JP4300543B2 - 消音装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高速自動車道や新幹線、生産工場の機器などから放射される騒音で発生源の位置や方向が特定されたり、進行方向が一定の方向へ進む騒音について、騒音の発生源近傍で、あるいは放射された騒音が伝搬される途上で、騒音の波動としてのエネルギーを低減する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速自動車道や新幹線などの交通騒音対策に、一般的に遮音壁が用いられている。しかし、遮音壁が設置されていても、走行する自動車や新幹線から発生される騒音は、遮音壁の先端部を回折して遮音壁の裏側へも回り込む。また、背の低い壁では十分な遮音性能が得られないことから、現在では高速自動車道には8mにもおよぶ高さの遮音壁が設置される例も見られる。遮音壁の高さを増すと、地上の低い位置で発生した騒音が、車道の両側で向かい合う壁面の反射によって鏡像現象を生じ、騒音源が遮音壁の先端部まで上方へ移動したときと同じような音像が現れた状態となり、高さを増したことによる効果が十分に得られなくなるばかりか、逆に高さを増したことによる新たな弊害の生ずる場合もある。
【0003】
このように、遮音壁から外部へ漏れ出る騒音は、騒音発生源から放射された騒音が遮音壁先端を乗り越えて直接的に漏れる騒音と、一たん遮音壁で進行が遮られ遮音壁内で多重に反射がくり返されたのち外部へ漏れる騒音との2種類に分けられる。そこで、遮音壁より外部へ漏れる騒音の割合を小さくするため、遮音壁の内側に吸音処理をするという手法が考えられる。
【0004】
実際に、道路交通騒音の拡散を防止するために設置されている遮音壁には、吸音処理するための何らかの対策が施されている場合も多い。たとえば、遮音壁の表面にスリットまたは丸孔の開けられた金属板が用いられ、その内側には吸音材、空気層、さらに背面板が設けられたような吸音構造を持たせたものがある。吸音材としてはグラスウールやロックウールなどの多孔質材料が用いられ、風による飛散や雨の侵入などがないように耐候性についても工夫されている。
【0005】
上述の吸音構造を有する遮音壁を含めて、一般に、吸音力のある部材や構造によって音のエネルギーが低減されるときの吸音のメカニズムは、音波が多孔質材料内などを通過するとき、無数にある多孔質材料の微細な表面と空気の粒子との接触や、空気の粘性などで生ずる摩擦によって熱エネルギーに変換されて音のエネルギーが消耗されるというのが通説となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
道路や鉄道に沿って建設される遮音壁は、いろいろな構造のものが考案されているが、吸音できる周波数範囲は、吸音材の特性とその厚みで限定されるため、どのような吸音材や方法を用いたとしても、低い周波数帯域まで吸音するためには、吸音材の厚みを厚くしたり構造を大きくしたりしなければならない。
ところが、道路や鉄道に沿って建設される遮音壁は、安全や景観、または構造上の問題などからの制約も多く、騒音を広帯域にわたって、特に低い周波数の音を低減するために必要となる大きさや厚みを必ずしも十分にとることができないというのが現状である。
【0007】
一方、生産工場や工事現場などで発生する各種の騒音は、作業性の低下や保守がやりにくくなるなどの理由で騒音の発生源をどうしても囲うことができない場合が多く、騒音対策などは施しようがなく、たれ流し状態という場合も少なくない。
【0008】
本発明は、上述の問題点を鑑みて成されたもので、騒音発生源の位置や方向が特定される騒音や、騒音源から放射された騒音の進む方向が一定方向の騒音について、騒音の波動としての伝播エネルギーを効果的に低減することによって、大きな装置を用いないで高域から低域までの広い周波数帯域の騒音を低減することのできる装置を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
焦点を有する音波反射板と、該音波反射板の焦点に集束された音のエネルギーの消耗を促進する音波干渉器とから成り、前記音波反射板の焦点に集束された音を前記音波干渉器内に導入するために必要な最小限の大きさの音波導入口を設けて、一たん音波干渉器内に収納された音が波動としての伝播エネルギーが低減されないまま逆戻りして容易には外へ出られないようにする。
【0010】
上記音波干渉器を構成する壁面の対向する面を平行とならない変則的反射面として音波干渉器内での音波の拡散性を良くし、定在波の生じ難い形状とする。音波干渉器内には多孔質材料を配して音波干渉による音波のエネルギーの消耗を促進する。
【0011】
【作用】
ここで、本発明による消音装置の作用について説明する。騒音源から放射された音波のうち音波反射板に入射された音波は、音波反射板の焦点に集束され、音波干渉器に設けられた音波導入口より音波干渉器内に導入される。音波干渉器の壁面は、対向する面が平行にならないような変則的な反射面となるような構造であるため、音波干渉器内に閉じ込められた音波は、音波干渉器内で定在波となって現れることはなく、音波干渉器内で多重反射をくり返す。
音波干渉器内へ一たん閉じ込められた音波は、音波干渉器内でランダムに多重反射をくり返すが、狭い音波導入口を逆方向へ進み音波干渉器外へ容易には出ることははできない。
【0012】
本発明による消音装置の動作原理は、主に音波干渉による音波の伝播エネルギーの低減化に着目するもので、音波の波動としての伝播エネルギーを効率よく消耗させるものである。まず、音波干渉による音波の波動エネルギーの低減について説明する。
音波干渉によって音を低減するために、元の音波と元の音波と逆位相、同音圧の音波を合流させて音波干渉を行わせるとき、元の音波と元の音波と逆位相、同音圧の音波との双方の音波の波動としての進行方向が異なる場合については、合流点において、双方の音波の干渉作用は認められるが、音波干渉による波動としてのエネルギーの低減効果は必ずしも十分には得ることはできない。
これは、音波の伝播が波動としてのベクトルに依存しているためであり、周波数と振幅が等しく逆相関係を有し、かつ、音波の波面の伝播方向が一致する方向に向けて放射された2つの音波は、干渉によって双方の音波の波動としてのエネルギーは著しく低減され、音波の伝播を継続することができなくなる。
【0013】
上述のように、音波干渉器内で多重反射をくり返す音波は、音波干渉器内の任意の位置で同一周波数の音波が逆相関係で干渉し合う位置が生ずる。多孔質材料内をくぐり抜ける双方の音波の空気粒子は、密度が小さく透過損失のきわめて小さい多孔質材料内を通過するとき、各所で乱反射がくり返されるため、振動の方向性は次第に弱められ、ついには波動としての振動の方向性を失った状態となって次々に伝播していく。このように音波干渉器の各位置では各周波数の音波はランダムで方向性のない空気粒子の振動に変換される。したがって、音波干渉器内の同一周波数の音波が逆相関係で干渉し合う位置では、音波の空気粒子の振動の方向性がランダムな状態、すなわち、音波の空気粒子の振動の方向性が互いにほぼ一致する状態で干渉し合うことになり、双方の音波の波動エネルギーはその瞬間に劇的に低減される。
【0014】
【実施例】
実施例1
本発明の消音装置の1実施例を、図1、図2によって説明する。図1は、本発明による消音装置の実施例1の構成および作用を示す図、図2は、本発明による消音装置の斜視図である。実施例1は、本装置を高速自動車道の遮音壁として用いたものである。
図1、図2において、1は音波反射板、2は音波干渉器、3は音波導入口、4は多孔質材料、5は音波反射板1の焦点、6は騒音源、7は路面である。
図2における遮音壁の実施例では、音波反射板1は遮音壁の内壁面であり、音波干渉器2、音波導入口3、多孔質材料4、焦点5は路面7より下方に設置されている。音波反射板1は、焦点を有する反射板で音の反射率の高い部材から成り、長方形の平板を曲げて焦点を有する放物面や楕円面のようにした形状の音波反射板、音波干渉器2は、それぞれ対向する面が平行とならない変則的反射面で構成されており、音波干渉器2内での音波の拡散性が良く、定在波の生じ難い形状で気密性の高い構造である。音波導入口3は音波反射板1の焦点5に集束された音を音波干渉器2へ導入するために設けられた開口で、音波干渉器2の容積に対して十分小さな必要最小限の大きさである。音波干渉器2内へ一たん閉じ込められた音波は、音波干渉器2内で多重反射をくり返すが、狭い音波導入口3を逆方向へ進み音波干渉器2の外へ容易には出ることができない。音波干渉器2の内部には多孔質材料4が詰められている。多孔質材料4は、密度が小さく透過損失の小さいたとえばグラスウールやロックウールのような多孔質の音響材料である。
【0015】
以下、その動作について図1、図2に示した図と共に説明する。
前方の騒音源6より放射された音波は、音波反射板1に入射されるが、騒音源6は点音源、線音源、面音源のいずれでもよい。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。音波反射板1で反射され音波反射板1の焦点5に向かって進行してきた音波は、音波導入口3を直接あるいは音波導入口3の壁面で反射されながら通過し、音波干渉器2内に入る。音波干渉器2内に閉じ込められた音波は、音波干渉器2内で定在波となって現れることはなく、音波干渉器2内で多重反射をくり返す。音波干渉器2内には多孔質材料4が詰められているため、音波干渉器2内で多重反射をくり返す音波は、音波干渉器2内のランダムな位置で逆相関係で干渉し合う。多孔質材料4内をくぐり抜ける音波の空気粒子は、各所で乱反射がくり返されるため、音波の波動としての振動の方向性は次第に弱められ、ついには振動の方向性を失った状態となって次々に伝播していき、音波の空気粒子の振動の方向性がほぼ一致する状態で干渉し合うことになり、干渉によって音波の波動エネルギーはその瞬間に劇的に低減される。
【0016】
なお、実施例1は、高速自動車道に設置された直線状の遮音壁について説明したが、たとえば、工事現場で発生する騒音を防止する遮音壁として、騒音源全体を囲って用いてもよい。
【0017】
実施例2
図3に基づいて本発明による実施例2を説明する。図3は、本発明による消音装置の実施例2の構成および作用を示す図、実施例2は、本装置を回折波消音器として利用したものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
8は、遮音壁である。
図3は、本発明による消音装置が遮音壁8の先端エッジ部に取り付けられている。音波反射板1、音波干渉器2、音波導入口3は、本装置の全体の厚みが大きくならないように配置されている。
遮音壁8の前方から放射された音波が遮音壁8によってその進行が遮られると、遮音壁8のエッジ部近傍の波動エネルギーは、エッジ部を新たな発音源のようにして裏側へ回折して回り込むため、エッジ部を騒音の発生源として、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0018】
実施例3
図4に基づいて本発明による実施例3を説明する。図4は、本発明による消音装置の実施例3の斜視図であり、実施例3は、新幹線パンタグラフカバーに応用シたものである。図1、図2と共通の部分は、同一符号を付してある。
9はパンタグラフ集電装置、10はパンタグラフカバー、11は車体の屋根上である。
図4は、本発明による消音装置の音波反射板1がパンタグラフカバー10の内壁面であり、音波干渉器2、音波導入口3、多孔質材料4、焦点5は、パンタグラフカバー10の内壁面となる音波反射板1と一体となった構造で車体の屋根上11上に設置されている。
新幹線は走行速度が高速になればなるほど走行車両から放射される空力音による騒音の割合が急激に大きくなる。とりわけパンタグラフ集電装置9から発生される騒音が騒音レベルを押し上げている主要な原因とされており、パンタグラフ集電装置9をパンタグラフカバー10で囲い遮音壁とすることによってパンタグラフ集電装置9によって発生される騒音の拡散を防止している。ここでパンタグラフカバー10内部へ放射された騒音のエネルギーを低減することができれば騒音の更なる低減化が可能となる。実施例3は、本発明による消音装置をパンタグラフカバー10に応用したものである。以下、その動作について図4に示した斜視図と共に説明する。
【0019】
パンタグラフ集電装置9によって放射される騒音はパンタグラフカバー10の上端エッジよりやや上方、中央部を中心として発生されるものとして、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0020】
実施例4
図5、図6、図7に基づいて本発明による実施例4を説明する。図5は、本発明による消音装置の実施例4の構成および作用を示す図、図6、図7は本発明による消音装置の実施例4の斜視図である。実施例4は、本装置をパーティション、および、壁面として用いたものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
図5は、図6、図7に示すようにパーティションや壁面に利用したもので、音波反射板1が隣り合わせに重ね合わされるように平たく並べられて壁面を構成している。音波干渉器2、音波導入口3は、壁面として全体の厚みが大きくならないように配置されている。図6のパーティションの外周には本発明による消音装置の実施例2の回折波消音器が取り付けられている。平たく並べられた1つ1つの音波反射板1の入射面の寸法は、入射される音波の波長や波面の広がりに対して十分に小さいと見ることができるから、騒音源6の大きさや位置、方向には関係なく音波反射板1に入射されるときの音波は平面波として扱うことができる。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0021】
実施例5
図8に基づいて本発明による実施例5を説明する。図8は、本発明による消音装置の実施例5の構成および作用を示す図である。実施例5は、本装置を走行車両騒音裏面吸収板として自動車の裏面に利用したものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
12はシャーシ、13はタイヤ、14は路面である。
図8は、本発明による消音装置が自動車のシャーシ12の表面に、音波反射板1が隣り合わせに重ね合わされるように平たく下向きに並べて取り付けられている。音波反射板1、音波干渉器2は、本装置の全体の厚みが大きくならないように配置されている。路面14とタイヤ13との接触面が騒音の発生源として、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0022】
実施例6
図9に基づいて本発明による実施例6を説明する。図9は、本発明による消音装置の実施例6の斜視図である。実施例6は、本装置を防音室に利用したものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
図9は、本発明による消音装置の音波反射板1が四方の壁面で囲まれた防音室の内壁面であり、音波干渉器2、音波導入口3、多孔質材料4、焦点5は、内壁面となる音波反射板1と一体となって設置されている。
騒音を発生する機械などを小さなパッケージに密閉したり小さな防音室に入れたりすると、騒音による内部音圧の上昇がある。機械の温度の上昇を防ぐための通気口や材料の出し入れ口が開放されている場合には、特に低い周波数の音の低減対策に苦慮することが多い。実施例6では、本発明による消音装置を防音室に利用したものである。以下、その動作について図9に示した斜視図と共に説明する。
【0023】
防音室の中央に設置された機械の各部が騒音の発生源であり、防音室の各壁面の直近から騒音が発生されるものとして、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0024】
実施例7
図10に基づいて本発明による実施例7を説明する。図10は、本発明による消音装置の実施例7の断面図である。実施例7は、本装置をスピーカエンクロージャーのバックキャビティに利用したものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
15は平面スピーカ、16はスピーカエンクロージャーである。
スピーカ15の周波数特性はスピーカエンクロージャー16の形状に依存し、周波数に対する振幅と位相の平坦特性を得ることは難しい。特にスピーカエンクロージャー16のバックキャビティが小さい場合はその傾向が著しくなる。平面スピーカ15が駆動されると平面振動板が振動して音波が放射されるが、音波は平面振動板の表面と裏面からほぼ等量のエネルギーで放射される。裏面に放射された音波はバックキャビティ内で音波としてのエネルギーが消耗されるが、音波エネルギーの消耗されきらなかった周波数帯域の音の成分は、平面振動板を透過して平面振動板の表面側へ漏れる。表面側へ透過して漏れた音の成分は、表面からつぎつぎに出力される音波と干渉することになるため、表面から出力された音の本来あるべき特性を乱すことになる。
実施例7では、本発明による消音装置をスピーカエンクロージャー16のバックキャビティに応用したものである。以下、その動作について図10に示した斜視図と共に説明する。
【0025】
平面スピーカ15の平面振動板の裏面から平面振動板の後方へ向けて平面波が出力されるため、平面振動板面を騒音の発生源として、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0026】
実施例8
図11に基づいて本発明による実施例8を説明する。図11は、本発明による消音装置の実施例8の構成および作用を示す図である。実施例8は、本装置を送風機騒音低減装置として利用したものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
17はダクト、18は遮へい板である。
図11は、本発明による消音装置の音波反射板1、音波干渉器2、音波導入口3、多孔質材料4がダクト17の外周に沿って設置されており、ダクト17の終端開口部の前方にやや間隔をあけて遮へい板18が設けられている。ダクト17の終端と遮へい板18とによって挟まれた部分が騒音の発生源として、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0027】
実施例9
図12に基づいて本発明による実施例9を説明する。図12は、本発明による消音装置の実施例9の構成および作用を示す図である。実施例9は、本装置をマフラーとして利用したものである。図1と共通の部分は、同一符号を付してある。
19はリアチューブ、20はテールチューブである。
図12は、本発明による消音装置がリアチューブ19とテールチューブ20との間に挿入されており、マフラーカバーが音波干渉器2である。リアチューブ19の終端開口部が騒音の発生源として、騒音源6を設定する。騒音源6より放射された音波は音波反射板1に入射される。音波反射板1の曲面の形状は、騒音源6から放射された音波が音波反射板1で反射され焦点5へ集束されるような音波の性状に合わせた形状である。
以下、音波反射板1に入射された音波が干渉によって音波の波動エネルギーが低減されるまでの各部の動作は、上述の実施例1の場合と同様である。
【0028】
なお、実施例9は、マフラーに設置された消音装置について説明したが、自動車道や鉄道などのトンネル内で発生する騒音の低減化のための消音装置であってもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、焦点を有する音波反射板と音波干渉器という比較的単純な装置の組み合わせで、低い周波数から高い周波数の音まで従来の消音方式では得られなかった消音の機能と効果が得られるため、遮音壁による道路や鉄道の交通騒音の低減化など、同じ効果を得るために必要とされる消音装置の部材の重量や容積などが大幅に節約できるようになり、そのために得られる経済効果は非常に大きいものとなる。
【0030】
また、本発明による消音装置は、騒音の発生する音場内に本装置を設置するだけで騒音の伝播エネルギーを効率よく低減することができるため、従来から有効な対応策の見出し得なかった工事騒音や機械騒音など、騒音の発生源を囲うことができないところでの騒音低減化対策として、あるいは、工場内天井や壁面、トンネル内壁面などの音波を反射する壁面の低騒音化のための部材としても利用することが可能である。
その他にも、本装置を有効に活用できる分野は広く、用途は多様である。
【0031】
本発明による消音装置は、実施例として空気中を伝播する騒音を音波として取り上げたが、水中における音波についても同様な作用と効果がある。
また、音波と光波、電波とは、それぞれ波長が著しく異なるが、反射、回折、干渉などの波動としての物理的振る舞いは、音波も、光波も、電波も全く同じと考えることができるため、目的に応じてそれぞれの物理的な特性に見合う装置を考案することによって、光波や電波についても音波と同様な機能を有する装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の構成および作用を示す図である。
【図2】実施例1を示す斜視図である。
【図3】実施例2の構成および作用を示す図である。
【図4】実施例3を示す斜視図である。
【図5】実施例4の構成および作用を示す図である。
【図6】実施例4を示す斜視図である。
【図7】実施例4を示す斜視図である。
【図8】実施例5の構成および作用を示す図である。
【図9】実施例6を示す斜視図である。
【図10】実施例7を示す断面図である。
【図11】実施例8の構成および作用を示す図である。
【図12】実施例9の構成および作用を示す図である。
【符号の説明】
1 音波反射板
2 音波干渉器
3 音波導入口
4 多孔質材料
5 焦点
6 騒音源
7 路面
8 遮音壁
9 パンタグラフ集電装置
10 パンタグラフカバー
11 車体の屋根上
12 シャーシ
13 タイヤ
14 路面
15 平面スピーカ
16 スピーカエンクロージャー
17 ダクト
18 遮へい板
19 リアチューブ
20 テールチューブ
Claims (2)
- 一定の方向へ進む騒音の伝播エネルギーを低減する消音装置において、焦点(5)を有する音波反射板(1)と、多孔質材料(4)が充填された音波干渉器(2)と、前記焦点(5)に集束された騒音を前記音波干渉器(2)へ導入する狭い開口の音波導入口(3)とを具備し、前記音波干渉器(2)内へ取り込まれた騒音の伝播性状を、該音波干渉器(2)の内壁面で多重反射をくり返させて該音波干渉器(2)内を伝播する騒音の伝播距離を拡張し、かつ、騒音の波動としての伝播方向を前記多孔質材料(4)で乱反射させて騒音の伝播の方向性をランダムとすることによって、大きな装置を用いることなく高域から低域までの広い周波数帯域の騒音の波動としての伝播エネルギーを低減し得るようにしたことを特徴とする消音装置。
- 上記音波干渉器(2)を構成する壁面の対向する面を互いに平行とならない変則的な反射面としたことを特徴とする請求項1記載の消音装置。
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