JPH0849130A - 熱可塑性合成繊維複合糸及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性合成繊維複合糸及びその製造方法

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JPH0849130A
JPH0849130A JP18488094A JP18488094A JPH0849130A JP H0849130 A JPH0849130 A JP H0849130A JP 18488094 A JP18488094 A JP 18488094A JP 18488094 A JP18488094 A JP 18488094A JP H0849130 A JPH0849130 A JP H0849130A
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JP
Japan
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synthetic fiber
thermoplastic synthetic
multifilament
composite yarn
shw
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Application number
JP18488094A
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English (en)
Inventor
Katsumi Baba
克己 馬場
Yurie Sakamoto
裕里恵 坂本
Takayoshi Fujita
隆嘉 藤田
Kazumi Takagi
和美 高木
Shigeo Nagira
重雄 柳楽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 明瞭な芯鞘構造を有し、ソフトでふくらみ
感、張り腰感を有する熱可塑性合成繊維複合糸及びその
製造方法を提供する。 【構成】 実撚を施す以前には実質的に糸長差を有しな
い熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント(A)が
熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント(B)を含む
他の構成マルチフィラメントを包み込むように位置し、
破断伸度差、糸長差、実撚数を特定範囲におさめた熱可
塑性合成繊維複合糸及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性合成繊維複合
糸とその製造方法に関し、更に詳しくは明瞭な芯鞘構造
を有し、ソフトでふくらみ感、張り腰感を有する熱可塑
性合成繊維複合糸と、明瞭な芯鞘構造を有する熱可塑性
合成繊維複合糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維マルチフィラメントは、その優
れた特性を生かした衣料用途をはじめ生活資材用途や産
業資材用途に広く使用されている。衣料用途としては2
種以上の合成繊維マルチフィラメントからなる芯鞘構造
を有する複合糸がソフト感、ふくらみ感、張り腰感に優
れた風合いを編織物に与える上で有効であることが知ら
れている。
【0003】特公昭61−19733号公報には伸度が
小なるフィラメント糸が芯部を構成し、前記フィラメン
ト糸より伸度が大なるフィラメント糸が芯部の周りを交
互撚糸状にとりまいて外層部を構成し、しかも芯部と外
層部の境界部において両フィラメント糸の一部が互いに
混合、交錯して、交絡部を形成してなる、実質的に太さ
斑のないスパンライク様、仮撚2層構造糸が記載されて
いる。
【0004】該仮撚2層構造糸はスパンライクな外観、
風合いを現出し得る点で優れているが、仮撚捲縮を有す
るため、ふかつき感があり、特に衣料用織物用途では、
この種の仮撚2層構造糸は追撚して製織するのが一般的
である。
【0005】しかし、仮撚2層構造糸はチーズパッケー
ジからの解舒性があまり良くなく、追撚工程での取扱い
性がよくないのが通例である。解舒性を満足させるため
流体交絡処理しているが、芯部と外層部の境界部におい
て両フィラメント糸の一部が互いに混合、交錯した交絡
部が有るので2層構造の形態は芯部のフィラメントの全
てを外周部のフィラメントが包み込む様な形態ではな
い。
【0006】更には、この種の仮撚2層構造糸に関し、
チーズパッケージからの解舒性を向上させるため仮撚熱
固定ヒーター上で構成フィラメントの一部を融着させる
ことことも多く行われているが、外周部を構成するフィ
ラメントの伸度が芯部を構成するフィラメントの伸度よ
り高いので、外周部を構成するフィラメント同志が融着
し易く、そのため芯部を構成するフィラメント仮撚2層
構造糸の表面に多く露出する。染色した場合に芯部を構
成するフィラメントは伸度が低いため外周部を構成する
フィラメントより淡染し易く、露出した芯部を構成する
フィラメントは好ましくない淡染イラツキとなる場合が
ある。
【0007】また、給糸率を異ならせた2種以上のマル
チフィラメント糸を流体撹乱処理する所謂、異供給タス
ラン加工糸が良く知られている。該異供給タスラン加工
糸はループ、タルミを有し、ソフト感、ふくらみ感を与
える上で有効であるが、そのループ、タルミに起因し
て、ファスナリング問題を起こし易い他、追撚する場合
にチーズパッケージからの解舒性が良くなく、製織性が
良くないのが通例である。
【0008】更には染色加工工程での熱処理により糸長
差が発現する異収縮混繊糸が知られている。また、染色
加工工程での熱処理により自発伸長するフィラメント糸
と収縮するフィラメント糸との組合せによる混繊糸も知
られている。但し、この種の混繊糸は熱処理後の糸形態
が高収縮フィラメント糸を低収縮フィラメントが包み込
む様な芯鞘状とは言いづらく、糸長差のある2種のフィ
ラメント糸がサイドバイサイド状に並んだ形態となり、
収縮率差にともなう染着差が好ましくないイラツキとな
る場合がある。
【0009】給糸率を異ならせて合撚複合することによ
り芯鞘構造を持つ複合糸も紡績糸を中心として良く知ら
れている。しかし、該複合糸においても芯鞘状形態には
なりづらく、糸長差のある2種のフィラメント糸がサイ
ドバイサイド状に並んだ形態となる。また、該複合糸は
スラブ、ネップができやすく、極めて特殊な意匠性を持
つ複合糸となり汎用性の乏しいものである。
【0010】前記の様に、従来は芯部を構成するフィラ
メントを外周部を構成するフィラメントが包み込む様な
明瞭な芯鞘構造を有する複合糸は皆無であった。そのた
め、イラツキの欠点を起こし易い課題があった。また、
後工程の取扱い性が良くないものが多かった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の様な
課題を解決しようとするものであって、ソフト感、ふく
らみ感、張り腰感豊かな編織物を提供し得る明瞭な芯鞘
構造を有する後工程通過性の良好な熱可塑性合成繊維複
合糸及びその製造方法を提供することを課題とするもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために次の手段をとる。即ち本発明は、実撚を施す
以前には実質的に糸長差を有しない熱可塑性合成繊維未
延伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸
マルチフィラメント(B)とを少なくとも含んで構成さ
れた捲縮を有さず実撚を有する複合糸であって、該複合
糸中で該熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント
(A)が他の構成マルチフィラメントを包み込む様に外
周部に位置し、下記式(1)〜(3)を満足することを
特徴とする熱可塑性合成繊維複合糸である。 DE(A)〔%〕−DE(B)〔%〕≧50.0〔%〕…………(1) Δ;〔%〕≧1.0〔%〕……………………………………………(2) TxD1/2 ≧800……………………………………………………(3) 但し、DE(A)〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マル
チフィラメント(A)の破断伸度、DE(B)〔%〕は
熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント(B)の破断
伸度、ΔL〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィ
ラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメ
ント(B)との糸長差、Tは実撚数〔T/m〕、Dは複
合糸のデニールを示す。
【0013】また、本発明は、下記式(8)を満足する
熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAと熱可塑
性合成繊維延伸マルチフィラメントBとを少なくとも含
む二者以上の熱可塑性合成繊維マルチフィラメントを引
揃え状態で熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント
Aの一次降伏点応力以上の加工張力で下記式(9)を満
足する実撚を施すことを特徴とする熱可塑性合成繊維複
合糸の製造方法である。 DE(A)〔%〕−DE(B)〔%〕≧50.0〔%〕…………(8) T×D1/2 ≧800……………………………………………………(9) 但し、DE(A)〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マル
チフィラメントAの破断伸度、DE(B)〔%〕は熱可
塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの破断伸度、T
は実撚数〔T/m〕、Dは複合糸のデニールを示すであ
る。
【0014】請求項1の発明である熱可塑性合成繊維複
合糸は、従来の芯鞘構造複合糸に比較して、芯部を構成
するフィラメントを外周部を構成するフィラメントが包
み込む様な明瞭な芯鞘構造を有する。従来の芯鞘構造複
合糸は糸長差を有するので、複合糸の表面から見れば芯
部を構成するフィラメントと鞘部を構成するフィラメン
トとの区別を認識できるが、複合糸の断面を拡大して観
察すると、図4の様に芯部を構成するフィラメントbと
鞘部を構成するフィラメントaとがサイドバイサイド状
に位置しており、芯部を構成するフィラメントbが複合
糸の表面に露出している部分がかなり存在する。
【0015】また、流体交絡処理又は流体撹乱処理され
た芯鞘構造複合糸は図5の様に構成フィラメントの一部
が芯鞘の区別無く混合、交錯しているが、この場合にも
芯部を構成するフィラメントbが複合糸の表面に露出し
ている部分がかなり存在する。これらの従来の芯鞘構造
複合糸は、糸でまたは製編織後染色されると芯部を構成
するフィラメントbと鞘部を構成するフィラメントaの
色差が見苦しいイラツキになるので好ましくない。
【0016】請求項1の発明である熱可塑性合成繊維複
合糸は図1または図2に例示される様に、従来の芯鞘構
造複合糸に比較して、芯部を構成するフィラメントbを
鞘部を構成するフィラメントaが包み込む様な断面とな
っており、芯部を構成するフィラメントbが複合糸表面
に露出する部分が少ない。結果的に、染色品はイラツキ
が見られない美しい外観品位を有するものとなる。ここ
に、Aは熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント、
Bは熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントである。
【0017】請求項1の発明である熱可塑性合成繊維複
合糸は実撚構造を有するものであるが、実撚を施す以前
には実質的に糸長差を有しないことが必要である。実撚
を施す以前には実質的に糸長差を有しないとは実撚を施
すことによって始めて前記の様な明瞭な芯鞘構造を発現
することを意味しており、次の様なものは本発明から除
外する。
【0018】 仮撚複合時に糸長差が発現し、該仮撚
複合糸を追撚したもの。 異供給タスラン加工糸または異供給インターレース
混繊糸を撚糸したもの。 異収縮混繊糸を撚糸したもの(通常はこの段階では
糸長差は無い)。 異供給合撚糸(2種の糸条が合糸された時点で糸長
差がある)。
【0019】前記の4種の様なものは芯部を構成するフ
ィラメントを外周部を構成するフィラメントが包み込む
様な本発明の熱可塑性合成繊維複合糸の断面形状になら
ない。
【0020】請求項1の発明である熱可塑性合成繊維複
合糸は熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAと
熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBとを少なく
とも含んで構成されている。前記の様に実撚を施した
後、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAが熱
可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBを含む他のマ
ルチフィラメントを包み込む様に外周部に位置するもの
である。
【0021】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAは複合糸の外周部に位置するので表面のタッチと関
係が大きく、ソフトな表面タッチを得るために破断伸度
が大きいことが好ましい。逆に、熱可塑性合成繊維延伸
マルチフィラメントBは複合糸の芯部に位置するので張
り腰感と関係が大きく、適度な張り腰感を得るために延
伸により、破断伸度が小さくなっていることが好まし
い。本発明で用いる未延伸という言葉は熱可塑性合成繊
維を紡糸巻取り後そのまま用いるか、または紡糸後弛緩
〜自然延伸比以内の延伸状態で熱処理された状態等を言
う。従って、自然延伸比を上回る様な延伸状態にさらさ
れたものを本発明では延伸という言葉で表現している。
【0022】表面のソフト感と張り腰感を両立させる上
で、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAと熱
可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの破断伸度差
は50〔%〕以上が必要である。より好ましくは100
〔%〕以上である。但し、破断伸度差が300〔%〕を
こえると熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントA
の後工程での熱による脆化が激しくなるので好ましくな
い。
【0023】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAと熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBとの
糸長差は1.0〔%〕以上であることが必要である。
1.0〔%〕未満の場合には芯鞘構造が不明瞭であるの
で本発明から除外する。より好ましくは1.5〔%〕以
上15.0〔%〕以下である。15.0〔%〕を越える
とピリング欠点等を起こし易くなるので好ましくない。
【0024】さらに熱可塑性合成繊維複合糸は、実撚を
有することが必要であり、その撚係数は実撚数をT〔T
/m〕、複合糸のデニールをDとするとき、T×D1/2
が800以上であることが必要である。800未満の場
合には撚角度が小さいので実質的に実撚のないものと差
がなく、糸長の長い熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィ
ラメントAを構成するフィラメントがループ状に突出
し、製編織性が悪くなるので本発明から除外する。より
好ましくは1000以上35000以下である。350
00を越えると風合いの硬化が起こり、好ましくない。
【0025】本発明で言う熱可塑性合成繊維とは、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン等繊維形成能を有する重合体から形成
された繊維を指すが、特にポリエステル繊維が好適であ
る。ポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸成分共
重合ポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
成分共重合ポリエステル等が好ましく使用される。これ
らの熱可塑性合成重合体に酸化チタンの様な艶消し剤や
帯電防止剤等が適宜添加されていても良く、特にカオリ
ナイトを含有するポリエステルは染色加工時に微細孔を
形成し、ドライ感を向上させるので好ましい。
【0026】また、熱可塑性合成繊維複合糸に含まれる
熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAの熱水収
縮率SHW(A)は熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラ
メントBの熱水収縮率SHW(B)以下であることが好
ましい。これは実撚が施されて得られた明瞭な芯鞘構造
の糸形態を染色加工等後工程で維持し易くするためであ
る。SHW(A)がSHW(B)を越える場合には複合
糸に熱処理が行われると糸長差が小さくなり複合糸の明
瞭な芯鞘構造が崩れ易く、好ましくない。
【0027】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAは複合糸中で外周部に位置するので、得られた織編
物の表面タッチと関係が大きく、その沸水収縮率SHW
(A)が大きすぎると得られた織編物の表面タッチが硬
く感じられる傾向がある。そのため、SHW(A)は
7.0〔%〕以下であることが好ましい。熱可塑性合成
繊維延伸マルチフィラメントBは複合糸中で芯部に位置
するので、前記の様に、その熱水収縮率SHW(B)は
SHW(A)以上が好ましいが、織編物に適度な張り腰
感を与えるために7.0〔%〕以上であることが好まし
い。更には、染色加工時にふくらみ感を向上させるため
に、SHW(B)はSHW(A)より4.0〔%〕以上
大きいことが好ましい。SHW(A)は小さいことが好
ましく、実質的に熱伸長するものであっても良いが、−
15.0〔%〕以下になるとピリング欠点等を起こし易
くなるので好ましくない。SHW(B)は大きいことが
好ましいが、70.0〔%〕を越えると染色加工時の取
扱い性が悪くなるので好ましくない。
【0028】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAを構成するフィラメントの単繊維デニールは織編物
の表面タッチをソフトにする観点から、比較的小さいも
のが好ましく、0.1デニール以上6.0デニール以下
を例示できる。一方、熱可塑性合成繊維延伸マルチフィ
ラメントBを構成するフィラメントの単繊維デニールは
織編物に張り腰感を与えるために、比較的大きいものが
好ましく、0.2デニール以上10.0デニール以下を
例示できる。
【0029】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トA及び熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBを
構成するフィラメントの横断面形状は、通常の丸横断
面、多葉横断面、多角横断面、特殊異形横断面等どの様
なものも適用できるが、織編物の厚みに対して、軽さを
感じ易くするため、中空横断面であることが特に好まし
い。中空横断面フィラメントは曲げ剛性が大きいので、
織編物に張り腰感を与える上でも有効である。中空横断
面フィラメントの外周形状及び中空部の形状は通常の丸
形状、多葉形状、多角形状、特殊形状のどの様なもので
も良く、中空部の数は1ケでも複数ケでも良い。フィラ
メントの横断面積に対する中空部の面積は5〔%〕以上
70〔%〕以下が好ましい。5〔%〕未満の場合には中
実糸との差が感じにくくなる。70〔%〕を越えると後
工程での中空部のバースト等で取扱い性が悪くなるので
好ましくない。
【0030】また、熱可塑性合成繊維複合糸には熱可塑
性合成繊維未延伸マルチフィラメントAと熱可塑性合成
繊維延伸マルチフィラメントBの他の熱可塑性合成繊維
マルチフィラメント等が含まれていても良いが、この場
合にも必ず、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAが他の構成マルチフィラメント等を包み込む様に外
周部に位置しているこが必要である。
【0031】次に、請求項7の発明である熱可塑性合成
繊維複合糸の製造方法について説明する。まず、熱可塑
性合成繊維複合糸の製造方法は実撚を施すことにより、
初めて構成マルチフィラメント間に糸長差を付与できる
製造方法でなければならない。そのために構成マルチフ
ィラメントとして、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィ
ラメントAと熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント
Bとを少なくとも含む二者以上の熱可塑性合成繊維マル
チフィラメントを引揃え状態で熱可塑性合成繊維未延伸
マルチフィラメントAの一次降伏点応力以上の加工張力
下で実撚を施すことが必要である。
【0032】図3に熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィ
ラメントAの応力−ひずみ曲線と熱可塑性合成繊維延伸
マルチフィラメントBの応力−ひずみ曲線との一例を示
す。図3のcは熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメ
ントAの応力−ひずみ曲線を示しており、図3中のeは
熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAの一次降
伏点応力(単位:g)を示している。熱可塑性合成繊維
未延伸マルチフィラメントAは該一次降伏点応力以上の
荷重がかけられ引張される。一方、図3のdは熱可塑性
合成繊維延伸マルチフィラメントBの応力−ひずみ曲線
を示している。熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
トBはeの荷重がかけられてもほんの僅かしか引張され
ない。この様に、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
メントAと熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントB
との間には荷重に対する引張特性が大きく異なり、これ
らを含む複数の熱可塑性合成繊維マルチフィラメントを
引揃えて実撚を施し、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフ
ィラメントAの一次降伏点応力以上の加工張力とするこ
とにより、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント
Aの糸長が長くなる。
【0033】実際には合撚機や各種撚糸機において加撚
されているマルチフィラメントはバルーンを形成しなが
ら回転しており、その部分の張力を測定することは不可
能であるが、バルーンガイド(ラペット)部分で張力を
測定することにより、加工張力を定義する。加工張力
(単位:g)が熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメ
ントAの一次降伏点応力(単位:g)と同一の場合か
ら、糸長差が得られる。より好ましくは、次式(14)を
満足する加工張力が糸長差を大きくすることができる。 F〔g〕≧ D×(fa)/(da)……………………………… (14) 但し、Fは加工張力〔g〕、Dは複合糸総デニール、f
aは熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAの一
次降伏点応力〔g〕、daは熱可塑性合成繊維未延伸マ
ルチフィラメントAのデニールを示す。しかながら、あ
まりに加工張力が大きすぎると、毛羽の発生が起こるの
で好ましくなく、F〔g〕はfa〔g〕の5倍程度以下
としておくのが好ましい。
【0034】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAは複合糸の糸長差を大きくさせるために、なるべく
小さい一次降伏点応力を有していることが好ましく、
1.5〔g/d〕以下であることが好ましい。但し、あ
まりに一時降伏点応力が小さいものは染色加工工程等の
後工程で熱による劣化を起こし易いので0.3g/d以
上とするのが好ましい。ポリエチレンテレフタレートを
例にとると、紡糸速度が1500〔m/min〕程度以
下の未延伸マルチフィラメントはこの観点からあまりふ
さわしくなく、紡糸速度が2000〜4000〔m/m
in〕程度の高配向未延伸マルチフィラメントやその定
長熱処理糸、弛緩熱処理糸等が好適に使用される。
【0035】熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント
Bは複合糸の糸長差を大きくさせるために応力−ひずみ
曲線の初期的な傾きの大きいものが好ましく、10
〔%〕伸長時応力が2.0〔g/d〕(図3のf(g)
をデニールで除したもの)以上、より好ましくは2.5
〔g/d〕以上のものが好適に使用される。
【0036】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAと熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの破
断伸度の差は50〔%〕以上であることが必要である。
これは複合糸の外周部に位置する熱可塑性合成繊維未延
伸マルチフィラメントAはソフトな表面タッチを得るた
めに破断伸度が大きいことが好ましく、複合糸の芯部に
位置する熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBは
張り腰感を得るために破断伸度が小さいことが好まし
い。より具体的には、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフ
ィラメントAの破断伸度が100〜300〔%〕、熱可
塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの破断伸度が2
0〜80〔%〕でその差が50〔%〕以上、より好まし
くは100〔%〕以上である。
【0037】実撚数T〔T/m〕と複合糸のデニールD
〔d〕の平方根との積(T×D1/2)は800以上であ
ることが必要である。800未満の場合には糸長差を実
撚が吸収できず、熱可塑性未延伸マルチフィラメントA
を構成するフィラメントの一部がループ状に突出すか、
またはタルミとなって、製編織性を悪くするので好まし
くない。より好ましくは1000〜35000である。
35000を越えると風合いが粗硬になるため好ましく
ない。
【0038】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAは、複合糸の外周部に位置しており、染色加工等後
工程で熱履歴を受けた後も糸長差を保持させる上で熱可
塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAの沸水収縮率
は熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの沸水収
縮率以下であることが好ましい。より好ましくは熱可塑
性合成繊維延伸マルチフィラメントBの沸水収縮率が
7.0〔%〕以上、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィ
ラメントAの沸水収縮率が7.0〔%〕以下、その差が
4.0〔%〕以上である。この場合には、異収縮の効果
が合わさり、織編物のふくらみ感を向上させることがで
きる。
【0039】熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメン
トAの沸水収縮率を7.0〔%〕以下とするためには熱
可塑性重合体を紡糸速度2000〜4000〔m/mi
n〕で引取った高配向未延伸マルチフィラメントを連続
してまたは別途、定長又は弛緩状態で熱処理することが
好ましい。弛緩熱処理する場合の弛緩率は、0〜80
〔%〕程度を例示できる。80〔%〕程度を越えると弛
緩熱処理後のマルチフィラメントの後工程での熱劣化が
大きくなるので好ましくない。熱処理温度は高配向未延
伸マルチフィラメントのデニール、処理速度(糸の走行
速度)、加熱体の種類等に依存しているが、ポリエチレ
ンテレフタレート高高配未延伸マルチフィラメント30
デニール/24フィラメントを50cm長の非接触式ヒ
ータで処理速度400m/minで走行させる場合を例
にとると、ヒータ温度条件は150〜230℃程度であ
る。
【0040】実撚付与工程では、少なくとも、熱可塑性
合成繊維未延伸マルチフィラメントAと熱可塑性合成繊
維延伸マルチフィラメントBとを引揃えて実撚を施すこ
とが必要となる。そのためには、合撚機を使用すれば複
数の供給マルチフィラメントをクリールに掛けて、引揃
え、実撚をかけることができる。また、イタリー撚糸
機、二重撚糸機等を用いる場合には、予め、複数の供給
マルチフィラメントを引揃えて一度巻き取った後、撚糸
機に仕掛け、実撚を施すことができる。この場合にも引
揃えられた時点で糸長差が発現していないことが必要で
ある。複数の供給マルチフィラメント間で給糸率を異な
らせる等で糸長差が発現して合糸されると、実撚が付与
される時点で構成フィラメントの一部がネップ状に突出
し、見苦しい複合糸さなる。
【0041】次に本発明で用いた測定法について記す。 破断伸度(DE〔%〕) 東洋ボールドウィン社製テンシロンを用いて試料長(ゲ
ージ長)200mm、引張速度200mm/分で応力−
ひずみ曲線を描かせ、破断伸度を測定した。
【0042】10%伸長時応力〔g/d〕 破断伸度(DE〔%〕)と同様に応力−ひずみ曲線を描
かせ、10%伸長させたときの応力〔g〕をチャートか
ら読み取り、試料のデニールで割り算し、10%伸長時
応力〔g/d〕を求めた。
【0043】一次降伏点応力〔g〕 破断伸度(DE〔%〕)と同様に応力−ひずみ曲線を描
かせ、図3のcの応力〔g〕を読み取り、一次降伏点応
力〔g〕を求めた。
【0044】糸長差(ΔL〔%〕) 複合糸に約30cm間隔で2ケ所にしるしを付け、必要
に応じて、検撚器で解撚し、複数の構成マルチフィラメ
ントに丁寧に分繊し、熱可塑性合成繊維未延伸マルチフ
ィラメントAと熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
トBの各々に、1/30〔g/d〕の荷重をかけて、垂
直に吊り下げ、しるしの間の長さを測定する。熱可塑性
合成繊維未延伸マルチフィラメントAのしるしの間の長
さをLa〔cm〕、熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラ
メントBのしるしの間の長さをLb〔cm〕とすると、
糸長差(ΔL〔%〕)は次式により、算出される。 ΔL〔%〕={(La−Lb)/Lb}×100
【0045】沸水収縮率(SHW〔%〕) 適当な枠周のラップリールで初荷重1/10〔g/d〕
で8回巻のカセをとり、カセに1/30〔g/d〕の荷
重をかけ、その長さ11を測定する。ついでその荷重を
とり除き1/1000〔g/d〕の荷重をかけた状態で
カセを沸騰水中に30分間浸漬する。その後カセを沸騰
水中から取り出し、簡単に水分を拭き取り、60℃のオ
ーブン中で30分乾燥し、放冷後、再びカセに1/30
〔g/d〕の荷重をかけてそのときのカセの長さ12
〔cm〕を測定する。沸水収縮率(SHW〔%〕)は次
式により、算出される。 SHW〔%〕={(11−12)/11}×100
【0046】
【実施例】
実施例1 固有粘度0.62ポリエチレンテレフタレートセミダル
レジンを円形ノズル孔から溶融紡糸し、3000m/m
inの速度で引き取り、34デニール/24フィラメン
トの高配向未延伸マルチフィラメントを得た。該高配向
未延伸マルチフィラメントの破断伸度は115〔%〕、
一次降伏点応力は25〔g〕でSHWは55%であっ
た。
【0047】一方、イソフタル酸成分を全酸成分に対
し、10モル%共重合した共重合ポリエチレンテレフタ
レートセミダルレジンを紡糸速度1700m/minで
円形ノズル孔から溶融紡糸し、予熱温度82℃、延伸倍
率2.3倍に延伸し、熱セットすること無く巻取り、3
7デニール/12フィラメントの延伸マルチフィラメン
トを得た。該延伸マルチフィラメントの破断伸度は34
〔%〕、10%伸長時応力は2.8〔g/d〕でSHW
は55〔%〕であった。
【0048】これら2種のポリエステルマルチフィラメ
ントを石川製作所製DTF型合撚機で引揃え、S方向に
実撚数800〔T/m〕(T×D1/2 は6741)、バ
ルーン張力60〔g〕で合撚し、複合糸を得た。該複合
糸のΔLは1.5〔%〕であった。該複合糸の断面を光
学顕微鏡で観察したところ、延伸マルチフィラメントの
外周部を高配向未延伸マルチフィラメントが包み込む様
な横断面となっていた。該複合糸に65〔℃〕40分間
の湿熱セットを施し、筒編し、常圧で分散染料にて染色
した。染色筒編地は色差のイラツキが目立ちにくい好ま
しいものであった。
【0049】比較例1 実施例1中の高配向未延伸マルチフィラメント2本を引
揃え実施例1と同様に合撚した。実撚数800〔T/
m〕(T×D1/2 は6597)でバルーン張力60
〔g〕に調節した。ΔLは実質的に0〔%〕で芯鞘の区
別が無く、染色筒編地は張り腰のない好ましくないもの
であった。
【0050】比較例2 実施例1中の高配向未延伸マルチフィラメントと延伸マ
ルチフィラメントとをバルーン張力15〔g〕に変更し
た他は実施例1と同様に合撚した。ΔLが0.5〔%〕
となり、延伸マルチフィラメントの外周部を高配向未延
伸マルチフィラメントが包み込む様な横断面になってお
らず、染色筒編地はイラツキの目立つ好ましくないもの
であった。
【0051】比較例3 実施例1中の高配向未延伸マルチフィラメントと延伸マ
ルチフィラメントとを実撚数50〔T/m〕(T×D
1/2 は421)に変更した他は実施例1と同様に合撚し
た。ΔLは1.0〔%〕であったが、延伸マルチフィラ
メントの外周部を高配向未延伸マルチフィラメントが包
み込む様な横断面になっておらず、高配向未延伸マルチ
フィラメントを構成するフィラメントがループ状に突出
し、解舒性の少ない、パーン状パッケージとなった。
【0052】比較例4 実施例1中の延伸マルチフィラメント2本を用意し、1
0〔%〕の供給率差を与え異供給合撚した。実撚数は8
00〔T/m〕(T×D1/2 は6882)であった。複
合糸にはネップ状の突出フィラメントが存在し、複合形
態もサイドバイサイド状で好ましくなかった。
【0053】実施例2 実施例1中で得た高配向未延伸マルチフィラメントを糸
速200m/min、弛緩率40〔%〕、非接触式ヒー
ター(実長50cm)、温度200℃で弛緩熱処理し
た。該弛緩熱処理マルチフィラメントのデニールは47
デニール、破断伸度は130〔%〕、一次降伏点応力は
23〔g〕、SHWは−2.0〔%〕であった。一方、
ポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを円形ノズ
ル孔から紡糸速度1450〔m/min〕で溶融紡糸
し、予熱温度78〔℃〕、延伸倍率2.8倍に延伸し、
熱セットすること無く巻取り、50デニール/10フィ
ラメントの延伸マルチフィラメントを得た。該延伸マル
チフィラメントの破断伸度は35〔%〕、10%伸長時
応力は3.3〔g/d〕、SHWは16〔%〕であっ
た。
【0054】前記弛緩熱処理マルチフィラメントと延伸
マルチフィラメントとを引揃え、実施例1と同様に合撚
した。その際、撚方向はS、実撚数は1000〔T/
m〕(T×D1/2 は9849)、バルーン張力は60
〔g〕であった。複合糸のΔLは2.0〔%〕で、延伸
マルチフィラメントの外周部を弛緩熱処理マルチフィラ
メントが包み込む様な横断面を有していた。該複合糸に
70〔℃〕、40分間の湿熱セットを施し、経緯に用い
て、経糸密度85〔本/インチ〕、緯糸密度82〔本/
インチ〕で平織し、染色加工を行った。染色加工時に1
5〔%〕のアルカリ減量処理を行った。染色加工時に異
収縮の効果が発現し、ソフト感、ふくらみ感、張り腰感
に優れた風合いと、イラツキの無い美しい外観品位を有
する好ましいものであった。
【0055】実施例3 実施例2中の弛緩熱処理マルチフィラメントと延伸マル
チフィラメントの両者について、カオリナイト微粒子を
2.0〔重量%〕含有するポリエチレンテレフタレート
に変更する他は実施例2と同様に、染色加工反を得た。
該染色加工反は実施例2の染色加工反に比較し、ドライ
感を向上させた好ましいものであった。
【0056】実施例4 実施例3中の延伸マルチフィラメントについて、C字型
ノズル孔から溶融紡糸した中空横断面フィラメントに変
更した他は実施例3と同様に染色加工反を得た。該染色
加工反は実施例3の染色加工反に比較し、張り腰感の向
上させた更に好ましいものであった。
【0057】
【発明の効果】本発明の熱可塑性合成繊維複合糸は、従
来の芯鞘構造複合糸とは異なり、熱可塑性合成繊維未延
伸マルチフィラメントAが構成延伸マルチフィラメント
を包み込む様に外周部に位置することにより、イラツキ
の無い美しい外観品位とソフト感、ふくらみ感、張り腰
感に優れた風合いを有する織編物を後工程通過性良く、
提供し得るものである。婦人物衣料、紳士物衣料の薄地
から厚地まで幅広く衣料用途に適用でき、生活資材用途
としても有用な新規なものである。また、本発明の製造
方法はかかる複合糸を再現性良く製造しうるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の芯鞘構造複合糸の断面形状の模式図
である。
【図2】 本発明の芯鞘構造複合糸の断面形状の模式図
である。
【図3】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント
Aと熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBとの応
力−ひずみ曲線をしめす模式図である。
【図4】 従来の熱可塑性合成繊維複合糸の断面形状の
模式図である。
【図5】 従来の他例の熱可塑性合成繊維複合糸の断面
形状の模式図である。
【符号の説明】
A 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント B 熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント a 鞘部を構成するフィラメント b 芯部を構成するフィラメント c 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAの応
力−ひずみ曲線 d 熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの応力
−ひずみ曲線 e 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメントAの一
次降伏点応力 f 熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメントBの10
%伸長時応力
フロントページの続き (72)発明者 高木 和美 福井県福井市浅水二日町513 (72)発明者 柳楽 重雄 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実撚を施す以前には実質的に糸長差を有
    しない熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント
    (A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント
    (B)とを少なくとも含んで構成された捲縮を有さず実
    撚を有する複合糸であって該複合糸中で該熱可塑性合成
    繊維未延伸マルチフィラメント(A)が他の構成マルチ
    フィラメントを包み込む様に外周部に位置し、下記式を
    満足することを特徴とする熱可塑性合成繊維複合糸。 DE(A)〔%〕−DE(B)〔%〕≧50.0〔%〕………(1) ΔL〔%〕≧1.0〔%〕…………………………………………(2) T×D1/2 ≧800…………………………………………………(3) 但し、DE(A)〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マル
    チフィラメント(A)の破断伸度、DE(B)〔%〕は
    熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント(B)の破断
    伸度、ΔL〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィ
    ラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメ
    ント(B)との糸長差、Tは実撚数〔T/m〕、Dは複
    合糸のデニールを示す。
  2. 【請求項2】 複合糸を構成する熱可塑性合成繊維未延
    伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マ
    ルチフィラメント(B)との一方または両方がポリエス
    テルマルチフィラメントである請求項1に記載の熱可塑
    性合成繊維複合糸。
  3. 【請求項3】 複合糸を構成する熱可塑性合成繊維未延
    伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マ
    ルチフィラメント(B)とが下記式(4)を満足する請
    求項1または2に記載の熱可塑性合成繊維複合糸。 SHW(A)〔%〕≦SHW(B)〔%〕………………………(4) 但し、SHW(A)〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マ
    ルチフィラメント(A)の沸水収縮率、SHW(B)
    〔%〕は熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント
    (B)の沸水収縮率を示す。
  4. 【請求項4】 複合糸を構成する熱可塑性合成繊維未延
    伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マ
    ルチフィラメント(B)とが下記式(5)〜(7)を満
    足する請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性合
    成繊維複合糸。 SHW(A)〔%〕≦7.0〔%〕………………………………(5) SHW(B)〔%〕≧7.0〔%〕………………………………(6) SHW(B)〔%〕−SHW(A)〔%〕≧4.0〔%〕……(7)
  5. 【請求項5】 複合糸を構成する熱可塑性合成繊維未延
    伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マ
    ルチフィラメント(B)との一方又は両方がカオリナイ
    トを含有するポリエステルマルチフィラメントである請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性合成繊維複
    合糸。
  6. 【請求項6】 複合糸を構成する熱可塑性合成繊維未延
    伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マ
    ルチフィラメント(B)との一方又は両方が中空横断面
    を有するフィラメントから構成されている請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の熱可塑性合成繊維複合糸。
  7. 【請求項7】 下記式(8)を満足する熱可塑性合成繊
    維未延伸マルチフィラメント(A)と熱可塑性合成繊維
    延伸マルチフィラメント(B)とを少なくとも含む二者
    以上の熱可塑性合成繊維マルチフィラメントを引揃え状
    態で熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメント(A)
    の一次降伏点応力以上の加工張力下で下記式(9)を満
    足する実撚を施すことを特徴とする熱可塑性合成繊維複
    合糸の製造方法。 DE(A)〔%〕−DE(B)〔%〕≧50.0〔%〕…………(8) T×D1/2 ≧800…………………………………………………(9) 但し、DE(A)〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マル
    チフィラメント(A)の破断伸度、DE(B)〔%〕は
    熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント(B)の破断
    伸度、Tは実撚〔T/m〕、Dは複合糸のデニールを示
    す。
  8. 【請求項8】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラメ
    ント(A)の一次降伏点応力が1.5〔g/d〕以下で
    ある請求項7に記載の熱可塑性合成繊維複合糸の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
    ト(B)の10%伸長時応力が2.0〔g/d〕以上で
    ある請求項7または8に記載の熱可塑性合成繊維複合糸
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
    メント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
    ト(B)との一方または両方がポリエステルマルチフィ
    ラメントである請求項7〜9のいずれか1項に記載の熱
    可塑性合成繊維複合糸の製造方法。
  11. 【請求項11】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
    メント(A)が紡糸速度2000〜4000m/min
    で引取った後連続してまたは別途、定長又は弛緩状態で
    熱処理されている請求項7〜10のいずれか1項に記載
    の熱可塑性合成繊維複合糸の製造方法。
  12. 【請求項12】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
    メント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
    ト(B)とが下記式(10)を満足する請求項7〜11の
    いずれか1項に記載の熱可塑性合成繊維複合糸の製造方
    法。 SHW(A)〔%〕≦SHW(B)〔%〕…………………………(10) 但し、SHW(A)〔%〕は熱可塑性合成繊維未延伸マ
    ルチフィラメント(A)の沸水収縮率、SHW(B)
    〔%〕は熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメント
    (B)の沸水収縮率を示す。
  13. 【請求項13】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
    メント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
    ト(B)とが下記式(11)〜(13)を満足する請求項7
    〜12のいずれか1項に記載の熱可塑性合成繊維複合糸
    の製造方法。 SHW(A)〔%〕≦7.0〔%〕……………………………(11) SHW(B)〔%〕≧7.0〔%〕……………………………(12) SHW(B)〔%〕−SHW(A)〔%〕≧4.0〔%〕…(13)
  14. 【請求項14】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
    メント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
    ト(B)との一方又は両方がカオリナイトを含有するポ
    リエステルマルチフィラメントである請求項7〜13の
    いずれか1項に記載の熱可塑性合成繊維複合糸の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 熱可塑性合成繊維未延伸マルチフィラ
    メント(A)と熱可塑性合成繊維延伸マルチフィラメン
    ト(B)との一方又は両方が中空横断面を有するフィラ
    メントから構成されている請求項7〜14のいずれか1
    項に記載の熱可塑性合成繊維複合糸の製造方法。
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