JP2770412B2 - 複合マルチフィラメント - Google Patents

複合マルチフィラメント

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JP2770412B2
JP2770412B2 JP12208789A JP12208789A JP2770412B2 JP 2770412 B2 JP2770412 B2 JP 2770412B2 JP 12208789 A JP12208789 A JP 12208789A JP 12208789 A JP12208789 A JP 12208789A JP 2770412 B2 JP2770412 B2 JP 2770412B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はマイクロパウダータッチ、すなわちころころ
してソフトで柔軟、且つふくらみがありしかも適度なは
り、腰、ドレープ性を有するファッション性の高い、高
級編織物用複合マルチフィラメントに関する。
(従来の技術) これまでポリエステルマルチフィラメントはそのすぐ
れた特性を生かし衣料用途をはじめ工業資材用としても
各種の用途に使用されている。衣料用途としては絹様風
合はその一つのターゲットとして各社で検討が進められ
一部の分野では絹を凌駕する特性風合が得られている。
例えば熱収縮特性を異にする複数本のマルチフィラメン
トからなる複合糸条はふくらみ、嵩高、ウォーム感など
すぐれた特性、風合を示し広く使用されている。しかし
糸条を構成するマルチフィラメントが全て熱により収縮
する場合には、織物の組織の拘束力のため、糸のもって
いる収縮率差が充分確保出来ないとともに糸の収縮のた
め織物が硬くなる傾向にあり、このため目付を小さくし
て収縮代をもたせたり、風合を確保するためにアルカリ
減量率を大きくするなどの対策を実施して来た。しかし
熱収縮率の大きなフィラメントは一般に熱処理すると硬
化し風合面で充分に満足出来るものは得られていない。
これに対して熱処理により伸長するポリエステルフィラ
メントと収縮するフィラメントの混合糸も知られてお
り、例えば特開昭55−62240号公報、特開昭56−112537
号公報、特開昭60−28515号公報などがある。これらの
ものは前記の収縮糸同士のものに比べるとはるかにソフ
トで柔軟な風合が得られたものの、伸長し突出したフィ
ラメントからなるループによりヌメリ感が出たり、熱処
理により大きな糸長差が発現するので糸が分離し、後工
程での取扱性に問題があった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明はポリエステルフィラメントにおける前記従来
の欠点を解消したものであってマイクロパウダータッチ
の、ころころしてソフト、柔軟、且つふくらみがありし
かも上品なドライタッチと適度なはり、腰、ドレープ性
を有するとともに、後工程通過性に問題のない新規な複
合マルチフィラメントを提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明はかかる問題点を解決するために次のような構
成を有する。すなわち糸物性が下記範囲を満足するマル
チフィラメントAおよびマルチフィラメントBから構成
された複合マルチフィラメントであって、かつ該複合マ
ルチフィラメントは交絡度20〜100コ/mで絡合されてい
ることを特徴とする複合マルチフィラメント。
マルチフィラメントA:単糸デニール差が1デニール以
上ある2以上のフィラメント群から構成され、平均単糸
デニールが3デニール以下であるマルチフィラメント
(複合マルチフィラメント中の含有率10〜80%〔デニー
ル比率〕) マルチフィラメントB:破断強度が4g/デニール以上で
あるマルチフィラメント(複合糸条中の含有率90〜20%
〔デニール比率〕) ▲▼(A)≦0% SHW(B)≧0% SHD(B)−▲▼(A)≧5% SHW:熱水(100℃)収縮率 SHD:乾熱(160℃)収縮率 ▲▼:平均熱水(100℃)収縮率 ▲▼:平均乾熱(160℃)収縮率 以下、本発明を更に詳細に説明する。
第1図は本発明の複合マルチフィラメントを熱処理し
て糸長差を発現せしめた後のモデル図である。第1図に
おいてAは主として鞘部を構成するマルチフィラメント
であって、高温熱処理により実質的に伸長している(自
発伸長後のマルチフィラメント)。
本発明で重要なことはマルチフィラメントAは少なく
とも単糸デニール(以下、dPfとする)の異なる2群以
上以上のマルチフィラメントから構成されていることで
ある。これは第1図で示す如く熱処理により伸長したマ
ルチフィラメントAはdPfの差により伸長したマルチフ
ィラメントの個々のフィラメントの形態が異なり複層の
複雑な形態となり、これが後述する微妙な風合、深色感
をもたらすのである。この風合、深色感を具現するため
には、2群以上のマルチフィラメント間には少なくとも
dPfの差が1.0デニール以上必要である。
またこのフィラメント間の曲率の差をもたせるために
断面形状に差のあるフィラメントを複合してもよい。更
に、同時に160℃乾熱収縮率も異なれば効果が更に向上
する。これは、熱処理による糸長差の発現によりマルチ
フィラメントAの形態が更に複雑化し、ひいては風合、
深色感が増すからである。この際の160℃乾熱収縮率差
は1%以上あれば良い。
次にBは芯部を構成するマルチフィラメントであっ
て、熱処理により収縮したマルチフィラメントである
(熱収縮後のマルチフィラメント)。
次に本発明の構成マルチフィラメントの熱収縮特性に
ついて延べる。本発明のポリエステル複合糸条を構成す
るマルチフィラメントAは通常のサイジングなどの工程
では、マルチフィラメントBとの収縮差は小さい。この
ため布帛で同じ糸長差を発現させるときにも糸段階では
サイジングしても糸長差(ふくらみ、ループ等)は余り
発現せず通常の全て熱収縮する異収縮混織糸に比べても
製織時にははるかに取扱性、製織性が良好となるのであ
る。すなわち糸の状態で糸長差(ループ)が発現すると
当然のことながらビーミング、製織の際ループがこすれ
合ってガイド、コームなどにひっかかったり、開口が悪
くなり工程通過性が著しく低下する。更に通常の熱収縮
マルチフィラメントはサイジングなどで熱処理をうける
と、それでほぼ熱セットが固定されファイナルセットな
どで160〜180℃程度の高温熱処理をうけても糸長差は最
初の熱セット時以上あまり発現しないが、本発明の複合
糸条の如く、熱水では収縮するがファイナルセットに相
当する高温熱処理で伸長するマルチフィラメントを含む
ことにより、全体として収縮した布表面より高温での仕
上加工によりマルチフィラメントAがループ状に突出
し、あたかもパウダーのようにソフトで柔軟なタッチが
得られるのである。このため▲▼(A)≦0%が
必須で、同時に好ましくは▲▼(A)≧0%であ
る。更にふくらみ、嵩高性をもたせるSHD(B)−▲
▼(A)≧5%が必要であり、5%未満ではふくら
み、嵩高性が劣るので本発明からは除外される。ただ余
り大きいと表面からの突出ループが大きくなりすぎアイ
ロンなどの際“てかり”などの問題が発生し易いので50
%以下が好ましい。又同様の理由で▲▼(A)は
5%以下、▲▼(A)は−15%以上が好ましい。
次にマルチフィラメントAの破断伸度は50%以上であ
れば良く、これはソフトで柔軟な風合を得るためであ
る。一般にポリエステルではソフトな風合を得るために
はフィラメントのSHWは小さく、破断伸度が大きい方が
得られ易い。これまでに詳述した如く布帛の表面をルー
プを形成して覆うのは自発伸長マルチフィラメントであ
り、このマルチフィラメントのタッチが布帛のタッチを
決めるからである。しかしあまり破断伸度が大きすぎる
と取扱性が悪くなるので100%以下、更に好ましくは80
%以下が良い。
次にマルチフィラメントBの破断伸度は40%以下が好
ましく、これは捲返し、製編織などの後工程で複合糸条
が伸長されることによる糸斑が発生しないためである。
更に布帛にしたあと製品でのひざ抜けなどの問題を防止
するためである。又複合糸条の破断強力も熱収縮マルチ
フィラメントにほぼ依存するので熱収縮マルチフィラメ
ントの破断強力は、少なくとも4g/デニールで且つ複合
糸条のデニール比率で20%以上でなければならない。も
ちろん破断強力が高ければマルチフィラメントBの比率
は若干低くてもよいが20%未満ではマルチフィラメント
Bの収縮力が小さくなり糸長差によるふくらみが発現さ
れにくいので本発明からは除外される。尚、マルチフィ
ラメントBの熱水収縮率および160℃乾熱収縮率は、そ
れぞれ5〜60%、7〜80%が好ましい。
また、マルチフィラメントBは、マルチフィラメント
Aと同様に2群以上のdPfやSHDなどの特性の異なるもの
を複合されていてもよいし、繊維軸方向に太さムラを有
する所謂シックアンドシン糸であってもよい。次にマル
チフィラメントAは、単糸デニールは平均3デニール以
下のものから構成される必要がある。尚ここでいう平均
デニールとはマルチフィラメントAの全デニール/全フ
ィラメント数で計算したものである。この平均デニール
が3デニールを越えると破断伸度が大きく、ヤング率が
低くても風合が粗硬になるので本発明からは除外され
る。しかしあまり細くなるとヌメリ感が出すぎるので0.
2デニール以上が好ましい。
次にマルチフィラメントAのフィラメントのうち少な
くとも1デニール以上のフィラメントは断面の外周面に
少なくとも1つの凹部を有する異形断面であることが好
ましい。特に本発明の複合糸条の如く破断伸度が大きい
フィラメントはソフトだがヌメリ感が出易いので断面形
状を異形にすることにより特に1dPfといった太いフィラ
メントではフィラメント間で点接触部が増加し、かわい
たドライタッチとなるのである。ここでいう異形断面と
は断面の外周面に少なくとも1つの凹部を有する三角、
六角、偏平、それらの中空等の断面形状をいうが本発明
で用いるフィラメントAの単糸の好ましい断面形状の代
表例を第3図に示す。又このような風合、効果をもたせ
るためにはこれらの10本以上のフィラメントからなるこ
とが好ましい。
次に本複合マルチフィラメントは実質的に芯/鞘構造
をとるのが好ましい。これはマルチフィラメントAが複
合マルチフィラメントの表層部に多く存在することによ
り、布帛表面よりループが突出し易いからである。ま
た、ここでいう実質的に芯/鞘構造をとるとは、複合糸
条の或る界面で芯部と鞘部に即ちマルチフィラメントB
とマルチフィラメントAとに二分されている構造のみを
意味しているのではなく、複合糸条全体に特に境界面付
近で両成分が混在しており、マルチフィラメントBが主
として芯部に自発、マルチフィラメントAが主として鞘
部に配する構造をも意味している。
次に本複合マルチフィラメントは交絡度20〜100で絡
合されていることも必須である。交絡度が20未満ではマ
ルチフィラメント同士、糸長差で糸が分離し易く、工程
通過性を著しく阻害する。
逆に交絡度が100を越えると布帛でインターレース斑
が目立つとともに、マルチフィラメントAのモノフィラ
メントが切断し、毛羽になることもあり好ましくないの
である。
次に内層部を構成するマルチフィラメントBの断面は
特に限定はないが、嵩高性をもたせるためには中空糸
を、ドライハンドをさらに協調するためにはマルチフィ
ラメントAと同様に1dPf以上のフィラメントの断面の外
周面に少なくとも1つの凹部を有する異形断面糸なども
好ましい。更に本発明のポリエステル複合糸条にはマル
チフィラメントA成分とマルチフィラメントB成分の両
方又は一方に必要に応じ5−ナトリウムスルホン酸金属
塩、イソフタル酸などの共重合物や微粉不活性物質を含
んだポリエステル繊維を含んでもよい。
次に本複合糸条は加撚された状態であるのも好まし
い。しかしあまり強撚されると糸長差が発現し難いので 以下が好ましいが、ソフト、柔軟さを要求しない場合は
必ずしもこれに限定されない。
次に本発明のポリエステル複合糸条の製造方法につい
て説明する。
本発明のポリエステル複合糸条の製造装置の略側面を
第2図に例示する。自発伸長性に優れた少なくともdPf
の異なる複数群のマルチフィラメントからなるポリエス
テルマルチフィラメントAを製造するには、dPf又は延
伸後SHDの異なる未延伸糸を個々に又はノズル間又はノ
ズル内複合し、ついで得られた未延伸糸を個々に又は複
合して第2図の延伸、熱処理をすればよい。
まず紡速1500〜4000m/minで紡糸した未延伸糸を延伸
温度Tg〜Tg+20℃かつ延伸後の破断伸度30〜45%、△n
0.10〜0.14の範囲で延伸することが必要である。紡糸速
度2000m/min未満では延伸後物性が不安定で好ましくな
い。
また4000m/minを越えると延伸後の熱収縮率が低く自
発伸長性が低くなり、織編物としての風合が所定のもの
にならない。好ましくは2000〜4000m/minである。延伸
温度は延伸安定性のためTg以上の温度が必要だがTg+20
℃以上の温度では結晶化が進み、自発伸長性が低下す
る。また延伸後の破断伸度は自発伸長性発現にとって重
要であるが、延伸時の糸切れ等操業性の面では破断伸度
30%以上にする必要がある。しかし破断伸度45%以上で
は糸斑の発生が見られ好ましくない。合わせて△nを0.
10〜0.14の範囲にすることが必要であり、この範囲外で
はリラックス熱処理による自発伸長性の安定性に欠け
る。次に自発伸長性を与える非接触式ヒーターによるリ
ラックス熱処理は必要とする自発伸長率により適宜選べ
ばよいがヒーター温度は自発伸長性に対して、デニール
とリラックス処理速度および非接触式ヒーター長により
異なるが160−230℃の範囲が好ましい。160℃未満では
自発伸長率は低く逆に230℃を越えるとドッフィング停
台時にヒーターの熱により、ヒーター内停止中にマルチ
フィラメントが溶断し、再起動性が低下し、工業的には
使用できない。
尚、リラックス引取ローラー速度Vyは10〜1500m/mi
n、リラックス非接触式ヒーター長HLは0.1〜2mが好まし
い。
オーバーフィード率は自発伸長性の発現およびリラッ
クス熱処理の操業性安定化のため20〜60%が良い。なお
ヒーターは接触式ヒーターではマルチフィラメント走行
抵抗によりヒーター入口の糸張力が不足して、ローラー
捲付、糸切れが発生するので非接触式ヒーターにする必
要がある。
次にこのポリエステルマルチフィラメントAと、少な
くとも熱収縮特性の異なるポリエステルマルチフィラメ
ントBとデニール比で10〜80%/90〜20%となるように
合せて交絡度20−100コ/mで交絡処理する。
交絡装置は通常のエアーを用いるインターレーサーで
よいが、マルチフィラメントA、Bの組合せにより毛羽
が発生し易いので糸通路は表面粗度の小さいもの、特に
3S以下のものを使用するのが好ましい。又交絡処理の条
件は必要とする交絡度により適宜選べばよいがエアー圧
2〜10kg/cm2G、オーバーフィード率は0〜0.8%が好
ましい範囲である。
ついで上記ポリエステル系複合糸条を、好ましくはは
撚糸したあと85℃以下で撚止めセット及び/又は糊付
け、乾燥したあと織物の経糸及び/又は緯糸として製織
する。撚糸するのは、本ポリエステル系複合糸条は自発
伸長糸と収縮糸では染着性に差があり、交絡しただけで
は染着差によるモアレ、ムラが出易く、かつ自発伸長糸
がゼイレギュラーに織物表面に出るため表面があれて品
位を低下させるのと、整経、糊付、製織工程で張力がか
かると交絡度が低下しループが多発し、製織性が低下す
るからである。
このためには過撚数は1100≦K≦6000で充分であるが
強撚タイプの場合には用途に応じて適宜選べばよい。こ
こで過撚数 次いでセットを施すが、過撚数が1100≦K≦6000の場
合は、糊付け乾燥を過撚数が>6000のときは撚止めセッ
トを施せばよい。但しいずれも最高温度は85℃以下で実
施することが好ましい。
更に撚止めセットは70℃以下が好ましい。これは次の
理由による。
サイジングにおける高温乾燥熱処理で、繊維の結晶化
が進み、染色加工で発現すべき自発伸長性が減少し、十
分にふくらみのある織物が得られない。
サイジングにおける高温乾燥熱処理を受けることで糸
長差が発現し、製織性が悪くなる。
又、糊付け温度は室温〜50℃、乾燥は75℃以下が好ま
しく、糊剤として通常のフィラメント用アクリル系糊剤
が使用できる。サイジングマシーンは津田駒製シリンダ
ータイプ、河本製機製のものが使用され、第1チャンバ
ーは70℃前後、第2チャンバーは75℃前後で、チャンバ
ー内ドラフトは低い方がよく、張力としては0.1〜0.2g/
dが好ましい。
勿論、上記方法以外の方法でも低温セット効果のある
ものであればよい。
製織は、好ましくはウォータジェットルーム等の無杼
製織がよい。これは、有杼製織であれば、杼の飛走中に
どうしても毛羽が発生し易くなるためである。
このようにして得られた織物を通常の後加工等で熱処
理(110〜200℃)することにより、自発伸長糸成分が伸
長発現し、風合い良好なふくらみに富む、ソフトタッチ
の織物となる。
又マルチフィラメントAにTiO2、カオリナイトなどの
微細孔形成剤を含む場合10〜40%好ましくは15〜35%の
アルカリ減量を実施することにより繊維軸方向にたて長
の微細孔が発生しさわやかなタッチと深みのある色調、
光沢が得られるので微細孔形成剤を含むことも好まし
い。
次に以下の実施例により本発明の構成および作用効果
を更に詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例
により制約を受けるものではない。
(実施例) なお、本発明で実施した測定方法は以下の通りであ
る。
(1)破断伸度 JIS−L−1013(1981)に準じ、東洋ボールドウィン
社製テンシロンを用いて試料長(ゲージ長)200mm、引
張速度200mm/分でS−S曲線を測定し、破断伸度を算定
した。
(2)熱収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD) JIS−L
−1073に準じ、次によった。即ち適当な枠周のラップリ
ールで初荷重1/10g/デニールで8回捲のカセをとり、カ
セに1/30g/デニールの荷重をかけその長さl0(mm)を測
定する。ついでその荷重をとり除き、1/1000g/デニール
の荷重をかけた状態でカセを沸騰水中に30分間浸漬す
る。その後カセを沸騰水から取り出し、冷却後再び1/30
g/デニールの荷重をかけてその時の長さl1(mm)を測定
する。
次に同様の条件でかせを作成し、l0(mm)を測定す
る。ついで1/1000g/デニールの荷重をかけた状態で乾熱
160℃のオーブン中で熱処理する。ついで冷却後再び1/3
0g/デニールの荷重をかけてそのときの長さl2(mm)を
測定する。熱水収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD)は次
式により算出される。
(3)交絡度 適当な長さの糸をとり出し、下端に1/10g/デニールの
荷重をかけて垂直につり下げる。ついで適当な針を糸中
につき出し、ゆっくり持ち上げ荷重が持ち上がるまでに
移動する距離l(cm)を100回測定し、これより平均値
l(cm)を求め次式により算出する。
(実施例) 以下実施例にて詳細に説明するが本発明はもとよりこ
れらの実施例に限定されるものではない。
(実施例−1 比較例−1) 実質的にエチレンテレフタレート単体のみの繰り返し
からなるポリエステル重合体を常法で紡糸捲取速度3000
m/minで延伸−リラックス後のデニール、中空率、DE、S
HW、SHDが表1の物性になる如く、紡糸ノズル形状、紡
糸吐出量、延伸倍率、リラックス率、リラックス温度、
セット時間を変更して得た。又熱収縮マルチフィラメン
トは市販の東洋紡(株)製、東洋紡エステルを使用し、
第2図の延伸−リラックス機で加工した。ここでエアー
ノズル7はファイバーガイド社製エアージェットFG−1
を使用し目標の交絡度が得られる如くエアー圧、フィー
ドローラー6とデリベリーローラー8の間フィード比を
調整した。使用した原糸物性と得られた複合糸条の糸質
及び該糸条を用いて通常の方法で撚糸、整経後河村製機
製の糊付機を使用し通常のフィラメント用アクリル系糊
剤を糊付後第1チャンバー70℃第2チャンバー75℃で乾
燥後デシンを製織し常法で25%アルカリ減量したあと染
色仕上した布帛の風合を判定した。又工程通過性として
特に撚糸、捲返し、製織性について判定し、工程通過
性、風合の色調、光沢の面から見た総合判定を各々第1
表に記載した。
実施例1,2,3は本発明の範囲内で風合、工程通過性、
とも良好であった。
比較例1、は熱伸長マルチフィラメント(A)が単成
分のため布帛表面の突出ループがほぼ均斉で、風合とし
てはソフト、柔軟で良好だが、やや単調なものであっ
た。
比較例2は、熱伸長マルチフィラメント(A)の単糸
デニールが太いのでややソフト感に欠けた。
比較例3は、熱収縮マルチフィラメント(B)の強力
が低く、且つ△SHDも低いので、撚糸製織工程での糸切
も多く且つふくらみ、ソフト感にも欠けるものであっ
た。
比較例4,5は、熱伸長性マルチフィラメントAとして
単糸繊度の違うもの(比較例4)、SHDの違うもの(比
較例5)を使用しているが、その差が少ないので比較例
1と同様の風合でややお単調なものであった。
比較例6は、熱収縮マルチフィラメント(B)の比率
が大きすぎるため熱伸長マルチフィラメント(A)の効
果が小さく風合面でソフトさ、柔かさに欠けるものであ
った。
比較例7は、熱収縮マルチフィラメント(B)の比率
が小さすぎるため複合糸の強力が低く糸切が多発して撚
糸性が劣った。
比較例8は、熱伸長マルチフィラメント(A)が実質
的に収縮し、かつ破断伸長も低いためこれまでの異収縮
混繊糸と同様の風合で、本発明の目的とする風合とは全
く異なるものであった。
比較例9は、熱収縮マルチフィラメント(B)も実質
的に伸長し、かつ破断伸度も大きいので張力がかかると
伸び工程通過性とともに布帛欠点も多発した。
比較例10は、風合はソフトで柔かく良好だったが交絡
度が低いため工程通過性に問題があった。
比較例11は、交絡度が高いので工程通過性はよいがモ
アレ斑が出て布帛の品位を著しく低下させた。
(発明の効果) このように本発明の複合マルチフィラメントは従来の
異収縮混繊維糸(熱伸長糸も含む)に比べてソフト、柔
軟性、且つドライタッチと適度なはり、腰、ドレープ性
を有し、布帛表面も複層クリンプによる自然な外観でし
かも工程通過性が優れているという顕著な効果を奏する
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリエステル複合糸条を熱処理して糸
長差を発現させたモデル図。第2図は製造装置の一例を
示す略側面図である。 A:熱伸長マルチフィラメント B:熱収縮マルチフィラメント C:本発明のポリエステル複合糸条 3:ホットローラー 5:非接触ヒーター 7:エアージェットノズル 第3図は本発明のマルチフィラメントAの断面形状の代
表例を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糸物性が下記範囲を満足するマルチフィラ
    メント糸AおよびマルチフィラメントBから構成された
    複合マルチフィラメントであって、かつ該複合マルチフ
    ィラメントは交絡度20〜100コ/mで絡合されていること
    を特徴とする複合マルチフィラメント。 マルチフィラメントA:単糸デニール差が1デニール以上
    ある2以上のフィラメント群から構成され、平均単糸デ
    ニールが3デニール以下であるマルチフィラメント(複
    合マルチフィラメント中の含有率10〜80%〔デニール比
    率〕)… マルチフィラメントB:破断強度が4g/デニール以上であ
    るマルチフィラメント(複合糸条中の含有率90〜20%
    〔デニール比率〕) ▲▼(A)≦0% SHW(B)≧0% SHD(B)−▲▼(A)≧5% SHW:熱水(100℃)収縮率(%) SHD:乾熱(160℃)収縮率(%) ▲▼:平均乾熱(160℃)収縮率(%)
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