JP6597403B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
[1]アクリル酸エステル系単量体(a)97〜99.5重量%と多官能性単量体(b)0.5〜3重量%を共重合して得られる、体積平均粒子径が0.10〜0.30μmであるアクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(c)およびシアン化ビニル系単量体(d)を含む単量体混合物(B)をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(I)と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)50〜100重量%を含む単量体または単量体混合物(C)を重合または共重合して得られる(メタ)アクリル系(共)重合体(II)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(I)と(メタ)アクリル系(共)重合体(II)の合計100重量部に対してグラフト共重合体(I)30〜70重量部および(メタ)アクリル系(共)重合体(II)30〜70重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であり、前記グラフト共重合体(I)が、アクリル系ゴム質重合体(A)のトルエン中におけるゲル膨潤度(α)の、グラフト共重合体(I)のグラフト率(β)に対する比((α)/(β))が下記式(1)を満たすものであり、かつ、該熱可塑性樹脂組成物中において、グラフト共重合体(I)の粒子が凝集した構造を有する熱可塑性樹脂組成物。
0.4≦(α)/(β)≦2.0 (1)
[2]前記アクリル系ゴム質重合体(A)のトルエン中におけるゲル膨潤度が10倍以上である[1]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記グラフト共重合体(I)のグラフト率が5〜40%である[1]または[2]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記(メタ)アクリル系(共)重合体(II)が、少なくとも不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)を50〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(d)を3〜20重量%含む単量体混合物(C)を共重合して得られる[1]〜[3]のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
ゲル膨潤度(倍)=(y)/(z)。
ゲル含有率(重量%)=([z]/[x])×100。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100。
各参考例において得られたゴム質重合体ラテックスを水媒体で希釈、分散させ、レーザ散乱回折法粒度分布測定装置“LS 13 320”(ベックマン・コールター株式会社)により体積平均粒子径を測定した。
メタノール中に各参考例において得られたゴム質重合体ラテックス、続いて硫酸を添加し、脱水・洗浄によりゴム質重合体の固形物を得た。得られたゴム質重合体固形物を80℃で3時間真空乾燥を行った後、所定量(x;約1g)をトルエンに24時間含浸させ、膨潤サンプルの重量(y[g])を測定した。また、膨潤サンプルを80℃で3時間真空乾燥を行った後、乾燥サンプル重量(z[g])を測定した。ゲル含有率、ゲル膨潤度を下記式より算出した。
ゲル膨潤度(倍)=[y]/[z]
ゲル含有率(%)=([z]/[x])×100。
各参考例において得られたグラフト共重合体を80℃で3時間真空乾燥し、所定量(m;約1.5g)を採取した。ここにアセトニトリル100mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を9000rpmで40分間遠心分離した後、不溶分を濾過した。この不溶分を80℃で5時間真空乾燥し、重量(n[g])を測定した。グラフト率は下記式より算出した。ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率(重量%)(すなわち、グラフト共重合体中のアクリル系ゴム質重合体の含有率(重量%))である。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100。
各参考例により得られた(メタ)アクリル系(共)重合体について、Water社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用い、検出器として示差屈折計(Water2414)、カラムとしてポリマーラボラトリーズ社製MIXED−B(2本)、留出液としてテトラヒドロフランを用いて、流速1ml/min、カラム温度40℃の条件で、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量を測定した。
各実施例および比較例により得られた、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)を用いて、ISO179−1:2010に従って、シャルピー衝撃強度を測定した。8個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO1133−1:2011(220℃、98N)に準拠した方法でメルトフローレートを測定した。
[色調変化]
各実施例および比較例により得られた厚さ3mmの角板試験片に対して、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製WEL−SUN−HCH型)を用いて、ブラックパネル温度63℃、サイクル60分(降雨12分)、放射照度80W/m2の条件下で、波長300〜400nmの紫外線を照射する耐候性試験を1000時間実施し、耐候性試験実施前後の色差(ΔE)を測定した。
[衝撃強度の保持率]
各実施例および比較例により得られた、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)に対して、ISO179−1:2010に従って、ノッチを入れた。ノッチ面を照射側にセットし、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製WEL−SUN−HCH型)を用いて、ブラックパネル温度63℃、サイクル60分(降雨12分)、放射照度80W/m2の条件下で、波長300〜400nmの紫外線を照射する耐候性試験を1000時間実施した後、ISO179−1:2010に従って、シャルピー衝撃強度を測定した。8個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。前記(5)により得られた値を初期値(Sb)、照射後の値を(Sa)として、照射後の保持率を下記式より算出した。
保持率(%)=(Sa)/(Sb)×100。
各実施例および比較例により得られた、ISO3167:2002で規定された多目的試験片A形(全長150mm、試験部の幅10mm、厚さ4mm)の狭い部分を約60nmの厚さに薄切りし、四酸化ルテニウムで染色した試料を透過型電子顕微鏡(倍率:20,000倍、観察範囲:5μm×5μm)にて観察を行い、グラフト共重合体の凝集状態を以下のように判別した。
y:グラフト共重合体粒子同士が凝集している
n:グラフト共重合体粒子同士が凝集していない。
実施例2、13および14により得られたペレット100重量部にカーボンブラック0.25重量部を配合し、40mmφ押出機により押出温度230℃で溶融混練し、ガット状に押出してペレット化した。得られたペレットを、成形温度230℃、金型温度60℃で射出成形し、角板(40mm×50mm×3mm)を作製した。得られた角板各3枚について、分光光度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「CE−7000A」)を用いて、D65光源、10°視野の条件で、SCI(Specular Component Include;正反射光込み)方式により明度(L*)を測定し、その平均値を算出た。明度(L*)は数値が小さいほど黒く着色されていることを表し、熱可塑性樹脂組成物の発色性が優れることを示す。
[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]
純水130重量部、乳化剤である不均化ロジン酸カリウム水溶液1重量部(固形分換算)を反応容器に仕込み、75℃まで昇温し、撹拌下、アクリル酸n−ブチル19.8重量部とメタクリル酸アリル0.2重量部の混合物(混合物1)を1時間かけて連続添加した(第1添加工程)。次いで2重量%過硫酸カリウム水溶液10重量部と、不均化ロジン酸カリウム水溶液1.5重量部(固形分換算)をそれぞれ6時間かけて連続添加した(第2添加工程)。また、過硫酸カリウム水溶液および不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加開始から2時間後にアクリル酸n−ブチル79.2重量部とメタクリル酸アリル0.8重量部の混合物(混合物3)を4時間かけて添加した(第3添加工程)。添加終了後さらに1時間保持することでアクリル系ゴム質重合体(A−1)ラテックスを重合率95%で得た。
引き続いて、純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、アクリル系ゴム質重合体(A−1)50重量部(固形分換算)および純水94.3重量部を反応容器に仕込み、58℃まで昇温し、撹拌下、スチレン36.5重量部、アクリロニトリル13.5重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.2重量部の混合物(i)を4時間かけて連続添加した。連続添加開始0.5時間後に、容器内温度を62℃に昇温し、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部、オレイン酸カリウム2.0重量部および純水12.5重量部の混合物を並行して5時間かけて連続添加した。続いて、(i)の添加終了時にさらに65℃まで昇温し、グラフト共重合体ラテックスを重合率98%で得た。得られたラテックス100重量部(固形分換算)を、硫酸マグネシウム3重量部を加えた85℃の水900重量部中に、撹拌しながら注いで凝固し、次いで脱水、乾燥を行いパウダー状のグラフト共重合体(I−1)を得た。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−2)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.8重量部とメタクリル酸アリル0.2重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.0重量部、メタクリル酸アリル1.0重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−3)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.76重量部、メタクリル酸アリル0.2重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート0.04重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.04重量部、メタクリル酸アリル0.8重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート0.16重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−4)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.7重量部とメタクリル酸アリル0.3重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル78.8重量部、メタクリル酸アリル1.2重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−5)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.5重量部とメタクリル酸アリル0.5重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル78.0重量部、メタクリル酸アリル2.0重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−6)ラテックスを得た。すなわち、第2添加工程における、2重量%過硫酸カリウム水溶液の添加部数を8重量部とした。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−7)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.92重量部とメタクリル酸アリル0.08重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.68重量部、メタクリル酸アリル0.32重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−8)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.2重量部とメタクリル酸アリル0.8重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル76.8重量部、メタクリル酸アリル3.2重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−9)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.4重量部、メタクリル酸アリル0.3重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート0.3重量部の混合物を用いた。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル77.6重量部、メタクリル酸アリル1.2重量部およびジエチレングリコールジメタクリレート1.2重量部の混合物を用いた。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−10)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を3重量部(固形分換算)とした。また、第2添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を3重量部(固形分換算)とした。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−11)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を0.8重量部(固形分換算)とした。また、第2添加工程における、不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加部数を0.45重量部(固形分換算)とした。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてラテックスを得た。すなわち、参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]の第1添加工程における混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.4重量部とメタクリル酸アリル0.6重量部の混合物を、第3添加工程における混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル77.6重量部とメタクリル酸アリル2.4重量部の混合物を用いて、ラテックスを得た。
参考例1の[アクリル系ゴム質重合体を得るための工程]において、以下の事項を変更した以外は、参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−13)ラテックスを得た。すなわち、第1添加工程において、混合物1にかえて、アクリル酸n−ブチル19.91重量部、メタクリル酸アリル0.09重量部およびアクリロニトリル1重量部の混合物を用いた。また、第2添加工程における、2重量%過硫酸カリウム水溶液の添加部数を8重量部とした。また、第3添加工程において、混合物3にかえて、アクリル酸n−ブチル79.64重量部、メタクリル酸アリル0.36重量部およびアクリロニトリル4重量部の混合物を用いた。
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえて、ポリブタジエンラテックス30重量部(固形分換算)の存在下にアクリル酸n−ブチル69.5重量部とメタクリル酸アリル0.5重量部を共重合したゴム質重合体を用いたこと以外は参考例1と同様にしてグラフト共重合体(I−14)を製造した。
まず、懸濁重合用の媒体として、メタクリル酸メチル−アクリルアミド共重合体を以下の方法により製造した。
混合物中の単量体成分をメタクリル酸メチル65重量部、スチレン20重量部、アクリロニトリル15重量部に、混合物中のt−ドデシルメルカプタン0.33重量部を0.37重量部に、混合物中の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.31重量部を0.4重量部に、それぞれ変更した以外は前記参考例15と同様に懸濁重合を行い、(メタ)アクリル系共重合体(II−2)を得た。得られた(メタ)アクリル系共重合体(II−2)の重量平均分子量は108,000であった。
混合物中の単量体成分をメタクリル酸メチル65重量部、スチレン20重量部、アクリロニトリル15重量部に、混合物中のt−ドデシルメルカプタン重量部を0.14重量部に、混合物中の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.31重量部を0.4重量部に、それぞれ変更した以外は前記参考例15と同様に懸濁重合を行い、(メタ)アクリル系共重合体(II−3)を得た。得られた(メタ)アクリル系共重合体(II−3)の重量平均分子量は180,000であった。
(メタ)アクリル系重合体(II−4)として、重量平均分子量97,000のポリメチルメタクリレート樹脂(住友化学(株)製“スミペックス”(登録商標)LG)を準備した。
混合物中の単量体成分をメタクリル酸メチル75重量部、スチレン24重量部、アクリロニトリル1重量部に変更した以外は前記参考例15と同様に懸濁重合を行い、(メタ)アクリル系共重合体(II−5)を得た。得られた(メタ)アクリル系共重合体(II−5)の重量平均分子量は106,000であった。
混合物中の単量体成分をメタクリル酸メチル65重量部、スチレン10重量部、アクリロニトリル25重量部に、混合物中のt−ドデシルメルカプタン0.33重量部を0.37重量部に、混合物中の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.31重量部を0.4重量部に変更した以外は前記参考例15と同様に懸濁重合を行い、(メタ)アクリル系共重合体(II−6)を得た。得られた(メタ)アクリル系共重合体(II−6)の重量平均分子量は109,000であった。
20Lのオートクレーブに、参考例15により得られたメタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液6重量部、純水150重量部を入れて400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、メタクリル酸メチル70重量部、スチレン30重量部、t−ドデシルメルカプタン0.33重量部および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.31重量部の混合物を撹拌しながらオートクレーブに添加し、60℃に昇温し重合を開始した。30分間かけて反応温度を65℃まで昇温した後、120分間かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い冷却し、懸濁水溶液からのポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状のビニル系共重合体(III)を得た。得られたビニル系共重合体(III)の重量平均分子量は134,000であった。
上記参考例1〜14で調製したグラフト共重合体(I−1〜14)、参考例15〜20で調製した(メタ)アクリル系(共)重合体(II−1〜5)および参考例21で調製したビニル系共重合体(III)をそれぞれ表3〜5で示した配合比で配合し、さらにエチレンビスステアリン酸アマイド0.8重量部、光安定剤((株)ADEKA製、「“アデカスタブ”(登録商標)LA−77Y」)0.3重量部、紫外線吸収剤((株)ADEKA製、「“アデカスタブ”LA−32」)0.3重量部を加え、ヘンシェルミキサーで23℃で混合した。得られた混合物を、40mmφ押出機により押出温度230℃で溶融混練し、ガット状に押出してペレット化した。得られたペレットを、成形温度230℃、金型温度60℃で射出成形し、評価用の各種試験片を作製した。これら試験片について前述の方法により評価した結果を表3〜5に示す。また、実施例1および比較例2で得られた熱可塑性樹脂組成物の透過型電子顕微鏡写真をそれぞれ図1〜2に示す。
2 グラフト共重合体凝集粒子
3 (メタ)アクリル系共重合体
Claims (5)
- アクリル酸エステル系単量体(a)97〜99.5重量%と多官能性単量体(b)0.5〜3重量%を共重合して得られる、体積平均粒子径が0.10〜0.30μmであるアクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、芳香族ビニル系単量体(c)およびシアン化ビニル系単量体(d)を含む単量体混合物(B)をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(I)と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)50〜100重量%を含む単量体または単量体混合物(C)を重合または共重合して得られる(メタ)アクリル系(共)重合体(II)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(I)と(メタ)アクリル系(共)重合体(II)の合計100重量部に対してグラフト共重合体(I)30〜70重量部および(メタ)アクリル系(共)重合体(II)30〜70重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であり、前記グラフト共重合体(I)が、アクリル系ゴム質重合体(A)のトルエン中におけるゲル膨潤度(α)の、グラフト共重合体(I)のグラフト率(β)に対する比((α)/(β))が下記式(1)を満たすものであり、かつ、該熱可塑性樹脂組成物中において、グラフト共重合体(I)の粒子が凝集した構造を有する熱可塑性樹脂組成物。
0.4≦(α)/(β)≦1.6 (1) - 前記アクリル系ゴム質重合体(A)のトルエン中におけるゲル膨潤度が10倍以上である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記グラフト共重合体(I)のグラフト率が5〜40%である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系(共)重合体(II)が、少なくとも不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)を50〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(d)を3〜20重量%含む単量体混合物(C)を共重合して得られる請求項1〜3のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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