JP2762956B2 - 遮音壁構造 - Google Patents

遮音壁構造

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JP2762956B2
JP2762956B2 JP7118566A JP11856695A JP2762956B2 JP 2762956 B2 JP2762956 B2 JP 2762956B2 JP 7118566 A JP7118566 A JP 7118566A JP 11856695 A JP11856695 A JP 11856695A JP 2762956 B2 JP2762956 B2 JP 2762956B2
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康之 浅原
桂二郎 巌
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    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10KSOUND-PRODUCING DEVICES; METHODS OR DEVICES FOR PROTECTING AGAINST, OR FOR DAMPING, NOISE OR OTHER ACOUSTIC WAVES IN GENERAL; ACOUSTICS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10K11/00Methods or devices for transmitting, conducting or directing sound in general; Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/16Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/172Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general using resonance effects
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60RVEHICLES, VEHICLE FITTINGS, OR VEHICLE PARTS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B60R13/00Elements for body-finishing, identifying, or decorating; Arrangements or adaptations for advertising purposes
    • B60R13/08Insulating elements, e.g. for sound insulation
    • B60R13/0861Insulating elements, e.g. for sound insulation for covering undersurfaces of vehicles, e.g. wheel houses

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通気性を保持しながら
遮音効果を発揮することが出来、特に自動車のアンダー
カバーに好適な遮音壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、遮音壁構造を適用した自動車とし
て例えば図8(a)、(b)に示すものがある。この自
動車1はエンジンルーム3の下部にアンダーカバー5を
取り付けたものである。アンダーカバー5は、自動車1
の下部の空力特性を向上させ、またエンジンルーム3内
の部品を跳ね上げられた小石等から保護する機能を持つ
と共に、エンジンルーム3から車外に放射される騒音を
抑制する遮音壁としての機能を有している。そして、こ
のアンダーカバー5の遮音壁としての効果はその面積が
大きなものほど増大する。
【0003】しかしながら、アンダーカバー5の面積を
大きくするほどエンジンルーム3の下部が密閉されるこ
とになり、エンジンルーム3内の雰囲気温度が上昇す
る。このためエンジンルーム3内が高温となって、部品
の耐久性に影響を与える。このようにエンジンルーム3
のアンダーカバー5の設計に当たっては、騒音抑制とい
う側面だけでなく熱的な側面も考慮しなければならな
い。
【0004】そこで、本出願人は、図9、10に示すよ
うな遮音壁7を既に出願している(特願平5−3220
41号)。この遮音壁7は、間隔をおいて対向する2枚
の遮音板9a、9bを用いている。そして、遮音板9
a、9bに孔部11a、11b、13a、13bや、筒
部15、延長部23を設けることにより、空気マスと空
気ばねとからなる振動系を2種類以上形成し、それぞれ
の振動系からの透過波が干渉して打ち消し合うことによ
り、遮音効果を得ている。
【0005】具体的には、図10に示すように、複数の
孔部11a、11b、13a、13bの一部の孔部11
a、11bを孔部11a、11bと略同一断面の内面を
有する直管状の筒部15で連通させている。これによ
り、孔部11a、11b内と筒部15内とで一方の遮音
板9aから、他方の遮音板9bへ貫通された連続孔部1
2が形成されている。この連続孔部12内の空気17が
空気マスとして働き、周期的に変化する音圧を外力とし
て受けて振動するマスのみの1自由度振動系19を構成
している。
【0006】また、筒部15により連通されていない孔
部13a、13bは、孔部13a、13bの開口縁部か
ら遮音板9a、9bの対向側へ壁部26を突出させて延
長部23が設けられている。これにより、遮音板9a、
9bの板厚よりも長く、相互に対向する延長孔部14、
14が形成されている。さらに、遮音板9a、9b間で
延長部23の周囲には空間部16が形成されている。そ
して、延長孔部14、14内の空気が空気マスとして働
き、空間部14の空気層が空気ばねとして働いて、2自
由度振動系21を構成している。
【0007】上記1自由度振動系19は共振周波数を持
たず、入射波と透過波とは常に同位相となる。これに対
して延長孔部14、14に形成される2自由度振動系2
1は、共振周波数を1つだけ持ちその共振周波数以上の
周波数において、入射波と透過波の位相が逆位相とな
る。従って、2自由度振動系21の共振周波数以上の周
波数帯では、連続孔部12を透過する透過波と延長孔部
14及び空間部16を透過する透過波とが互いに逆位相
となり打ち消し合うことにより、遮音効果を持つ。
【0008】ここで、孔部13a、13bの周囲に延長
部23を設けることにより、孔部13a、13bに形成
される空気マスの質量を大きくすることが出来る。これ
により、2自由度振動系21の共振周波数を小さくする
ことことが出来、より広い周波数帯での遮音効果を得る
ことが出来る。
【0009】また、この遮音壁では、孔部11a、11
b、13a、13bが遮音板29a、29bに設けられ
ているので、通気性を確保することが出来、エンジンル
ーム内の熱気を外部へ容易に放出することが出来る。
【0010】従って、この構造の遮音壁によれば、通気
性と騒音抑制との両者を合わせ持つアンダーカバー5が
得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この遮
音壁構造を自動車のアンダーカバー5として実際に使用
した場合を考えると、水たまり走行時の水跳ね等によ
り、図10に示すように、下側の遮音板9bの突出した
延長部23の高さまで、遮音板9a、9b間に水25が
溜まる可能性がある。
【0012】このような場合、遮音板9a、9b間の空
気層の体積が減少するので空気バネ定数が上がり、2自
由度振動系21の共振周波数が上昇する。2自由度振動
系21の共振周波数が上昇すると、遮音効果が得られる
周波数帯が狭くなるため遮音性能の低下を招く。
【0013】これについて図11を用いて説明する。図
11は、遮音壁の各周波数(Hz)における透過損失T
L(dB)を示す。図11において曲線Aは、遮音板2
9a、29b間に水が溜まっていない場合(以下「水な
し」という)の透過損失TLの計算値を示しおり、曲線
Bは遮音板9a、9b間に水が溜まっている場合(以下
「水あり」という)の透過損失TLの計算値を示してい
る。なお、これらの曲線において透過損失TLが大きい
ということは、遮音壁を透過する音が少ないことを示し
ており、遮音効果が高いことを示している。
【0014】また、曲線Aにおいて、透過損失TLが急
激に落ち込んだC点は水なしの場合の2自由度振動系2
1の共振周波数を示しており、曲線Bにおいて、透過損
失TLが急激に落ち込んだD点は水ありの場合の2自由
度振動系21の共振周波数を示す。また、曲線A、Bに
おいて共振周波数より高い周波数で透過損失TLが大き
く落ち込んだ点Eは筒部15の空気が空気マスとして働
く1自由度振動系19の筒部15の空洞共鳴周波数を示
す。そして、水なしの場合の2自由度振動系21の共振
周波数C点又は水ありの場合の共振周波数D点から空洞
共鳴周波数E点までの間が遮音領域となっている。
【0015】ここで、遮音板29a、29b間に水が溜
まると、図11に示すように、2自由度振動系の共振周
波数はC点からD点に上昇する。このため、遮音領域が
C−E間からD−E間に変化し遮音領域が狭くなり、低
下領域F分(C−D間)だけ遮音性能が低下する。
【0016】これに対処するため、遮音板9bに外部と
連通する水抜き用の開口を設けることも考えられるが、
十分な遮音性能を得るために1自由度振動系19、2自
由度振動系21のマスバネ系の調整に困難を伴う恐れが
ある。
【0017】これについて図12を用いて説明する。図
12は遮音壁の各周波数(Hz)における透過損失TL
(dB)を示す。図12において曲線Gは遮音板9bに
開口がない場合の透過損失の計算値を示し、曲線Hは遮
音板9bに開口がない場合の透過損失TLの実験値を示
す。また、曲線Kは遮音板9bに開口がある場合の透過
損失TLの実験値を示す。なお、点L、M、Nは2自由
度振動系の共振周波数を示し、Oは、1自由度振動系の
共鳴周波数を示す。また、遮音板9bに開口がない場合
の2自由度振動系21の共振周波数Lから1自由度振動
系19の共振周波数Oまでの間が遮音領域である。
【0018】図12に示すように、共振周波数L−Oの
間で領域Pにおける曲線Hと曲線Kを比較すると、曲線
Kすなわち遮音板9bに開口を設けた場合では2自由度
振動系の透過損失TLが大きく低下している。従って、
遮音板9bに開口を設けた場合は、透過損失TLを低下
させないような振動系の再調整が必要となり、この再調
整等に困難を伴う恐れがある。
【0019】そこで、本発明は、簡単な調整で遮音性能
を維持しつつ遮音板間に浸入した水を外部へ排出するこ
とが出来る遮音壁構造の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、間隔をおいて対向する少なくと
も2枚の遮音板と、前記遮音板に貫通して設けられ、そ
れぞれ互いに対向する複数の孔部とを有し、これらの孔
部の一部が対向する遮音板間で直管状の筒部により連通
され、前記筒部で連通されている孔部以外の孔部の一部
又は全部が、孔部の開口縁部から遮音板の対向側へ壁部
を突出させて形成される延長部を有する遮音壁構造であ
って、少なくとも前記一方の遮音板の延長部のうちの一
部に、遮音板間と延長部内とを連通する開口部を設けた
ことを特徴としている。
【0021】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明であって、前記開口部を、使用状態において少なくと
も最低位側となる延長部に設けたことを特徴としてい
る。
【0022】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載の発明であって、前記開口部と遮音板表面との
最短距離をx、遮音を目的とする音の周波数をf、音速
をc、遮音壁構造の面積に対する孔部面積の比を開口率
α、全孔部面積に対する筒部で連通された孔部の面積の
比をβ、遮音板の板厚をt、突出した延長部の長さを
h、孔部半径をa、孔部の開口端補正値をδ、対向する
遮音板間距離をdとすると、距離xが
【数2】 を満たす範囲にあることを特徴としている。
【0023】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求
項3のいずれか一項に記載の発明であって、前記開口部
を、前記延長部に一つに対して複数設けたことを特徴と
している。
【0024】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明であって、前記複数の開口部を、対向配置したことを
特徴としている。
【0025】請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求
項5のいずれか一項に記載の発明であって、前記開口部
を、該開口部の面積を含んだ延長部の全周面積と開口部
の面積との比が、20%を下回るように設けたことを特
徴としている。
【0026】請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求
項6のいずれか一項に記載の発明であって、前記開口部
は、前記延長部に沿って延びる略矩形のスリットである
ことを特徴としている。
【0027】請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求
項7のいずれか一項に記載の発明であって、前記開口部
が延長部の先端から遮音板中まで形成されていることを
特徴としている。
【0028】請求項9記載の発明は、請求項1乃至請求
項7のいずれか一項に記載の発明であって、前記開口部
が遮音板から延長部の途中まで形成されていることを特
徴としている。
【0029】請求項10記載の発明は、請求項1乃至請
求項9のいずれか一項に記載の遮音壁構造であって、前
記遮音板は、自動車のエンジンルームのアンダーカバー
の少なくとも一部であることを特徴としている。
【0030】
【作用】請求項1の発明によれば、筒部及び筒部で連通
された孔部内の空気層が空気マスとして働き、マスのみ
の1自由度振動系が構成され、延長部内及び延長部が設
けられた孔部内の空気層が空気マスとして働き、遮音板
間の空気層が空気バネとして働いて2自由度振動系が構
成される。そしてそれぞれの振動系からの透過波が互い
に干渉して打ち消し合うことにより、遮音壁を透過する
音が遮音される。
【0031】また、遮音板は、孔部が設けられて通気性
が確保されているので、この遮音板間の熱気が外部に放
出される。
【0032】さらに、孔部から遮音板間に浸入した水
は、開口部を通って延長部から外部に排出される。この
場合、開口部を遮音板ではなく、延長部に設けたことに
より上記振動系への音響的な影響が少ない。また、振動
系の複雑な調整をすることなく、遮音板間に浸入した水
が外部に排出される。
【0033】請求項2の発明によれば、使用状態におい
て少なくとも最低位側となる延長部に開口部を設けるこ
とにより、遮音板間に浸入した水は、最低位側に集まり
開口部から外部に排出される。
【0034】請求項3の発明によれば、延長部が設けら
れている孔部から壁部の内側を通り、遮音板間に浸入し
た水は、下側に位置する遮音板の表面から距離xの高さ
を越えると開口部から外部に排出される。
【0035】この場合、開口部の遮音板の表面に最も近
い点と遮音板表面との距離xが遮音を目的とする音の周
波数fに対して式(1)を満たす範囲にあることによ
り、遮音板間の空気層による空気バネと延長部内と孔部
内の空気マスとからなる共振周波数が遮音を目的とする
音の周波数より小さいので、遮音性能が低下することが
なく、遮音性能が維持される。
【0036】請求項4の発明によれば、一つの突出した
延長部について開口部を複数設けることにより、遮音板
間に浸入した水は、複数の開口部から外部へ排出され
る。
【0037】請求項5の発明によれば、一つの突出した
延長部について開口部を複数個設ける場合、複数の開口
部を対向位置にそれぞれ設けたことにより、壁部内の空
気層が空気マスとして働くとき、空気マスの振動に偏り
がなくなり有効に空気マスが形成される。すなわち、壁
部内の空気が振動する場合、隣接する周囲の空気も引き
ずって動くため、一側に設けた開口部側の空気を引きず
る場合には空気マスの重心は壁部の中心から一側の外周
よりに移動し、空気マスの振動に偏りが生じる。これに
対して、開口部を対向位置に設けることにより空気マス
の重心が偏ることがなく、壁部の略中心にあるため、空
気マスの振動に偏りが生じることがない。
【0038】請求項6の発明によれば、延長部孔部から
遮音板間の空間部に浸入した水は、開口部を通って延長
孔部から外部に排出される。この場合、開口部の面積を
含む突出した延長部の全周面積に対する開口部の面積の
比が20%を下回るように開口部を設けることにより、
延長孔部内の空気マスと空間部の空気層による空気バネ
とからなる2自由度振動系の共振周波数の変化率が小さ
くなり、共振周波数はほとんど変化しない。
【0039】請求項7の発明によれば、延長孔部から遮
音板間の空間部に浸入した水は、略矩形のスリットを通
って延長孔部から外部に排出される。
【0040】請求項8の発明によれば、延長孔部から遮
音板間の空間部に浸入した水は、遮音板上を伝わって開
口部から全て外部に排出される。
【0041】請求項9の発明によれば、延長孔部から遮
音板間の空間部に浸入した水は、遮音板上を伝わって開
口部から全て外部に排出される。
【0042】請求項10の発明によれば、遮音壁構造を
エンジンルームのアンダーカバーとすることが出来る。
【0043】
【実施例】以下、本発明に係る遮音壁構造の実施例につ
いて図面を用いて説明する。
【0044】第1実施例 本実施例は、遮音壁構造を図8(a)、(b)に示す自
動車のアンダーカバー5に適用したものである。すなわ
ち、エンジンルーム3の下部にアンダーカバー5が設け
られ、その後方側に遮音壁27が一体に設けられてい
る。この実施例の遮音壁27の具体的構成を図1及び図
2に示す。なお、図2は図1の一部を拡大した斜視図で
ある。
【0045】図1に示すように、遮音壁27は、間隔を
おいて対向する2枚の遮音板29a、29bが、互いに
対向する側壁31、33で4辺同士をそれぞれ連結され
て箱状に形成されている。2枚の遮音壁29a、29b
には、互いに対向する複数個の孔部35a、35b、3
7a、37bがそれぞれ貫通して設けられている。これ
らの孔部35a、35b、37a、37bのうち一部の
孔部35a、35bが対向する遮音板29a、29b間
で、直管状の筒部39で連通されている。これにより、
孔部35a、35bと筒部39とで、遮音板29a、2
9b間に区画形成され一方の遮音板29aの外面から他
方の遮音板29bの外面へ一定断面で貫通した直管状の
連続孔部38が形成されている。そして、図10で説明
したように、連続孔部38内の空気が空気マスとして働
き、空気マスのみの1自由度振動系を構成している。
【0046】筒部39で連通されていない孔部37a、
37bの開口縁部からは、この孔部37a、37bと略
同一断面の内面を有する筒状の延長部43が遮音板29
a、29bの対向側に突出してそれぞれ設けられてい
る。これにより、遮音板29a、29bにその板厚より
も長く、相互に対向する延長孔部40、40がそれぞれ
形成されている。さらに、遮音板29a、29b間で延
長部43の周囲には空間部42が形成されている。
【0047】図2に示すように、延長部43の壁部41
には、壁部41の上端面43aから遮音板29bの表面
30に向けて略矩形のスリット状の開口部45が形成さ
れている。この開口部45は、遮音板29bの表面から
高さxの位置で周方向に沿う底内壁47と、この底内壁
47の周方向に沿う両側に延長部43の上端面43aま
で軸方向に沿って延びる対向内壁49、49とで構成さ
れている。また、対向内壁49、49は、図3(a)に
示すように、孔部37bの半径方向に沿って形成されて
いる。そして、延長孔部40、40内の空気が空気マス
となり、空間部42の空気層空気ばねとして働いて2自
由度振動系を構成している。
【0048】オイルパン等のエンジンルーム内の音源か
ら発せられた音は、この2自由度振動系、及び前記1自
由度振動系を介して遮音壁を透過し、車外に放射され
る。ここで、2自由度振動系からの透過波はその共振周
波数以上の周波数帯ではその位相が反転するという性質
を持つため、1自由度振動系からの透過波と逆相となり
互いに打ち消し合うため遮音効果が得られる。
【0049】この場合、遮音板29a、29bの孔部3
7bから壁部41の内側を通り遮音板29a、29b間
に浸入した水は、開口部45を通って外部に排出される
が、本実施例では、遮音板29bの表面30から高さx
までは水が溜まり、この高さx以上は開口部45から外
部に排出される。このため、遮音板29a、29b間の
体積が減少し、遮音板29a、29b間の空気質量が低
下して2自由度振動系の共振周波数が上昇する。
【0050】ここで、遮音板29bの表面30から高さ
xまで遮音板29a、29b間に水が溜まったときの、
前記2自由度振動系の共振周波数f0 は次式で表され、
0以上の周波数帯が遮音領域となる。
【0051】
【数3】 上式において、 c:音速 α:開口率(遮音壁の面積に対する孔部35a、35
b、37a、37bの面積の比) β:全孔部35a、35b、37a、37bの面積に対
する孔部35a、35bの面積の比 t:遮音板29a、29bの板厚(図3(b)参照) h:突出した延長部43の長さ(図3(b)参照) a:孔部37a、37bの半径(図3(b)参照) δ:開口端補正値 d:遮音板29a、29b間距離 であり、開口端補正値δは、孔部37a、37bの形
状、大きさ等により異なり、通常0.5〜1.6の範囲
の値をとる。
【0052】本実施例の遮音壁27が遮音する車外騒音
の主周波数帯は、車両によって違うものの概ね800H
z〜2KHzであるので、その場合、遮音板29a、2
9b間に水が溜まったときの2自由度振動系の前記共振
周波数f0 以上の周波数帯が遮音領域となるため、f0
が800Hzより小さければ、すなわち遮音を目的とす
る音の周波数fが共振周波数f0 に対してf>f0 であ
れば、遮音壁29a、29b内に水が浸入し遮音板29
a、29b間の空気層の体積が変化して共振周波数が上
昇し遮音領域が狭くなっても、遮音領域内に車外騒音の
主周波数帯があるので、車外騒音に対しての遮音効果は
変わらない。
【0053】従って、突出した延長部43の前記開口部
45の遮音板29bの表面に最も近い点と遮音板29b
表面との距離をx、遮音を目的とする音の周波数をf、
音速をc、遮音壁構造の面積に対する孔部35a、35
b、37a、37bの面積の比の開口率α、連続孔部3
8、延長孔部40、40の面積に対する連続孔部38の
面積の比をβ、図3(b)に示すように遮音板29a、
29bの板厚をt、突出した延長部43の長さをh、孔
部37a、37bの半径をaとし、孔部37a、37b
の開口端補正値をδ、遮音板29a、29b間距離をd
とすると、距離xが、
【数4】 を満たす範囲にあれば、遮音性能の低下を防止すること
が出来る。
【0054】また、延長部43に開口部45を設けたと
しても、空気ばねを形成する遮音板29a、29b間の
空間部42の空気層は直接外部空間と接しておらず、延
長孔部40内の空気マスを介していることに変りはない
ため、空気ばねとしての働きに変化はない。
【0055】また、延長孔部40の空気マスは、延長孔
部40の空気だけでなく、孔部37bの空気に隣接する
周囲の空気も引きずって空気マスとして働くという性質
を持つため、開口部45が所定の大きさ以内ならば、空
気マスの働きは大きく変化することはないが、開口部4
5が大きくなると、壁部41内の空気マスはそれにつれ
て小さくなる。
【0056】以下に開口部45の大きさと空気マスの働
き、すなわち遮音性能について実験的に検証する。図4
は、開口部45の面積を含む突出した延長部43の全周
面積に対する開口部45の面積の割合(以下「延長部開
口率」という)と2自由度振動系の共振周波数の変化率
との関係を示すグラフである。この場合、図3(a)に
示すように開口部の有るもの、及び無いもの双方の延長
部43の壁部(開口部45の面積を含む)41の外周側
壁の全面積S1+S2+S3に対する開口部45の外周
部分の面積S2の比S2/(S1+S2+S3)を延長
部開口率とする。
【0057】図4に示す曲線は、上記延長部開口率に対
する共振周波数変化率を示す。この共振周波数変化率δ
1 は、延長部開口率がδsの時の共振周波数f1 (δ
s)より次式で表される。
【0058】
【数5】 ここで、延長部開口率が100%の時は、下側の遮音板
29bの孔部37bの開口周縁に延長部43がない場合
であり、遮音板29bの板厚分の孔部37bの空気マス
が存在する場合を示す。また、延長部開口率が0%の時
は、延長部43に開口部45が設けられていない場合で
ある。
【0059】図4に示すように、延長部開口率が20%
を下回ると共振周波数の変化率は略0%であり、2自由
度振動系の共振周波数はほどんど変化しない。これに対
して延長部開口率が20%を越えると共振周波数の変化
率は急激に上昇し、2自由度振動系の共振周波数が急激
に大きくなる。
【0060】従って、壁部41に開口45を形成する場
合、延長部開口率を20%を下回るように設定すれば、
2自由度振動系の共振周波数はほとんど変化せず、遮音
領域が狭くなることがないので、遮音性能もほとんど変
化しない。
【0061】また、この実施例では、開口部45を形成
する場合、対向内壁49、49を孔部37aの半径方向
に沿って形成しているので、対向内壁49、49の肉厚
方向のいずれの部分を開口部としても延長部開口率は同
じ値になる。すなわち、図3(a)に示すように、対向
内壁間49、49の周方向に沿う間隔は、壁部41の肉
厚方向で異なり、壁部41の内周面に沿う部分の対向内
壁49、49間が最も短く、壁部41の外周側の対向内
壁49、49間が最も長い。しかし、対向内壁49、4
9の肉厚方向のいずれの部分を開口部としても、この開
口部の面積を含む壁部41の周方向の面積との比を延長
部開口率としているので、対向内壁49、49の肉厚方
向のいずれの部分を開口部としても延長部開口率は同じ
値になる。
【0062】なお、開口部45の対向内壁49、49を
孔部37aの直径と平行な方向に沿って形成すると、壁
部41の肉厚方向で対向内壁49、49間の周方向に沿
う間隔は同じになるため、この場合には、開口部45の
面積を含む壁部41の外周側壁の表面積と開口部45の
面積との比を延長部開口率とする。
【0063】次に本実施例の遮音壁27の作用について
説明する。
【0064】連続孔部38内の空気層と音源面と遮音板
29aとの間の空気層とから構成される1自由度振動系
を透過した透過波は、入射波と同位相となる。一方、延
長孔部40内の空気層と音源面と遮音板29aとの間の
空気層とから構成される2自由度振動系は、その共振周
波数以上の周波数において、入射波と透過波の位相が逆
相となる。
【0065】従って、この実施例では、エンジンルーム
3から外部に漏れようとする騒音がアンダーカバー5に
入射すると、その入射波は1自由度の振動系において
は、同位相の透過波となって通過し、2自由度の振動系
では、共振周波数を越えることにより位相が180°ず
れて透過する。これにより、1自由度の振動系と2自由
度の振動系を通過した透過波が互いに逆相となって打ち
消し合い遮音効果が得られる。
【0066】また、水たまり走行時の水跳ね等により、
下側の遮音板29bの孔部37b及び延長部43から遮
音板29a、29b間に浸入した水は、延長部43の壁
部41の開口部45を通って外部に排出されるが、開口
部45は、遮音板29bの表面から高さxの位置に設け
られているので、この高さx以上は開口部45の底内壁
47を越えて外部に排出される。
【0067】ここで、延長部43の開口部45の遮音板
19bの表面30に最も近い点と遮音板29bの表面と
の距離xが、前記式(1)を満たす範囲に設定されてい
るので、遮音壁27内に水が浸入して高さxまで水が溜
まって遮音板29a、29b間の空気層の体積が変化し
共振周波数が大きくなっても、遮音領域内に車外騒音の
主周波数帯があるため車外騒音に対しての遮音効果は変
わらない。
【0068】さらに、開口部45の面積を含む突出した
延長部43の面積に対する、開口部45の面積の比が2
0%を下回るように開口部45が壁部41に設けられて
いるので、2自由度振動系の共振周波数はほとんど変化
せず、遮音性能もほとんど変化しない。
【0069】以上説明したように、本実施例によれば、
延長部43の壁部41に開口部45を設けたことによ
り、連続孔部38内の空気層と音源面と遮音板29aと
の空気層とで形成される1自由度振動系と、延長孔部4
0、40及び、遮音板29a、29b間の空気層で形成
される2自由度振動系のマスバネ系を音響的に崩すこと
はない。よって、遮音性能を維持しつつ遮音板29a、
29b間に浸入した水を外部へ排出することが出来る。
この場合、振動系の複雑な再調整をすることなく、簡単
な調整により遮音板29a、29b間に浸入した水を外
部へ排出することが出来る。
【0070】また、本実施例によれば、複数の延長部4
3のうち、少なくとも最低位側にある延長部43に開口
部45を設けることにより、遮音板29a、29b間に
浸入した水が最も低い位置に集まって、開口部45から
排出されるので、良好な排水性が得られ、遮音性能の変
化をより小さく抑えることが出来る。
【0071】また、本実施例によれば、開口部45の遮
音板29a、29bの表面に最も近い点と遮音板29
a、29bの表面との距離xを遮音を目的とする音の周
波数fに対して式(1)を満たす範囲に設定することに
より、遮音を目的とする音の周波数が、2自由度振動系
の共振周波数より大きくなり、遮音性能を維持すること
が出来る。
【0072】さらに、本実施例によれば、延長部開口率
を20%を下回るように開口部45を壁部41に設ける
ことにより、遮音板29a、29b間の空気層による空
気バネと延長部43内の空気マスとからなる2自由度振
動系の共振周波数の変化率が小さく、共振周波数はほと
んど変化しない。これにより、遮音性能がほとんど変化
することがないので、遮音性能を維持しつつ遮音板29
a、29b間の水を排出することが出来る。
【0073】また、本実施例によれば、アンダーカバー
5に連続孔部38、延長孔部40、40を形成したの
で、通気性を確保することが出来、エンジンルーム内の
熱気を外部へ容易に放出することが出来る。これと共
に、アンダーカバー5の一部として機能して、エンジン
ルーム内の部品を跳ね上げられた小石等から保護する機
能を持つと共に、自動車の下部の空力特性を向上させる
ことが出来る。
【0074】また、本実施例によれば、開口部43を略
矩形のスリット状に形成したことにより、筒状の壁部4
1を周方向に多くすることが出来るため、延長孔部40
内の空気層からなる空気マスに対する開口部43影響が
少なくなる。また、壁部41と遮音板29bとの連続部
分が多くなるため、壁部41を遮音板29bに強固に形
成することが出来る。
【0075】また、本実施例では、孔部37a、37b
に延長部43をそれぞれ設けて、孔部37a、37bの
空気質量を大きくしており、これによって、孔部37
a、37bの空気層で形成される振動系の共振周波数の
低下が図られている。従って、本実施例の遮音壁27
は、より低い周波数から遮音効果が得られる。
【0076】また、開口部43を複数の延長部43にそ
れぞれ設けることにより、遮音板29a、29b間に浸
入した水を素早く排出することが出来、排水性をより向
上することが出来る。
【0077】以下、他の実施例について説明する。な
お、第1実施例と同構成部分については同符号を付して
説明し重複した説明を省略する。
【0078】第2実施例 図5は第2実施例の遮音壁51を示す。本実施例の遮音
壁51は、延長部43の壁部41に、遮音板29bの表
面から延長部43の上端面43aまで、延長部43の軸
方向に沿って開口部53が設けられている。この開口部
53は、孔部37aの開口縁部55と、壁部41の周方
向の両側壁端面57、57とから略矩形のスリット状に
形成されている。また、両側壁端面57、57は、孔部
37bの半径方向に沿って形成されている。
【0079】また、この開口部53の延長部開口率は、
前記第1実施例と同様に20%を下回るように設定され
ている。
【0080】さらに、本実施例の開口部53は、第1実
施例における遮音板29bの表面30に最も近い点と遮
音板29bの表面30との距離xが0の場合であり、遮
音板29a、29b間に水が溜まることがないので、遮
音板29a、29b間の空気層の体積は変化することが
ない。
【0081】本実施例によれば、上記第1実施例と同様
に、1自由度振動系を透過した透過波は同位相となり、
2自由度振動系を通過した透過波は逆位相となることに
より、エンジンルーム3から外部に漏れようとする騒音
が、1自由度の振動系と2自由度の振動系を通過した透
過波が互いに逆相となって打ち消し合い遮音効果が得ら
れる。また、第1実施例と同様に、連続孔部38、延長
孔部40により、通気性を確保することが出来、エンジ
ンルーム内の熱気を外部へ容易に放出することが出来
る。これと共に、アンダーカバー5の一部として機能し
て、エンジンルーム内の部品を跳ね上げられた小石等か
ら保護する機能を持つと共に、自動車の下部の空力特性
を向上させることが出来る。
【0082】さらに、水たまり走行時の水跳ね等によ
り、下側の遮音板29bの孔部37b及び延長部43か
ら遮音板29a、29b間に浸入した水は、延長部43
の壁部41の開口部53を通って延長孔部40から外部
に排出される。この場合、本実施例の遮音壁51は、上
記第1実施例と同様の効果が得られる他に、遮音板29
a、29b間に浸入した水を開口部53から完全に排出
することが出来、遮音板29a、29b間に水が溜るこ
とがない。従って、遮音板29a、29b間の空気層の
体積の変化はなく、2自由度の振動系の共振周波数が上
昇しないので、遮音性能の低下を最小限に抑えることが
出来る。
【0083】また、遮音板29a、29b間内に浸入し
た水が、遮音板29a、29b間に溜まることがないの
で、水が腐ることによる異臭や、溜まった水が遮音板2
9a、29b間で跳ねることによる異音等を確実に防止
することが可能となる。
【0084】第3実施例 図6は第3実施例の遮音壁59を示す。本実施例の遮音
壁59は、延長部43の壁部41に、遮音板29bの表
面から壁部41の軸方向の中間部まで開口部61が設け
られている。この開口部61は、孔部37bの開口縁部
55と、開口縁部55の周方向の両側から壁部41の軸
方向に沿って延びる内側壁63、63と、これらの内側
壁63、63の上端部間を繋ぐ上壁65とで略矩形のス
リット状に形成されている。また、内側側壁63、63
は、孔部37bの半径方向に沿って形成されている。
【0085】本実施例の開口部61では、第1実施例に
おける遮音板29bの表面に最も近い点と遮音板29b
の表面30との距離xが0の場合であり、遮音板29
a、29b間に水が溜まることがないので、遮音板29
a、29b間の空気層の体積に変化はない。さらに、開
口部61の延長部開口率は、前記第1、第2実施例と同
様に20%を下回るように設定されている。
【0086】本実施例によれば、上記第1、第2実施例
と同様に、1自由度振動系を透過した透過波は同位相と
なり、2自由度振動系を通過した透過波は逆位相となっ
て、エンジンルーム3から外部に漏れようとする騒音
が、1自由度の振動系と2自由度の振動系を通過した透
過波が互いに逆相となって打ち消し合い遮音効果が得ら
れる。また、第1実施例と同様に、連続孔部38、延長
孔部40により、通気性を確保することが出来、エンジ
ンルーム内の熱気を外部へ容易に放出することが出来
る。これと共に、アンダーカバー5の一部として機能し
て、エンジンルーム内の部品を跳ね上げられた小石等か
ら保護する機能を持つと共に、自動車の下部の空力特性
を向上させることが出来る。
【0087】さらに、水たまり走行時の水跳ね等によ
り、下側の遮音板29bの孔部37b及び延長部43か
ら遮音板29a、29b間に浸入した水は、延長部43
の壁部41の開口部61を通って外部に排出される。こ
の場合、本実施例の遮音壁構造では、第2実施例と同様
に、遮音板29a、29b間に浸入した水は開口部61
から完全に排出することが出来る。従って、遮音板29
a、29b間の空気層の体積の変化はなく、2自由度の
振動系の共振周波数が変化しないので、遮音性能の低下
を最小限に抑えることが出来る。
【0088】また、遮音板29a、29b間内に浸入し
た水が、遮音板29a、29b間に溜まることがないの
で、水が腐ることによる異臭や、溜まった水が遮音板2
9aたまった、29b間で跳ねることによる異音等を確
実に防止することが可能となる。
【0089】また、本実施例によれば、第1、第2実施
例と同様の効果の他に、開口部61の面積が同一であれ
ば、開口部61の幅寸法、すなわち、壁部41の周方向
に沿う間口寸法を大きくすることが出来るので、遮音板
29b上の水を一度に排出することが出来、排水性を上
記第1、第2実施例より向上することが出来る。
【0090】第4実施例 図7は第4実施例の遮音壁67を示す。本実施例の遮音
壁67は、第2実施例の開口部53と同形状の開口部6
9、69が対向して壁部41に形成されている。この開
口部69は、孔部37bの開口縁部55と、壁部41の
周方向の両側壁端面71、71から矩形状に形成されて
いる。また、両側壁端面71、71は、孔部37bの半
径方向に沿って形成されている。
【0091】また、これらの開口部69、69の延長部
開口率は、開口部69、69の面積を含む壁部41の外
周側壁の表面積に対する開口部69、69の外周部分の
面積の比として求め、20%を下回るように設定されて
いる。従って、第2実施例の開口部53に対して開口部
69は略矩形のスリット状であってもその面積は1/2
となっている。
【0092】さらに、本実施例の開口部69、69は、
第1実施例における遮音板29bの表面30に最も近い
点と遮音板29bの表面30との距離xが0の場合であ
り、遮音板29a、29b間に水が溜まることがないの
で、遮音板29a、29ba間の空気層の体積は変化し
ない。
【0093】そして、本実施例によれば、上記各実施例
と同様に1自由度振動系を通過した透過波は同位相とな
り、2自由度振動系を通過した透過波は逆位相となるた
め、エンジンルーム3から外部にもれようとする騒音
が、1自由度振動系と2自由度振動系を通過した透過波
が互いに逆相となって打ち消し合い遮音効果が得られ
る。また、上記各実施例と同様に、連続孔部38、延長
孔部40により、通気性を確保することが出来、エンジ
ンルーム内の熱気を外部へ容易に放出することが出来
る。これと共に、アンダーカバー5の一部として機能し
て、エンジンルーム内の部品を跳ね上げられた小石等か
ら保護する機能を持つと共に、自動車の下部の空力特性
を向上させることが出来る。
【0094】さらに、水たまり走行時の水跳ね等によ
り、下側の遮音板29bの孔部37b及び延長部43か
ら遮音板29a、29b間に浸入した水は、延長部43
の壁部41の開口部69、69を通って外部に排出され
る。
【0095】本実施例によれば、上記各実施例と同様な
効果が得られる他に、2つの開口部69、69が対向す
る位置に形成されているため、上記第1、2、3実施例
と比較して排水性がより向上する。
【0096】この場合、遮音板29bの延長孔部40の
空気マスは、延長孔部40の空気層だけでなく、それに
隣接する周囲の空気も引きずって、空気マスとして働く
ため、一つの開口部69を延長部43の壁部41に形成
した場合には、空気マスの重心は壁部41の中心から開
口部69側よりに移動し、空気マスの振動に偏りが発生
するが、対向位置に2つの開口部69、69を設けるこ
とにより空気マスの重心が壁部41の中心から移動する
ことがなく質量の偏りがなくなり、有効に空気マスを形
成することが出来る。この結果、共振周波数の上昇を小
さく抑えることが出来るので、遮音性能の低下をより小
さくすることが出来る。
【0097】なお、この実施例では、延長部43の壁部
41に2つの開口部69、69を対向位置に設けた例を
示したが、3つ以上の開口部を壁部41に設けることに
より同様の効果が得られ、排水性は第2実施例よりさら
に向上する。また、開口部を3つ以上設ける場合、壁部
41の周方向に等間隔に設けることにより、空気マスに
振動の偏りがなくなり有効に空気マスを形成することが
出来る。
【0098】さらに、この実施例では、上記第2実施例
の形状と同形状の開口部69を、対向位置に、2つ設け
た例を示したが、第1実施例、第3実施例の開口部4
5、61を延長部43の壁部41に、対向位置に2つ設
けても、あるいは3個以上設けることにより、同様の効
果が得られる。
【0099】なお、上記各実施例では、2つの振動系を
作ることにより、エンジンルーム3からの騒音を遮音し
たが、筒部39の径を変更したり、孔部35a、35
b、37a、37bの径を変化させることにより複数の
振動系を作ることが出来るのはもちろんである。
【0100】また、上記各実施例では、1自由度振動系
を通過する透過波と2自由度振動系を通過して逆位相と
なった透過波とが打ち消し合って遮音する遮音壁に本発
明を適用した例を示したが、共振周波数の異なる複数の
振動系による減衰作用を用いて遮音する遮音壁構造につ
いても本発明を適用することが出来る。
【0101】さらに、上記各実施例では、2枚の遮音板
29a、29bからなる遮音壁27の例を示したが、3
枚以上の遮音板で形成される遮音壁についても本発明を
適用することが出来る。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、筒部内と筒部で連通された孔部内の空気からなる
1自由度振動系を透過した透過波と、延長部内と延長部
が設けられた孔部内の空気、遮音板間の空気からなる2
自由度振動系を透過して逆位相となった透過波とが打ち
消し合って、音源面からの音が遮音される。
【0103】また、遮音板に複数の孔部が形成されてい
ることにより遮音板の通気性が確保される。
【0104】さらに、遮音板に設けた孔部から遮音板間
に浸入した水は、開口部から外部に排出されるので、遮
音板間に水が溜まることがなく、遮音板間の空気層の体
積が変化しないので、遮音性能が低下することがない。
また、この場合、振動系の複雑な調整をすることなく延
長部の周囲に浸入した水を容易に排出することが出来
る。
【0105】従って、簡単な調整で遮音性能を維持しつ
つ遮音板間に浸入した水を外部に確実に排出することが
出来る。
【0106】請求項2の発明によれば、使用状態におい
て地面からの高さが最低位側となる延長部に、開口部を
設けることにより、遮音板間に浸入した水は、地面から
の高さが最も低くなる部位に集り、開口部を通って効率
良く排出される。
【0107】請求項3の発明によれば、開口部の遮音板
表面に最も近い点と遮音板表面との距離xが遮音を目的
とする音の周波数fに対して式(1)を満たす範囲にあ
ることにより、遮音を目的とする音の周波数は、2自由
度振動系の共振周波数より大きいので、遮音性能が低下
することがない。
【0108】請求項4の発明によれば、一つの突出した
延長部について開口部を複数個設けることにより、遮音
板間に浸入した水は速やかに外部へ排出される。
【0109】請求項5の発明によれば、複数の開口部を
対向位置にそれぞれ設けたことにより、壁部内の空気層
が空気マスとして働く場合、空気マスの振動に偏りがな
くなり有効に空気マスが形成される。
【0110】請求項6の発明によれば、開口部の面積を
含む突出した延長部の全面積に対する、開口部の全面積
の比が20%を下回るように延長部の開口部を設けるこ
とにより、遮音板間の空気層による空気バネと延長部内
の空気マスとからなる2自由度振動系の共振周波数の変
化率が小さく、共振周波数はほとんど変化しない。これ
により、遮音性能がほとんど変化することがない。
【0111】請求項7の発明によれば、開口部を、略矩
形のスリットに形成したことにより延長部と遮音壁との
連続部分が多くなるため、延長部を遮音板に強固に形成
することが出来る。
【0112】請求項8の発明によれば、開口部が延長部
の先端から遮音板まで形成されていることにより、遮音
板間に浸入した水や泥を確実に排出することが出来る。
【0113】請求項9の発明によれば、開口部が遮音板
から延長部の途中まで形成されているので、遮音板間に
浸入した水や泥を確実に排出することが出来る。
【0114】請求項10の発明によれば、請求項1〜請
求項7の発明の効果に加え、遮音壁構造を自動車のエン
ジンルームのアンダーカバーに適用することが出来、自
動車の最低地上高とエンジンルーム内部品との間に無理
無く治めることが出来、しかも通気性を保持しながら遮
音を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の遮音壁構造を示す一部を
破断した斜視図である。
【図2】図1に示す遮音壁構造の一部を拡大した斜視図
である。
【図3】延長部の壁部と開口部を示し、(a)は平面
図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の第1実施例の遮音壁構造における延長
部開口率と共振周波数変化率を示す線図である。
【図5】本発明の第2実施例の遮音壁構造の一部を拡大
した斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例の遮音壁構造の一部を拡大
した斜視図である。
【図7】本発明の第4実施例の遮音壁構造の一部を拡大
した斜視図である。
【図8】アンダーカバーを設けた自動車を示し、(a)
は概略側面図、(b)は概略底面図である。
【図9】従来の遮音壁構造を示す一部を破断した斜視図
である。
【図10】図9に示す従来の遮音壁構造を示す断面図で
ある。
【図11】図9に示す遮音壁構造において遮音板間に水
がない場合の計算値と水がある場合の計算値の周波数に
対する透過損失を示す線図である。
【図12】図9に示す遮音壁構造において遮音板に開口
部がない場合とある場合の計算値と、遮音板に開口部が
ある場合の実験値の周波数に対する透過損失を示す線図
である。
【符号の説明】
3 エンジンルーム 5 アンダーカバー 27、51、59、67 遮音壁 29a、29b 遮音板 35a、35b 孔部 37a、37b 孔部 39 筒部 41 壁部 43 延長部 45、53、61、69 開口部

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隔をおいて対向する少なくとも2枚の
    遮音板と、前記遮音板に貫通して設けられ、それぞれ互
    いに対向する複数の孔部とを有し、これらの孔部の一部
    が対向する遮音板間で直管状の筒部により連通され、 前記筒部で連通されている孔部以外の孔部の一部又は全
    部が、孔部の開口縁部から遮音板の対向側へ壁部を突出
    させて形成される延長部を有する遮音壁構造であって、 少なくとも前記一方の遮音板の延長部の少なくとも一部
    に、遮音板間と延長部内とを連通する開口部を設けたこ
    とを特徴とする遮音壁構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、前記開口
    部を、使用状態において少なくとも最低位側となる延長
    部に設けたことを特徴とする遮音壁構造。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、前記開口部と遮音板表面との最短距離をx、遮音を
    目的とする音の周波数をf、音速をc、遮音壁構造の面
    積に対する前記孔部の面積の比を開口率α、全孔部の面
    積に対する筒部で連通された孔部の面積の比をβ、遮音
    板の板厚をt、突出した延長部の長さをh、孔部半径を
    a、孔部の開口端補正値をδ、対向する遮音板間距離を
    dとすると、距離xが 【数1】 を満たす範囲にあることを特徴とする遮音壁構造。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載の発明であって、前記開口部を、前記延長部の一つ
    に対して複数設けたことを特徴とする遮音壁構造。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発明であって、前記複数
    の開口部を、対向配置したことを特徴とする遮音壁構
    造。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に
    記載の発明であって、前記開口部を、該開口部の面積を
    含んだ延長部の全周面積と開口部の面積との比が、20
    %を下回るように設けたことを特徴とする遮音壁構造。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に
    記載の発明であって、前記開口部は、前記延長部に沿っ
    て延びる略矩形のスリットであることを特徴とする遮音
    壁構造。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に
    記載の発明であって、前記開口部が延長部の先端から遮
    音板まで形成されていることを特徴とする遮音壁構造。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に
    記載の発明であって、前記開口部が遮音板から延長部の
    途中まで形成されていることを特徴とする遮音壁構造。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項9のいずれか一項
    に記載の遮音壁構造であって、前記遮音板は、自動車の
    エンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部であ
    ることを特徴とする遮音壁構造。
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