JP2017165918A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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貴紀 菅
朗 土井
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朗 土井
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Taku Shimozawa
拓 下澤
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Abstract

【課題】耐候性、耐衝撃性および透明性に優れる成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】アクリル酸エステル系単量体(a1)70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)0.5〜3重量%を含むビニル系単量体(a)を共重合して得られるアクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)0〜20重量%を含むビニル系単量体(c)を(共)重合して得られるビニル系(共)重合体(C)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラフト共重合体とビニル系(共)重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
ジエン系ゴム質重合体の存在下に、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体などを共重合してなるメタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)樹脂は、透明性、耐衝撃性、成形性、外観などに優れ、OA機器、家電製品、一般雑貨などの種々の用途に幅広く利用されている。しかし、MABS樹脂は重合体の主鎖中に化学的に不安定な二重結合を多く有するため、紫外線などによって劣化しやすく、耐候性に劣るため屋外での使用に難点があった。そのため、主鎖中に二重結合を有しない飽和ゴム質重合体を使用する方法が提案されており、その代表的なものとして、アクリル系ゴム質重合体を使用したアクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)樹脂が知られている。飽和ゴムであるアクリル系ゴム質重合体は、紫外線に対して安定であり優れた耐候性を有する反面、MABS樹脂と比較して全光線透過率が低く、透明性に欠ける課題があった。
これに対して、光透過性が高いASA樹脂として、例えば、アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル単量体を含むビニル系単量体(b1)を重合して得られるゴム強化樹脂(A)と、ビニル系単量体(b2)の(共)重合体(B)とを含有してなり、成分(a)の屈折率n、(共)重合体(B)の屈折率n、ゴム強化樹脂(A)中の成分(b1)同士の重合体部分の屈折率nが、n<n<nを満たす熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、アクリル系ゴム状重合体に芳香族ビニル系単量体がグラフト重合されたグラフトアクリル系共重合体、芳香族ビニル−シアン化ビニル系共重合体およびポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、特許文献1〜2に提案されるASA樹脂によっても、なお透明性が不十分である課題があった。
一方、光学的透明性、靱性および耐熱性に優れた光学フィルムとして、(メタ)アクリル系樹脂、及び、(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹脂がグラフトされたグラフト共重合体を含む光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に提案されるASA樹脂は、耐衝撃性が低いという課題があった。
特開2004−244518号公報 特表2014−533763号公報 特開2009−84574号公報
本発明は、耐候性、耐衝撃性および透明性に優れる成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。
(1)アクリル酸エステル系単量体(a1)70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)0.5〜3重量%を含むビニル系単量体(a)を共重合して得られるアクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)0〜20重量%を含むビニル系単量体(c)を(共)重合して得られるビニル系(共)重合体(C)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記ビニル系単量体(b)がシアン化ビニル系単量体(b1)22〜35重量%および芳香族ビニル系単量体(b2)65〜78重量%を含む(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率と前記ビニル系(共)重合体(C)の屈折率との差の絶対値が0.02以下である(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率と前記グラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率との差の絶対値が0.05以上である(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)厚さ3mmの角板成形品を射出成形したときの角板成形品の厚さ方向の全光線透過率が50%以上となる(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)アクリル酸エステル系単量体(a1)70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)0.5〜3重量%を含むビニル系単量体(a)を共重合してアクリル系ゴム質重合体(A)を得る工程、前記アクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合してグラフト共重合体(B)を得る工程、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)0〜20重量%を含むビニル系単量体(c)を(共)重合してビニル系(共)重合体(C)を得る工程、ならびに、前記グラフト共重合体(B)と前記ビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合する工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
(8)厚さ3mmあたりの全光線透過率が50%以上である(7)に記載の成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐候性、耐衝撃性および透明性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合してなる。グラフト共重合体(B)を配合することにより、成形品の耐候性、耐衝撃性および透明性を向上させることができ、ビニル系(共)重合体(C)を配合することにより、透明性を向上させることができる。前記グラフト共重合体(B)は、アクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合して得られる。前記ビニル系(共)重合体(C)は、ビニル系単量体(c)を(共)重合して得られる。
アクリル系ゴム質重合体(A)は、アクリル酸エステル系単量体(a1)、芳香族ビニル系単量体(a2)および多官能性ビニル系単量体(a3)を含むビニル系単量体(a)を共重合して得られる。
アクリル系ゴム質重合体(A)を構成するアクリル酸エステル系単量体(a1)としては、炭素数1〜10のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸オクチルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(a2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、スチレンが好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(A)を構成する多官能性ビニル系単量体(a3)は、官能基を2以上有するものであれば特に限定されず、官能基としては、例えば、アリル基、(メタ)アクリロイル基などの炭素−炭素二重結合を有する基などが挙げられる。多官能性ビニル系単量体(a3)としては、例えば、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル系化合物、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステル系化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アクリル系ゴム質重合体(A)のゴム弾性などの特性を所望の範囲に調整しやすいことから、メタクリル酸アリルが好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(A)のゲル膨潤度は、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、10倍以上が好ましく、12倍以上がさらに好ましい。
ここで、前述のゲル膨潤度は、以下の方法により求めることができる。まず、アクリル系ゴム質重合体(A)ラテックスの場合には、アクリル系ゴム質重合体(A)約10mlを撹拌下のメタノール約150ml中に加え、次に10%硫酸約20mlを添加した後、脱水・洗浄によりアクリル系ゴム質重合体(A)の固形物を得る。得られたアクリル系ゴム質重合体(A)の固形物を80℃で3時間真空乾燥した後、約1gをトルエンに24時間含浸させ、膨潤したサンプルの重量(y)を測定する。続いて、80℃で3時間真空乾燥を行った後、乾燥後のサンプルの重量(z)を測定する。ゲル膨潤度は、膨潤したサンプルの重量(y)および乾燥後のサンプルの重量(z)から、下記式より算出する。
ゲル膨潤度(倍)=(y)/(z)。
アクリル系ゴム質重合体(A)を構成するビニル系単量体(a)は、ビニル系単量体(a)の総量100重量%中、アクリル酸エステル系単量体(a1)を70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)を10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)を0.5〜3重量%含む。アクリル酸エステル系単量体(a1)含有量が70重量%未満であると、アクリル系ゴム質重合体(A)のゴム弾性が低下し硬くなることから、成形品の耐衝撃性が低下する。アクリル酸エステル系単量体(a1)含有量は75重量%以上が好ましく、成形品の耐候性、耐衝撃性をより向上させることができる。一方、アクリル酸エステル系単量体(a1)含有量が90重量%を超えると、アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率が低下し、後述するビニル系(共)重合体(C)との屈折率差が大きくなることから、成形品の透明性が低下する。アクリル酸エステル系単量体(a1)含有量は、85重量%以下が好ましい。また、芳香族ビニル系単量体(a2)含有量が10重量%未満であると、アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率が低下し、後述するビニル系(共)重合体(C)との屈折率差が大きくなることから、成形品の透明性が低下する。芳香族ビニル系単量体(a2)含有量は、15重量%以上が好ましい。一方、芳香族ビニル系単量体(a2)含有量が30重量%を超えると、アクリル系ゴム質重合体(A)のゴム弾性が低下し硬くなることから、成形品の耐衝撃性が低下する。芳香族ビニル系単量体(a2)含有量は25重量%以下が好ましく、成形品の耐候性、耐衝撃性をより向上させることができる。また、多官能性ビニル系単量体(a3)含有量が0.5重量%未満であると、後述するグラフト共重合体(B)のグラフト率が低下することから、成形品の耐衝撃性が低下する。多官能性ビニル系単量体(a3)含有量は0.6重量%以上が好ましく、0.7重量%以上がより好ましい。一方、多官能性ビニル系単量体(a3)含有量が3重量%を超えると、成形品の透明性が低下する。多官能性ビニル系単量体(a3)含有量は2重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(A)の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、溶液連続重合法などの任意の方法を用いることができ、これらを2種以上組みあわせてもよい。これらの中でも、乳化重合法または塊状重合法が好ましい。重合時の除熱により体積平均粒子径を所望の範囲に調整しやすいことから、乳化重合法が最も好ましい。
アクリル系ゴム質重合体(A)の体積平均粒子径は、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がさらに好ましい。一方、アクリル系ゴム質重合体(A)の体積平均粒子径は、成形品の透明性をより向上させる観点から、0.4μm以下が好ましく、0.35μm以下がより好ましい。
ここで、前述の体積平均粒子径は、ゴム質重合体ラテックスを水媒体で希釈、分散させ、レーザ散乱回折法粒度分布測定装置、例えば、“LS 13 320”(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定することができる。
乳化重合法に用いる乳化剤は特に制限はなく、各種界面活性剤を使用できる。界面活性剤としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が好ましく使用される。これらを2種以上用いてもよい。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリル酸塩、ミスチリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられる。ここで言う塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩などが挙げられる。
重合に用いる開始剤は特に制限はなく、過酸化物、アゾ系化合物または過硫酸塩などが使用される。
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。
過硫酸塩の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
これらの開始剤を2種以上用いてもよい。乳化重合法には、過硫酸カリウム、クメンハイドロパーオキサイドなどが好ましく用いられる。また、開始剤はレドックス系でも用いることができる。
本発明におけるグラフト共重合体(B)は、前記アクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合して得られる。
グラフト共重合体(B)を構成するビニル系単量体(b)としては、シアン化ビニル系単量体(b1)、芳香族ビニル系単量体(b2)、その他のビニル系単量体が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
グラフト共重合体(B)を構成するシアン化ビニル系単量体(b1)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体(b2)としては、例えば、アクリル系ゴム質重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(a2)として例示したものが挙げられる。その中でも、スチレンが好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成するその他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル系ゴム質重合体(A)を構成するアクリル酸エステル系単量体(a1)として例示したものや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸クロロメチルなどの、アクリル酸エステル系単量体以外の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体などが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチルが好ましい。
ビニル系単量体(b)は、シアン化ビニル系単量体(b1)および芳香族ビニル系単量体(b2)を含むことが好ましく、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。グラフト共重合体(B)を構成するビニル系単量体(b)は、ビニル系単量体(b)の総量100重量%中、シアン化ビニル系単量体(b1)を22〜35重量%、芳香族ビニル系単量体(b2)を65〜78重量%含むことが好ましい。シアン化ビニル系単量体(b1)を22重量%以上、芳香族ビニル系単量体(b2)を78重量%以下含むことにより、グラフト共重合体(B)の分子間力を向上させ、成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。シアン化ビニル系単量体(b1)25重量%以上、芳香族ビニル系単量体(b2)75重量%以下がより好ましい。一方、シアン化ビニル系単量体(b1)を35重量%以下、芳香族ビニル系単量体(b2)を65重量%以上含むことにより、成形品の透明性をより向上させることができる。シアン化ビニル系単量体(b1)32重量%以下、芳香族ビニル系単量体(b2)68重量%以上がより好ましい。
グラフト共重合体(B)の重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、連続塊状重合法、溶液連続重合法などの任意の方法を用いることができ、これらを2種以上組みあわせてもよい。これらの中でも、乳化重合法または塊状重合法が好ましい。重合時の温度制御が容易であることから、乳化重合法が最も好ましい。
グラフト共重合体(B)の乳化重合法に用いる乳化剤としては、アクリル系ゴム質重合体(A)の乳化重合法に用いる乳化剤として例示したものを挙げることができる。また、グラフト共重合体(B)の重合に用いる開始剤としては、アクリル系ゴム質重合体(A)の重合に用いる開始剤として例示したものを挙げることができる。
グラフト共重合体(B)の重合度およびグラフト率調整を目的として、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンなどのメルカプタン、テルピノレンなどのテルペンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
グラフト共重合体(B)のグラフト率は、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、10%以上が好ましく、15%以上がさらに好ましい。一方、グラフト共重合体(B)のグラフト率は、成形品の透明性をより向上させる観点から、80%以下が好ましく、70%以下がさらに好ましい。
なお、前述のグラフト率は、以下の方法により求めることができる。まず、80℃で3時間真空乾燥を行ったグラフト共重合体(B)の所定量(m;約1g)にアセトニトリル100mlを加え、70℃の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800回転/分(10000G)で40分間遠心分離する。アセトニトリル不溶分を濾過し、この不溶分を80℃で3時間真空乾燥し、重量(n)を測定し、下記式よりグラフト率を算出する。ここでLはグラフト共重合体(B)のゴム含有率(重量%)(すなわち、グラフト共重合体中のアクリル系ゴム質重合体(A)の含有率(重量%))である。
グラフト率(%)={[(n)−((m)×L/100)]/[(m)×L/100]}×100。
乳化重合法により製造されたグラフト共重合体(B)ラテックスに凝固剤を添加することにより、グラフト共重合体(B)を回収することができる。凝固剤としては、酸または水溶性の塩が用いられる。凝固剤の具体例としては、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸などの酸、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウムなどの水溶性の塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なお、酸で凝固した場合には、酸をアルカリにより中和した後にグラフト共重合体(B)を回収する方法も用いることができる。
なお、上記の方法によって、アクリル系ゴム質重合体(A)に、ビニル系単量体(b)がグラフト共重合されるが、ビニル系単量体(b)の全てが、アクリル系ゴム質重合体(A)にグラフト共重合されないことがある。そのため、本発明におけるグラフト共重合体(B)は、アクリル系ゴム質重合体(A)にグラフト共重合されていない、ビニル系単量体(b)の共重合体を含み得る。
本発明におけるビニル系(共)重合体(C)は、ビニル系単量体(c)を(共)重合して得られる。
ビニル系(共)重合体(C)を構成するビニル系単量体(c)は、少なくとも不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)を含み、必要に応じて、さらにその他のビニル系単量体を含んでもよい。
ビニル系(共)重合体(C)を構成する不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)としては、例えば、アクリル系ゴム質重合体(A)を構成するアクリル酸エステル系単量体(a1)として例示したものや、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸クロロメチルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、メタクリル酸メチルが好ましい。
ビニル系(共)重合体(C)を構成するその他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル系単量体(c2)、芳香族ビニル系単量体(c3)、不飽和脂肪酸、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、シアン化ビニル系単量体(c2)、芳香族ビニル系単量体(c3)が好ましい。
ビニル系(共)重合体(C)を構成するシアン化ビニル系単量体(c2)としては、例えば、グラフト共重合体(B)を構成するシアン化ビニル系単量体(b1)として例示したものなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。
ビニル系(共)重合体(C)を構成する芳香族ビニル系単量体(c3)の具体例としては、例えば、アクリル系ゴム質重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体(a2)として例示したものなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、スチレンが好ましい。
ビニル系(共)重合体(C)を構成するビニル系単量体(c)は、ビニル系単量体(c)の総量100重量%中、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)を80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)を0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)を0〜20重量%含む。ただし、シアン化ビニル系単量体(c2)または芳香族ビニル系単量体(c3)を含まない(0重量%)ものであってもよい。不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)含有量が80重量%未満であると、ビニル系(共)重合体(C)の屈折率が上昇し、アクリル系ゴム質重合体(A)との屈折率が大きくなることから、成形品の透明性が低下する。
ビニル系(共)重合体(C)を構成するビニル系単量体(c)の組成は、グラフト共重合体(B)を構成するビニル系単量体(b)の組成と同一であっても異なっていてもよい。
ビニル系(共)重合体(C)の重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、連続塊状重合法などの任意の方法を用いることができ、これらを2種以上組みあわせてもよい。これらの中でも、重合制御の容易さ、後処理の容易さを考慮すると懸濁重合が好ましい。
懸濁重合に用いる懸濁安定剤としては、硫酸バリウムおよび水酸化マグネシウムなどの無機系懸濁安定剤や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体などの有機系懸濁安定剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、色調安定性の面で有機系懸濁安定剤が好ましい。
ビニル系(共)重合体(C)の懸濁重合に用いる開始剤としては、グラフト共重合体(B)の開始剤として例示したものを挙げることができる。また、ビニル系(共)重合体(C)の重合度の調整を目的として、グラフト共重合体(B)に用いられる連鎖移動剤として例示したメルカプタン、テルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能である。懸濁重合法によりビニル系(共)重合体(C)のスラリーが得られ、次いで脱水、乾燥を経て、ビーズ状のビニル系(共)重合体(C)が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)を35〜75重量部、ビニル系(共)重合体(C)を25〜65重量部配合してなる。グラフト共重合体(B)の配合量が35重量部未満で、ビニル系(共)重合体(C)の配合量が65重量部を超えると、成形品の耐衝撃性が低下する。グラフト共重合体(B)の配合量が45重量部以上で、ビニル系(共)重合体(C)の配合量が55重量部以下であることが好ましく、成形品の耐候性、耐衝撃性をより向上させることができる。一方、グラフト共重合体(B)の配合量が75重量部を超え、ビニル系(共)重合体(C)の配合量が25重量部未満であると、成形品の透明性が低下する。グラフト共重合体(B)の配合量が65重量部以下、ビニル系(共)重合体(C)の配合量が35重量部以上であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、成形品の透明性をより向上させる観点から、アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率とビニル系(共)重合体(C)の屈折率との差の絶対値は、0.02以下が好ましく、0.005以下がより好ましい。
なお、ビニル系(共)重合体(C)の屈折率は、ビニル系(共)重合体(C)を構成するビニル系単量体(c)の組成から、各ビニル系単量体(c)の重合体の屈折率ni、各ビニル系単量体(c)の重量分率wiを用いて、下記式により算出する理論値とほぼ一致することが実験的に確認できている。
屈折率n=Σ(wi×ni)
このため、上記式により算出される理論値を参考に、アクリル系ゴム質重合体(A)との屈折率差が所望の範囲になるように、ビニル系単量体(c)の組成を調整することができる。なお、各ビニル系単量体(c)の重合体の屈折率は、「POLYMER HANDBOOK」(FOURTH EDITION Volume2)に記載されており、例えば、ポリメタクリル酸メチルは1.4889、ポリアクリロニトリルは1.52、ポリスチレンは1.59である。
ここで、本発明におけるアクリル系ゴム質重合体(A)およびビニル系(共)重合体(C)の屈折率は、アクリル系ゴム質重合体(A)(固形物)またはビニル系(共)重合体(C)をそれぞれ80℃で3時間真空乾燥した後、220℃に設定した加熱プレスを用いて作製した厚み約40μmのフィルム状サンプルを試料として、アッベ屈折率計を用いて測定することができる。なお、測定温度は23℃とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、成形品の耐衝撃性をより向上させる観点から、アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率とグラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率との差の絶対値が0.05以上であることが好ましい。0.06以上がより好ましい。これまで、アクリル系ゴム質重合体(A)を用いたグラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物において、成形品の透明性を高めるために、アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率とグラフト共重合体(B)の屈折率との差を小さくすることが望ましいと考えられていた。本発明においては、アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率とグラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率との差の絶対値をあえて大きくすることにより、成形品の透明性と耐衝撃性をよりバランスよく向上させることができる。
なお、グラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率は、グラフト共重合体(B)を構成するビニル系単量体(b)の組成から、各ビニル系単量体(b)の重合体の屈折率ni、各ビニル系単量体(b)の重量分率wiを用いて、下記式により算出する理論値とほぼ一致することが実験的に確認できている。
屈折率n=Σ(wi×ni)
このため、上記式により算出される理論値を参考に、アクリル系ゴム質重合体(A)との屈折率差が所望の範囲になるように、ビニル系単量体(b)の組成を調整することができる。なお、各ビニル系単量体(b)の重合体の屈折率は、「POLYMER HANDBOOK」(FOURTH EDITION Volume2)に記載されており、例えば、ポリメタクリル酸メチルは1.4889、ポリアクリロニトリルは1.52、ポリスチレンは1.59である。
ここで、グラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率は、次の方法により測定することができる。なお、一般的な重合方法により得られたグラフト共重合体(B)においては、非グラフト成分の組成とグラフト成分の組成は、ほぼ一致することが実験的に確認できている。そこで、本発明においては、グラフト共重合体(B)の非グラフト成分の組成を分析し、これをグラフト成分の組成と仮定している。まず、グラフト共重合体(B)約1gにアセトニトリル100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流する。その後、8800回転/分(10000G)で40分間遠心分離し、アセトニトリル不溶分を濾過した後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物を80℃で3時間真空乾燥して非グラフト成分のサンプルを得る。その後、220℃に設定した加熱プレスを用いて作製した厚み約40μmのフィルム状サンプルについて、フーリエ変換赤外分光光度計により赤外分光分析を行う。得られたIRチャートの各ピークの高さから、非グラフト成分中のビニル系単量体由来単位の組成を求め、これをグラフト成分中のビニル系単量体由来単位の組成とする。各単量体由来単位とピークとの対応関係は次の通りである。
アクリロニトリル由来単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク
スチレン由来単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
メタクリル酸メチル由来単位:エステルのカルボニル基のC=O伸縮振動に帰属される1730cm−1のピークの倍音ピークである3460cm−1のピーク。
赤外分光分析により求めたグラフト成分中のビニル系単量体由来単位の組成から、各ビニル系単量体(b)の重合体の屈折率ni、各ビニル系単量体(b)由来単位の重量分率wiを用いて、下記式により、グラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率を算出する。
屈折率n=Σ(wi×ni)
なお、各ビニル系単量体(b)の重合体の屈折率は、「POLYMER HANDBOOK」(FOURTH EDITION Volume2)に記載されており、例えば、ポリメタクリル酸メチルは1.4889、ポリアクリロニトリルは1.52、ポリスチレンは1.59である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、厚さ3mmの角板成形品を射出成形したときの角板成形品の厚さ方向の全光線透過率が50%以上となることが好ましい。かかる全光線透過率が50%以上であれば、成形品の透明性をより向上させることができる。かかる全光線透過率を50%以上とする方法としては、例えば、前述の好ましいグラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体(C)を配合する方法などが挙げられる。
ここで、前述の全光線透過率は、熱可塑性樹脂組成物から厚さ3mmの角板成形品を射出成形し、各3個の角板成形品について、ISO13468に準拠して、ヘーズメーターを用いて厚さ方向の全光線透過率を測定し、その数平均値を算出することにより求めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系等の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等の光安定剤等の各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、帯電防止剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料および染料、水やシリコーンオイル、流動パラフィンなどの液体を配合することもできる。これら添加物の配合方法については特に制限はなく、種々の方法を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(1)アクリル酸エステル系単量体(a1)70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)0.5〜3重量%を含むビニル系単量体(a)を共重合してアクリル系ゴム質重合体(A)を得る工程、(2)前記アクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合してグラフト共重合体(B)を得る工程、(3)不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)0〜20重量%を含むビニル系単量体(c)を(共)重合してビニル系(共)重合体(C)を得る工程、ならびに、(4)前記グラフト共重合体(B)と前記ビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合する工程を含む方法により製造することができる。上記工程(3)は、工程(1)または(2)よりも先に行ってもよい。前記グラフト共重合体(B)、ビニル系(共)重合体(C)および必要に応じてその他の成分を溶融混練することが好ましい。溶融混練方法としては、特に制限は無いが、加熱装置とベントを有する、単軸または二軸押出機を使用して溶融混練することが好ましい。溶融混練温度は、通常210〜300℃の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、温度勾配を自由に設定することも可能である。また、二軸押出機を用いる場合は、同一回転方向でも異回転方向でもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形、ガスアシスト成形などの任意の方法により成形し、成形品とすることができる。成形方法としては、射出成形が好ましい。射出成形時のシリンダー温度は210〜260℃が一般的であり、金型温度は30〜80℃が一般的である。
本発明の成形品は、厚さ3mmあたりの全光線透過率が50%以上であることが好ましい。かかる全光線透過率が50%以上であれば、成形品の透明性をより向上させることができる。かかる全光線透過率を50%以上とする方法としては、例えば、前述の好ましい熱可塑性樹脂組成物を成形する方法などが挙げられる。
ここで、前述の全光線透過率は、成形品から厚さ3mmの角板試験片を切り出し、各3個の角板試験片について、ISO13468に準拠して、ヘーズメーターを用いて厚さ方向の全光線透過率を測定し、その数平均値を算出することにより求めることができる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げる。各実施例、比較例および原材料の評価方法は以下の通りである。
(1)屈折率測定
(1−1)アクリル系ゴム質重合体(A)または(A’)の屈折率
参考例1〜6により得られたアクリル系ゴム質重合体ラテックスに硫酸を添加し、脱水・洗浄によりアクリル系ゴム質重合体の固形物を得た。得られたアクリル系ゴム質重合体固形物を80℃で3時間真空乾燥した後、220℃に設定した加熱プレスを用いて厚み約40μmのフィルム状サンプルを作製した。このフィルム状サンプルを試料として、アッベ屈折率計を用いて屈折率を測定した。なお、測定温度は23℃とした。
(1−2)グラフト共重合体(B)または(B’)のグラフト成分の屈折率
一般的な重合方法により得られたグラフト共重合体(B)においては、非グラフト成分の組成とグラフト成分の組成は、ほぼ一致することが実験的に確認できている。そこで、本発明においては、グラフト共重合体(B)の非グラフト成分の組成を分析し、これをグラフト成分の組成と仮定した。
グラフト共重合体(B)または(B’)約1gにアセトニトリル100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800回転/分(10000G)で40分間遠心分離した。アセトニトリル不溶分を濾過した後、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物を80℃で3時間真空乾燥して非グラフト成分のサンプルを得た。得られたサンプルから、220℃に設定した加熱プレスを用いて厚み40μm程度のフィルム状サンプルを作製し、フーリエ変換赤外分光光度計(日本光学(株)製、“FT/IR4100”)を用いて赤外分光分析を行った。得られたチャートに現れた各ピークの高さから、非グラフト成分中のビニル系単量体由来単位の組成を求め、これをグラフト成分中のビニル系単量体由来単位の組成とした。各単量体とピークとの対応関係は次の通りである。
アクリロニトリル由来単位:−C≡N伸縮に帰属される2240cm−1のピーク
スチレン由来単位:ベンゼン核の振動に帰属される1605cm−1のピーク
メタクリル酸メチル由来単位:エステルのカルボニル基のC=O伸縮振動に帰属される1730cm−1のピークの倍音ピークである3460cm−1のピーク。
赤外分光分析により求めたグラフト成分中のビニル系単量体由来単位の組成から、各ビニル系単量体(b)の重合体の屈折率ni、各ビニル系単量体(b)由来単位の重量分率wiを用いて、下記式により、グラフト共重合体(B)または(B’)のグラフト成分の屈折率を算出した。
屈折率n=Σ(wi×ni)
なお、各ビニル系単量体(b)の重合体の屈折率は、「POLYMER HANDBOOK」(FOURTH EDITION Volume2)に記載されており、ポリメタクリル酸メチルは1.4889、ポリメタクリル酸アリルは1.5196、ポリアクリロニトリルは1.52、ポリスチレンは1.59である。
(1−3)ビニル系(共)重合体(C)または(C’)の屈折率
参考例17〜20により得られたビニル共共重合体を80℃で3時間真空乾燥した後、220℃に設定した加熱プレスを用いて厚み約40μmのフィルム状サンプルを作製した。このフィルム状サンプルを試料として、アッベ屈折率計を用いて屈折率を測定した。なお、測定温度は23℃とした。
(2)耐候性評価
各実施例および比較例により得られた厚さ3mmの角板試験片に対して、分光光度計“CE−7000A”(X−Rite社製)を用いて、色(L*、a*、b*)を測定した。次に、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製WEL−SUN−HCH型)を用いて、ブラックパネル温度:63℃、サイクル:60分(降雨12分)、放射照度:80W/mの条件下で、波長:300〜400nmの紫外線を照射する耐候性試験を1000時間実施し、耐候性試験後の色(L*、a*、b*)を測定した。耐候性試験前後の色差ΔEを下記式により算出した。
色差ΔE=√((L*−L*+(a*−a*+(b*−b*)。
(3)耐衝撃性評価
各実施例および比較例により得られたシャルピー衝撃強度評価用試験片(全長80mm、厚さ4mm、幅10mm、ノッチ部の幅8mm)について、シャルピー衝撃強度をISO179に準拠して測定した。10個の試験片についてシャルピー衝撃強度を測定し、その数平均値を算出した。
(4)流動性評価
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO1133に準拠し、温度:220℃、荷重:98Nの条件でメルトフローレートを測定した。
(5)透明性評価
各実施例および比較例により得られた全光線透過率評価用試験片(厚さ3mm)について、ISO13468に準拠して、ヘーズメーター“NDH 5000”(日本電色工業(株)製)を用いて厚さ方向の全光線透過率を測定した。各3個の試験片について全光線透過率を測定し、その数平均値を算出した。
各実施例、比較例に使用した材料を以下に示す。
(参考例1)アクリル系ゴム質重合体(A−1)
純水130重量部、乳化剤である不均化ロジン酸カリウム水溶液1重量部(固形分換算)を反応容器に仕込み、75℃まで昇温し、撹拌下、アクリル酸n−ブチル17.6重量部スチレン2.2重量部とメタクリル酸アリル0.2重量部の混合物を1時間かけて連続添加した。次いで2重量%過硫酸カリウム水溶液10重量部と、不均化ロジン酸カリウム水溶液1.5重量部(固形分換算)をそれぞれ6時間かけて連続添加した。また、過硫酸カリウム水溶液および不均化ロジン酸カリウム水溶液の添加開始から2時間後にアクリル酸n−ブチル70.4重量部とスチレン8.8重量部とメタクリル酸アリル0.8重量部の混合物を4時間かけて添加し、添加終了後さらに1時間保持することでアクリル系ゴム質重合体(A−1)ラテックスを得た。
(参考例2)アクリル系ゴム質重合体(A−2)
アクリル酸n−ブチルとスチレンとメタクリル酸アリルの合計100重量部に対して、アクリル酸n−ブチルの全添加部数を80重量部、スチレンの全添加部数を19重量部、メタクリル酸アリルの全添加部数を1重量部としたこと以外は参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−2)ラテックスを得た。
(参考例3)アクリル系ゴム質重合体(A−3)
アクリル酸n−ブチルとスチレンとメタクリル酸アリルの合計100重量部に対して、アクリル酸n−ブチルの全添加部数を72重量部、スチレンの全添加部数を27重量部、メタクリル酸アリルの全添加部数を1重量部としたこと以外は参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A−3)ラテックスを得た。
(参考例4)アクリル系ゴム質重合体(A’−4)
アクリル酸n−ブチルとスチレンとメタクリル酸アリルの合計100重量部に対して、アクリル酸n−ブチルの全添加部数を99重量部、スチレンの全添加部数を0重量部、メタクリル酸アリルの全添加部数を1重量部としたこと以外は参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A’−4)ラテックスを得た。
(参考例5)アクリル系ゴム質重合体(A’−5)
アクリル酸n−ブチルとスチレンとメタクリル酸アリルの合計100重量部に対して、アクリル酸n−ブチルの全添加部数を93重量部、スチレンの全添加部数を6重量部、メタクリル酸アリルの全添加部数を1重量部としたこと以外は参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A’−5)ラテックスを得た。
(参考例6)アクリル系ゴム質重合体(A’−6)
アクリル酸n−ブチルとスチレンとメタクリル酸アリルの合計100重量部に対して、アクリル酸n−ブチルの全添加部数を64重量部、スチレンの全添加部数を35重量部、メタクリル酸アリルの全添加部数を1重量部としたこと以外は参考例1と同様にしてアクリル系ゴム質重合体(A’−6)ラテックスを得た。
参考例1〜6に用いたビニル系単量体の組成、アクリル系ゴム質重合体の屈折率を表1に示す。
Figure 2017165918
(参考例7)グラフト共重合体(B−1)
純水13.2重量部、無水ブドウ糖0.48重量部、ピロリン酸ナトリウム0.26重量部および硫酸第一鉄0.01重量部の混合物、オレイン酸カリウム0.4重量部および純水12.5重量部の混合物、参考例1により得られたアクリル系ゴム質重合体(A−1)50重量部(固形分換算)および純水94.3重量部を反応容器に仕込み、58℃まで昇温し、撹拌下、アクリロニトリル13重量部、スチレン37重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.2重量部の混合物(i)を4時間かけて連続添加した。連続添加開始から0.5時間後に、容器内温度を62℃に昇温し、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部、オレイン酸カリウム2.0重量部および純水12.5重量部の混合物を並行して5時間かけて連続添加した。続いて、(i)の添加終了時に、容器内温度をさらに65℃まで昇温し、グラフト共重合体(B−1)ラテックスを得た。得られたラテックス100重量部(固形分換算)を、硫酸マグネシウム3重量部を加えた85℃の水900重量部中に、撹拌しながら注いで凝固し、次いで脱水、乾燥を行い、パウダー状のグラフト共重合体(B−1)を得た。
(参考例8)グラフト共重合体(B−2)
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえて参考例2により得られたアクリル系ゴム質重合体(A−2)を用いたこと、混合物(i)として、メタクリル酸メチル50重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.8重量部の混合物を用いたこと以外は参考例7と同様にしてグラフト共重合体(B−2)を製造した。
(参考例9)グラフト共重合体(B−3)
混合物(i)として、アクリロニトリル13重量部、スチレン37重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.2重量部の混合物を用いたこと以外は参考例8と同様にしてグラフト共重合体(B−3)を製造した。
(参考例10)グラフト共重合体(B−4)
混合物(i)として、アクリロニトリル17重量部、スチレン33重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部の混合物を用いたこと以外は参考例6と同様にしてグラフト共重合体(B−4)を製造した。
(参考例11)グラフト共重合体(B−5)
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえて参考例3により得られたアクリル系ゴム質重合体(A−3)を用いたこと、混合物(i)として、メタクリル酸メチル50重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.8重量部の混合物を用いたこと以外は参考例7と同様にしてグラフト共重合体(B−5)を製造した。
(参考例12)グラフト共重合体(B−6)
混合物(i)として、メタクリル酸メチル44重量部、アクリロニトリル2重量部、スチレン4重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.6重量部の混合物を用いたこと以外は参考例12と同様にしてグラフト共重合体(B−6)を製造した。
(参考例13)グラフト共重合体(B’−7)
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえて参考例4により得られたアクリル系ゴム質重合体(A’−4)を用いたこと以外は参考例7と同様にしてグラフト共重合体(B’−7)を製造した。
(参考例14)グラフト共重合体(B’−8)
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえて参考例5により得られたアクリル系ゴム質重合体(A’−5)を用いたこと、混合物(i)として、メタクリル酸メチル50重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.8重量部の混合物を用いたこと以外は参考例7と同様にしてグラフト共重合体(B’−8)を製造した。
(参考例15)グラフト共重合体(B’−9)
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえて参考例6により得られたアクリル系ゴム質重合体(A’−6)を用いたこと、混合物(i)として、メタクリル酸メチル50重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.8重量部の混合物を用いたこと以外は参考例7と同様にしてグラフト共重合体(B’−9)を製造した。
(参考例16)グラフト共重合体(B’−10)
アクリル系ゴム質重合体(A−1)にかえてポリブタジエンラテックス50重量部(固形分換算)を用いたこと、混合物(i)として、メタクリル酸メチル36重量部、アクリロニトリル2重量部、スチレン12重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.5重量部の混合物を用いたこと以外は参考例7と同様にしてグラフト共重合体(B’−10)を製造した。
参考例7〜16に用いたアクリル系ゴム質重合体とビニル系単量体の組成、グラフト共重合体のグラフト成分の屈折率を表2に示す。
Figure 2017165918
(参考例17)ビニル系重合体(C−1)
ISO 1133に準拠して測定した230℃×荷重3.8Kgのメルトフローレートが14g/10分の三菱レイヨン(株)製“アクリペット”(登録商標)MFを使用した。
(参考例18)ビニル系共重合体(C−2)
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、純水1800重量部を反応容器中に仕込み、反応容器中の気相を窒素ガスで置換し、撹拌下、70℃に保った。単量体が完全に重合体に転化するまで反応を続けた後、水酸化ナトリウム20質量部と純水2000重量部を加え、70℃で2時間撹拌した後、室温にまで冷却することで懸濁重合用媒体となるメタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液を得た。
20Lのオートクレーブに前記メタクリル酸メチル−アクリルアミド二元共重合体水溶液6重量部を純水165重量部に溶解した溶液を入れて400回転/分で撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、メタクリル酸メチル88重量部、アクリロニトリル4重量部、スチレン8重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.6重量部の混合物(ii)を、反応系を撹拌しながら30分間かけて初期添加し、70℃にて共重合反応を開始した。その後、3時間かけて100℃に昇温した。到達後30分間100℃に保温した後、冷却し、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行って、ビニル系共重合体(C−2)を得た。
(参考例19)ビニル系共重合体(C’−3)
混合物(ii)として、メタクリル酸メチル72重量部、アクリロニトリル4重量部、スチレン24重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.4重量部の混合物を用いたこと以外は参考例18と同様にしてビニル系共重合体(C’−3)を製造した。
(参考例20)ビニル系共重合体(C’−4)
混合物(ii)として、アクリロニトリル27重量部、スチレン73重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.32重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.32重量部の混合物を用いたこと以外は参考例18と同様にしてビニル系共重合体(C’−4)を製造した。
参考例17〜20に用いたビニル系単量体の組成、ビニル系(共)重合体の屈折率を表3に示す。
Figure 2017165918
(実施例1〜7、比較例1〜8)
上記参考例7〜16で調製したグラフト共重合体(B−1〜6、B’7〜10)と参考例17〜20で調製したビニル系(共)重合体(C−1〜2、C’3〜4)をそれぞれ表4で示した配合比で配合し、ブレンダーを用いて1分間撹拌した。得られた混合物を、40mmφ押出機を用いて、押出温度:230℃、スクリュー回転数:80rpmの条件で溶融混練し、ガット状に押出してペレット化した。得られたペレットを、シリンダー温度:230℃、金型温度:60℃の条件で射出成形し、評価用の各種試験片を作製した。これら試験片について前述の方法により評価した結果を表4に示す。
Figure 2017165918
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐候性、耐衝撃性および透明性に優れた成形品を得ることができる。かかる特性を活かして、耐候性および透明性を必要とする屋外設備や自動車用途などに好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. アクリル酸エステル系単量体(a1)70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)0.5〜3重量%を含むビニル系単量体(a)を共重合して得られるアクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体(B)と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)0〜20重量%を含むビニル系単量体(c)を(共)重合して得られるビニル系(共)重合体(C)を配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(B)とビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ビニル系単量体(b)がシアン化ビニル系単量体(b1)22〜35重量%および芳香族ビニル系単量体(b2)65〜78重量%を含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率と前記ビニル系(共)重合体(C)の屈折率との差の絶対値が0.02以下である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記アクリル系ゴム質重合体(A)の屈折率と前記グラフト共重合体(B)のグラフト成分の屈折率との差の絶対値が0.05以上である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 厚さ3mmの角板成形品を射出成形したときの角板成形品の厚さ方向の全光線透過率が50%以上となる請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. アクリル酸エステル系単量体(a1)70〜90重量%、芳香族ビニル系単量体(a2)10〜30重量%、多官能性ビニル系単量体(a3)0.5〜3重量%を含むビニル系単量体(a)を共重合してアクリル系ゴム質重合体(A)を得る工程、前記アクリル系ゴム質重合体(A)の存在下に、ビニル系単量体(b)をグラフト共重合してグラフト共重合体(B)を得る工程、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c1)80〜100重量%、シアン化ビニル系単量体(c2)0〜20重量%、芳香族ビニル系単量体(c3)0〜20重量%を含むビニル系単量体(c)を(共)重合してビニル系(共)重合体(C)を得る工程、ならびに、前記グラフト共重合体(B)と前記ビニル系(共)重合体(C)の合計100重量部に対して、グラフト共重合体(B)35〜75重量部およびビニル系(共)重合体(C)25〜65重量部を配合する工程を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
  8. 厚さ3mmあたりの全光線透過率が50%以上である請求項7に記載の成形品。
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