JP2702641B2 - イオン結合により架橋したカルボキシル基を含有する癒着防止用多糖類 - Google Patents
イオン結合により架橋したカルボキシル基を含有する癒着防止用多糖類Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、術後の癒着を防止する
方法に関する。癒着とは、術後の回復過程において生ず
る、隣接する体組織層間、あるいは隣接する組織と器官
の間での組織の好ましくない成長である。より詳しく
は、本発明は、外科手術により生じた傷における癒着の
発生とその程度を制御するため、イオン結合により架橋
したカルボキシル基を含有する癒着防止用多糖類を用い
る方法に関する。
方法に関する。癒着とは、術後の回復過程において生ず
る、隣接する体組織層間、あるいは隣接する組織と器官
の間での組織の好ましくない成長である。より詳しく
は、本発明は、外科手術により生じた傷における癒着の
発生とその程度を制御するため、イオン結合により架橋
したカルボキシル基を含有する癒着防止用多糖類を用い
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医学および科学の分野においては、この
十年間、カルボキシル基を含む多糖類およびその水溶性
の塩の使用が広く研究されてきた。例えば、米国特許第
4,141,973 号(バラーズ[Balazs])には、種々の治療目
的で非炎症性のヒアルロン酸(HA)の使用が発案され
ている。そして、その治療目的には、癒着の防止、皮膚
創傷の保護等の繊維組織の形成防止が含まれており、そ
の中でも最も成功した例は、眼炎の手術に対してHAを
使用するというものである。
十年間、カルボキシル基を含む多糖類およびその水溶性
の塩の使用が広く研究されてきた。例えば、米国特許第
4,141,973 号(バラーズ[Balazs])には、種々の治療目
的で非炎症性のヒアルロン酸(HA)の使用が発案され
ている。そして、その治療目的には、癒着の防止、皮膚
創傷の保護等の繊維組織の形成防止が含まれており、そ
の中でも最も成功した例は、眼炎の手術に対してHAを
使用するというものである。
【0003】術後の癒着防止あるいは抑制のためには、
体組織において受容可能な半減期を有する治療薬が必要
である。HAは、酸の形でも塩(ナトリウム塩、カリウ
ム塩等)の形でも、湿潤環境下においてよく溶解する。
そして、HAは溶解度が高いだけでなく、天然酵素の作
用もよく受けるため、体組織における半減期は非常に短
く、約1〜3日である。この短い半減期は、特定の手術
においては癒着防止に適しているが、他方長い半減期が
望ましい手術もある。
体組織において受容可能な半減期を有する治療薬が必要
である。HAは、酸の形でも塩(ナトリウム塩、カリウ
ム塩等)の形でも、湿潤環境下においてよく溶解する。
そして、HAは溶解度が高いだけでなく、天然酵素の作
用もよく受けるため、体組織における半減期は非常に短
く、約1〜3日である。この短い半減期は、特定の手術
においては癒着防止に適しているが、他方長い半減期が
望ましい手術もある。
【0004】そこで、これまでのところ、HAや他のカ
ルボキシル基を含有する多糖類について、その治療効
果、特に癒着防止効果を犠牲にすることなく、その半減
期を延ばそうとする努力が続けられている。例えば、米
国特許第4,772,419 号には、多官能基性で、エーテル結
合、エステル結合、アミド結合等を形成させる架橋剤で
架橋させたHAが紹介されているが、この共有結合によ
り架橋したHAはゲルを形成し、このゲルは特に癒着や
組織の増殖防止に効果があると記載されている。またP
CT出願WO89/02445は、HAを多種類の活性化剤と反
応させることにより得た、共有結合の架橋部分を含む、
非水溶性のHA誘導体を紹介している。さらに、PCT
出願WO86/00912は、癒着や組織の増殖を防止する分解
性のゲルを生成する多官能性のエポキシドで架橋させ
た、架橋HAまたは他の架橋カルボキシル基含有多糖類
を紹介している。
ルボキシル基を含有する多糖類について、その治療効
果、特に癒着防止効果を犠牲にすることなく、その半減
期を延ばそうとする努力が続けられている。例えば、米
国特許第4,772,419 号には、多官能基性で、エーテル結
合、エステル結合、アミド結合等を形成させる架橋剤で
架橋させたHAが紹介されているが、この共有結合によ
り架橋したHAはゲルを形成し、このゲルは特に癒着や
組織の増殖防止に効果があると記載されている。またP
CT出願WO89/02445は、HAを多種類の活性化剤と反
応させることにより得た、共有結合の架橋部分を含む、
非水溶性のHA誘導体を紹介している。さらに、PCT
出願WO86/00912は、癒着や組織の増殖を防止する分解
性のゲルを生成する多官能性のエポキシドで架橋させ
た、架橋HAまたは他の架橋カルボキシル基含有多糖類
を紹介している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、所望の多糖
類を共有結合によって架橋させることにより、HAや他
のカルボキシル基含有多糖類の半減期を長くしようとい
う試みは一定の成功を収めたが、共有結合形成用架橋剤
の生体との相容性や毒性についてはあまり知られていな
い。さらに、これら多糖類の癒着発生を抑止する程度
は、何も架橋していないHAに比べれば幾分よいもの
の、まだ多くの手術において十分とは言えない。そこ
で、これら従来技術の欠陥に鑑み、体組織に対して生体
相容性を有し、かつこれまでに述べた非架橋もしくは共
有結合により架橋したカルボキシル基含有多糖類よりも
癒着の防止・抑制に高い効果を示す、カルボキシル基含
有多糖類誘導体の開発が求められている。
類を共有結合によって架橋させることにより、HAや他
のカルボキシル基含有多糖類の半減期を長くしようとい
う試みは一定の成功を収めたが、共有結合形成用架橋剤
の生体との相容性や毒性についてはあまり知られていな
い。さらに、これら多糖類の癒着発生を抑止する程度
は、何も架橋していないHAに比べれば幾分よいもの
の、まだ多くの手術において十分とは言えない。そこ
で、これら従来技術の欠陥に鑑み、体組織に対して生体
相容性を有し、かつこれまでに述べた非架橋もしくは共
有結合により架橋したカルボキシル基含有多糖類よりも
癒着の防止・抑制に高い効果を示す、カルボキシル基含
有多糖類誘導体の開発が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、術
後の癒着発生を抑制する方法であり、癒着防止剤として
イオン結合により架橋したカルボキシル基を含有する多
糖類もしくはその薬理学的に受容可能な塩の有効量を手
術部位に局所的に適用する工程を備える。
後の癒着発生を抑制する方法であり、癒着防止剤として
イオン結合により架橋したカルボキシル基を含有する多
糖類もしくはその薬理学的に受容可能な塩の有効量を手
術部位に局所的に適用する工程を備える。
【0007】本発明の好ましい態様における癒着防止剤
は、何も架橋していない多糖類より長い半減期を有し、
共有結合によって架橋した多糖類よりも生体相容性に富
む。また、この癒着防止剤は、外科部位に局所的に適用
されたとき、何も架橋していない多糖類あるいは共有結
合によって架橋した多糖類に比べ、術後癒着の発生を抑
制する顕著な効果を示す。さらに、この癒着防止剤の形
成に使われる架橋剤は、生体相容性で、体組織に対して
毒性がない。
は、何も架橋していない多糖類より長い半減期を有し、
共有結合によって架橋した多糖類よりも生体相容性に富
む。また、この癒着防止剤は、外科部位に局所的に適用
されたとき、何も架橋していない多糖類あるいは共有結
合によって架橋した多糖類に比べ、術後癒着の発生を抑
制する顕著な効果を示す。さらに、この癒着防止剤の形
成に使われる架橋剤は、生体相容性で、体組織に対して
毒性がない。
【0008】本発明の方法は、術後癒着を抑制する必要
のある手術や、眼治療、整形外科等直接、間接にそのよ
うな癒着抑制の利益がある分野において用いられる。本
発明のイオン結合で架橋したカルボキシル基含有多糖類
は、創傷治癒剤、抗生物質等医薬品の製造過程において
も有用である。
のある手術や、眼治療、整形外科等直接、間接にそのよ
うな癒着抑制の利益がある分野において用いられる。本
発明のイオン結合で架橋したカルボキシル基含有多糖類
は、創傷治癒剤、抗生物質等医薬品の製造過程において
も有用である。
【0009】
【実施例】本発明において、カルボキシル基含有多糖類
とは、少なくとも一個のカルボキシル基を含有する多糖
類をいう。そして、この多糖類は、最初からカルボキシ
ル基を含有したものを用いてもよいし、カルボキシル基
を含む誘導体を生成してから用いてもよい。このような
カルボキシル基含有多糖類の例としては、カルボキシメ
チルセルロース、カルボキシメチルキチン、カルボキシ
メチルキトーサン、カルボキシメチルデンプン、アルギ
ン酸、ペクチン、カルボキシメチルデキストラン、例え
ばヘパリン、硫酸ヘパリン、硫酸コントロイチン、HA
などのグルコースアミノグリカンがあるが、もちろんこ
れに限定されるものではない。中でも特に好ましいの
は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキ
チンおよびHAである。
とは、少なくとも一個のカルボキシル基を含有する多糖
類をいう。そして、この多糖類は、最初からカルボキシ
ル基を含有したものを用いてもよいし、カルボキシル基
を含む誘導体を生成してから用いてもよい。このような
カルボキシル基含有多糖類の例としては、カルボキシメ
チルセルロース、カルボキシメチルキチン、カルボキシ
メチルキトーサン、カルボキシメチルデンプン、アルギ
ン酸、ペクチン、カルボキシメチルデキストラン、例え
ばヘパリン、硫酸ヘパリン、硫酸コントロイチン、HA
などのグルコースアミノグリカンがあるが、もちろんこ
れに限定されるものではない。中でも特に好ましいの
は、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキ
チンおよびHAである。
【0010】これらのカルボキシル基含有多糖類を癒着
防止剤として用いるときは、遊離酸の形、あるいは薬理
学的に受容可能な塩の形で用いる。この薬理学的に受容
可能な塩として好ましいのは、アルカリ金属塩あるいは
アルカリ土類金属塩である。そして、癒着防止剤は、こ
のカルボキシル基含有多糖類の薬理学的に受容可能な塩
を用いるのが好ましい。そこで、最も好ましい癒着防止
剤は、ヒアルロン酸ナトリウムということになる。
防止剤として用いるときは、遊離酸の形、あるいは薬理
学的に受容可能な塩の形で用いる。この薬理学的に受容
可能な塩として好ましいのは、アルカリ金属塩あるいは
アルカリ土類金属塩である。そして、癒着防止剤は、こ
のカルボキシル基含有多糖類の薬理学的に受容可能な塩
を用いるのが好ましい。そこで、最も好ましい癒着防止
剤は、ヒアルロン酸ナトリウムということになる。
【0011】癒着防止剤に使用できるカルボキシル基含
有多糖類は、例えば米国特許第4,517,295 号や同第4,14
1,973 号、またステルザー、クルグ「水溶性ガムおよび
樹脂ハンドブック」(Stelzer & Klug,"Handbook of Wat
er Soluble Gums and Resins")第4章(マグロウヒル、
1980年)に記されているような公知の化合物でよ
い。最も好ましいカルボキシル基含有多糖類、すなわち
HAの調製方法は、前述のバラーズの特許に説明されて
おり、この特許では雄鶏のトサカからHAを抽出する方
法を詳述している。また先の米国特許第4,517,295 号で
は、発酵によるHAの調製方法が記載されている。な
お、癒着防止剤の製造に使用されるHAは、高純度(医
用グレード)のものでなければならない。
有多糖類は、例えば米国特許第4,517,295 号や同第4,14
1,973 号、またステルザー、クルグ「水溶性ガムおよび
樹脂ハンドブック」(Stelzer & Klug,"Handbook of Wat
er Soluble Gums and Resins")第4章(マグロウヒル、
1980年)に記されているような公知の化合物でよ
い。最も好ましいカルボキシル基含有多糖類、すなわち
HAの調製方法は、前述のバラーズの特許に説明されて
おり、この特許では雄鶏のトサカからHAを抽出する方
法を詳述している。また先の米国特許第4,517,295 号で
は、発酵によるHAの調製方法が記載されている。な
お、癒着防止剤の製造に使用されるHAは、高純度(医
用グレード)のものでなければならない。
【0012】カルボキシル基含有多糖類をイオン結合に
より架橋させる架橋剤としては、多価のカチオン、好ま
しくは塩化第二鉄、塩化アンモニウム、硫酸クロム、硫
酸アルミニウム等三価のカチオンを有する化合物がよ
い。最も好ましい架橋剤は、低毒性および生体相容性の
観点から、塩化第二鉄である。
より架橋させる架橋剤としては、多価のカチオン、好ま
しくは塩化第二鉄、塩化アンモニウム、硫酸クロム、硫
酸アルミニウム等三価のカチオンを有する化合物がよ
い。最も好ましい架橋剤は、低毒性および生体相容性の
観点から、塩化第二鉄である。
【0013】架橋反応は、典型的には、カルボキシル基
含有多糖類の少なくとも0.5重量%水溶液に多価カチ
オンの水溶液を加えると、この添加とほぼ同時に起こ
る。反応混合物中における多価カチオンの濃度は、多糖
類中のカルボキシル基の少なくとも10%を架橋させる
に十分なものであればよい。反応後は、たいていの場
合、pHはほぼ中性にするのが望ましい。しかし、多価
カチオンを添加したときのHAの沈殿を防ぐためには、
多糖類溶液のpHを前もって酸性に調整しておく必要が
ある。このpH調整は、架橋剤として塩化第二鉄を使用
したときなど、強いイオン結合が形成されるときに必要
となる。
含有多糖類の少なくとも0.5重量%水溶液に多価カチ
オンの水溶液を加えると、この添加とほぼ同時に起こ
る。反応混合物中における多価カチオンの濃度は、多糖
類中のカルボキシル基の少なくとも10%を架橋させる
に十分なものであればよい。反応後は、たいていの場
合、pHはほぼ中性にするのが望ましい。しかし、多価
カチオンを添加したときのHAの沈殿を防ぐためには、
多糖類溶液のpHを前もって酸性に調整しておく必要が
ある。このpH調整は、架橋剤として塩化第二鉄を使用
したときなど、強いイオン結合が形成されるときに必要
となる。
【0014】架橋反応は、多糖類のアニオン部分である
カルボキシル基との間で起こる。ずなわち、このアニオ
ン部分が多価カチオンとイオン結合する。このイオン結
合により架橋した多糖類は、本発明において使用される
癒着防止剤となるが、この多糖類は、生理食塩水等イオ
ン性の媒体中でそれとは別個のイオン種に徐々に解離す
る。
カルボキシル基との間で起こる。ずなわち、このアニオ
ン部分が多価カチオンとイオン結合する。このイオン結
合により架橋した多糖類は、本発明において使用される
癒着防止剤となるが、この多糖類は、生理食塩水等イオ
ン性の媒体中でそれとは別個のイオン種に徐々に解離す
る。
【0015】癒着防止剤の粘度は、溶液中での多糖類の
濃度を変えたり、架橋の程度を調節する多価カチオンの
濃度を変化させることにより、調整することができる。
癒着防止剤は、比較的高い粘度のゲルの形態をとること
もできるし、また低粘度の溶液とすることもできる。し
かし癒着防止剤は、その粘度がいかなるものであろうと
も、その架橋構造のため、非架橋性の多糖類よりは長い
半減期を示す。
濃度を変えたり、架橋の程度を調節する多価カチオンの
濃度を変化させることにより、調整することができる。
癒着防止剤は、比較的高い粘度のゲルの形態をとること
もできるし、また低粘度の溶液とすることもできる。し
かし癒着防止剤は、その粘度がいかなるものであろうと
も、その架橋構造のため、非架橋性の多糖類よりは長い
半減期を示す。
【0016】本明細書においては、癒着防止剤の局所的
適用とは、処置されるべき体組織の表面に癒着防止剤を
投与することを指す。「外科手術部位(site of surgica
l trauma)」という語は、何らかの形で創傷を負った体
組織、例えば、切開、乾燥、縫合、切除、擦過傷、挫
傷、裂傷、吻合、手技、補てつ手術、キューレット、整
形外科手術、神経外科手術、心臓血管手術、あるいは可
塑性もしくは再形成手術などを経た体組織を指す。また
この語は、創傷を負った組織に隣接する組織をも含む。
適用とは、処置されるべき体組織の表面に癒着防止剤を
投与することを指す。「外科手術部位(site of surgica
l trauma)」という語は、何らかの形で創傷を負った体
組織、例えば、切開、乾燥、縫合、切除、擦過傷、挫
傷、裂傷、吻合、手技、補てつ手術、キューレット、整
形外科手術、神経外科手術、心臓血管手術、あるいは可
塑性もしくは再形成手術などを経た体組織を指す。また
この語は、創傷を負った組織に隣接する組織をも含む。
【0017】本発明の方法は、手術後に好ましくない癒
着が形成されやすいいかなる動物においても、術後癒着
の防止に用いることができる。そして、有利なことに、
本発明の方法は、哺乳動物、特に人間において癒着の成
長を防止するのに用いることができる。
着が形成されやすいいかなる動物においても、術後癒着
の防止に用いることができる。そして、有利なことに、
本発明の方法は、哺乳動物、特に人間において癒着の成
長を防止するのに用いることができる。
【0018】本発明の方法は、術後癒着の防止が望まれ
るいかなる手術においても使用することができる。よっ
て、この方法は、癒着の形成が望ましくないあらゆる種
類の手術において広範に使用できる。例えば、本発明
は、腹部手術、婦人科手術、胸部手術、腱や靱帯に係る
整形外科手術、硬膜に係る神経科手術、肝臓の手術等に
有用である。
るいかなる手術においても使用することができる。よっ
て、この方法は、癒着の形成が望ましくないあらゆる種
類の手術において広範に使用できる。例えば、本発明
は、腹部手術、婦人科手術、胸部手術、腱や靱帯に係る
整形外科手術、硬膜に係る神経科手術、肝臓の手術等に
有用である。
【0019】癒着防止剤は、洗浄の形態で適用したり、
あるいはゲル、クリーム、膜、泡等の形態でその外科手
術部位に直接塗布するなど、都合のよい方法で外科手術
部位に適用される。好ましくは、本発明においては、癒
着防止剤は、注射器で外科手術部位に直接注射するのが
よい。
あるいはゲル、クリーム、膜、泡等の形態でその外科手
術部位に直接塗布するなど、都合のよい方法で外科手術
部位に適用される。好ましくは、本発明においては、癒
着防止剤は、注射器で外科手術部位に直接注射するのが
よい。
【0020】癒着防止剤の投与は、創傷の治癒が進捗す
る前のいかなる時期にも行うことができる。好ましく、
また非常に都合のよいのは、癒着防止剤を、手術の最
中、または創傷を縫合する直前の手術の終了時に投与す
ることである。しかし、場合によっては、手術中連続的
に投与する方が望ましいこともある。
る前のいかなる時期にも行うことができる。好ましく、
また非常に都合のよいのは、癒着防止剤を、手術の最
中、または創傷を縫合する直前の手術の終了時に投与す
ることである。しかし、場合によっては、手術中連続的
に投与する方が望ましいこともある。
【0021】外科手術部位に局所的に投与される癒着防
止剤の「有効量」とは、術後癒着の生起を減少させるの
に必要な量をいう。投与量は、種々の要因に左右される
が、最も影響するのは、外科手術部位の表面積である。
癒着防止剤の投与量は、露出した外科創傷部位の全体を
被覆する量であるのが好ましいが、必要ならば、その外
科創傷部位に隣接する体組織の露出表面をも被覆するも
のであってよい。そのような有効量は、経験により容易
に決定することができる。
止剤の「有効量」とは、術後癒着の生起を減少させるの
に必要な量をいう。投与量は、種々の要因に左右される
が、最も影響するのは、外科手術部位の表面積である。
癒着防止剤の投与量は、露出した外科創傷部位の全体を
被覆する量であるのが好ましいが、必要ならば、その外
科創傷部位に隣接する体組織の露出表面をも被覆するも
のであってよい。そのような有効量は、経験により容易
に決定することができる。
【0022】本発明で使用される癒着防止剤は、癒着防
止補助ための担体としても使用できる。例えば、本発明
に係る癒着防止剤は、他の公知の癒着防止剤、例えばト
ルメチンや、米国特許第4,937,254 号に開示された非ス
テロイド系抗炎症薬(NAIDS)、あるいは欧州特許
第297860号の組織プラスミノゲン活性剤(tPA)等の
担体としても使用できる。このように他の癒着防止剤と
組合せると、例えばトルメチンと本発明に係る癒着防止
剤との間で相乗効果が起こり、癒着防止剤を単独で用い
るよりもその効果を顕著に増大させることがある。ま
た、本発明に係る癒着防止剤は、単に癒着を抑制するだ
けでなく、抗生物質、成長因子や他の薬物等の治療薬の
担体としても用いることができる。
止補助ための担体としても使用できる。例えば、本発明
に係る癒着防止剤は、他の公知の癒着防止剤、例えばト
ルメチンや、米国特許第4,937,254 号に開示された非ス
テロイド系抗炎症薬(NAIDS)、あるいは欧州特許
第297860号の組織プラスミノゲン活性剤(tPA)等の
担体としても使用できる。このように他の癒着防止剤と
組合せると、例えばトルメチンと本発明に係る癒着防止
剤との間で相乗効果が起こり、癒着防止剤を単独で用い
るよりもその効果を顕著に増大させることがある。ま
た、本発明に係る癒着防止剤は、単に癒着を抑制するだ
けでなく、抗生物質、成長因子や他の薬物等の治療薬の
担体としても用いることができる。
【0023】以下の実施例は、本発明を説明するための
ものであって、本発明をこれに限定する意味で記載する
のではない。
ものであって、本発明をこれに限定する意味で記載する
のではない。
【0024】
<実施例1> [イオン結合により高い割合で架橋させたHAゲル癒着
防止剤] (a)ゲルの調製 平均分子量約60万のヒアルロン酸ナトリウム0.63
4gを注射のため、ガラスビーカー中の水39.36g
に溶解した。そして、均一な水溶液が得られたら、1N
の塩酸1.2mlを、pH調節用として、撹拌しながら加
えた。ついで、1.5%の塩化第二鉄溶液5.2mlを撹
拌しながら加えた。最後に中性に近いpHの均一なゲル
が得られるまで、1.7Nの水酸化アンモニウム2.493m
l を撹拌しながら加えた。得られたゲルの粘度は、約8
8,600cps であった。
防止剤] (a)ゲルの調製 平均分子量約60万のヒアルロン酸ナトリウム0.63
4gを注射のため、ガラスビーカー中の水39.36g
に溶解した。そして、均一な水溶液が得られたら、1N
の塩酸1.2mlを、pH調節用として、撹拌しながら加
えた。ついで、1.5%の塩化第二鉄溶液5.2mlを撹
拌しながら加えた。最後に中性に近いpHの均一なゲル
が得られるまで、1.7Nの水酸化アンモニウム2.493m
l を撹拌しながら加えた。得られたゲルの粘度は、約8
8,600cps であった。
【0025】(b)試験のプロトコルと癒着防止剤の効
果 この試験においてはロングエバンズ・ラット(体重はそ
れぞれ約250g)を用いた。これらのラットは、腹腔
内にケタミン(体重1kg当り60mg)とキシラジン(体
重1kg当り10mg)を適用して麻酔を行った。そして、
癒着を促進するため、盲腸を取り出し、点状の出血が生
じるまでゲージで擦り、擦過傷をつくった。さらに、腹
膜の一層とこれと垂直方向の腹筋をステンレススチール
製の生検(バイオプシー)用パンチで取り出すことによ
り、腹壁の各側にそれぞれ長さ8mmの傷を3個つくっ
た。また肝臓の露出表面を、殺菌した消毒綿棒の端(木
製)で擦り、擦過傷をつくった。そして6匹のラット
に、上記(a)で調製した塩化第二鉄で架橋させたHA
ゲルを投与した。この投与は、架橋したHAゲル3ml
を、上述の擦過傷をつくった盲腸、生検用パンチで傷を
つくった部位および肝臓に対し、切開部の縫合時に行っ
た。
果 この試験においてはロングエバンズ・ラット(体重はそ
れぞれ約250g)を用いた。これらのラットは、腹腔
内にケタミン(体重1kg当り60mg)とキシラジン(体
重1kg当り10mg)を適用して麻酔を行った。そして、
癒着を促進するため、盲腸を取り出し、点状の出血が生
じるまでゲージで擦り、擦過傷をつくった。さらに、腹
膜の一層とこれと垂直方向の腹筋をステンレススチール
製の生検(バイオプシー)用パンチで取り出すことによ
り、腹壁の各側にそれぞれ長さ8mmの傷を3個つくっ
た。また肝臓の露出表面を、殺菌した消毒綿棒の端(木
製)で擦り、擦過傷をつくった。そして6匹のラット
に、上記(a)で調製した塩化第二鉄で架橋させたHA
ゲルを投与した。この投与は、架橋したHAゲル3ml
を、上述の擦過傷をつくった盲腸、生検用パンチで傷を
つくった部位および肝臓に対し、切開部の縫合時に行っ
た。
【0026】また、他の6匹のラットについては、何ら
癒着防止の処置は行わず、対照用とした。さらに他の6
匹のラットについては、多官能基アジリジン架橋剤CX-1
00(ICI樹脂・アメリカ製)で共有結合により架橋さ
せたHAの乳濁した多孔性の泡を投与した。この場合
は、共有結合により架橋したHAの直径6cmの泡を細か
くし、擦過傷をつくった肝臓を被覆した。そして、泡が
消失するまで生理食塩水をこの泡にかけた。
癒着防止の処置は行わず、対照用とした。さらに他の6
匹のラットについては、多官能基アジリジン架橋剤CX-1
00(ICI樹脂・アメリカ製)で共有結合により架橋さ
せたHAの乳濁した多孔性の泡を投与した。この場合
は、共有結合により架橋したHAの直径6cmの泡を細か
くし、擦過傷をつくった肝臓を被覆した。そして、泡が
消失するまで生理食塩水をこの泡にかけた。
【0027】手術から7日後、これらのラットは二酸化
炭素を吸入させて死に至らしめ、傷の部位について癒着
の程度を見た。すなわち、癒着部位の数と、肝臓の癒着
を起こした面積を測定・記録した。肝臓の3つの部位に
おける癒着の程度は、最も癒着の程度が大きかったとき
を18の最大スコアとする評価法において、0〜6の評
価スコアとなった。そして、3つの肝臓部位におけるス
コアにより、実験結果を統計的に解析した。実験結果を
次の表1にまとめる。
炭素を吸入させて死に至らしめ、傷の部位について癒着
の程度を見た。すなわち、癒着部位の数と、肝臓の癒着
を起こした面積を測定・記録した。肝臓の3つの部位に
おける癒着の程度は、最も癒着の程度が大きかったとき
を18の最大スコアとする評価法において、0〜6の評
価スコアとなった。そして、3つの肝臓部位におけるス
コアにより、実験結果を統計的に解析した。実験結果を
次の表1にまとめる。
【0028】
【表1】
【0029】表1は、イオン結合により架橋させたHA
ゲルは、何ら癒着防止処置をしない対照用グループおよ
び共有結合により架橋させたHA癒着防止剤を適用した
グループに比べ、盲腸および、肝臓の各葉の間において
癒着の程度を著しく低下させることを示している。
ゲルは、何ら癒着防止処置をしない対照用グループおよ
び共有結合により架橋させたHA癒着防止剤を適用した
グループに比べ、盲腸および、肝臓の各葉の間において
癒着の程度を著しく低下させることを示している。
【0030】<実施例2> [イオン結合により低い割合で架橋させたHAゲル癒着
防止剤]実施例1のイオン結合により架橋したHAゲル
を調製する手順、およびその試験プロトコルを、本実施
例における、イオン結合により低い割合で架橋させたH
Aゲル癒着防止剤の調製とその効果の評価においても、
実質的に踏襲した。ただし、異なる点は、次の通りであ
る。 (a)架橋の割合を低下させるため、塩化第二鉄の溶液
量を半分にした。すなわち、添加する1.5%塩化第二
鉄溶液は2.6mlとした。その結果、得られたゲルの粘
度は、約60,200cps となった。
防止剤]実施例1のイオン結合により架橋したHAゲル
を調製する手順、およびその試験プロトコルを、本実施
例における、イオン結合により低い割合で架橋させたH
Aゲル癒着防止剤の調製とその効果の評価においても、
実質的に踏襲した。ただし、異なる点は、次の通りであ
る。 (a)架橋の割合を低下させるため、塩化第二鉄の溶液
量を半分にした。すなわち、添加する1.5%塩化第二
鉄溶液は2.6mlとした。その結果、得られたゲルの粘
度は、約60,200cps となった。
【0031】(b)癒着防止の効果は、多官能基アジリ
ジン架橋剤の代わりに1,4−ブタンジオールジグリシ
ジルエーテルで共有結合により架橋させた、乳濁した多
孔性泡状HAとの間で比較した。 (c)癒着防止の効果は、さらに粘度約93,800cps の非
架橋ヒアルロン酸ナトリウムの生理食塩水溶液との間で
も比較した。実験結果を次の表2に示す。
ジン架橋剤の代わりに1,4−ブタンジオールジグリシ
ジルエーテルで共有結合により架橋させた、乳濁した多
孔性泡状HAとの間で比較した。 (c)癒着防止の効果は、さらに粘度約93,800cps の非
架橋ヒアルロン酸ナトリウムの生理食塩水溶液との間で
も比較した。実験結果を次の表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2は、イオン結合により架橋させたHA
ゲルは、何ら癒着防止処置をしない対照用グループ、非
架橋のHA癒着防止剤を適用したグループ、および共有
結合により架橋させたHA癒着防止剤を適用したグルー
プに比べ、盲腸および、肝臓の各葉の間において癒着の
程度を著しく低下させることを示している。
ゲルは、何ら癒着防止処置をしない対照用グループ、非
架橋のHA癒着防止剤を適用したグループ、および共有
結合により架橋させたHA癒着防止剤を適用したグルー
プに比べ、盲腸および、肝臓の各葉の間において癒着の
程度を著しく低下させることを示している。
【0034】<実施例3> [塩化アルミニウムで架橋させたHAゲル癒着防止剤] (a)ゲルの調製 ヒアルロン酸ナトリウム1.917gを、注射のため、
ガラスビーカー中の水118.1gに溶解した。そし
て、均一な水溶液が得られたら、5%の塩化アルミニウ
ム六水和物溶液7.2mlを撹拌しながら加えた。最後に
中性に近いpHの均一なゲルが得られるまで、1.7N
の水酸化アンモニウム2.2mlを撹拌しながら加えた。
ガラスビーカー中の水118.1gに溶解した。そし
て、均一な水溶液が得られたら、5%の塩化アルミニウ
ム六水和物溶液7.2mlを撹拌しながら加えた。最後に
中性に近いpHの均一なゲルが得られるまで、1.7N
の水酸化アンモニウム2.2mlを撹拌しながら加えた。
【0035】(b)試験のプロトコルと癒着防止剤の効
果 生殖齢に達した雌のニュージーランド・ホワイトウサギ
(体重はそれぞれ約3.0〜3.5kg)について、腹部
に癒着を起こすよう、子宮角に手術を行った。この手術
は、腹部を中心線に沿って切開して両子宮角へ傷をつ
け、さらに架橋HAゲルを投与してから切開部をふさ
ぐ。この試験においては、20匹のウサギを10匹づつ
2つのグループに分けた。一つは対照用で、切開部の縫
合前に何も癒着防止処置を行わず、もう一つのグループ
は、前述の塩化アルミニウムで架橋させたHAを投与し
て癒着防止処置を施した。HAの投与は、前述の(a)
において調製したHAゲル10mlを、切開部の縫合前
に、癒着の発生が予想される子宮箇所すべてに直接付着
させた。術後7日目に、これらのウサギは死に至らし
め、さらに癒着の程度を評価するため第二の処置を行っ
た。癒着の程度は、0(癒着なし)から4(重大な癒
着)までの間で0.5きざみの評価点を使って評価し
た。実験結果を次の表3にまとめる。
果 生殖齢に達した雌のニュージーランド・ホワイトウサギ
(体重はそれぞれ約3.0〜3.5kg)について、腹部
に癒着を起こすよう、子宮角に手術を行った。この手術
は、腹部を中心線に沿って切開して両子宮角へ傷をつ
け、さらに架橋HAゲルを投与してから切開部をふさ
ぐ。この試験においては、20匹のウサギを10匹づつ
2つのグループに分けた。一つは対照用で、切開部の縫
合前に何も癒着防止処置を行わず、もう一つのグループ
は、前述の塩化アルミニウムで架橋させたHAを投与し
て癒着防止処置を施した。HAの投与は、前述の(a)
において調製したHAゲル10mlを、切開部の縫合前
に、癒着の発生が予想される子宮箇所すべてに直接付着
させた。術後7日目に、これらのウサギは死に至らし
め、さらに癒着の程度を評価するため第二の処置を行っ
た。癒着の程度は、0(癒着なし)から4(重大な癒
着)までの間で0.5きざみの評価点を使って評価し
た。実験結果を次の表3にまとめる。
【0036】
【表3】
【0037】表3は、塩化アルミニウムにより架橋させ
たHAゲルを癒着防止剤として用いると、術後癒着の発
生が著しく抑制されることを示している。
たHAゲルを癒着防止剤として用いると、術後癒着の発
生が著しく抑制されることを示している。
【0038】<実施例4> [体組織反応とイオン結合により架橋したHAゲルの半
減期]先の実施例2で調製した塩化第二鉄で架橋させた
HAゲル(これを「テストケース」とする)と、ヒアル
ロン酸ナトリウム溶液(これを「対照ケース」とする)
をそれぞれラットの腹部皮下組織に注射し、1日後、3
日後、7日後および14日後(各日につき4匹を観察す
る)に体組織の反応と癒着防止剤の吸収特性を調べた。
減期]先の実施例2で調製した塩化第二鉄で架橋させた
HAゲル(これを「テストケース」とする)と、ヒアル
ロン酸ナトリウム溶液(これを「対照ケース」とする)
をそれぞれラットの腹部皮下組織に注射し、1日後、3
日後、7日後および14日後(各日につき4匹を観察す
る)に体組織の反応と癒着防止剤の吸収特性を調べた。
【0039】各ラットは、2箇所のテスト部位と2箇所
の対照部位にそれぞれ癒着防止剤を0.5ccづつ注射し
た。10%のホルマリンもしくは、0.1Mのリン酸塩
緩衝液において3%のホルムアルデヒド、0.5%の塩
化セチルピリジニウムおよび30mMの塩化ナトリウムを
含む固定剤で、体組織への固定を行った。そのうち後者
の固定剤は、グルコサミノグルカンと不溶性の錯体を形
成する(「組織化学・細胞化学ジャーナル(Journal of
Histochemistry and Cytochemistry) 」33,第106
0〜1066頁(1985年)参照)。アルシアンブル
ーで染色した組織部位には、よりHAを識別しやすくす
るため、ヘマントキシリンとエオシン(H&E)で着色
させた。組織反応は次のようにグレード付けした。
の対照部位にそれぞれ癒着防止剤を0.5ccづつ注射し
た。10%のホルマリンもしくは、0.1Mのリン酸塩
緩衝液において3%のホルムアルデヒド、0.5%の塩
化セチルピリジニウムおよび30mMの塩化ナトリウムを
含む固定剤で、体組織への固定を行った。そのうち後者
の固定剤は、グルコサミノグルカンと不溶性の錯体を形
成する(「組織化学・細胞化学ジャーナル(Journal of
Histochemistry and Cytochemistry) 」33,第106
0〜1066頁(1985年)参照)。アルシアンブル
ーで染色した組織部位には、よりHAを識別しやすくす
るため、ヘマントキシリンとエオシン(H&E)で着色
させた。組織反応は次のようにグレード付けした。
【0040】テスト部位と対照部位は、1〜3日の間
は、痕跡程度ないしわずかに認められる程度であった。
また、1日後は、好中球とマクロファージが見られた。
3日までに、少数の好中球および線維芽細胞が見られる
他は、マクロファージが大部分となった。3日後、テス
ト部位におけるファクロファージは大部分、微細な金褐
色の細胞質間色素を有していた。HAは、3日後には大
部分の部位に見られた。
は、痕跡程度ないしわずかに認められる程度であった。
また、1日後は、好中球とマクロファージが見られた。
3日までに、少数の好中球および線維芽細胞が見られる
他は、マクロファージが大部分となった。3日後、テス
ト部位におけるファクロファージは大部分、微細な金褐
色の細胞質間色素を有していた。HAは、3日後には大
部分の部位に見られた。
【0041】7日後には、テスト部位に粗い、色素を含
むマクロファージが、わずかな組織反応のあった細胞に
おいて主要な型となった。対照部位における組織反応
は、全くないか、あるいはあっても痕跡量程度で、線維
芽細胞が大部分であった。また、対照部位においてはす
べて、HAの完全な吸収が見られた。テスト部位の3/
7においては、依然としてHAが最小量は残っていた。
むマクロファージが、わずかな組織反応のあった細胞に
おいて主要な型となった。対照部位における組織反応
は、全くないか、あるいはあっても痕跡量程度で、線維
芽細胞が大部分であった。また、対照部位においてはす
べて、HAの完全な吸収が見られた。テスト部位の3/
7においては、依然としてHAが最小量は残っていた。
【0042】14日後になると、テスト部位における組
織反応は、色素を含む大多数のファクロファージにおい
て収まり、最小になると考えられる。また、対照部位は
識別が困難であった。14日後には、HAはすべてのテ
スト部位および対照部位において、完全に吸収された。
テスト部位および対照部位における組織反応は、許容範
囲内のものであった。
織反応は、色素を含む大多数のファクロファージにおい
て収まり、最小になると考えられる。また、対照部位は
識別が困難であった。14日後には、HAはすべてのテ
スト部位および対照部位において、完全に吸収された。
テスト部位および対照部位における組織反応は、許容範
囲内のものであった。
【0043】本発明の具体的な実施態様は次の通りであ
る。 1)前記癒着防止剤は、カルボキシメチルセルロース、
カルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸、またはこれら
のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩からの誘
導体である請求項1記載の方法。 2)前記癒着防止剤は、ヒアルロン酸もしくはヒアルロ
ン酸ナトリウムからの誘導体である上記実施態様1)記
載の方法。 3)前記癒着防止剤は、ヒアルロン酸ナトリウムからの
誘導体である上記実施態様2)記載の方法。 4)前記ヒアルロン酸ナトリウムは、塩化第二鉄、塩化
アルミニウム、硫酸クロムもしくは硫酸アルミニウムに
より、イオン結合による架橋を形成させられる上記実施
態様3)記載の方法。 5)前記ヒアルロン酸ナトリウムは、塩化第二鉄によ
り、イオン結合による架橋を形成させられる上記実施態
様4)記載の方法。 6)前記癒着防止剤は、注射器を用いた注射により、外
科創傷部位に直接適用される請求項1記載の方法。 7)前記癒着防止剤は、手術中もしくは、縫合直前の外
科手術の終了時に適用される上記実施態様6)記載の方
法。 8)前記癒着防止剤は、他の癒着防止補助剤とともに投
与される請求項1記載の方法。 9)前記癒着防止補助剤は非ステロイド系の抗炎症薬で
ある上記実施態様8)記載の方法。 10)前記非ステロイド系の抗炎症薬はトルメチンであ
る上記実施態様9)記載の方法。 11)前記癒着防止剤は抗生物質もしくは成長因子とと
もに投与される請求項1記載の方法。
る。 1)前記癒着防止剤は、カルボキシメチルセルロース、
カルボキシメチルキチン、ヒアルロン酸、またはこれら
のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩からの誘
導体である請求項1記載の方法。 2)前記癒着防止剤は、ヒアルロン酸もしくはヒアルロ
ン酸ナトリウムからの誘導体である上記実施態様1)記
載の方法。 3)前記癒着防止剤は、ヒアルロン酸ナトリウムからの
誘導体である上記実施態様2)記載の方法。 4)前記ヒアルロン酸ナトリウムは、塩化第二鉄、塩化
アルミニウム、硫酸クロムもしくは硫酸アルミニウムに
より、イオン結合による架橋を形成させられる上記実施
態様3)記載の方法。 5)前記ヒアルロン酸ナトリウムは、塩化第二鉄によ
り、イオン結合による架橋を形成させられる上記実施態
様4)記載の方法。 6)前記癒着防止剤は、注射器を用いた注射により、外
科創傷部位に直接適用される請求項1記載の方法。 7)前記癒着防止剤は、手術中もしくは、縫合直前の外
科手術の終了時に適用される上記実施態様6)記載の方
法。 8)前記癒着防止剤は、他の癒着防止補助剤とともに投
与される請求項1記載の方法。 9)前記癒着防止補助剤は非ステロイド系の抗炎症薬で
ある上記実施態様8)記載の方法。 10)前記非ステロイド系の抗炎症薬はトルメチンであ
る上記実施態様9)記載の方法。 11)前記癒着防止剤は抗生物質もしくは成長因子とと
もに投与される請求項1記載の方法。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、何も架橋していない多糖類あるいは共有結合によ
って架橋した多糖類を用いた場合に比べ、術後癒着の発
生を顕著に抑制する。そして、本発明で用いる癒着防止
剤は、何も架橋していない多糖類より長い半減期を有
し、共有結合によって架橋した多糖類よりも生体相容性
に富む。さらに、この癒着防止剤の形成に使われる架橋
剤は、生体相容性で、体組織に対する毒性もない。
れば、何も架橋していない多糖類あるいは共有結合によ
って架橋した多糖類を用いた場合に比べ、術後癒着の発
生を顕著に抑制する。そして、本発明で用いる癒着防止
剤は、何も架橋していない多糖類より長い半減期を有
し、共有結合によって架橋した多糖類よりも生体相容性
に富む。さらに、この癒着防止剤の形成に使われる架橋
剤は、生体相容性で、体組織に対する毒性もない。
フロントページの続き (72)発明者 リチャード・エル・クローネンザール アメリカ合衆国、07410 ニュージャー ジイ州、フェアー・ローン、ガーウッ ド・ロード 33
Claims (1)
- 【請求項1】 癒着防止剤として、イオン結合により架
橋したカルボキシル基含有多糖類もしくはその薬理学的
に受容可能な塩の有効量を、外科創傷部位に局所的に適
用する工程を含む術後癒着発生の抑制方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US68095591A | 1991-04-05 | 1991-04-05 | |
US680955 | 1991-04-05 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05124968A JPH05124968A (ja) | 1993-05-21 |
JP2702641B2 true JP2702641B2 (ja) | 1998-01-21 |
Family
ID=24733195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4112371A Expired - Fee Related JP2702641B2 (ja) | 1991-04-05 | 1992-04-06 | イオン結合により架橋したカルボキシル基を含有する癒着防止用多糖類 |
Country Status (10)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5532221A (ja) |
EP (2) | EP0507604B1 (ja) |
JP (1) | JP2702641B2 (ja) |
AT (1) | ATE299706T1 (ja) |
AU (1) | AU647905B2 (ja) |
BR (1) | BR9201215A (ja) |
CA (1) | CA2065111C (ja) |
DE (1) | DE69233535T2 (ja) |
ES (1) | ES2246490T3 (ja) |
GR (1) | GR920100122A (ja) |
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---|---|---|---|---|
US5629287A (en) * | 1991-01-18 | 1997-05-13 | University College London | Depot formulations |
US5610148A (en) * | 1991-01-18 | 1997-03-11 | University College London | Macroscopically oriented cell adhesion protein for wound treatment |
US5531716A (en) * | 1993-09-29 | 1996-07-02 | Hercules Incorporated | Medical devices subject to triggered disintegration |
US5419775A (en) * | 1994-01-18 | 1995-05-30 | Allergan, Inc. | Syringe flange adapter and method |
ITPD940054A1 (it) * | 1994-03-23 | 1995-09-23 | Fidia Advanced Biopolymers Srl | Polisaccaridi solfatati |
US5690961A (en) * | 1994-12-22 | 1997-11-25 | Hercules Incorporated | Acidic polysaccharides crosslinked with polycarboxylic acids and their uses |
WO1996039464A1 (en) * | 1995-06-06 | 1996-12-12 | C.R. Bard, Inc. | Process for the preparation of aqueous dispersions of particles of water-soluble polymers and the particles obtained |
US6214331B1 (en) | 1995-06-06 | 2001-04-10 | C. R. Bard, Inc. | Process for the preparation of aqueous dispersions of particles of water-soluble polymers and the particles obtained |
US5612321A (en) * | 1995-06-22 | 1997-03-18 | Hercules Incorporated | Antioxidant grafted polysaccharides |
AU718484B2 (en) * | 1995-08-29 | 2000-04-13 | Fidia Advanced Biopolymers S.R.L. | Biomaterials for preventing post-surgical adhesions comprised of hyaluronic acid derivatives |
SE505873C2 (sv) * | 1996-01-10 | 1997-10-20 | Moelnlycke Ab | Förfarande för framställning av absorberande material, absorberande material samt absorberande alster innehållande materialet ifråga |
US5688923A (en) * | 1996-02-15 | 1997-11-18 | Hercules Incorporated | Pectin fibers |
US5718862A (en) * | 1996-04-24 | 1998-02-17 | Hercules Incorporated | Secondary shaping of ionically crosslinked polymer compositions for medical devices |
US5684051A (en) * | 1996-04-24 | 1997-11-04 | Hercules Incorporated | Medical devices with improved elastic response |
US5820918A (en) * | 1996-07-11 | 1998-10-13 | Hercules Incorporated | Medical devices containing in-situ generated medical compounds |
US6060534A (en) | 1996-07-11 | 2000-05-09 | Scimed Life Systems, Inc. | Medical devices comprising ionically and non-ionically crosslinked polymer hydrogels having improved mechanical properties |
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