(A),(B)及び(C)成分
よりなる分散剤ならびに重合開始剤、連鎖移動剤、所望
ならば染顔料等の助剤を溶解(混合)した単量体を仕込
み、攪拌下に分散状態で重合させる。単量体と重合開始
剤は重合前にその全量を反応器に仕込んでもよく、また
初期に一部を加え、重合の進行と共に単量体または重合
開始剤を連続的にあるいは断続的に加えてもよい。 【0030】また、上記の樹脂を製造するに際しては、
分子量を調節する目的でメルカプタン等の連鎖移動剤が
使用できる。使用されるメルカプタン類の例としては、
アルキル基または置換アルキル基を有する第1級、第2
級、第3級メルカプタン;例えばn−ブチルメルカプタ
ン、イソブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、 sec−ブチルメルカプ
タン、 sec−ドデシルメルカプタン、 tert.−ブチルメ
ルカプタン、 tert.−ドデシルメルカプタン;芳香族メ
ルカプタン、例えば、フェニルメルカプタン、チオクレ
ゾール、4− tert.−ブチル−o−チオクレゾール;チ
オグリコール酸とそのエステル;エチレングリコール等
の如き炭素数3〜18のメルカプタンが挙げられる。こ
れらは単独で、または2種以上を組合せて用いることが
できる。これらのメルカプタンのうち、 tert.−ブチル
メルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−オクチル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタンおよび tert.
−ドデシルメルカプタンが好ましい。メルカプタンを使
用する場合、その使用量は単量体に対して1モル%以下
である。1モル%をこえる場合は、分子量が小さくな
り、物性が低下する。 【0031】単量体に加える重合開始剤としては、公知
の油溶性のものを用いることができ、たとえば過酸化ア
セチル、過酸化プロピオニル、過酸化ブチリル、過酸化
カプリリル、過酸化オクタノイル、過酸化デカノイル、
過酸化ラウロイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾ
イル、過酸化−2,4−ジクロロベンゾイル等のジアシ
ルパーオキシド;t−ブチルパーアセテート、t−ブチ
ルパーピバレート、t−ブチルパーオクタノエート、t
−ブチルパーベンゾエート等のパーエステル;2,2′
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物が
挙げられる。 【0032】懸濁重合を行なう際の重合温度は用いる重
合開始剤の種類、量および単量体の種類等に依存して変
わるが、一般には50〜150℃の範囲内にある。ま
た、懸濁重合を行なう際の油相と水相の重量比は油相/
水相=1/10〜1/1の範囲内にあるが、好ましくは
1/1.2〜1/3の範囲内である。上記の製造法によ
って得られたポリマービーズは公知の方法で脱揮押出
し、賦形され、ペレット状とすることができる。この場
合ポリマービーズ中の残存N−アリールマレイミドは1
重量%以下にすることが樹脂の着色をおさえる点で特に
重要である。この残存単量体除去はポリマービーズ10
0重量部に対し100重量部以上の、ポリマービーズ非
溶解性溶媒で洗浄することにより達成される。溶媒が1
00重量部未満では洗浄効果は少なく、また、1000
重量部を超えても洗浄は可能であるが、洗浄効果は上ら
ず、経済的に不利である。洗浄温度は常温〜100℃の
範囲が用いられ、特に35〜70℃の範囲が好ましい。
溶媒の例としてメタノール、エタノール、ヘキサン等が
挙げられる。特にメタノールを用いることが好ましい。 【0033】本発明に用いる樹脂においては、品種およ
び品質上の要求から、必要に応じて他の少量のコモノマ
ーの併用、可塑剤、架橋剤、熱安定剤、着色剤、紫外線
吸収剤および離型剤等を添加することもできる。 【0034】 【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳しく説明
する。実施例中の部は重量部を、%は重量%をそれぞれ
示す。また、(A)および(B)両分散剤は下記により
合成した。 分散剤の(A)成分の合成例 (A−1)メタクリル酸メチル30g、メタクリル酸カ
リ70g、脱イオン水400gを内容積2000mlのフ
ラスコ中で窒素雰囲気下に攪拌しながら70℃に昇温
し、10mlの脱イオン水に溶解した過硫酸アンモニウム
0.1gを添加し、80℃迄昇温した。6時間後水49
0gを加えて稀釈し、冷却してポリマー濃度約10%、
粘度約370cp(25℃)の白濁した溶液が得られた。 【0035】(A−2)アクリル酸エチル35g、メタ
クリル酸アンモニウム65gを用いるほかは全く(A−
1)と同様にして粘度約260cpの白濁した溶液を得
た。 (A−3)アクリル酸ブチル25g、メタクリル酸カリ
75gを用いる他は全く(A−1)と同様にして粘度約
190cpの白濁した溶液を得た。 分散剤の(B)成分の合成例 (B−1)メタクリル酸2−スルフォエチルのナトリウ
ム塩100g、脱イオン水900gを内容積2000ml
のフラスコ中で窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃に昇
温し、過硫酸アンモニウム0.1gを加えて60℃に昇
温した。6時間後冷却して粘度約840cpを有する透明
な溶液を得た。 【0036】(B−2)メタクリル酸2−スルフォエチ
ルのナトリウム塩80g、メタクリル酸メチル20gを
用いる他は全く(B−1)と同様して粘度約670cpの
やや白濁した溶液を得た。 (B−3)メタクリル酸2−スルフォプロピルのナトリ
ウム塩60g、メタアクリル酸カリウム10g、メタア
クリル酸エチル30gを用いる他は全く(B−1)と同
様にして粘度約800cpの白濁した溶液を得た。 【0037】実施例中の諸特性の評価は下記の規格に準
拠して実施した。 VSP(ビカート軟化度) ASTM D1525 HDT(熱変形温度) ASTM D648 全光線透過率 ASTM D1003 平行光線透過率 ASTM D1003 曇価 ASTM D1003 MFR(流動性、230℃、荷重10kg) ASTM D1238 引張強度 ASTM D638 引張伸度 ASTM D638 アイゾット衝撃強度 ASTM D−256 実施例1 内容積5000mlのフラスコ中に2700gの脱イオン
水及び、B−1、0.54g及び硫酸ナトリウム9gの
分散剤成分を仕込み、メチルメタクリレート80部、N
−(2−クロロフェニル)マレイミド20部、N−オク
チルメルカプタン0.23部、アゾビスイソブチロニト
リル0.1部からなるモノマー溶液1800gを仕込
み、実質的に酸素を除いた状態で350rpm で攪拌しな
がら80℃に2時間加熱して懸濁重合を行った。 【0038】重合系は重合終了まで安定しており、巨大
粒子やフラスコ壁面及び攪拌翼に付着するポリマーある
いは水面上部に浮遊するポリマービーズはほとんど認め
られず、平均径0.29mmの粒度のそろったポリマービ
ーズが得られた。脱水、乾燥後のポリマービーズ中に
は、残存モノマーとしてメチルメタクリレート1.4
%、及びN−(2−クロロフェニル)マレイミド1.1
%が常法によりガスクロマトグラフィーにより測定され
た。 【0039】このポリマービーズ100部に対しメタノ
ール500部を加え、攪拌し、40℃に1時間加熱し、
ロ過し、乾燥をおこなった。二次凝集は特に認められな
かった。残存モノマーはいずれも0.2%以下となっ
た。このポリマービーズを2ベント付小型2軸押出機で
250℃で押出し、賦型し、物性評価に用いた。このペ
レットのクロロホルム中25℃で測定した固有粘度は
0.53dl/gで加圧成形品のVSP及びHDTはそれ
ぞれ137℃,120℃であった。流動性MFRは3.
5g/10分であった。250℃で成形し、光学的性質
及び機械的性質を測定した結果以下の値を得た。 【0040】 全光線透過率 91.0% 曇価 1.1% 板厚 2mm 引張強度 548kg/cm2 引張伸度 1.6% アイゾット衝撃強度 1.2kgcm/cm
(ミルドノッチ) 以上よりアクリル成形材料としての物性を保持し、耐熱
性が著しく改善されていることが明確である。また、吸
水率はアクリル成形材料アクリペットVH(三菱レイヨ
ン(株)製)より低水準にあり、吸水による変形も少な
く、光学用光素として有利に使用できるものであった。 【0041】このペレットを用い、中心肉厚3mmのレン
ズを成形した。屈折率ηD =1.517、分散νD =4
7.8であり、透明で、着色は認められず、光学的歪も
ほとんどなく、型の反転性も良好であり、100℃でも
充分使用に耐えるものであった。実施例2 実施例1と同じ装置を用い表1に示す分散剤成分を仕込
み、また、モノマー相にはメチルメタクリレート80
部、N−フェニルマレイミド20部、n−オクチルメル
カプタン0.22部、アゾビスイソブチロニトリル0.
1部を用いる以外は実施例1と同様に懸濁重合を行い表
1の結果を得た。 【0042】 【表1】 【0043】実施例2のポリマーを実施例1と同様に評
価し、表2の結果を得た。 【0044】 【表2】【0045】また、このペレットを用い2mm(t)×1
10×110mmの試片を射出成形し、タクボ精機製HD
−30W手摺機を用い研削性の評価を実施した。ポリマ
ーの付着は認められず、良好な研削性が得られ、研削に
よりレンズ加工も可能であった。なお、対比に用いたア
クリル樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)
にはポリマーの付着物が認められた。 【0046】なお、実施例1〜2の押出賦形の際に離型
剤としてステアリン酸モノグリセライドをポリマービー
ズ100部に対して0.1部ブレンドした。実施例3〜4 内容積50lの耐圧重合釜を用い、30kgの脱イオン水
及び表3に示す各種分散成分を仕込み、また、モノマー
相組成も表2に示す割合で調製し、15kgを仕込み18
0rpm で攪拌しながら、窒素を10l/min の流量で2
0分間バブリングさせた後80℃で2時間加熱し、懸濁
重合させ、さらに105℃に昇温し、15分間保持し、
後処理を実施してから冷却し、乾燥した。得られたポリ
マービーズを実施例1と同様にメタノール洗浄を実施
し、ロ過、乾燥後、実施例1と同様に押出し賦形し、ペ
レットを得た。 【0047】得られたポリマーの物性評価結果を表4に
示す。 【0048】 【表3】【0049】 【表4】【0050】実施例3の2mmt射出成形試片を用いてス
ガ(株)製耐候試験機で温度60℃、カーボンアーク
灯、1時間当り12分降雨の条件下で1000時間の加
速曝露試験を実施したが、外観にほとんど変化を認め
ず、耐候性にすぐれるものであった。 【0051】実施例3の3mmt射出成形試片を100℃
の純水中に4時間浸漬し白化の程度を目視判断した結
果、特に変化は認められず、耐煮沸性も良好であった。
以上より、本発明の樹脂組成物は、アクリル系樹脂とし
ての特性を充分保持していることが確認できる。 【0052】 【発明の効果】本発明の光学用素子は、特にレンズ用と
して、屈折率が高く、耐熱性が高く、低吸湿性であり、
レンズ用として必要な表面性、加工性に秀れているた
め、形態安定性、使用雰囲気がアクリル樹脂よりも広く
有利に使用できるので、例えば、ピックアップレンズ、
めがね用レンズ、カメラ用レンズ、プロジェクター用フ
レネルレンズ等として有利に用いることができ、また、
光ディスク用の基板や光伝送性繊維の芯またはさや材と
しても用いられる。
さらに詳しくは、本発明は、メチルメタクリレートおよ
びN−アリールマレイミドからなる共重合体よりなる透
明性及び耐熱性にすぐれた、メタクリル系共重合体樹脂
からなる光学用素子に関する。 【0002】 【従来の技術】メタクリル酸メチルを主成分とするメタ
クリル樹脂は光学的性質および耐候性に極めて優れ、か
つ機械的性質、熱的性質ならびに成形加工性などにおい
ても比較的バランスのとれた性能を有しているため、こ
れらの特性を生かして看板、照明用カバー、銘板、自動
車部品、電気機器部品、装飾用あるいは雑貨品など多く
の分野で広く使用されており、更に用途開発も進められ
ている。 【0003】しかし、一面では熱変形温度が100℃前
後と、耐熱性が充分でないために、その用途展開が制約
されている分野もかなりあり、耐熱性の向上に対する要
求には根強いものがある。メタクリル樹脂の耐熱性を改
善させる方法についてはすでに多くの提案がなされてい
る。例えば、メチルメタクリレートとα−メチルスチレ
ンを共重合させる方法、メチルメタクリレート、α−メ
チルスチレンおよび無水マレイン酸を共重合させる方法
(特公昭49−10156号)、メチルメタクリレー
ト、α−メチルスチレンおよびマレイミドを共重合させ
る方法、多官能単量体を用いた架橋ポリマーの存在下で
メチルメタクリレートを共重合させる方法、メチルメタ
クリレートとメタクリル酸を共重合させる方法、メチル
メタクリレート、α−メチルスチレンおよびアクリロニ
トリルを共重合させる方法などが提案されている。しか
しながら、上記提案の方法では、耐熱性はある程度改善
されるものの、重合速度が極めて小さいため生産性が著
しく低い、機械的性質、耐候性および光学的性質が低
い、また成形品が著しく着色したり、あるいは成形領域
が狭いために、成形加工性が悪いなど実用化において多
くの問題点が残されているのが現状である。 【0004】また、メチルメタクリレートとN−アリー
ルマレイミドを共重合させる方法(特公昭43−975
3号)も提案されているが、この方法によって得られる
樹脂は、メタクリル系樹脂が本来有する優れた機械的性
質や耐候性が損われ、また、単量体の共重合性が異るた
め残存単量体量が多く、従って、成形性が悪く、外観が
損なわれ、着色した製品しか得られない。さらに、重合
方法によってはにごりも著しく、メタクリル樹脂が本来
有する透明性が損われる。 【0005】結局、従来提案された方法はいずれも実用
性に乏しく、特に光学用途の場合には、採用されるには
至っていないのが現状である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
メチルメタクリレート樹脂に匹敵する、すぐれた光学的
性質、機械的性質、耐候性および成形加工性を具備して
いるだけでなく、すぐれた耐熱性と生産性を有するアク
リル系共重合体樹脂からなる光学用素子を提供するにあ
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る光学用素子
は、下式(1) 【0008】 【化3】【0009】で示されるメチルメタクリレート単位99
〜70重量%および下式(2) 【0010】 【化4】 【0011】(式中、R1 ,R2 ,R3 は水素またはハ
ロゲンを示す。)で示されるN−アリールマレイミド1
〜30重量%からなる共重合体であって、25℃クロロ
ホルム中で測定した固有粘度が0.3〜1.0dl/gで
あり、共重合体100重量%に対して共重合体中の残存
メチルメタクリレート量が1.0重量%以下かつ残存N
−アリールマレイミド量が0.3重量%以下である耐熱
性共重合体樹脂からなることを特徴とする。 【0012】上述のような耐熱性共重合体樹脂は、メチ
ルメタクリレート99〜70重量%および下式(3) 【0013】 【化5】 【0014】(式中、R1 ,R2 ,R3 は水素またはハ
ロゲンを示す。)で示されるN−アリールマレイミド1
〜30重量%からなる単量体混合物を、下記(B)成分
と(C)成分および所望により(A)成分の存在下に懸
濁重合を行うことにより製造することができる。 (A)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有するアク
リル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸ア
ルキルエステル(I)0〜60重量%と、アクリル酸お
よび/またはメタクリル酸のリチウム、ナトリウム、カ
リウムおよびアンモニウム塩からなる群より選ばれたア
クリル酸および/またはメタクリル酸の塩(II)100
〜40重量%を重合させることによって得られる水溶性
重合体、 (B)(a)炭素数1〜12のアルキル基を有するアク
リル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸ア
ルキルエステル(I)0〜60重量%と(b)アクリル
酸および/またはメタクリル酸のリチウム、ナトリウ
ム、カリウムおよびアンモニウム塩から成る群より選ば
れた少なくとも1種のアクリル酸および/またはメタク
リル酸の塩(II)0〜20重量%と(c)一般式 【0015】 【化6】【0016】で表わされるアクリル酸誘導体もしくはメ
タクリル酸誘導体(III)100〜20重量%とを重合さ
せることによって得られる水溶性重合体、 (C)一価のカチオンを有する電解質。 本発明に用いられる耐熱性共重合体樹脂においては、メ
タクリル系樹脂のすぐれた機械的性質と耐候性を保持す
るために、共重合体中のメチルメタクリレート単位量は
N−アリールマレイミド単位量に対し優位量にあること
が必要である。また、N−アリールマレイミドを単量体
混合物中に溶解させ、かつ重合の安定化を図ることを考
慮するならば、メチルメタクリレート99〜70重量%
及びN−アリールマレイミド1〜30重量%からなる単
量体混合物を共重合させることが必要である。メチルメ
タクリレートが99重量%を超えると耐熱性の向上の効
果が少ない。なお、本発明の目的を損わない限り、メチ
ルメタクリレートおよびN−アリールマレイミドと共重
合可能な単量体を少割合で共重合させることも可能であ
る。 【0017】本発明に用いられる耐熱性共重合体樹脂
は、成形材料として好ましい流動性を得るために25℃
のクロロホルム中で測定した固有粘度の値が0.3〜1
dl/gの範囲にあることが必要であり、0.35〜0.
8dl/gの範囲が好ましい。特に、光学用途で歪みの少
ない、外観の良い射出成形品を得るには0.35〜0.
60dl/gの範囲が最適であり、また、押出し成形する
場合には0.60〜0.80dl/gの範囲にあることが
望ましい。 【0018】本発明に用いられる耐熱性共重合体樹脂が
着色が少なくすぐれた外観を持つためには、一般に、共
重合体中の残存モノマーが1.5重量%以下であること
が必要であり、好ましくは1.0重量%以下である。よ
り詳しく言えば、残存N−アリールマレイミドについて
は、特に着色の原因になりやすく、0.3重量%以下と
することが必要であり、好ましくは0.2重量%以下で
ある。残存メチルメタクリレートは、シルバーや発泡等
加熱加工時揮発による外観を損ねる主原因となり、1.
0重量%以下とすることが必要であり、好ましくは0.
9重量%以下である。 【0019】用いられるN−アリールマレイミドとし
て、ハロゲン置換体は入手の容易性の点から、クロルお
よびブロム置換体であることが推奨される。かかるN−
アリールマレイミド単量体の例としては、N−(2−ク
ロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロムフェニ
ル)マレイミド、N−(4−クロルフェニル)マレイミ
ド、N−(2,4,6−トリクロルフェニル)マレイミ
ド等が挙げられる。 【0020】メチルメタクリレートおよびN−アリール
マレイミドからなる共重合体は、特公昭43−9753
にも記載されている如く、原理的には塊状、溶液乳化も
しくは懸濁重合により製造することができる。しかしな
がら、特にポリメチルメタクリレート樹脂に匹敵する、
すぐれた光学的性質を備えている樹脂を生産性良く安定
して製造するためには懸濁重合により製造するのが望ま
しい。 【0021】塊状重合では特殊な反応器、脱揮器を必要
とし、反応の制御が複雑である。溶液重合は塊状重合と
同様の欠点を有しかつ生産性は塊状重合に比較して劣
る。相対するセル内に単量体混合物もしくは部分重合混
合物を注入して重合させるシート重合法も一種の塊状重
合方法であるが、生産性が低く、また、成形材料として
使用するためには粉砕、再賦形等の工程を必要とし採用
されない。 【0022】乳化および懸濁重合は、装置面および重合
条件の制御には上記方式に比較し有利である。しかしな
がら、乳化重合では、単量体混合物を乳化するために多
量の乳化剤を必要とし、その結果共重合体にはにごりが
発生し、透明性も懸濁重合に比較して劣る。加えて、重
合系の安定性にも問題があり組成によっては反応中固化
する場合も多い。従って、本発明に用いられる耐熱性共
重合体樹脂は懸濁重合によって製造することが好まし
い。 【0023】重合に際しては、反応系を安定に分散せし
め、粒径のそろったポリマービーズを作ることは工業的
規模では特に重要である。また、用いた化合物によって
共重合体を着色させたりまたは汚染させないことも同様
に重要である。そのためには、前記した(A),(B)
および(C)の3成分、または(B)および(C)の2
成分の存在下に懸濁重合をすることが肝要である。 【0024】上記水溶性重合体(B)を構成する一成分
である、一般式(1)で表わされるアクリル酸またはメ
タクリル酸の誘導体(III)の例としては、メタクリル酸
2−スルフォエチルのナトリウム塩、メタクリル酸2−
スルフォプロピルのナトリウム塩、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸のカリウム塩などが挙
げられる。 【0025】一価のカチオンを有する電解質(C)とし
ては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸などの無
機酸のリチウム、ナトリウム、カリウムおよびアンモニ
ウム塩;炭素数1〜4の低級カルボン酸のリチウム、ナ
トリウム、カリウムおよびアンモニウム塩;ならびに脂
肪族および芳香族スルホン酸のリチウム、ナトリウム、
カリウムおよびアンモニウム塩などが挙げられる。 【0026】上記(A),(B),(C)の割合は、懸
濁重合すべき単量体100重量部に対し、(A)0〜1
重量部、(B)0.002〜1.0重量部、(C)0.
05〜10重量部であることが好ましい。(A)を併用
せずとも反応系の安定性は保たれるが壁面付着ポリマー
や巨大粒子の量の派生量の減少と粒子径の均一化のため
には併用することが好ましい。(B)のさらに好ましい
使用割合は0.003〜1.0重量部であり、0.00
1重量部未満では分散効果が不足し、また1重量部をこ
える量を用いても懸濁重合自体は円滑に行うことができ
るが分散効果はそれほど増大せず経済的にも得策ではな
い。(C)のより好ましい割合は0.15重量部の範囲
であり、この電解質の添加量が過少であると正常な球状
の粒子のほかに好ましくない不定形の粉末状ポリマーの
派生量が増加し、逆に、過大であると粒子径が大きくな
りすぎる傾向が顕著となり、遂には固化に至る。 【0027】他の公知の懸濁の方法のうち、例えば反応
系のpHが8をこすアルカリ性を示す分散系で重合を行う
方法では反応が進むにつれ分散系が不安定となり、固化
しやすく採用できない。CMC(カルボキシメチルセル
ロース)を用いた系は分散性が劣り、また、ポバールを
使用した場合も固化しやすく、又共重合体ににごりが残
り光学的に劣る製品が得られる。 【0028】難溶性無機塩(例えば、リン酸水素カルシ
ウム、第3リン酸カルシウム等)とアニオン界面活性剤
を併用分散剤として重合することも有力な懸濁重合の手
法であるが、分散系の安定性が単量体組成によっては悪
い場合もあり、また、酸洗浄を行う必要があるため共重
合体は分散剤による汚染や着色を回避し難い欠点があ
る。 【0029】上記の(A),(B)および(C)の3成
分または(B)および(C)の2成分よりなる分散剤を
用いて行なう懸濁重合は常法に従って行なえばよい。た
とえば、反応器中に水、(A),(B)及び(C)成分
よりなる分散剤ならびに重合開始剤、連鎖移動剤、所望
ならば染顔料等の助剤を溶解(混合)した単量体を仕込
み、攪拌下に分散状態で重合させる。単量体と重合開始
剤は重合前にその全量を反応器に仕込んでもよく、また
初期に一部を加え、重合の進行と共に単量体または重合
開始剤を連続的にあるいは断続的に加えてもよい。 【0030】また、上記の樹脂を製造するに際しては、
分子量を調節する目的でメルカプタン等の連鎖移動剤が
使用できる。使用されるメルカプタン類の例としては、
アルキル基または置換アルキル基を有する第1級、第2
級、第3級メルカプタン;例えばn−ブチルメルカプタ
ン、イソブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、 sec−ブチルメルカプ
タン、 sec−ドデシルメルカプタン、 tert.−ブチルメ
ルカプタン、 tert.−ドデシルメルカプタン;芳香族メ
ルカプタン、例えば、フェニルメルカプタン、チオクレ
ゾール、4− tert.−ブチル−o−チオクレゾール;チ
オグリコール酸とそのエステル;エチレングリコール等
の如き炭素数3〜18のメルカプタンが挙げられる。こ
れらは単独で、または2種以上を組合せて用いることが
できる。これらのメルカプタンのうち、 tert.−ブチル
メルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−オクチル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタンおよび tert.
−ドデシルメルカプタンが好ましい。メルカプタンを使
用する場合、その使用量は単量体に対して1モル%以下
である。1モル%をこえる場合は、分子量が小さくな
り、物性が低下する。 【0031】単量体に加える重合開始剤としては、公知
の油溶性のものを用いることができ、たとえば過酸化ア
セチル、過酸化プロピオニル、過酸化ブチリル、過酸化
カプリリル、過酸化オクタノイル、過酸化デカノイル、
過酸化ラウロイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾ
イル、過酸化−2,4−ジクロロベンゾイル等のジアシ
ルパーオキシド;t−ブチルパーアセテート、t−ブチ
ルパーピバレート、t−ブチルパーオクタノエート、t
−ブチルパーベンゾエート等のパーエステル;2,2′
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物が
挙げられる。 【0032】懸濁重合を行なう際の重合温度は用いる重
合開始剤の種類、量および単量体の種類等に依存して変
わるが、一般には50〜150℃の範囲内にある。ま
た、懸濁重合を行なう際の油相と水相の重量比は油相/
水相=1/10〜1/1の範囲内にあるが、好ましくは
1/1.2〜1/3の範囲内である。上記の製造法によ
って得られたポリマービーズは公知の方法で脱揮押出
し、賦形され、ペレット状とすることができる。この場
合ポリマービーズ中の残存N−アリールマレイミドは1
重量%以下にすることが樹脂の着色をおさえる点で特に
重要である。この残存単量体除去はポリマービーズ10
0重量部に対し100重量部以上の、ポリマービーズ非
溶解性溶媒で洗浄することにより達成される。溶媒が1
00重量部未満では洗浄効果は少なく、また、1000
重量部を超えても洗浄は可能であるが、洗浄効果は上ら
ず、経済的に不利である。洗浄温度は常温〜100℃の
範囲が用いられ、特に35〜70℃の範囲が好ましい。
溶媒の例としてメタノール、エタノール、ヘキサン等が
挙げられる。特にメタノールを用いることが好ましい。 【0033】本発明に用いる樹脂においては、品種およ
び品質上の要求から、必要に応じて他の少量のコモノマ
ーの併用、可塑剤、架橋剤、熱安定剤、着色剤、紫外線
吸収剤および離型剤等を添加することもできる。 【0034】 【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳しく説明
する。実施例中の部は重量部を、%は重量%をそれぞれ
示す。また、(A)および(B)両分散剤は下記により
合成した。 分散剤の(A)成分の合成例 (A−1)メタクリル酸メチル30g、メタクリル酸カ
リ70g、脱イオン水400gを内容積2000mlのフ
ラスコ中で窒素雰囲気下に攪拌しながら70℃に昇温
し、10mlの脱イオン水に溶解した過硫酸アンモニウム
0.1gを添加し、80℃迄昇温した。6時間後水49
0gを加えて稀釈し、冷却してポリマー濃度約10%、
粘度約370cp(25℃)の白濁した溶液が得られた。 【0035】(A−2)アクリル酸エチル35g、メタ
クリル酸アンモニウム65gを用いるほかは全く(A−
1)と同様にして粘度約260cpの白濁した溶液を得
た。 (A−3)アクリル酸ブチル25g、メタクリル酸カリ
75gを用いる他は全く(A−1)と同様にして粘度約
190cpの白濁した溶液を得た。 分散剤の(B)成分の合成例 (B−1)メタクリル酸2−スルフォエチルのナトリウ
ム塩100g、脱イオン水900gを内容積2000ml
のフラスコ中で窒素雰囲気下に攪拌しながら50℃に昇
温し、過硫酸アンモニウム0.1gを加えて60℃に昇
温した。6時間後冷却して粘度約840cpを有する透明
な溶液を得た。 【0036】(B−2)メタクリル酸2−スルフォエチ
ルのナトリウム塩80g、メタクリル酸メチル20gを
用いる他は全く(B−1)と同様して粘度約670cpの
やや白濁した溶液を得た。 (B−3)メタクリル酸2−スルフォプロピルのナトリ
ウム塩60g、メタアクリル酸カリウム10g、メタア
クリル酸エチル30gを用いる他は全く(B−1)と同
様にして粘度約800cpの白濁した溶液を得た。 【0037】実施例中の諸特性の評価は下記の規格に準
拠して実施した。 VSP(ビカート軟化度) ASTM D1525 HDT(熱変形温度) ASTM D648 全光線透過率 ASTM D1003 平行光線透過率 ASTM D1003 曇価 ASTM D1003 MFR(流動性、230℃、荷重10kg) ASTM D1238 引張強度 ASTM D638 引張伸度 ASTM D638 アイゾット衝撃強度 ASTM D−256 実施例1 内容積5000mlのフラスコ中に2700gの脱イオン
水及び、B−1、0.54g及び硫酸ナトリウム9gの
分散剤成分を仕込み、メチルメタクリレート80部、N
−(2−クロロフェニル)マレイミド20部、N−オク
チルメルカプタン0.23部、アゾビスイソブチロニト
リル0.1部からなるモノマー溶液1800gを仕込
み、実質的に酸素を除いた状態で350rpm で攪拌しな
がら80℃に2時間加熱して懸濁重合を行った。 【0038】重合系は重合終了まで安定しており、巨大
粒子やフラスコ壁面及び攪拌翼に付着するポリマーある
いは水面上部に浮遊するポリマービーズはほとんど認め
られず、平均径0.29mmの粒度のそろったポリマービ
ーズが得られた。脱水、乾燥後のポリマービーズ中に
は、残存モノマーとしてメチルメタクリレート1.4
%、及びN−(2−クロロフェニル)マレイミド1.1
%が常法によりガスクロマトグラフィーにより測定され
た。 【0039】このポリマービーズ100部に対しメタノ
ール500部を加え、攪拌し、40℃に1時間加熱し、
ロ過し、乾燥をおこなった。二次凝集は特に認められな
かった。残存モノマーはいずれも0.2%以下となっ
た。このポリマービーズを2ベント付小型2軸押出機で
250℃で押出し、賦型し、物性評価に用いた。このペ
レットのクロロホルム中25℃で測定した固有粘度は
0.53dl/gで加圧成形品のVSP及びHDTはそれ
ぞれ137℃,120℃であった。流動性MFRは3.
5g/10分であった。250℃で成形し、光学的性質
及び機械的性質を測定した結果以下の値を得た。 【0040】 全光線透過率 91.0% 曇価 1.1% 板厚 2mm 引張強度 548kg/cm2 引張伸度 1.6% アイゾット衝撃強度 1.2kgcm/cm
(ミルドノッチ) 以上よりアクリル成形材料としての物性を保持し、耐熱
性が著しく改善されていることが明確である。また、吸
水率はアクリル成形材料アクリペットVH(三菱レイヨ
ン(株)製)より低水準にあり、吸水による変形も少な
く、光学用光素として有利に使用できるものであった。 【0041】このペレットを用い、中心肉厚3mmのレン
ズを成形した。屈折率ηD =1.517、分散νD =4
7.8であり、透明で、着色は認められず、光学的歪も
ほとんどなく、型の反転性も良好であり、100℃でも
充分使用に耐えるものであった。実施例2 実施例1と同じ装置を用い表1に示す分散剤成分を仕込
み、また、モノマー相にはメチルメタクリレート80
部、N−フェニルマレイミド20部、n−オクチルメル
カプタン0.22部、アゾビスイソブチロニトリル0.
1部を用いる以外は実施例1と同様に懸濁重合を行い表
1の結果を得た。 【0042】 【表1】 【0043】実施例2のポリマーを実施例1と同様に評
価し、表2の結果を得た。 【0044】 【表2】【0045】また、このペレットを用い2mm(t)×1
10×110mmの試片を射出成形し、タクボ精機製HD
−30W手摺機を用い研削性の評価を実施した。ポリマ
ーの付着は認められず、良好な研削性が得られ、研削に
よりレンズ加工も可能であった。なお、対比に用いたア
クリル樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)
にはポリマーの付着物が認められた。 【0046】なお、実施例1〜2の押出賦形の際に離型
剤としてステアリン酸モノグリセライドをポリマービー
ズ100部に対して0.1部ブレンドした。実施例3〜4 内容積50lの耐圧重合釜を用い、30kgの脱イオン水
及び表3に示す各種分散成分を仕込み、また、モノマー
相組成も表2に示す割合で調製し、15kgを仕込み18
0rpm で攪拌しながら、窒素を10l/min の流量で2
0分間バブリングさせた後80℃で2時間加熱し、懸濁
重合させ、さらに105℃に昇温し、15分間保持し、
後処理を実施してから冷却し、乾燥した。得られたポリ
マービーズを実施例1と同様にメタノール洗浄を実施
し、ロ過、乾燥後、実施例1と同様に押出し賦形し、ペ
レットを得た。 【0047】得られたポリマーの物性評価結果を表4に
示す。 【0048】 【表3】【0049】 【表4】【0050】実施例3の2mmt射出成形試片を用いてス
ガ(株)製耐候試験機で温度60℃、カーボンアーク
灯、1時間当り12分降雨の条件下で1000時間の加
速曝露試験を実施したが、外観にほとんど変化を認め
ず、耐候性にすぐれるものであった。 【0051】実施例3の3mmt射出成形試片を100℃
の純水中に4時間浸漬し白化の程度を目視判断した結
果、特に変化は認められず、耐煮沸性も良好であった。
以上より、本発明の樹脂組成物は、アクリル系樹脂とし
ての特性を充分保持していることが確認できる。 【0052】 【発明の効果】本発明の光学用素子は、特にレンズ用と
して、屈折率が高く、耐熱性が高く、低吸湿性であり、
レンズ用として必要な表面性、加工性に秀れているた
め、形態安定性、使用雰囲気がアクリル樹脂よりも広く
有利に使用できるので、例えば、ピックアップレンズ、
めがね用レンズ、カメラ用レンズ、プロジェクター用フ
レネルレンズ等として有利に用いることができ、また、
光ディスク用の基板や光伝送性繊維の芯またはさや材と
しても用いられる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.下式(1) 【化1】 で示されるメチルメタクリレート単位99〜70重量%
および下式(2) 【化2】(式中、R1 ,R2 ,R3 は水素またはハロゲンを示
す。)で示されるN−アリールマレイミド1〜30重量
%からなる共重合体であって、25℃クロロホルム中で
測定した固有粘度が0.3〜1.0dl/gであり、共重
合体100重量%に対して共重合体中の残存メチルメタ
クリレート量が1.0重量%以下かつ残存N−アリール
マレイミド量が0.3重量%以下である耐熱性共重合体
樹脂からなることを特徴とする光学用素子。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5949210A (ja) * | 1982-09-14 | 1984-03-21 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 耐熱性に優れた共重合体 |
JPS6195011A (ja) * | 1984-10-17 | 1986-05-13 | Toray Ind Inc | 光デイスク基板 |
JPH0582406A (ja) * | 1991-09-21 | 1993-04-02 | Sony Corp | 作業順設定装置 |
-
1994
- 1994-10-24 JP JP6258160A patent/JP2778917B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07179527A (ja) | 1995-07-18 |
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