JP2769539B2 - 植物細胞ゲノムへの発現可能な遺伝子の導入法 - Google Patents

植物細胞ゲノムへの発現可能な遺伝子の導入法

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マックス・プランク・ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エ−・ファウ
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8201Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation
    • C12N15/8202Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation by biological means, e.g. cell mediated or natural vector
    • C12N15/8205Agrobacterium mediated transformation

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は組換え分子、その調製法、植物細胞へのその
導入法、およびゲノム中に外来DNA配列を含んでいる植
物細胞またはその植物に関する。更に詳しくは、本発明
は適当な宿主植物細胞中で発現されるDNA配列に関す
る。本発明に係る組換えDNA分子は、植物の成長、栄養
物としてのその品質の改良、または有用な代謝物(例え
ばアルカロイドあるいはステロイドの前駆体)の生産、
に有用なアミノ酸やポリペプチドの如き生産物を暗号化
している配列を有することをその特徴としている。 以下に本明細書で使用する用語について説明する。 bomサイト 特異的にmob機能体が相互作用して自律的DN
A転移移動を開始させるDNA領域 境界配列 T−DNAの末端を含むDNA配列 広範囲宿主レプリコン 多種多様の宿主細胞に転移(ト
ランスファー)され、保持され得るDNA分子 カルス組織 未組織、未分化の細胞の塊 クローニング 無性生殖により、1個の生物またはDNA
配列から一群の該生物またはDNA配列を得る操作過程、
または、よりわかり易く言えば、特定の生物またはその
一部を分離し、そのサブフラクションを均質な集団とし
て増殖させる操作過程 クローニング媒体 宿主細胞中で複製し得るプラスミ
ド、フアージDNAまたはその他のDNA配列であって、その
DNA配列は、例えば複製、外殻蛋白質の生産など、そのD
NAの必須の生物学的機能、あるいはプロモーターまたは
結合部位を付随的に失なうことなく、その場所で正確に
その配列を切断することのできる1個または少数のエン
ドヌクレアーゼ認識部位を持っており、また、それが導
入された細胞(形質転換された細胞)を同定確認するの
に有用なマーカー(例えばテトラサイクリン耐性あるい
はアンピシリン耐性)を持っていることで特徴づけられ
る。クローニング媒体は、しばしばベクターとも呼ばれ
る。 暗号配列 ポリペプチドのアミノ酸配列を決定するDNA
配列 相互組込み体(コインテグレート) 2個の環状DNA分
子間の単一交叉により得られる構造体 トランス相補性 他のレプリコンに物理的に結合してい
ないDNA分子(レプリコン)が、その結合していない他
のレプリコンにとって必要かつ欠落している拡散性物質
を供給することができる過程 接合(コンジュゲーション) 細胞同志の接触により、
1つのタイプの細菌から他のタイプの細菌にDNAが転移
すること 乗換え 相同なDNA配列間で遺伝物質が交換すること 欠損置換 1個のDNA配列が除去され、その代りとして
異なったDNA配列で置換されること 分化 ある細胞の子孫が特殊な構造と機能を獲得し、更
にそれを維持すること DNA配列またはDNAセグメント 隣接するペントースの
3′位と5′位の炭素間の燐酸ジエステル結合により互
いに連結したヌクレオチド群の一直線の配列 二重乗換 相互組込み(コインテグレート)構造が2個
の環状DNA分子に分解する過程。この過程は遺伝情報を
交換するのに利用される。このDNA環状体の一方は、そ
れによって組換えが生じ得る標的DNAと相同な2つの領
域を持っており、この2つの領域は、標的DNAと交換さ
れる非相同DNA配列をはさんでいる。もし1回目の交叉
と2回目の交叉が同じDNA領域で起ると、もとのDNA環状
体が生成する。この2回目の交叉が第2の相同領域で起
ると、2つの環状体の間で遺伝子の交換が起ることにな
る。 発現 構造遺伝子によりポリペプチドが生産される過
程。これは転写と翻訳の組合せである。 発現調節(コントロール)配列 構造遺伝子に有効に結
合された場合、それらの構造遺伝子の発現を調節し、統
制するヌクレオチド配列 F型プラスミド F因子(Fはfertility(生殖力))
を持ったプラスミドであって、F因子を持たない宿主に
該プラスミドのコピーを移入することのできるプラスミ
ド 遺伝子 2つの部分、即ち(1)遺伝子生産物のための
暗号配列および(2)その遺伝子が発現されるかどうか
を調節しているプロモーター領域内の配列、から構成さ
れているDNA配列 ゲノム 細胞またはウイルスの全DNA。これは、まずポ
リペプチドを暗号化している構造遺伝子、更にオペレー
ター、プロモーター、リボゾームの結合配列および相互
作用配列(たとえばShine−Dalgarno配列)を含んでい
る。 遺伝子型 ある生物に含まれている遺伝情報の全て 相同的(性)組換え 相同配列を含んでいるDNA上の2
つ領域間の組換え I型プラスミド Fとは異なる不和合性グループの一群
の自律転移性プラスミド 不和合性 選択圧(selective pressure)がないと、同
一の細胞に2個のDNAが共存し得ないこと 挿入 あるDNA配列を、別の分子のDNA配列内に付加する
こと リーダー配列 5′末端から最初の構造遺伝子の先端に
至るまでのmRNA上の領域。これには構造遺伝子の暗号配
列の翻訳を開始するのに重要な部位が含まれている。 減数分裂 はじめの4n個の染色体が、2回の連続した分
裂により生成した4個の細胞のそれぞれに1n個ずつ分布
するようになる過程。この過程は有性生殖に於いて重要
である。 mob(授動機能体) tra機能体との組合せに於いてのみ
DNAの転移を促す一連の生成物。mobはbomサイトを含ん
でいるプラスミドの移動を促すことができる。 授動(モビリゼーション) 別の細胞へ転移することの
できないDNA分子が、他のDNA分子の助けを借りて転移す
る過程 授動ヘルパープラスミド 他のプラスミドが持っていな
い、別の宿主細胞へ転移するための拡散性生成物を供給
することができるプラスミド 非接合性組換えプラスミド 細胞同志の接触により、そ
れ自体では、もとの宿主細胞から他の宿主細胞へ転移す
ることができないDNA分子。転移するには、他のDNA、例
えばヘルパープラスミドによって供給される機能体が必
要となる。 ヌクレオチド 糖部分(ペントース)、燐酸エステルお
よび含窒素異項環塩基から構成されているDNAまたはRNA
の単量体単位。この塩基は糖部分とグリコシド結合で連
結しており(ペントースの1′位の炭素)、この塩基と
糖とが結合したものがヌクレオチドである。ヌクレオチ
ドの特性はこの塩基によって決まる。DNAの4個の塩基
はアデニン(“A")、グアニン(“G")、シトシン
(“C")およびチミン(“T")である。RNAの4個の塩
基はA、G、Cおよびウラシル(“U")である。 表現形質 発育環境と遺伝子形質との相互関係によって
生成する個体の観察し得る特性 プラスミド それ自体が宿主細胞中で複製される、完全
な(無傷の)レプリコンからなる非染色体性の2本鎖DN
A配列。このプラスミドを単細胞生物に入れると、その
プラスミドのDNAによって、その生物の性質が変わる、
即ち形質転換される。例えば、テトラサイクリン耐性
(TcR)のための遺伝子を持ったプラスミドにより、本
来はテトラサイクリンに感受性のある細胞が耐性のある
細胞に形質転換される。プラスミドによって形質転換さ
れた細胞を形質転換体と呼ぶ。 ポリペプチド 隣接するアミノ酸どうしがα−アミノ基
とカルボキシル基とのペプチド結合により互いに連結し
た線状のアミノ酸連鎖 プロモーター領域 遺伝子の転写を統制している、暗号
配列の開始点より上流のDNA配列 プロモーター配列 RNAポリメラーゼが結合する配列で
あり、ポリメラーゼはそれより下流の配列の忠実な転写
を促進する。 組換えDNA分子または雑種(ハイブリッド)DNA 少なく
とも2個のヌクレオチド配列からなり、その一方の配列
は、自然界では通常第2の配列と共存しない、その様な
配列からなる雑種のDNA配列 組換え DNA分子またはDNA分子の一部分の新しい結合体
を創製すること 相同領域 DNAの別の領域に於ける配列と同じDNA配列を
持っているDNA領域 レプリコン DNAの複製開始サイトおよび複製を支配す
るのに必要な機能を指定している遺伝子を持った自己複
製遺伝子単位 制限フラグメント 特定の標的DNA配列を認識する酵素
による2本鎖開裂によって生じるDNA分子 RNAポリメラーゼ DNAのRNAへの転写をつかさどる酵素 選択可能なマーカー遺伝子 あるDNA配列であって、そ
れがある細胞内で発現された時、そのDNA配列を含んで
いない細胞より増殖しやすい有利性をその細胞に与える
DNA配列。細胞を適当な選択的増殖培地に置くと、この
2つのタイプの細胞を区別することができる。通常使用
される選択可能なマーカー遺伝子は抗生物質耐性を暗号
化している遺伝子である。 単一乗換 2個の環状DNA分子を組換えて、相互組込み
された大きい環状体を形成させる操作過程 構造遺伝子 ポリペプチドを暗号化している遺伝子 T−DNA 植物細胞ゲノムに安定に組込まれることが見
い出されているTiプラスミドの部分 T−領域 植物細胞ゲノムへ転移するDNA配列を含んで
いるTiプラスミドの部分 Tiプラスミド 感受性植物に腫瘍(クラウンガル)を誘
発させるための遺伝情報を含んでいるAgrobacterium tu
mefaciens株に存在する大きいプラスミド TL−DNAおよびTR−DNA オクトピンクラウンガル腫瘍細
胞は2つのT−DNA配列、即ち左T−DNA(TL−DNA)お
よび右T−DNA(TR−DNA)を含有し得る。TL−DNAはノ
パリン腫瘍細胞のT−DNAと共通している配列を持って
いるがTR−DNAは持っていない。 tra(転移機能(体)) プラスミドに暗号化されてい
る拡散性の生成物、および細胞間のDNA転移の際に利用
される作用部位の両者を指す。例えば2つの細胞の間に
橋を作るのに必要な生成物およびDNA転移が開始する部
位。 転写 構造遺伝子からmRNAが生産される過程、または、
塩基対(ベースペア)の形成により、DNAに含まれてい
る遺伝情報に基きそれに相補的な塩基配列をもつRNA鎖
が形成される過程 形質転換 細胞のDNA補体(complement)に外来性DNAが
導入されることによって生じる遺伝的修飾 翻訳 mRNAからポリペプチドが生産される過程、あるい
は、mRNA分子に存在する遺伝情報が、ポリペプチド合成
において特定のアミノ酸の順序を指定する過程 非分化表現形質 いかなる特異な部分もなく、組織中の
細胞の外観が均一であること ベクター 異なった宿主細胞間を転移するように設計さ
れたDNA分子 組換えDNA技術の進歩によって、微生物の遺伝子工学
に新たな展望が開けた。もし1個の体細胞から、完全な
生物を再生することができたら、これらの技術は多細胞
真核生物にまで広がるであろう。ある種の高等植物の細
胞は、優れた再生能力を有し、従って高等生物の遺伝子
工学にとってかっこうの材料となる。 植物の遺伝子工学の主たる問題点は、外来性DNAを植
物ゲノムに導入する為の系の利用性にある。この様な系
には、グラム陰性土壌細菌のAgrobacterium tumefacien
sが持っている腫瘍誘起(Ti)プラスミドがある。この
微生物は、広範囲の双子葉植物の損傷組織に、クラウン
ガル(crowngall、冠状コブ)と呼ばれる腫瘍性形質転
換を引き起す原因となることがわかっている。この増殖
性の腫瘍は、オパイン(opines)と呼ばれるTiに特異な
新しい代謝物を合成する。この形質転換は、分子レベル
でみると、Tiプラスミドの実体のはっきりわかっている
T−DNA(転移DNA)フラグメントが植物細胞ゲノムに転
移して安定に組込まれたことによって起る。換言すれ
ば、クラウンガル腫瘍は、その染色体DNAに、腫瘍セル
ラインをもたらしたTiプラスミド中のDNA配列と相同の
T−DNAと呼ばれるDNAセグメントを含んでいる。あらゆ
る場合に於いて、このT−DNAは、連続した一連のTiプ
ラスミドDNAに相当しており、また、これと共直線性で
ある。従ってこれはT−領域と呼ばれる。 Tiプラスミドはクラウンガル細胞で合成されたオパイ
ンのタイプによって分類される。クラウンガル細胞でノ
パリン[N−α−(1,3−ジカルボキシプロピル)−L
−アルギニン]の合成を惹起させるAgrobacterium株は
ノパリン株と呼ばれ、オクトピン[N−α−(N−1−
カルボキシエチル)−L−アルギニン]を合成するもの
はオクトピン株と呼ばれる。これらが最も普通に用いら
れるAgrobacterium株である。 植物の遺伝手術にT−DNAをベクターとして使用する
試みがモデル実験で行なわれた。この実験では、インビ
ボにおいて、Agrobacterium T37株のTiプラスミドから
のT−DNAの右側境界部の近くに14kb細菌性トランスポ
ソン(transposon)Tn7が挿入された。すると、このTi
プラスミドを持っているアグロバクテリアによって惹起
される腫瘍中のノパリン合成が消滅した。更に、サウザ
ン・ブロッテイング・ハイブリディゼーションの結果、
その様な挿入を行なわなければ正常であるT−DNA配列
の一部分として、この種様の染色体DNA中に全Tn7が存在
することがわかった(Hernalsteensら、Nature287(198
0),654−656;Holstersら、Mol.Gen.Genet.185(198
2),283−289)。この様に、23kbT−DNAに14kbDNAフラ
グメントを導入しても、23kbT−DNAの植物細胞ゲノムへ
の転移能力に変化は見られなかった。 ノパリン株、AgrobacteriumT37のTiプラスミドのT−
DNAの境界部は非常に正確に調べられている。これは全
ノパリンTiプラスミドの極く一部、約23kbに過ぎない。
更に、このT−DNAの境界部は知られている:即ち、こ
のT−DNAの境界部を決めているヌクレオチド配列が調
べられ、ノパリンTiプラスミドの同じ領域と比較された
(Zambryskiら、Science209(1980),1385−1391;Zambr
yskiら、J.Mol.Appl.Genet.1(1982),361−370)。こ
のT−領域の境界部が、T−DNAの植物細胞ゲノムへの
組込みに最も関係している様である。 DNAを植物細胞へ転移させる為のベクターとしてTiプ
ラスミドを使用するには、転移したDNAの境界部を決め
ているT−DNA配列を知ることが基本的に必要である。
そうすれば、外来性DNAをこの境界内に挿入し、確実に
植物細胞ゲノムへ転移させることができる。更に、この
系を利用しようとすれば、形質転換された植物細胞が、
その生育特性において腫瘍の性質を持たず、正常である
ということが重要である。T−DNA転移の後、正常細胞
を生産するには、T−DNA自体によって暗号化されてい
る機能を知る必要がある。従って、どの領域が腫瘍表現
形質に関係しているか調べるために、TiプラスミドのT
−領域の撤底的な遺伝子分析が行なわれた。 T−DNAは、クラウンガル表現形質の原因となる機能
体を暗号化している。その遺伝子は、T−DNAの特定の
領域に局在化している(Leemansら、EMBO J.1(1982),
147−152;Willmitzerら、EMBO J.1(1982),139−14
6)。一般に、腫瘍カルス組織の非分化表現形質を支配
している少なくとも4つの遺伝子が存在している。これ
らの遺伝子の突然変異体(ミュータント)は、新芽様の
あるいは根の様な外観の形質転換組織を形成させること
ができる。この後者の成果は、腫瘍組織ではなく正常植
物組織中で発現させる為にDNAを植物に転移したいと思
う場合には特に重要である。 最近、完全な正常植物に再生することができる形質転
換新芽を誘導するTiプラスミド変異体がみつかった。こ
れらの植物は繁殖力が旺盛であり、減数分裂によってT
−DNA特異配列を伝達することさえした:即ち、子孫の
植物もT−DNA特異配列を含んでいた(Ottenら、Mol.Ge
n.Genet.183(1981),209−213)。しかし、この形質転
換植物組織は、その染色体DNA中に、腫瘍表現形質を支
配しているT−DNA領域が除去される大がかりな欠損
(欠失)が発生したことにより、著しく小さくなったT
−DNAを含んでいた。この欠損が当初の形質転換時に起
ったのか、新芽の形成をもたらすその後の過程で起った
のかは不明である。 Tiプラスミドは大きく(200kb)、そのTiプラスミド
の種々の場所に存在している多くの遺伝子が植物の形質
転換に関係している。従って、T−領域内の適切な場所
に特殊なエンドヌクレアーゼ認識サイトを有し、T−DN
Aを植物細胞ゲノムに転移させて安定に挿入するのに必
要な全ての機能を持ったTiプラスミド由来の小型のクロ
ーニングベクターを組み立てることは不可能である。 所望のDNAフラグメントをTiプラスミドのT−領域の
特定の制限酵素開裂サイトに導入する為の既知の方法の
1つは、Escherichia coli(大腸菌)におけると同様、
Agrobacteriumにおいても複製することができ、T−DNA
の所望の制限フラグメントを含んでいるクローニングプ
ラスミドを組み立てることである。この様なクローニン
グベクターは「中間ベクター」と命名された。この様な
中間ベクターは、T−領域によって暗号化されている機
能を分析するのに使用された(Leemansら、J.Mol.Appl
n.Genet.1(1981),149−164)。 本発明は、発現し得る遺伝子を植物細胞ゲノムへ導入
する方法に関するものである。本発明の1つの目的は所
望のあらゆる遺伝子(群)を導入することのできる改良
されたアクセプターTiプラスミドを提供することにあ
る。導入される所望の遺伝子(群)は、そのアクセプタ
ーTiプラスミドの相当する領域と相同の領域を持った新
規な中間クローニングベクター内に含まれている。この
中間クローニングベクターを提供することも本発明の目
的の1つである。 所望の遺伝子(群)のアクセプターTiプラスミドへの
導入は、Agrobacteriumに保持されているアクセプターT
iプラスミドと中間クローニングベクターの2つの相同D
NAセグメントの間で起る単一乗換えによって達成され
る。この中間クローニングベクターは、ヘルパープラス
ミドを使って、それが増殖するEscherichia coliからAg
robacteriumに授動される。この様なヘルパープラスミ
ドおよび授動のための機能は知られている(Finnegan
ら、Mol.Gen.Genet.185(1982),344−351;Figurski
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76(1979);Dittaら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 77(1980),7347)。 Agrobacteriumでの単一乗換えの結果、ハイブリッドT
iプラスミドベクターが得られる。この様なハイブリッ
ドTiプラスミドも本発明の目的の1つである。 Agrobacteriumに保持されたこのハイブリッドプラス
ミドベクター(以降、ベクター組成物という)を直接植
物細胞の感染に使用し、次いで所望の遺伝子生成物の発
現についてスクリーニングする。植物細胞をベクター組
成物で感染させて形質転換植物細胞を調製するこの方
法、この形質転換された植物細胞、およびそれから発生
した植物を提供することも本発明の目的である。この技
法はAgrobacteriumの植物転移性のプラスミド全てに適
用することができる。 以下に添付の図面について詳細に説明する。 第1図は、境界配列(1)および(2)を除き、T−
領域の内部部分を除去して得られる本発明のアクセプタ
ーTiプラスミドの1態様を示している。この境界配列
は、T−領域を植物細胞ゲノムに組込むのに必須であ
る。境界配列(1)と(2)の間の領域(3)が、植物
に転移されるであろうDNAセグメントである。このアク
セプターTiプラスミドは、中間クローニングベクターを
単一乗換えによって組込ますことを可能にしている中間
クローニングベクター内のDNA配列の少なくとも一部と
相同のDNA配列を持ったDNAセグメント(3)を含んでい
る。Tiプラスミド領域(4)は、Agrobacteriumによっ
てT−領域が植物細胞ゲノムに転移するのに必要な機能
を暗号化している。この領域は、vir−領域と呼ばれ
る。 第2図は、単一乗換えによって第1図のアクセプター
Tiプラスミドに挿入される本発明の中間クローニングベ
クターを示している。このベクターは、所望の単一乗換
えを可能にするアクセプターTiプラスミドのDNAセグメ
ント(3)の少なくとも一部と相同なDNA配列を持った
クローニング媒体DNAセグメント(3′)を含んでい
る。更に、この中間クローニングベクターは、その天然
のプロモーター配列を備えた遺伝子あるいは遺伝子群
(5)を含んでいる。この組み立てに於いては、一般に
植物の遺伝子を使用することができる。それは、他のも
のに比較して発現され易いと思われるからである。しか
し、原理的には、全ゆる所望の遺伝子を挿入することが
できる。この中間クローニングベクターは選択マーカー
遺伝子(6)を含んでいてもよい。この遺伝子は、植物
細胞中でこの遺伝子の発現を可能にするプロモーター配
列を含んでいなければならない。このマーカー遺伝子を
含んでいる植物細胞は、それを含んでいない細胞より、
成長の選択有利性を持っていなければならない。何故な
ら、この様にして、このマーカー遺伝子を含んでいるDN
Aによって形質転換された植物細胞を、非形質転換細胞
と区別することができるからである。 第3図は、第2図の中間クローニングベクターと類似
の、第1図のアクセプターTiプラスミドに単一乗換えに
よって挿入される本発明に係る中間クローニングベクタ
ーのもう1つの態様を示している。これは、クローニン
グ媒体DNAセグメント(3′)、所望の遺伝子の統制の
とれた発現を可能にする外来性プロモーター配列
(8)、および、所望により、マーカー遺伝子(6)を
含んでいる。 第4図は、第1図のアクセプターTiプラスミドおよび
第2図並びに第3図の中間クローニングベクターから
の、単一乗換えによる本発明に係るハイブリッドTiプラ
スミドベクターの調製を示す模式図である。 第5図は、E.coliからアクセプターTiプラスミドを含
んでいるAgrobacteriumへの、中間クローニングベクタ
ーの遺伝子転移に関する諸過程を概略したものである。
第1段階は、中間クローニングベクターを含んでいるE.
coli株(1)と、その後のAgrobacteriumとの接合の為
の2つのヘルパープラスミドを含んでいるもう1つのE.
coli株との接合である。1方のヘルパープラスミドはプ
ラスミド転移に重要なDNA配列(tra)を含んでおり、他
方のヘルパープラスミドは授動に重要な配列(mob)を
含んでいる。接合によってこれらのヘルパープラスミド
がE.coli株(1)に導入されると、そこに含まれている
中間クローニングベクターが他の細菌株へ転移すること
ができる様になる。traおよびmobヘルパープラスミド
は、中間クローニングベクターが持っている抗生物質耐
性マーカー とは異なるマーカー、 をそれぞれ持っている。従って、全てのプラスミドが存
在するかどうかを選択培地上でモニターすることができ
る。こうして授動株(3)が得られる。 この授動株(3)を、第1図のアクセプターTiプラス
ミドを含んでいるA.tumefaciens株(4)と接合させ、
中間クローニングベクターの抗生物質耐性マーカーで選
択する。中間クローニングベクターはAgrobacterium中
で複製できないので、受容アクセプターTiプラスミドと
相互組込み体を形成した場合にのみ、保持されることが
できる。Agrobacterium中のこの相互組込み構造体
(5)が、DNAを植物細胞ゲノムに転移させるのに使用
される最終的なハイブリッドTiプラスミドである。 第6図は、第1図に示したものと同類のモデルアクセ
プターTiプラスミド(タイプA)の組み立てを示してい
る。ここでは、Tiプラスミドと、このもとのTiプラスミ
ドの一部と置き換わるDNA配列を含んでいる別のプラス
ミドとの間で、二重乗換えが起る。より具体的に述べる
と、小さい方のプラスミドはクローニング媒体(3)の
中にT−領域の境界配列(1,2)を含んでいる。二重乗
換えの結果、T領域の内部のT部分が除去され、代って
クローニング媒体で置き換えられる。得られたアクセプ
ターTiプラスミド(A)は、境界配列(1,2)の間に含
まれているDNAを植物細胞ゲノムに転移させることがで
きる。得られた、形質転換されたDNAは、Tiプラスミド
(A)では腫瘍の増殖を支配している遺伝子が除去され
ているので腫瘍性のクラウンガル組織をつくらない。Ti
プラスミド(A)は、クローニング媒体(3)と相同性
を有するあらゆる中間クローニングベクター用の極めて
普遍的なアクセプターTiプラスミドである。このクロー
ニング媒体(3)は通常のプラスミドでよく、例えばpB
R322またはその誘導体などによって置き換えることがで
きる。 第7図は、中間クローニングベクターをE.coli宿主細
胞中で組みたてる工程を模式的に示したものである。制
限エンドヌクレアーゼサイトR1に囲まれた所望の遺伝子
(5)および制限エンドヌクレアーゼサイトR2で囲まれ
た選択し得るマーカー遺伝子(6)を、酵素R1およびR2
の為のそれぞれ1つの制限サイトを含んでいるクローニ
ング媒体(3′)に挿入する。3つの分子を全て制限酵
素R1および/またはR2で消化し、DNAリガーゼを用いて
ライゲーション(結紮)して中間クローニングベクター
を形成させる。このクローニング媒体(3′)は、細菌
遺伝子学の選択マーカーとして使用する抗生物質耐性 を暗号化しているもう1つのDNA配列を含んでいなけれ
ばならない。所望の遺伝子(5)はその天然のプロモー
ターまたは第2図および第3図に概説した外来性プロモ
ーターの支配下にある。 第8図は本発明に係るアクセプターTiプラスミド(タ
イブB)のもう1つの具体的態様を組み立てるための模
式図である。この態様では、境界配列(1)および
(2)のすぐ外側のTi配列に相同の、それぞれDNA配列
(9)および(10)を含んでいるクローニング媒体とTi
プラスミドとの間で二重乗換えが起る。この二重乗換え
によって、境界配列(1)および(2)を含んでいるT
−領域T全体が削除され、それがクローニング媒体
(3)で置き換えられる。Tiプラスミド(B)は、境界
配列(1)および(2)の間にクローンされた所望の遺
伝子を含有している中間クローニングベクターのための
アクセプターである(第9図参照)。 第9図は、第8図のアクセプターTiプラスミド(B)
に単一乗換えによって挿入される本発明の中間クローニ
ングベクターを例示している。これは、所望の遺伝子
(5)の両端に位置する境界配列(1)および(2)を
含んでいる。これはまた、2つのプラスミド間の相同的
組換えを可能にするため、アクセプターTiプラスミド
(B)中のクローニング媒体配列と少なくとも一部が相
同であるクローニング媒体配列(3′)をも含んでい
る。 第10図は、第8図のアクセプターTiプラスミドおよび
それに対応する第9図の中間クローニングベクターか
ら、本発明のハイブリッドTiプラスミドベクターの組み
立てを示す模式図である。単一乗換えによって第9図の
中間クローニングベクターが第8図のアクセプターTiプ
ラスミド(B)に導入される。 第11図〜第20図は本発明をより具体的に例示するもの
である。 第11図は、5.2kb Hind IIIフラグメントAcgBのpBR322
への挿入を示している(Zambryskiら、Science209(198
0),1385−1391)。このフラグメントAcgBはノパリンTi
プラスミドの左右の境界領域を含んでいる。このクロー
ンpAcgBは、第6図に示した「A−タイプ」のアクセプ
タープラスミド、pGV3850の組み立てに使用される。野
生型Tiプラスミドの左右の境界領域を含んでいるこのク
ローンされた制限フラグメントを使って、クローンpAcg
Bと類似のクローンを得ることができることは、当業者
には容易に理解されるはずである。 第12図はノパリンTiプラスミドpGV3839のT−領域を
示している。Hind III制限エンドヌクレアーゼサイトは
(H)で示してある。変異したHind IIIフラグメント19
は(19′)で示してある。カナマイシンまたはネオマイ
シン耐性を付与するアセチルホスホトランスフェラーゼ
遺伝子はaptで表わし、これは黒くぬりつぶした部分に
存在している。T領域の境界は矢印で示してある。ノパ
リンシンターゼ(synthase)遺伝子はnosで表わした。
数値は、Depickerら(plasmid,3(1980),193−211)の
方法による制限フラグメントの大きさを表わしている。
TiプラスミドpGV3839は、実施例1およびそこに挙げた
2つの文献に従って組み立てることができる。 第13図は、アクセプターTiプラスミドpGV3850の組み
立てを示している。プラスミドpBR322−pAcgB(第11
図)は、線状化した形で描いてある。pBR322の配列は斜
線を入れた領域で示し、pBR322のアンピシリン耐性遺伝
子はApRで示した。第12図に示したpGV3839のT−領域の
一部がここに描かれている:pAcgBとの相同的組換えに関
与するHind IIIフラグメント(10)および(23)および
apt遺伝子が含まれている。二重乗換えによってpGV3850
および失われたapt遺伝子を含むもう1つのレプリコン
が組み立てられる。 第14図は、実施例2に詳細に記載した中間クローニン
グベクターpGV700の組み立てを模式的に示したものであ
る。制限エンドヌクレアーゼサイトを示すのに以下の略
号を用いた:B=BamH I、Bg=Bgl II、E=EcoR I、H=
Hind III、S=Sal I、Sm=Sma I。抗生物質耐性を示す
のに以下の略号を用いた:Ap=アンピシリン、Cm=クロ
ラムフェニコール、Sm=ストレプトマイシン、Tc=テト
ラサイクリン。TL−DNAで示した図の下部の数値は、こ
の領域のRNA転写体を示している(Willmitzerら、EMBO
J.1(1982),139−146)。 第15図は中間クローニングベクターpGV750の構造を示
している。その組み立ては実施例2に記載した。制限エ
ンドヌクレアーゼサイトは、キロ塩基対(kb)の数で表
わしたその相対的位置で示した。Pst Iサイトは示して
いないがKmR/NmR領域に3つ、CbR遺伝子に1つ存在す
る。左右の境界領域も示してある。pGV750の組み立てに
使用されたBgl II/BamH IサイトおよびHpa I/Sma Iサイ
トが示されているが、これはpGV750には存在しない。影
をつけた領域はTL−DNAに、黒い領域はKmR/NmR領域に、
白ぬき部分は隣接するTiプラスミド配列に、そして線は
クローニング媒体pBR325にそれぞれ相当する。その他の
略号は以下の意味を有する:Ocs=オクトピンシンター
ゼ、CmR=クロラムフエニコール耐性、CbR=カルベニシ
リン(アンピシリン類似体)耐性、KmR/NmR=カナマイ
シン耐性/ネオマイシン耐性。 第16図は実施例3に詳細に記載した中間ベクターpGV7
45の組み立てを示している。pGV745は、第8図に示した
「Bタイプ」アクセプタープラスミド、pGV2260の組み
立てに使用される。制限エンドヌクレアーゼサイトは以
下の略号で示した:B=BamH I、H=Hind III、R=EcoR
I。アンピシリン耐性遺伝子はApRで示した。斜線を施
した領域はオクトピンTiプラスミドのT−DNA領域の左
側と相同のDNAを、白ぬき領域はオクトピンTiプラスミ
ドのT−DNA領域の右側と相同のDNAを示している。出発
物質であるプラスミドpGV0219およびpGV0120についての
物理的位置および記述は、De VosらのPlasmid6(198
1),249−253にみられる。 第17図はアクセプタープラスミドpGV2260の組み立て
を示している。pGV2217中の欠損置換が、ネオマイシン
とカナマイシンに対する耐性を付与するアセチルホスホ
トランスフェラーゼ遺伝子(aptで表わしてある)を含
んでいる黒色部分で示してある。中間ベクターpGV745
(第16図参照)は線状化して描いてある。これは第16図
に示したpGV745のHind IIIサイトで開裂したものであ
る。pBR322の配列は斜線を施した部分で示し、アンピシ
リン耐性遺伝子はApRで示してある。二重乗換えによっ
て、pGV2260が組み立てられ、apt遺伝子が失われる。制
限エンドヌクレアーゼサイトは以下の略号で示した:B=
BamH I、H=Hind III、R=EcoR I。 第18図は、ノパリンシンターゼ遺伝子(nos)のプロ
モーターの下流の遺伝子を発現するためのプラスミドpL
GV2381の組み立てを示している。5′および3′はそれ
ぞれ転写開始と転写終了を意味し、ATGおよびTAAは翻訳
開始および翻訳終了に使われるコドンを表わしている。
太線はnosプロモーター領域、白ぬき部分はnos暗号領域
を示している。ApRはアンピシリン耐性、KmRはカナマイ
シン耐性を示している。 第19図は、完全なオクトピンシンターゼ(ocs)暗号
配列を含んでいるプラスミドpAGV40の組み立て、および
プラスミドpLGV2381(第18図参照)中nosプロモーター
の後部へのその挿入を示している。太線はプロモーター
領域、白ぬき部分はocs暗号領域を示している。その他
の記号は第18図と同じである。 第20図は、ノパリンシンターゼ(nos)遺伝子のプロ
モーター領域の周囲のヌクレオチド配列およびオクトピ
ンシンターゼ遺伝子暗号領域と融合した後の同じ領域の
周囲のヌクレオチド配列を示している。融合点は星印
(*)で示した。いくつかの制限エンドヌクレアーゼサ
イト、即ち、BamH I、Hind III、およびSac IIも示して
ある。5′および3′は転写開始および終了を意味す
る。ATGは翻訳に使われる最初のコドン、TAAは翻訳に使
われる終了コドンを表わしている。白ぬきの大きい矢印
はノパリン遺伝子の暗号化領域、縞の入った矢印はオク
トピン遺伝子を表わしている。 以下に本発明を詳細に説明する。 第1図にアクセプターTiプラスミドを簡単に図式化し
た。このアクセプターTiプラスミドは、野生型腫瘍誘起
(Ti)プラスミドの2つの境界配列(1,2)または領域
を含んでいる。この境界配列は、TiプラスミドのT−領
域を植物細胞ゲノムへ組込むのに必須である。換言すれ
ば、あらゆるDNA配列(3)またはT−領域を、これら
の配列間に存在している植物細胞ゲノムに組込むのにこ
の境界配列が絶対に必要である。 このアクセプターTiプラスミドのDNA配列(3)に
は、第2図および第3図に示した中間クローニングベク
ターのDNA配列(3′)の少なくとも1部と相同のDNAセ
グメントが含まれている。この相同性は、中間クローニ
ングベクターとアクセプターTiプラスミドが単一乗換え
(相同性組換え)によって相互組込みするのに必要であ
る。相互組込み体の得られる頻度は、基本的には相同領
域の長さできまる。相同性組換えを高頻度で起すには、
通常1〜4kbの領域が使われる(Leemansら、J.Mol.App
l.Genet.1(1981),149−164)。 アクセプターTiプラスミドは更に、Agroba−cterium
によってTiプラスミドのT−領域が植物細胞ゲノムへ移
動するのに必要な配列(4)を含んでいる。 この様なアクセプターTiプラスミドの組み立ておよび
第2図および第3図に示した中間クローニングベクター
とのその相互組込みについて、第4図を参照しながら以
下に詳述する。 第2図および第3図に、発現しようとする、即ち、植
物細胞中でプロモーターの支配下に転写され、翻訳され
る所望の原核性または真核性遺伝子をクローンするため
の中間クローニングベクターを簡略化した図で示した。
これらの中間クローニングベクターは、アクセプターTi
プラスミドのDNAセグメント(3)の少なくとも一部と
相同であり、従って単一乗換えを可能にするDNA配列を
含んでいるクローニング媒体からのDNAセグメント
(3′)を含んでいる。さらに、この中間クローニング
ベクターは、その天然のあるいは外来性のプロモーター
配列を含む少なくとも1つの所望の遺伝子(5,7)を含
んでいる。このプロモーター配列によって、挿入された
遺伝子配列の発現が可能である。所望の挿入遺伝子
(群)の発現を調整するために、外来性のプロモーター
配列(仕立て上げたプロモーター)を使うことも可能で
ある。 調整の各種の例として、以下のものを挙げることがで
きる:(i)組織に特異な発現、即ち、葉、根、茎、花
など、(ii)発現レベル、即ち、発現の強弱、(iii)
誘導性発現、即ち、温度、光または添加された化学的因
子による発現など。 中間クローニングベクター用の所望の遺伝子の例とし
ては、アミノ酸や糖類の様な生産物の合成をコントロー
ルして植物の栄養価や成長度を改良する遺伝情報を持っ
たDNAフラグメントまたは配列、外部から病原物質に対
する保護、例えば病原生物またはストレスとなる環境因
子に対する耐性、を付与する生産物の合成をコントロー
ルする遺伝情報を持ったDNAフラグメントまたは配列、
遺伝子工学によって改良しようとする植物の基本的な過
程に情報を与える生産物の合成をコントロールする遺伝
情報を持ったDNAフラグメントまたは配列など。 第2図および第3図は、選択可能なマーカー遺伝子
(6)を含んでいることもある中間クローニングベクタ
ーを表わしている。選択可能なマーカー遺伝子として
は、例えば抗生物質または有毒な類似物質(例えばアミ
ノ酸類縁体)を暗号化している遺伝子、受容宿主細胞の
欠損を補う遺伝子などが挙げられる。 第4図は、ハイブリッドTiプラスミドベクターの組み
立てに関与する構成を示しており、第5図は、そのハイ
ブリッドTiプラスミドベクターを保持しているAgrobact
eriumの分離に関与する実際の接合工程を表わしてい
る。この工程は、中間クローニングベクターがE.coli中
で組み立てられるので、この中間クローニングベクター
をAgrobacterium中のアクセプタープラスミドに転移さ
せるのに必要である。 T−領域の一部が変更された配列で置換されている改
良Tiプラスミドを調製するのに用いられる既知の転移手
法は多数の工程からなっている。通常、大抵のDNA組換
え操作は、特別に設計されたクローニング媒体、例えば
pBR322(Boliver,Gene2(1977),75−93)中で行なわれ
る。しかしこのクローニング媒体は、それ自体Agrobact
eriumに移動することができない。この問題は、既知の
方法では次の様にして解決されている: a) Agrobacterium中でも複製し得る別の広範囲宿主
用クローニング媒体、例えばmini−Saプラスミド(Leem
ansら、Gene19(1982),361−364)でpBRクローニング
媒体配列を置換する。この操作はE.coli中で行ない、中
間クローニングベクターが得られる。 b) 所望のDNAを含有している中間クローニングベク
ターを保持したE.coli株と、Agroba−cterium中では複
製できないがそれ自体および他のDNAのAgrobacteriumへ
の転移を仲介することのできるヘルパープラスミドを保
持した別のE.coli株との接合。 c) 工程(b)で得られるE.coliとTiプラスミドを含
んでいるAgrobacteriumの接合。ヘルパープラスミドは
失われる。 d) 中間クローニングベクターは、独立したレプリコ
ンとしてAgrobacterium中で複製し、存在することがで
きるので、工程(c)で得られた接合体は、中間クロー
ニングベクターとTiプラスミドとの相互組込み体を含ん
でいる細胞、または中間クローニングベクターおよび相
互組込みが起らなかったTiプラスミドを含んでいる別の
細胞の混合物である。相互組込み体だけを特異的に分離
する為に、Tiプラスミドのない別のAgrobact−erium株
との接合をもう一度行なわなければならない。この転移
は、Tiプラスミド自体によって暗号化されている機能に
よって仲介される。この第2のAgrobacterium株への中
間クローニングベクターの点域は、Tiプラスミドとの相
互組込み体の形でのみ行なわれる。 e) 所望の置換を行なった最終的な改良Tiプラスミド
を得るために、第2回目の乗換えが行なわれる(Leeman
sら、J.Mol.Appl.Genet.1(1981),149−164)。 僅かにもう1つの既知の方法は、上記工程(d)にお
いて、中間クローニングベクターと適合しない別のプラ
スミドをAgrobacteriumに導入することを除けば、上の
方法と基本的に同じである。この場合、独立したレプリ
コンのままでいる中間クローニングベクターは全て失わ
れるので、相互組込み(単一乗換え)を選択することが
できる(Matzkeら、J.Mol.Appl.Genet.1(1981),39−4
9)。 ここに本発明者らは、AgrobacteriumのアクセプターT
iプラスミドに中間クローニングベクターを導入する為
の、新規な非常に簡素化された方法を提供するものであ
る。簡単に言えば、この方法は、多くの通常使用されて
いるクローニングプラスミド(例えばpBR322)を直接Ag
robac−teriumに転移させるのに、E.coliのヘルパープ
ラスミドが役立つということを見い出した事実に基づい
ている。これらのプラスミドは、いづれもAgrobacteriu
m中では複製できないので、アクセプターTiプラスミド
と相互組込みし得るものだけが保持されることになる。
さらに、本発明者らは、Agrobacterium中のこの相互組
込み体を、植物細胞への感染の為の直接のベクター組成
物として使用するのである。この様にして、本発明者ら
は前記の工程(d)および(e)を省略した。これによ
って、改良ハイブリッドTiプラスミドを組み立てるのに
要する時間が減少し、可能な組み立てに柔軟性が増加
し、かくして、植物細胞ゲノムへDNAを転移させる為の
ベクターとしてこのアクセプターTiプラスミドを使用で
きる可能性が著しく高まったのである。 即ち、第5図に概略を示した様に、アクセプターTiプ
ラスミドへの中間クローニングベクターの導入は2工程
で行なわれる。先づ、中間クローニングベクターを持っ
たE.coli株(1)を、この中間クローニングベクターの
Agrobacteriumへの授動を促す2つのプラスミドを持っ
た別のE.coli株(2)と接合させる。これらのヘルパー
プラスミドの代表的な、そして好ましい例は、mob機能
を含んだR64drd11およびtra機能を含んだpGJ28である
(Finneganら、Mol.Gen.Genet.185(1982),344−35
1)。中間クローニングベクターのクローニング媒体上
のbomサイト(Warrenら、Nature274(1978),259−26
1)が他の2つのプラスミドによって暗号化されている
機能体によって認識され、転移できる様になる。全ての
プラスミドは、その存在を検出するために抗生物質耐性
マーカーを含んでいるのが好ましい。次いで、得られた
E.coli株、即ち3つのプラスミド全てを保持している授
動株(3)を、中間クローニングベクターと相同の領域
を持ったアクセプターTiプラスミドを保持しているAgro
bacteriumと接合させる。中間クローニングベクターと
アクセプターTiプラスミドとの単一乗換えが行なわれた
かどうかは、中間クローニングベクターの抗生物質耐性
マーカーについての選択によって検出できる。 第6図は、第1図のアクセプターTiプラスミドの組み
立てに用いられたDNA分子を模式的に示したものであ
る。本明細書では、このプラスミドをアクセプターTiプ
ラスミド(タイプA)と呼び、他のアクセプターTiプラ
スミド(タイプB)と区別することにする(第8図参
照)。この組み立てには、Tiプラスミドと、クローニン
グ媒体(3)中に境界配列(1)および(2)を持って
いるもう1つのプラスミドとの間に二重乗換えが起るこ
とが必要である。図に示した様に、クローニング媒体配
列(3)は左側の境界配列(1)と右側の境界配列
(2)との間にある。このDNA鎖の正しい極性を示すた
めに、これを環上に描くことができる。しかし、二重乗
換えに使用される相同領域を示すためには、この環を開
裂させて図示した。これは理解を助ける為のやり方とし
て重要であり、第8図に於けるアクセプターTiプラスミ
ド(B)の組み立てに於いても用いられている。即ち、
もし境界配列(1)および(2)が、単にクローニング
媒体配列(3)内に挿入されたのなら、二重乗換えによ
って、T−領域が削除されてはいるがこの境界配列
(1)および(2)の間のクローニング媒体配列のない
Tiプラスミドが得られることになる。第6図に示した様
に、二重乗換えによって、境界配列(1)および(2)
の間にもとのT−領域を持った環状DNA分子が生成す
る。これはレプリコンではないので消失する運命にあ
る。この二重乗換えが起ったかどうかは、例えばTiプラ
スミドのT−領域内に含まれる抗生物質マーカーの欠落
について選択したり、クローニング媒体配列(3)内の
抗生物質耐性マーカーについて選択したりして、遺伝子
学的に選択することができる。 第7図は、第2図および第3図の中間クローニングベ
クターの組み立てを示す模式図である。制限エンドヌク
レアーゼサイトR1またはR2でそれぞれ囲まれた所望の遺
伝子(5)および選択可能なマーカー遺伝子(6)が、
酵素R1およびR2の為の特異な制限サイトを含んでいるク
ローニング媒体配列(3′)に、これら全ての分子の消
化およびライゲーションによって挿入される。得られた
組換えDNA分子は、E.coli宿主細胞を形質転換するのに
使用され、その形質転換体は、クローニング媒体配列
(3′)の抗生物質耐性マーカー で選択される。 第8図は本発明のもう1つの態様、即ちアクセプター
Tiプラスミド(B)を組み立てるのに使用されるDNA分
子の模式図である。この場合は、境界配列(1)および
(2)のすぐ外側に位置するDNA配列(9)および(1
0)の間にクローニング媒体配列(3)を含んでいるプ
ラスミドとTiプラスミドとの間で二重乗換えが起る。乗
換えに使用される相同領域を示す為に、小さい方のプラ
スミドは開裂してある(第6図と同様)。二重乗換えに
よる生成物は、アクセプターTiプラスミド(B)と、も
とのTiプラスミドからのT−領域およびDNA配列
(2)、(10)、(9)および(1)を含んでいる、消
失するもう1つの環状DNA分子である。遺伝子学的選択
は第6図について記載したものと同様にして行なうこと
ができる。 第9図は、第8図のアクセプターTiプラスミドBと組
み合せて使用される中間クローニングベクターの模式図
である。ここでは、所望の遺伝子(5)は、クローニン
グ媒体配列(3′)中に含まれている境界配列(1)お
よび(2)の間に挿入される。 第10図は、単一乗換により第9図の中間クローニング
ベクターがどの様にしてアクセプターTiプラスミド
(B)に挿入されるかを模式的に示している。この場
合、中間クローニングベクターのクローニング媒体配列
(3′)の抗生物質耐性マーカーで選択すると、2つの
プラスミドの間の相互組込みの結果としてのハイブリッ
ドTiプラスミドを確実に見つけることができる。こうし
て境界配列(1)および(2)内に含まれている所望の
遺伝子を持ったハイブリッドTiプラスミドが得られる。
この様にして組み立てられたハイブリッドプラスミド
は、そのT−領域に、例えば第4図のハイブリッドTiプ
ラスミド中の配列(3)および(3′)の様な直接反復
の配列を含有しておらず、従って、分子内組換えの結果
として、ハイブリッドベクターまたは植物細胞ゲノム中
に導入されたDNAが不安定になる可能性が避けられる。 本発明者らの研究室で行なった実験結果から、第9図
の中間ベクターの組み立てには、境界配列1および2の
両者を所有する必要はないことがわかった(未発表)。
しかし、所望のDNA配列を植物ゲノムに組込むには、少
なくとも右側の境界配列(2)(第1図および第9図参
照)を有することが必要十分条件である。 AgrobacteriumのTiプラスミド、例えばノパリンまた
はオクトピンTiプラスミドの制限エンドヌクレアーゼ地
図についての知見(Depickerら、Plasmid3(1980),193
−211;De Vosら,Plasmid6(1981),249−253)およびT
−DNA境界配列を含んでいる制限フラグメントについて
の知見(Zambryskiら、J.Mol.Appl.Genet.1(1982),36
1−370;De Beuckeleerら、Mol.Gen.Genet.183(1981),
283−288)から、当業者であれば誰れでも、本発明方法
に従ってアクセプターTiプラスミドを組み立てることが
できる。この他、通常の組換えDNA技術および基礎的な
細菌の遺伝子操作を実施できる能力が要求されるに過ぎ
ない。本発明は、ハイブリッドTiプラスミドベクターを
組み立てるのに有効であることがわかった本明細書に記
載したアクセプターTiプラスミドを具体的に提案してい
る点でユニークなものである。更に、これらのアクセプ
ターTiプラスミドは、遺伝子を植物細胞ゲノムへ導入す
るための方法の一部を構成する様に設計されたものであ
る。 既述したアクセプターTiプラスミド、中間クローニン
グベクター、ハイブリッドTiプラスミドベクターおよび
ベクター組成物を更に例示し、植物細胞ゲノムへ組込ま
れた外来性遺伝子の発現を示す形質転換植物細胞および
植物を提供するのにこのベクター組成物が有効であるこ
とを例証するために、以下に実施例を挙げる。 実施例1 アクセプターTiプラスミドpGV3850(Aタイ
プ)の組み立て 出発株およびプラスミド: Agrobacterium tumefaciens(野生型Agroba−cterium
由来のリファンピシン耐性株C58C1およびクロラムフェ
ニコール−エリスロマイシン耐性株C58C1) Tiプラスミド=pGV3839 第11図のプラスミド=pAcgB TiプラスミドpGV3839はノパリンプラスミドpTiC58tra
C(pGv3100;Holstersら,Plasmid3(1980),212−230)
から組み立てる。これはT−領域の中央近くに欠失置換
突然変異体(ミュータント)を含んでいる:即ち、Hind
IIIフラグメント19の内部のSma Iフラグメント24(Dep
ickerら、Plasmid 3(1980),193−211)は、Tn5のap
t(アセチルホスホトランスフェラーゼ)遺伝子を含ん
でいるpKC7のHind IIフラグメント(Raoら,Gene7(197
9,79−82)で置換されている。この遺伝子はアミノグリ
コシドネオマイシンおよびカナマイシンに対する耐性を
暗号化している。pGV3839のT−領域の制限地図を第12
図に示す。 プラスミドpAcgBは、T−DNAの境界部だけを含んでい
るpBR322中のAcgBの挿入体である(第11図参照)。この
境界部はT−DNAの末端部として定義され、これらの領
域は、T−DNAの植物細胞ゲノムへの安定な組込みに役
割を果たす。このクローンの起源および分析については
詳しく記載されている(Zambryskiら、Science209(198
0),1385−1391)。このクローンは、形質転換されたタ
バコDNAからT−DNAの部分を再分離することにより得ら
れた。pAcgBは、T−DNAの左右の境界を含む様に縦列に
並んだ2つのT−DNAコピーの接合点を含んでいる。更
に、pAcgBは、その遺伝情報が右側T−DNA境界のすぐ近
くに位置しているという理由でノパリンシンターゼ遺伝
子を含んでいる。このプラスミドpAcgBは、「タイプ
A」アクセプターTiプラスミド、pGV3850の組み立てに
使用される。第6図は関与する構造の概略を、第13図は
pGV3850を与える二重乗換えに関与するDNA領域をより正
確に示したものである。 上記のプラスミドpAcgBは、そのpBR322部分にColE1−
特異bomサイトを持っており、ヘルパープラスミドR64dr
d11およびpGJ28を使ってE.coliからAgrobacteriumへ授
動することができる。E.coliに含まれているプラスミド
R64drd11およびpGJ28は、接合により、pAcgBを持ったE.
coli株に導入される。トランス接合体は、アンピシリン
耐性(pAcgBのpBR322配列から)、ストレプトマイシン
耐性(R64drd11から)、およびカナマイシン耐性(pGJ2
8から)コロニーとして選択される。 3つのプラスミドの全てを保持しているE.coli株を、
リファンピシン耐性でありTiプラスミドpGV3839を含ん
でいるAgrobacterium株C58C1に接合させる。ノパリンTi
プラスミドとの最初の単一乗換えを選択するのにpBR322
のアンピシリン耐性を利用する。アンピシリン耐性をAg
robacterium中で安定させることができる唯一の方法
は、T−領域境界近くの相同領域の1つでpGV3839と相
同組換えにより乗換えをすることである。他の相同領域
での2回目の乗換えにより、apt遺伝子(カナマイシン
耐性)を含んでいるpGV3839のT−領域の中央部がクロ
ーンpAcgBのpBR322配列で置換される。従って、第2の
組換え体はアンピシリン耐性、カナマイシン感受性であ
る。第2の組換え体を分離する確率を高めるために、最
初の組換え体(pAcgB::pGV3839)を保持しているリファ
ンピシン耐性Agrobacteriumを、Tiプラスミドを持って
いない第2のクロラムフェニコール/エリスロマイシン
耐性Agrobacterium株と接合させる。この様にして、約6
00コロニー中、1コロニーの割合で、アンピシリン耐
性、カナマイシン感受性のクロラムフェニコール/エリ
スロマイシン耐性Agrobacterium pGV3850を得ることが
できる。 勿論、pGV3850タイプのアクセプターTiプラスミドを
組み立てるのに使用することができるその他のTiプラス
ミドもある。T−領域の中央近くに選択し得るマーカー
遺伝子を持ったTiプラスミドは全て受容体として使用で
きる。更に、左境界フラグメント−pBR322−右境界フラ
グメントの方向に、左右の境界フラグメントの中間にpB
R配列が位置する様に、pBR322にT−領域境界フラグメ
ントを挿入することによってpAcgB様のプラスミドを組
み立てることができる。例えば、ノパリンTiプラスミド
の左および右境界フラグメントはそれぞれHind IIIフラ
グメント10および23である(Depickerら、Plasmid3(19
80),193−211)。 単一乗換えによって、pBR322またはその誘導体に挿入
されている所望の遺伝子を含んだ中間クローニングベク
ターがpGV3850の改良されたT−DNA領域に導入される。
唯一つ必要なことは、中間クローニングベクターのE.co
liからAgrobacteriumへの転移を選択する為の手段とし
て使用する為に、導入されるDNAが、既にpBR322に存在
するものの他にもう1つの耐性マーカー遺伝子を含んで
いるということである。この耐性マーカーは、pBR配列
内に含まれていてもよく(例えばpBR325のCmR、またはP
kC7のKmR)、植物細胞内で試験されるDNA内に含まれて
いてもよい。更に、アクセプターTiプラスミドpGV3850
におけるApR遺伝子pBR322は、KmRの様な別の耐性マーカ
ー遺伝子で置換してもよい。この様にして、ApRであるp
BR322含有中間クローニングベクターですら、このpGV38
50タイプのアクセプターTiプラスミドに直接授動するこ
とができる。 pGV3850タイプのアクセプターTiプラスミドのもう1
つの利点は、形質転換された植物細胞で腫瘍をつくらな
いということである。pGV3850の短かくなったT−DNA領
域は、依然としてノパリンシンターゼを暗号化している
遺伝子を含んでいるので、pGV3850で形質転換された細
胞は、ノパリンが存在するかどうかを分析することによ
り、非形質転換細胞から簡単に選り分けることができ
る。勿論、アクセプターTiプラスミドpGV3850に組込ま
れた中間クローニングベクターがマーカー遺伝子を含ん
でいたら、それも直接スクリーニング、即ち選別にかけ
ることができる。 pBR322配列を含んだ上記の中間クローニングベクター
の単一乗換えによるアクセプターTiプラスミドへの挿入
のほか、このアクセプターTiプラスミドは、「ショット
ガン」タイプの実験に於いて、pBR322またはその誘導体
中のクローンされたDNAバンクの受容体としても使用す
ることができる。Agrobacterium中の全てのハイブリッ
ドプラスミドベクターは、植物細胞の感染に使用するこ
とができ、次いで所望の選択可能な遺伝子(群)の発現
についてスクリーニングされる。例えば、選ばれたアミ
ノ酸が欠乏している植物細胞に全バンクを適用すること
により、アミノ酸合成を暗号化している遺伝子について
簡単に選別することができる。 アクセプターTiプラスミドpGV3850は、2つの特徴的
な表現形質を持っている:即ち、(i)腫瘍生成能力が
ないこと、および(ii)もしT−DNAが植物細胞ゲノム
中に転移したら、ノパリン合成能を有すること、であ
る。pGV3850含有Agrobacteriumで感染させた各種の植物
組織のこれらの特徴を調べるために、種々の実験を行な
った。 a) ジャガイモおよびニンジンディスクを用いた試験 ジャガイモおよびニンジンの切片にアクセプターTiプ
ラスミドpGV3850を接種すると、少量の硬結組織が生成
する。この組織にノパリンが存在するかどうかを試験し
た所、陽性であることがわかった。この突然変異体が少
量の硬結組織を生産し得ることは興味あることである。
しかし、それは、これらのディスクを低濃度のオーキシ
ンおよびサイトキニンの両者を含んでいる培地で生育さ
せた時だけ得られる。 b) 全植物をアクセプターTiプラスミドpGV3850で接
種 ホルモンを含まない滅菌寒天培地で生育しているタバ
コおよびペチュニアの苗木にpGV3850を接種する。数カ
月後に少量の組織成長が観察されただけである(通常、
2週間後に「野生型」腫瘍が検出される)。この組織は
ホルモンを含まない培地では生育しないが、オーキシン
およびサイトキニン含有培地での滅菌組織培養では、さ
らに増殖することができる。この組織もノパリン陽性で
あることがわかった。 c) さらに、pGV3850「形質転換」細胞は腫瘍性では
ないので、これらの細胞は、転移したDNAセグメントを
そのゲノムに依然として保持している正常な植物に再生
することができる。この形質転換細胞を通常の再生培地
(実施例5を参照)で培養すると、正常植物が得られよ
う。 pGV3850の、アクセプタープラスミドとしての有用性
を証明する為に、以下の実験を行なった。pBR325中にオ
クトピンT−DNAの腫瘍機能を含んでいる中間クローニ
ングベクターを、pGV3850を保持しているAgrobacterium
に組み込んだ。単一乗換えによって得られたAgro−bact
erium中のハイブリッドTiプラスミドを、傷つけたタバ
コ植物に接種した。2週間後に腫瘍組織があらわれた。
このことは、腫瘍誘導DNAがpGV3850に再導入され、形質
転換植物細胞中で適切に発現されたことを示している。 実施例2 中間クローニングベクターpGV700およびpGV7
50の組み立て この組み立ての概略を第14図に模式的に示した。オク
トピンTiプラスミドB6S3のTL−DNAの右側部分であり、p
GV0201(De Vosら、Plasmid6(1981),249−253)中に
存在するHind IIIフラグメント1を、まず、広範囲宿主
性ベクターpGV1122(Leemansら、Gene19(1982),361−
364)のHind IIIサイトに挿入する。組換えプラスミドp
GV201は、多コピーベクターpBR322(Bolivarら,Gene2
(1977),95−113)の特異なHind IIIサイトに挿入され
たHind IIIフラグメント1を含んでいる。pGV0201およ
びpGV1122DNAは、Betl−achらが記載している方法で調
製される(Fed.Proc.35(1976),2037−2043)。最終量
20μ中、pGV0201DNA2μgを、Hind III 2単位(全て
の制限酵素はBoeh−ringer Mannheimから購入した)を
用いて、37℃で1時間完全に消化した。インキュベーシ
ョン緩衝液はO′Farrellらにより記載されている(Mo
l.Gen.Genet179(1980),421−435)。同じ条件下でpGV
1122DNA 2μgをHind IIIで完全に消化した。 最終量20μ中、T4リガーゼ(Boehringer Mannhei
m)0.02単位を用い、0.1μgのHind III消化pGV0201をH
ind III消化pGV1122とライゲーション(結紮)した。イ
ンキュベーション緩衝液および条件は、製造業者の指示
に従った(Brochure“T4リガーゼ”、Boehringer Mannh
eim,1980年8月、#10.M.880.486)。ライゲーシヨン混
合物のコンピテントE.coli K514 hsr-hsm+細胞(Colson
ら、Genetics52(1965),1043−1050)への導入(形質
転換)は、DagertおよびEhrlichの方法(Gene6(198
0),23−28)に従って行なった。細胞を、ストレプトマ
イシン(20μg/ml)およびスペクチノマイシン(50μg/
ml)を補足したLB培地(Miller,Experiments in Molecu
lar Genetics(1972),Cold Spring Harbor Laborator
y,New York)に塗抹した。組換えプラスミドを含有して
いる形質転換体を、テトラサイクリン耐性を暗号化して
いる遺伝子への挿入によるその不活性化(Leemansら、G
ene19(1982),361−364)に基づき、テトラサイクリン
感受性(10μg/ml)でスクリーニング(選り分け)し
た。ストレプトマイシンおよびスペクチノマイシンに耐
性を示し、テトラサイクリンに感受性を有するクローン
を物理的に同定した。マイクロスケールのDNA調製はKle
inらの方法(Plasimd3(1980),88−91)に従って実施
した。pGV1122のHind IIIサイト中のHind IIIフラグメ
ント1の配向は、Sal I消化によって決定した。組換え
プラスミドを消化し(O′Farrellらの条件、Mol.Gen.G
enet.179(1980),421−435)、アガロースゲル電気泳
動にかけると2個のフラグメントが得られた。α−配向
には0.77kbおよび22.76kbのフラグメント、β−配向に
は、10.33kbおよび13.20kbのフラグメントがあった。α
−配向の組換えプラスミドをその後のクローニングに使
用し、これをpGV1168と名付けた。 TL−DNAの左側部分(左の境界配列を含んでいる)を
含有しているBgl II−Sal IフラグメントをBgl II−Sal
Iで開裂したpGV1168に導入する。このフラグメント
は、ベクターpBR322に挿入された、pTiB6S3のT領域か
らの、BamH Iフラグメント8を含んでいる組換えプラス
ミドpGV0153(De Vosら、Plasmid6(1981),249−253)
から得られる。pGV0153およびpGV1168DNAはBetlachらの
方法で調製する(Fed.Proc.35(1976),2037−2043).p
Gv0153DNA10μgを10単位のBgl IIおよび10単位のSal I
を用い、最終量100μ中37℃で1時間、完全に消化し
た。消化混合物をプレパラティブ0.8%アガロースゲル
上、Allingtonらの方法(Anal.Biochim.85(1978),188
−196)で電気溶出し、ゲルから2.14kb Blg II−Sal II
フラグメントを回収した。pGV1168DNA 2μgを2単位の
Bgl IIおよび2単位のSal Iで完全に消化した。最終量2
0μ中、T4DNAリガーゼ0.02単位を用いてBgl II−Sal
IフラグメントDNA0.1μgを0.02μgのBgl III−Sal I
消化pGV1168とライゲーションした。このライゲーショ
ン混合物をコンピテントE.coliK514hsr-hsm+細胞(Dage
rtおよびErhlich,Gene6(1980),23−28)に導入した。
細胞をストレプトマイシン(20μg/ml)およびスペクチ
ノマイシン(50μg/ml)を補足したLB培地(Miller,Exp
eriments in Molecular Genetics(1972),Cold Spring
Harbor Loboratory,New York)に塗抹した。 ストレプトマイシン−およびスペクチノマイシン−耐
性形質転換体から、マイクロスケールDNAプレパレーシ
ョン(kleinら、Plasmid3(1980),88−91)を行なっ
た。2.14kb Bgl II−Sal IフラグメントがBgl II−Sal
I消化pGV1168に挿入されている組換えプラスミドをBgl
II−Sal I消化により同定した。この消化で2.14kbおよ
び21.82kbの2つのフラグメントが得られた。これらの
分子量(2.14kbおよび21.82kb)に相当する消化パター
ンを持ったプラスミドをpGV1171と名付け、さらにクロ
ーンするのに用いた。pGV1171からの12.65kbフラグメン
トは、左右のTL−DNA境界配列(De Beuckeleerら、in P
ro−ceedings IVth International Conference on Plan
t Pathogenic Bacteria,M.Ride′(ed.)(1978),I.N.
R.A.,Angres,115−126)および腫瘍性の増殖を可能にす
る遺伝子(Leemansら,EMBO J.(1982),147−152)を含
んでいる。このHind IIIフラグメントをプラスミドpBR3
25に挿入した(Bolivar,Gene4(1978),121−136)。pG
V1171およびpBR325はBetlachらの方法で調製した(Fed.
Proc.35(1976),2037−2043)。それぞれのDNA2μgを
2単位のHind IIIを用い、37℃で1時間完全に消化した
(インキュベーション緩衝液はO′Farrellらにより記
載されている(Mol.Gen.Genet.179(1980),421−43
5))。0.1μgのHind III消化したpGV1171を、Hind II
Iで線状化した0.05μgのpBR325と、T4DNAリガーゼ0.02
単位を用いてライゲーションした。ライゲーション混合
物によるコンピテントE.coli K514 hsr-hsm+の形質転換
はDagertおよびEhrlichの方法で行なった(Gene6(198
0),23−28)。細胞を、カルベニシリン(100μg/ml)
を補足したLB培地(Miller,Experiments in Molecular
Genetics(1972),Cold Spring Harbor Laboratory,New
York)に塗抹した。カルベニシリン耐性コロニーを、
テトラサイクリン耐性を暗号化している遺伝子に挿入す
ることによるその不活性化に基づき、テトラサイクリン
(10μg/ml)感受性でスクリーニングした(Bolivar,Ge
ne4(1978),121−136)。カルベニシリン耐性、テトラ
サイクリン感受性のコロニーを、そのコロニーから調製
したDNAの制限酵素消化により、マイクロスケール技法
(Kleinら,Plasmid3(1980),88−91)によって物理的
に特性化した。即ち、BamH I消化により、4つのDNAフ
ラグメントが得られる:α配向の場合は0.98kb、4.71k
b、5.98kbおよび7.02kbのフラグメントが得られ、β配
向の場合は0.98kb、4.71kb、1.71kbおよび11.20kbのフ
ラグメントが得られる。こうして得られたα配向の組換
えプラスミドはpGV700と名付けられ、更にその後の実験
に用いられた。 pGV750は、pGV700に挿入されたTL−領域の内部の腫瘍
に必須の機能を暗号化している3.49kb Bgl II−Sma Iフ
ラグメントの代わりに、カナマイシン耐性を暗号化して
いる2.81kb BamH I−Hpa Iフラグメントを挿入すること
により、pGV700から誘導される。カナマイシン耐性を暗
号化しているBamH I−Hpa Iフラグメントはλ::Tn5(Be
rgら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA72(1975),3628−363
2)から得られる。λ::Tn5の調製はMillerにより記載さ
れている(Experiments in Molecular Genetics(197
2),Cold Spring Harbor Laboratory,New York)。pGV7
00DNAはBetlachらの方法で調製する(Fed.Proc.35(197
6),2037−2043)。pGV700DNA2μgを2単位のBgl IIお
よび2単位のSma Iで完全に消化した。λ::Tn5DNA2μg
を2単位のBamH Iおよび2単位のHpa Iで完全に消化し
た。1μgのBamH I−Hpa I消化λ::Tn5を、最終量10μ
中、T4DNAリガーゼ0.5単位を用いて、0.2μgのBgl I
I−Sma I消化pGV700とライゲーションした(製造業者の
指示する条件に従った)。このライゲーション混合物を
コンピテントE.coli K514 hsr-hsm+細胞(Dagertおよび
Erhlich,Gene6(1980),23−28)に導入した。細胞を、
カルベニシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(25
μg/ml)を補足したLB培地(Miller,Experiments in Mo
lecular Genetics(1972),Cold Spring Harbor Labora
tory,New York)上に塗抹した。マイクロスケール技法
(Kleinら,Plasimd 3(1980)88−91)に従って調製し
たDNAの制限酵素分析により、CbRおよびKmRコロニーを
物理的に特性化した。このDNAをBgl II/BamH Iで二重消
化すると、3.94kb、5.89kbおよび8.09kbの3つのフラグ
メントが、Hind IIIで消化すると2.68kb、5.99kbおよび
9.25kbの3つのフラグメントが得られる。この消化パタ
ーンを示すプラスミドをpGV750と名付け、第15図に模式
的に示した。 pGV700とpGV750は、オクトピンTiプラスミドpTiB6S3
のTL−DNAの左右の境界配列を含む、2つの相異なる中
間クローニングベクターである。更に、これら2つのプ
ラスミドではT−領域内の削除の程度が異なっている。
pGV700は、オクトピンシンターゼ(トランスクリプト
3)およびその他3つの生成物、即ち4,6aおよび6b(T
−領域の生成物についてはWillmitzerら、ENBOJ.1(198
2),139−146参照)のための遺伝情報を持った縮小T−
領域を含んでいる。この3つの生成物(4,6aおよび6b)
の組み合せが形質転換された植物の新芽形成を促す。pG
V750はもっと小さいT−領域、即ちオクトピンシンター
ゼ遺伝子だけを含んでいる。生成物4,6aおよび6bの為の
情報は、カナマイシン(ネオマイシン)耐性を暗号化し
ている構成物質耐性マーカー遺伝子によって置換されて
しまっている。 pGV700およびpGV750は、BタイプのアクセプターTiプ
ラスミド(第8図および後記実施例3参照)と共に使用
し得る中間クローニングベクターの例である。これらの
ベクターは、それらが所望の遺伝子を含んでいないこと
を除けば、第9図に示したものと部分的に類似してい
る。これらのベクターは、その改良T−領域内にクロー
ンする為の1個の制限エンドヌクレアーゼサイトを含ん
でいるので、所望の遺伝子を簡単にそれらのベクターに
挿入することができる(第14図および第15図参照)。 実施例3 アクセプターTiプラスミドpGV2260(タイプ
B)の組み立て 出発株およびプラスミド: Agrobacterium tumefaciens(野生型Agrobacterium
から誘導される、リファンピシン耐性株C58C1およびエ
リスロマイシン−クロラムフェニコール耐性株C58C1) Tiプラスミド=pGV2217 中間ベクター(第16図)=pGV745 TiプラスミドpGV2217の組み立てについては詳細に記
載されている(Leemansら、EMBO J.1(1982),147−15
2)。これは、オクトピンTiプラスミドの全TL−領域の
欠失置換突然変異体を含んでいる:即ち、BamH Iフラグ
メント8、30b、28、17aおよびBamH Iフラグメント2の
左の3.76kb BamH I−EcoR Iフラグメント(De Vosら、P
lasmid6(1981),249−253)が、Tn5のapt(アセチルホ
スホトランスフェラーゼ)遺伝子を含んでいるpKC7のEc
oR I−BamH Iフラグメント(Rao & Rogers,Gene7(197
9),79−82)で置き換えられている。この遺伝子はアミ
ノグリコシド、ネオマイシンおよびカナマイシンに対す
る耐性を暗号化している。 中間ベクターpGV745の組み立てを第16図に模式的に示
した。これについて以下に詳述する。組換えプラスミド
pGV713を、α配向でHind IIIフラグメント14、18c、22e
および38cを含む、オクトピンTiプラスミドサブクロー
ンpGV0219(De Vosら、Plasmid6(1981),249−253)か
ら誘導した。pGV0219DNAをBamH Iで完全に消化し、次い
で自己結紮(セルフライゲーション)に有利な条件下で
ライゲーションした(ライゲーション混合物中のDNAの
最終濃度<1μg DNA/ml)。アンピシリン耐性で形質転
換体を選別し、制限酵素による消化で物理的に特性化し
た。こうしてpGV0219に存在する6.5kb BamH Iフラグメ
ントはもはや含んでいないクローンを分離し、これをpG
V713と名付け、その後のクローニングに使用した(以下
の記載参照)。BamH Iフラグメント2を含んでいるpGV0
120(De Vosら、Plasmid6(1981),249−253)から組換
えプラスミドpGV738を誘導した。pGV0120DNAをEcoR Iで
消化し、pGV713の場合と同様にして自己結紮させた。形
質転換体をアンピシリン耐性によって選別し、制限酵素
消化により分析した。EcoR Iフラグメント20、12および
EcoR Iフラグメント19aの一部とpBR322の一部を含んで
いる2.95kb EcoR Iフラグメントが全て除去されたクロ
ーンをpGV738と名付け、更にその後のクローニングに利
用した。このプラスミドは、依然としてBamH Iフラグメ
ント2の右側部分からの5.65kb EcoR I−BamH Iフラグ
メントを含んでいる(De Vosら、Plasmid6(1981),249
−253)。 次いでpGV713DNAをHind IIIおよびBamH Iで消化し、
消化物をプレパラティブアガロースゲルにかけた。電気
泳動の後、pGV713内に含まれている2.30kb Hind III−B
amH Iフラグメントを電気溶出で純化した(Allington
ら、Anal.Biochem.85(1975),188−196)。このフラグ
メントをHind IIIおよびBamH Iで完全に消化したpGV738
とライゲーションした。形質転換後、アンピシリン耐性
コロニーを、制限酵素消化により物理的に特性化する。
例えば、EcoR I−BamH I消化により、それぞれ3.98kb
(=ベクター部分)と7.95kb(=挿入部分)の2つのフ
ラグメントが得られるはずである。この特性を持った組
換えプラスミドはpGV745と命名され、アクセプターTiプ
ラスミドpGV2260を組み立てるための中間ベクターとし
て使用された。 プラスミドpGV745はpBR322部分にCol E1特異的bomサ
イトを持っており、実施例1に記載した様に(アクセプ
ターTiプラスミドpGV3850の組み立てについて)、ヘル
パープラスミドR64drd11およびpGJ28を使ってE.coliか
らAgrobacteriumへ授動させることができる。 pGV745を、リファンピシン耐性でありTiプラスミドpG
V2217を含んでいるAgrobacterium株C58C1に授動させ
た。最初の乗り換えは、実施例1(アクセプターTiプラ
スミドpGV3850の組み立て)に記載した方法と同じ方法
で、pBR322のアンピシリン耐性を使って選択した。2回
目の乗り換えにより、pGV2217に存在する欠失置換突然
変異体がプラスミドpGV745のpBR322配列によって置換さ
れる。pGV745のpGV2217との相互組込みの結果得られる
アンピシリン耐性トランス接合体を、カナマイシン耐性
の欠落により直接選別することにより第2の組換え体を
得た。この様にして、pGV2260(アンピシリン耐性、カ
ナマイシン感受性)を含んでいるリファンピシンAgroba
cterium株C58C1を得た。 このTiプラスミドpGV2260は、pGV700−またはpGV750
−タイプの中間クローニングベクター用のアクセプター
プラスミド(Bタイプ)として使用されるものである。
これらは、(i)アンピシリン耐性遺伝子、複製起源お
よびpBR322のbomサイトを持ったDNAフラグメント、(i
i)TL−DNAの左右の境界配列のすぐ外側に位置するDNA
配列および、中間クローニングベクターのE.coliからAg
robacteriumへの転移並びにそのアクセプターTiプラス
ミドpGV2260への相互組込みを遺伝学的に選別し得る、p
BR322に既に存在している耐性マーカーとは別の、もう
1つの耐性マーカーを含んでいるDNAフラグメント、で
構成されている。 例えば、本発明者らは、pGV2260とpGV700との間の相
互組込み体を持っているAgrobacteriumは、所望のDNA配
列(T−DNA境界の間に含まれている)を植物細胞ゲノ
ムへ転移させ得ることを立証した。この形質転換された
植物細胞は、もしpGV700が3つの生産物のための遺伝情
報(4、6a、6b;Willmitzerら、EMBO J.1(1982),139
−146)を含んでいる場合は、期待される表現形質、即
ち新芽を生じる腫瘍を示す。この様に、本発明者らは、
BタイプのアクセプターTiプラスミドは、第9図に示
し、更に実施例2に記載したタイプの中間クローニング
ベクターとの相互組込み体として使用すると、DNAを植
物細胞に転移させることができることを証明した。 実施例4 植物に発現させようとする遺伝子を含んだ中
間クローニングベクターの組み立て 本発明が完成されるまで、TiプラスミドのT−領域内
の、多かれ少なかれでたらめな位置に全遺伝子を挿入し
ても、その外来性の配列が植物ゲノムへ転移した後発現
されるということはなかった。本発明方法に従えば、所
望の外来性遺伝子(群)の暗号領域を、植物細胞中で機
能することが知られている転写開始および終了信号に連
結することができる。この方法の有用性は、ノパリンシ
ンターゼ遺伝子を暗号化しているDNA配列が関与する、
本発明の実験によって例証される。この遺伝子の全配列
および正確な転写開始および終了は既知である(Dep−i
ckerら、J.Mol.Appl.Genet.1(1982),561−574)。本
発明によれば外来性遺伝子の蛋白質暗号化領域はnosプ
ロモーターの隣りに挿入することができる。外来性遺伝
子配列の例として、オクトピンシンターゼ遺伝子の暗号
領域(De Greveら、J.Mol.Appl.Genet.1(1982),499−
512)をnosプロモーターに隣接させて挿入する。この構
造物はアクセプターTiプラスミド内に授動され、植物を
感染させるのに使用される。生成した腫瘍組織にオクト
ピンが存在するかどうかを分析した所、陽性であること
がわかった。 キメラノパリンプロモーターを含有している中間クロ
ーニングベクターの組み立て:オクトピンシンターゼ構
造遺伝子を第18図〜第20図に示す。 簡単に言えば、no遺伝子を含んでいる制限フラグメン
トHind III−23をインビトロで処理してnos暗号配列の
大部分を除去する一方、制限エンドヌクレアーゼサイト
BamH Iに隣接しているnosプロモーターは保持する(第1
8図)。10μgのpGV0422(完全なnos遺伝子を含むHind
III−23フラグメントを持ったpBR322誘導体;Depicker
ら,Plasmid(1980),193−211)をSau 3Aで消化し、nos
プロモーターを含んだ350bpのフラグメントをプレパラ
ティブ5%ポリアクリルアミドゲルで分離する。このプ
ロモーターフラグメントを、5′−末端燐酸エステル基
を除去するために予め細菌性アルカリホスファターゼ
(BAP)で処理した、Bgl II−切断pKC7(Raoら、Gene7
(1979),79−82)に結合させる。得られたプラスミド
(pLGV13)20μgをBgl IIで消化し、400μの12mM Mg
Cl2、12mM CaCl2、0.6M NaCl、1mM EDTAおよび20mMトリ
ス−HCl(pH8.0)中、30℃でBal31エキソヌクレアーゼ
(Biolabs,New England)7単位を用いて4〜10分間処
理する。この間、約20〜50bpのDNAが除去される。このB
al31−処理分子をBamH Iで消化した後、DNAポリメラー
ゼのKlenowフラグメントと4つのデオキシヌクレオシド
トリホスフェート(それぞれ10mM)と共にインキュベー
トして、その末端を満たす。充填されたBamH I末端とBa
l31除去末端とのライゲーションから得られる再生BamH
Iサイトを持ったプラスミドを選別する。いくつかの候
補のBamH I−Sac IIフラグメントのサイズを6%尿素−
ポリアクリルアミドゲル中で見積り、サイズが200〜280
ヌクレオチドの範囲にある候補のヌクレオチド配列を決
定する。プロモーターを持った203bpのSac II−BamH I
フラグメントを含んでいるクローンpLGV81を、pGV422の
nos遺伝子中のSac II−BamH Iフラグメントと置換する
のに使用する:この最終プロモーターベクターはpLGV23
81と呼ばれる。全ての組換えプラスミドはE.coli株HB10
1の形質転換により選択する。 この様に処理したnosプロモーターを含んでいるプラ
スミドベクターをBamH Iで消化し、BamH Iフラグメント
に含まれているocsの暗号配列をこのサイトに挿入す
る。このocs暗号配列も、インビトロで処理し、第19図
に示した様に、BamH I制限エンドヌクレアーゼサイトで
囲まれる様にする。オクトピンTiプラスミドB6S3のBamH
Iフラグメント17a l0μg(De Vosら,Plasmid6(198
1),249−253)をBamH IおよびSma Iで消化し、ocs−暗
号配列を含むフラグメントを1%アガロースゲルから分
離し、pBR322の大きいBamH I−PvuI Iフラグメントに結
合させる;得られたプラスミド、pAGV828(20μg)をB
amH Iで消化し、第18図に示した様にエキソヌクレアー
ゼBal31で処理し、次いでHind IIIで消化し、末端を充
填し、自己結合させる。Bal31除去体のサイズは6%ポ
リアクリルアミドゲル中で見積る。いくつかの候補のヌ
クレオチド配列を決定し、5′−非翻訳リーダー配列の
残り7bpだけを持った候補を選択して以下の操作に付す
(pOCS△)。ocs配列をBamH Iサイトで囲むために、Cla
I−Rsa Iフラグメントを充填し、pLC236(Remautら、G
ene15(1981),81−93)のBal Iサイトにサブクローン
する。得られたプラスミドpAGV40をBamH Iで消化し、oc
s配列を持ったフラグメントをプレパラティブ1%アガ
ロースゲルから電気溶出により分離し、予めBamH Iで消
化しBAP(細菌性アルカリホスファターゼ)で処理したp
LGV2381に結合させる。ocs配列のpLGV2381への挿入によ
り、両方の配向のものが得られる(pNO−1およびpNO−
2)。 nos:cos融合の正確な接合点を示すヌクレオチド配列
を第20図に示す。 更に、処理したnosプロモーターを含有しているプラ
スミドベクターは、酵素ジヒドロフオレートレダクター
ゼを暗号化しているプラスミドR67からのDNAを挿入する
のに使用される。ジヒドロフオレートレダクターゼ遺伝
子を含んでいる暗号配列は、BamH Iに含まれており
(O′Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA78(1981),152
7−1531)、従って既述した様に、プロモーター領域に
隣接するBamH Iサイトを含んでいるnosプロモーターベ
クターに容易に挿入される。この遺伝子は、発現される
と抗生物質メトトレキセートに対する耐性を付与するの
で、選択可能なマーカー遺伝子の1つの例である(第2,
3,4,5および7図参照)。この中間クローニングベクタ
ーが野生型ノパリンアクセプターTiプラスミドを含んで
いるAgrobacteriumに授動されると、単一乗換えが起
り、ハイブリッドTiプラスミドベクターが得られる。こ
のベクター組成物を、植物の感染に使用する。得られた
腫瘍組織は、0.5μg/mlのメトトレキセートの存在下で
継続して生長し得ることがわかった。 ocsおよび上記のnosプロモーターの後のジヒドロフオ
レートレダクターゼ暗号領域を含んでいる中間クローニ
ングベクターを組み立て、Agro−bacteriumのTiプラス
ミドと相互組込みした後、形質転換植物細胞に転移、発
現させることにより、本発明方法によって外来性遺伝子
を植物細胞に転移し、発現させることができるというこ
とが証明される。 実施例5 染色体中に所望の挿入遺伝子を含む植物細胞
および植物の分離 本発明者らは、以下の3つの方法のいづれかを使っ
て、非腫瘍性アクセプターTiプラスミド誘導体(例えば
pGV3850)で形質転換された植物細胞および全植物を得
た。 (1) インビボでの全植物の接種、次いで新芽の再生
が可能な培地上、インビトロでの培養、 (2)損傷部位で直接新芽の生成を促す他のAgrobacter
ia株の存在下、インビボにおける全植物の相互感染、 (3)インビトロでの単一植物細胞プロトプラストの共
生培養。 これらの方法について以下に詳述する。 最初の方法は、クラウンガル組織の生産をもたらす全
植物組織の野生型Agrobacterium株による感染体を得る
為に通常使用される方法を改良したものである。pGV385
0は腫瘍を形成しないAgrobacterium誘導体であるので、
感染部位において腫瘍の増殖はみられない。しかし感染
した組織を取り除き、組織培養で増殖させると、形質転
換された組織を容易に得ることができる。初期培養期間
(単に組織の量を増やすため)の後、損傷部位組織を新
芽形成が可能な条件下で増殖させる。非形質転換細胞お
よびpGV3850−形質転換細胞の両者が新芽を発生する。
形質転換新芽は、ノパリンの存在をみる簡単な分析によ
り容易に区別することができる。 本発明者らは、次のプロトコールに従って、Nicotian
a tabacum Wisconsin 38の頭部を切断したタバコの苗木
から、pGV3850−形質転換カルスおよび新芽を得た(全
ての操作はラミナーフローフード中、無菌条件下で行な
った)。 (1)小さなびん(直径10cm、高さ10cm)の中で、0.8
%の寒天を含む固形のMurashige & Skoog(MS)培地
(MurashigeおよびSkoog,Physiol.Plant.15(1962),47
3−497)で生育させた6周令のタバコの苗木を使用す
る。 (2)外科用メスで最も若い頭頂の葉を切り取って捨て
る (3)選択的条件(例えばTiプラスミドpGV3850を含ん
でいるリファンピシン耐性、アンピシリン耐性Agrobact
erium株の場合は、100μg/mlのリファンピシンと100μg
/mlのカルベニシリンを含んでいるYEB培地を使用する;Y
EB培地=5g/Bactoビーフエキス、1g/Bacto酵母エキ
ス、5g/ペプトン、5g/シュクロース、2×10-3M Mg
SO4,pH7.2,15g/寒天)で増殖させた新鮮な平板培養か
らのAgrobacteriumを、スパーテルまたはつまようじで
損傷表面に接種する。各pGV3850組み立て物を、少なく
とも8本の苗木に接種する。 (4)2週間インキュベートする。接種部位にほとんど
あるいは全く反応が表われないはずであるが、時々非常
に小さいカルス(calli)が観察される。 (5)損傷表面から厚さ1mm以下の薄い切片を切り取
る。損傷表面を、オーキシンおよびサイトキニン(1mg/
NAA、0.2mg/BAP)および1%シュクロースを添加し
たLinsmaier & Skoog(LS)寒天培地(Linsmaier and
Skoog,Physiol.Plant.18(1965),100−127)を含む平
板上で培養する。 (6)約6週間後、カルスはその一部をとってノパリン
の存在を試験するのに十分なだけの大きさになる(少な
くとも直径が約5mmになる)。全ての損傷カルスがノパ
リンを生産する訳ではない。4本の植物の内約1本がノ
パリン陽性損傷カルスをつくる。 (7)ノパリン陽性カルスを再生培地を含む寒天平板に
移す:上記のLS培地+1%シュクロースおよび1mg/BA
Pサイトキニン (8)約4〜6週間後に良好なサイズの新芽(高さ1c
m)が出る。更に成長させ、根を形成させるために、こ
の新芽を、ホルモンを含まないLS培地+1%シュクロー
スを含有している新しい寒天平板に移す。 (9)ノパリンの存在を試験するのに、その一部(1〜
2枚の小さな葉)を切り取れる様に、この新芽を1〜2
週間成長させる。 (10) ノパリン陽性の新芽を、(1)と同じMS培地を
入れたやや大きい容器(上記と同じ10cmのびん)に移
し、更に成長させる。 注)感染させた組織のための全ての植物培養培地に
は、pGV3850含有Agrobacteriumに対する選択的毒物とし
て、抗生物質セフオタキシム(cefotaxime、Clafora
nR、ヘキスト)50μg/mlが含まれている。この薬物は、
全てのAgrobacterium(カルベニシリン耐性のものを含
む)の生長をよく阻止する。 本発明者らの研究室で、形質転換された新芽を出す組
織を得る別の方法が開発された。この方法は、Agrobact
eriumのある種のミュータントTiプラスミド株が、新芽
を出すクラウンガル腫瘍を生成させるということを観察
したことに基いて開発された。この様な新芽−誘起(sh
i)に関する突然変異は、A.tumefaciensのTiプラスミド
のT−DNA(転移DNAセグメント)の特定の領域に位置し
ている(Leemansら,EMBO J.1(1982),147−152;Joos
ら,Cell32(1983),1057−1067)。誘起された新芽は完
全に正常な非形質転換細胞で構成されていることが多
い。従って本発明者らは、2つの異なったAgro−bacter
ia、即ち1つはオクトピンTiプラスミド放出(shoote
r)ミュータントを持ったもの、もう1つはpGV3850を持
ったもの、の混合物で植物を接種した。この様にするこ
とは、オクトピン放出ミューテーションが、pGV3850で
形質転換された根を誘起することが出来るよい機会を与
える。TiプラスミドpGV3850およびオクトピン新芽誘起T
iプラスミドを5:1の割合で含んでいるAgrobacteriumを
植物に接種した。こうすることによりpGV3850−形質転
換新芽を得た。この新芽は、ノパリンの存在について分
析することにより、容易に選別することができる。この
方法は、精巧な組織培養法を必要としない。ノパリン陽
性新芽を、更に生長させるために、長調節ホルモンと共
に単純な塩類と蔗糖を含んだ培地に移す。新芽が十分な
大きさに達した後、容易に繁殖の為の土壌に移すことが
できる。この共感染法は、簡単に組織培養しにくい種類
の植物を形質転換するのに特に有用である。従って、あ
らゆる範囲の農学的にあるいは経済的に重要な植物、例
えば豆科植物、薬用植物および装飾植物をAgrobacteriu
mで処置することができよう。 第3の方法は、Nicotiana tabacumプロトプラストの
単離およびホルモン−非依存性のT−DNA−形質転換細
胞クローンの選択を、そのプロトプラスト−由来細胞と
腫瘍性Agrobacterium株との共培養後に実施し得るもの
である。他の優勢な選択マーカー、例えば高等植物細胞
で発現される様に組み立てられた抗生物質耐性遺伝子を
使用すれば(実施例3参照)、形質転換細胞を選択する
のに類似の方法を使用することができる。しかしこの場
合は、それぞれのケースについて選択の最適条件をみつ
ける必要がある(選択剤の濃度、形質転換と選択の間の
時間、選択培地注のプロトプラスト−由来細胞または細
胞コロニーの濃度など)。形質転換細胞の選択ができな
い場合、例えばpGV3850またはpGV2217(Leemansら,EMBO
J.1(1982),147−152)の様な非毒性のT−DNAミュー
タントを用いたために選択が不可能な場合は、遺伝学的
形質転換の後に細胞をオーキシン−およびサイトキニン
−含有培地(例えば2mg/のNAA(α−ナフタレン酢
酸)および0.3mg/のカイネチンを含むMurashigeおよ
びSkoog培地(MurashigeおよびSkoog,Physiol.Plant15
(1962),473−497))で培養し、形質転換コロニーを
そのオパイン(opine)含有量で同定することができ
る。この様にして、アグロピン(agropine)およびマノ
ピン(mannopine)合成の電気泳動分析(方法について
はLeemansら,J.Mol.Appl.Genet.1(1981),149−164参
照)の後、約660コロニーが、pGV2217で感染後に得ら
れ、TR−暗号化オパイン・マノピン(N2−(1−マニチ
ル)−グルタミン)を合成するNicotiana tabacum SR1
セルラインであることがわかった。このセルラインのカ
ルス切片を再生培地(唯一の植物成長調節剤としてBAP
(6−ベンジルアミノプリン)(1mg/)を含むMurash
ige and Skoog培地)上で培養すると、数多くの新芽が
形成した。分析した20の新芽の全てが、依然としてマノ
ピンを合成することができた。ホルモンを含まないMura
shige and Skoog培地に移した後、これらの新芽は、依
然としてマノピンを含有し、形態学的に正常なタバコ植
物に成長した。 N.tabacumについて次に記載するプロトプラストの分
離および形質転換法は、N.plumbagini−foliaにも用い
ることができる。 2.実験手法 2.1.新芽培養条件 培養室内の無菌条件下(1日16時間、1500ルックスの
白色蛍光(“ACEC LF 58W/24300゜K Economy")、24
℃、相対湿度70%)、250mlのガラスびんに入れたホル
モン不含のMurashige and Skoog培地(Murashigeおよび
Skoog,Physiol.Plant 15(1962),473−497)上でNico
tiana tabacumの新芽培養を維持する。5周令の新芽培
養をプロトプラストの分離に使用する。 2.2.プロトプラストの分離 プロトプラストの分離および培養における全ての工程
は無菌操作で行なう。混合酵素法によりプロトプラスト
を分離する。長さ2cm以下の非常に若い葉を除く、全て
の葉をプロトプラストの分離に使用することができる。
鋭利な外科用のメスで、葉を幅約2−3mmの細長い小片
に切断する。この葉材料2〜3gを、酵素混合物50ml中、
暗所で、24℃にて18時間静置培養する。この酵素混合物
は、ホルモン不含のK3培地中、0.5%セルラーゼOnozuka
R−10および0.2%マセロザイムOnozukaR−10からな
っている(NagyおよびMaliga,Z.Pflanzenphysiol.78(1
976),453−455)。この混合物は、0.22μm細孔膜を通
して過滅菌し、顕著な活性の低下をきたすことなく、
−20℃で少くとも6ヵ月間貯蔵することができる。 2.3.プロトプラスト培養 18時間培養した後、プロトプラストを放出するために
混合物を穏やかに撹拌する。次いでこの混合物を50μm
のふるいを通して過し、液を10mlの遠心管に移す。
振動バケツローターに入れて60〜80gで6分間遠心分離
すると、プロトプラストが暗緑色の浮遊バンド(帯)を
形成する。プロトプラストの下層の液およびペレット状
の残骸を、蠕動ポンプに連結した毛細管を使って取り除
く。プロトプラストを1つの遠心管に集め、培養培地で
2回洗浄する。この培養培地は、NAA(0.1mg/)およ
びカイネチン(0.2mg/)を成長調節剤として含有する
K3培地である(NagyおよびMaliga,Z.Pflanzenphysiol.7
8(1976),453−455)。この培地はpH5.6に調節し、0.2
2μmの過膜を通して減菌する。2回目の洗浄の後、T
homa血球計算器(“Assistant",西ドイツから入手)を
用いてプロトプラストを計測し、最終密度105プロトプ
ラスト/mlとなる様に培養培地に懸濁する。直径9cmの組
織培養様良質ペトリ皿当たり10mlの容量でプロトプラス
トを培養する。このペトリ皿をParafilmRでシールし、2
4℃で、暗所次いでかすかな光(500〜1000ルックス)を
当てて24時間培養する。 2.4.共生培養による形質転換 分離5日後にプロトプラスト培養株を感染させる。Ag
robacteriumを液体LB培地(Miller,Experiments in M
olecular Genetics(1972),Cold Spring Harbor L
aboratory,New York)中で18時間培養後、2×109細胞
/mlの密度となる様にK3培養培地に再懸濁する。この懸
濁液50μを植物プロトプラスト培養株に加え、Parafi
lmRでシールした後、この培養株を2.3.と同じ条件下で
培養する。48時間後に培養株を10mlの遠心管に移し、振
動バケツローターに入れ、60〜80gで6分間遠心分離す
る。浮遊バンドおよびペレットを集め、抗生物質(カル
ベニシリン1000μg/mlまたはセフォタキシム500μg/m
l)を補足したK3培地(NagyおよびMaliga,Z.Pflanzen p
hysiol.78(1976),453−455)10mlに再懸濁する。 培養2週間後、プロトプラスト−由来マイクロカルス
を遠心分離し、前記と同濃度の成長調節剤および抗生物
質を含むがシュクロースに関しては0.4Mの代りに0.3M含
むK3培地(NagyおよびMaliga,Z.Pflanzenphysiol.78(1
976),453−455)に再懸濁する。この培地の細胞密度は
約25×103マイクロカルス/mlに調節する。同じ条件下で
更に2週間培養した後、カルスを、前記と同濃度の抗生
物質を含むが、より低濃度のシュクロース(0.2M)と成
長調節剤(NAA0.01mg/、カイネチン0.02mg/)を含
むK3培地に移す。更に2〜3週間培養後、形質転換体と
推定されるものは、その淡緑色の密な外観、およびより
良好な成長度から認識することができる。これらのコロ
ニーを、より低濃度の抗生物質(カルベニシリン500μg
/mlまたはセフオタキシム250μg/ml)を含むがホルモン
不含の0.6%寒天固形培地(LinsmaierおよびSkoog,Phys
iol.plant.18(1965),100−127)に移す。形質転換体
と推定されるものが直径約3−4mmに達した時、ホルモ
ン不含の培地で生育しているそれらにオパイン試験を施
すことができる。各コロニーの半分を、オクトピンおよ
びノパリン(Aertsら,Plant Sci.Lett.17(1979),43
−50)またはアグロピンおよびマノピン(Leemansら,J.
Mol.Appl.Genet.1(1981),149−164)の検出に使用す
る。この試験により、ホルモン不含の培地で選択された
コロニーの形質転換された性質を確認することができ
る。その後、選択されたコロニーを抗生物質不含の培地
で培養することができる。 2.5.ホルモン不含培地上の選択なしの共生培養 形質転換細胞の為の選択ができない(例えば無毒性T
−DNAミュータントを使ったため)場合、またはそれが
必要でない場合(抗生物質耐性遺伝子の様な優勢な選択
し得るマーカーがT−DNAに存在している為)、プロト
プラスト−由来細胞の処理を簡略化することができる
(ホルモン減少工程はもはや必要でない)。感染段階ま
で、プロトプラストを既述した様に処理する。細菌を加
えて48時間後にプロトプラスト−由来細胞を遠心分離し
(6分、60−80g)、非常に低密度で細胞の成長を維持
することができるAG培地(Caboche,Planta149(1980),
7−18)に再懸濁する。Fuchs−Rosenthal計数チエイン
バー(“Assistant",西ドイツより入手)を使って計測
し、以下の操作に必要な密度になる様に再懸濁する。オ
パイン試験のためにコロニーを個々に操作しなければな
らない場合は、低細胞密度(1ml当たり100プロトプラス
ト−由来細胞および細胞コロニー)で植えつけると、1
ヵ月の培養で大きい細胞コロニーが得られる。形質転換
細胞を薬物で選択できる場合は、細胞を高密度(103−1
04/ml)で培養し、各タイプの選択に最適な時期及び濃
度で、その使用する選択剤を培地に添加する。 2.6.カルス組織から全植物の再生 カルス組織から正常植物を容易に得ることができる
(例えばプロトプラスト形質転換から、または全植物接
種から(2.7参照)得られる)。カルス組織を、1mg/ml
のBAPを含んでいるMurashige and Skoog培地で増殖させ
る:この培地は1〜2ヵ月後に新芽を形成させる。この
新芽をホルモン不含の培地に移し、根を形成させ、完全
な植物をつくらせることができる。 2.7.タバコ苗木への腫瘍の誘導 タバコの種子(例えば栽培品種Wisconsin38)の表面
を70%変性エタノール/H2Oで2分間、次いで10%の市販
の標白剤と0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)で処理
して滅菌し、更に滅菌水で5回洗浄する。この滅菌した
種子を、Murashige and Skoog(0.7%寒天)培地の塩類
を含む大型試験管(幅25mm、ポリカーボネート製のキッ
プ付)にまく。次いでこの試験管を培養室(12,000ルッ
クス、16時間照射/8時間非照射、70%相対湿度、24℃)
に入れて培養する。4〜6週間経つと植物は使用できる
状態になる。少なくともその後1ヵ月間は最適の状態を
維持する。苗木は少なくとも高さ3cmになり、4枚また
はそれ以上の葉を持つはずである。新しい外科用メスで
植物の最も若い節間を通して横に頭部を切断する。植物
の上の部分を試験管から取り除き、火にかけたスパーテ
ルで平板寒天培養から細菌を損傷表面に塗抹する。野生
型の場合は2週間後に、ある種の変性ミュータント株の
場合はもっと後に腫瘍が現れる。この方法は、タバコ
(Nicotiana tabacum)、Nicotiana plumbagini folia
およびびPetunia hybridaを接種するのに使われる。 以上述べた如く、本発明は、野生型TiプラスミドのT
−領域の腫瘍機能が欠落しているハイブリッドTiプラス
ミドを保持しているAgrobacteriumで、初めて植物を形
質転換することを可能ならしめたものである。Tiプラス
ミドから植物細胞へのDNAの転移に及ぼすT−領域の腫
瘍機能の影響は知られていないので、それでも所望の遺
伝子を含んでいる改良T−領域の植物細胞への転移が起
ることは驚くべきことである。この転移DNAは植物細胞
ゲノムに相互組込みされ、安定に保持される。更に、選
択した所望の遺伝子は、その遺伝子が適当なプロモータ
ー配列を含んでいるか、あるいは含む様に組み立てられ
ると発現することができる。所望の遺伝子を含んでいる
中間クローニングベクターと、特別に設計されたアクセ
プターTiプラスミドとの間で単一乗換えを行わせるとい
う本発明の概念(アイディア)は、植物細胞の形質転換
の為のハイブリッドTiプラスミドベクターの組み立てを
著しく簡単なものにするものである。この特別に設計さ
れたアクセプターTiプラスミドは、所望の遺伝子(これ
は中間クローニングベクターの一部と同じであるかまた
はこれに関連しているクローニング媒体中に挿入されて
いる)が単一乗換えによって相互組込み体を形成するこ
とができる様に、通常のクローニング媒体のDNAセグメ
ントを含んでいる。このクローニング媒体の2つのセグ
メントが、組換えの為に必要な相同領域を提供する。 本発明方法によって調製された微生物、中間クローニ
ングベクター、アクセプターTiプラスミド、およびハイ
ブリッドプラスミドベクターは、1983年12月21日、Germ
an Collection of Microorganisms(DSM)(Goettinge
n)に寄託され、確認された以下の培養株で例示され
る: (1)Escherichia coli K12HB101中の中間ベクタープ
ラスミドpAcgB、 (2)カルベニシリン耐性アクセプターTiプラスミドpG
V3850を保有しているAgrobacterium tumefaciens C58C1
リフアンピシン耐性株、 (3)Escherichia coli K12株K514(thr leu thi lac
hsdR)中の中間ベクタープラスミドpGV700、 (4)Escherichia coli K12株K514((3)と同じ)中
の中間ベクタープラスミドpGV750、 (5)カルベニシリン耐性アクセプターTiプラスミドpG
V2260を保有しているAgrobacterium tumefaciens C58C1
リフアンピシン耐性株、 (6)Escherichia coli K12 HB101中の、ノパリンプ
ロモーター支配下のオクトピンシンターゼ暗号領域を保
有している中間ベクタープラスミドpNO−1、 (7)中間ベクターのAgrobacteriumへの授動に使用さ
れた株=授動プラスミドpGJ28およびR64drd11(Van Hau
teら、EMBO J.2(1983),411−418)を保有しているGJ
23;GJ23はEscherichia coli K12,JC2926,AB1157のrecA
誘導体である(Howard−Flandersら、Genetics 49(196
4),237−246)。 これらの培養株の受理番号は、それぞれ2792(1)、
2798(2)、2796(3)、2797(4)、2799(5)、28
33(6)、および2793(7)である。 本発明の態様を色々と記述したが、その基本的な構成
を変化させれば本発明に係る方法および組成物を利用す
るその他の態様が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】 第1図はアクセプターTiプラスミドの模式図、第2図お
よび第3図はアクセプターTiプラスミドに挿入される中
間クローニングベクターの模式図、第4図はハイブリッ
ドTiプラスミドベクターの調製法を示す模式図、第5図
は中間クローニングベクターの遺伝子転移過程の概略を
示す模式図、第6図はAタイプのアクセプターTiプラス
ミドの組み立てを示す模式図、第7図は中間クローニン
グベクターの組み立てを示す模式図、第8図はBタイプ
のアクセプターTiプラスミドの組み立てを示す模式図、
第9図はBタイプのアクセプターTiプラスミドに挿入さ
れる中間クローニングベクターの模式図、第10図はハイ
ブリッドTiプラスミドベクターの組み立てを示す模式
図、第11図は5.2kbHind IIIフラグメントAcgBのpBR322
への挿入を示す模式図、第12図はノパリンTiプラスミド
pGV3839のT−領域を示す模式図、第13図はアクセプタ
ーTiプラスミドpGV3850の組み立てを示す模式図、第14
図は中間クローニングベクターpGV700の組み立てを示す
模式図、第15図は中間クローニングベクターpGV750の構
造を示す模式図、第16図は中間ベクターpGV745の組み立
てを示す模式図、第17図はアクセプタープラスミドpGV2
260の組み立てを示す模式図、第18図はプラスミドpLGV2
381の組み立てを示す模式図、第19図はプラスミドpAGV1
0の組み立て、およびその、プラスミドpLGV2381への挿
入を示す模式図、第20図はオクトピンシンターゼ遺伝子
暗合化領域と融合する前後のノパリンシンターゼ遺伝子
のプロモーター領域の周囲のヌクレオチド配列を示す模
式図である。
フロントページの続き 微生物の受託番号 DSM 2792 微生物の受託番号 DSM 2793 (72)発明者 マーク・チャールズ・ヴァン・モンタギ ュー ベルギー国ブリュッセル、ベー−1050番 (72)発明者 ルイス・ラファエル・ヘレーラ・エスト レラ ベルギー国ジェント、ベー−9000番 (72)発明者 ジャン・ジョセフ・アウグスト・リーマ ンズ ベルギー国ボンハイデン、ベー−2920番 (56)参考文献 EMBO Jcurnal 1[1 ]P.147−152(1982)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.(a)野生型Tiプラスミドの内部T−DNA配列を実
    質的に含まず、かつ (b)(i)暗号配列、および (ii)該暗号配列の天然のプロモーター配列以外のプロ
    モーター配列であって、該暗号配列を含む下流配列の転
    写を調整して植物細胞中でRNAを生成させるプロモータ
    ー配列を含んでいるプロモーター領域、 を含む少なくとも1つの所望の遺伝子を含んでいる、 ことを特徴とする外来DNAをゲノム中に安定に組込んで
    含んでいる植物細胞。 2.所望の遺伝子が構造遺伝子であり、RNAがリーダー
    配列を含むmRNAである特許請求の範囲第1項に記載の植
    物細胞。 3.プロモーター配列が、下流配列の転写の組織特異的
    な調整を付与するものである特許請求の範囲第1項また
    は第2項に記載の植物細胞。 4.組織特異的な調整が、植物の葉、根、茎または花に
    おける調整である特許請求の範囲第3項に記載の植物細
    胞。 5.プロモーター配列が、下流配列の転写の誘導性の調
    整を付与するものである特許請求の範囲第1項または第
    2項に記載の植物細胞。 6.誘導性の調整が、温度、光または添加された化学的
    因子による調整である特許請求の範囲第5項に記載の植
    物細胞。 7.所望の遺伝子が、植物細胞の生産物の合成をコント
    ロールするものである特許請求の範囲第1項〜第6項の
    いずれかに記載の植物細胞。 8.生産物が、アミノ酸または糖類である特許請求の範
    囲第7項に記載の植物細胞。 9.所望の遺伝子が、外部からの病原物質に対する保護
    を付与する生産物の合成をコントロールするものである
    特許請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の植物
    細胞。 10.外部からの病原物質に対する保護が、病原生物ま
    たはストレスとなる環境因子に対する耐性である特許請
    求の範囲第9項に記載の植物細胞。 11.所望の遺伝子が、選択可能なマーカー遺伝子であ
    る特許請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の植
    物細胞。 12.所望の遺伝子が、抗生物質耐性遺伝子である特許
    請求の範囲第11項に記載の植物細胞。 13.外来DNAが、植物細胞中で発現させることができ
    る選択可能なマーカー遺伝子をさらに含んでいる特許請
    求の範囲第1項〜第10項のいずれかに記載の植物細胞。 14.選択可能なマーカー遺伝子が、抗生物質に対する
    耐性を暗号化しているものである特許請求の範囲第13項
    に記載の植物細胞。 15.選択可能なマーカー遺伝子が、メトトレキセート
    に対する耐性を暗号化しているものである特許請求の範
    囲第14項に記載の植物細胞。
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