JP2738013B2 - 織編物用潜在嵩高性熱可塑性合成繊維複合糸条 - Google Patents

織編物用潜在嵩高性熱可塑性合成繊維複合糸条

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JP2738013B2
JP2738013B2 JP12567289A JP12567289A JP2738013B2 JP 2738013 B2 JP2738013 B2 JP 2738013B2 JP 12567289 A JP12567289 A JP 12567289A JP 12567289 A JP12567289 A JP 12567289A JP 2738013 B2 JP2738013 B2 JP 2738013B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ソフトで柔軟、且つドライタッチと適度な
はり、腰、ドレープ性、嵩高性及び新規な色調を有する
絹様織編物用熱可塑性合成繊維複合糸条に関する。
(従来の技術) 従来、合成繊維マルチフィラメントはそのすぐれた特
性を生かし衣料用途をはじめ工業資材用としても各種の
用途に使用されている。衣料用途としては絹用風合はそ
の一つのターゲットとして各社で検討が進められ一部の
分野では絹を凌駕する特性風合が得られている。例えば
熱収縮特性を異にする複数本のマルチフィラメントから
なる複合糸条はふくらみ、嵩高、ウォーム感などすぐれ
た特性、風合を示し広く使用されている。しかし糸条を
構成するマルチフィラメントが全て熱により収縮する場
合には、編織物の組織の拘束力のため、糸のもっている
収縮率差が充分確保出来ないとともに糸の収縮のため絹
織物が硬くなる傾向にあり、このため目付を小さくして
収縮代をもたせるなどの対策を実施して来た。しかし、
熱収縮率の大きなフィラメントは一般に熱処理すると硬
化し風合面で充分に満足出来るものは得られていない。
これに対して熱処理により伸長するポリエステルフィラ
メントと収縮するフィラメントの混合糸も知られてお
り、例えば特開昭55-62240号公報、特開昭56-112537号
公報、特開昭60-28515号公報などがある。これらのもの
は前記の収縮糸同士のものに比べるとはるかにソフトで
柔軟な風合が得られたものの、伸長し突出したフィラメ
ントからなるループによりヌメリ感が出たり、熱処理に
より大きな糸長差が発現するので糸が分離し、後工程で
の取扱性に問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は合成繊維フィラメントにおける前記従来の欠
点を解消したものであってソフト、柔軟さ、上品なドラ
イタッチと適度なはり、腰、ドレープ性、嵩高性及び新
規な色調を有するとともに、後工程通過性に問題のない
新規なポリエステル複合糸条及びその製造方法を提供す
ることを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明はかかる課題を解決するために次のような構成
を有する。すなわち糸物性が下記範囲を満足するポリエ
ステルマルチフィラメントA、と該ポリエステルマルチ
フィラメントAとは異なるポリマー成分の熱可塑性合成
繊維マルチフィラメント糸Bから構成された複合糸条で
あって、該複合糸条は交絡度20〜100コ/mで絡合されて
いることを特徴とする織編物用潜在嵩高性熱可塑性合成
繊維複合糸条である。
ポリエステルマルチフィラメントA:単糸3デニール以
下のマルチフィラメント(複合糸条中の含有率20〜80%
〔デニール比率〕) 熱可塑性合成繊維マルチフィラメントB:破断強力が12
0g以上であるマルチフィラメント(複合糸条中の含有率
80〜20%〔デニール比率〕) SHD(A)≦0% SHD(B)≧0% SHD(B)−SHD(A)≧5% SHW:熱水(100℃)収縮率(%) SHD:乾熱(160℃)収縮率(%) 以下本発明を更に詳細に説明する。
第1図は、本発明の熱可塑性合成繊維複合糸条を熱処
理して糸長差を発現せしめた後のモデル図である。第1
図においてAは主として鞘部を構成するポリエステルマ
ルチフィラメントであって、高温熱処理により実質的に
伸長している(自発伸長後のマルチフィラメント)。B
は前記Aとは異なるポリマー成分の芯部を構成するマル
チフィラメントであって、熱処理により収縮したマルチ
フィラメントである(熱収縮後のマルチフィラメン
ト)。
まず本発明で重要な要件である構成マルチフィラメン
トの熱収縮特性について延べる。本発明のポリエステル
複合糸条を構成するマルチフィラメントAは通常のサイ
ジングなどの工程では、マルチフィラメントBとの収縮
率差は小さく、しかも実質的に収縮挙動を示すことが好
ましい。このため布帛で同じ糸長差を発現させるときに
も糸段階ではサイジングしても糸長差(ふくらみ、ルー
プ等)は余り発現せず通常の全て熱収縮する異収縮混織
糸に比べても製織時にははるかに取扱性、製織性が良好
となるのである。すなわち糸の状態で糸長差(ループ)
が発現すると当然のことながらビーミング、製織の際ル
ープがこすれ合ってガイド、コームなどにひっかかった
り、開口が悪くなり工程通過性が著しく低下する。更に
通常の熱収縮マルチフィラメントはサイジングなどで熱
処理をうけると、それでほぼ熱セットが固定されファイ
ナルセットなどで160〜180℃程度の高温熱処理をうけて
も糸長差は最初の熱セット時以上あまり発現しないが、
本発明の複合糸条の如く、熱水では収縮するがファイナ
ルセットに相当する高温熱処理で伸長するマルチフィラ
メントを含むことにより、全体として収縮した布表面よ
り高温での仕上加工によりマルチフィラメントAがルー
プ状に突出し、あたかもピーチの表面のようにソフトで
柔軟なタッチが得られるのである。このためにSHD
(A)≦0%が必須で、好ましくはSHW(A)≧0%で
ある。更にふくらみ、嵩高性をもたせるためにSHD
(B)−SHD(A)≧5%が必要であり、5%未満では
ふくらみ、嵩高性が劣るので本発明からは除外される。
ただ余り大きいと表面からの突出ループが大きくなりす
ぎアイロンなどの際“てかり”などの問題が発生し易い
ので50%以下が好ましい。又同様の理由でSHW(A)は
5%以下、SHD(A)は−15%以上が好ましい。
次にポリエステルマルチフィラメントAの破断伸度は
50%以上であれば良い。これは、ソフトで柔軟な風合を
得るためである。一般にポリエステルではソフトな風合
を得るためにはフィラメントのSHWは小さく、破断伸度
が大きい方が得られ易い。これまでに詳述した如く布帛
の表面をループを形成して覆うのは自発伸長マルチフィ
ラメントであり、このマルチフィラメントのタッチが布
帛のタッチを決めるからである。しかしあまり破断伸度
が大きすぎると取扱性が悪くなるので100%以下、更に
好ましくは80%以下が良い。
次に熱可塑性合成繊維マルチフィラメントBの破断伸
度は捲返し製編織等の後工程で複合糸条が伸長されるこ
とによる糸斑が発生しないためには、該糸がポリエステ
ルマルチフィラメントの場合は40%以下、該糸がナイロ
ンマルチフィラメント等ポリエステル以外の場合は、60
%以下であることが好ましい。
更に布帛にしたあと製品でのひざ抜けなどの問題を防
止するためである。又複合糸条の破断強力も熱収縮マル
チフィラメントにほぼ依存するので熱収縮マルチフィラ
メントの破断強力は、少なくとも120gで、且つ複合糸条
のデニール比率で20%以上でなければならない。もちろ
ん破断強力が高ければマルチフィラメントBの比率は若
干低くてもよいが20%未満ではマルチフィラメントBの
収縮力が小さくなり糸長差によるふくらみが発現されな
いので本発明からは除外される。尚、マルチフィラメン
トBの熱水収縮率および160℃乾熱収縮率は、それぞれ
5〜60%、7〜80%が好ましい、 次にポリエステルマルチフィラメントAは、単糸デニ
ールは3デニール以下のものから構成される必要があ
る。3デニールを越えると破断伸度が大きく、ヤング率
が低くても風合が粗硬になるので本発明からは除外され
る。しかしあまり細くなると後述する異形断面のフィラ
メントにしてもはり、腰がなくなるため0.2デニール以
上が好ましい。但し、3デニール以上のものが混じって
いてもよく(デニールミックス)、平均で3デニール以
下ならばよい。更にフィラメントは断面の外周面に少な
くとも1つの凹部を有する異形断面であることが好まし
い。特に本発明の複合糸条の如く破断伸度が大きいフィ
ラメントはソフトだがヌメリ感が出易いので断面形状を
異形にすることによりフィラメント間で点接触部が増加
し、かわいたドライタッチとなるのである。ここでいう
異形断面とは断面の外周面に少なくとも1つの凹部を有
する三角、六角、偏平、それらの中空等の断面形状をい
うのが本発明で用いるフィラメントAの単糸の断面形状
の代表例を第3図に示す。又このような風合、効果をも
たせるためにはこれらの単糸の10本以上のフィラメント
からなることが好ましい。
次に本複合糸条は実質的に芯/鞘構造をとるのはマル
チフィラメントAが複合糸条の表層部に多く存在するこ
とにより、布帛表面よりループが突出し易いからであ
る。また、ここでいう実質的に芯/鞘構造をとるとは、
複合糸条の或る界面で芯部と鞘部に即ちマルチフィラメ
ントBとマルチフィラメントAとに二分されている構造
のみを意味しているのではなく、複合糸条全体に特に境
界面付近で両成分が混在しており、マルチフィラメント
Bが主として芯部に、マルチフィラメントAが主として
鞘部に配する構造をも意味しており、該複合糸条の中心
から半径1/3内は重量比率でマルチフィラメントBがマ
ルチフィラメントAより大きく、複合糸条の表面から半
径1/3内はマルチフィラメントAがマルチフィラメント
Bより大きいものは本発明の範囲内である。尚、芯/鞘
構造および前述したデニール比率の測定は該複合糸条を
エポキシ樹脂で固定し、ランダムに100回断面を切断し
たものを光学顕微鏡で観測し、これより平均値および状
態を求める。又交絡度20〜100で絡合されていることも
必須である。交絡度が20未満ではマルチフィラメント同
士、糸長差で糸が分離し易く、工程通過性を著しく阻害
する。
逆に交絡度が100を越えると布帛でインターレース斑
が目立つとともに、マルチフィラメントAのモノフィラ
メントが切断し、毛羽になることもあり好ましくないの
である。
次に内層部を構造するマルチフィラメントBの断面は
特に限定はないが、嵩高性をもたせるためには中空糸
を、ドライハンドをさらに協調するためにはマルチフィ
ラメントAと同様に断面の外周面に少なくとも1つの凹
部を有する異形断面糸なども好ましい。
本発明の熱可塑性合成繊維複合糸条は、マルチフィラ
メントBに、ポリエステルマルチフィラメントAとは異
なるポリマー成分の熱可塑性合成繊維を用いることが必
要である。これは主に両者の染色性の差から、自然な杢
調外観を得るためである。
ポリエステルマルチフィラメントAにおけるポリエス
テルとは、実質的にエチレンテレフタレートのみを繰返
し単位とするポリエチレンテレフタレートやエチレンテ
レフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合物等
であり、更に必要により5−金属スルホイソフタル酸等
を共重合した所謂カチオン染料可染ポリエステルあるい
は常圧カチオン染料可染ポリエステル等が例示される。
一方、熱可塑性合成繊維マルチフィラメントBは、6−
ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン等のポリアミ
ド系マルチフィラメントやポリエステルマルチフィラメ
ントA以外のポリエステル系マルチフィラメントやアク
リルマルチフィラメントやポリプロピレン、ポリエチレ
ン等のポリオレフィン系マルチフィラメント等が例示さ
れる。又、両者の組み合せの例として、ポリエチレンテ
レフタレートとカチオン染料可染ポリエステル、ポリエ
ステル系マルチフィラメントとポリアミド系マルチフィ
ラメント等であるが、染色後に色差が6以上あるもので
あれば、いずれの組み合せてもよい。
本発明の熱可塑性合成繊維複合糸条は、熱処理するこ
とによりポリエステルマルチフィラメントAは、外層部
に、前記ポリエステルマルチフィラメントAとは異なる
ポリマー成分の熱可塑性合成繊維マルチフィラメントB
は内層部に配され、従来の異収縮混織糸では、強過ぎる
濃淡差となっていた2種の異なるポリマー成分のマルチ
フィラメントの組み合わせにおいても、より自然でマイ
ルドな色調差となる。また、染色布帛とした場合に見る
方向により、色調が異って見える所謂玉虫効果も現れ
る。
また、熱可塑性合成繊維マルチフィラメントBは、A
ポリマー成分を異にする繊維軸方向に太さムラを有する
所謂シックアンドシン糸であってもよい。但し、その場
合、熱水収縮率は5〜30%であればよい。
この場合においても、熱処理を施すことによりポリエ
ステルマルチフィラメントAがシックアンドシン糸Bを
被覆するため、シックアンドシン糸の強過ぎる濃淡差が
ほどよくポリエステルマルチフィラメントAにかくされ
て、ポリエステルマルチフィラメントAと、熱可塑性合
成繊維マルチフィラメントBとの色調差および、該熱可
塑性合成繊維マルチフィラメントBがシックアンドシン
糸であることによる色調差が混ざり、複雑ながらマイル
ドな色調効果が得られる。尚、ポリエステルマルチフィ
ラメントAおよび、熱可塑性合成繊維マルチフィラメン
トBには微粉体の不活性物質が加えられていてもよい。
次に、本複合糸条は、加撚された状態であるのも好ま
しい。しかし、あまり強撚されると、糸長差が発展し難
いので 以下が好ましいが、ソフト、柔軟さを要求しない場合は
必ずしも、これに限定されない。杢調外観は撚数の程度
により比較的粗杢調のものから、こなれの良い細やか
な、色調差をもつものまでの自由度が存在する。
次に本発明のポリエステル複合糸条の製造方法につい
て説明する。
本発明の熱可塑性合成繊維複合糸条の製造装置の略側
面を第2図に例示する。自発伸長性に優れたポリエステ
ルマルチフィラメントAを製造するには、まず紡速1500
〜4000m/minで紡糸した未延伸糸を延伸温度Tg〜Tg+20
℃かつ延伸後の破断伸度30〜45%、Δn0.10〜0.14の範
囲で延伸することが必要である。紡糸速度2000m/min未
満では延伸後物性が不安定であり、かつ太さ斑が大きく
なるので本発明の範囲から除外する。また4000m/minを
越えると延伸後の熱収縮率が低く自発伸長性が低くな
り、織編物としての風合が所定のものにならない。好ま
しくは2000〜4000m/minである。延伸温度は延伸安定性
のためTg以上の温度が必要で、Tg+20℃以上の温度では
結晶化が進み、自発伸長性が低下する。また延伸温度は
自発伸長性発現にとって重要であるが、延伸時の糸切れ
等操業性の面では破断伸度30%以上にする必要がある。
破断伸度45%以上では糸斑の発生が見られ好ましくな
い。合わせてΔnを0.10〜0.14の範囲にすることが必要
であり、この範囲外ではリラックス熱処理による自発伸
長性の安定性に欠ける。次に自発伸長性を与える非接触
式ヒーターによるリラックス熱処理は下記(1)式、
(2)式を同時に満足するヒーター温度T(℃)かつオ
ーバーフィード率20〜60%で行うことが必要である。
T≦Tm−10 −(2) D:リラックス後デニール V:リラックス引取ローラー速度(m/min) HL:リラックス非接触式ヒーター長(m) Tm:融点(℃) Tg:2次転移点温度(℃) ヒーター温度は自発伸長性に対して、デニールとリラ
ックス処理速度および非接触式ヒーター長に対して本発
明者らは(1)式の関係を見つけ出した。(1)式範囲
より高ければ結晶化の進行により、自発伸長性が低下
し、また低ければ自発伸長性の発現は弱くなる。また
(1)式と(2)式を同時に満足することが必要である
が、ヒーター温度を(Tm−10)℃以上にするとドッフィ
ング停台時にヒーターの熱により、ヒーター内停止中に
マルチフィラメントが溶断し、再起動性が低下し、工業
的には使用できない。
尚、リラックス引取ローラー速度Vyは10〜1500/min、
リラックス非接触式ヒーター長HLは0.1〜2mが好まし
い。
オーバーフィード率は自発伸長性の発現およびリラッ
クス熱処理の操業性安定化のため20〜60%が良い。なお
ヒーターは接触式ヒーターではマルチフィラメント走行
抵抗によりヒーター入口の糸張力が不足して、ローラー
捲付、糸切れが発生するので非接触式ヒーターにする必
要がある。
このポリエステルマルチフィラメントAを、該ポリエ
ステルマルチフィラメントAと異なるポリマー成分を有
する熱可塑性合成繊維マルチフィラメントBとデニール
比で20〜80%/80〜20%となるように合わせて交絡度20
〜100コ/mで交絡処理する。染色、セット処理を施し、
糸長差により、ふくらみ、張り、腰、バルキー性が良好
な織編物とするためには熱可塑性合成繊維マルチフィラ
メントB成分として沸水収縮率5%以上、160℃乾熱収
縮率7%以上であればよい。共に、これより低い場合は
十分な糸長差が得られず、良好な風合の織編物が得られ
ない。尚、沸水収縮率は5〜60%、160℃乾熱収縮率は
7〜80%が好ましい。勿論、熱可塑性合成繊維マルチフ
ィラメントが所謂シックアンドシン糸や自発伸長性糸で
あってもよいが、前者の場合は熱水収縮率が5〜30%、
後者の場合は160℃乾熱収縮率が0%以下で且つマルチ
フィラメントAとの伸長差が少なくとも5%あればよ
い。
またデニール比が20〜80%となるように混織すること
も重要であり、自発伸長性ポリエステルマルチフィラメ
ントが20%未満ではふくらみ、バルキー性が不足し、80
%を越えると、張り、腰がないものになる。交絡度は撚
糸、整経、製織での取り扱い性および織編物での均一な
外観を得るために20〜100コ/mとする必要がある。20コ/
m以下では、ポリエステルマルチフィラメントAと熱可
塑性合成繊維マルチフィラメントBとが分離し易く、次
工程の取り扱い性が低下する。100コ/mを越えると織編
物で均一な外観が得られない。以上の構成により取り扱
い性、自発伸長性の発現性、生産性に優れたポリエステ
ルマルチフィラメントAと熱可塑性合成繊維マルチフィ
ラメントBとの複合糸条を得ることができる。
以上の実施例により本発明の構成および作用効果を説
明するが、本発明はもとより下記実施例により制約を受
けるものではない。
(実施例) なお、本発明で実施した測定方法は以下の通りであ
る。
(1) 破断伸度 JIS−L−1013(1981)に準じ、東洋ボールドウィン
社製テンシロンを用いて試料長(ゲージ長)200mm、引
張速度200mm/分でS−S曲線を測定し、破断伸度を算定
した。
(2) 熱収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD) JIS−L−1073に準じ、次によった。即ち適当な枠周
のラップリールで初荷重1/10g/デニールで8回捲のカセ
をとり、カセに1/30g/デニールの荷重をかけその長さl
0(mm)を測定する。ついでその荷重をとり除き、1/100
0g/デニールの荷重をかけた状態でカセを沸騰水中に30
分間浸漬する。その後カセを沸騰水から取り出し、冷却
後再び1/30g/デニールの荷重をかけてその時の長さl1
(mm)を測定する。ついで60℃で30分乾燥した後1/1000
g/デニールの荷重をかけた状態で乾熱160℃のオーブン
中で熱処理する。ついで冷却後再び1/30g/デニールの荷
重をかけてそのときの長さl2(mm)を測定する。熱水
収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD)は次式により算出さ
れる。
(3) 交絡度 適当な長さの糸をとり出し、下端に1/10g/デニールの
荷重をかけて垂直につり下げる。ついで適当な針を糸中
につき出し、ゆっくり持ち上げ荷重が持ち上がるまでに
移動する距離l(cm)を100回測定し、これより平均値
l(cm)を求め次式により算出する。
実施例1〜4、比較例1〜6 熱伸長ポリエステルマルチフィラメントとしてポリエ
チレンテレフタレートを常法で紡糸捲取速度3000m/min
で延伸−リラックス後のデニール、DT、DE、SHW、SHDが
第1表の物性になる如く、紡糸に吐出両、延伸倍率、リ
ラックス率、リラックス温度、セット時間を変更して得
た。また、熱可塑性合成繊維マルチフィラメントはカチ
オン染料可染ポリエステル(エチレンテレフタレートに
5−ナトリウムスルホイソフタル酸1mol%、−OC2
4mCH−C(CH32−CHO−C24 nO−〔m
+n=4.5〕4wt%が共重合されたポリエステル繊維)、
常圧カチオン染料可染ポリエステル(エチレンテレフタ
レートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸3mol−O
24mCH−C(CH32−CHO−C24 nO−
〔m+n=4.5〕3wt%が共重合されたポリエステル繊
維)及び6−ナイロンを使用し、第2図の延伸−リラッ
クス機で加工した。ここでエアーノズル7は、ファイバ
ーガイド社製エアージェットG−1を使用し、目標の交
絡度が得られる如くエアー圧、フィードローラー6とデ
リベリーローラー8の間フィード比を調整した。使用し
た原糸物製と得られた複合糸条の糸質および該糸条を用
いて通常の方法で撚糸後デシンを製織し染色仕上した布
帛の風合を判定した。また工程通過性として特に撚糸、
捲返し、製織性について判定し、工程通過性、風合の色
調の面から見た総合判定を第1表に記載した。
実施例1〜4は、本発明の範囲内で風合、工程通過性
が良好で、自然でマイルドな杢調外観と優れた嵩高性を
有していた。
比較例1は、熱伸長ポリエステルマルチフィラメント
が収縮せず布帛表面に突出したループがなく、通常の異
収縮混織糸と同じ風合いしか得られず、マイルドな外観
が得られなかった。比較例2は熱収縮マルチフィラメン
トの比率(複合糸デニールに対する比率)が18%と低く
DSも50gと低いため糸切れが発生するとともに、風合面
でもはり、腰がなく、外観工も杢のこなれが悪く、満足
するものではなかった。比較例3は、逆に熱収縮フィラ
メントが91%と大きいため、布帛表面に突出する熱伸長
ポリエステルマルチフィラメントが少なく、ふくらみ、
バルキー感に劣ったものであり、外観も好ましいもので
はなかった。比較例4は交絡度が低いため、糸が分離
し、工程通過性が悪かった。比較例5は交絡度が高過ぎ
て、布帛にインターレースマークと称するモアレ斑が発
生した。比較例6は両マルチフィラメントのポリマー成
分が同一であるため、布帛色調が単色で本発明の目的と
するものが得られなかった。
実施例5,6 実施例5,6は、熱伸長ポリエステルマルチフィラメン
トとして、それぞれカチオン染料可染ポリエステル、お
よび条圧カチオン染料可染ポリエステルを実施例1〜4
と同様に紡糸−延伸−リラックスして、第2表のデニー
ル、DE、SHW、SHDとなるマルチフィラメントとして、ま
た、熱収縮成分として東洋紡(株)製東洋紡エステル
(通常のポリエステル)を使用し、実施例1〜4と同様
に複合糸条を得て、染色布帛の判定を行った結果を、第
2表に示した。
実施例5,6共に、ソフトで柔軟、且つドライタッチと
適度なはり、腰、ドレープ性、こなれのよいマイルドな
杢調外観を有する好ましいものであった。
(発明の効果) このように、本発明の熱可塑性合成繊維複合糸条は、
従来の異収縮混織糸(熱伸長糸も含む)に比べて、ソフ
ト、柔軟性、且つドライタッチと適度なはり、腰、ドレ
ープ性を有すると共に、新規でマイルドな杢調外観効果
を有し、且つ工程通過性が良好であるため、婦人用又
は、紳士用衣料、あるいは自動車用シート地等生活資材
分野においても広い用途に展開が期待されるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリエステル複合糸条を熱処理して、
糸長差を発現させたモデル図。第2図は製造装置の一例
を示す略側面図である。 A:熱伸長ポリエステルマルチフィラメント B:熱収縮熱可塑性合成繊維マルチフィラメント C:本発明の熱可塑性合成繊維複合糸条 3:ホットローラー 5:非接触ヒーター 7:エアージェットノズル 第3図は本発明のマルチフィラメントAの断面形状の代
表例を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糸物性が下記範囲を満足するマルチフィラ
    メント糸Aと、該ポリエステルマルチフィラメントAと
    は異なるポリマー成分の熱可塑性合成繊維マルチフィラ
    メントBから構成された複合糸条であって、該複合糸条
    は交絡度20〜100コ/mで絡合されていることを特徴とす
    る織編物用潜在嵩高性熱可塑性合成繊維複合糸条。 ポリエステルマルチフィラメントA:単糸3デニール以下
    のマルチフィラメント(複合糸条中の含有率20〜80%
    〔デニール比率〕) 熱可塑性合成繊維マルチフィラメントB:破断強力が120g
    以上であるマルチフィラメント(複合糸条中の含有率:8
    0〜20%〔デニール比率〕) SHD(A)≦0% SHD(B)≧0% SHD(B)−SHD(A)≧5% SHW:熱水(100℃)収縮率(%) SHD:乾熱(160℃)収縮率(%)
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