JP3275478B2 - 編織物用複合糸 - Google Patents
編織物用複合糸Info
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Description
に富み、かつ適度な張りとドレープ性を有する編織物用
複合糸に関するものである。
らなる編織物用糸として、絹様風合いを有するものが種
々開発され、一部の分野では絹を凌駕する特性が得られ
ている。例えば、熱収縮特性を異にする複数本のポリエ
ステルマルチフィラメント糸からなる複合糸は、かさ高
性、暖かみ等に優れた特性を示し、広く使用されてい
る。また、熱処理により伸長するポリエステルフィラメ
ントと収縮するフィラメントとからなる複合糸が、特開
昭55−62240号公報、特開昭56−112537
号公報、特開昭60−28515号公報等で知られてお
り、これらはソフトな風合いが得られる点で優れてい
る。
や適度な張り、腰等の面で不充分であり、また伸長によ
り突出したフィラメントからなるループによってヌメリ
感が生じ、また熱処理によって大きな糸長差が発現する
ので糸が分離し、後工程での取扱いが困難になる等の問
題があった。また、膨らみを大きくするために芯糸に熱
収縮性の大きいマルチフィラメント糸を使用すると、芯
部だけが固くなり、いわゆる芯のある風合いとなり、こ
れを防止するために芯糸に熱収縮率の小さいマルチフィ
ラメント糸を使用すると、膨らみが不充分になってい
た。
仕上げ熱セットで膨らみを発現し、柔軟で、かさ高性に
富み、かつ適度な張りとドレープ性を有する編織物が得
られる複合糸を提供するものである。
糸は、自発伸長性のポリエステルマルチフィラメント糸
と、熱収縮性を有し破断伸度が異なる2種以上のポリエ
ステルマルチフィラメント糸からなる複合仮撚糸とを交
絡してなる編織物用複合糸であり、その交絡度が20〜
100個/m、該複合糸における上記複合仮撚糸の混用
率がデニール比で30〜70%であり、上記の自発伸長
性ポリエステルマルチフィラメント糸が繊度3デニール
以下のフィラメント5本以上からなり、その熱水収縮率
が−2%以上、温度160℃における乾熱収縮率が0%
以下、破断伸度が50%以上であり、上記の複合仮撚糸
が該複合仮撚糸を形成する比較的低伸度のマルチフィラ
メント糸の回りに比較的高伸度のマルチフィラメント糸
を交互撚糸状に巻き付けて形成され、この複合仮撚糸の
熱水収縮率が0%以上であって、温度160℃における
乾熱収縮率が上記自発伸長性ポリエステルマルチフィラ
メント糸の乾熱収縮率よりも5%以上大きいことを特徴
とする。
フィラメント糸は、製織準備工程のサイジング工程のよ
うに比較的低温では伸長しないが、製編織後の仕上げセ
ットのように160〜180℃の高温熱処理では伸長
し、その熱水収縮率が−2%以上、好ましくは5%以
下、乾熱収縮率(160℃)が0%以下、好ましくは−
15%以上であって、この乾熱収縮率が複合仮撚糸の乾
熱収縮率(160℃)よりも小さく、その差が5%以
上、好ましくは50%以下のものである。また、破断伸
度は50%以上、好ましくは100%以下、更に好まし
くは80%以下である。そして、この発明で使用する上
記の自発伸長性ポリエステルマルチフィラメント糸は、
平均繊度3デニール以下、好ましくは0.2デニール以
上のポリエステルフィラメント5本以上からなるマルチ
フィラメント糸である。なお、上記のフィラメントは、
横断面の外周に少なくとも1個の凹部を有する三角形、
六角形、偏平形等の異形断面(中空を含む)であること
が好ましい。
ラメント糸は、例えば、次のようにして製造される。す
なわち、溶融ポリエステルを速度1500〜4000m
/分、好ましくは2000〜4000m/分で紡糸し、
得られた未延伸糸を温度Tg〜Tg +20℃(ただし、Tg
はガラス転移点) で、延伸後の破断伸度が30〜45
%、Δnが0.10〜0.14となるように延伸し、次いで温度
Tm 〜Tm −10℃(ただし、Tm は溶融点≒170
℃)、長さ0.1 〜2mの非接触式ヒータを使用し、オー
バーフィード率20〜60%の条件で弛緩熱処理を行
い、速度100〜1500m/分で引取る。
は、延伸後の物性が不安定になり、太さ斑が大きくな
り、反対に4000m/分を超えると、延伸後の自発伸
長性が低くなり、所望の風合いの編織物が得られない。
また、延伸温度がTg 未満では延伸が不安定となり、T
g +20℃を超えると結晶化が進み、自発伸長性が低下す
る。そして、破断伸度が30%未満では延伸時の操業性
が低下し、45%超では糸斑の発生が増大する。また、
Δnが0.10〜0.14の範囲から外れた場合は、リラックス
熱処理による自発伸長性が不安定になる。そして、弛緩
熱処理の際のヒータ温度がTm 未満では効果がなく、T
m −10℃を超えると停台の際に糸切れが発生する。
ラメント糸と交絡によって複合される複合仮撚糸は、通
常の熱収縮性を有するが、破断伸度を異にする2種以上
のポリエステルマルチフィラメント糸からなり、例え
ば、破断伸度の異なる2種のポリエステル未延伸糸を引
き揃えて延伸同時仮撚を施すことによって製造され、上
記破断伸度の比較的低いポリエステルマルチフィラメン
ト糸の回りに破断伸度の比較的高いポリエステルマルチ
フィラメント糸が交互撚糸状に巻き付いた形態を備えて
いる。なお、上記の延伸同時仮撚を施す前にエアジェッ
トノズルに供給して混繊、交絡させ、膨らみを増大させ
ることができる。
以上、好ましくは3%以上、温度160℃における乾熱
収縮率と上記自発伸長性ポリエステルマルチフィラメン
ト糸の乾熱収縮率との差が5%以上のものである。な
お、該複合仮撚糸自体の乾熱収縮率は4%以上が好まし
い。また、上記の複合仮撚糸の破断強力および破断伸度
は、それぞれ2g/d以上および40%以下が好まし
い。また、この複合仮撚糸における破断伸度の比較的低
いポリエステルマルチフィラメント糸の混用率は、デニ
ール比で20〜80%が好ましい。
仮撚糸を構成する高伸度の糸が低伸度の糸の長さに対し
て3〜13%長くなる程度が好ましい。この破断伸度差
が小さくて糸長差が3%未満になった場合は、編織物の
膨らみが不足し、反対に破断伸度差が大きくて糸長差が
13%を超えた場合は、編織物の膨らみが過大になり、
ふかついた風合いとなる。なお、上記破断伸度の差が小
さい場合は、上記の延伸同時仮撚を施す前に上記2種の
未延伸糸を引き揃えて混繊交絡用のエアジェットノズル
に供給し、混繊・交絡させることが好ましい。また、上
記ポリエステル未延伸糸の破断伸度は、比較的低伸度の
ものも比較的高伸度のものも物性の経時的安定性および
仮撚加工時の操業性の面から350%以下が好ましい。
ラメント糸および複合仮撚糸を引き揃え、エアジェット
ノズルに供給して交絡させることにより、この発明の編
織物用複合糸が得られる。ただし、この編織物用複合糸
における複合仮撚糸の混用率は、デニール比で30〜7
0%に設定される。また、交絡度は20〜100個/m
に設定される。
率、乾熱収縮率および交絡度は、以下の方法で測定され
る。
ドウィン社製テンシロンを使用し、試料長(ゲージ長)
200mm、引張り速度200mm/分でS−S曲線を描
き、この曲線から算定される。
ルに初荷重1/10g/デニールで8回巻きの綛をと
り、この綛に1/30g/デニールの荷重をかけてその
長さL0 (mm)を測定し、次いで上記の荷重を取り除
き、1/1000g/デニールの荷重をかけた状態で上
記の綛を沸騰水中に浸漬し、30分後に沸騰水から取出
し、冷却した後、再び1/30g/デニールの荷重をか
けてその長さL1 (mm)を測定し、次式で算出する。 SHW=(L0 −L1 )×100/L0
後、1/1000g/デニールの荷重をかけた状態で綛
を沸騰水中に浸漬する代わりに乾熱160℃のオーブン
中で熱処理し、次いで冷却した後、再び再び1/30g
/デニールの荷重をかけてその長さL2 (mm)を測定
し、次式で算出する。 SHD=(L0 −L2 )×100/L0
いでこの糸を水に浮かべ、上記マーク間の自発伸長性ポ
リエステルマルチフィラメント糸のくびれ個数を測定
し、この測定を5回繰返して平均し、この平均値を交絡
度とする。
って整経され、糊付後に製織され、更に染色、乾燥の後
に熱セットされて仕上げられるが、この仕上げの熱セッ
トの際に160〜180℃の高温に曝されることによ
り、図1に示すように自発伸長性ポリエステルマルチフ
ィラメント糸Aを構成する各フィラメントが伸長する一
方、複合仮撚糸Dを構成する2種以上の熱収縮性ポリエ
ステルフィラメント糸B、Cが収縮して芯部を形成する
ため、上記自発伸長性ポリエステルマルチフィラメント
糸Aの構成フィラメントが布表面にループ状に突出し、
柔軟な風合いを呈する。しかも、複合仮撚糸Dは比較的
低伸度のポリエステルマルチフィラメント糸Bの回りに
比較的高伸度のポリエステルマルチフィラメント糸Cが
交互撚糸状に巻き付いた多層構造の仮撚糸であるため、
上記のように芯部を形成しながら、この芯部自体に空隙
を形成する。したがって、上記ループの形成によるソフ
トな表面タッチとあいまち、編織物にウール製品以上の
膨らみや暖かみ、適度な張りとドレープ性が与えられ
る。
段階では自発伸長性ポリエステルマルチフィラメント糸
と複合仮撚糸との間にほとんど糸長差が無く、糊付け工
程においても処理温度が100℃以下であって上記の糸
長差が発現せず、糸表面が平滑であるため、製織準備工
程から製織工程に至る一連の工程で複合糸がガイドやコ
ーム類を通る際に引っ掛かることがなく、工程通過性が
良好であり、製織も容易に行われる。
ルチフィラメント糸の熱水収縮率が−2%よりも小さく
て伸長性が大きい場合には、糊付け工程で上記の糸長差
が発現するため、以後の工程通過性が不良になり、また
温度160℃における乾熱収縮率が0%を超えたり、複
合仮撚糸および自発伸長性ポリエステルマルチフィラメ
ント糸の乾熱収縮率差が5%未満であったりした場合
は、最終の仕上げ熱セットの際に十分な膨らみとソフト
な風合いが得られず、この発明の目的が達成されない。
ただし、上記乾熱収縮率の差が過大になり、50%を超
えると、布表面から突出するループが大きくなり過ぎ、
アイロン掛けの際にテカリが発生する。自発伸長性ポリ
エステルマルチフィラメント糸の熱水収縮率が5%を超
えた場合、乾熱収縮率が−15%未満の場合も同様であ
る。
メント糸の破断伸度は、50%以上、好ましくは100
%以下であるが、50%未満の場合は、上記の熱水収縮
率(−2%以上)を得るのが困難になり、そのため布帛
表面を上記フィラメントのループで被覆して風合いをソ
フトにすることが不可能になる。ただし、上記の破断伸
度が80%、特に100%を超えると、取扱性が低下し
て好ましくない。
チフィラメント糸は、繊度3デニール以下、好ましくは
0.2デニール以上のポリエステルフィラメント5本以
上で形成されるが、各フィラメントが全て3デニール以
下である必要はなく、平均繊度が3デニール以下であれ
ばよい。この平均繊度が3デニールを超えると、破断伸
度が大きく、ヤング率が低くても、風合いが粗硬にな
り、この発明の目的が達成できず、反対に細過ぎて0.
2デニール未満になると、異形断面であっても、フィラ
メントの張りや腰が乏しくなり、好ましくない。また、
フィラメント本数が5本未満の場合は、このフィラメン
トで複合糸または布の表面を覆うことができず、ソフト
な風合いが得られなくなる。
メント糸の構成フィラメントを、その断面の外周に1個
以上の凹部を有する異形断面にした場合は、破断伸度が
大きくてヌメリ感が生じ易いにもかかわらず、フィラメ
ント相互間に点接触部が多くなるため、ドライタッチが
得られる。ただし、ヌメリ感を強調する場合、または酸
化チタンの含有量を多くしたフルダル糸のように減量加
工でフィラメント表面を粗面化してドライタッチにする
場合は、上記の異形断面にする必要がない。
は、主としてその芯部を構成する複合仮撚糸によって負
担される。したがって、この複合仮撚糸の破断伸度は、
40%以下が好ましく、40%を超えた場合は、巻き返
し、整経および製編織の際に加わる張力で糸斑が生じ易
く、編織して製品とした後にひざ抜けが発生し易くな
る。また、上記複合仮撚糸の破断強力は2g/d以上が
好ましく、2g/d未満の場合は、上記の巻き返し以後
の工程で糸切れが多くなる。
する混用率は、デニール比で30〜70%であるが、こ
の混用率が30%未満の場合は、自発伸長性ポリエステ
ルマルチフィラメント糸の伸長力に影響されて糸長差に
よる膨らみが発現されず、反対に70%を超えた場合
は、布表面を覆うループ状の突起が不足して所望の風合
いが得られない。
に自発伸長性ポリエステルマルチフィラメント糸と2種
以上の熱収縮性ポリエステルマルチフィラメント糸から
なる複合仮撚糸とを交絡して複合したものであるから、
編織後の仕上げ熱セットにより、複合仮撚糸が芯部を、
自発伸長性ポリエステルマルチフィラメント糸が表層部
をそれぞれ形成するが、上記の複合が交絡によって行わ
れるので、上記の熱セット後においては、上記複合糸の
中心から半径の1/3以内の芯部に複合仮撚糸が比較的
多量に分散し、表面から半径の1/3以内の表層部に自
発伸長性ポリエステルフィラメントが比較的多量に分散
した形態となる。そして、交絡度が20個/m未満で
は、編織物用複合糸が自発伸長性ポリエステルマルチフ
ィラメント糸と複合仮撚糸とに分離し易くなり、反対に
100個/mを超えると、布表面に突出するループが少
なくなり、かつ複合仮撚糸の交互撚糸構造が破壊される
ため、編織物の柔軟性、張り、腰が乏しくなり、更に自
発伸長性の各フィラメントが切断して毛羽を発生し易く
なる。
適した装置の一例を示し、Ab は自発伸長性ポリエステ
ルマルチフィラメント糸Aの原料となる第1ポリエステ
ル未延伸糸であり、この第1ポリエステル未延伸糸Ab
は、第1巻糸Aa から引出され、ガイド11、フィード
ローラ12、ホットローラ13を経てオーバーフィード
ローラ14に送られ、この間に温度Tg 〜Tg +20℃で
延伸され、次いで上記のオーバーフィードローラ14か
ら温度170 ℃〜Tm −10℃の非接触式ヒータ15を経て
第1デリベリローラ16に送られ、この間に弛緩状態で
熱処理されて自発伸長性ポリエステルマルチフィラメン
ト糸Aが得られる。
メント糸Aは、第4巻糸Da からガイド11aを経て引
出された複合仮撚糸Dと上記の第1デリベリローラ16
において重ねられ、しかるのちエアジェットノズル17
に送られて複合仮撚糸Dと交絡され、この交絡で得られ
た編織物用複合糸Eが第2デリベリローラ18および巻
取りローラ19を経て第5巻糸Ea に巻取られる。
た延伸仮撚機の一例である。図において、Bbは破断伸
度が比較的小さい第2ポリエステル未延伸糸、Cbは破
断伸度が比較的大きい第3ポリエステル未延伸糸であ
り、それぞれが第2巻糸Baおよび第3巻糸Caから第
1ガイド21、21を経て引出され、集束ガイド22に
おいて集束された後、フィードローラ23から混繊・交
絡用のエアジェットノズル24に送られて混繊・交絡さ
れ、次いで第1デリベリローラ25、ヒーター26、仮
撚りスピンドル27および第2デリベリローラ28に順
に導かれ、この間に延伸されると同時に仮撚りされ、上
記の第2ポリエステル未延伸糸Bbからなる第2ポリエ
ステル延伸糸Bの回りに上記の第3ポリエステル未延伸
糸Cbからなる第3ポリエステル延伸糸Cが交互撚糸状
に巻き付いた複合仮撚糸Dが得られ、この複合仮撚糸D
が巻取ローラ29で駆動される第4巻糸Da に巻取られ
る。
で紡糸し、巻取速度3000m/分で巻取り、得られた
第1ポリエステル未延伸糸Ab を図2の装置に供給し、
フィードローラ12とオーバーフィードローラ14の間
で延伸し、更にオーバーフィードローラ14と第1デリ
ベリローラ16の間で弛緩熱処理を行い、その際、紡糸
時の吐出量、上記延伸時の延伸倍率、弛緩熱処理時のリ
ラックス率、リラックス温度およびセット時間を種々に
変更して破断伸度、熱水収縮率および160℃における
乾熱収縮率が異なる10種類のマルチフィラメント糸A
を製造した。なお、フィラメントの断面形状は三角形と
した。この10種類のマルチフィラメント糸Aの物性を
下記の表1に示す。
チレンテレフタレートを常法で紡糸し、2種類の巻取速
度2600m/分および3600m/分で巻取って2種
類の未延伸糸Bb およびCb を製造し、これを図3の延
伸仮撚り機に仕掛け、その際、紡糸時の吐出量、延伸仮
撚り時の延伸倍率、仮撚り数、仮撚り温度、セット時間
を種々に変更して太さ、熱水収縮率、乾熱収縮率および
糸長差が種々に異なる9種類の複合仮撚糸Dを製造し
た。また、比較例8用とし、上記の複合仮撚糸に代えて
生糸(60デニール、24フィラメント)を用意した。
得られた延伸糸B、Cの構成を表2に、複合仮撚糸の構
成および物性を表3にそれぞれ示す。なお、上記延伸糸
BおよびCは、フィラメントの断面を円形とした。
の複合仮撚糸Dを図2の第1デリベリローラ16で重
ね、エアジェットノズル17で交絡した。得られた複合
糸Eをデシン用として通常の方法で撚糸してデシンを製
織し、染色、仕上げ熱セットを施した。上記複合糸の物
性を測定し、得られた布帛の風合い、上記の撚糸から製
織に至る工程通過性を判定した。その結果を表4に示
す。
仮撚糸のデニール構成比率(%)であり、ΔSHDは複
合仮撚糸Dおよび自発伸長性マルチフィラメント糸A間
の乾熱収縮率差である。また、布帛風合いは、ソフト
感、膨らみ、張り、腰、ドレープ性を総合評価し、◎、
○、△、×の順に4段階評価をした。また、工程通過性
は、撚糸での糸切れおよび織機の稼働状況を◎、○、
△、×の順に4段階に評価した。また、総合評価は、布
帛風合いと工程通過性を総合し、◎、○、△、×の順に
4段階に評価した。
例1および実施例2は、風合いおよび工程通過性が共に
良好であった。これに対し、比較例1は、マルチフィラ
メント糸Aの自発伸長性が過大であるため、糊付け工程
で複合仮撚糸との間の糸長差が発現し、製織時に経糸が
筬やヘルドでしごかれて糸切れが増大した。比較例2
は、熱収縮率が大きくて自発伸長性を欠如するため、仕
上げの熱セットによっても布表面にフィラメントのルー
プが突出せず、ソフト性と膨らみに欠けていた。比較例
3は、複合仮撚糸の混率が小さくて25%であるため、
この複合仮撚糸と自発伸長性マルチフィラメント糸とか
らなる複合糸全体の強力が小さくなり、糸切れが発生す
ると共に、風合い面でも張り、腰が不十分であった。
対に大きくて75%であるため、布表面に突出するフィ
ラメントループが少なくなり、ソフト性、膨らみに欠け
ていた。比較例5は、自発伸長性マルチフィラメント糸
と複合仮撚糸の交絡度が低いため、交絡により複合した
後に分離し、工程通過性が悪くなった。比較例6は、反
対に交絡度が高いため、布表面に突出するループが減少
し、かつ複合仮撚糸の交互撚糸構造が部分的に破壊さ
れ、複合糸のソフト性、膨らみ、張り、腰が不十分であ
った。比較例7は、自発伸長性マルチフィラメント糸が
60デニール18フィラメントで、その構成フィラメン
トの平均繊度が3デニールを超えるため、仕上げ後の布
の風合いガソフト性に欠けていた。また、比較例8は、
複合仮撚糸の代わりに生糸60デニール36フィラメン
トを使用したため、ソフト感、膨らみ、張り、腰、ドレ
ープ性に欠けていた。
糸は、自発伸長性のポリエステルマルチフィラメント糸
と、熱収縮性を有し破断伸度が異なる2種以上のポリエ
ステルマルチフィラメント糸からなる複合仮撚糸とを交
絡により複合したものであるから、編織して最終の仕上
げ熱セットを施すまでは、自発伸長性ポリエステルマル
チフィラメント糸の伸長が発現されず、そのため編織準
備工程から編織工程に至るまでの工程通過性が良好であ
り、しかも上記の仕上げ熱セットにより自発伸長性ポリ
エステルマルチフィラメント糸が伸長し、複合仮撚糸と
の間に糸長差が発現すると、自発伸長性ポリエステルマ
ルチフィラメント糸の構成フィラメントが布表面にルー
プ状に突出して表面タッチをソフトにし、かつ複合糸の
芯部が伸度の異なる2種の糸からなる複合仮撚糸で形成
され、この複合仮撚糸が低伸度糸の回りに高伸度糸が巻
付いた交互撚糸状のものであるため、従来の異収縮混繊
糸を使用した布帛に比べてソフト感、膨らみ、張り、
腰、ドレープ性等の点ですぐれた風合いを呈する。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 自発伸長性のポリエステルマルチフィラ
メント糸と、熱収縮性を有し破断伸度が異なる2種以上
のポリエステルマルチフィラメント糸からなる複合仮撚
糸とを交絡してなる編織物用複合糸であり、その交絡度
が20〜100個/m、該複合糸における上記複合仮撚
糸の混用率がデニール比で30〜70%であり、上記の
自発伸長性ポリエステルマルチフィラメント糸が繊度3
デニール以下のフィラメント5本以上からなり、その熱
水収縮率が−2%以上、温度160℃における乾熱収縮
率が0%以下、破断伸度が50%以上であり、上記の複
合仮撚糸が該複合仮撚糸を形成する比較的低伸度のマル
チフィラメント糸の回りに比較的高伸度のマルチフィラ
メント糸を交互撚糸状に巻き付けて形成され、この複合
仮撚糸の熱水収縮率が0%以上であって、温度160℃
における乾熱収縮率が上記自発伸長性ポリエステルマル
チフィラメント糸の乾熱収縮率よりも5%以上大きいこ
とを特徴とする編織物用複合糸。
Priority Applications (1)
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JP25913393A JP3275478B2 (ja) | 1993-09-22 | 1993-09-22 | 編織物用複合糸 |
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- 1993-09-22 JP JP25913393A patent/JP3275478B2/ja not_active Expired - Lifetime
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