JP3539213B2 - 遮音壁構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性を保持しながら遮音効果を発揮しうる遮音壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12及び図13に示すように、一般的な自動車1においては、エンジンルーム2の下部にアンダーカバー3が取付けられている。このアンダーカバー3は、自動車1下部の空力特性を向上させ、又、エンジンルーム2内の部品を跳ね上げられた小石等から保護する機能を持つと共に、エンジンルーム2から車外に放射される騒音を抑制する遮音機能を有している。そして、このアンダーカバー3の遮音効果はその面積が大きなものほど増大する。しかしながら、アンダーカバー3の面積を大きくするほどエンジンルーム2の下部が密閉されることになり、エンジンルーム2内が高温となって、部品耐久性上好ましくない状態を招く恐れがある。以上の点を考慮して本出願人は、図14に示す特開平7−175485号公報に開示する遮音壁構造を先に提案した。
【0003】
図14において、遮音壁4は間隔を置いて対向する2枚の遮音板5を有し、この各遮音板5には互いに対抗する複数の開口部6a、6b,7a,7bが貫通して設けられている。各開口部6a、6b,7a、7bの半分6b、7bは筒部8で連通され、筒部8と略同一断面の内面を有している。又、各開口部6a、6b、7a、7bの他の半分6a、7aは一部突出筒部8aを有するが、上述のような筒部8で連通されずに一対の遮音板5間の空間を介して連通している。
【0004】
即ち、図15に示すように、筒部8を有さない各開口部6a、7aで構成される振動系は、開口部6a、7aの空気9の空気質量mと遮音壁部5間の空気層の空気ばね10とで2自由度の振動系を構成し、又、筒部8を有する各開口部6b、7bで構成される振動系は、開口部6b、7bから筒部8にかけての空気11全体が空気質量Mとして働き、1自由度の振動系を構成している。
【0005】
上記構成において、遮音壁4の一方側から音が入射すると、この入射波は各開口部6a、6b、7a、7bを介して他方側に透過される。ここで、筒部8で連通されない各開口部6a、6bへの入射波はその周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相が180度反転して出力される。一方、筒部8で連通された各開口部6b、7bは共振点を持たないため、その入射波と同じ位相で透過波が出力される。従って、両透過波はその干渉効果によって減音される。
【0006】
即ち、上記従来例は、遮音壁4に形成される空気の振動系をコントロールすることにより、入射波の振動入力に対する透過波の振動応答の反共振を積極的に利用して、この透過波振動を最適化したものである。
【0007】
また、本出願人は、同機能を異なる構成で達成できるものとして、図16(a)、(b)に示す特開平8−10360号公報に開示する遮音壁4も先に提案した。
【0008】
図16(a)、(b)において、一対の遮音板5の対抗する開口部6b、7b間は全て筒部8で連通されており、この各筒部8には小孔12が形成されている。この小孔12を介して筒部8内は空間部13と連通している。即ち、開口部6b、7b及び筒部8内の中央部分の空気全体が1自由度振動系を、開口部6b、7b及び筒部8内の中央部分以外の空気の空気質量と空間部13の空気層の空気ばねとで2自由度振動系をそれぞれ構成している。
【0009】
この他の従来例では、上記した従来例のように透過波の振動応答の反共振を作り出すのに小孔12を用い、開口部6b、7b及び筒部8で形成される1つの穴内で反共振を得るものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の遮音壁4による騒音制御手段は、その得られる通気性と遮音性という機能から産業的に利用価値が高いものであるが、さらに優れたものが望まれている。
【0011】
そこで、本発明は、通気性と遮音性に優れた遮音壁構造の提供を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、遮音板に貫通する開口部を設けて、該開口部を透過する透過波を減衰させる空気振動系を構成し、上記開口部の開口面積を入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定した遮音壁構造であって、
上記開口部の開口面積Sを入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づく設定は、音速をc、遮音を目的とする音の主周波数をfとし、
【数2】
として、k・aの値が1.2〜1.6の範囲となる値に設定したことを特徴とする。
【0013】
従って、開口部の開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが遮音を目的とする音の主周波数に一致するよう設定することによって、開口部に存在する空気の空気振動にひきずられる開口部近傍の付加的空気質量が大きくなり、開口部の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰される。又、開口部を介して遮音板の一方側から他方側に相互に空気が流通する。また、k・aの値が1.2〜1.6の範囲となる値に開口部の開口面積が設定されており、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークエリアが、遮音を目的とする音の主周波数に一致するため、遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰される。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の遮音壁構造であって、k・aの値は、1.2〜1.6の範囲の内の1.4の値であることを特徴とする。
【0017】
従って、請求項1の発明の作用に加え、k・aの値が1.4の場合にあっては、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが、遮音を目的とする音の主周波数に一致するため、遮音を目的とする音の主周波数成分がさらに十分に減衰される。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、遮音壁を間隔を置いて対向する少なくとも2枚の遮音板とし、前記開口部を遮音板に貫通し、且つ、互いに対向する位置に設け、上記空気振動系は、上記開口部の空気質量と上記遮音板間の空気層の空気ばねとでなる2自由度振動系と、対向する遮音板間で当該開口部と略同一断面の内面を有する筒部により連通され、この筒部内及び各当該開口部の空気質量による1自由度振動系とからなることを特徴とする。
【0019】
従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、開口部を略同一断面の内面を有する筒部で連通させた部分は共振点を持たない1自由度振動系を構成するため、この部分を通過する透過波は入射波との位相ずれはない一方、空気質量と空気ばねとでなる振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波は相互に打ち消し合うことになる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、上記空気振動系は、対向する遮音板間で当該開口部と略同一断面の内面を有する筒部により連通されると共にこの筒部に小孔が設けられ、上記筒部内及び各当該開口部の中央部分の空気質量による1自由度振動系と、上記小孔を介して連通する遮音板間の空気層の空気ばねとによる2自由度振動系とからなることを特徴とする。
【0021】
従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、開口部への入射波の内、小孔を通らない波は入射波との位相ずれはない一方、小孔を通り反射してきた波は入射波との位相がずれ、両波は相互に打ち消し合うことになる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、最も外側に配置された遮音板の両外面間の間隔tは、k=2πf/cとすると、k・t<1.74の条件を満たす値に設定したことを特徴とする。
【0023】
従って、請求項1〜4の発明の作用に加え、tがk・t<1.74の条件を満たす値では、気柱共鳴が発生しない。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、上記空気振動系は、対向する遮音板間に区画壁が設けられ、この区画壁で対向する開口部間に構成される空気層の容量が2種類とされ、上記開口部の空気質量と上記遮音板間の空気層の空気ばねとでなる2種類の2自由度振動系からなることを特徴とする。
【0025】
従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、2種類の振動系にあって空気層の容量が2種類のため互いの共振周波数が異なり、入射波の周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相は180度反転することより、2種類の振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波は相互に打ち消し合うことになる。
【0026】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、上記開口部の開口形状は、円形であることを特徴とする。
【0027】
従って、請求項1〜6記載の発明の作用に加え、上記開口部の開口形状が円形であるため、実際の効果が理論値に近づく。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、上記各開口部の開口形状及び開口面積は、同一であることを特徴とする。
【0029】
従って、請求項1〜7記載の発明の作用に加え、上記各開口部の開口形状及び開口面積が同一であるため、各開口部において音が均質に減衰される。
【0030】
請求項9の発明は、請求項8記載の遮音壁構造であって、上記各開口部は、互いに等間隔に配置されたことを特徴とする。
【0031】
従って、請求項8記載の発明の作用に加え、上記各開口部は、互いに等間隔に配置されたため、全体に亘って音が均一に減衰される。
【0032】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、上記遮音壁は、自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部であることを特徴とする。
【0033】
従って、請求項1〜9記載の発明の作用に加え、エンジンルームからの音が外部に対して遮音され、又、エンジンルームからの熱が開口部から放熱される。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明では、開口部の開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが遮音を目的とする音の主周波数に一致するよう設定することによって、開口部に存在する空気の空気振動にひきずられる開口部近傍の付加的空気質量が大きくなり、開口部の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰されるため、効率良く遮音できる。又、開口部を介して遮音板の一方側から他方側に相互に空気が流通するため、通気性も確保される。また、開口部の開口面積をk・aの値が1.2〜1.6の範囲になるよう設定したので、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークエリアが、遮音を目的とする音の主周波数に一致することにより、遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰されるため、効率良く遮音できる。
【0036】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、k・aの値が1.4の場合にあっては、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが、遮音を目的とする音の主周波数に一致することにより、遮音を目的とする音の主周波数成分が最大限に減衰されるため、最も効率良く遮音できる。
【0037】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、開口部を略同一断面の内面を有する筒部で連通させた部分は共振点を持たない1自由度振動系を構成するため、この部分を通過する透過波は入射波との位相ずれはない一方、空気質量と空気ばねとでなる振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0038】
請求項4の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、開口部への入射波の内、小孔を通らない波は入射波との位相ずれはない一方、小孔を通り反射してきた波は入射波との位相がずれ、両波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0039】
請求項5の発明では、請求項1〜4の発明の効果に加え、最も外側に配置された遮音板の両外面間の間隔tがk・t<1.74の条件を満たす値にあっては、気柱共鳴が発生しないため、透過損失が著しく低下せず、効率良く遮音できる。
【0040】
請求項6の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、2種類の振動系にあって空気層の容量が2種類のため互いの共振周波数が異なり、入射波の周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相は180度反転することより、2種類の振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0041】
請求項7の発明では、請求項1〜6記載の発明の効果に加え、実際の効果が理論値に近づくため、遮音板の設計精度が向上する。
【0042】
請求項8の発明では、請求項1〜7記載の発明の効果に加え、各開口部において音が均質に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0043】
請求項9の発明では、請求項8記載の発明の効果に加え、全体に亘って音が均一に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0044】
請求項10の発明では、請求項1〜9記載の発明の効果に加え、上記遮音板が自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部であるため、エンジンルームからの音が外部に対して遮音され、又、エンジンルームからの熱が開口部から放熱される。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
図1は本発明の第1実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図2はその空気振動系を示す概念図である。図1及び図2において、第1実施の形態に係る遮音壁構造は上記従来例と略同一構成を有し、従来例と同一構成部分は同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成部分のみを説明する。即ち、この第1実施の形態では、各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積は、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定されている。又、各開口部6a、6b、7a、7bの開口形状及び開口面積はすべて直径がφ(=2a)の円形の同一のものとして構成されている。更に、各開口部6a、6b、7a、7bは水平・垂直方向共に互いに等間隔に配置されている。
【0047】
次に、各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定することの意味について説明する。
【0048】
上記構成において、遮音壁4の一方側から音が入射すると、この入射波は各開口部6a、6b、7a、7bを介して他方側に透過波として出力される。開口部6b、7bで構成される振動系は、開口部6b、7b及び筒部8内に存在する空気11全体が空気質量Mとして働き、1自由度の振動系を構成することになるが、開口部6b、7b及び筒部8内に存在する空気は、振動する際に周囲の空気もひきずるためにその空気質量Mは大きくなる。又、開口部6a、7aで構成される振動系は、各開口部6a、7aの空気質量mと遮音板5間の空気層の空気ばね10とによる2自由度の振動系を構成することになるが、開口部6a、7aに存在する空気9は、振動する際に周囲の空気もひきずるためにその空気質量mは大きくなる。
【0049】
詳細には、図3に示すように、1枚の遮音板20にその板厚方向に貫通する開口部21を複数開口した場合を想定する。すると、図4に示すように、幾何学的に決定される板厚t分の空気質量と、開口部21に存在する空気の空気振動にひきずられる開口部21近傍の厚さt´分の付加的空気質量とのトータル空気質量Mが実質的な空気質量になる。従って、この付加的空気質量が大きければその慣性力による大きな透過損失が得られることになる。
【0050】
ここで、付加的空気質量を決定する厚さt´は開口部21の開口径が大きいほど大きくなり、この結果、同一開口面積比率を持つ遮音板20では理論的に開口部21の開口径に応じて図5に示すような値が得られる。
【0051】
図5(a)は200mmの正方形の遮音板20に、直径φが24mmの開口部21を16個形成した場合が示され、これと同一開口面積比率を持つべく直径φが12mmの開口部21を64個形成したもの、直径φが16mmの開口部21を36個形成したもの、直径φが32mmの開口部21を9個形成したものについてそれぞれ計算すると、図5(b)に示すような周波数に対する透過損失特性が得られる。つまり、同一開口面積比率を持つ遮音板20でも開口径が大きいほどに、又、周波数が高いほどに大きな透過損失を得られる。
【0052】
ところが、上記した各開口径の遮音板20を用いて実際に透過損失を測定すると、図6に示すような結果が得られた。つまり、一定の周波数以下では計算結果と略同じ結果が得られるが、一定の周波数から上になると計算結果と異なり透過損失が急激に下がり始める。
【0053】
従って、この実際の測定結果より、図1における開口部6a、6b、7a、7bの開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定することによって、具体的には入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが、遮音を目的とする音の主周波数(低減を目的とする周波数帯域の中心周波数)に一致するよう設定する。すると、開口部6a、6b、7a、7bに存在する空気の空気振動にひきずられる開口部6a、6b、7a、7b近傍の付加的空気質量が大きくなる。
【0054】
具体的には、1自由度振動系における開口部6b、7b及び筒部8内の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、又、2自由度振動系における開口部6a、6bの幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰され、且つ、2自由度振動系の共振周波数を越える周波数では透過波は入射波に対して180度位相が反転することより、互いの透過波が打消し合って効率良く遮音できる。
【0055】
また、遮音を目的とする音の主周波数(低減を目的とする周波数帯域の中心周波数)より2自由度振動系の共振周波数を低く設定することにより、遮音を目的とする音の主周波数の遮音を効率良く行うことができるが、遮音効果を低い周波数から持たせるためには、空気質量mと空気ばねとからなる振動系の共振周波数を小さくする必要がある。そして、振動系の共振周波数は上記空気質量mを大きくすることにより小さくできるため、第1実施の形態によれば開口部6a、6bの肉厚を厚くすることなく共振周波数を低くすることができる。又、開口部6a、6b、7a、7bを介して遮音壁4の一方側から他方側に相互に空気が流通するため、通気性も確保される。従って、一方側からの熱が開口部6a、6b、7a、7bから放熱される。
【0056】
再び図3〜図6に戻り、実際に透過損失が急激に下がり始める手前の一定の周波数は、直径φが32mmのものでは4.8kHz、直径φが24mmのものでは6.3kHz、直径φが16mmのものでは9.2kHzであり、周波数fと開口半径aとの間には、k=2πf/cとすると、k・a=1.4の関係がある。ここで、c(m/sec)は音速であり、音速は雰囲気温度で変化するため、雰囲気温度をn(℃)として次の式により定義する。
【0057】
【数3】
従って、開口部21の開口面積を、遮音を目的とする音の主周波数に基づきk・aの値が1.2〜1.6の範囲となるよう設定すれば、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークエリアが遮音を目的とする音の主周波数に一致することになり、遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰されるため、効率良く遮音できる。又、遮音を目的とする音の主周波数に基づきk・aの値が1.4の値となるよう設定すれば、遮音を目的とする音の主周波数成分が最大限に減衰される。第1実施の形態にあって、開口部6a、6b、7a、7bの開口面積を、k・aの値が1.2〜1.6の範囲、特に1.4の値となるよう設定すれば、最大限の減衰効果が得られる。
【0058】
また、遮音板20の板厚tを大きくし、開口部21を管路形状にすると、ある一定の周波数以上で1次から高次の気柱共鳴が発生し、透過損失が著しく低下する。従って、この気柱共鳴周波数未満の周波数が遮音を目的とする音の主周波数となるよう設定することにより、気柱共鳴が発生しないため、透過損失が著しく低下せず、効率良く遮音できる。
【0059】
ここで、開口部21の管路長は、図4に示したように、音響的には実際の長さtに対し付加長さt´が加わる。この付加長さt´は、放射インピーダンスZrの虚部Im(Zr)を用いて、t´=(2/k)・{Im(Zr)/ρcS}で示される。k・a=1.4の場合、Im(Zr)/ρcS=0.7である。気柱共鳴周波数が発生しない条件は波長λとして、t+t´<λ/2=c/2fの式より求められる。
【0060】
従って、t<c/2f−0.7・(2/k)=(π/k)=(π−1.4)/kとなり、これを整理すると、k・t<1.74となる。つまり、k・t<1.74の条件で使用することで、最大限の効果が得られる。一例として2kHzの音を対象とした場合、音速c=343.4m/secとして、t=47.6mm以下が適当になる。第1実施の形態にあって、一対の遮音板5の両外面間の間隔tを、k・t<1.74の条件を満たす値に設定することにより、気柱共鳴の発生を防止できるため、透過損失が著しく低下せず、効率良く遮音できることになる。
【0061】
図7は本発明の第2実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図8はその空気振動系を示す概念図である。図7及び図8において、第2実施の形態に係る遮音壁構造は3枚の遮音板5を有し、中央の遮音板5にも対向する箇所に開口部22a、22bが設けられている。3枚の遮音板5の開口部6a、22a、7aにあっては、両側及び中央の各遮音板5の開口部6a、22a、7aの空気の空気質量mと、各遮音板5間の空気層の空気ばね10とで3自由度の振動系が構成されている。又、各遮音板5間には当該開口部6b、22b、7bと略同一断面の内面を有する筒部8により連通され、この筒部8内及び各当該開口部6b、22b、7bの空気質量Mにより1自由度の振動系が構成されている。
【0062】
この第2実施の形態でも上記第1実施の形態と同様な作用効果を得ることができると共に、3自由度の振動系は2つの共振周波数を有するため、2つの間の周波数帯で大きな遮音効果が期待できる。又、最も外側の遮音板5の両外面間の間隔tを、k・t<1.74の条件を満たす値の設定することで気柱共鳴が発生しない。
【0063】
図9(a)は本発明の第3実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図9(b)は(a)の一部拡大図である。図9(a),(b)において、第3実施の形態に係る遮音壁構造は上記他の従来例と略同一構成を有し、他の従来例と同一構成部分は同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成部分のみを説明する。即ち、この第3実施の形態においても、上記第1実施の形態と同様に各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積は、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定されている。又、各開口部6a、6b、7a、7bの開口形状及び開口面積はすべて直径がφ(=2a)の円形の同一のものとして構成されている。更に、各開口部6a、6b、7a、7bは水平・垂直方向共に互いに等間隔に配置されている。
【0064】
この第3実施の形態では、空気振動系は上記筒部8内及び各当該開口部6b、7bの中央部分の空気質量による1自由度振動系と、筒部8内及び各当該開口部6b、7bの中央部分以外の空気層と上記小孔12を介して連通する遮音板5間の空間部13の空気層の空気ばねとによる2自由度振動系とが構成されており、上記第1実施の形態と同様に開口部6b、7b及び筒部8内の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなる。従って、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰され、且つ、2自由度振動系の共振周波数を越える周波数では透過波は入射波に対して180度位相が反転することより、互いの透過波が打消し合って効率良く遮音できる。
【0065】
図10は本発明の第4実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図11はその空気振動系を示す概念図である。図10及び図11において、2枚の遮音板5には貫通し、且つ、対抗する位置に開口部6c、6d、7c、7dがそれぞれ設けられており、上記第1実施の形態と同様に各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積は、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定されている。又、遮音板5間には区画壁23が設けられており、開口部6c、7cが連通する空気層と、開口部6d、7dが連通する空気層との容量が異なるよう構成されている。空気振動系は、共に2自由度の振動系であるが、上記遮音板5間の空気ばね10のばね定数が異なる2種類の振動系から構成されている。
【0066】
この第4実施の形態でも、各開口部6c、6d、7c、7dの開口形状及び開口面積はすべて直径がφ(=2a)の円形の同一のものとして構成されている。更に、各開口部6c、6d、7c、7dは水平・垂直方向共に互いに等間隔に配置されている。
【0067】
この第4実施の形態にあっては、2自由度振動系における開口部6c、6d、7c、7dの幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰され、且つ、2種類の振動系にあって空気層の容量が2種類のため互いの共振周波数が異なり、入射波の周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相は180度反転することより、2種類の振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0068】
上記各実施の形態によれば、開口部6a〜6d、7a〜7dが円形状の場合について説明したが、S=π・a2 として開口面積を規定すれば異なる開口形状(四角形、五角形、六角形等)でも適用できる。しかし、円形状にすれば、より精度良く性能を確保できる利点がある。即ち、開口部6a〜6d、7a〜7dを円形状とすることで実際の効果が理論値に近付き、遮音壁4の設計精度が向上する。
【0069】
上記各実施の形態によれば、上記各開口部6a〜6d、7a〜7dの開口形状及び開口面積は、同一であるため、各開口部6a〜6d、7a〜7dにおいて音が均質に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0070】
上記各実施の形態によれば、上記各開口部6a〜6d、7a〜7dは、互いに等間隔に配置されているので、全体に亘って音が均一に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0071】
上記各実施の形態において、各遮音壁4を自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部に適用することにより、エンジンルームからの音が外部に対して遮音され、又、エンジンルームからの熱が開口部6a〜6d、7a〜7dから放熱される。更に、遮音壁4は肉薄にできるため、最低地上高からエンジンルーム内の部品までの狭い空間に取付けることができ、極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図2】上記の空気振動系を示す概念図である。
【図3】本発明の理論を説明する為の遮音板の斜視図である。
【図4】上記の開口部の空気質量を示す概念図である。
【図5】(a)は200mmの正方形の遮音板20に直径φが24mmの開口部21を16個形成した場合を示す正面図、(b)は計算上算出される、各開口寸法における周波数に対する透過特性線図である。
【図6】測定によって得られる、各開口寸法における周波数に対する透過特性線図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図8】上記の空気振動系を示す概念図である。
【図9】(a)は本発明の第3実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、(b)は(a)の一部拡大図である。
【図10】本発明の第4実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図11】上記の空気振動系を示す概念図である。
【図12】自動車の概略側面図である。
【図13】自動車の底面図である。
【図14】従来例の遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図15】従来例の空気振動系を示す概念図である。
【図16】(a)は他の従来例の遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、(b)は(a)の一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 エンジンルーム
3 アンダーカバー
4 遮音壁
5 遮音板
6a〜6d、7a〜7d 開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性を保持しながら遮音効果を発揮しうる遮音壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12及び図13に示すように、一般的な自動車1においては、エンジンルーム2の下部にアンダーカバー3が取付けられている。このアンダーカバー3は、自動車1下部の空力特性を向上させ、又、エンジンルーム2内の部品を跳ね上げられた小石等から保護する機能を持つと共に、エンジンルーム2から車外に放射される騒音を抑制する遮音機能を有している。そして、このアンダーカバー3の遮音効果はその面積が大きなものほど増大する。しかしながら、アンダーカバー3の面積を大きくするほどエンジンルーム2の下部が密閉されることになり、エンジンルーム2内が高温となって、部品耐久性上好ましくない状態を招く恐れがある。以上の点を考慮して本出願人は、図14に示す特開平7−175485号公報に開示する遮音壁構造を先に提案した。
【0003】
図14において、遮音壁4は間隔を置いて対向する2枚の遮音板5を有し、この各遮音板5には互いに対抗する複数の開口部6a、6b,7a,7bが貫通して設けられている。各開口部6a、6b,7a、7bの半分6b、7bは筒部8で連通され、筒部8と略同一断面の内面を有している。又、各開口部6a、6b、7a、7bの他の半分6a、7aは一部突出筒部8aを有するが、上述のような筒部8で連通されずに一対の遮音板5間の空間を介して連通している。
【0004】
即ち、図15に示すように、筒部8を有さない各開口部6a、7aで構成される振動系は、開口部6a、7aの空気9の空気質量mと遮音壁部5間の空気層の空気ばね10とで2自由度の振動系を構成し、又、筒部8を有する各開口部6b、7bで構成される振動系は、開口部6b、7bから筒部8にかけての空気11全体が空気質量Mとして働き、1自由度の振動系を構成している。
【0005】
上記構成において、遮音壁4の一方側から音が入射すると、この入射波は各開口部6a、6b、7a、7bを介して他方側に透過される。ここで、筒部8で連通されない各開口部6a、6bへの入射波はその周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相が180度反転して出力される。一方、筒部8で連通された各開口部6b、7bは共振点を持たないため、その入射波と同じ位相で透過波が出力される。従って、両透過波はその干渉効果によって減音される。
【0006】
即ち、上記従来例は、遮音壁4に形成される空気の振動系をコントロールすることにより、入射波の振動入力に対する透過波の振動応答の反共振を積極的に利用して、この透過波振動を最適化したものである。
【0007】
また、本出願人は、同機能を異なる構成で達成できるものとして、図16(a)、(b)に示す特開平8−10360号公報に開示する遮音壁4も先に提案した。
【0008】
図16(a)、(b)において、一対の遮音板5の対抗する開口部6b、7b間は全て筒部8で連通されており、この各筒部8には小孔12が形成されている。この小孔12を介して筒部8内は空間部13と連通している。即ち、開口部6b、7b及び筒部8内の中央部分の空気全体が1自由度振動系を、開口部6b、7b及び筒部8内の中央部分以外の空気の空気質量と空間部13の空気層の空気ばねとで2自由度振動系をそれぞれ構成している。
【0009】
この他の従来例では、上記した従来例のように透過波の振動応答の反共振を作り出すのに小孔12を用い、開口部6b、7b及び筒部8で形成される1つの穴内で反共振を得るものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の遮音壁4による騒音制御手段は、その得られる通気性と遮音性という機能から産業的に利用価値が高いものであるが、さらに優れたものが望まれている。
【0011】
そこで、本発明は、通気性と遮音性に優れた遮音壁構造の提供を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、遮音板に貫通する開口部を設けて、該開口部を透過する透過波を減衰させる空気振動系を構成し、上記開口部の開口面積を入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定した遮音壁構造であって、
上記開口部の開口面積Sを入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づく設定は、音速をc、遮音を目的とする音の主周波数をfとし、
【数2】
として、k・aの値が1.2〜1.6の範囲となる値に設定したことを特徴とする。
【0013】
従って、開口部の開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが遮音を目的とする音の主周波数に一致するよう設定することによって、開口部に存在する空気の空気振動にひきずられる開口部近傍の付加的空気質量が大きくなり、開口部の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰される。又、開口部を介して遮音板の一方側から他方側に相互に空気が流通する。また、k・aの値が1.2〜1.6の範囲となる値に開口部の開口面積が設定されており、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークエリアが、遮音を目的とする音の主周波数に一致するため、遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰される。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の遮音壁構造であって、k・aの値は、1.2〜1.6の範囲の内の1.4の値であることを特徴とする。
【0017】
従って、請求項1の発明の作用に加え、k・aの値が1.4の場合にあっては、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが、遮音を目的とする音の主周波数に一致するため、遮音を目的とする音の主周波数成分がさらに十分に減衰される。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、遮音壁を間隔を置いて対向する少なくとも2枚の遮音板とし、前記開口部を遮音板に貫通し、且つ、互いに対向する位置に設け、上記空気振動系は、上記開口部の空気質量と上記遮音板間の空気層の空気ばねとでなる2自由度振動系と、対向する遮音板間で当該開口部と略同一断面の内面を有する筒部により連通され、この筒部内及び各当該開口部の空気質量による1自由度振動系とからなることを特徴とする。
【0019】
従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、開口部を略同一断面の内面を有する筒部で連通させた部分は共振点を持たない1自由度振動系を構成するため、この部分を通過する透過波は入射波との位相ずれはない一方、空気質量と空気ばねとでなる振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波は相互に打ち消し合うことになる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、上記空気振動系は、対向する遮音板間で当該開口部と略同一断面の内面を有する筒部により連通されると共にこの筒部に小孔が設けられ、上記筒部内及び各当該開口部の中央部分の空気質量による1自由度振動系と、上記小孔を介して連通する遮音板間の空気層の空気ばねとによる2自由度振動系とからなることを特徴とする。
【0021】
従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、開口部への入射波の内、小孔を通らない波は入射波との位相ずれはない一方、小孔を通り反射してきた波は入射波との位相がずれ、両波は相互に打ち消し合うことになる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、最も外側に配置された遮音板の両外面間の間隔tは、k=2πf/cとすると、k・t<1.74の条件を満たす値に設定したことを特徴とする。
【0023】
従って、請求項1〜4の発明の作用に加え、tがk・t<1.74の条件を満たす値では、気柱共鳴が発生しない。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、上記空気振動系は、対向する遮音板間に区画壁が設けられ、この区画壁で対向する開口部間に構成される空気層の容量が2種類とされ、上記開口部の空気質量と上記遮音板間の空気層の空気ばねとでなる2種類の2自由度振動系からなることを特徴とする。
【0025】
従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、2種類の振動系にあって空気層の容量が2種類のため互いの共振周波数が異なり、入射波の周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相は180度反転することより、2種類の振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波は相互に打ち消し合うことになる。
【0026】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、上記開口部の開口形状は、円形であることを特徴とする。
【0027】
従って、請求項1〜6記載の発明の作用に加え、上記開口部の開口形状が円形であるため、実際の効果が理論値に近づく。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、上記各開口部の開口形状及び開口面積は、同一であることを特徴とする。
【0029】
従って、請求項1〜7記載の発明の作用に加え、上記各開口部の開口形状及び開口面積が同一であるため、各開口部において音が均質に減衰される。
【0030】
請求項9の発明は、請求項8記載の遮音壁構造であって、上記各開口部は、互いに等間隔に配置されたことを特徴とする。
【0031】
従って、請求項8記載の発明の作用に加え、上記各開口部は、互いに等間隔に配置されたため、全体に亘って音が均一に減衰される。
【0032】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の遮音壁構造であって、上記遮音壁は、自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部であることを特徴とする。
【0033】
従って、請求項1〜9記載の発明の作用に加え、エンジンルームからの音が外部に対して遮音され、又、エンジンルームからの熱が開口部から放熱される。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明では、開口部の開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが遮音を目的とする音の主周波数に一致するよう設定することによって、開口部に存在する空気の空気振動にひきずられる開口部近傍の付加的空気質量が大きくなり、開口部の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰されるため、効率良く遮音できる。又、開口部を介して遮音板の一方側から他方側に相互に空気が流通するため、通気性も確保される。また、開口部の開口面積をk・aの値が1.2〜1.6の範囲になるよう設定したので、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークエリアが、遮音を目的とする音の主周波数に一致することにより、遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰されるため、効率良く遮音できる。
【0036】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、k・aの値が1.4の場合にあっては、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが、遮音を目的とする音の主周波数に一致することにより、遮音を目的とする音の主周波数成分が最大限に減衰されるため、最も効率良く遮音できる。
【0037】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、開口部を略同一断面の内面を有する筒部で連通させた部分は共振点を持たない1自由度振動系を構成するため、この部分を通過する透過波は入射波との位相ずれはない一方、空気質量と空気ばねとでなる振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0038】
請求項4の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、開口部への入射波の内、小孔を通らない波は入射波との位相ずれはない一方、小孔を通り反射してきた波は入射波との位相がずれ、両波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0039】
請求項5の発明では、請求項1〜4の発明の効果に加え、最も外側に配置された遮音板の両外面間の間隔tがk・t<1.74の条件を満たす値にあっては、気柱共鳴が発生しないため、透過損失が著しく低下せず、効率良く遮音できる。
【0040】
請求項6の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、2種類の振動系にあって空気層の容量が2種類のため互いの共振周波数が異なり、入射波の周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相は180度反転することより、2種類の振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0041】
請求項7の発明では、請求項1〜6記載の発明の効果に加え、実際の効果が理論値に近づくため、遮音板の設計精度が向上する。
【0042】
請求項8の発明では、請求項1〜7記載の発明の効果に加え、各開口部において音が均質に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0043】
請求項9の発明では、請求項8記載の発明の効果に加え、全体に亘って音が均一に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0044】
請求項10の発明では、請求項1〜9記載の発明の効果に加え、上記遮音板が自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部であるため、エンジンルームからの音が外部に対して遮音され、又、エンジンルームからの熱が開口部から放熱される。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
図1は本発明の第1実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図2はその空気振動系を示す概念図である。図1及び図2において、第1実施の形態に係る遮音壁構造は上記従来例と略同一構成を有し、従来例と同一構成部分は同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成部分のみを説明する。即ち、この第1実施の形態では、各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積は、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定されている。又、各開口部6a、6b、7a、7bの開口形状及び開口面積はすべて直径がφ(=2a)の円形の同一のものとして構成されている。更に、各開口部6a、6b、7a、7bは水平・垂直方向共に互いに等間隔に配置されている。
【0047】
次に、各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定することの意味について説明する。
【0048】
上記構成において、遮音壁4の一方側から音が入射すると、この入射波は各開口部6a、6b、7a、7bを介して他方側に透過波として出力される。開口部6b、7bで構成される振動系は、開口部6b、7b及び筒部8内に存在する空気11全体が空気質量Mとして働き、1自由度の振動系を構成することになるが、開口部6b、7b及び筒部8内に存在する空気は、振動する際に周囲の空気もひきずるためにその空気質量Mは大きくなる。又、開口部6a、7aで構成される振動系は、各開口部6a、7aの空気質量mと遮音板5間の空気層の空気ばね10とによる2自由度の振動系を構成することになるが、開口部6a、7aに存在する空気9は、振動する際に周囲の空気もひきずるためにその空気質量mは大きくなる。
【0049】
詳細には、図3に示すように、1枚の遮音板20にその板厚方向に貫通する開口部21を複数開口した場合を想定する。すると、図4に示すように、幾何学的に決定される板厚t分の空気質量と、開口部21に存在する空気の空気振動にひきずられる開口部21近傍の厚さt´分の付加的空気質量とのトータル空気質量Mが実質的な空気質量になる。従って、この付加的空気質量が大きければその慣性力による大きな透過損失が得られることになる。
【0050】
ここで、付加的空気質量を決定する厚さt´は開口部21の開口径が大きいほど大きくなり、この結果、同一開口面積比率を持つ遮音板20では理論的に開口部21の開口径に応じて図5に示すような値が得られる。
【0051】
図5(a)は200mmの正方形の遮音板20に、直径φが24mmの開口部21を16個形成した場合が示され、これと同一開口面積比率を持つべく直径φが12mmの開口部21を64個形成したもの、直径φが16mmの開口部21を36個形成したもの、直径φが32mmの開口部21を9個形成したものについてそれぞれ計算すると、図5(b)に示すような周波数に対する透過損失特性が得られる。つまり、同一開口面積比率を持つ遮音板20でも開口径が大きいほどに、又、周波数が高いほどに大きな透過損失を得られる。
【0052】
ところが、上記した各開口径の遮音板20を用いて実際に透過損失を測定すると、図6に示すような結果が得られた。つまり、一定の周波数以下では計算結果と略同じ結果が得られるが、一定の周波数から上になると計算結果と異なり透過損失が急激に下がり始める。
【0053】
従って、この実際の測定結果より、図1における開口部6a、6b、7a、7bの開口面積を、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定することによって、具体的には入射波の周波数とその透過損失との変化のピークが、遮音を目的とする音の主周波数(低減を目的とする周波数帯域の中心周波数)に一致するよう設定する。すると、開口部6a、6b、7a、7bに存在する空気の空気振動にひきずられる開口部6a、6b、7a、7b近傍の付加的空気質量が大きくなる。
【0054】
具体的には、1自由度振動系における開口部6b、7b及び筒部8内の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、又、2自由度振動系における開口部6a、6bの幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰され、且つ、2自由度振動系の共振周波数を越える周波数では透過波は入射波に対して180度位相が反転することより、互いの透過波が打消し合って効率良く遮音できる。
【0055】
また、遮音を目的とする音の主周波数(低減を目的とする周波数帯域の中心周波数)より2自由度振動系の共振周波数を低く設定することにより、遮音を目的とする音の主周波数の遮音を効率良く行うことができるが、遮音効果を低い周波数から持たせるためには、空気質量mと空気ばねとからなる振動系の共振周波数を小さくする必要がある。そして、振動系の共振周波数は上記空気質量mを大きくすることにより小さくできるため、第1実施の形態によれば開口部6a、6bの肉厚を厚くすることなく共振周波数を低くすることができる。又、開口部6a、6b、7a、7bを介して遮音壁4の一方側から他方側に相互に空気が流通するため、通気性も確保される。従って、一方側からの熱が開口部6a、6b、7a、7bから放熱される。
【0056】
再び図3〜図6に戻り、実際に透過損失が急激に下がり始める手前の一定の周波数は、直径φが32mmのものでは4.8kHz、直径φが24mmのものでは6.3kHz、直径φが16mmのものでは9.2kHzであり、周波数fと開口半径aとの間には、k=2πf/cとすると、k・a=1.4の関係がある。ここで、c(m/sec)は音速であり、音速は雰囲気温度で変化するため、雰囲気温度をn(℃)として次の式により定義する。
【0057】
【数3】
従って、開口部21の開口面積を、遮音を目的とする音の主周波数に基づきk・aの値が1.2〜1.6の範囲となるよう設定すれば、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークエリアが遮音を目的とする音の主周波数に一致することになり、遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰されるため、効率良く遮音できる。又、遮音を目的とする音の主周波数に基づきk・aの値が1.4の値となるよう設定すれば、遮音を目的とする音の主周波数成分が最大限に減衰される。第1実施の形態にあって、開口部6a、6b、7a、7bの開口面積を、k・aの値が1.2〜1.6の範囲、特に1.4の値となるよう設定すれば、最大限の減衰効果が得られる。
【0058】
また、遮音板20の板厚tを大きくし、開口部21を管路形状にすると、ある一定の周波数以上で1次から高次の気柱共鳴が発生し、透過損失が著しく低下する。従って、この気柱共鳴周波数未満の周波数が遮音を目的とする音の主周波数となるよう設定することにより、気柱共鳴が発生しないため、透過損失が著しく低下せず、効率良く遮音できる。
【0059】
ここで、開口部21の管路長は、図4に示したように、音響的には実際の長さtに対し付加長さt´が加わる。この付加長さt´は、放射インピーダンスZrの虚部Im(Zr)を用いて、t´=(2/k)・{Im(Zr)/ρcS}で示される。k・a=1.4の場合、Im(Zr)/ρcS=0.7である。気柱共鳴周波数が発生しない条件は波長λとして、t+t´<λ/2=c/2fの式より求められる。
【0060】
従って、t<c/2f−0.7・(2/k)=(π/k)=(π−1.4)/kとなり、これを整理すると、k・t<1.74となる。つまり、k・t<1.74の条件で使用することで、最大限の効果が得られる。一例として2kHzの音を対象とした場合、音速c=343.4m/secとして、t=47.6mm以下が適当になる。第1実施の形態にあって、一対の遮音板5の両外面間の間隔tを、k・t<1.74の条件を満たす値に設定することにより、気柱共鳴の発生を防止できるため、透過損失が著しく低下せず、効率良く遮音できることになる。
【0061】
図7は本発明の第2実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図8はその空気振動系を示す概念図である。図7及び図8において、第2実施の形態に係る遮音壁構造は3枚の遮音板5を有し、中央の遮音板5にも対向する箇所に開口部22a、22bが設けられている。3枚の遮音板5の開口部6a、22a、7aにあっては、両側及び中央の各遮音板5の開口部6a、22a、7aの空気の空気質量mと、各遮音板5間の空気層の空気ばね10とで3自由度の振動系が構成されている。又、各遮音板5間には当該開口部6b、22b、7bと略同一断面の内面を有する筒部8により連通され、この筒部8内及び各当該開口部6b、22b、7bの空気質量Mにより1自由度の振動系が構成されている。
【0062】
この第2実施の形態でも上記第1実施の形態と同様な作用効果を得ることができると共に、3自由度の振動系は2つの共振周波数を有するため、2つの間の周波数帯で大きな遮音効果が期待できる。又、最も外側の遮音板5の両外面間の間隔tを、k・t<1.74の条件を満たす値の設定することで気柱共鳴が発生しない。
【0063】
図9(a)は本発明の第3実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図9(b)は(a)の一部拡大図である。図9(a),(b)において、第3実施の形態に係る遮音壁構造は上記他の従来例と略同一構成を有し、他の従来例と同一構成部分は同一符号を付してその説明を省略し、異なる構成部分のみを説明する。即ち、この第3実施の形態においても、上記第1実施の形態と同様に各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積は、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定されている。又、各開口部6a、6b、7a、7bの開口形状及び開口面積はすべて直径がφ(=2a)の円形の同一のものとして構成されている。更に、各開口部6a、6b、7a、7bは水平・垂直方向共に互いに等間隔に配置されている。
【0064】
この第3実施の形態では、空気振動系は上記筒部8内及び各当該開口部6b、7bの中央部分の空気質量による1自由度振動系と、筒部8内及び各当該開口部6b、7bの中央部分以外の空気層と上記小孔12を介して連通する遮音板5間の空間部13の空気層の空気ばねとによる2自由度振動系とが構成されており、上記第1実施の形態と同様に開口部6b、7b及び筒部8内の幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなる。従って、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰され、且つ、2自由度振動系の共振周波数を越える周波数では透過波は入射波に対して180度位相が反転することより、互いの透過波が打消し合って効率良く遮音できる。
【0065】
図10は本発明の第4実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、図11はその空気振動系を示す概念図である。図10及び図11において、2枚の遮音板5には貫通し、且つ、対抗する位置に開口部6c、6d、7c、7dがそれぞれ設けられており、上記第1実施の形態と同様に各開口部6a、6b、7a、7bの開口面積は、入射波の周波数とその透過損失との変化のピークに基づいて設定されている。又、遮音板5間には区画壁23が設けられており、開口部6c、7cが連通する空気層と、開口部6d、7dが連通する空気層との容量が異なるよう構成されている。空気振動系は、共に2自由度の振動系であるが、上記遮音板5間の空気ばね10のばね定数が異なる2種類の振動系から構成されている。
【0066】
この第4実施の形態でも、各開口部6c、6d、7c、7dの開口形状及び開口面積はすべて直径がφ(=2a)の円形の同一のものとして構成されている。更に、各開口部6c、6d、7c、7dは水平・垂直方向共に互いに等間隔に配置されている。
【0067】
この第4実施の形態にあっては、2自由度振動系における開口部6c、6d、7c、7dの幾何学的に決定される空気質量と上記付加的空気質量とのトータル空気質量が大きくなり、このトータル空気質量の大きな慣性力によって遮音を目的とする音の主周波数成分が十分に減衰され、且つ、2種類の振動系にあって空気層の容量が2種類のため互いの共振周波数が異なり、入射波の周波数が振動系の共振周波数を越えると透過波の位相は180度反転することより、2種類の振動系を通過した透過波は位相がずれ、両透過波が相互に打ち消し合うことによって遮音される。
【0068】
上記各実施の形態によれば、開口部6a〜6d、7a〜7dが円形状の場合について説明したが、S=π・a2 として開口面積を規定すれば異なる開口形状(四角形、五角形、六角形等)でも適用できる。しかし、円形状にすれば、より精度良く性能を確保できる利点がある。即ち、開口部6a〜6d、7a〜7dを円形状とすることで実際の効果が理論値に近付き、遮音壁4の設計精度が向上する。
【0069】
上記各実施の形態によれば、上記各開口部6a〜6d、7a〜7dの開口形状及び開口面積は、同一であるため、各開口部6a〜6d、7a〜7dにおいて音が均質に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0070】
上記各実施の形態によれば、上記各開口部6a〜6d、7a〜7dは、互いに等間隔に配置されているので、全体に亘って音が均一に減衰されるため、安定した遮音性能を確保できる。
【0071】
上記各実施の形態において、各遮音壁4を自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部に適用することにより、エンジンルームからの音が外部に対して遮音され、又、エンジンルームからの熱が開口部6a〜6d、7a〜7dから放熱される。更に、遮音壁4は肉薄にできるため、最低地上高からエンジンルーム内の部品までの狭い空間に取付けることができ、極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図2】上記の空気振動系を示す概念図である。
【図3】本発明の理論を説明する為の遮音板の斜視図である。
【図4】上記の開口部の空気質量を示す概念図である。
【図5】(a)は200mmの正方形の遮音板20に直径φが24mmの開口部21を16個形成した場合を示す正面図、(b)は計算上算出される、各開口寸法における周波数に対する透過特性線図である。
【図6】測定によって得られる、各開口寸法における周波数に対する透過特性線図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図8】上記の空気振動系を示す概念図である。
【図9】(a)は本発明の第3実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、(b)は(a)の一部拡大図である。
【図10】本発明の第4実施の形態に係る遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図11】上記の空気振動系を示す概念図である。
【図12】自動車の概略側面図である。
【図13】自動車の底面図である。
【図14】従来例の遮音壁構造を示す一部破断の斜視図である。
【図15】従来例の空気振動系を示す概念図である。
【図16】(a)は他の従来例の遮音壁構造を示す一部破断の斜視図、(b)は(a)の一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 自動車
2 エンジンルーム
3 アンダーカバー
4 遮音壁
5 遮音板
6a〜6d、7a〜7d 開口部
Claims (10)
- 請求項1記載の遮音壁構造であって、
k・aの値は、1.2〜1.6の範囲の内の1.4の値であることを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、
遮音壁を間隔を置いて対向する少なくとも2枚の遮音板とし、前記開口部を遮音板に貫通し、且つ、互いに対向する位置に設け、
上記空気振動系は、上記開口部の空気質量と上記遮音板間の空気層の空気ばねとでなる2自由度振動系と、対向する遮音板間で当該開口部と略同一断面の内面を有する筒部により連通され、この筒部内及び各当該開口部の空気質量による1自由度振動系とからなることを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、
上記空気振動系は、対向する遮音板間で当該開口部と略同一断面の内面を有する筒部により連通されると共にこの筒部に小孔が設けられ、上記筒部内及び各当該開口部の中央部分の空気質量による1自由度振動系と、上記小孔を介して連通する遮音板間の空気層の空気ばねによる2自由度振動系とからなることを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1〜4のいずれか1項記載の遮音壁構造であって、
最も外側に配置された2枚の遮音板の両外面間の間隔tは、k=2πf/cとすると、k・t<1.74の条件を満たす値に設定したことを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1又は2記載の遮音壁構造であって、
上記空気振動系は、対向する遮音板間に区画壁が設けられ、この区画壁で対向する開口部間に構成される空気層の容量が2種類とされ、上記開口部の空気質量と上記遮音板間の空気層の空気ばねとでなる2種類の2自由度振動系からなることを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1〜6のいずれか1項記載の遮音壁構造であって、
上記開口部の開口形状は、円形であることを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1〜7のいずれか1項記載の遮音壁構造であって、
上記各開口部の開口形状及び開口面積は、同一であることを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項8記載の遮音壁構造であって、
上記各開口部は、互いに等間隔に配置されたことを特徴とする遮音壁構造。 - 請求項1〜9のいずれか1項記載の遮音壁構造であって、
上記遮音板は、自動車のエンジンルームのアンダーカバーの少なくとも一部であることを特徴とする遮音壁構造。
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