JP2910053B2 - ポリエステル系複合糸条 - Google Patents
ポリエステル系複合糸条Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はマイクロパウダータッチすなわちころころし
てソフトで柔軟、且つふくらみのあるタッチでありなが
らかわいたタッチと適度なはり、腰があり、しかもマイ
ールドで深みのある光沢、色調を有する新規なポリエス
テル系複合糸条に関する。
てソフトで柔軟、且つふくらみのあるタッチでありなが
らかわいたタッチと適度なはり、腰があり、しかもマイ
ールドで深みのある光沢、色調を有する新規なポリエス
テル系複合糸条に関する。
(従来の技術) これまでポリエステルマルチフィラメントはそのすぐ
れた特性を生かした衣料用途をはじめ工業資材用として
も各種の用途に使用されている。衣料用途としては絹様
風合はその一つのターゲットとして各社で検討が進めら
れて来た。この目的のため例えば熱収縮特性を異なる複
数本のマルチフィラメントからなる複合糸条はふくら
み、嵩高、ウォーム感などかなり良好な特性、風合を示
し広く使用されている。しかし糸条を構成するマルチフ
ィラメントが全て熱により収縮する場合には、織物の組
織の拘束力のため、糸のもっている収縮率差が充分確保
出来ないとともに糸の収縮のため織物が硬くなる傾向に
あり、このため目付を小さくして収縮代をもたせたり、
風合を確保するためにアルカリ減量率を大きくするなど
の対策を実施して来た。しかし熱収縮率の大きなフィラ
メントは一般に熱処理すると硬化し風合面で充分に満足
出来るものは得られていない。これに対して熱処理によ
り伸長するポリエステルフィラメントと収縮するフィラ
メントの混合糸も知られており、例えば特開昭55−6224
0号公報、特開昭56−112537号公報、特開昭60−28515号
公報などがある。これらのものは前記の収縮糸同士のも
のに比べるとはるかにソフトで柔軟な風合が得られたも
のの、伸長し突出したフィラメントからなるループによ
りヌメリ感が出たり、熱処理により大きな糸長差が発現
するので糸が分離し、後工程での取扱性に問題があっ
た。
れた特性を生かした衣料用途をはじめ工業資材用として
も各種の用途に使用されている。衣料用途としては絹様
風合はその一つのターゲットとして各社で検討が進めら
れて来た。この目的のため例えば熱収縮特性を異なる複
数本のマルチフィラメントからなる複合糸条はふくら
み、嵩高、ウォーム感などかなり良好な特性、風合を示
し広く使用されている。しかし糸条を構成するマルチフ
ィラメントが全て熱により収縮する場合には、織物の組
織の拘束力のため、糸のもっている収縮率差が充分確保
出来ないとともに糸の収縮のため織物が硬くなる傾向に
あり、このため目付を小さくして収縮代をもたせたり、
風合を確保するためにアルカリ減量率を大きくするなど
の対策を実施して来た。しかし熱収縮率の大きなフィラ
メントは一般に熱処理すると硬化し風合面で充分に満足
出来るものは得られていない。これに対して熱処理によ
り伸長するポリエステルフィラメントと収縮するフィラ
メントの混合糸も知られており、例えば特開昭55−6224
0号公報、特開昭56−112537号公報、特開昭60−28515号
公報などがある。これらのものは前記の収縮糸同士のも
のに比べるとはるかにソフトで柔軟な風合が得られたも
のの、伸長し突出したフィラメントからなるループによ
りヌメリ感が出たり、熱処理により大きな糸長差が発現
するので糸が分離し、後工程での取扱性に問題があっ
た。
また特開昭59−228014号公報では繊維表面微細孔形成
剤として、カオリナイトをポリエステルに添加し、フィ
ラメント糸編織物をアルカリ減量処理を施し、繊維表面
を改良し、絹様の光沢と曲げ回復能、及び触感を改良す
る方法が提案されているが、表面タッチ、光沢は改善さ
れるものの、ソフト、柔軟性、ふくらみといった面では
不充分であった。
剤として、カオリナイトをポリエステルに添加し、フィ
ラメント糸編織物をアルカリ減量処理を施し、繊維表面
を改良し、絹様の光沢と曲げ回復能、及び触感を改良す
る方法が提案されているが、表面タッチ、光沢は改善さ
れるものの、ソフト、柔軟性、ふくらみといった面では
不充分であった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はこれまでの従来技術ではとうてい得られなか
った、ポリエステルでしか表現しえない、柔かく、ころ
ころしたマイクロパウダータッチと、あたたか味があっ
てナチュラルなドライハンドしかも張り腰があって且つ
マイールドな光沢、色調を有する、これまでにない新規
なポリエステル系複合糸条を提供せんとするものであ
る。
った、ポリエステルでしか表現しえない、柔かく、ころ
ころしたマイクロパウダータッチと、あたたか味があっ
てナチュラルなドライハンドしかも張り腰があって且つ
マイールドな光沢、色調を有する、これまでにない新規
なポリエステル系複合糸条を提供せんとするものであ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明はかかる問題点を解決するために次のような構
成を有する。すなわち糸物性が下記範囲を満足するマル
チフィラメント糸Aおよびマルチフィラメント糸Bから
構成された複合糸条であって、該複合糸条が交絡度20〜
100コ/mで絡合されていることを特徴とするポリエステ
ル系複合糸条。
成を有する。すなわち糸物性が下記範囲を満足するマル
チフィラメント糸Aおよびマルチフィラメント糸Bから
構成された複合糸条であって、該複合糸条が交絡度20〜
100コ/mで絡合されていることを特徴とするポリエステ
ル系複合糸条。
マルチフィラメント糸A:微細孔形成剤を0.5〜5重量%
含有する単糸3デニール以下のマルチフィラメント(複
合糸条中の含有率10〜80%〔デニール比率〕) マルチフィラメントB:破断強度が4g/デニール以上であ
るマルチフィラメント(複合糸条中の含有率90〜20%
〔デニール比率〕)…(B) SHW(A)≧0% SHD(A)≦0% SHW(B)≧0% SHD(B)−SHD(A)≧5% 以下、本発明を更に詳細に説明する。
含有する単糸3デニール以下のマルチフィラメント(複
合糸条中の含有率10〜80%〔デニール比率〕) マルチフィラメントB:破断強度が4g/デニール以上であ
るマルチフィラメント(複合糸条中の含有率90〜20%
〔デニール比率〕)…(B) SHW(A)≧0% SHD(A)≦0% SHW(B)≧0% SHD(B)−SHD(A)≧5% 以下、本発明を更に詳細に説明する。
第1図は本発明のポリエステル複合糸条を熱処理して
糸長差を発現せしめた後のモデル図である。第1図にお
いてマルチフィラメントAは主として鞘部を構成し、高
温熱処理により実質的に伸長している(自発伸長後のマ
ルチフィラメント)。マルチフィラメントBは主として
芯部を構成し、熱処理により収縮したマルチフィラメン
トである(熱収縮後のマルチフィラメント)。
糸長差を発現せしめた後のモデル図である。第1図にお
いてマルチフィラメントAは主として鞘部を構成し、高
温熱処理により実質的に伸長している(自発伸長後のマ
ルチフィラメント)。マルチフィラメントBは主として
芯部を構成し、熱処理により収縮したマルチフィラメン
トである(熱収縮後のマルチフィラメント)。
まず本発明で最も重要な要件である構成マルチフィラ
メントの熱収縮特性について述べる。本発明のポリエス
テル複合糸条を構成するマルチフィラAは通常のサイジ
ングなどの工程では、マルチフィラメントBとの収縮率
差は小さく、しかも実質的に収縮挙動を示す。このため
布帛で糸長差が発現するのにかかわらず糸段階ではサイ
ジングしても糸長差(ふくらみ、ループ等)は余り発現
せず通常の全て熱収縮する異収縮混織糸に比べても製織
時にははるかに取扱性、製織性が良好となるのである。
すなわち糸の状態で糸長差(ループ)が発現すると当然
のことながらビーミング、製織などの際ループがこすれ
合ってガイド、コームなどにひっかかったり、開口が悪
くなり工程通過性が著しく低下する。更に通常の熱収縮
マルチフィラメントはサイジングなどで熱処理をうける
と、それでほぼ熱セットが固定されファイナルセットな
どで160〜180℃程度の高温熱処理をうけても糸長差は最
初の熱セット時以上あまり発現しないが本発明の複合糸
条の如く、熱水中では収縮するがファイナルセットに相
当する高温熱処理で伸長するマルチフィラメントを含む
ことにより、全体として収縮した布表面より高温での仕
上加工によりマルチフィラメントAがループ状に突出
し、あたかもマイクロパウダーのようにころころしてソ
フトで柔軟なタッチが得られるのである。このためにSH
W(A)≧0%、SHD(A)≦0%が必要である。更にふ
くらみ、嵩高性をもたせるためにSHD(B)−SHD(A)
≧5%が必要であり、5%未満ではふくらみ、嵩高性が
劣るので本発明からは除外される。ただ余り大きいと表
面からの突出ループが大きくなりすぎアイロンなどの
際、“てかり”などの問題が発生し易いので50%以下が
好ましい。又同様の理由でSHW(A)は5%以下、SHD
(A)は−15%以上が好ましい。
メントの熱収縮特性について述べる。本発明のポリエス
テル複合糸条を構成するマルチフィラAは通常のサイジ
ングなどの工程では、マルチフィラメントBとの収縮率
差は小さく、しかも実質的に収縮挙動を示す。このため
布帛で糸長差が発現するのにかかわらず糸段階ではサイ
ジングしても糸長差(ふくらみ、ループ等)は余り発現
せず通常の全て熱収縮する異収縮混織糸に比べても製織
時にははるかに取扱性、製織性が良好となるのである。
すなわち糸の状態で糸長差(ループ)が発現すると当然
のことながらビーミング、製織などの際ループがこすれ
合ってガイド、コームなどにひっかかったり、開口が悪
くなり工程通過性が著しく低下する。更に通常の熱収縮
マルチフィラメントはサイジングなどで熱処理をうける
と、それでほぼ熱セットが固定されファイナルセットな
どで160〜180℃程度の高温熱処理をうけても糸長差は最
初の熱セット時以上あまり発現しないが本発明の複合糸
条の如く、熱水中では収縮するがファイナルセットに相
当する高温熱処理で伸長するマルチフィラメントを含む
ことにより、全体として収縮した布表面より高温での仕
上加工によりマルチフィラメントAがループ状に突出
し、あたかもマイクロパウダーのようにころころしてソ
フトで柔軟なタッチが得られるのである。このためにSH
W(A)≧0%、SHD(A)≦0%が必要である。更にふ
くらみ、嵩高性をもたせるためにSHD(B)−SHD(A)
≧5%が必要であり、5%未満ではふくらみ、嵩高性が
劣るので本発明からは除外される。ただ余り大きいと表
面からの突出ループが大きくなりすぎアイロンなどの
際、“てかり”などの問題が発生し易いので50%以下が
好ましい。又同様の理由でSHW(A)は5%以下、SHD
(A)は−15%以上が好ましい。
次に少なくともマルチフィラメントAは微細孔形成剤
を0.5〜5.0重量%含まれなければならない。
を0.5〜5.0重量%含まれなければならない。
すなわち微細孔形成剤好ましくは後術するカオリナイ
ト、メタカオリン等が含まれることにより反射光と透過
光が複雑に組み合わさりマイールドで深みのある新規な
光沢色調効果を得ることができる。
ト、メタカオリン等が含まれることにより反射光と透過
光が複雑に組み合わさりマイールドで深みのある新規な
光沢色調効果を得ることができる。
特にポリエチレンテレフタレートは、繊維断面方向屈
折率1.537繊維軸方向屈折率1.752で屈折率1.56のカオリ
ナイト添加した時編織物を見る方向により、微妙な深み
のある光沢が得られる。
折率1.537繊維軸方向屈折率1.752で屈折率1.56のカオリ
ナイト添加した時編織物を見る方向により、微妙な深み
のある光沢が得られる。
次に上記微細孔形成剤の添加量は、0.5重量%未満で
は深みのある染色性能が得られず通常のブライト糸と呼
ばれるものと同様ギラツキの強いものになる。5.0重量
%を越える場合は紡糸延伸工程での製糸性の低下や、フ
ィラメント糸の強力が低下し好ましくない。
は深みのある染色性能が得られず通常のブライト糸と呼
ばれるものと同様ギラツキの強いものになる。5.0重量
%を越える場合は紡糸延伸工程での製糸性の低下や、フ
ィラメント糸の強力が低下し好ましくない。
かかる微細孔形成剤の添加は、繊維化された後、糸又
は布帛の状態でアルカリ減量処理により繊維表面に微細
孔を得ることができるのである。
は布帛の状態でアルカリ減量処理により繊維表面に微細
孔を得ることができるのである。
次にマルチフィラメントAの破断伸度は50%以上が好
ましく、これはソフトで柔軟な風合を得るためである。
一般にポリエステルではソフトな風合を得るためにはフ
ィラメントのSHWは小さく、破断伸度が大きい方が得ら
れ易い。これまでに詳述した如く布帛の表面をループを
形成して覆うのは自発伸度マルチフィラメントであり、
このマルチフィラメントのタッチが布帛のタッチを決め
るからである。しかしあまり破断伸度が大きすぎると取
扱性が悪くなるので100%以下、更に好ましくは80%以
下が良い。
ましく、これはソフトで柔軟な風合を得るためである。
一般にポリエステルではソフトな風合を得るためにはフ
ィラメントのSHWは小さく、破断伸度が大きい方が得ら
れ易い。これまでに詳述した如く布帛の表面をループを
形成して覆うのは自発伸度マルチフィラメントであり、
このマルチフィラメントのタッチが布帛のタッチを決め
るからである。しかしあまり破断伸度が大きすぎると取
扱性が悪くなるので100%以下、更に好ましくは80%以
下が良い。
尚、マルチフィラメントAは前記微細孔形成剤を含有
するフィラメント群以外のフィラメント群が含有されて
いても良い。
するフィラメント群以外のフィラメント群が含有されて
いても良い。
次にマルチフィラメントBの破断伸度は40%以下が好
ましく、これは捲返し、製編織などの後工程で複合糸条
が伸長されることによる糸斑が発生しないためである。
更に布帛にしたあと製品でのひざ抜けなどの問題を紡糸
するためである。又複合糸条の破断強力も熱収縮マルチ
フィラメントにほぼ依存するので、マルチフィラメント
Bの破断強力は、少なくとも4g/デニールで且つ複合糸
条のデニール比率で20%以上でなければならない。もち
ろん破断強力が高ければマルチフィラメントBの比率は
若干低くてよもよいが20%未満ではマルチフィラメント
Bの収縮力が小さくなり糸長差によるふくらみが発現さ
れないので本発明からは除外される。尚、マルチフィラ
メントBの熱水収縮率および160℃乾熱収縮率は、それ
ぞれ5〜60%、7〜80%が好ましい。次にマルチフィラ
メントAは、単糸デニールは3デニール以下のものから
構成される必要がある。3デニールを越えると破断伸長
が大きく、ヤング率が低くても風合が粗硬になるので本
発明から除外される。しかしあまり細くなると後述する
異形断面のフィラメントにしても張り腰がなくなるため
0.2デニール以上が好ましい。但し、3デニール以上の
ものが混じっていてもよく(デニールミックス)、平均
で3デニール以下ならばよい。更にフィラメントは断面
の外周面に少なくとも1つの凹部を有する異形断面であ
ることが好ましい。特に本発明の複合糸条の如く破断伸
度が大きいフィラメントはソフトだかヌメリ感が出易い
ので断面形状を異形にすることによりフィラメント間で
点接触部が増加し、かわいたドライタッチとなるのであ
る。ここでいう異形断面とは断面の外周面に少なくとも
1つの凹部を有する三角、六角、偏平、それらの中空等
の断面形状をいうのが本発明で用いるフィラメントAの
単糸の断面形状の代表例を第3図に示す。又このような
風合、効果をもたせるためにはこれらの単糸の10本以上
のフィラメントからなることが好ましい。
ましく、これは捲返し、製編織などの後工程で複合糸条
が伸長されることによる糸斑が発生しないためである。
更に布帛にしたあと製品でのひざ抜けなどの問題を紡糸
するためである。又複合糸条の破断強力も熱収縮マルチ
フィラメントにほぼ依存するので、マルチフィラメント
Bの破断強力は、少なくとも4g/デニールで且つ複合糸
条のデニール比率で20%以上でなければならない。もち
ろん破断強力が高ければマルチフィラメントBの比率は
若干低くてよもよいが20%未満ではマルチフィラメント
Bの収縮力が小さくなり糸長差によるふくらみが発現さ
れないので本発明からは除外される。尚、マルチフィラ
メントBの熱水収縮率および160℃乾熱収縮率は、それ
ぞれ5〜60%、7〜80%が好ましい。次にマルチフィラ
メントAは、単糸デニールは3デニール以下のものから
構成される必要がある。3デニールを越えると破断伸長
が大きく、ヤング率が低くても風合が粗硬になるので本
発明から除外される。しかしあまり細くなると後述する
異形断面のフィラメントにしても張り腰がなくなるため
0.2デニール以上が好ましい。但し、3デニール以上の
ものが混じっていてもよく(デニールミックス)、平均
で3デニール以下ならばよい。更にフィラメントは断面
の外周面に少なくとも1つの凹部を有する異形断面であ
ることが好ましい。特に本発明の複合糸条の如く破断伸
度が大きいフィラメントはソフトだかヌメリ感が出易い
ので断面形状を異形にすることによりフィラメント間で
点接触部が増加し、かわいたドライタッチとなるのであ
る。ここでいう異形断面とは断面の外周面に少なくとも
1つの凹部を有する三角、六角、偏平、それらの中空等
の断面形状をいうのが本発明で用いるフィラメントAの
単糸の断面形状の代表例を第3図に示す。又このような
風合、効果をもたせるためにはこれらの単糸の10本以上
のフィラメントからなることが好ましい。
次に本複合糸条は実質的に芯/鞘構造をとるのが好ま
しい。すなわちマルチフィラメントAが複合糸条の表層
部に多く存在することにより、布帛表面よりループが突
出し易いからである。また、ここでいう実質的に芯/鞘
構造をとるとは、複合糸条の或る界面で芯部と鞘部に即
ちマルチフィラメントBとマルチフィラメントAとに二
分されている構造のみを意味しているのではなく、複合
糸条全体に特に境界面付近で両成分が混在しており、マ
ルチフィラメントBが主として芯部に自発、マルチフィ
ラメントAが主として鞘部に配する構造を意味してい
る。尚、芯/鞘構造および前述したデニール比率の測定
は該複合糸条をエポキシ樹脂で固定し、ランダムに100
回断面を切断したものを光学顕微鏡で観測し、これによ
り平均値および状態を求める。又交絡度20〜100で絡合
されていることも必須である。交絡度が20未満ではマル
チフィラメント同士、糸長差で糸が分離し易く、工程通
過性を著しく阻害する。
しい。すなわちマルチフィラメントAが複合糸条の表層
部に多く存在することにより、布帛表面よりループが突
出し易いからである。また、ここでいう実質的に芯/鞘
構造をとるとは、複合糸条の或る界面で芯部と鞘部に即
ちマルチフィラメントBとマルチフィラメントAとに二
分されている構造のみを意味しているのではなく、複合
糸条全体に特に境界面付近で両成分が混在しており、マ
ルチフィラメントBが主として芯部に自発、マルチフィ
ラメントAが主として鞘部に配する構造を意味してい
る。尚、芯/鞘構造および前述したデニール比率の測定
は該複合糸条をエポキシ樹脂で固定し、ランダムに100
回断面を切断したものを光学顕微鏡で観測し、これによ
り平均値および状態を求める。又交絡度20〜100で絡合
されていることも必須である。交絡度が20未満ではマル
チフィラメント同士、糸長差で糸が分離し易く、工程通
過性を著しく阻害する。
逆に交絡度が100を越えると布帛でインターレース斑
が目立つとともに、マルチフィラメントAのモノフィラ
メントが切断し、毛羽になることもあり好ましくないの
である。
が目立つとともに、マルチフィラメントAのモノフィラ
メントが切断し、毛羽になることもあり好ましくないの
である。
次に本発明の微細孔形成剤として特に好ましいカオリ
ナイトについて説明する。
ナイトについて説明する。
カオリナイトの粒子径は遠心沈降法等で測定される等
価球径の粒度分布で表わした球直径が1μm以上の粒子
の総和が10%が以下である粒径分布を持つのが特に好ま
しい。1μmの粒子が10%を越えるとポリマー中の粗大
粒子が紡糸中フィルターにつまり、紡糸ノズルの背圧の
上昇率が高く、紡糸操業効率が低下し好ましくない。そ
のため1μm以上の粒子が10%を越えるカオリナイトを
用いる場合は遠心分離等で1μm以上の粗大粒子を極力
分離して使用する。
価球径の粒度分布で表わした球直径が1μm以上の粒子
の総和が10%が以下である粒径分布を持つのが特に好ま
しい。1μmの粒子が10%を越えるとポリマー中の粗大
粒子が紡糸中フィルターにつまり、紡糸ノズルの背圧の
上昇率が高く、紡糸操業効率が低下し好ましくない。そ
のため1μm以上の粒子が10%を越えるカオリナイトを
用いる場合は遠心分離等で1μm以上の粗大粒子を極力
分離して使用する。
次に本発明のポリエステル系複合糸条のうち少なくと
もマルチフィラメントAの横断面は中空率4%以上、30
%以下の中空横断面であることが好ましい。フィラメン
トの横断面を中空断面にすることにより繊維の曲げ特性
が変わると考えられるが、曲げ弾発性にすぐれたものが
得られ、かつ、中空断面により、同一デニールの中空部
のない断面のものよりバルキーになる。これは逆に、断
面の外形状合わせの中空部のないものより中空断面の方
が同じバルキーさでも編織物が軽くなることを意味す
る。
もマルチフィラメントAの横断面は中空率4%以上、30
%以下の中空横断面であることが好ましい。フィラメン
トの横断面を中空断面にすることにより繊維の曲げ特性
が変わると考えられるが、曲げ弾発性にすぐれたものが
得られ、かつ、中空断面により、同一デニールの中空部
のない断面のものよりバルキーになる。これは逆に、断
面の外形状合わせの中空部のないものより中空断面の方
が同じバルキーさでも編織物が軽くなることを意味す
る。
この効果をもたせるためには中空率は少なくとも4%
は必要で、4%未満では中実のものとは実質的に差のな
いものしか得られない。しかし中空率が30%を越えると
紡糸、延伸等の工程で斑が生じ易くかつ糸切等も生じ易
いので好ましくない。
は必要で、4%未満では中実のものとは実質的に差のな
いものしか得られない。しかし中空率が30%を越えると
紡糸、延伸等の工程で斑が生じ易くかつ糸切等も生じ易
いので好ましくない。
ここでいう、中空率は、フィラメント横断面で断面外
周長を(l1)、内周長(l2)とした時l2/l1×100(%)
で表示される数値をもって中空率という。
周長を(l1)、内周長(l2)とした時l2/l1×100(%)
で表示される数値をもって中空率という。
フィラメント横断面、外周形状は丸断面でも多葉断面
等いずれの場合にも適用可能である。
等いずれの場合にも適用可能である。
次に本発明のポリエステル系複合系条のうち少なくと
もマルチフィラメント(A)はアルカリ減量処理するこ
とによって繊維表面微細孔が発現し、該微細孔は、繊維
軸方向にたて長であり(イ)最大幅の度数分布の最大値
が0.7μmの以下であり、(ロ)長さ/最大幅の比の平
均値が3以下である、(ハ)その数は繊維表面の100μm
2辺り平均30個以下存在し、かつ(ニ)その深さは全体
の60%以上が0.1μm以下となる。
もマルチフィラメント(A)はアルカリ減量処理するこ
とによって繊維表面微細孔が発現し、該微細孔は、繊維
軸方向にたて長であり(イ)最大幅の度数分布の最大値
が0.7μmの以下であり、(ロ)長さ/最大幅の比の平
均値が3以下である、(ハ)その数は繊維表面の100μm
2辺り平均30個以下存在し、かつ(ニ)その深さは全体
の60%以上が0.1μm以下となる。
該微細孔の長さ(繊維軸方向の長さ)および幅(繊維
軸に直角な方向の長さ)は5000倍の倍率の走査型電子顕
微鏡側面写真より100コ以上の微細孔の測定値から求め
る。また微細孔の深さはアクリル系樹脂で包埋した試料
フィラメント4μの厚さの多数の切片に切断し酢酸イソ
アルミで該切片からアクリル系樹脂を溶出した後、1000
0倍の倍率の電子顕微鏡写真より隣接する凸間に接線を
引き該接線と凹部最低面との距離を測定して100個以上
の平均値として求める。
軸に直角な方向の長さ)は5000倍の倍率の走査型電子顕
微鏡側面写真より100コ以上の微細孔の測定値から求め
る。また微細孔の深さはアクリル系樹脂で包埋した試料
フィラメント4μの厚さの多数の切片に切断し酢酸イソ
アルミで該切片からアクリル系樹脂を溶出した後、1000
0倍の倍率の電子顕微鏡写真より隣接する凸間に接線を
引き該接線と凹部最低面との距離を測定して100個以上
の平均値として求める。
かかる方法で微細孔の大きさを測定した場合に、少な
くともマルチフィラメントAは前記(イ)、(ロ)、
(ハ)および(ニ)の4要件を満足する微細孔が存在す
ることが特徴である。
くともマルチフィラメントAは前記(イ)、(ロ)、
(ハ)および(ニ)の4要件を満足する微細孔が存在す
ることが特徴である。
かかる微細孔の最大幅に関しては0.7μm以下にその
度数最大値が存在する。望ましく0.2〜0.7μmの範囲に
存在することが望ましい。
度数最大値が存在する。望ましく0.2〜0.7μmの範囲に
存在することが望ましい。
この最大値が0.7μmを越えると感触に対する効果が
半減し、特に深色した場合白っぽく見えるパステル調が
つよくなりすぎる。
半減し、特に深色した場合白っぽく見えるパステル調が
つよくなりすぎる。
微細孔の(長さ/最大幅)の比の平均値が3より大き
くなると繊維軸に直角な方向から見た場合と繊維軸に平
行の方向から見た場合、光沢差が生じ経緯直交する織物
にした場合、光沢にイラツキが生じる。逆に(長さ/最
大幅)の比の平均値が3以下の場合イラツキが少なく品
の良い光沢になる。
くなると繊維軸に直角な方向から見た場合と繊維軸に平
行の方向から見た場合、光沢差が生じ経緯直交する織物
にした場合、光沢にイラツキが生じる。逆に(長さ/最
大幅)の比の平均値が3以下の場合イラツキが少なく品
の良い光沢になる。
また微細孔の数が繊維表面に100μm2当り平均30個以
下であることが必要であり、好ましくは10〜30個の範囲
がより好ましい。30個を越える場合は光沢が白っぽくパ
ステル調がつよくなりすぎる。微細孔の深さが0.1μm
を越えるものが全体の40%を越えると、光沢がくすみ、
深みのある輝き、光沢が失われる。
下であることが必要であり、好ましくは10〜30個の範囲
がより好ましい。30個を越える場合は光沢が白っぽくパ
ステル調がつよくなりすぎる。微細孔の深さが0.1μm
を越えるものが全体の40%を越えると、光沢がくすみ、
深みのある輝き、光沢が失われる。
なお、微細孔の深さの最大値が0.4μmを越えるもの
が存在すると、染色物のパステル調が強調されるばかり
か、フィラメント糸の強力が低下し、フィラメント切れ
により編織物の実用性能が低下するので好ましくない。
が存在すると、染色物のパステル調が強調されるばかり
か、フィラメント糸の強力が低下し、フィラメント切れ
により編織物の実用性能が低下するので好ましくない。
次に主として内層部を構成するマルチフィラメントB
の断面は特に限定はないが、嵩高性をもたせるためには
中空糸を、ドライハンドをさらに協調するためにはマル
チフィラメントAと同様に微細孔形成剤を含む且つ断面
の外周面に少なくとも1つの凹部を有する異形断面糸な
ども好ましい。更に本発明のポリエステル複合糸条には
マルチフィラメントA成分とマルチフィラメントB成分
は染色性、色調などの異なったものを組合せてもよい。
の断面は特に限定はないが、嵩高性をもたせるためには
中空糸を、ドライハンドをさらに協調するためにはマル
チフィラメントAと同様に微細孔形成剤を含む且つ断面
の外周面に少なくとも1つの凹部を有する異形断面糸な
ども好ましい。更に本発明のポリエステル複合糸条には
マルチフィラメントA成分とマルチフィラメントB成分
は染色性、色調などの異なったものを組合せてもよい。
次に本複合糸は加撚された状態であるのも好ましい。
しかしあまり強撚されると糸長差が発現し難いので 以下が好ましいがソフト、柔軟さを要求しない場合やシ
ボ効果を発現させるためには必ずしもこれに限定されな
い。
しかしあまり強撚されると糸長差が発現し難いので 以下が好ましいがソフト、柔軟さを要求しない場合やシ
ボ効果を発現させるためには必ずしもこれに限定されな
い。
次に本発明のポリエステル系複合糸条の製造方法につ
いて説明する。
いて説明する。
本発明のポリエステル系複合糸条の製造装置の略側面
を第2図に例示する。自発伸長性に優れたポリエステル
マルチフィラメントAを製造するには、微細孔形成剤、
好ましくはカオリナイトを0.5〜5%含む常法で重合さ
れたポリマーを紡速1500〜4000m/分で紡糸する。ついで
本未延伸糸を延伸温度Tg〜Tg+20℃かつ延伸後の破断伸
度30〜45%、Δn0.10〜0.14になるように延伸する。こ
こで延伸温度は延伸安定性のためTg以上の温度が必要だ
がTg+20℃以上では結晶化が進み自発伸長性が低下する
ので好ましくない。
を第2図に例示する。自発伸長性に優れたポリエステル
マルチフィラメントAを製造するには、微細孔形成剤、
好ましくはカオリナイトを0.5〜5%含む常法で重合さ
れたポリマーを紡速1500〜4000m/分で紡糸する。ついで
本未延伸糸を延伸温度Tg〜Tg+20℃かつ延伸後の破断伸
度30〜45%、Δn0.10〜0.14になるように延伸する。こ
こで延伸温度は延伸安定性のためTg以上の温度が必要だ
がTg+20℃以上では結晶化が進み自発伸長性が低下する
ので好ましくない。
次に自発伸長性を与めるためにリラックス熱処理をす
るがこのときのオーバーフィード、温度は必要とする伸
長性により適宜選べばよいが、オーバーフィードは20〜
60%、温度は150〜230℃程度が好ましい。
るがこのときのオーバーフィード、温度は必要とする伸
長性により適宜選べばよいが、オーバーフィードは20〜
60%、温度は150〜230℃程度が好ましい。
尚このときのヒーターはオーバーフィード率が大きい
ので非接触ヒーターが好ましい。
ので非接触ヒーターが好ましい。
次に、このポリエステルマルチフィラメントAと、少
なくとも熱収縮特性の異なるポリエステルマルチフィラ
メントBとデニール比で10〜80%/90〜20%となるよう
に合せて交絡度20〜100コ/mで交絡処理する。交絡装置
は通常のエアーを用いるインターレーサーでよいが、マ
ルチフィラメントA、Bの組合せにより毛羽が発生し易
いので糸通路は表面粗度の小さいもの、特に3S以下のも
のを使用するのが好ましい。又交絡処理の条件は必要と
する交絡度により適宜選べばよいがエアー圧2〜10kg/c
m2G、オーバーフィード率は0〜0.8%が好ましい範囲で
ある。ついで上記ポリエステル系複合糸条を、好ましく
は撚糸したあと85℃以下で撚止めセット及び/又は糊付
け、乾燥したあと織物の経糸及び/又は緯糸として製織
する。撚糸するのは、本ポリエステル系複合糸条は自発
伸長糸と収縮糸では染着性に差があり、交絡しただけで
は染着差による毛アレ、ムラが出易く、かつ自発伸長糸
がクレギュラーに織物表面に出るため表面がイレギュラ
ーになり品位を低下させるのと、整経、糊付、製織工程
で張力がかかると交絡度が低下しループが多発し、製織
性が低下するからである。
なくとも熱収縮特性の異なるポリエステルマルチフィラ
メントBとデニール比で10〜80%/90〜20%となるよう
に合せて交絡度20〜100コ/mで交絡処理する。交絡装置
は通常のエアーを用いるインターレーサーでよいが、マ
ルチフィラメントA、Bの組合せにより毛羽が発生し易
いので糸通路は表面粗度の小さいもの、特に3S以下のも
のを使用するのが好ましい。又交絡処理の条件は必要と
する交絡度により適宜選べばよいがエアー圧2〜10kg/c
m2G、オーバーフィード率は0〜0.8%が好ましい範囲で
ある。ついで上記ポリエステル系複合糸条を、好ましく
は撚糸したあと85℃以下で撚止めセット及び/又は糊付
け、乾燥したあと織物の経糸及び/又は緯糸として製織
する。撚糸するのは、本ポリエステル系複合糸条は自発
伸長糸と収縮糸では染着性に差があり、交絡しただけで
は染着差による毛アレ、ムラが出易く、かつ自発伸長糸
がクレギュラーに織物表面に出るため表面がイレギュラ
ーになり品位を低下させるのと、整経、糊付、製織工程
で張力がかかると交絡度が低下しループが多発し、製織
性が低下するからである。
このためには追撚数は1100≦K≦6000で充分であるが
強撚タイプの場合には用途に応じて適宜選べばよい。こ
こで追撚数 のデニールである。
強撚タイプの場合には用途に応じて適宜選べばよい。こ
こで追撚数 のデニールである。
次いでセットを施すが、追撚数が1100≦K≦6000の場
合は、糊付け、乾燥を、追撚数がK>6000のときは撚止
めセットを施せばよい。但しいずれも最高温度は85℃以
下で実施することが好ましい。
合は、糊付け、乾燥を、追撚数がK>6000のときは撚止
めセットを施せばよい。但しいずれも最高温度は85℃以
下で実施することが好ましい。
更に撚止めセットは70℃以下が好ましい。これは次の
理由による。
理由による。
サイジングにおける高温乾燥熱処理で、繊維の結晶
化が進み、染色加工で発現すべき自発伸長性が減少し、
十分にふくらみのある織物が得られない。
化が進み、染色加工で発現すべき自発伸長性が減少し、
十分にふくらみのある織物が得られない。
サイジングにおける高温乾燥熱処理を受けることで
糸長差が発現し、製織性が悪くなる。
糸長差が発現し、製織性が悪くなる。
又、糊付け温度は室温〜50℃、乾燥は75℃以下が好ま
しく、糊剤として通常のフィラメント用アクリル系固剤
が使用できる。サイジングマシーンは津田駒製シリンダ
ータイプ、河本製機製のものが使用され、第1チャンバ
ーは70℃前後、第2チャンバーは75℃前後で、チャンバ
ー内ドラフトは低い方がよく、0.1〜0.2g/dが好まし
い。
しく、糊剤として通常のフィラメント用アクリル系固剤
が使用できる。サイジングマシーンは津田駒製シリンダ
ータイプ、河本製機製のものが使用され、第1チャンバ
ーは70℃前後、第2チャンバーは75℃前後で、チャンバ
ー内ドラフトは低い方がよく、0.1〜0.2g/dが好まし
い。
勿論、上記方法以外の方法でも低温セット効果のある
ものであればよい。
ものであればよい。
このようにし得た複合マルチフィラメントを通常の方
法により経糸及び/又は緯糸として製織するが、好まし
くはウォータージュットルーム等の無杼製織がよい。こ
れは、有杼織機であれば、杼の飛走中にどうしても毛羽
が発生し易くなるためである。
法により経糸及び/又は緯糸として製織するが、好まし
くはウォータージュットルーム等の無杼製織がよい。こ
れは、有杼織機であれば、杼の飛走中にどうしても毛羽
が発生し易くなるためである。
このようにして得られた織物を通常の後加工等で熱処
理(110〜200℃)することにより、自発伸長糸成分が伸
長発現し、風合い良好なふくらみに富む、ソフトタッチ
の織物となる。
理(110〜200℃)することにより、自発伸長糸成分が伸
長発現し、風合い良好なふくらみに富む、ソフトタッチ
の織物となる。
特に10〜40%好ましくは15〜35%のアルカリ減量を実
施することにより繊維軸方向にたて長の微細孔が発生し
さわやかなタッチと深みのある色調、光沢が得られるの
である。
施することにより繊維軸方向にたて長の微細孔が発生し
さわやかなタッチと深みのある色調、光沢が得られるの
である。
次に以下の実施例により本発明の構成および作用効果
を更に詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例
により制約を受けるものではない。
を更に詳細に説明するが、本発明はもとより下記実施例
により制約を受けるものではない。
(実施例) なお、本発明で実施した測定方法は以下の通りであ
る。
る。
(1) 破断伸度 JIS−L−1013(1981)に準じ、東洋ボールドウィン
社製テンシロンを用いて試料長(ゲージ長)200mm、引
張速度200mm/分でS−S曲線を測定し、破断伸度を算定
した。
社製テンシロンを用いて試料長(ゲージ長)200mm、引
張速度200mm/分でS−S曲線を測定し、破断伸度を算定
した。
(2) 熱収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD) JIS−L−1073に準じ、次によった。即ち適当な枠周
のラップリールで初荷重1/10g/デニールで8回捲のカセ
をとり、カセに1/30g/デニールの荷重をかけその長さl0
(mm)を測定する。ついでその荷重をとり除き、1/1000
g/デニールの荷重をかけた状態でカセを沸騰水中に30分
間浸漬する。その後カセを沸騰水から取り出し、冷却後
再び1/30g/デニールの荷重をかけてその時の長さl1(m
m)を測定する。
のラップリールで初荷重1/10g/デニールで8回捲のカセ
をとり、カセに1/30g/デニールの荷重をかけその長さl0
(mm)を測定する。ついでその荷重をとり除き、1/1000
g/デニールの荷重をかけた状態でカセを沸騰水中に30分
間浸漬する。その後カセを沸騰水から取り出し、冷却後
再び1/30g/デニールの荷重をかけてその時の長さl1(m
m)を測定する。
次に同様の条件でかせを作成し、l0(mm)を測定す
る。ついで1/1000g/デニールの荷重をかけた状態で乾熱
160℃のオーブン中で熱処理する。ついで冷却後再び1/3
0g/デニールの荷重をかけてそのときの長さl2(mm)を
測定する。熱水収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD)は次
式により算出される。
る。ついで1/1000g/デニールの荷重をかけた状態で乾熱
160℃のオーブン中で熱処理する。ついで冷却後再び1/3
0g/デニールの荷重をかけてそのときの長さl2(mm)を
測定する。熱水収縮率(SHW)、乾熱収縮率(SHD)は次
式により算出される。
(3) 交絡度 適当な長さの糸をとり出し、下端に1/10g/デニールの
荷重をかけて垂直につり下げる。ついで適当な針を糸中
につき出し、ゆっくり持ち上げ荷重が持ち上がるまでに
移動する距離l(cm)を100回測定し、これより平均値
l(cm)を求め次式により算出する。
荷重をかけて垂直につり下げる。ついで適当な針を糸中
につき出し、ゆっくり持ち上げ荷重が持ち上がるまでに
移動する距離l(cm)を100回測定し、これより平均値
l(cm)を求め次式により算出する。
(実施例) 以下実施例にて詳細に説明するが本発明はもとよりこ
れらの実施例に限定されるものではない。
れらの実施例に限定されるものではない。
(実施例−1,2、比較例−1,2,3) カオリナイト(Engelhard社製ASP−072:粗粒子を遠心
分離で10%除去、屈折率1.56、平均粒子径0.3μm、1
μm粒子6重量%(TiO2が不純物としてカオリン中に1.
5重量%含有))を2重量%配合した、実質的にエチレ
ンテレフタレート単体のみの繰り返しからなるポリエス
テル重合体を常法で紡糸捲取速度3000m/minで延伸−リ
ラックス後のデニール、中空率、DE、SHW、SHDが表1の
物性になる如く、紡糸ノズル形状、紡糸吐出量、延伸倍
率、リラックス率、リラックス温度、セット時間を変更
して得た。又熱収縮マルチフィラメントは市販の東洋紡
(株)製、東洋紡エステルを使用し、第2図の延伸−リ
ラックス機で加工した。ここでエアーノズル7はファイ
バーガイド社製エアージェットFG−1を使用し目標の交
絡度が得られる如くエアー圧、フィードローラー6とデ
リベリーローラー8の間フィード比を調整した。使用し
た原糸物性と得られた複合糸条の糸質及び該糸条を用い
て通常の方法で撚糸、整経後河村製機製の糊付機を使用
し通常のフィラメント用アクリル系糊剤を糊付後第1チ
ャンバー70℃第2チャンバー75℃で乾燥後デジンを製織
し常法で25%アルカリ減量したあと染色仕上した布帛の
風合を判定した。又工程通過性として特に撚糸、捲返
し、製織性について判定し、工程通過性、風合の色調、
光沢の面から見た総合判定を各々第1表に記載した。
分離で10%除去、屈折率1.56、平均粒子径0.3μm、1
μm粒子6重量%(TiO2が不純物としてカオリン中に1.
5重量%含有))を2重量%配合した、実質的にエチレ
ンテレフタレート単体のみの繰り返しからなるポリエス
テル重合体を常法で紡糸捲取速度3000m/minで延伸−リ
ラックス後のデニール、中空率、DE、SHW、SHDが表1の
物性になる如く、紡糸ノズル形状、紡糸吐出量、延伸倍
率、リラックス率、リラックス温度、セット時間を変更
して得た。又熱収縮マルチフィラメントは市販の東洋紡
(株)製、東洋紡エステルを使用し、第2図の延伸−リ
ラックス機で加工した。ここでエアーノズル7はファイ
バーガイド社製エアージェットFG−1を使用し目標の交
絡度が得られる如くエアー圧、フィードローラー6とデ
リベリーローラー8の間フィード比を調整した。使用し
た原糸物性と得られた複合糸条の糸質及び該糸条を用い
て通常の方法で撚糸、整経後河村製機製の糊付機を使用
し通常のフィラメント用アクリル系糊剤を糊付後第1チ
ャンバー70℃第2チャンバー75℃で乾燥後デジンを製織
し常法で25%アルカリ減量したあと染色仕上した布帛の
風合を判定した。又工程通過性として特に撚糸、捲返
し、製織性について判定し、工程通過性、風合の色調、
光沢の面から見た総合判定を各々第1表に記載した。
実施例1、2、3は本発明の範囲内で風合、工程通過
性、色調光沢とも良好で、特に実施例3は弾発性、かさ
高性の面で特にすぐれたものであった。
性、色調光沢とも良好で、特に実施例3は弾発性、かさ
高性の面で特にすぐれたものであった。
比較例1は微細孔形成剤が少ないのでアルカリ減量加
工してもヌメリ感があり風合、色調光沢の面でよくなか
った。
工してもヌメリ感があり風合、色調光沢の面でよくなか
った。
比較例2は微細孔形成剤が多すぎ、紡糸、延伸での糸
切が多くかつダル感が強すぎて色調、光沢の面でも劣っ
た。
切が多くかつダル感が強すぎて色調、光沢の面でも劣っ
た。
比較例3は熱伸長性マルチフィラメントAが、低温で
も伸長し、サイジング後ループが発生、工程通過性に問
題があった。
も伸長し、サイジング後ループが発生、工程通過性に問
題があった。
比較例4はマルチフィラメントA、Bとも収縮し、通
常の異収縮混繊糸と同じ風合で本発明のマイクロパウダ
ー効果はなくプァーなものであった。
常の異収縮混繊糸と同じ風合で本発明のマイクロパウダ
ー効果はなくプァーなものであった。
比較例5はΔSHDが小さいためにふくらみがなく通常
のフラットヤーンと大差ない風合であった。
のフラットヤーンと大差ない風合であった。
比較例6はマルチフィラメントBの破断強力が低いた
め、複合糸の強力も低く後工程、特に撚、織工程で糸切
が多発した。
め、複合糸の強力も低く後工程、特に撚、織工程で糸切
が多発した。
比較例7はマルチフィラメントBの比率が大きすぎる
ため自己伸長糸の風合効果が小さいものであった。
ため自己伸長糸の風合効果が小さいものであった。
比較例8は逆にマルチフィラメントBの比率が小さす
ぎ、複合糸の強力が低く比較例6と同じように後工程で
の糸切多発した。
ぎ、複合糸の強力が低く比較例6と同じように後工程で
の糸切多発した。
比較例9は交絡度が低いために撚糸、捲返しのさい糸
切が多発した。逆に比較例10は工程通過性は問題なかっ
たが加撚数が少ない場合にはモアレ斑が発生した。
切が多発した。逆に比較例10は工程通過性は問題なかっ
たが加撚数が少ない場合にはモアレ斑が発生した。
尚アルカリ減量によりマルチフィラメントAは比較例
1は微細孔がほとんど発生せず、前述の如くヌメリ感の
強いものとなった。しかし比較例2はアルカリ減量を通
常の15〜30%実施すると微細孔の深さ、長さ、巾、個数
とも多くなり織物物性面でも問題があった。
1は微細孔がほとんど発生せず、前述の如くヌメリ感の
強いものとなった。しかし比較例2はアルカリ減量を通
常の15〜30%実施すると微細孔の深さ、長さ、巾、個数
とも多くなり織物物性面でも問題があった。
(発明の効果) このように本発明のポリエステル系複合糸条は従来の
異収縮混繊維糸(熱伸長糸も含む)に比べてソフト、柔
軟性、且つドライタッチと適度なはり、腰、ドレープ性
を有し且色調、光沢にすぐれ、しかも工程通過性が選れ
ているという顕著な効果を奏するのである。
異収縮混繊維糸(熱伸長糸も含む)に比べてソフト、柔
軟性、且つドライタッチと適度なはり、腰、ドレープ性
を有し且色調、光沢にすぐれ、しかも工程通過性が選れ
ているという顕著な効果を奏するのである。
第1図は本発明のポリエステル複合糸条を熱処理して糸
長差を発現させたモデル図。第2図は製造装置の一例を
示す略側面図である。 第3図は本発明のマルチフィラメントAの断面形状の代
表例を示す。 A:熱伸長マルチフィラメント B:熱収縮マルチフィラメント C:本発明のポリエステル複合糸条 3:ホットローラー 5:非接触ヒーター 7:エアージェットノズル
長差を発現させたモデル図。第2図は製造装置の一例を
示す略側面図である。 第3図は本発明のマルチフィラメントAの断面形状の代
表例を示す。 A:熱伸長マルチフィラメント B:熱収縮マルチフィラメント C:本発明のポリエステル複合糸条 3:ホットローラー 5:非接触ヒーター 7:エアージェットノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D01F 6/62 303 D01F 6/62 303H 303F (56)参考文献 特開 昭64−61529(JP,A) 特開 昭60−104543(JP,A) 特開 昭60−28515(JP,A) 特開 昭61−160440(JP,A) 特開 昭61−258038(JP,A) 特開 昭59−228014(JP,A) 特開 昭55−62240(JP,A) 特開 昭56−112537(JP,A) 特公 平4−18051(JP,B2) 特公 平4−1097(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D02G 3/00 - 3/48 D02J 1/00 D01F 6/62
Claims (1)
- 【請求項1】糸物性が下記範囲を満足するマルチフィラ
メント糸Aおよびマルチフィラメント糸Bから構成され
た複合糸条であって、該複合糸条が交絡度20〜100コ/m
で絡合されていることを特徴とするポリエステル系複合
糸条。 マルチフィラメント糸A:微細孔形成剤を0.5〜5重量%
含有する単糸3デニール以下のマルチフィラメント(複
合糸条中の含有率10〜80%〔デニール比率〕) マルチフィラメントB:破断強度が4g/デニール以上であ
るマルチフィラメント(複合糸条中の含有率90〜20%
〔デニール比率〕)…(B) SHW(A)≧0% SHD(A)≦0% SHW(B)≧0% SHD(B)−SHD(A)≧5% SHW:熱水(100℃)収縮率(%) SHD:乾熱(160℃)収縮率(%)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12399589A JP2910053B2 (ja) | 1989-05-16 | 1989-05-16 | ポリエステル系複合糸条 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12399589A JP2910053B2 (ja) | 1989-05-16 | 1989-05-16 | ポリエステル系複合糸条 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02307930A JPH02307930A (ja) | 1990-12-21 |
JP2910053B2 true JP2910053B2 (ja) | 1999-06-23 |
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ID=14874436
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|
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---|---|---|---|---|
JP4339760B2 (ja) | 2004-07-30 | 2009-10-07 | 帝人ファイバー株式会社 | 混繊糸および織編物 |
-
1989
- 1989-05-16 JP JP12399589A patent/JP2910053B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH02307930A (ja) | 1990-12-21 |
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