JP2551015B2 - 特殊嵩高糸の製造方法 - Google Patents

特殊嵩高糸の製造方法

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JP2551015B2 JP62198481A JP19848187A JP2551015B2 JP 2551015 B2 JP2551015 B2 JP 2551015B2 JP 62198481 A JP62198481 A JP 62198481A JP 19848187 A JP19848187 A JP 19848187A JP 2551015 B2 JP2551015 B2 JP 2551015B2
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    • D02GCRIMPING OR CURLING FIBRES, FILAMENTS, THREADS, OR YARNS; YARNS OR THREADS
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はポリマの融点差に起因するところの原糸の物
性差に加えて、異種ポリマ間の糸条群に単糸デニール差
を持たせ、同一紡糸口金より同時に紡糸混繊し、さらに
延伸工程において不均一熱処理を与えることにより収縮
率差を持たせ嵩高性に富み、多種多様な捲縮構造を有す
る糸条群からなる毛羽、タルミのない特殊嵩高糸を安定
に安価に製造し、布帛にしたときに独特の風合い、すな
わち張り、腰を有し、かつシャリ感と良好な嵩高性、お
よびしなやかなドレープ性、優雅な光沢を兼ね供えたポ
リエステル特殊嵩高糸の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 一般に、合成繊維は天然繊維に比べ合理的、近代的、
実用的等の長所を有するが、反面では審美性、郷愁感、
高尚感といった特性において劣る場合が多い。この原因
の1つとしては合成繊維のもつ均一性、規則性が逆効果
となり味のないものにしていることにある。天然繊維は
ミクロ的観点から見れば繊維内、間において各特性がラ
ンダムになってるがマクロ的観点から見れば各特性はほ
ぼ平均化されているといえる。この様に天然繊維の持つ
不規則性、例えば異繊度の混在、捲縮の分散、断面形状
の混在などが織編物にした場合に独特の風合い、すなわ
ち、張り、腰、適度な柔軟性、優雅な光沢などを付与す
るのに役立っている。
ポリエステル糸条に絹様の特性を与える手段としては
従来より鋭意検討されてきている。例えば断面形状を三
角形にする方法、布帛に減量加工を施す方法、捲縮糸や
収縮率差混織糸を用いる方法、更には単糸繊度を極細糸
にする方法等が実施されてきている。これらの方法によ
って絹への接近はある程度達成されているが、まだまだ
絹様の特性を十分に得るには至っていない。
例えばデニールミックス法としては特公昭45−38732
号公報、特公昭46−28969号公報でみられるように別々
に紡糸し、延伸時に合糸する方法、あるいは特公昭48−
34524号公報では2種の異なる単糸を同時に紡出し、こ
れを合糸し巻取る際に各単糸ごとに別個の条件で加熱又
は冷却し両者の複屈折率を実質的に等しくしたあと合糸
して巻取る方法等が開示されているがいずれも紡糸合糸
法および延伸合糸法である。また特公昭41−12051号公
報では異繊度を同時に紡糸し、更に細繊度繊維の最高延
伸倍率近くまで高倍率延伸する方法等が開示されいる
が、安定な操業性を得るためには問題がありいずれの場
合においても絹様の布帛を得るには不十分である。
一方、収縮率差混繊法としては、特公昭50−29048号
公報、特開昭52−140624号公報のように別々に紡糸し延
伸時に合糸する方法、および特公昭55−22586号公報で
みられるごとく別々に紡糸した糸条群に空気交絡ノズル
を使用してインターレースし、混繊交絡するのが一般的
となっている。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、このような方法においては、同一口金
より異種のポリマを同時紡糸する方法に比べ、次に述べ
る点に関して著しく不利である。すなわち、紡糸が別々
であること。紡糸引取り時の同時巻取りに関しては紡糸
錘が1/2以下に低下すること、別々に紡糸された未延伸
糸に関しては延伸工程において未延伸糸パッケージを合
糸仕掛けする作業が増加すること、更には延伸時に未延
伸糸の一方が解舒不良等により片糸切れし易いこと、混
繊が不十分で布帛にしたとき強度のイラツキといやらし
いカスリ斑が発生すること、更には空気交絡によるイン
ターレースを付与するには高性能ノズル、圧空の消費
量、交絡処理による糸条が受けられるダメージ等、コス
ト面、作業面、メンテナンス、品質の均一性面に関して
著しく不利な問題点をもっている。
一方、織編物用合成繊維糸条の嵩高加工法としては、
仮撚加工法、流体撹乱法、押込法、コンジュゲート糸、
収縮率差糸などが知られている。しかしながら合成繊維
の持つ均一性、規則性は殆んど変っていないため満足の
域に到達していないのが現状である。
従来の特殊嵩高糸については、例えば特公昭47−4754
9号公報、および特開昭51−11946号公報に示されている
ように、実質的に単一ポリマ、同一単糸デニールよりな
る合成繊維糸条に捲縮と熱収縮差により糸長差をもたら
した嵩高糸が提案されている。しかしながら天然繊維、
特に絹の持つ独特の風合いおよび光沢に関しては、更に
工夫を要することが明らかとなり鋭意検討した結果、本
発明に到達したものである。
すなわち、本発明の目的はポリエステル糸条およびそ
れから得られる布帛に天然繊維、特に絹の持つ良好な風
合いと光沢を発揮し得る独特の特殊嵩高糸の製造方法を
提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明はこれらの目的を達成するために次の如き構成
を有する。
つまり、融点差を有する2以上の糸条群からなる混繊
糸であって、低融点側ポリマには5モル%以上20モル%
以下の第3成分の共重合したポリエステルからなる糸条
群(A)と高融点側ポリマには主構成単位がポリエチレ
ンテレフタレートからなる糸条群(B)とで構成され、
両者の融点差を10〜50℃となし、(A)の糸条群の単糸
デニールを(B)の糸条群の単糸デニールより大きく
し、かつ口金中心側に配置した吐出孔から(A)の糸条
群を、主として口金外周側に配置した吐出孔から(B)
の糸条群を同一紡糸口金より同時に紡糸し、混繊し、延
伸した後、下記[I]式に示す温度範囲の加熱体上を、
糸条の張力を該糸条の熱収縮応力以下の張力となし、か
つ上記加熱体上で糸条を構成する単糸のうち、接触する
単糸と非接触の単糸とを生ずるように5〜15%のオーバ
ーフィード率で加熱体に供給するとともに、前記加熱体
の熱が前記混繊された糸条に均一に伝わらないような短
時間で接触走行させた後、実質的に伸長しない条件で別
の熱処理体に下記[II]式に示す温度範囲で接触走行さ
せて巻取ることを特徴とするものである。
T1−20℃>Tα>T2+90℃ ……[I] Tα−30℃<Tβ<Tα ……[II] 但し Tα:加熱体の温度(℃) Tβ:熱処理体の温度(℃) T1:低融点糸条群の融点(℃) T2:低融点糸条群の二次転移点(℃) 本発明をさらに具体的に説明する。
(A)、(B)両ポリマ間の融点差を10〜50℃に設定
したポリマを同一パック、同一口金から同時に紡糸する
方式の紡糸装置を使用し同時紡糸する。融点差が60℃以
上もあると低融点糸条群(A)は相対的に必要以上の高
温で紡糸しなければならず、しかも第3成分を5モル%
以上20モル%以下共重合した変性ポリエステルのため、
主構成単位がポリエチレンテレフタレートからなる高融
点糸条群(B)に比べ熱的特性において劣り、紡糸時に
熱劣化を受け易く糸切れが発生しやすくなる。これらの
弊害を防止するためには両者の融点差の上限は50℃以下
が必要である。一方、融点差が少なすぎると、例えば10
℃未満であると、製糸性に関しての問題点は解消され、
製糸成績の向上は期待できるが、反面原糸の品質、特に
収縮特性および嵩高性が著しく低下し従って融点差の下
限は10℃以上が必要である。
次に、本発明に用いる紡糸口金について図によって詳
細に説明する。
第1図は、本発明に使用する紡糸口金の一例を示す縦
断面図である。第2図は、第1図の紡糸口金の吐出孔側
からみた平面図である。第1図において上部口金1と下
部口金2の2枚の口金から構成され、上部口金1には低
融点ポリマ(A)の導入孔3、高融点ポリマ(B)の導
入孔4が設けられ、そして下部口金2には低融点ポリマ
(A)の導入溝5、高融点ポリマ(B)導入溝6、およ
びフィラメントを形成する各々のポリマの吐出孔7、8
が設けられている。(A)、(B)各ポリマは各々の導
入孔3、4、導入溝5、6により導入され、各々の吐出
孔7、8から同時に紡糸され、混繊された糸条が形成さ
れる。(A)ポリマの吐出孔横断面積は常に(B)ポリ
マの吐出孔の横断面積より大きく、かつ孔数は少なく、
単独孔当りの吐出量は、(B)ポリマの吐出量より多く
する。また(A)、(B)ポリマの総吐出量はギャーポ
ンプにより任意に変更できるように構成する。更に第2
図からも明らかの如く(A)の吐出孔群は口金中心周辺
部に集中させており、逆に(B)の吐出孔群は(A)の
吐出孔群を包み込む状態で口金外周側に配置する。この
ような孔配置を構成することにより、紡糸時での混繊を
理想的な状態にすることができる。
次に第3図を用いて延伸熱処理工程について説明す
る。
第3図は、本発明における延伸工程の一実施態様を示
す概略図である。紡糸工程において紡糸され、混繊され
た未延伸糸パッケージ9から解舒された糸条10は、供給
ローラ11、延伸ローラ12の間で延伸ピン13を通って延伸
され、ついでローラ16によって、該糸条の張力を熱収縮
応力以下となすように制御された状態で、振動付与装置
14により、積極的に振動を与えながら加熱体15に接触さ
せ不均一加熱する。ローラ16を出た糸条は、ローラ16と
等速のローラ18との間で熱処理体17に接触させ、チーズ
19に巻取る。
混繊されている糸条を加熱体15に接触させる際、前記
糸条の張力を熱収縮応力以下となす方法としては、周速
の異なるローラを使用して過剰供給する方法が最も安価
で、しかも一定のオーバーフィード率でのコントロール
が可能である。この時のオーバーフィード率は最終布帛
の風合い、光沢、および操業性から5〜15%の範囲でな
くてはならない。また上記のように、糸条を不均一に熱
処理する方法は、エアー等の流体で強制的に糸条を振動
させ加熱体15へ供給させる方法がよい。延伸工程におい
ては、紡糸時に既に理想的な混繊が完成されているの
で、延伸工程以降製編織仕上げ工程に至るまで特別な混
繊工程を必要としない。
本発明において最も問題となるのは、加熱体15の温度
である。
通常は、実質的に単一ポリマ、同一単糸デニールより
なる糸条群であれば、該糸条の有する性質も実質的に同
一とみなして特に問題はなく、該糸条の特徴を発揮させ
る温度も容易に決定することが可能である。
しかしながら、本発明の如く融点差を有し、単糸デニ
ール差の混在した混繊糸を加熱体15上に、熱収縮応力以
下の張力で接触走行させる不均一熱処理にあっては、少
なくとも2種類の性質の異なった糸条を同時に不均一熱
処理する必要があり、この為には低融点、高融点、太単
糸デニール、細単糸デニールの諸特性を十分認識し、こ
れらが混繊糸条の長所を最大限に生かしたものでなけれ
ば本発明の趣旨に沿わない。本発明者らは、融点と単糸
デニールの異なる糸条群からなる混繊糸を、不均一熱処
理するにあたって鋭意検討した結果、加熱体15の温度を
糸条群(A)の融点よりも20℃未満となし、かつ該糸条
群の二次転移点よりも90℃を越える温度範囲であれば有
効であることを見い出した。
一般にポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性合
成繊維は熱によってその性質が大きく左右されることは
知られている。
ところで、ポリエチレンテレフタレートなどに第3成
分を添加して共重合した変性ポリエステルは、通常の延
伸であればその強伸度特性においては、ポリエチレンテ
レフタレートの単独重合体糸と特に有意差は認められな
いが、これを本発明の嵩高性を得んがために熱処理加工
する場合には物性値に大きな差が生じてくる。
ここで、熱処理加工に関して実験した結果を説明す
る。
第1表に混繊された糸条を糸条群(A)、(B)にそ
れぞれ分離したもの、および両者のデニールを1:1に紡
糸し、混繊した糸条の加熱体の温度Tαに対する操業性
と糸条の物性変化の実験結果を示す。
第2表の各水準において、No.1は第3図に示した加熱
体の温度Tαを255℃とし、No.2については240℃、以下
順次同様の方法で実験を行った。
熱処理体の温度Tβについては、加熱体の温度Tαよ
り各水準とも15℃低い温度を採用した。水準No.11は加
熱体、熱処理体を使用しない通常の延伸糸である。
その他の条件、例えば加工速度、フィード率、振動付
与等はすべて同一として得られたものである。
物性値としては、S−Sカーブにおいて糸条を構成す
る単糸のうち、最初の単糸1本が切れる時点の伸度と強
度で表わした。この時に使用したポリマ(A)の融点T1
は240℃、二次転移点温度T2は80℃、ポリマ(B)のそ
れは各々260℃、80℃である。
第1表において操業性とは加熱体上での糸条の走行性
振動状態、および巻き上げパーンの毛羽、タルミ、糸切
れ等の製糸性を主体とした総合判定でランク分けした。
この結果糸条群(A)の単独の加工では、加熱体の温度
が210℃〜180℃の間最適条件のあることが判る。同様に
糸条群(B)の単独では230℃〜190℃の間が最適条件範
囲であり糸条群(A)の単独より操業性の面からみた条
件範囲が広いことを示している。両者を紡糸工程で混繊
した(A)、(B)の混繊糸では210℃〜190℃と最適条
件範囲が各単独糸条群の場合より狭くなってくる。混繊
糸条の場合に最適条件範囲が狭くなる要因としては
(A)、(B)の糸条群を同時に不均一熱処理に供する
ため、両者の物性値の相違により操業性、糸質に大きく
影響を与えるからでる。
一方、糸条の不均一熱処理に際しては、糸条を構成す
る単糸の何本かを加熱体に接触させ、残りの何本かは非
接触か、あるいは非接触に近い状態で通過させることに
あるが、この時に加熱体に接触した単糸は、熱の影響を
まともに受ける。これが前記糸条の融点に近い高温領域
であるならば、糸条の内部構造は熱により変化、あるい
は実用的な強さの観点から見れば熱劣化を受け強伸度が
低下することになる。この熱による影響がどの程度かを
実用的な面から判定する代用値として、前記した如くS
−Sカーブにおいて糸条を構成する単糸のうち、最初の
単糸1本が切れる時点の強度と伸度で表わした。熱によ
り強伸度劣化を生じた糸条、つまり加熱体に接触した直
後の糸条の実用上の許容限界としては、高次加工工程で
予想される付加張力を加味すると、強度1.5g/d以上、伸
度10%以上あることが好ましい。またこの場合には、特
に伸度の大小が非常に大切な値となる。これらの理由と
しては追撚、整経、製織時および緯編、経編時には当然
のことながら、糸条に何らかの張力が加わるが、伸度が
10%未満、例えば5〜6%程度であると、この張力を吸
収しきれずに単糸切れを生ずることになり、毛羽発生等
製品の品位低下をきたし、ひいては糸切れとなり作業能
率を著しく低下させることになる。従って高次加工性も
考慮した場合の糸条を構成する単糸の伸度は、好ましく
は10%以上、更に好ましくは20%以上が望ましい。
最終製品の好ましい風合いと光沢は加熱体の温度によ
って大きく影響を受ける。加熱体の温度で例えば230℃
前後で不均一熱処理した糸条の布帛は、きめ細かな捲縮
発現、柔軟なドレープ性、しっとりとした光沢を呈する
が、反面では単糸が熱劣化されているために、高次加工
工程において単糸切れの発生し易い欠点も同時に持ち合
せている。一方、糸条のタフネスを増した条件、すなわ
ち加熱体の温度を低温領域、例えば160℃前後で熱処理
した糸条では、捲縮が粗硬となり、しなやかさに劣り、
光沢もきつくなり本発明の主旨に沿わなくなってくる。
本発明においては、これらをすべて勘案し、総合的に
みると、加熱体の温度Tαの適正な温度は、糸条群
(A)の融点より20℃低く、かつ該糸条群の二次転移点
温度より90℃を越える温度範囲であれば有効であること
がわかった。以上は、実質的に不均一熱処理を与え収縮
率差、微細で多種多様な捲縮形態、ひいては嵩高で良好
な風合いを決定づける重要な因子の1つである、加熱体
の温度について説明してきた。
次に、加熱体の不均一熱処理により発生したタルミを
消去する。別の熱処理体について説明する。
第2表に、加熱体の温度Tαを一定にし、第1表にお
ける水準No.6について熱処理体の温度Tβを種々に変更
して得た糸条の特性値を示した。この使用した糸条のう
ち(A)の糸条群が25デニール−12フィラメントの三角
断面糸で、(B)の糸条群が25デニール−24フィラメン
トの三角断面糸で、両者を同一紡糸口金より同時紡糸し
た50デニール−36フィラメントの三角断面糸の混繊糸で
ある。
第2表、水準No.12に示すように、加熱体の温度Tα
と熱処理体の温度Tβの温度差が30℃以上あると、パー
ン表面のタルミが消去できず、次工程以降での糸切れを
誘発する要因となる。逆に、水準No.18のように、熱処
理体の温度Tβを加熱体の温度Tαより高くすると、K
の値が2.0を切り、本発明の目的とする嵩高糸は得られ
なくなる。
従って、熱処理体の温度Tβの領域はTα−30℃<T
β<Tαが適当範囲である。
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、ま
たはその低級アルキル誘導体とエチレングリコールとか
ら、あるいはテレフタル酸、またはその低級アルキル誘
導体とエチレングリコール、および少なくとも一種の他
の成分とから、またはビス−2−ヒドロキシエチレンテ
レフタレートまたはその低重合体から、あるいはビス−
2−ヒドロキシエチレンテレフタレートおよび少なくと
も一種の他の成分とから得られる主構成単位がポリエチ
レンテレフタレートである。また例えば酸化チタンの如
き少量の艶消し剤、あるいは表面摩擦効果を改善するた
めに艶消し効果を有しない、例えばカオリナイトの如き
微粒子、その他目的に応じてリン化合物、ホウ素化合物
などを、本発明の効果を阻害しない範囲で添加してもよ
い。
なお、本発明の低融点糸条群(A)を構成する共重合
ポリエステルでは、加えられる第三成分としては、シュ
ウ酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、イソフタ
ル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シク
ロブタンジカルボン酸などの脂環をもつジカルボン酸、
その他炭素、水素、および酸素以外の元素を含むジカル
ボン酸でもよい。あるいは炭素数2〜10のグリコールエ
ステル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
などの成分でもよいが、いずれもこれらに限定されるも
のではない。この場合絹様の光沢、嵩高性、ドレープ性
などの本発明の効果を発揮させるためには、前記第三成
分の共重合量は5モル%以上とする必要がある。なお該
第三成分の共重合量が20モル%を越えると、本発明の他
の条件の考慮をはらっても同時に延伸することは困難
で、延伸性の不良、すなわち融着に似た密着傾向が強く
なるので、前記第三成分の共重合量は20モル%以下でな
くてはならない。
一方、高融点の糸条群(B)を構成するポリエステル
は、前記した主構成単位がポリエチレンテレフタレート
である通常のポリエステルである。しかし本発明の目的
が達せられる範囲で、2モル%未満であれば第三成分を
含有してもさしつかえない。
[実施例] 以下、実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明
における各種特性値の測定方法を示すと次のとおりであ
る。
<収縮率測定方法> 混繊糸を低融点の糸条群(A)と高融点の糸条群
(B)とに分離し、一定試料長5mmの試料を切り取り、
無荷重でまっすぐにした状態で原試料長の長さをマーク
し、その後試料の表示デニール×1/9(g)の荷重下で1
60℃15分間の乾熱処理を行ない、その状態で熱処理によ
る長さの減少分を計り収縮率を測定する。試料長5cmに
ついて1サンプルより連続10回の収縮率を測定し、算術
平均値から求める。表示値は原試料長に対する熱処理に
よる長さの減少の百分率をいう。
<嵩高度の測定方法> 第4図の嵩高度(M)を測定する装置を用いて測定し
た。
すなわち、試料台20の上面に2本の切り込み25を設
け、その間隔Tを6mmとし、この切り込み25に幅2.5cmの
柔軟な薄布テープ21を掛け渡し、その下端に指針付き金
具22および荷重23を結合する。指針付き金具22の指針
は、試料を装填しない場合に目盛24の0位を示すように
セットする。
試料80mの糸条を周長1mの検尺機で綛にしたものを、
表示繊度に応じ2〜10綛用意し、この綛を別々に200±
2℃の雰囲気中に5分間無荷重の状態で吊して熱処理を
行ない、熱処理後の綛を、表示繊度が48000デニールに
なるように(例えば30デニールの糸条ならば30×80×2
=4800、48000÷4800=10で10綛)平行に揃える。
次いで、この引き揃えた綛を第5図(イ)に示すよう
に4つ折りにして試料26を形成し、これを第5図(ロ)
の正面図および(ハ)断面図に示すように、薄布テープ
21と試料台20との間に装填する。荷重23は、指針付き金
具22と合計して50gになるようにし、指針の示す値L(c
m)を読みとる。試料26は、位置を移動させて合計3回
測定し、平均値(cm)を求める。嵩高度(M)は、次
式より算出する。
V=(2/π)×2.5 ここで、Dは熱処理前の試料糸のデニール、Pはテー
プ中に平行に入っている糸本数である。SDは乾熱収縮率
の値である。
<S−Sカーブの測定方法> テンシロン型引張試験機で試料長20cm、引張速度20cm
/min、チャート速度30cm/minで測定し糸条中のうち最初
の単糸が切れた際の強度、伸度は次式より求める。
実施例1 常法により重合したポリエチレンテレフタレートチッ
プ(o−クロロフェノール中の25℃で測定した極限粘度
は0.66であり、融点顕微鏡で測定した融点は260℃であ
った)と、これとは別に酸成分として10モル%のイソフ
タル酸を共重合した共重合ポリエステルチップ(同様に
測定した極限粘度は0.68、融点は240℃、二次転移点は8
0℃であった)とを用意し、複合紡糸機を用いて別々に
溶融し、ギヤーポンプで計量した両ポリマの吐出量を1:
1となし、紡糸温度290℃、引取速度、1500m/minで紡糸
し、混繊した未延伸糸を得た。使用した紡糸口金は第1
図に示した構成よりなり、第2図に示した孔配列を有
し、(A)糸条群は12孔、(B)糸条群は24孔で吐出量
は各々11g/minであった。口金吐出孔形状はY型スリッ
トを有し、(A)糸条群の吐出孔の孔面積は0.086mm2
(B)糸条群の吐出孔の孔面積は0.065mm2であった。断
面形状は三角形状を呈していた。この36フィラメントの
混繊された未延伸糸を、第3図に示した装置により3.0
倍に延伸し、50デニール−36フィラメントとし、次いで
ローラ12、16間で10%オーバーフィードし、エヤーノズ
ル14により0.40Kg/cm2の圧空圧で糸条を強制振動させつ
つ、200℃の加熱体15に供給し、次いでローラ16と等速
のローラ18の間で185℃に加熱した熱処理体17に接触さ
せタルミを消去後巻取った(サンプル1)。なお、加熱
体としては35mmφの梨地表面を有するピンを、熱処理体
としては100mm長の熱板を用いた。
また比較のため、加熱体のピン温度225℃、熱処理体
の熱板温度210℃(サンプル2)および加熱体のピン温
度160℃、熱処理体の熱板温度145℃(サンプル3)で熱
処理加工した以外は、サンプル1と同じ条件で得たサン
プルについて、糸条の各特性を測定した結果、第3表に
示す通りであった。
サンプル1は糸条の嵩高度が大きく、操業性、高次加
工性も良好で最終製品の風合い、光沢とも絹に近似した
ものが得られた。
サンプル2は融点に近い高温領域での熱処理のため
に、糸条のタフネス不足となり、操業性、高次加工性と
も毛羽発生等のトラブルが生じ効率低下をきたした。最
終製品は柔軟なドレープ性を有したが、総合判定ではや
や不良であった。
サンプル3は熱処理温度を下げたものであるが、糸条
のタフネスが増す反面、捲縮は粗硬となり、製造工程に
おいてはタルミが多発した。最終製品の風合いもサンプ
ル1、2より合繊ライクとなった。総合判定ではやはり
やや不良であった。
比較実施例 ポリエチレンテレフタレートの融点260℃のポリマ
(サンプル4)に対して、これとは別に酸成分としてイ
ソフタル酸20モル%よりなる共重合体の融点207℃のポ
リマ(サンプル5)を用いて、通常の紡糸機、通常の口
金で紡糸し36フィラメントの三角断面の未延伸糸を得
た。この未延伸糸を前記実施例と同様装置、同様方法で
延伸して50デニール36フィラメントとなし、これをサン
プル1と同様の条件で不均一熱処理した糸条の各特性値
を測定した結果は第4表に示すとおりであった。サンプ
ル4については、嵩高度が13.8cc/gと小さく最終製品の
風合いでもサンプル1に比べボリューム感に乏しく、し
なやかなドレープ性が不足し、やや荒い感じの表面タッ
チであった。
またサンプル5については、製造工程、高次加工工程
とも糸切れが多発し、製品風合いについても毛羽が多く
不良であった。
[発明の効果] 本発明では、広く一般衣料分野に用いることが可能で
あり、布帛とした時にソフトなふくらみ感、柔軟なドレ
ープ性、しっとりとした光沢を発揮し得る、従来糸では
得られなかった独特の特殊嵩高度を容易に安定して得る
ことができるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に使用する紡糸口金の一例を示す縦断面
図である。第2図は、第1図の紡糸口金の吐出孔側から
みた平面図である。第3図は本発明における延伸工程の
一実施態様を示す概略図である。第4図は嵩高度を測定
する装置の斜視図、第5図は嵩高度の測定方法を説明す
るための見取図である。 1:上部口金 2:下部口金 3:導入孔((A)ポリマ) 4:導入孔((B)ポリマ) 5:導入溝((A)ポリマ) 6:導入溝((B)ポリマ) 7:吐出孔((A)ポリマ) 8:吐出孔((B)ポリマ) 9:未延伸糸パッケージ 10:未延伸糸 11:供給ローラ 12:延伸ローラ 13:延伸ピン 14:振動装置 15:加熱体 16,18:ローラ 17:熱処理体 19:チーズ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−140624(JP,A) 特開 昭59−204938(JP,A) 特開 昭51−11946(JP,A) 特開 昭59−76916(JP,A) 特開 昭62−15320(JP,A) 特公 昭50−29048(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点差を有する2以上の糸条群からなる混
    繊糸であって、低融点側ポリマには5モル%以上20モル
    %以下の第3成分を共重合したポリエステルからなる糸
    条群(A)と高融点側ポリマには主構成単位がポリエチ
    レンテレフタレートからなる糸条群(B)とで構成さ
    れ、両者の融点差を10〜50℃となし、 (A)の糸条群の単糸デニールを(B)の糸条群の単糸
    デニールより大きくし、かつ口金中心側に配置した吐出
    孔から(A)の糸条群を、主として口金外周側に配置し
    た吐出孔から(B)の糸条群を同一紡糸口金より同時に
    紡糸し、混繊し、延伸した後、下記[I]式に示す温度
    範囲の加熱体上を、糸条の張力を該糸条の熱収縮応力以
    下の張力となし、かつ上記加熱体上で糸条を構成する単
    糸のうち、接触する単糸と非接触の単糸とを生ずるよう
    に5〜15%のオーバーフィード率で加熱体に供給すると
    ともに、前記加熱体の熱が前記混繊された糸条に均一に
    伝わらないような短時間で接触走行させた後、実質的に
    伸長しない条件で別の熱処理体に下記[II]式に示す温
    度範囲で接触走行させて巻取ることを特徴とする特殊嵩
    高糸の製造方法。 T1−20℃>Tα>T2+90℃ ……[1] Tα−30℃<Tβ<Tα ……[II] 但し Tα:加熱体の温度(℃) Tβ:熱処理体の温度(℃) T1:低融点糸条群の融点(℃) T2:低融点糸条群の二次転移点
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