JP2708915B2 - ガス検出センサ - Google Patents

ガス検出センサ

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、被測定ガス中のガス成分及び/又はその濃
度を検出するガス検出センサに関する。
[従来の技術] 従来、この種のガス検出センサ、例えば酸素センサ
は、通常、第6図に示すように、センサ素子が形成され
たセラミックス基板P1と、金属製(SUS系)のハウジン
グP2とを有し、次のようにしてセラミックス基板P1をハ
ウジングP2内に固定している。
センサ出力を伝達するための白金リード線P3を有する
セラミックス基板P1は、この白金リード線P3と接続され
た銅あるいはステンレスなどの金属リード線P4ととも
に、ハウジングP2内に格納され、セラミックス基板P1,
白金リード線P3及び金属リード線P4の周囲を覆うように
耐熱性ガラス5が充填されている。
即ち、従来のセンサは、セラミックス基板P2,白金リ
ード線P3及び金属リード線P4の周囲をPbOを主成分とす
る耐熱性のガラスP5で覆って、白金リード線P3及び金属
リード線P4やセラミックス基板P1上の図示しない白金系
ペースト相互の絶縁、延いては正確なセンサ検出結果の
出力に不可欠な1MΩ以上の絶縁特性と気密性とを有する
ガラス層を備え、更にそのガラスP5と接触して金属製の
ハウジングP2が覆うという構成となっている(特開昭60
−211345号公報)。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記従来のガス検出センサでは下記の
ような問題があり未だ十分ではなかった。
即ち、この様な技術では、センサが高温で熱サイクル
を受けると、ハウジングP2に直に接しているガラスP5の
熱膨張係数がステンレス製のハウジングP2より約5×10
-6/℃程度小さいために、ガラスP5に大きな熱応力がか
かり、このガラスP5にクラックが発生する。このため、
排ガスの漏洩(リーク)が生じて、酸素センサの検出精
度が低下する。
又、上記したガラスP5は、PbOを約50重量%以上含有
しその融点が500℃からせいぜい650℃の非結晶質のガラ
スであるために、内燃機関の排気系における設置位置
が、燃焼室から離れた比較的排ガス温度の低い位置(上
記ガラスP5の温度が約400℃前後となる位置)に制限さ
れる。
従って、酸素センサを燃焼室の近傍に配置して燃焼直
後の排ガス中の酸素濃度を検出し、その検出結果を用い
て混合気の理論空燃比制御の精度を向上させようとして
も、このような位置に酸素センサを配置することによ
り、ハウジングP2内における上記ガラスP5の温度が約50
0℃以上の高温に達することになるため、ガラスの軟化
を招き、その絶縁抵抗が1MΩを大きく下回る。この結
果、ガラスP5に絶縁被覆された白金リード線P3及び金属
リード線P4やペースト相互の間に電流リークが発生し、
排ガス中の正確の酸素濃度等を得ることができず、上記
した空燃比制御の精度向上を図ることができないでい
る。
本発明は、上記課題を解決するためになされ、高温環
境下の使用に耐えうるガス検出センサを提供することを
目的とする。
発明の構成 [課題を解決するための手段] かかる目的を達成するために、本発明の採用した手段
は、 周囲のガス成分及び/又はそのガス濃度に応じて電気
的特性が変化するセンサ素子を有する基板と、 該センサ素子を被測定ガス中に配置可能に、該基板を
格納するハウジングとを有し、 該ハウジングにおける前記基板を、セラミックス材層
にて気密に固定したガス検出センサであって、 前記セラミックス材層は、 ZnO,B2O3,SiO2,MgOからなるガラス組成と、750℃〜90
0℃の結晶化温度と、前記ハウジングの熱膨張係数より
小さくその差が2〜3×10-6/℃以下の熱膨張係数とを
備えた結晶化ガラス層であること をその要旨とする。
ここで、上記結晶化ガラス層におけるガラス組成にお
けるZnO,B2O3,SiO2,MgO等の重量比はハウジング自身の
熱膨張係数にあわせて適宜決定すればよい。
又、上記結晶化温度で焼結した場合その熱膨張係数を
4.7×10-6〜5.3×10-6/℃と小さな値にすることが好ま
しい。この場合、ハウジングをアルミナ質から形成すれ
ば、上記結晶化ガラスの膨張係数をアルミナ質のハウジ
ングの熱膨張係数より2〜3×10-6/℃以下の範囲で小
さくすることができる。又、アルミナ質のハウジングで
あれば、耐熱性に優れるとともに結晶化ガラスに対する
なじみがよく、好適である。
更に、結晶化ガラス層にて基板を気密に固定する範囲
を、基板だけでなくセンサ素子の出力を伝達するための
リード線,電極線の周囲をも覆う程度とすると、クラッ
クが一層生じ難く好適である。
又、センサ素子としては、従来使用されている種々の
ものでよく、例えば、酸素ガス検出センサとするなら
ば、SnO2,TiO2等の遷移金属酸化物を用いたり、ZrO2
等の酸素イオン伝導性固体電解質体を用いればよい。こ
の際、出力特性を向上させるためにヒータを併用するこ
とも何等差し支えない。
[作用] 上記構成を有する本発明のガス検出センサは、ハウジ
ング内にセンサ素子を有する基板を格納し、この基板を
結晶化ガラス層にて気密に固定している。しかも、結晶
化ガラス層をなす結晶化ガラスは、ZnO,B2O3,SiO2,MgO
からなるガラス組成と、750℃〜900℃の結晶化温度と、
ハウジングの熱膨張係数より小さくその差が2〜3×10
-6/℃以下の熱膨張係数とを備えている。
従って、センサが高温の熱サイクルを受けた場合で
も、ハウジングより僅かに小さい熱膨張係数に基づい
て、結晶化ガラス層とハウジングとの伸縮を略等しくし
て結晶化ガラス層にかかる熱応力を緩和し、結晶化ガラ
ス層にクラックが生じることを防止する。
又、結晶化ガラス層を上記ガラス組成で高温で結晶化
させて形成するるので、高温環境下における絶縁抵抗を
大きな値のまま維持する。
この結果、結晶化ガラス層の温度が約500℃を越える
位置にガス検出センサを設置しても、基板を気密に固定
する結晶化ガラス層におけるクラックの発生及び絶縁性
の低下を回避し、ガス検出センサ出力を被測定ガス中の
ガス成分及び/又はそのガス濃度に応じて正確に得るこ
とができる。
[実施例] 次に、本発明に係るガス検出センサを内燃機関の排ガ
ス中の空燃比を検出する空燃比センサに適用した実施例
について、図面に基づき説明する。第1図は実施例の空
燃比センサの概要断面図である。尚、以下の説明に当た
っては、空燃比センサにおける空燃比検出素子,電極,
リード線等の構成は、周知のものであるとともに本発明
の要旨と直接関係無いので、その説明を省略する。
図示するように、空燃比センサ1は、ジルコニアーイ
ットリア系の空燃比検出素子板2、この検出素子板2に
アルミナ質のセメント3で接着・固定されたアルミナ質
のヒータ4、図示しない内燃機関に取り付けるための主
体金具6、主体金具6の下端に固定されたプロテクタ8
等を備え、次のようにして製造される。
先ず、筒状に成形したアルミナを1600℃で焼成して、
上記検出素子板2を格納する内筒14を焼結する。こうし
て焼結したアルミナ質の内筒14は、6〜8×10-6/℃の
熱膨張係数を有する。
次に、セメント3で接着した空燃比検出素子板2とヒ
ータ4とをアルミナ質の固定リング18に差込み、各々の
リード線20,22をスポット溶接にて対応する電極線20a,2
2aに接続する。そして、固定リング18とともに、内筒14
内に挿入する。そして、内筒14内の固定リング18の上に
滑石及び/又はアルミナとガラスからなる混合粉末を充
填した層25を形成する。尚、この層25を省略してもよ
い。
次いで、ZnO:60重量%,B2O3:25重量%,SiO2:10重量
%,MgO:5重量%の重量比で各組成物を調合し、約150μ
mの平均粒径に粉砕して得られたガラス組成粉末を、固
定リング18上面から各電極線20a,22a末端が埋没するま
で、内筒14内に充填し、約800℃×1時間焼成して、結
晶化ガラス層24を焼成する。この結晶化ガラス層24は、
内筒14の熱膨張係数(6〜8×10-6/℃)より小さい5
×10-6/℃の熱膨張係数を有する。尚、各成分の組成
は、種々調整可能であり、熱膨張係数を4.7×10-6〜5.3
×10-6/℃程度とするのであれば、例えばZnOを55〜65重
量%,B2O3を20〜30重量%,SiO2を5〜15重量%,MgOを2
〜8重量%とすればよい。もとより、この組成に限るも
のではなく、結晶化ガラス層24と内筒14の熱膨張係数の
差が、2〜3×10-6/℃以下の範囲となるような各成分
の調整は本発明に内包される。
次に、主体金具6内に、充填粉末(滑石に水ガラスを
数%加えた粉末)10,ステンレス性のリングスペーサ12
を介して、空燃比検出素子板2の格納済みの内筒14を気
密に組付ける。この際、主体金具6と内筒14のテーパ部
には、気密性を維持するために板パッキン23が配置され
る。また、主体金具6上端には、外筒16も同時に組付け
る。
こうして、排ガス中の空燃比を検出する空燃比検出素
子板2を内筒14内に、結晶化ガラス層24にて気密に固定
した空燃比センサ1ができあがる。尚、外筒16の上端開
口部には、図示しないゴム製のキャップ及び金属製保護
キャップが嵌合される。
次に、上記空燃比センサ1の高温環境下における絶縁
特性と気密特性について、説明する。
比較品としては、空燃比センサ1における結晶化ガラ
ス層24に替えてPbOを主成分とする耐熱性の非結晶質ガ
ラスを、また空燃比センサ1におけるアルミナ質の内筒
14に替えて11×10-6/℃の熱膨張係数のステンレス製の
内筒を使用し、上記非結晶質ガラスにて空燃比検出素子
板2を気密に固定した以下のセンサA,Bを用いた。
センサAは、PbOを70〜80重量%含有し、8.5×10-6/
℃の熱膨張係数と低融点(約500℃)の特性を有するガ
ラス層を備える。
センサBは、PbOを約60重量%含有し、7×10-6/℃の
熱膨張係数と中融点(約650℃)の特性を有するガラス
層を備える。
(実験1:絶縁特性の測定) 上記各センサを、第2図に示すように、ファン31,ヒ
ータ32を有する電気炉33の恒温室34内に入れ、各センサ
のガラス部温度と、各センサの電極線20a,22a間にDC50V
の電圧を印加して得られる抵抗値との関係を測定した。
その結果を第3図に示す。尚、各センサのガラス部温度
は、図示しない熱電対で測定した恒温室34内温度から換
算した。
第3図に示すように、センサAでは、その抵抗値は、
ガラス部温度が330℃以上となると、正確なセンサ検出
結果を出力するためや金属リード線等の相互の絶縁に不
可欠な絶縁抵抗値である1MΩを下回ってしまう。また、
センサBでは、絶縁抵抗値は、ガラス部温度が450℃以
上となると、1MΩを下回ってしまう。これに対して、実
施例のセンサでは、その抵抗値を、ガラス部温度が550
℃となるまで、1MΩ以上の抵抗値のまま維持することが
できる。
つまり、実施例の空燃比センサ1によれば、550℃ま
での高温環境下で、好適な絶縁特性を維持したまま使用
することができる。
(実験2:気密特性の測定) 各センサを第2図に示す電気炉33の恒温室34に入れて
高温環境下に置き、その後、第4図に示すように、15kg
/cm2の圧力を維持した圧力室41に主体金具6を介して取
り付け、センサ上端と水銀又は水を用いたU字管圧力計
42の一端とを配管43で連結した。この状態で、常温大気
圧における水銀柱又は水柱の推移を測定し、その結果
を、高温室内温度(450,500,600,650,700℃)と当該温
度の炉内でのセンサの処理時間との関係を示す第5図の
グラフに記入した。第5図のグラフ中に、各センサを識
別する記号の肩に符号*が付してあるものは、空気が圧
力室41からセンサを経てU字管圧力計42に流入し、1cc/
minの圧力差(センサからのエアリーク)が観察された
ことを示す。
第5図に示すように、センサA,Bとも、450℃の高温環
境下に200時間置かれても、センサからのエアリークは
観察されず、500℃の高温環境下に僅かな時間(0.5〜5
時間)置かれただけで、センサからのエアリークの発生
が観察されている。これに対して、実施例のセンサで
は、比較品のセンサより高温の600℃の高温環境下に500
時間置かれた場合や、650℃の高温環境下に50時間置か
れた場合でも、センサからのエアリークは観察されず、
700℃の高温環境下に0.5〜10時間置かれた場合に、初め
てセンサからのエアリークの発生が観察されている。
つまり、実施例の空燃比センサ1によれば、600℃ま
での高温環境下で長期間にわたり使用されても、結晶化
ガラス層24にクラックは発生せず、気密特性を好適なま
ま維持することができる。
これらの実験結果から、本実施例の空燃比センサ1に
よれば、従来のセンサの設置位置より排ガス温度が高い
位置にセンサの設置が可能となるので、焼焼直後の排ガ
ス中の空燃比を検出した結果を混合気の理論空燃比制御
のパラメータとして使用できる。このため、空燃比制御
の精度を一層向上させることができる。
しかも、ガラス部温度が500℃〜600℃と高温になる位
置に設置しても、空燃比検出素子板2を内筒14内に固定
する結晶化ガラス層24は高い絶縁性と気密性とを共に維
持しているので、空燃比の測定結果の信頼性の向上をも
たらすことができる。
更に、本実施例では、結晶化ガラス層24を各リード線
20,22のスポット溶接部のみならず各電極線の末端周辺
にまで生成したので、スポット溶接部の剥離回避やリー
ド線,電極線に強固に固定することができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、その要旨
を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る
ことは勿論である。
例えば、SnO2,TiO2等の遷移金属酸化物を検出素子に
用いた酸素センサに適用できることは勿論である。又、
空燃比検出素子板2を気密に固定する際に、上記した結
晶化ガラス層と滑石等からなる充填粉末層とを共に形成
するよう構成することもできる。
発明の効果 以上実施例を含めて詳述したように、本発明のガス検
出センサによれば、センサ素子を有する基板のハウジン
グへの固定を、ZnO,B2O3,SiO2,MgOからなるガラス組成
と、750℃〜900℃の結晶化温度と、前記ハウンジグの熱
膨張係数より小さくその差が2〜3×10-6/℃以下の熱
膨張係数とを備えた結晶化ガラス層により気密に行うの
で、この結晶化ガラス層の特性に基づいて、結晶化ガラ
ス層におけるクラックの発生及び絶縁抵抗値の1MΩ以下
への低下を回避して、高温環境下であっても高い気密性
と好適な絶縁特性を維持することができる。
この結果、ガス検出センサの高温環境位置への設置を
可能とし、従来得ることのできなかった高温被測定ガス
中のガス成分及び/又はそのガス濃度を得ることができ
る。また、高温環境下のセンサ出力の信頼性を向上させ
ることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例の空燃比センサの概略断面図、第2図は
センサの絶縁特性を測定する方法を説明するための説明
図、第3図は高温環境下における温度とセンサの電極線
間に所定の電圧を印加した場合に得られる抵抗値との関
係のグラフ、第4図はセンサの気密特性を測定する方法
を説明するための説明図、第5図はセンサからのエアリ
ークの有無を高温環境下におけるセンサの加熱処理時間
と温度との関係において測定したグラフ、第6図は従来
の酸素センサを一部破断して示す説明図である。 1……空燃比センサ、2……空燃比検出素子板 4……ヒータ、6……主体金具 14……内筒、23……板パッキン 24……結晶化ガラス層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周囲のガス成分及び/又はそのガス濃度に
    応じて電気的特性が変化するセンサ素子を有する基板
    と、 該センサ素子を被測定ガス中に配置可能に、該基板を格
    納するハウジングとを有し、 該ハウジングにおける前記基板を、セラミックス材層に
    て気密に固定したガス検出センサであって、 前記セラミックス材層は、 ZnO,B2O3,SiO2,MgOからなるガラス組成と、750℃〜900
    ℃の結晶化温度と、前記ハウジングの熱膨張係数より小
    さくその差が2〜3×10-6/℃以下の熱膨張係数とを備
    えた結晶化ガラス層であること を特徴とするガス検出センサ。
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