JP2001029092A - 植物細胞ゲノムへの発現可能な遺伝子の導入法 - Google Patents

植物細胞ゲノムへの発現可能な遺伝子の導入法

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JP2001029092A JP2000186437A JP2000186437A JP2001029092A JP 2001029092 A JP2001029092 A JP 2001029092A JP 2000186437 A JP2000186437 A JP 2000186437A JP 2000186437 A JP2000186437 A JP 2000186437A JP 2001029092 A JP2001029092 A JP 2001029092A
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Patricia Zambryski
パトリシア・ザムブリスキィー
Josef S Schell
ジョセフ・エス・シェル
Jean Pierre E C Hernalsteens
ジャン・ピエール・エー・ツェー・ヘルナルシュテーンズ
Montagu Marc Charles Van
マーク・チャールズ・ヴァン・モンタギュー
Estrella Luis Rafael Herrera
ルイス・ラファエル・ヘレーラ・エストレラ
Jan Josef August Leemans
ジャン・ジョセフ・アウグスト・リーマンズ
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    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8201Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation
    • C12N15/8202Methods for introducing genetic material into plant cells, e.g. DNA, RNA, stable or transient incorporation, tissue culture methods adapted for transformation by biological means, e.g. cell mediated or natural vector
    • C12N15/8205Agrobacterium mediated transformation

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、組換えDNA分子、その調製法、
植物細胞へのその導入法、およびゲノム中に外来DNA
配列を含んでいる植物細胞またはその植物を提供するも
のである。 【効果】 本発明に係る組換えDNA分子は、植物の成
長、栄養物としてのその品質の改良、または有用な代謝
物(例えば、アルカロイドあるいはステロイドの前駆体)
の生産に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は組換え分子、その調製
法、植物細胞へのその導入法、およびゲノム中に外来D
NA配列を含んでいる植物細胞またはその植物に関す
る。更に詳しくは、本発明は適当な宿主植物細胞中で発
現されるDNA配列に関する。本発明に係る組換えDN
A分子は、植物の成長、栄養物としてのその品質の改
良、または有用な代謝物 (例えばアルカロイドあるいは
ステロイドの前駆体) の生産、に有用なアミノ酸やポリ
ペプチドの如き生産物を暗号化している配列を有するこ
とをその特徴としている。
【0002】以下に本明細書で使用する用語について説
明する。 bomサイト 特異的にmob 機能体が相互作用して自律的
DNA転移移動を開始させるDNA領域 境界配列 T−DNAの末端を含むDNA配列 広範囲宿主レプリコン 多種多様の宿主細胞に転移(ト
ランスファ−)され、保持され得るDNA分子 カルス組織 未組織、未分化の細胞の塊 クロ−ニング 無性生殖により、1個の生物 またはD
NA配列から一群の該生物またはDNA配列を得る操作
過程、または、よりわかり易く言えば、特定の生物また
はその一部を分離し、そのサブフラクションを均質な集
団として増殖させる操作過程
【0003】クロ−ニング媒体 宿主細胞中で複製し得
るプラスミド、フア−ジDNAまたはその他のDNA配
列であって、そのDNA配列は、例えば複製、外殻蛋白
質の生産など、そのDNAの必須の生物学的機能、ある
いはプロモ−タ−または結合部位を付随的に失なうこと
なく、その場所で正確にその配列を切断することのでき
る1個または少数のエンドヌクレア−ゼ認識部位を持っ
ており、また、それが導入された細胞(形質転換された
細胞)を同定確認するのに有用なマ−カ−(例えばテトラ
サイクリン耐性あるいはアンピシリン耐性)を持ってい
ることで特徴づけられる。クロ−ニング媒体は、しばし
ばベクタ−とも呼ばれる。 暗号配列 ポリペプチドのアミノ酸配列を決定するDN
A配列 相互組込み体(コインテグレ−ト) 2個の環状DNA分
子間の単一交叉により得られる構造体
【0004】トランス相補性 他のレプリコンに物理的
に結合していないDNA分子(レプリコン)が、その結合
していない他のレプリコンにとって必要かつ欠落してい
る拡散性物質を供給することができる過程 接合(コンジュゲ−ション) 細胞同志の接触により、1
つのタイプの細菌から他のタイプの細菌にDNAが転移
すること 乗換え 相同なDNA配列間で遺伝物質が交換すること 欠損置換 1個のDNA配列が除去され、その代りとし
て異なったDNA配列で置換されること 分化 ある細胞の子孫が特殊な構造と機能を獲得し、更
にそれを維持すること DNA配列またはDNAセグメント 隣接するペント−
スの3' 位と5' 位の炭素間の燐酸ジエステル結合によ
り互いに連結したヌクレオチド群の一直線の配列
【0005】二重乗換 相互組込み(コインテグレ−ト)
構造が2個の環状DNA分子に分解する過程。この過程
は遺伝情報を交換するのに利用される。このDNA環状
体の一方は、それによって組換えが生じ得る標的DNA
と相同な2つの領域を持っており、この2つの領域は、
標的DNAと交換される非相同DNA配列をはさんでい
る。もし1回目の交叉と2回目の交叉が同じDNA領域
で起ると、もとのDNA環状体が生成する。この2回目
の交叉が第2の相同領域で起ると、2つの環状体の間で
遺伝子の交換が起ることになる。 発現 構造遺伝子によりポリペプチドが生産される過
程。これは転写と翻訳の組合せである。 発現調節(コントロ−ル)配列 構造遺伝子に有効に結合
された場合、それらの構造遺伝子の発現を調節し、統制
するヌクレオチド配列
【0006】F型プラスミド F因子(Fはfertility
(生殖力))を持ったプラスミドであって、F因子を持た
ない宿主に該プラスミドのコピ−を移入することのでき
るプラスミド 遺伝子 2つの部分、即ち(1)遺伝子生産物のための暗
号配列および(2)その遺伝子が発現されるかどうかを調
節しているプロモ−タ−領域内の配列、から構成されて
いるDNA配列 ゲノム 細胞またはウイルスの全DNA。これは、まず
ポリペプチドを暗号化している構造遺伝子、更にオペレ
−タ−、プロモ−タ−、リボゾ−ムの結合配列および相
互作用配列(たとえばShine‐Dalgarno配列)を含んで
いる。 遺伝子型 ある生物に含まれている遺伝情報の全て 相同的(性)組換え 相同配列を含んでいるDNA上の2
つ領域間の組換え
【0007】I型プラスミド Fとは異なる不和合性グ
ル−プの一群の自律転移性プラスミド 不和合性 選択圧(selective pressure)がないと、同一
の細胞に2個のDNAが共存し得ないこと 挿入 あるDNA配列を、別の分子のDNA配列内に付
加すること リ−ダ−配列 5' 未端から最初の構造遺伝子の先端に
至るまでの mRNA上の領域。これには構造遺伝子の暗
号配列の翻訳を開始するのに重要な部位が含まれてい
る。 減数分裂 はじめの4n 個の染色体が、2回の連続した
分裂により生成した4個の細胞のそれぞれに1n個ずつ
分布するようになる過程。この過程は有性生殖に於いて
重要である。
【0008】mob (授動機能体) tra 機能体との組合せ
に於いてのみDNAの転移を促す一連の生成物。mobはb
om サイトを含んでいるプラスミドの移動を促すことが
できる。授動(モビリゼ−ション) 別の細胞へ転移する
ことのできないDNA分子が、他のDNA分子の助けを
借りて転移する過程 授動ヘルパ−プラスミド 他のプラスミドが持っていな
い、別の宿主細胞へ転移するための拡散性生成物を供給
することができるプラスミド 非接合性組換えプラスミド 細胞同志の接触により、そ
れ自体では、もとの宿主細胞から他の宿主細胞へ転移す
ることができないDNA分子。転移するには、他のDN
A、例えばヘルパ−プラスミドによって供給される機能
体が必要となる。
【0009】ヌクレオチド 糖部分(ペント−ス)、燐酸
エステルおよび含窒素異項環塩基から構成されているD
NAまたはRNAの単量体単位。この塩基は糖部分とグ
リコシド結合で連結しており(ペント−スの1' 位の炭
素)、この塩基と糖とが結合したものがヌクレオシドで
ある。ヌクレオチドの特性はこの塩基によって決まる。
DNAの4個の塩基はアデニン(“A")、グアニン
(“G")、シトシン(“C")およびチミン(“T")であ
る。RNAの4個の塩基はA、G、Cおよびウラシル
(“U")である。 表現形質 発育環境と遺伝子形質との相互関係によって
生成する個体の観察し得る特性
【0010】プラスミド それ自体が宿主細胞中で複製
される、完全な(無傷の)レプリコンからなる非染色体性
の2本鎖DNA配列。このプラスミドを単細胞生物に入
れると、そのプラスミドのDNAによって、その生物の
性質が変わる、即ち形質転換される。例えば、テトラサ
イクリン耐性(TcR )のための遺伝子を持ったプラスミ
ドにより、本来はテトラサイクリンに感受性のある細胞
が耐性のある細胞に形質転換される。プラスミドによっ
て形質転換された細胞を形質転換体と呼ぶ。 ポリペプチド 隣接するアミノ酸どうしがα−アミノ基
とカルボキシル基とのペプチド結合により互いに連結し
た線状のアミノ酸連鎖 プロモ−タ−領域 遺伝子の転写を統制している、暗号
配列の開始点より上流のDNA配列 プロモ−タ−配列 RNAポリメラ−ゼが結合する配列
であり、ポリメラ−ゼはそれより下流の配列の忠実な転
写を促進する。
【0011】組換えDNA分子または雑種(ハイブリッ
ド)DNA 少なくとも2個のヌクレオチド配列からな
り、その一方の配列は、自然界では通常第2の配列と共
存しない、その様な配列からなる雑種のDNA配列 組換え DNA分子またはDNA分子の一部分の新しい
結合体を創製すること 相同領域 DNAの別の領域に於ける配列と同じDNA
配列を持っているDNA領域 レプリコン DNAの複製開始サイトおよび複製を支配
するのに必要な機能を指定している遺伝子を持った自己
複製遺伝子単位 制限フラグメント 特定の標的DNA配列を認識する酵
素による2本鎖開裂によって生じるDNA分子 RNAポリメラ−ゼ DNAのRNAへの転写をつかさ
どる酵素
【0012】選択可能なマ−カ−遺伝子 あるDNA配
列であって、それがある細胞内で発現された時、そのD
NA配列を含んでいない細胞より増殖しやすい有利性を
その細胞に与えるDNA配列。細胞を適当な選択的増殖
培地に置くと、この2つのタイプの細胞を区別すること
ができる。通常使用される選択可能なマ−カ−遺伝子は
抗生物質耐性を暗号化している遺伝子である。 単一乗換 2個の環状DNA分子を組換えて、相互組込
みされた大きい環状体を形成させる操作過程 構造遺伝子 ポリペプチドを暗号化している遺伝子 T−DNA 植物細胞ゲノムに安定に組込まれることが
見い出されているTiプラスミドの部分 T−領域 植物細胞ゲノムへ転移するDNA配列を含ん
でいる Tiプラスミドの部分
【0013】Ti プラスミド 感受性植物に腫瘍 (クラ
ウンガル) を誘発させるための遺伝情報を含んでいるA
grobacterium tumefaciens株に存在する大きいプラスミ
ドTL−DNAおよびTR−DNA オクトピンクラウ
ンガル腫瘍細胞は2つのT−DNA配列、即ち左T−D
NA(TL−DNA)および右T−DNA(TR−DNA)
を含有し得る。TL−DNAはノパリン腫瘍細胞のT−
DNAと共通している配列を持っているがTR−DNA
は持っていない。 tra (転移機能(体)) プラスミドに暗号化されている拡
散性の生成物、および細胞間のDNA転移の際に利用さ
れる作用部位の両者を指す。例えば2つの細胞の間に橋
を作るのに必要な生成物およびDNA転移が開始する部
位。 転写 構造遺伝子から mRNAが生産される過程、また
は、塩基対(ベ−スペア)の形成により、DNAに含まれ
ている遺伝情報に基きそれに相補的な塩基配列をもつR
NA鎖が形成される過程
【0014】形質転換 細胞のDNA補体(complement)
に外来性DNAが導入されることによって生じる遺伝的
修飾 翻訳 mRNA からポリペプチドが生産される過程、あ
るいは、 mRNA分子に存在する遺伝情報が、ポリペプ
チド合成において特定のアミノ酸の順序を指定する過程 非分化表現形質 いかなる特異な部分もなく、組織中の
細胞の外観が均一であること ベクタ− 異なった宿主細胞間を転移するように設計さ
れたDNA分子
【0015】
【従来の技術】組換えDNA技術の進歩によって、微生
物の遺伝子工学に新たな展望が開けた。もし1個の体細
胞から、完全な生物を再生することができたら、これら
の技術は多細胞真核生物にまで広がるであろう。ある種
の高等植物の細胞は、優れた再生能力を有し、従って高
等生物の遺伝子工学にとってかっこうの材料となる。
【0016】植物の遺伝子工学の主たる問題点は、外来
性DNAを植物ゲノムに導入する為の系の利用性にあ
る。この様な系には、グラム陰性土壌細菌のAgrobacte
rium tumefaciensが持っている腫瘍誘起(Ti)プラスミ
ドがある。この微生物は、広範囲の双子葉植物の損傷組
織に、クラウンガル(crowngall、冠状コブ)と呼ばれる
腫瘍性形質転換を引き起す原因となることがわかってい
る。この増殖性の腫瘍は、オパイン(opines)と呼ばれる
Tiに特異な新しい代謝物を合成する。この形質転換
は、分子レベルでみると、Ti プラスミドの実体のはっ
きりわかっているT−DNA(転移DNA)フラグメント
が植物細胞ゲノムに転移して安定に組込まれたことによ
って起る。換言すれば、クラウンガル腫瘍は、その染色
体DNAに、腫瘍セルラインをもたらした Tiプラスミ
ド中のDNA配列と相同のT−DNAと呼ばれるDNA
セグメントを含んでいる。あらゆる場合に於いて、この
T−DNAは、連続した一連の TiプラスミドDNAに
相当しており、また、これと共直線性である。従ってこ
れはT−領域と呼ばれる。
【0017】Ti プラスミドはクラウンガル細胞で合成
されたオパインのタイプによって分類される。クラウン
ガル細胞でノパリン[N−α−( 1,3−ジカルボキシプ
ロピル )−L−アルギニン]の合成を惹起させるAgroba
cterium株はノパリン株と呼ばれ、オクトピン[N−α−
( N−1−カルボキシエチル )−L−アルギニン]を合
成するものはオクトピン株と呼ばれる。これらが最も普
通に用いられるAgrobacterium株である。
【0018】植物の遺伝手術にT−DNAをベクタ−と
して使用する試みがモデル実験で行なわれた。この実験
では、インビボにおいて、Agrobacterium T37株の
TiプラスミドからのT−DNAの右側境界部の近くに
14kb 細菌性トランスポソン(transposon) Tn 7が挿
入された。すると、このTiプラスミドを持っているア
グロバクテリアによって惹起される腫瘍中のノパリン合
成が消滅した。更に、サザーン・ブロッテイング・ハイ
ブリダイゼ−ションの結果、その様な挿入を行なわなけ
れば正常であるT−DNA配列の一部分として、この腫
瘍の染色体DNA中に全 Tn7が存在することがわかっ
た (Hernalsteensら、Nature287(1980) , 6
54−656; Holstersら、Mol.Gen.Genet.1
85 (1982) ,283−289) 。この様に、23k
bT−DNAに14kbDNAフラグメントを導入して
も、23kbT−DNAの植物細胞ゲノムへの転移能力に
変化は見られなかった。
【0019】ノパリン株、AgrobacteriumT37の Ti
プラスミドのT−DNAの境界部は非常に正確に調べら
れている。これは全ノパリン Tiプラスミドの極く一
部、約23kbに過ぎない。更に、このT−DNAの境界
部は知られている: 即ち、このT−DNAの境界部を決
めているヌクレオチド配列が調べられ、ノパリン Tiプ
ラスミドの同じ領域と比較された (Zambryskiら、Sci
ence 209 ( 1980), 1385−1391;Zambr
yskiら、J. Mol.Appl.Genet.1(1982),36
1−370 )。このT−領域の境界部が、T−DNAの
植物細胞ゲノムへの組込みに最も関係している様であ
る。
【0020】DNAを植物細胞へ転移させる為のベクタ
−として Tiプラスミドを使用するには、転移したDN
Aの境界部を決めているT−DNA配列を知ることが基
本的に必要である。そうすれば、外来性DNAをこの境
界内に挿入し、確実に植物細胞ゲノムへ転移させること
ができる。更に、この系を利用しようとすれば、形質転
換された植物細胞が、その生育特性において腫瘍の性質
を持たず、正常であるということが重要である。T−D
NA転移の後、正常細胞を生産するには、T−DNA自
体によって暗号化されている機能を知る必要がある。従
って、どの領域が腫瘍表現形質に関係しているか調べる
ために、Ti プラスミドのT−領域の撤底的な遺伝子分
析が行なわれた。
【0021】T−DNAは、クラウンガル表現形質の原
因となる機能体を暗号化している。その遺伝子は、T−
DNAの特定の領域に局在化している( Leemansら、E
MBO J.1(1982),147−152; Willmitze
rら、EMBO J.1(1982),139−146 )。
一般に、腫瘍カルス組織の非分化表現形質を支配してい
る少なくとも4つの遺伝子が存在している。これらの遺
伝子の突然変異体 (ミュ−タント) は、新芽様のあるい
は根の様な外観の形質転換組織を形成させることができ
る。この後者の成果は、腫瘍組織ではなく正常植物組織
中で発現させる為にDNAを植物に転移したいと思う場
合には特に重要である。
【0022】最近、完全な正常植物に再生することがで
きる形質転換新芽を誘導する Tiプラスミド変異体がみ
つかった。これらの植物は繁殖力が旺盛であり、減数分
裂によってT−DNA特異配列を伝達することさえし
た: 即ち、子孫の植物もT−DNA特異配列を含んでい
た ( Otten ら、Mol.Gen.Genet.183(198
1), 209−213 )。しかし、この形質転換植物組
織は、その染色体DNA中に、腫瘍表現形質を支配して
いるT−DNA領域が除去される大がかりな欠損(欠失)
が発生したことにより、著しく小さくなったT−DNA
を含んでいた。この欠損が当初の形質転換時に起ったの
か、新芽の形成をもたらすその後の過程で起ったのかは
不明である。
【0023】Ti プラスミドは大きく(200kb)、その
Ti プラスミドの種々の場所に存在している多くの遺伝
子が植物の形質転換に関係している。従って、T−領域
内の適切な場所に特殊なエンドヌクレア−ゼ認識サイト
を有し、T−DNAを植物細胞ゲノムに転移させて安定
に挿入するのに必要な全ての機能を持ったTi プラスミ
ド由来の小型のクロ−ニングベクタ−を組み立てること
は不可能である。
【0024】所望のDNAフラグメントをTi プラスミ
ドのT−領域の特定の制限酵素開裂サイトに導入する為
の既知の方法の1つは、Escherichia coli (大腸菌)に
おけると同様、Agrobacteriumにおいても複製すること
ができ、T−DNAの所望の制限フラグメントを含んで
いるクロ−ニングプラスミドを組み立てることである。
この様なクロ−ニングベクタ−は「中間ベクタ−」と命
名された。この様な中間ベクタ−は、T−領域によって
暗号化されている機能を分析するのに使用された (Lee
mans ら、J.Mol.Appln.Genet.1 ( 1981),
149−164)。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発現し得る
遺伝子を植物細胞ゲノムへ導入する方法に関するもので
ある。本発明の1つの目的は所望のあらゆる遺伝子(群)
を導入することのできる改良されたアクセプタ−Ti プ
ラスミドを提供することにある。導入される所望の遺伝
子(群)は、そのアクセプタ−Ti プラスミドの相当する
領域と相同の領域を持った新規な中間クロ−ニングベク
タ−内に含まれている。この中間クロ−ニングベクタ−
を提供することも本発明の目的の1つである。
【0026】所望の遺伝子(群)のアクセプタ−Ti プラ
スミドへの導入は、Agrobacteriumに保持されているア
クセプタ−Ti プラスミドと中間クロ−ニングベクタ−
の2つの相同DNAセグメントの間で起る単一乗換えに
よって達成される。この中間クロ−ニングベクタ−は、
ヘルパ−プラスミドを使って、それが増殖するEscheri
chia coli からAgrobacteriumに授動される。この様な
ヘルパ−プラスミドおよび授動のための機能は知られて
いる (Finnegan ら、Mol.Gen.Genet.185 (1
982), 344−351; Figurskiら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 76(1979); Dittaら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA77(1980),
7347)。Agrobacteriumでの単一乗換えの結果、ハ
イブリッドTi プラスミドベクタ−が得られる。この様
なハイブリッドTi プラスミドも本発明の目的の1つで
ある。
【0027】Agrobacteriumに保持されたこのハイブリ
ッドプラスミドベクタ− (以降、ベクタ−組成物とい
う) を直接植物細胞の感染に使用し、次いで所望の遺伝
子生成物の発現についてスクリ−ニングする。植物細胞
をベクタ−組成物で感染させて形質転換植物細胞を調製
するこの方法、その形質転換された植物細胞、およびそ
れから発生した植物を提供することも本発明の目的であ
る。この技法はAgrobacteriumの植物転移性のプラスミ
ド全てに適用することができる。
【0028】以下に添付の図面について詳細に説明す
る。図1は、境界配列(1)および(2)を除き、T−領域
の内部部分を除去して得られる本発明のアクセプタ−T
iプラスミドの1態様を示している。この境界配列は、
T−領域を植物細胞ゲノムに組込むのに必須である。境
界配列(1)と(2)の間の領域(3)が、植物に転移される
であろうDNAセグメントである。このアクセプタ−T
iプラスミドは、中間クロ−ニングベクタ−を単一乗換
えによって組込ますことを可能にしている中間クロ−ニ
ングベクタ−内のDNA配列の少なくとも一部と相同の
DNA配列を持ったDNAセグメント(3)を含んでい
る。Tiプラスミド領域(4)は、Agrobacteriumによっ
てT−領域が植物細胞ゲノムに転移するのに必要な機能
を暗号化している。この領域は、vir−領域と呼ばれる。
【0029】図2は、単一乗換えによって図1のアクセ
プタ−Ti プラスミドに挿入される本発明の中間クロ−
ニングベクタ−を示している。このベクタ−は、所望の
単一乗換えを可能にするアクセプタ−Ti プラスミドの
DNAセグメント(3)の少なくとも一部と相同なDNA
配列を持ったクロ−ニング媒体DNAセグメント(3')
を含んでいる。更に、この中間クロ−ニングベクタ−
は、その天然のプロモ−タ−配列を備えた遺伝子あるい
は遺伝子群(5)を含んでいる。この組み立てに於いて
は、一般に植物の遺伝子を使用することができる。それ
は、他のものに比較して発現され易いと思われるからで
ある。しかし、原理的には、全ゆる所望の遺伝子を挿入
することができる。この中間クロ−ニングベクタ−は選
択マ−カ−遺伝子(6)を含んでいてもよい。この遺伝子
は、植物細胞中でこの遺伝子の発現を可能にするプロモ
−タ−配列を含んでいなければならない。このマ−カ−
遺伝子を含んでいる植物細胞は、それを含んでいない細
胞より、成長の選択有利性を持っていなければならな
い。何故なら、この様にして、このマ−カ−遺伝子を含
んでいるDNAによって形質転換された植物細胞を、非
形質転換細胞と区別することができるからである。
【0030】図3は、図2の中間クロ−ニングベクタ−
と類似の、図1のアクセプタ−Tiプラスミドに単一乗
換えによって挿入される本発明に係る中間クロ−ニング
ベクタ−のもう1つの態様を示している。これは、クロ
−ニング媒体DNAセグメント(3')、所望の遺伝子の
統制のとれた発現を可能にする外来性プロモ−タ−配列
(8)、および、所望により、マ−カ−遺伝子(6)を含ん
でいる。
【0031】図4は、図1のアクセプタ−Ti プラスミ
ドおよび図2並びに図3の中間クロ−ニングベクタ−か
らの、単一乗換えによる本発明に係るハイブリッドTi
プラスミドベクタ−の調製を示す模式図である。
【0032】図5は、E.coliからアクセプタ−Ti プ
ラスミドを含んでいるAgrobacteriumへの、中間クロ−
ニングベクタ−の遺伝子転移に関する諸過程を概略した
ものである。第1段階は、中間クロ−ニングベクタ−を
含んでいるE.coli株(1)と、その後のAgrobacterium
との接合の為の2つのヘルパ−プラスミドを含んでいる
もう1つのE.coli株との接合である。1方のヘルパ−
プラスミドはプラスミド転移に重要なDNA配列(tra)
を含んでおり、他方のヘルパ−プラスミドは授動に重要
な配列(mob) を含んでいる。接合によってこれらのヘル
パ−プラスミドがE.coli株(1)に導入されると、そこ
に含まれている中間クロ−ニングベクタ−が他の細菌株
へ転移することができる様になる。tra およびmob ヘル
パ−プラスミドは、中間クロ−ニングベクタ−が持って
いる抗生物質耐性マ−カ−(Abr1)とは異なるマ−カ
−、Abr2およびAbr3 をそれぞれ持っている。従っ
て、全てのプラスミドが存在するかどうかを選択培地上
でモニタ−することができる。こうして授動株(3)が得
られる。
【0033】この授動株(3)を、図1のアクセプタ−T
i プラスミドを含んでいるA.tumefaciens 株(4)と接
合させ、中間クロ−ニングベクタ−の抗生物質耐性マ−
カ−で選択する。中間クロ−ニングベクタ−はAgrobac
terium中で複製できないので、受容アクセプタ−Tiプ
ラスミドと相互組込み体を形成した場合にのみ、保持さ
れることができる。Agrobacterium中のこの相互組込み
構造体(5)が、DNAを植物細胞ゲノムに転移させるの
に使用される最終的なハイブリッドTiプラスミドであ
る。
【0034】図6は、図1に示したものと同類のモデル
アクセプタ−Tiプラスミド(タイプA)の組み立てを示
している。ここでは、Tiプラスミドと、このもとのTi
プラスミドの一部と置き換わるDNA配列を含んでいる
別のプラスミドとの間で、二重乗換えが起る。より具体
的に述べると、小さい方のプラスミドはクロ−ニング媒
体(3)の中にT−領域の境界配列(1, 2)を含んでい
る。二重乗換えの結果、T領域の内部のT部分が除去さ
れ、代ってクロ−ニング媒体で置き換えられる。得られ
たアクセプタ−Tiプラスミド(A)は、境界配列(1,
2)の間に含まれているDNAを植物細胞ゲノムに転移
させることができる。得られた、形質転換されたDNA
は、Tiプラスミド(A)では腫瘍の増殖を支配している
遺伝子が除去されているので腫瘍性のクラウンガル組織
をつくらない。Tiプラスミド(A)は、クロ−ニング媒
体(3)と相同性を有するあらゆる中間クロ−ニングベク
タ−用の極めて普遍的なアクセプタ−Tiプラスミドで
ある。このクロ−ニング媒体(3)は通常のプラスミドで
よく、例えば pBR322またはその誘導体などによっ
て置き換えることができる。
【0035】図7は、中間クロ−ニングベクタ−をE.co
li宿主細胞中で組み立てる工程を模式的に示したもので
ある。制限エンドヌクレア−ゼサイトR1 に囲まれた所
望の遺伝子(5)および制限エンドヌクレア−ゼサイトR
2 で囲まれた選択し得るマ−カ−遺伝子(6)を、酵素R
1 およびR2 の為のそれぞれ1つの制限サイトを含んで
いるクロ−ニング媒体(3')に挿入する。3つの分子を
全て制限酵素R1 および/またはR2で消化し、DNA
リガ−ゼを用いてライゲ−ション(結紮)して中間クロ−
ニングベクタ−を形成させる。このクローニング媒体
(3')は、細菌遺伝子学の選択マ−カ−として使用する
抗生物質耐性(Abr1) を暗号化しているもう1つのDN
A配列を含んでいなければならない。所望の遺伝子(5)
はその天然のプロモ−タ−または図2および図3に概説
した外来性プロモ−タ−の支配下にある。
【0036】図8は本発明に係るアクセプタ−Tiプラ
スミド(タイプB)のもう1つの具体的態様を組み立てる
ための模式図である。この態様では、境界配列(1)およ
び(2)のすぐ外側のTi配列に相同の、それぞれDNA
配列(9)および(10)を含んでいるクロ−ニング媒体と
Tiプラスミドとの間で二重乗換えが起る。この二重乗
換えによって、境界配列(1)および(2)を含んでいるT
−領域T全体が削除され、それがクロ−ニング媒体(3)
で置き換えられる。Ti プラスミド(B)は、境界配列
(1)および(2)の間にクロ−ンされた所望の遺伝子を含
有している中間クロ−ニングベクタ−のためのアクセプ
タ−である(図9参照)。
【0037】図9は、図8のアクセプタ−Ti プラスミ
ド(B)に単一乗換えによって挿入される本発明の中間ク
ロ−ニングベクタ−を例示している。これは、所望の遺
伝子(5)の両端に位置する境界配列(1)および(2)を含
んでいる。これはまた、2つのプラスミド間の相同的組
換えを可能にするため、アクセプタ−Ti プラスミド
(B)中のクロ−ニング媒体配列と少なくとも一部が相同
であるクロ−ニング媒体配列(3')をも含んでいる。
【0038】図10は、図8のアクセプタ−Ti プラス
ミドおよびそれに対応する図9の中間クロ−ニングベク
タ−から、本発明のハイブリッドTi プラスミドベクタ
−の組み立てを示す模式図である。単一乗換えによって
図9の中間クロ−ニングベクタ−が図8のアクセプタ−
Ti プラスミド(B)に導入される。
【0039】図11〜図20は本発明をより具体的に例
示するものである。図11は、5.2kb Hind III フラ
グメントAcgB の pBR322への挿入を示している
(Zambryski ら、Science 209(1980), 138
5−1391)。このフラグメント AcgBはノパリンT
i プラスミドの左右の境界領域を含んでいる。このクロ
−ンpAcgBは、図6に示した「A−タイプ」のアクセプ
タ−プラスミド、pGV3850の組み立てに使用され
る。野生型Ti プラスミドの左右の境界領域を含んでい
るこのクロ−ンされた制限フラグメントを使って、クロ
−ン pAcgBと類似のクロ−ンを得ることができること
は、当業者には容易に理解されるはずである。
【0040】図12はノパリンTi プラスミド pGV3
839のT−領域を示している。Hind III 制限エンド
ヌクレア−ゼサイトは(H)で示してある。変異したHin
d III フラグメント19は(19') で示してある。カナ
マイシンまたはネオマイシン耐性を付与するアセチルホ
スホトランスフェラ−ゼ遺伝子は aptで表わし、これは
黒くぬりつぶした部分に存在している。T領域の境界は
矢印で示してある。ノパリンシンタ−ゼ(synthase)遺伝
子は nosで表わした。数値は、Depickerら(plasmid,3
(1980),193−211)の方法による制限フラグメ
ントの大きさを表わしている。Tiプラスミド pGV3
839は、実施例1およびそこに挙げた2つの文献に従
って組み立てることができる。
【0041】図13は、アクセプタ−Tiプラスミド p
GV3850の組み立てを示している。プラスミドpB
R322−pAcgB(図11)は、線状化した形で描いて
ある。pBR322の配列は斜線を入れた領域で示し、p
BR322のアンピシリン耐性遺伝子は ApR で示し
た。図12に示したpGV3839のT−領域の一部が
ここに描かれている : pAcgBとの相同的組換えに関与
するHind III フラグメント(10)および(23)および
apt遺伝子が含まれている。二重乗換えによってpGV3
850および失われたapt遺伝子を含むもう1つのレプ
リコンが組み立てられる。
【0042】図14は、実施例2に詳細に記載した中間
クロ−ニングベクタ− pGV700の組み立てを模式的
に示したものである。制限エンドヌクレア−ゼサイトを
示すのに以下の略号を用いた: B=BamHI、Bg =B
gl II、E=EcoRI、H=Hind III、S=SalI、S
m=SmaI。抗生物質耐性を示すのに以下の略号を用い
た: Ap=アンピシリン、Cm=クロラムフェニコ−ル、
Sm =ストレプトマイシン、Tc =テトラサイクリン。
TL−DNAで示した図の下部の数値は、この領域のR
NA転写体を示している(Willmitzerら、EMBO J.
1(1982),139−146)。
【0043】図15は中間クロ−ニングベクタ− pGV
750の構造を示している。その組み立ては実施例2に
記載した。制限エンドヌクレア−ゼサイトは、キロ塩基
対(kb)の数で表わしたその相対的位置で示した。PstI
サイトは示していないがKmR/NmR領域に3つ、CbR
伝子に1つ存在する。左右の境界領域も示してある。p
GV750 の組み立てに使用されたBgl II/BamHI
サイトおよびHpaI/SmaIサイトが示されているが、
これは pGV750 には存在しない。影をつけた領域
はTL−DNAに、黒い領域はKmR/NmR領域に、白ぬ
き部分は隣接するTi プラスミド配列に、そして線はク
ローニング媒体 pBR325にそれぞれ相当する。その
他の略号は以下の意味を有する:Ocs=オクトピンシン
タ−ゼ、CmR =クロラムフエニコ−ル耐性、CbR =カ
ルベニシリン(アンピシリン類似体)耐性、KmR/NmR
カナマイシン耐性/ネオマイシン耐性。
【0044】図16は実施例3に詳細に記載した中間ベ
クタ−pGV745の組み立てを示している。pGV74
5は、図8に示した「Bタイプ」アクセプタ−プラスミ
ド、pGV2260の組み立てに使用される。制限エン
ドヌクレア−ゼサイトは以下の略号で示した:B=Bam
HI、H=Hind III 、R=EcoRI。アンピシリン耐
性遺伝子は ApR で示した。斜線を施した領域はオクト
ピンTi プラスミドのT−DNA領域の左側と相同のD
NAを、白ぬき領域はオクトピンTi プラスミドのT−
DNA領域の右側と相同のDNAを示している。出発物
質であるプラスミド pGV0219および pGV012
0についての物理的位置および記述は、De VosらのP
lasmid 6(1981),249−253にみられる。
【0045】図17はアクセプタ−プラスミドpGV2
260の組み立てを示している。pGV2217 中の欠
損置換が、ネオマイシンとカナマイシンに対する耐性を
付与するアセチルホスホトランスフェラ−ゼ遺伝子(apt
で表わしてある)を含んでいる黒色部分で示してある。
中間ベクタ− pGV745(図16参照)は線状化して描
いてある。これは図16に示した pGV745のHind
III サイトで開裂したものである。pBR322の配列
は斜線を施した部分で示し、アンピシリン耐性遺伝子は
ApR で示してある。二重乗換えによって、pGV226
0が組み立てられ、apt 遺伝子が失われる。制限エンド
ヌクレア−ゼサイトは以下の略号で示した: B=BamH
I、H=Hind III 、 R=EcoRI。
【0046】図18は、ノパリンシンタ−ゼ遺伝子(no
s) のプロモ−タ−の下流の遺伝子を発現するためのプ
ラスミドpLGV2381の組み立てを示している。5'
および3'はそれぞれ転写開始と転写終了を意味し、A
TGおよびTAAは翻訳開始および翻訳終了に使われる
コドンを表わしている。太線は nosプロモ−タ−領域、
白ぬき部分は nos暗号領域を示している。ApR はアン
ピシリン耐性、KmR はカナマイシン耐性を示してい
る。
【0047】図19は、完全なオクトピンシンタ−ゼ(o
cs)暗号配列を含んでいるプラスミド pAGV40の組
み立て、およびプラスミド pLGV2381(図18参
照)中nosプロモ−タ−の後部へのその挿入を示してい
る。太線はプロモ−タ−領域、白ぬき部分はocs暗号領
域を示している。その他の記号は図18と同じである。
【0048】図20は、ノパリンシンタ−ゼ(nos)遺伝
子のプロモ−タ−領域の周囲のヌクレオチド配列および
オクトピンシンタ−ゼ遺伝子暗号領域と融合した後の同
じ領域の周囲のヌクレオチド配列を示している。融合点
は星印(*)で示した。いくつかの制限エンドヌクレア−
ゼサイト、即ち、BamHI、HindIII、およびSacIIも
示してある。5'および3'は転写開始および終了を意味
する。ATGは翻訳に使われる最初のコドン、TAAは
翻訳に使われる終了コドンを表わしている。白ぬきの大
きい矢印はノパリン遺伝子の暗号化領域、縞の入った矢
印はオクトピン遺伝子を表わしている。
【0049】
【課題を解決するための手段】以下に本発明を詳細に説
明する。図1にアクセプタ−Tiプラスミドを簡単に図
式化して示した。このアクセプタ−Tiプラスミドは、
野生型腫瘍誘起(Ti)プラスミドの2つの境界配列(1,
2)または領域を含んでいる。この境界配列は、Tiプラ
スミドのT−領域を植物細胞ゲノムへ組込むのに必須で
ある。換言すれば、あらゆるDNA配列(3)またはT−
領域を、これらの配列間に存在している植物細胞ゲノム
に組込むのにこの境界配列が絶対に必要である。
【0050】このアクセプタ−Ti プラスミドのDNA
配列(3)には、図2および図3に示した中間クロ−ニン
グベクタ−のDNA配列(3') の少なくとも1部と相同
のDNAセグメントが含まれている。この相同性は、中
間クロ−ニングベクタ−とアクセプタ−Ti プラスミド
が単一乗換え(相同性組換え)によって相互組込みするの
に必要である。相互組込み体の得られる頻度は、基本的
には相同領域の長さできまる。相同性組換えを高頻度で
起すには、通常1〜4kb の領域が使われる(Leemans
ら、J.Mol.Appl.Genet.1(1981),149−
164)。
【0051】アクセプタ−Ti プラスミドは更に、Agr
obacterium によってTi プラスミドのT−領域が植物
細胞ゲノムへ移動するのに必要な配列(4)を含んでい
る。この様なアクセプタ−Ti プラスミドの組み立てお
よび図2および図3に示した中間クロ−ニングベクタ−
とのその相互組込みについて、図4を参照しながら以下
に詳述する。図2および図3に、発現しようとする、即
ち、植物細胞中でプロモ−タ−の支配下に転写され、翻
訳される所望の原核性または真核性遺伝子をクロ−ンす
るための中間クロ−ニングベクタ−を簡略化した図で示
した。これらの中間クロ−ニングベクタ−は、アクセプ
タ−Ti プラスミドのDNAセグメント(3)の少なくと
も一部と相同であり、従って単−乗換えを可能にするD
NA配列を含んでいるクロ−ニング媒体からのDNAセ
グメント(3')を含んでいる。さらに、この中間クロ−
ニングベクタ−は、その天然のあるいは外来性のプロモ
−タ−配列を含む少なくとも1つの所望の遺伝子(5,
7)を含んでいる。このプロモ−タ−配列によって、挿
入された遺伝子配列の発現が可能である。所望の挿入遺
伝子(群)の発現を調整するために、外来性のプロモ−タ
−配列(仕立て上げたプロモ−タ−)を使うことも可能で
ある。調整の各種の例として、以下のものを挙げること
ができる: (i) 組織に特異な発現、即ち、葉、根、茎、
花など、(ii)発現レベル、即ち、発現の強弱、(iii) 誘
導性発現、即ち、温度、光または添加された化学的因子
による発現など。
【0052】中間クロ−ニングベクタ−用の所望の遺伝
子の例としては、アミノ酸や糖類の様な生産物の合成を
コントロ−ルして植物の栄養価や成長度を改良する遺伝
情報を持ったDNAフラグメントまたは配列、外部から
病原物質に対する保護、例えば病原生物またはストレス
となる環境因子に対する耐性、を付与する生産物の合成
をコントロ−ルする遺伝情報を持ったDNAフラグメン
トまたは配列、遺伝子工学によって改良しようとする植
物の基本的な過程に情報を与える生産物の合成をコント
ロ−ルする遺伝情報を持ったDNAフラグメントまたは
配列など。
【0053】図2および図3は、選択可能なマ−カ−遺
伝子(6)を含んでいることもある中間クロ−ニングベク
タ−を表わしている。選択可能なマ−カ−遺伝子として
は、例えば抗生物質または有毒な類似物質(例えばアミ
ノ酸類縁体)を暗号化している遺伝子、受容宿主細胞の
欠損を補う遺伝子などが挙げられる。
【0054】図4は、ハイブリッドTi プラスミドベク
タ−の組み立てに関与する構成を示しており、図5は、
そのハイブリッドTi プラスミドベクタ−を保持してい
るAgrobacteriumの分離に関与する実際の接合工程を表
わしている。この工程は、中間クロ−ニングベクタ−が
E.coli中で組み立てられるので、この中間クロ−ニン
グベクタ−をAgrobacterium 中のアクセプタ−プラス
ミドに転移させるのに必要である。
【0055】T−領域の一部が変更された配列で置換さ
れている改良Ti プラスミドを調製するのに用いられる
既知の転移手法は多数の工程からなっている。通常、大
抵のDNA組換え操作は、特別に設計されたクロ−ニン
グ媒体、例えば pBR322(Boliver, Gene 2(19
77), 75−93)中で行なわれる。しかしこのクロ
−ニング媒体は、それ自体Agrobacteriumに移動するこ
とができない。この問題は、既知の方法では次の様にし
て解決されている: a) Agrobacterium中でも複製し得る別の広範囲宿主用
クロ−ニング媒体、例えば mini‐Sa プラスミド (Le
emans ら、Gene 19(1982),361−364)でp
BRクロ−ニング媒体配列を置換する。この操作はE.c
oli 中で行ない、中間クロ−ニングベクタ−が得られ
る。 b) 所望のDNAを含有している中間クロ−ニングベク
タ−を保持したE.coli 株と、Agrobacterium 中では
複製できないがそれ自体および他のDNAのAgrobacte
riumへの転移を仲介することのできるヘルパ−プラスミ
ドを保持した別のE.coli株との接合。 c) 工程(b)で得られるE.coliとTi プラスミドを含ん
でいるAgrobacteriumの接合。ヘルパ−プラスミドは失
われる。 d) 中間クロ−ニングベクタ−は、独立したレプリコン
としてAgrobacterium中で複製し、存在することができ
るので、工程(c) で得られた接合体は、中間クロ−ニン
グベクタ−とTi プラスミドとの相互組込み体を含んで
いる細胞、または中間クロ−ニングベクタ−および相互
組込みが起らなかったTi プラスミドを含んでいる別の
細胞の混合物である。相互組込み体だけを特異的に分離
する為に、Ti プラスミドのない別のAgrobacterium
株との接合をもう一度行なわなければならない。この転
移は、Ti プラスミド自体によって暗号化されている機
能によって仲介される。この第2のAgrobacterium株へ
の中間クロ−ニングベクタ−の転移は、Ti プラスミド
との相互組込み体の形でのみ行なわれる。 e) 所望の置換を行なった最終的な改良Ti プラスミド
を得るために、第2回目の乗換えが行なわれる (Leema
nsら、J. Mol.Appl.Genet.1(1981), 14
9−164)。
【0056】僅かにもう1つの既知の方法は、上記工程
(d)において、中間クロ−ニングベクタ−と適合しない
別のプラスミドをAgrobacteriumに導入することを除け
ば、上の方法と基本的に同じである。この場合、独立し
たレプリコンのままでいる中間クロ−ニングベクタ−は
全て失われるので、相互組込み(単一乗換え)を選択する
ことができる(Matzke ら、J.Mol.Appl.Genet.
1 ( 1981 ), 39−49 )。
【0057】ここに本発明者らは、Agrobacteriumのア
クセプタ−Ti プラスミドに中間クロ−ニングベクタ−
を導入する為の、新規な非常に簡素化された方法を提供
するものである。簡単に言えば、この方法は、多くの通
常使用されているクロ−ニングプラスミド(例えば pB
R322)を直接 Agrobac‐terium に転移させるの
に、E.coli のヘルパ−プラスミドが役立つというこ
とを見い出した事実に基づいている。これらのプラスミ
ドは、いづれもAgrobacterium 中では複製できないの
で、アクセプタ−Ti プラスミドと相互組込みし得るも
のだけが保持されることになる。さらに、本発明者ら
は、Agrobacterium中のこの相互組込み体を、植物細胞
への感染の為の直接のベクタ−組成物として使用するの
である。この様にして、本発明者らは前記の工程(d)お
よび(e)を省略した。これによって、改良ハイブリッド
Ti プラスミドを組み立てるのに要する時間が減少し、
可能な組み立てに柔軟性が増加し、かくして、植物細胞
ゲノムへDNAを転移させる為のベクタ−としてこのア
クセプタ−Ti プラスミドを使用できる可能性が著しく
高まったのである。
【0058】即ち、図5に概略を示した様に、アクセプ
タ−Ti プラスミドへの中間クロ−ニングベクタ−の導
入は2工程で行なわれる。先づ、中間クロ−ニングベク
タ−を持ったE.coli 株(1)を、この中間クロ−ニング
ベクタ−のAgrobacteriumへの授動を促す2つのプラス
ミドを持った別の E. coli株(2)と接合させる。これ
らのヘルパ−プラスミドの代表的な、そして好ましい例
は、mob 機能を含んだR64drd 11および tra機能を
含んだ pGJ28である(Finneganら、Mol.Gen.G
enet.185(1982),344−351)。中間クロ−
ニングベクタ−のクロ−ニング媒体上のbomサイト(War
renら、Nature274(1978),259−261) が
他の2つのプラスミドによって暗号化されている機能体
によって認識され、転移できる様になる。全てのプラス
ミドは、その存在を検出するために抗生物質耐性マ−カ
−を含んでいるのが好ましい。次いで、得られたE.co
li株、即ち3つのプラスミド全てを保持している授動株
(3)を、中間クロ−ニングベクタ−と相同の領域を持っ
たアクセプタ−Ti プラスミドを保持しているAgrobac
teriumと接合させる。中間クロ−ニングベクタ−とアク
セプタ−Ti プラスミドとの単一乗換えが行なわれたか
どうかは、中間クロ−ニングベクタ−の抗生物質耐性マ
−カ−についての選択によって検出できる。
【0059】図6は、図1のアクセプタ−Tiプラスミ
ドの組み立てに用いられたDNA分子を模式的に示した
ものである。本明細書では、このプラスミドをアクセプ
タ−Tiプラスミド(タイプA)と呼び、他のアクセプタ
−Tiプラスミド(タイプB)と区別することにする(図8
参照)。この組み立てには、Tiプラスミドと、クロ−ニ
ング媒体(3)中に境界配列(1)および(2)を持っている
もう1つのプラスミドとの間に二重乗換えが起ることが
必要である。図に示した様に、クロ−ニング媒体配列
(3)は左側の境界配列(1)と右側の境界配列(2)との間
にある。このDNA鎖の正しい極性を示すために、これ
を環上に描くことができる。しかし、二重乗換えに使用
される相同領域を示すためには、この環を開裂させて図
示した。これは理解を助ける為のやり方として重要であ
り、図8に於けるアクセプタ−Tiプラスミド(B)の組
み立てに於いても用いられている。即ち、もし境界配列
(1)および(2)が、単にクロ−ニング媒体配列(3)内に
挿入されたのなら、二重乗換えによって、T−領域が削
除されてはいるがこの境界配列(1)および(2)の間のク
ロ−ニング媒体配列のないTi プラスミドが得られるこ
とになる。図6に示した様に、二重乗換えによって、境
界配列(1)および(2)の間にもとのT−領域を持った環
状DNA分子が生成する。これはレプリコンではないの
で消失する運命にある。この二重乗換えが起ったかどう
かは、例えばTi プラスミドのT−領域内に含まれる抗
生物質マ−カ−の欠落について選択したり、クロ−ニン
グ媒体配列(3)内の抗生物質耐性マ−カ−について選択
したりして、遺伝子学的に選択することができる。
【0060】図7は、図2および図3の中間クロ−ニン
グベクタ−の組み立てを示す模式図である。制限エンド
ヌクレア−ゼサイトR1またはR2でそれぞれ囲まれた所
望の遺伝子(5)および選択可能なマ−カ−遺伝子(6)
が、酵素R1およびR2の為の特異な制限サイトを含んで
いるクロ−ニング媒体配列(3') に、これら全ての分子
の消化およびライゲ−ションによって挿入される。得ら
れた組換えDNA分子は、E.coli 宿主細胞を形質転換
するのに使用され、その形質転換体は、クロ−ニング媒
体配列(3')の抗生物質耐性マ−カ−(AbR1)で選択され
る。
【0061】図8は本発明のもう1つの態様、即ちアク
セプタ−Ti プラスミド(B)を組み立てるのに使用され
るDNA分子の模式図である。この場合は、境界配列
(1)および(2)のすぐ外側に位置するDNA配列(9)お
よび(10)の間にクロ−ニング媒体配列(3)を含んでい
るプラスミドとTiプラスミドとの間で二重乗換えが起
る。乗換えに使用される相同領域を示す為に、小さい方
のプラスミドは開裂してある(図6と同様)。二重乗換え
による生成物は、アクセプタ−Tiプラスミド(B)と、
もとのTiプラスミドからのT-領域およびDNA配列
(2)、(10)、(9)および(1)を含んでいる、消失する
もう1つの環状DNA分子である。遺伝子学的選択は図
6について記載したものと同様にして行なうことができ
る。
【0062】図9は、図8のアクセプタ−Ti プラスミ
ドBと組み合せて使用される中間クロ−ニングベクタ−
の模式図である。ここでは、所望の遺伝子(5)は、クロ
−ニング媒体配列(3') 中に含まれている境界配列(1)
および(2)の間に挿入される。
【0063】図10は、単一乗換えにより図9の中間ク
ロ−ニングベクタ−がどの様にしてアクセプタ−Tiプ
ラスミド(B)に挿入されるかを模式的に示している。こ
の場合、中間クロ−ニングベクタ−のクロ−ニング媒体
配列(3')の抗生物質耐性マ−カ−で選択すると、2つ
のプラスミドの間の相互組込みの結果としてのハイブリ
ッドTiプラスミドを確実に見つけることができる。こ
うして境界配列(1)および(2)内に含まれている所望の
遺伝子を持ったハイブリッドTiプラスミドが得られ
る。この様にして組み立てられたハイブリッドプラスミ
ドは、そのT−領域に、例えば図4のハイブリッドTi
プラスミド中の配列(3)および(3')の様な直接反復の
配列を含有しておらず、従って、分子内組換えの結果と
して、ハイブリッドベクタ−または植物細胞ゲノム中に
導入されたDNAが不安定になる可能性が避けられる。
【0064】本発明者らの研究室で行なった実験結果か
ら、図9の中間ベクタ−の組み立てには、境界配列1お
よび2の両者を所有する必要はないことがわかった(未
発表)。しかし、所望のDNA配列を植物ゲノムに組込
むには、少なくとも右側の境界配列(2)(図1および図
9参照)を有することが必要十分条件である。
【0065】AgrobacteriumのTiプラスミド、例えば
ノパリンまたはオクトピンTiプラスミドの制限エンド
ヌクレア−ゼ地図についての知見(Depickerら、Plasm
id 3(1980),193−211;De Vosら,Plasmid
6(1981),249−253)およびT−DNA境界配
列を含んでいる制限フラグメントについての知見 (Zam
bryskiら、J.Mol.Appl.Genet.1(1982),3
61−370; De Beuckeleerら、Mol.Gen.Gene
t. 183(1981),283−288)から、当業者で
あれば誰れでも、本発明方法に従ってアクセプタ−Ti
プラスミドを組み立てることができる。この他、通常の
組換えDNA技術および基礎的な細菌の遺伝子操作を実
施できる能力が要求されるに過ぎない。本発明は、ハイ
ブリッドTi プラスミドベクタ−を組み立てるのに有効
であることがわかった本明細書に記載したアクセプタ−
Ti プラスミドを具体的に提案している点でユニ−クな
ものである。更に、これらのアクセプタ−Ti プラスミ
ドは、遺伝子を植物細胞ゲノムへ導入するための方法の
一部を構成する様に設計されたものである。
【0066】
【実施例】既述したアクセプタ−Ti プラスミド、中間
クロ−ニングベクタ−、ハイブリッドTi プラスミドベ
クタ−およびベクタ−組成物を更に例示し、植物細胞ゲ
ノムへ組込まれた外来性遺伝子の発現を示す形質転換植
物細胞および植物を提供するのにこのベクタ−組成物が
有効であることを例証するために、以下に実施例を挙げ
る。
【0067】実施例1 アクセプタ−TiプラスミドpG
V3850(Aタイプ)の組み立て 出発株およびプラスミド:Agrobacterium tumefaciens
(野性型Agrobacterium 由来のリファンピシン耐性株
C58C1 およびクロラムフェニコ−ル−エリスロマ
イシン耐性株C58C1) Ti プラスミド= pGV3839 図11のプラスミド= pAcgB Ti プラスミド pGV3839はノパリンプラスミド p
Ti C58trac (pGV3100 ; Holstersら, Plas
mid 3(1980), 212−230) から組み立てる。
これはT−領域の中央近くに欠失置換突然変異体(ミュ
−タント)を含んでいる: 即ち、Hind III フラグメン
ト19の内部の SmaIフラグメント24(Depickerら、
Plasmid 3 (1980), 193−211)は、Tn5
の apt(アセチルホスホトランスフェラ−ゼ) 遺伝子を
含んでいる pKC7のHindII フラグメント (Rao ら,
Gene 7(1979, 79−82)で置換されている。
この遺伝子はアミノグリコシドネオマイシンおよびカナ
マイシンに対する耐性を暗号化している。pGV383
9のT−領域の制限地図を図12に示す。
【0068】プラスミド pAcgBは、T−DNAの境界
部だけを含んでいる pBR322中のAcgBの挿入体で
ある(図11参照)。この境界部はT−DNAの末端部と
して定義され、これらの領域は、T−DNAの植物細胞
ゲノムへの安定な組込みに役割を果たす。このクロ−ン
の起源および分析については詳しく記載されている(Za
mbryski ら、Science 209 (1980), 1385−
1391)。このクロ−ンは、形質転換されたタバコD
NAからT−DNAの部分を再分離することにより得ら
れた。 pAcgBは、T−DNAの左右の境界を含む様に
縦列に並んだ2つのT−DNAコピ−の接合点を含んで
いる。更に、 pAcgBは、その遺伝情報が右側T−DN
A境界のすぐ近くに位置しているという理由でノパリン
シンタ−ゼ遺伝子を含んでいる。このプラスミド pAcg
Bは、「タイプA」アクセプタ−Ti プラスミド、 pGV
3850の組み立てに使用される。図6は関与する構造
の概略を、図13は pGV3850を与える二重乗換え
に関与するDNA領域をより正確に示したものである。
【0069】上記のプラスミドpAcgBは、そのpBR3
22部分にColE1−特異 bomサイトを持っており、ヘ
ルパ−プラスミドR64drd11およびpGJ28を使っ
てE.coli からAgrobacteriumへ授動することができ
る。E.coli に含まれているプラスミドR64drd 11
および pGJ28は、接合により、pAcgBを持ったE.
coli 株に導入される。トランス接合体は、アンピシリ
ン耐性(pAcgBのpBR322配列から)、ストレプトマ
イシン耐性(R64drd 11から)、およびカナマイシン
耐性( pGJ28から)コロニ−として選択される。
【0070】3つのプラスミドの全てを保持している
E.coli株を、リファンピシン耐性でありTi プラスミ
ド pGV3839を含んでいるAgrobacterium株 C5
8C1に接合させる。ノパリンTi プラスミドとの最初
の単一乗換えを選択するのにpBR322のアンピシリ
ン耐性を利用する。アンピシリン耐性をAgrobacterium
中で安定させることができる唯一の方法は、T−領域境
界近くの相同領域の1つで pGV3839と相同組換え
により乗換えをすることである。他の相同領域での2回
目の乗換えにより、apt 遺伝子(カナマイシン耐性)を含
んでいる pGV3839のT−領域の中央部がクロ−ン
pAcgBの pBR322配列で置換される。従って、第
2の組換え体はアンピシリン耐性、カナマイシン感受性
である。第2の組換え体を分離する確率を高めるため
に、最初の組換え体(pAcgB::pGV3839)を保持し
ているリファンピシン耐性Agrobacteriumを、Ti プラ
スミドを持っていない第2のクロラムフェニコ−ル/エ
リスロマイシン耐性Agrobacterium株と接合させる。こ
の様にして、約600コロニ−中、1コロニ−の割合
で、アンピシリン耐性、カナマイシン感受性のクロラム
フェニコ−ル/エリスロマイシン耐性Agrobacterium p
GV3850を得ることができる。
【0071】勿論、pGV3850タイプのアクセプタ
−Tiプラスミドを組み立てるのに使用することができ
るその他のTiプラスミドもある。T−領域の中央近く
に選択し得るマ−カ−遺伝子を持ったTi プラスミドは
全て受容体として使用できる。更に、左境界フラグメン
ト− pBR322−右境界フラグメントの方向に、左右
の境界フラグメントの中間に pBR配列が位置する様
に、 pBR322にT−領域境界フラグメントを挿入す
ることによって pAcgB様のプラスミドを組み立てるこ
とができる。例えば、ノパリンTi プラスミドの左およ
び右境界フラグメントはそれぞれHind III フラグメン
ト10および23である ( Depicker ら、Plasmid 3
(1980), 193−211)。
【0072】単一乗換えによって、 pBR322または
その誘導体に挿入されている所望の遺伝子を含んだ中間
クロ−ニングベクタ−が pGV3850の改良されたT
−DNA領域に導入される。唯一つ必要なことは、中間
クロ−ニングベクタ−のE.coliからAgrobacteriumへ
の転移を選択する為の手段として使用する為に、導入さ
れるDNAが、既にpBR322に存在するものの他に
もう1つの耐性マ−カ−遺伝子を含んでいるということ
である。この耐性マ−カ−は、 pBR配列内に含まれて
いてもよく(例えば pBR325のCmR、または pKC
7のKmR)、植物細胞内で試験されるDNA内に含まれ
ていてもよい。更に、アクセプターTiプラスミド pG
V3850における ApR 遺伝子 pBR322は、KmR
の様な別の耐性マーカー遺伝子で置換してもよい。こ
の様にして、ApR であるpBR322含有中間クロ−ニ
ングベクタ−ですら、この pGV3850タイプのアク
セプタ−Ti プラスミドに直接授動することができる。
【0073】pGV 3850タイプのアクセプタ−Ti
プラスミドのもう1つの利点は、形質転換された植物細
胞で腫瘍をつくらないということである。 pGV385
0の短かくなったT−DNA領域は、依然としてノパリ
ンシンタ−ゼを暗号化している遺伝子を含んでいるの
で、pGV3850で形質転換された細胞は、ノパリン
が存在するかどうかを分析することにより、非形質転換
細胞から簡単に選り分けることができる。勿論、アクセ
プタ−Tiプラスミド pGV3850に組込まれた中間
クロ−ニングベクタ−がマ−カ−遺伝子を含んでいた
ら、それも直接スクリ−ニング、即ち選別にかけること
ができる。
【0074】pBR322配列を含んだ上記の中間クロ
−ニングベクタ−の単一乗換えによるアクセプタ− Ti
プラスミドへの挿入のほか、このアクセプタ−Tiプラ
スミドは、「ショットガン」タイプの実験に於いて、pB
R322またはその誘導体中のクロ−ンされたDNAバ
ンクの受容体としても使用することができる。Agrobac
terium中の全てのハイブリッドプラスミドベクタ−は、
植物細胞の感染に使用することができ、次いで所望の選
択可能な遺伝子(群)の発現についてスクリ−ニングされ
る。例えば、選ばれたアミノ酸が欠乏している植物細胞
に全バンクを適用することにより、アミノ酸合成を暗号
化している遺伝子について簡単に選別することができ
る。
【0075】アクセプタ−Ti プラスミド pGV385
0は、2つの特徴的な表現形質を持っている:即ち、
(i)腫瘍生成能力がないこと、および(ii)もしT−DN
Aが植物細胞ゲノム内に転移したら、ノパリン合成能を
有すること、である。 pGV3850含有Agrobacteri
umで感染させた各種の植物組織のこれらの特徴を調べる
ために、種々の実験を行なった。
【0076】a)ジャガイモおよびニンジンディスクを
用いた試験 ジャガイモおよびニンジンの切片にアクセプタ−Tiプ
ラスミドpGV3850を接種すると、少量の硬結組織
が生成する。この組織にノパリンが存在するかどうかを
試験した所、陽性であることがわかった。この突然変異
体が少量の硬結組織を生産し得ることは興味あることで
ある。しかし、それは、これらのディスクを低濃度のオ
−キシンおよびサイトキニンの両者を含んでいる培地で
生育させた時だけ得られる。
【0077】b)全植物をアクセプタ−Ti プラスミド
pGV3850で接種 ホルモンを含まない滅菌寒天培地で生育しているタバコ
およびペチュニアの苗木に pGV3850を接種する。
数カ月後に少量の組織成長が観察されただけである(通
常、2週間後に「野生型」腫瘍が検出される)。この組織
はホルモンを含まない培地では生育しないが、オ−キシ
ンおよびサイトキニン含有培地での滅菌組織培養では、
さらに増殖することができる。この組織もノパリン陽性
であることがわかった。
【0078】c)さらに、 pGV3850「形質転換」細
胞は腫瘍性ではないので、これらの細胞は、転移したD
NAセグメントをそのゲノムに依然として保持している
正常な植物に再生することができる。この形質転換細胞
を通常の再生培地(実施例5を参照)で培養すると、正常
植物が得られよう。
【0079】pGV3850の、アクセプタ−プラスミ
ドとしての有用性を証明する為に、以下の実験を行なっ
た。 pBR325中にオクトピンT−DNAの腫瘍機能
を含んでいる中間クロ−ニングベクタ−を、pGV38
50を保持しているAgrobacteriumに組み込んだ。単一
乗換えによって得られたAgrobacterium 中のハイブリ
ッドTi プラスミドを、傷つけたタバコ植物に接種し
た。2週間後に腫瘍組織があらわれた。このことは、腫
瘍誘導DNAが pGV3850に再導入され、形質転換
植物細胞中で適切に発現されたことを示している。
【0080】実施例2 中間クロ−ニングベクタ− pG
V700および pGV750の組み立て この組み立ての概略を図14に模式的に示した。オクト
ピンTi プラスミドB6S3のTL−DNAの右側部分
であり、 pGV0201 (De Vosら、Plasmid 6(1
981),249−253)中に存在するHind III フラ
グメント1を、まず、広範囲宿主性ベクタ− pGV11
22 (Leemansら、Gene 19(1982), 361−3
64) のHind III サイトに挿入する。組換えプラスミ
ドpGV0201は、多コピ−ベクタ− pBR322 (
Bolivarら, Gene 2(1977),95−113) の特
異なHind III サイトに挿入されたHind III フラグメ
ント1を含んでいる。 pGV0201および pGV11
22DNAは、Betlachらが記載している方法で調製さ
れる (Fed.Proc.35(1976), 2037−20
43)。最終量20μl中、 pGV0201DNA 2μg
を、Hind III 2単位 (全ての制限酵素はBoehringer
Mannheim から購入した)を用いて、37℃で1時間完
全に消化した。インキュベ−ション緩衝液はO'Farrel
l らにより記載されている ( Mol.Gen.Genet 17
9(1980),421−435)。同じ条件下で pGV1
122 DNA 2μgをHind III で完全に消化した。
【0081】最終量20μl中、T4リガ−ゼ(Boehrin
gerMannheim ) 0.02単位を用い、0.1μg の Hin
d III 消化 pGV0201をHind III 消化 pGV11
22とライゲ−ション(結紮)した。インキュベ−ション
緩衝液および条件は、製造業者の指示に従った ( Broc
hure "T4リガ−ゼ"、Boehringer Mannheim,198
0年8月、#10.M.880.486 )。ライゲ−シ
ヨン混合物のコンピテントE.coli K514 hsr- hsm
+ 細胞(Colsonら、Genetics52(1965),1043
−1050)への導入(形質転換)は、DagertおよびEhr
lich の方法 (Gene 6(1980),23−28) に従っ
て行なった。細胞を、ストレプトマイシン(20μg/m
l) およびスペクチノマイシン(50μg/ml) を補足し
たLB培地 (Miller, Experiments in Molecular G
enetics (1972), Cold Spring Harbor Laborat
ory, NewYork)に塗抹した。組換えプラスミドを含有
している形質転換体を、テトラサイクリン耐性を暗号化
している遺伝子への挿入によるその不活性化 ( Leeman
s ら、Gene 19(1982), 361−364)に基づ
き、テトラサイクリン感受性(10μg/ml)でスクリ−
ニング(選り分け)した。ストレプトマイシンおよびスペ
クチノマイシンに耐性を示し、テトラサイクリンに感受
性を有するクロ−ンを物理的に同定した。マイクロスケ
−ルのDNA調製はKleinらの方法(Plasmid3(198
0),88−91)に従って実施した。 pGV1122の
Hind III サイト中のHind III フラグメント1の配向
は、SalI消化によって決定した。組換えプラスミドを
消化し (O'Farrell らの条件、Mol.Gen.Genet.
179(1980), 421−435) 、アガロ−スゲル
電気泳動にかけると2個のフラグメントが得られた。α
−配向には 0.77kbおよび22.76kbのフラグメン
ト、β−配向には、10.33kbおよび13.20kbのフ
ラグメントがあった。α−配向の組換えプラスミドをそ
の後のクロ−ニングに使用し、これを pGV1168と
名付けた。
【0082】TL−DNAの左側部分 (左の境界配列を
含んでいる) を含有しているBgl II−Sal I フラグメ
ントをBgl II−Sal I で開裂した pGV1168に導
入する。このフラグメントは、ベクタ− pBR322に
挿入された、 pTiB6S3のT領域からの、BamHI
フラグメント8を含んでいる組換えプラスミド pGV0
153 (De Vosら、Plasmid 6 (1981), 24
9−253)から得られる。 pGV0153および pG
V1168DNAはBetlachらの方法で調製する( Fe
d.Proc.35(1976),2037−2043)。 pG
V0153DNA10μgを10単位の Bgl IIおよび
10単位のSalIを用い、最終量100μl中37℃で
1時間、完全に消化した。消化混合物をプレパラティブ
0.8%アガロ−スゲル上、Allingtonらの方法(Ana
l.Biochim.85(1978),188−196)で電気
溶出し、ゲルから2.14kb Blg II−Sal IIフラグメ
ントを回収した。 pGV1168DNA 2μgを2単位
のBgl IIおよび2単位のSalIで完全に消化した。最
終量20μl中、T4DNAリガ−ゼ0.02単位を用い
てBgl II−Sal IフラグメントDNA0.1μgを0.0
2μgのBgl III−SalI消化 pGV1168とライゲ−
ションした。このライゲーション混合物をコンピテント
E.coli K514 hsr- hsm+ 細胞(DagertおよびErhl
ich,Gene 6(1980),23−28)に導入した。細胞
をストレプトマイシン (20μg/ml)およびスペクチノ
マイシン (50μg/ml)を補足したLB培地 ( Mille
r, Experiments in Molecular Genetics (197
2), Cold Spring Harbor Loboratory, New Yor
K)に塗抹した。
【0083】ストレプトマイシン−およびスペクチノマ
イシン−耐性形質転換体から、マイクロスケ−ルDNA
プレパレ−ション (Kleinら、Plasmid 3(1980),
88−91) を行なった。2.14kb Bgl II−Sal I
フラグメントがBgl II−Sal I消化 pGV1168に
挿入されている組換えプラスミドをBgl II−Sal I消
化により同定した。この消化で2.14kbおよび21.8
2kbの2つのフラグメントが得られた。これらの分子量
(2.14kbおよび21.82kb)に相当する消化パタ−
ンを持ったプラスミドを pGV1171と名付け、さら
にクロ−ンするのに用いた。pGV1171からの12.
65kb フラグメントは、左右のTL−DNA境界配列
(De Beuckeleerら、in Proceedings IVth Internati
onal Conference on Plant Pathogenic Bacteria,
M.Ride'(ed.)(1978), I.N.R.A., Angre
s,115−126) および腫瘍性の増殖を可能にする遺
伝子(Leemansら,EMBO J.(1982),147−1
52) を含んでいる。このHind III フラグメントをプ
ラスミド pBR325に挿入した ( Bolivar,Gene4
(1978),121−136)。pGV1171および p
BR325はBetlachらの方法で調製した(Fed.Pro
c.35(1976),2037−2043)。それぞれの
DNA2μgを2単位のHind III を用い、37℃で1
時間完全に消化した(インキュベ−ション緩衝液はO'F
arrellらにより記載されている(Mol.Gen.Genet.
179(1980), 421−435))。0.1μgのHin
d III消化した pGV1171を、Hind III で線状化
した0.05μgの pBR325と、T4DNAリガ−ゼ
0.02 単位を用いてライゲーションした。ライゲ−シ
ョン混合物によるコンピテントE.coli K514 hsr-
hsm+ の形質転換はDagertおよびEhrlichの方法で行
なった (Gene 6(1980),23−28)。細胞を、カ
ルベニシリン(100μg/ml) を補足したLB培地 (
Miller, Experiments in Molecular Genetics (1
972), Cold Spring Harbor Laboratory, New
York)に塗抹した。カルベニシリン耐性コロニ−を、テ
トラサイクリン耐性を暗号化している遺伝子に挿入する
ことによるその不活性化に基づき、テトラサイクリン
(10μg/ml)感受性でスクリ−ニングした (Bolivar,
Gene4(1978),121−136)。カルベニシリン
耐性、テトラサイクリン感受性のコロニ−を、そのコロ
ニ−から調製したDNAの制限酵素消化により、マイク
ロスケ−ル技法(Kleinら,Plasmid 3(1980),88
−91)によって物理的に特性化した。即ち、BamHI
消化により、4つのDNAフラグメントが得られる:α
配向の場合は0.98kb、4.71kb、5.98kbおよび
7.02kb のフラグメントが得られ、β配向の場合は
0.98kb、4.71kb、1.71kb および11.20kb
のフラグメントが得られる。こうして得られたα配向の
組換えプラスミドは pGV700と名付けられ、更にそ
の後の実験に用いられた。
【0084】pGV750は、pGV700に挿入された
TL−領域の内部の腫瘍に必須の機能を暗号化している
3.49kb BglII−SmaIフラグメントの代わりに、カ
ナマイシン耐性を暗号化している2.81kb BamHI−
HpaIフラグメントを挿入することにより、pGV70
0から誘導される。カナマイシン耐性を暗号化している
BamHI−HpaIフラグメントはλ::Tn5(Bergら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72(1975),3
628−3632 ) から得られる。λ::Tn5の調製は
Millerにより記載されている(Experiments in Molec
ular Genetics(1972),Cold Spring Harbor La
boratory,New York)。pGV700DNAはBetlach
らの方法で調製する (Fed.Proc.35(1976),
2037−2043)。pGV700 DNA 2μgを2
単位のBglIIおよび2単位のSmaIで完全に消化した。
λ::Tn5DNA2μgを2単位のBamHIおよび2単位
のHpaIで完全に消化した。1μgのBamHI−HpaI
消化λ::Tn5を、最終量10μl中、T4 DNAリガ
−ゼ0.5単位を用いて、0.2μgのBglII−SmaI消
化 pGV700とライゲ−ションした(製造業者の指示
する条件に従った)。このライゲーション混合物をコン
ピテントE.coli K514 hsr- hsm+ 細胞(Dagertお
よびErhlich, Gene 6(1980), 23−28)に導
入した。細胞を、カルベニシリン(100μg/ml) およ
びカナマイシン(25μg/ml)を補足したLB培地(Mil
ler,Experiments in Molecular Genetics(197
2),Cold Spring Harbor Laboratory,New York)
上に塗抹した。マイクロスケール技法(Kleinら, Plas
mid 3(1980), 88−91)に従って調製したDN
Aの制限酵素分析により、CbR およびKmR コロニーを
物理的に特性化した。このDNAをBglII/BamHIで
二重消化すると、3.94kb、5.89kbおよび8.09kb
の3つのフラグメントが、Hind III で消化すると2.
68kb、5.99kbおよび9.25kb の3つのフラグメ
ントが得られる。この消化パタ−ンを示すプラスミドを
pGV750と名付け、図15に模式的に示した。
【0085】pGV700と pGV750は、オクトピ
ンTi プラスミド pTiB6S3のTL−DNAの左右
の境界配列を含む、2つの相異なる中間クロ−ニングベ
クタ−である。更に、これら2つのプラスミドではT−
領域内の削除の程度が異なっている。pGV700は、
オクトピンシンタ−ゼ (トランスクリプト3) およびそ
の他3つの生成物、即ち4, 6aおよび6b (T−領域の
生成物についてはWillmitzerら,ENBO J.1(1
982),139−146参照) のための遺伝情報を持
った縮小T−領域を含んでいる。この3つの生成物(4,
6aおよび6b)の組み合せが形質転換された植物の新芽
形成を促す。pGV750はもっと小さいT−領域、即
ちオクトピンシンタ−ゼ遺伝子だけを含んでいる。生成
物4,6aおよび6bの為の情報は、カナマイシン(ネオ
マイシン)耐性を暗号化している抗生物質耐性マ−カ−
遺伝子によって置換されてしまっている。
【0086】pGV700およびpGV750は、Bタイ
プのアクセプターTiプラスミド(図8および後記実施例
3参照)と共に使用し得る中間クローニングベクターの
例である。これらのベクターは、それらが所望の遺伝子
を含んでいないことを除けば、図9に示したものと部分
的に類似している。これらのベクターは、その改良T−
領域内にクローンする為の1個の制限エンドヌクレアー
ゼサイトを含んでいるので、所望の遺伝子を簡単にそれ
らのベクターに挿入することができる(図14および図
15参照)。
【0087】実施例3 アクセプターTiプラスミドpG
V2260(タイプB)の組み立て 出発株およびプラスミド: Agrobacterium tumefaciens (野生型Agrobacterium
から誘導される、リファンピシン耐性株C58C1およ
びエリスロマイシン−クロラムフェニコール耐性株C5
8C1) Tiプラスミド=pGV2217 中間ベクター(図16)=pGV745
【0088】TiプラスミドpGV2217の組み立てに
ついては詳細に記載されている(Leemansら、EMBO
J.1 (1982), 147−152)。これは、オクト
ピンTiプラスミドの全TL−領域の欠失置換突然変異
体を含んでいる: 即ち、BamHIフラグメント8、30
b、28、17aおよびBamHIフラグメント2の左の
3.76kb BamHI−EcoRIフラグメント(De Vos
ら、Plasmid 6 (1981), 249−253)が、Tn
5のapt(アセチルホスホトランスフェラーゼ)遺伝子を
含んでいるpKC7のEcoRI−BamHIフラグメント
(Rao & Rogers,Gene 7 (1979), 79−82)
で置き換えられている。この遺伝子はアミノグリコシ
ド、ネオマイシンおよびカナマイシンに対する耐性を暗
号化している。
【0089】中間ベクターpGV745の組み立てを図
16に模式的に示した。これについて以下に詳述する。
組換えプラスミドpGV713を、α配向でHind IIIフ
ラグメント14、18c、22eおよび38cを含む、オ
クトピンTiプラスミドサブクローンpGV0219(De
Vosら、Plasmid 6(1981), 249−253)か
ら誘導した。pGV0219DNAをBamHIで完全に
消化し、次いで自己結紮(セルフライゲーション)に有利
な条件下でライゲーションした(ライゲーション混合物
中のDNAの最終濃度<1μg DNA/ml)。アンピシ
リン耐性で形質転換体を選別し、制限酵素による消化で
物理的に特性化した。こうしてpGV0219に存在す
る6.5kb BamHIフラグメントをもはや含んでいない
クローンを分離し、これをpGV713と名付け、その
後のクローニングに使用した(以下の記載参照)。BamH
Iフラグメント2を含んでいるpGV0120(De Vos
ら、Plasmid 6(1981), 249−253)から組換
えプラスミドpGV738を誘導した。pGV0120
DNAをEcoRIで消化し、pGV713の場合と同様
にして自己結紮させた。形質転換体をアンピシリン耐性
によって選別し、制限酵素消化により分析した。EcoR
Iフラグメント20、12およびEcoRIフラグメント
19a の一部とpBR322の一部を含んでいる2.95
kb EcoRIフラグメントが全て除去されたクローンをp
GV738と名付け、更にその後のクローニングに利用
した。このプラスミドは、依然としてBamHIフラグメ
ント2の右側部分からの5.65kb EcoRI−BamHI
フラグメントを含んでいる(De Vosら、Plasmid 6
(1981), 249−253)。
【0090】次いでpGV713 DNAをHind IIIお
よびBamHIで消化し、消化物をプレパラティブアガロ
ースゲルにかけた。電気泳動の後、pGV713内に含
まれている2.30kb Hind III−BamHIフラグメン
トを電気溶出で純化した(Allingtonら、Anal.Bioch
em.85(1975), 188−196)。このフラグメ
ントをHind IIIおよびBamHIで完全に消化したpGV
738とライゲーションした。形質転換後、アンピシリ
ン耐性コロニーを、制限酵素消化により物理的に特性化
する。例えば、EcoRI−BamHI消化により、それぞ
れ3.98kb(=ベクター部分)と7.95kb(=挿入部分)
の2つのフラグメントが得られるはずである。この特性
を持った組換えプラスミドはpGV745と命名され、
アクセプターTiプラスミドpGV2260を組み立てる
ための中間ベクターとして使用された。
【0091】プラスミド pGV745は pBR322部
分にCol E1特異的 bomサイトを持っており、実施例
1に記載した様に(アクセプターTiプラスミドpGV3
850の組み立てについて)、ヘルパープラスミドR6
4drd11およびpGJ28を使ってE.coliからAgrob
acteriumへ授動させることができる。
【0092】pGV745を、リファンピシン耐性であ
りTiプラスミドpGV2217を含んでいるAgrobacte
rium株C58C1に授動させた。最初の乗り換えは、実
施例1(アクセプターTiプラスミドpGV3850の組
み立て)に記載した方法と同じ方法で、pBR322のア
ンピシリン耐性を使って選択した。2回目の乗り換えに
より、pGV2217に存在する欠失置換突然変異体が
プラスミドpGV745のpBR322配列によって置換
される。pGV745のpGV2217との相互組込みの
結果得られるアンピシリン耐性トランス接合体を、カナ
マイシン耐性の欠落により直接選別することにより第2
の組換え体を得た。この様にして、pGV2260(アン
ピシリン耐性、カナマイシン感受性)を含んでいるリフ
ァンピシンAgrobacterium株C58C1を得た。
【0093】このTiプラスミドpGV2260は、pG
V700−またはpGV750−タイプの中間クローニ
ングベクター用のアクセプタープラスミド(Bタイプ)と
して使用されるものである。これらは、(i)アンピシリ
ン耐性遺伝子、複製起源およびpBR322のbomサイト
を持ったDNAフラグメント、(ii)TL−DNAの左右
の境界配列のすぐ外側に位置するDNA配列および、中
間クローニングベクターのE.coliからAgrobacterium
への転移並びにそのアクセプターTiプラスミドpGV2
260への相互組込みを遺伝学的に選別し得る、pBR
322に既に存在している耐性マーカーとは別の、もう
1つの耐性マーカーを含んでいるDNAフラグメント、
で構成されている。
【0094】例えば、本発明者らは、pGV2260とp
GV700との間の相互組込み体を持っているAgrobac
teriumは、所望のDNA配列(T−DNA境界の間に含
まれている)を植物細胞ゲノムへ転移させ得ることを立
証した。この形質転換された植物細胞は、もしpGV7
00が3つの生産物のための遺伝情報(4、6a、6b;W
illmitzerら、EMBO J.1(1982), 139−1
46)を含んでいる場合は、期待される表現形質、即ち
新芽を生じる腫瘍を示す。この様に、本発明者らは、B
タイプのアクセプターTiプラスミドは、図9に示し、
更に実施例2に記載したタイプの中間クローニングベク
ターとの相互組込み体として使用すると、DNAを植物
細胞に転移させることができることを証明した。
【0095】実施例4 植物に発現させようとする遺伝
子を含んだ中間クローニングベクターの組み立て 本発明が完成されるまで、TiプラスミドのT−領域内
の、多かれ少なかれでたらめな位置に全遺伝子を挿入し
ても、その外来性の配列が植物ゲノムへ転移した後発現
されるということはなかった。本発明方法に従えば、所
望の外来性遺伝子(群)の暗号領域を、植物細胞中で機能
することが知られている転写開始および終了信号に連結
することができる。この方法の有用性は、ノパリンシン
ターゼ遺伝子を暗号化しているDNA配列が関与する、
本発明の実験によって例証される。この遺伝子の全配列
および正確な転写開始および終了は既知である(Depick
erら、J.Mol.Appl.Genet.1(1982), 56
1−574)。本発明によれば外来性遺伝子の蛋白質暗
号化領域は nosプロモーターの隣りに挿入することがで
きる。外来性遺伝子配列の例として、オクトピンシンタ
ーゼ遺伝子の暗号領域(De Greveら、J.Mol.App
l.Genet.1(1982), 499−512)をnosプロ
モーターに隣接させて挿入する。この構造物はアクセプ
ター Tiプラスミド内に授動され、植物を感染させるの
に使用される。生成した腫瘍組織にオクトピンが存在す
るかどうかを分析した所、陽性であることがわかった。
【0096】キメラノパリンプロモ−タ−を含有してい
る中間クロ−ニングベクタ−の組み立て: オクトピンシ
ンタ−ゼ構造遺伝子を図18〜図20に示す。
【0097】簡単に言えば、 nos遺伝子を含んでいる制
限フラグメントHind III−23 をインビトロで処理し
て nos暗号配列の大部分を除去する一方、制限エンドヌ
クレア−ゼサイトBamHIに隣接している nosプロモ−
タ−は保持する (図18)。10μg の pGV0422
(完全な nos 遺伝子を含むHind III−23 フラグメン
トを持った pBR322誘導体; Depickerら, Plasmi
d (1980), 193−211)をSau 3Aで消化し、
nosプロモ−タ−を含んだ350bp のフラグメントを
プレパラティブ5%ポリアクリルアミドゲルで分離す
る。このプロモ−タ−フラグメントを、5'−末端燐酸
エステル基を除去するために予め細菌性アルカリホスフ
ァタ−ゼ(BAP)で処理した、Bgl II−切断 pKC7
(Rao ら、Gene7(1979),79−82) に結合させ
る。得られたプラスミド(pLGV13)20μgをBgl I
Iで消化し、400μlの12mM MgCl2、12mM Ca
Cl2、0.6M NaCl、1mM EDTAおよび20mM
トリス−HCl(pH8.0)中、30℃でBal31エキソ
ヌクレア−ゼ(Biolabs, New England)7単位を用い
て4〜10分間処理する。この間、約20〜50bpのD
NAが除去される。このBal31−処理分子をBamHI
で消化した後、DNAポリメラ−ゼのKlenowフラグメ
ントと4つのデオキシヌクレオシドトリホスフェ−ト
(それぞれ10mM)と共にインキュベ−トして、その末
端を満たす。充填されたBamHI末端とBal31除去末
端とのライゲ−ションから得られる再生BamHIサイト
を持ったプラスミドを選別する。いくつかの候補のBam
HI−Sac II フラグメントのサイズを6%尿素−ポリ
アクリルアミドゲル中で見積り、サイズが200〜28
0ヌクレオチドの範囲にある候補のヌクレオチド配列を
決定する。プロモ−タ−を持った203bp の SacII−
BamHIフラグメントを含んでいるクロ−ン pLGV8
1を、 pGV0422の nos 遺伝子中のSac II−Ba
mHI フラグメントと置換するのに使用する: この最終
プロモ−タ−ベクタ−は pLGV2381と呼ばれる。
全ての組換えプラスミドはE.coli株HB101の形質
転換により選択する。
【0098】この様に処理した nosプロモ−タを含んで
いるプラスミドベクタ−をBamHIで消化し、BamHI
フラグメントに含まれている ocsの暗号配列をこのサイ
トに挿入する。この ocs暗号配列も、インビトロで処理
し、図19に示した様に、BamHI制限エンドヌクレア
−ゼサイトで囲まれる様にする。オクトピンTi プラス
ミドB6S3の BamHIフラグメント17a 10μg
(De Vos ら, Plasmid 6(1981),249−25
3)をBamHIおよびSmaIで消化し、ocs‐暗号配列を
含むフラグメントを1%アガロ−スゲルから分離し、 p
BR322の大きいBamHI−PvuIIフラグメントに結
合させる ; 得られたプラスミド、 pAGV828(20
μg)をBamHIで消化し、図18に示した様にエキソヌ
クレア−ゼBal31で処理し、次いでHindIIIで消化
し、末端を充填し、自己結合させる。Bal31除去体の
サイズは6%ポリアクリルアミドゲル中で見積る。いく
つかの候補のヌクレオチド配列を決定し、5'−非翻訳
リ−ダ−配列の残り7bpだけを持った候補を選択して以
下の操作に付す( pOCSΔ)。ocs 配列をBamHIサイ
トで囲むために、ClaI−RsaIフラグメントを充填
し、pLC236(Remautら、Gene 15(1981),
81−93) のBalIサイトにサブクロ−ンする。得ら
れたプラスミド pAGV40をBamHIで消化し、ocs
配列を持ったフラグメントをプレパラティブ1%アガロ
−スゲルから電気溶出により分離し、予めBamHIで消
化しBAP(細菌性アルカリホスファタ−ゼ)で処理した
pLGV2381に結合させる。ocs 配列の pLGV2
381への挿入により、両方の配向のものが得られる(p
NO−1および pNO−2)。
【0099】nos : ocs 融合の正確な接合点を示すヌク
レオチド配列を図20に示す。
【0100】更に、処理した nosプロモ−タ−を含有し
ているプラスミドベクタ−は、酵素ジヒドロフオレ−ト
レダクタ−ゼを暗号化しているプラスミドR67からの
DNAを挿入するのに使用される。ジヒドロフオレ−ト
レダクタ−ゼ遺伝子を含んでいる暗号配列は、BamHI
に含まれており(O'Hareら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 78 (1981),1527−1531)、
従って既述した様に、プロモ−タ−領域に隣接するBam
HIサイトを含んでいる nosプロモ−タ−ベクタ−に容
易に挿入される。この遺伝子は、発現されると抗生物質
メトトレキセ−トに対する耐性を付与するので、選択可
能なマ−カ−遺伝子の1つの例である(図2, 3, 4,
5および7参照)。この中間クロ−ニングベクタ−が野
生型ノパリンアクセプタ−Ti プラスミドを含んでいる
Agrobacteriumに授動されると、単一乗換えが起り、ハ
イブリッドTi プラスミドベクタ−が得られる。このベ
クタ−組成物を、植物の感染に使用する。得られた腫瘍
組織は、0.5μg/mlのメトトレキセ−トの存在下で継
続して生長し得ることがわかった。
【0101】ocs および上記のnos プロモ−タ−の後の
ジヒドロフオレ−トレダクタ−ゼ暗号領域を含んでいる
中間クロ−ニングベクタ−を組み立て、Agro‐bacteri
umのTi プラスミドと相互組込みした後、形質転換植物
細胞に転移、発現させることにより、本発明方法によっ
て外来性遺伝子を植物細胞に転移し、発現させることが
できるということが証明される。
【0102】実施例5 染色体中に所望の挿入遺伝子を
含む植物細胞および植物の分離本発明者らは、以下の3
つの方法のいづれかを使って、非腫瘍性アクセプタ−T
i プラスミド誘導体( 例えば pGV3850)で形質転
換された植物細胞および全植物を得た。 (1) インビボでの全植物の接種、次いで新芽の再生が
可能な培地上、インビトロでの培養、(2)損傷部位で直
接新芽の生成を促す他のAgrobacteria株の存在下、イ
ンビボにおける全植物の相互感染、(3)インビトロでの
単一植物細胞プロトプラストの共生培養。これらの方法
について以下に詳述する。
【0103】最初の方法は、クラウンガル組織の生産を
もたらす全植物組織の野生型Agrobacterium株による感
染体を得る為に通常使用される方法を改良したものであ
る。pGV3850は腫瘍を形成しないAgrobacterium
誘導体であるので、感染部位において腫瘍の増殖はみら
れない。しかし感染した組織を取り除き、組織培養で増
殖させると、形質転換された組織を容易に得ることがで
きる。初期培養期間(単に組織の量を増やすため)の後、
損傷部位組織を新芽形成が可能な条件下で増殖させる。
非形質転換細胞および pGV3850−形質転換細胞の
両者が新芽を発生する。形質転換新芽は、ノパリンの存
在をみる簡単な分析により容易に区別することができ
る。
【0104】本発明者らは、次のプロトコ−ルに従っ
て、Nicotiana tabacum Wisconsin38の頭部を切断
したタバコの苗木から、pGV3850−形質転換カル
スおよび新芽を得た(全ての操作はラミナ−フロ−フ−
ド中、無菌条件下で行なった)。 (1)小さなびん(直径10cm、高さ10cm)の中で、0.
8%の寒天を含む固形のMurashige & Skoog(MS)
培地 (Murashige および Skoog,Physiol.Plant.
15(1962), 473−497) で生育させた6周令
のタバコの苗木を使用する。 (2)外科用メスで最も若い頭頂の葉を切り取って捨て
る。 (3)選択的条件 (例えばTi プラスミド pGV3850
を含んでいるリファンピシン耐性、アンピシリン耐性A
grobacterium株の場合は、100μg/mlのリファンピ
シンと100μg/mlのカルベニシリンを含んでいるY
EB培地を使用する; YEB培地=5g/L Bacto ビ
−フエキス、1g/L Bacto 酵母エキス、5g/L ペ
プトン、5g/L シュクロ−ス、2×10-3 M MgS
4 , pH7.2, 15g/L 寒天)で増殖させた新鮮な
平板培養からのAgrobacteriumを、スパ−テルまたはつ
まようじで損傷表面に接種する。各 pGV3850組み
立て物を、少なくとも8本の苗木に接種する。 (4)2週間インキュベ−トする。接種部位にほとんどあ
るいは全く反応が表われないはずであるが、時々非常に
小さいカルス(calli)が観察される。 (5)損傷表面から厚さ1mm以下の薄い切片を切り取る。
損傷表面を、オ−キシンおよびサイトキニン(1mg/L
NAA、0.2mg/L BAP)および1%シュクロ−ス
を添加したLinsmaier & Skoog(LS)寒天培地(Lins
maier and Skoog,Physiol.Plant.18 (196
5),100−127)を含む平板上で培養する。 (6)約6週間後、カルスはその一部をとってノパリンの
存在を試験するのに十分なだけの大きさになる(少なく
とも直径が約5mmになる)。全ての損傷カルスがノパリ
ンを生産する訳ではない。4本の植物の内約1本がノパ
リン陽性損傷カルスをつくる。 (7)ノパリン陽性カルスを再生培地を含む寒天平板に移
す: 上記のLS培地+1%シュクロ−スおよび1mg/L
BAPサイトキニン (8)約4〜6週間後に良好なサイズの新芽(高さ1cm)が
出る。更に成長させ、根を形成させるために、この新芽
を、ホルモンを含まないLS培地+1%シュクロ−スを
含有している新しい寒天平板に移す。 (9)ノパリンの存在を試験するのに、その一部(1〜2
枚の小さな葉)を切り取れる様に、この新芽を1〜2週
間成長させる。 (10)ノパリン陽性の新芽を、(1)と同じMS培地を入
れたやや大きい容器(上記と同じ10cmのびん)に移し、
更に成長させる。 注) 感染させた組織のための全ての植物培養培地には、
pGV3850含有Agrobacteriumに対する選択的毒物
として、抗生物質セフオタキシム(cefotaxime、Clafor
anR 、ヘキスト)500μg/mlが含まれている。この薬
物は、全てのAgrobacterium(カルベニシリン耐性のも
のを含む)の生長をよく阻止する。
【0105】本発明者らの研究室で、形質転換された新
芽を出す組織を得る別の方法が開発された。この方法
は、Agrobacteriumのある種のミュ−タントTiプラス
ミド株が、新芽を出すクラウンガル腫瘍を生成させると
いうことを観察したことに基いて開発された。この様な
新芽−誘起(shi)に関する突然変異は、A.tumefaciens
のTiプラスミドのT−DNA(転移DNAセグメント)
の特定の領域に位置している(Leemansら, EMBO
J.1(1982), 147−152; Joosら, Cell
32(1983), 1057−1067)。誘起された新
芽は完全に正常な非形質転換細胞で構成されていること
が多い。従って本発明者らは、2つの異なったAgrobac
teria、即ち1つはオクトピンTiプラスミド放出(shoot
er)ミュ−タントを持ったもの、もう1つはpGV385
0を持ったもの、の混合物で植物を接種した。この様に
することは、オクトピン放出ミュ−テ−ションが、pG
V3850で形質転換された根を誘起することが出来る
よい機会を与える。TiプラスミドpGV3850および
オクトピン新芽誘起Tiプラスミドを5:1の割合で含ん
でいるAgrobacteriumを植物に接種した。こうすること
によりpGV3850−形質転換新芽を得た。この新芽
は、ノパリンの存在について分析することにより、容易
に選別することができる。この方法は、精功な組織培養
法を必要としない。ノパリン陽性新芽を、更に成長させ
るために、長調節ホルモンと共に単純な塩類と蔗糖を含
んだ培地に移す。新芽が十分な大きさに達した後、容易
に繁殖の為の土壌に移すことができる。この共感染法
は、簡単に組織培養しにくい種類の植物を形質転換する
のに特に有用である。従って、あらゆる範囲の農学的に
あるいは経済的に重要な植物、例えば豆科植物、薬用植
物および装飾植物をAgrobacteriumで処置することがで
きよう。
【0106】第3の方法は、Nicotiana tabacumプロト
プラストの単離およびホルモン−非依存性のT−DNA
−形質転換細胞クロ−ンの選択を、そのプロトプラスト
−由来細胞と腫瘍性Agrobacterium株との共培養後に実
施し得るものである。他の優勢な選択マ−カ−、例えば
高等植物細胞で発現される様に組み立てられた抗生物質
耐性遺伝子を使用すれば(実施例3参照)、形質転換細胞
を選択するのに類似の方法を使用することができる。し
かしこの場合は、それぞれのケ−スについて選択の最適
条件をみつける必要がある(選択剤の濃度、形質転換と
選択の間の時間、選択培地中のプロトプラスト−由来細
胞または細胞コロニ−の濃度など)。形質転換細胞の選択
ができない場合、例えばpGV3850またはpGV22
17(Leemansら, EMBO J.1(1982),147
−152)の様な非毒性のT−DNAミュ−タントを用
いたために選択が不可能な場合は、遺伝学的形質転換の
後に細胞をオ−キシン−およびサイトキニン−含有培地
(例えば2mg/L のNAA(α−ナフタレン酢酸)および
0.3mg/Lのカイネチンを含むMurashigeおよびSkoo
g培地(MurashigeおよびSkoog, Physiol.Plant 1
5(1962),473−497))で培養し、形質転換コ
ロニ−をそのオパイン(opine)含有量で同定することが
できる。この様にして、アグロピン(agropine)およびマ
ノピン(mannopine)合成の電気泳動分析(方法については
Leemansら, J.Mol.Appl.Genet.1(1981),
149−164参照)の後、約660コロニ−が、pGV
2217で感染後に得られ、TR−暗号化オパイン・マ
ノピン(N2−(1−マニチル)−グルタミン)を合成する
Nicotiana tabacum SR1セルラインであることがわ
かった。このセルラインのカルス切片を再生培地(唯一
の植物成長調節剤としてBAP(6−ベンジルアミノプ
リン)(1mg/L)を含む Murashige and Skoog培地)上
で培養すると、数多くの新芽が形成した。分析した20
の新芽の全てが、依然としてマノピンを合成することが
できた。ホルモンを含まないMurashige and Skoog培
地に移した後、これらの新芽は、依然としてマノピンを
含有し、形態学的に正常なタバコ植物に成長した。
【0107】N.tabacumについて次に記載するプロトプ
ラストの分離および形質転換法は、N.plumbaginifolia
にも用いることができる。
【0108】2.実験手法 2.1.新芽培養条件 培養室内の無菌条件下(1日16時間、1500ルック
スの白色蛍光("ACEC LF 58W/24300゜K
Economy")、24℃、相対湿度70%)、250ml のガ
ラスびんに入れたホルモン不含のMurashige and Skoo
g培地(MurashigeおよびSkoog, Physiol.Plant 1
5(1962), 473−497)上でNicotiana tabac
umの新芽培養を維持する。5週令の新芽培養をプロトプ
ラストの分離に使用する。
【0109】2.2.プロトプラストの分離 プロトプラストの分離および培養における全ての工程は
無菌操作で行なう。混合酵素法によりプロトプラストを
分離する。長さ2cm以下の非常に若い葉を除く、全ての
葉をプロトプラストの分離に使用することができる。鋭
利な外科用のメスで、葉を幅約2−3mmの細長い小片に
切断する。この葉材料2〜3gを、酵素混合物50ml
中、暗所で、24℃にて18時間静置培養する。この酵
素混合物は、ホルモン不含のK3培地中、0.5%セル
ラ−ゼOnozuka R−10および0.2%マセロザイムO
nozukaR−10からなっている(NagyおよびMaliga,
Z.Pflanzenphysiol.78(1976), 453−45
5)。この混合物は、0.22μm細孔膜を通して濾過減
菌し、顕著な活性の低下をきたすことなく、−20℃で
少くとも6ヵ月間貯蔵することができる。
【0110】2.3.プロトプラスト培養 18時間培養した後、プロトプラストを放出するために
混合物を穏やかに撹拌する。次いでこの混合物を50μ
mのふるいを通して濾過し、濾液を10mlの遠心管に移
す。振動バケツロ−タ−に入れて60〜80gで6分間
遠心分離すると、プロトプラストが暗緑色の浮遊バンド
(帯)を形成する。プロトプラストの下層の液およびペレ
ット状の残骸を、蠕動ポンプに連結した毛細管を使って
取り除く。プロトプラストを1つの遠心管に集め、培養
培地で2回洗浄する。この培養培地は、NAA(0.1mg
/L)およびカイネチン(0.2mg/L)を成長調節剤とし
て含有するK3培地である(NagyおよびMaliga, Z.
Pflanzenphysiol.78 (1976), 453−45
5)。この培地はpH5.6に調節し、0.22μmの濾過
膜を通して減菌する。2回目の洗浄の後、Thoma血球計
算器(“Assistant", 西ドイツから入手)を用いてプロ
トプラストを計測し、最終密度105プロトプラスト/ml
となる様に培養培地に懸濁する。直径9cmの組織培養
用良質ペトリ皿当たり10ml の容量でプロトプラスト
を培養する。このペトリ皿をParafilmR でシ−ルし、2
4℃で、暗所次いでかすかな光(500〜1000ルッ
クス)を当てて24時間培養する。
【0111】2.4.共生培養による形質転換 分離5日後にプロトプラスト培養株を感染させる。Agr
obacteriumを液体LB培地(Miller,Experiments in
Molecular Genetics(1972), ColdSpring
Harbor Laboratory,New York)中で18時間培養
後、2×109細胞/ml の密度となる様にK3培養培地
に再懸濁する。この懸濁液50μl を植物プロトプラス
ト培養株に加え、ParafilmR でシ−ルした後、この培養
株を2.3.と同じ条件下で培養する。48時間後に培養
株を10ml の遠心管に移し、振動バケツロ−タ−に入
れ、60〜80gで6分間遠心分離する。浮遊バンドお
よびペレットを集め、抗生物質(カルベニシリン100
0μg/ml またはセフォタキシム500μg/ml )を補足
したK3培地(NagyおよびMaliga, Z.Pflanzen phy
siol.78(1976), 453−455)10ml に再懸
濁する。
【0112】培養2週間後、プロトプラスト−由来マイ
クロカルスを遠心分離し、前記と同濃度の成長調節剤お
よび抗生物質を含むがシュクロ−スに関しては0.4M
の代りに0.3M含むK3培地(NagyおよびMaliga,
Z.Pflanzenphysiol.78(1976), 453−45
5)に再懸濁する。この培地の細胞密度は約25×10 3
マイクロカルス/ml に調節する。同じ条件下で更に2週
間培養した後、カルスを、前記と同濃度の抗生物質を含
むが、より低濃度のシュクロ−ス(0.2M)と成長調節
剤(NAA0.01mg/L 、カイネチン0.02mg/L)
を含むK3培地に移す。更に2〜3週間培養後、形質転
換体と推定されるものは、その淡緑色の密な外観、およ
びより良好な成長度から認識することができる。これら
のコロニ−を、より低濃度の抗生物質(カルベニシリン
500μg/ml またはセフオタキシム250μg/ml )を
含むがホルモン不含の0.6%寒天固形培地(Linsmaier
およびSkoog, Physiol.Plant.18(1965), 1
00−127)に移す。形質転換体と推定されるものが
直径約3−4mmに達した時、ホルモン不含の培地で生育
しているそれらにオパイン試験を施すことができる。各
コロニ−の半分を、オクトピンおよびノパリン(Aerts
ら, Plant Sci.Lett.17(1979),43−5
0)またはアグロピンおよびマノピン(Leemansら,
J.Mol.Appl.Genet.1(1981), 149−1
64)の検出に使用する。この試験により、ホルモン不
含の培地で選択されたコロニ−の形質転換された性質を
確認することができる。その後、選択されたコロニ−を
抗生物質不含の培地で培養することができる。
【0113】2.5.ホルモン不含培地上の選択なしの
共生培養 形質転換細胞の為の選択ができない(例えば無毒性T−
DNAミュ−タントを使ったため)場合、またはそれが
必要でない場合(抗生物質耐性遺伝子の様な優勢な選択
し得るマ−カ−がT−DNAに存在している為)、プロ
トプラスト−由来細胞の処理を簡略化することができる
(ホルモン減少工程はもはや必要でない)。感染段階ま
で、プロトプラストを既述した様に処理する。細菌を加
えて48時間後にプロトプラスト−由来細胞を遠心分離
し(6分、60−80g)、非常に低密度で細胞の成長を
維持することができるAG培地(Caboche, Planta 1
49(1980), 7−18)に再懸濁する。Fuchs‐Ro
senthal 計数チエインバ−(“Assistant", 西ドイツよ
り入手)を使って計測し、以下の操作に必要な密度にな
る様に再懸濁する。オパイン試験のためにコロニ−を個
々に操作しなければならない場合は、低細胞密度(1ml
当たり100プロトプラスト−由来細胞および細胞コロ
ニ−)で植えつけると、1ヵ月の培養で大きい細胞コロ
ニ−が得られる。形質転換細胞を薬物で選択できる場合
は、細胞を高密度(103-104/ml)で培養し、各タイ
プの選択に最適な時期及び濃度で、その使用する選択剤
を培地に添加する。
【0114】2.6.カルス組織から全植物の再生 カルス組織から正常植物を容易に得ることができる(例
えばプロトプラスト形質転換から、または全植物接種か
ら(2.7参照)得られる)。カルス組織を、1mg/ml のB
APを含んでいるMurashige and Skoog培地で増殖さ
せる: この培地は1〜2ヵ月後に新芽を形成させる。こ
の新芽をホルモン不含の培地に移し、根を形成させ、完
全な植物をつくらせることができる。
【0115】2.7.タバコ苗木への腫瘍の誘導 タバコの種子(例えば裁培品種Wisconsin 38)の表面
を70%変性エタノ−ル/H2Oで2分間、次いで10
%の市販の標白剤と0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(S
DS)で処理して滅菌し、更に滅菌水で5回洗浄する。
この滅菌した種子を、Murashige and Skoog(0.7
%寒天)培地の塩類を含む大型試験管(幅25mm、ポリカ
−ボネ−ト製のキップ付)にまく。次いでこの試験管を
培養室(12,000ルックス、16時間照射/8時間非
照射、70%相対湿度、24℃)に入れて培養する。4
〜6週間経つと植物は使用できる状態になる。少なくと
もその後1ヵ月間は最適の状態を維持する。苗木は少な
くとも高さ3cmになり、4枚またはそれ以上の葉を持つ
はずである。新しい外科用メスで植物の最も若い節間を
通して横に頭部を切断する。植物の上の部分を試験管か
ら取り除き、火にかけたスパ−テルで平板寒天培養から
細菌を損傷表面に塗抹する。野生型の場合は2週間後
に、ある種の変性ミュ−タント株の場合はもっと後に腫
瘍が現れる。この方法は、タバコ(Nicotiana tabacu
m)、Nicotiana plumbaginifoliaおよびびPetunia h
ybridaを接種するのに使われる。
【0116】以上述べた如く、本発明は、野生型Tiプ
ラスミドのT−領域の腫瘍機能が欠落しているハイブリ
ッドTiプラスミドを保持しているAgrobacteriumで、
初めて植物を形質転換することを可能ならしめたもので
ある。Tiプラスミドから植物細胞へのDNAの転移に
及ぼすT−領域の腫瘍機能の影響は知られていないの
で、それでも所望の遺伝子を含んでいる改良T−領域の
植物細胞への転移が起ることは驚くべきことである。こ
の転移DNAは植物細胞ゲノムに相互組込みされ、安定
に保持される。更に、選択した所望の遺伝子は、その遺
伝子が適当なプロモ−タ−配列を含んでいるか、あるい
は含む様に組み立てられると発現することができる。所
望の遺伝子を含んでいる中間クロ−ニングベクタ−と、
特別に設計されたアクセプタ−Tiプラスミドとの間で
単一乗換えを行わせるという本発明の概念(アイディア)
は、植物細胞の形質転換の為のハイブリッドTiプラス
ミドベクタ−の組み立てを著しく簡単なものにするもの
である。この特別に設計されたアクセプタ−Tiプラス
ミドは、所望の遺伝子(これは中間クロ−ニングベクタ
−の一部と同じであるかまたはこれに関連しているクロ
−ニング媒体中に挿入されている)が単一乗換えによっ
て相互組込み体を形成することができる様に、通常のク
ロ−ニング媒体のDNAセグメントを含んでいる。この
クロ−ニング媒体の2つのセグメントが、組換えの為に
必要な相同領域を提供する。
【0117】本発明方法によって調製された微生物、中
間クロ−ニングベクタ−、アクセプタ−Tiプラスミ
ド、およびハイブリッドプラスミドベクタ−は、198
3年12月21日、German Collectionof Microor
ganisms(DSM)(Goettingen)に寄託され、確認された
以下の培養株で例示される: (1)Escherichia coli K12HB101中の中間ベ
クタ−プラスミドpAcgB、(2)カルベニシリン耐性ア
クセプタ−TiプラスミドpGV3850を保有している
Agrobacterium tumefaciens C58C1 リフアン
ピシン耐性株、(3)Escherichia coli K12株K5
14(thr leu thi lac hsdR)中の中間ベクタ−プ
ラスミドpGV700、(4)Escherichia coli K1
2株K514((3)と同じ)中の中間ベクタ−プラスミド
pGV750、(5)カルベニシリン耐性アクセプタ−Ti
プラスミドpGV2260を保有しているAgrobacteriu
m tumefaciens C58C1 リフアンピシン耐性株、
(6)Escherichia coli K12 HB101中の、ノ
パリンプロモ−タ−支配下のオクトピンシンタ−ゼ暗号
領域を保有している中間ベクタ−プラスミドpNO−
1、(7)中間ベクタ−のAgrobacteriumへの授動に使用
された株=授動プラスミドpGJ28およびR64drd1
1(Van Hauteら、EMBO J.2(1983),41
1−418)を保有しているGJ23; GJ23はEsch
erichia coli K12, JC2926, AB1157
のrecA誘導体である(Howard−Flandersら、Genetic
s 49(1964), 237−246)。これらの培養株
の受理番号は、それぞれ2792(1)、2798(2)、
2796(3)、2797(4)、2799(5)、2833
(6)、および2793(7)である。
【0118】本発明の態様を色々と記述したが、その基
本的な構成を変化させれば本発明に係る方法および組成
物を利用するその他の態様が得られることは言うまでも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アクセプタ−Tiプラスミドの模式図であ
る。
【図2】 アクセプタ−Tiプラスミドに挿入される中
間クロ−ニングベクタ−の模式図である。
【図3】 アクセプタ−Tiプラスミドに挿入される中
間クロ−ニングベクタ−の模式図である。
【図4】 ハイブリッドTiプラスミドベクタ−の調製
法を示す模式図である。
【図5】 中間クロ−ニングベクタ−の遺伝子転移過程
の概略を示す模式図である。
【図6】 Aタイプのアクセプタ−Tiプラスミドの組
み立てを示す模式図である。
【図7】 中間クロ−ニングベクタ−の組み立てを示す
模式図である。
【図8】 Bタイプのアクセプタ−Tiプラスミドの組
み立てを示す模式図である。
【図9】 Bタイプのアクセプタ−Tiプラスミドに挿
入される中間クロ−ニングベクタ−の模式図である。
【図10】 ハイブリッドTiプラスミドベクタ−の組
み立てを示す模式図である。
【図11】 5.2kb HindIIIフラグメントAcgBのp
BR322への挿入を示す模式図である。
【図12】 ノパリンTiプラスミドpGV3839のT
−領域を示す模式図である。
【図13】 アクセプタ−TiプラスミドpGV3850
の組み立てを示す模式図である。
【図14】 中間クロ−ニングベクタ−pGV700の
組み立てを示す模式図である。
【図15】 中間クロ−ニングベクタ−pGV750の
構造を示す模式図である。
【図16】 中間ベクタ−pGV745の組み立てを示
す模式図である。
【図17】 アクセプタ−プラスミドpGV2260の
組み立てを示す模式図である。
【図18】 プラスミドpLGV2381の組み立てを
示す模式図である。
【図19】 プラスミドpAGV10の組み立て、およ
びその、プラスミドpLGV2381への挿入を示す模
式図である。
【図20】 オクトピンシンタ−ゼ遺伝子暗合化領域と
融合する前後のノパリンシンタ−ゼ遺伝子のプロモ−タ
−領域の周囲のヌクレオチド配列を示す模式図である。
フロントページの続き (71)出願人 390040420 Berlin,BRD (72)発明者 ジャン・ピエール・エー・ツェー・ヘルナ ルシュテーンズ ベルギー国ブリュッセル、ベー−1150番 (72)発明者 マーク・チャールズ・ヴァン・モンタギュ ー ベルギー国ブリュッセル、ベー−1050番 (72)発明者 ルイス・ラファエル・ヘレーラ・エストレ ラ ベルギー国ジェント、ベー−9000番 (72)発明者 ジャン・ジョセフ・アウグスト・リーマン ズ ベルギー国ボンハイデン、ベー−2920番

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)野生型Tiプラスミドの内部T−D
    NA配列の腫瘍の増殖を支配するT−DNA遺伝子を含
    まず、かつ(b) (i)暗号配列、および(ii)該暗号配列
    の天然のプロモーター配列以外の外来性のプロモーター
    配列を含むプロモーター領域であって、該プロモーター
    配列は、該暗号配列を含む下流配列の転写を調整して植
    物細胞中でRNAを生成させるプロモーター領域、を含
    む少なくとも1つの所望の遺伝子を含んでいる、ことを
    特徴とする外来DNAをゲノム中に安定に組込んで含ん
    でいる植物細胞。
  2. 【請求項2】 所望の遺伝子が構造遺伝子であり、RN
    Aがリーダー配列を含むmRNAである請求項1に記載
    の細胞。
  3. 【請求項3】 該プロモーター領域がAgrobacterium
    T−DNAのオパインシンターゼ遺伝子のプロモーター
    領域である請求項1に記載の細胞。
  4. 【請求項4】 該プロモーター領域がノパリシンターゼ
    のプロモーター領域である請求項3に記載の植物細胞。
  5. 【請求項5】 プロモーター配列が、下流配列の転写の
    組織特異的な調整を付与するものである請求項1または
    2に記載の細胞。
  6. 【請求項6】 組織特異的な調整が、該細胞を含む植物
    の葉、根、茎または花における調整である請求項5に記
    載の細胞。
  7. 【請求項7】 プロモーター配列が、下流配列の転写の
    誘導性の調整を付与するものである請求項1または2に
    記載の細胞。
  8. 【請求項8】 誘導性の調整が、温度、光または添加さ
    れた化学的因子による調整である請求項7に記載の細
    胞。
  9. 【請求項9】 所望の遺伝子が、植物細胞の生産物の合
    成をコントロールするものである請求項1〜8のいずれ
    かに記載の細胞。
  10. 【請求項10】 生産物が、アミノ酸または糖類である
    請求項7に記載の細胞。
  11. 【請求項11】 所望の遺伝子が、外部からの病原物質
    に対する保護を付与する生産物の合成をコントロールす
    るものである請求項1〜8のいずれかに記載の細胞。
  12. 【請求項12】 外部からの病原物質に対する保護が、
    病原生物またはストレスとなる環境因子に対する耐性で
    ある請求項11に記載の細胞。
  13. 【請求項13】 所望の遺伝子が、選択可能なマーカー
    遺伝子である請求項1〜8のいずれかに記載の植物細
    胞。
  14. 【請求項14】 所望の遺伝子が、抗生物質耐性遺伝子
    である請求項13に記載の細胞。
  15. 【請求項15】 外来DNAが、植物細胞中で発現する
    選択可能なマーカー遺伝子をさらに含んでいる請求項1
    〜14のいずれかに記載の植物細胞。
  16. 【請求項16】 選択可能なマーカー遺伝子が、抗生物
    質に対する耐性をコードしているものである請求項15
    に記載の細胞。
  17. 【請求項17】 選択可能なマーカー遺伝子が、メトト
    レキセートに対する耐性をコードしているものである請
    求項16に記載の細胞。
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