JP2003024431A - 癒着防止材およびその製造方法 - Google Patents

癒着防止材およびその製造方法

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JP2003024431A JP2001218256A JP2001218256A JP2003024431A JP 2003024431 A JP2003024431 A JP 2003024431A JP 2001218256 A JP2001218256 A JP 2001218256A JP 2001218256 A JP2001218256 A JP 2001218256A JP 2003024431 A JP2003024431 A JP 2003024431A
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昌浩 長尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な構造の患部や奥まった位置にある患部
にも容易に施すことができ、しかも生体組織によって適
度に吸収・排泄され、それによって所望の期間にわたっ
て安定してその癒着防止効果を発揮することができる、
生物学的に安全な癒着防止材を提供すること。 【解決手段】 多糖類および水を含有する滅菌された組
成物からなり、多糖類の含有量が組成物の総重量に対し
て0.1〜25重量%であり、かつ37℃における粘度
が300〜500,000mPa・sである癒着防止材
により上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、癒着防止材および
その製造方法に関する。本発明の癒着防止材は生体適合
性に優れ、癒着の防止や低減が必要な生体組織の損傷部
への適用が容易であり、安全性に優れており、しかも所
望の期間にわたり安定して良好な癒着防止効果を発揮す
る。
【0002】
【従来の技術】手術、ケガ、その他の理由によって、例
えば、腎臓、肝臓、心臓、胃等の内臓、血管、腸、子宮
などの生体組織に損傷、炎症などが発生すると、損傷部
同士または損傷部と他の組織との癒着が生じて、種々の
機能不全を起こし、場合によっては再手術が必要になる
などの問題を生じている。
【0003】従来、生体組織の癒着防止に当たっては、
損傷部の組織が修復または治癒するまでの期間にわたっ
て損傷部にオキシセルロース製の網を施して、損傷部を
他の生体組織や他の生体箇所から隔離して癒着を防止す
る方法が広く採用されている。しかしながら、オキシセ
ルロース製の癒着防止網は、使い勝手が悪く、生体組織
への吸収が遅く、しかも異物反応を生ずるなどの問題が
あり、充分に満足のいくものではない。
【0004】また、生体組織の癒着防止などを目的とし
て、上記したオキシセルロースとは別に、多糖類に基づ
く生体組織用の種々の材料が従来から提案されており、
そのような従来技術としては、ヒアルロン酸またはそ
の誘導体の架橋ゲルからなる生体組織用の成形物(特開
昭61−234864号公報);組成物の癒着および
合着を防止するためのインプラントとして使用される、
架橋カルボキシル含有ポリサッカライドゲル(特表昭6
1−502729号公報);ヒアルロン酸とその他の
親水性ポリマーをジビニルスルホン架橋剤で架橋してな
る、生体組織の癒着防止やその他の目的で用いられる生
体組織用のゲル組成物(特公平2−138346号公
報);活性化されたヒアルロン酸をアミノ酸やその塩
などからなる求核性試薬と反応させて形成してなる、生
体組織の癒着防止材などとして使用し得るゲル(特表平
3−502704号公報);ヒアルロン酸、ポリアニ
オン多糖類および活性化剤を用いて形成された、生体組
織の癒着防止や薬物のデリバリー用に用いられるゲル
(特表平5−508161号公報)などが知られてい
る。
【0005】しかしながら、上記した〜の従来技術
の場合は、その癒着防止材などの生体組織用の材料がい
ずれも水に不溶性のゲル状物であり、そのため構造の複
雑な患部や奥まった位置にある患部への適用や固定が困
難であり、また適用した場合は所定の位置からのずれな
どを生じ易く、損傷部の癒着防止を安定して行うことが
できないという欠点を有している。
【0006】また、近年、内視鏡下での手術が頻繁に行
われるようになったが、内視鏡手術では種々の治療具、
治療薬などを内視鏡の細いチューブを通して所定の場所
へ運ぶ必要がある。上記のフィルム状またはゲル状の癒
着防止材は形状、流動性などの点から、内視鏡の細いチ
ューブを通して患部へ適用することが困難であった。
【0007】上記〜の従来技術とは別に、イオン
架橋したカルボキシ含有キチン誘導体を含んでなる、希
酸性の水性溶液に可溶な癒着防止用材料(特公平7−9
0041号公報)が提案されている。しかしながら、こ
のの従来技術では、カルボキシ含有キチン誘導体を希
酸性の水性溶液に溶解し、その溶液を乾燥してフイルム
状にした後、該キチン誘導体中のアミノ基とイオン架橋
することができるアニオンを有する酸性の水性溶液で該
フイルムを湿潤して架橋させ、その架橋フイルムを水性
溶液に溶解して、生体組織の癒着防止用の粘性流体を調
製するという極めて複雑な工程が採られており、そのた
め目的とする癒着防止材を簡単に得ることができないと
いう欠点を有している。
【0008】さらに、上記した〜の従来技術とは別
に、アルギン酸ナトリウムの水溶液を主剤とする腹腔
内癒着防止材が知られている(特開昭57−16791
9号公報)。そして、このの従来技術による場合は、
癒着防止材が水溶液であるため患部への適用は容易であ
るが、アルギン酸ナトリウム(アルギン酸)が生体によ
って速やかに吸収され排泄されてしまうことにより、短
期間の癒着防止効果(隔離効果)しか期待できず、治癒
の遅い損傷部には用いることができないという欠点があ
る。患部での滞留性を向上すべく、線維芽細胞の増殖を
抑制して生物学的に癒着を防止するためアルギン酸にス
ルホン酸基を導入する技術が提案されている(特開平9
−296005号公報)が、この技術はスルホン酸基を
導入するため化学的反応、未反応物の除去・精製、乾燥
などの複雑なプロセスを必要とするという問題を有して
いる。
【0009】また、腹膜透析に用いられるようなオリゴ
糖の水溶液を用いた技術があるが、この方法は臓器間の
空隙を維持するため、患部に大量に投与することが必要
である。例えば、人の消化器系の手術においては、腹腔
内に約1L投与する。この方法は、低粘度溶液を患部お
よびその周辺に大量に投与するため、縫合部などの速や
かに組織が再生・接着すべき部位にも侵入し、縫合不全
のような悪影響を及ぼすことがある。また、大量に投与
するため患者に対する負担も大きくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、複雑な構造の患部や奥まった位置にある患部にも
容易に施すことができ、しかも生体組織によって適度に
吸収・排泄され、それによって所望の期間にわたって安
定してその癒着防止効果を発揮することができる、生物
学的に安全な癒着防止材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは、安全性の点を考慮しつつ、従来から生体
組織用の癒着防止材として用いられている多糖類につい
て、種々検討を重ねてきた。その結果、多糖類と水を含
有し、特定の粘度を有する組成物が、物理的な隔離によ
る癒着防止機能による生物学的な癒着防止効果を有して
おり、また組織表面での滞留性に優れていて短期間にそ
の癒着防止効果が失われず、所望の期間にわたって安定
した癒着防止効果を発揮し、しかも良好な生体適合性を
有していることなどを見出し、これらの知見に基づいて
本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、多糖類および水を含
有する滅菌された組成物からなり、多糖類の含有量が組
成物の総重量に対して0.1〜25重量%であり、かつ
37℃における粘度が300〜500,000mPa・
sである癒着防止材である。また、本発明は、多糖類お
よび水を含有する組成物であって、多糖類の含有量が組
成物の総重量に対して0.1〜25重量%であり、かつ
37℃における粘度が500mPa・s以上である組成
物をオートクレーブ滅菌することを特徴とする癒着防止
材の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明でいう「癒着防止材」とは、手術、ケガ、
その他の原因によって、生体組織のいずれかに損傷、炎
症、その他の疾患が生じた際に、それらの患部に施し
て、損傷部同士や損傷部と他の組織との癒着を防止また
は低減するために用いられる材をいう。
【0014】本発明の癒着防止材は、多糖類および水を
含有する組成物からなる。本発明で用いる多糖類として
は、それ自身およびその分解物が生体に無害で且つ生体
内で吸収・排泄されるものであればいずれも使用でき
る。そのような多糖類としては、例えばアガロース、デ
ンプン等の単純多糖類、アルギン酸等のポリウロン酸
類、カラギーナン、ヒアルロン酸、キチン、コンドロイ
チン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸等のムコ多糖類(ま
たはポリグリコサミン類)などを挙げることができ、こ
れらの多糖類は単独で使用してもまたは2種以上を併用
してもよい。また、多糖類は生体適合性のある塩の形態
になっていてもよい。これらのうちでも、本発明では、
癒着防止効果に優れる点から、カラギーナン、ヒアルロ
ン酸、アルギン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ケ
ラタン硫酸等の酸性多糖類が好ましく、無害性および吸
収・排泄性に優れる点から、アルギン酸、ヒアルロン酸
がより好ましく、ウィルスなどによる感染性のない植物
を原料としたアルギン酸がさらに好ましい。
【0015】また、本発明で用いる多糖類は、癒着防止
が必要な患部での物理的な隔離作用をより効果的に発揮
させたり、生体内吸収性を制御したり、治癒や細胞増殖
を制御する目的で各種官能基が導入されていてもよい。
官能基としては、エチレングリコール、プロピレングリ
コール等のアルキレングリコールから誘導される基、ア
ミノ酸または生理活性ペプチドから誘導される基、アミ
ンから誘導される基、スルホン酸基、硫酸基、スルホン
酸基を有する基、硫酸基を有する基などが挙げられる。
官能基が導入された多糖類としては、上記の官能基が導
入されたアルギン酸(アルギン酸の誘導体)が好まし
い。
【0016】使用する多糖類の分子量は特に制限され
ず、目標とする癒着防止材の濃度と粘度から適時選択さ
れるが、安定性および効果の点から、1000〜100
0万の範囲内が好ましい。
【0017】本発明の癒着防止材における多糖類の含有
量は、組成物の総重量に対して0.1〜25重量%の範
囲内である。多糖類の含有量が25重量%より多くなる
と生体内での分解負荷が高くなり、患部が治癒した後も
癒着防止材が滞留し、組織が異物反応を示すことがあ
る。一方、多糖類の含有量が0.1重量%未満では癒着
防止効果が低く、実用的ではない。多糖類の含有量とし
ては、1〜20重量%の範囲内が好ましく、2〜15重
量%の範囲内がより好ましい。
【0018】本発明の癒着防止材の37℃における粘度
は300〜500,000mPa・sの範囲内である。
生体組織の種類にもよるが、癒着の防止を円滑に行うた
めには、一般に7日から2ヶ月程度の期間にわたって癒
着防止材が患部に存在することが望ましい。粘度が30
0mPa・sより低いと患部での滞留性が低くなる。そ
のため短時間に癒着防止効果が失われ、安定した癒着防
止効果を発揮することができない。また、500,00
0mPa・sを超えると粘度が高すぎて内視鏡手術での
取り扱いが困難となり、また長時間にわたって患部に滞
留し、治癒後においても生体内で分解・吸収されず、異
物として残存することがある。上記の粘度としては、癒
着防止効果と取り扱い性の観点から、400〜200,
000mPa・sの範囲内が好ましく、500〜10
0,000mPa・sの範囲内がより好ましく、1,0
00〜50,000mPa・sの範囲内がさらに好まし
い。
【0019】本発明の癒着防止材は予め調製した多糖類
と水を含有する組成物を滅菌処理する方法、または使用
する原料、容器、器具を滅菌した後、無菌的に多糖類と
水を含有する組成物を調製する方法によって製造するこ
とができ、操作の簡便さおよび製品の無菌性を確保する
観点から前者の方法によるのが好ましい。
【0020】多糖類と水を含有する組成物の調製方法は
特に制限されないが、多糖類の粉末を水と接触させる方
法、水と貧溶媒の混合溶媒中で多糖類粉末のスラリーを
調製した後、貧溶媒を留去する方法が好ましく用いられ
る。
【0021】滅菌方法としては、乾熱法、高圧蒸気法
(オートクレーブ法)、流通蒸気法、煮沸法、間けつ
法、ろ過法、放射線法(γ線法)、紫外線法、高周波
法、ガス法(エチレンオキサイド法、ホルムアルデヒド
法)等の日本薬局方に記載されている方法を採用するの
が好ましい。これらの中でも含水状態で滅菌可能なγ線
法、オートクレーブ法、高周波法が好ましく、装置およ
び操作の簡便さ、多糖類に与えるダメージの少なさの点
から、オートクレーブ法による滅菌がより好ましい。オ
ートクレーブ法の滅菌条件は日本薬局方に記載されてい
る条件が好ましく、無菌性の確保および粘度の調節のた
めに、温度、時間を適宜調節してもよく、無菌性を確保
するため、115℃では30分以上、121℃では20
分以上、126℃では15分以上処理するのが好まし
い。一方、高温でまたは長時間加熱されると多糖類は激
しい熱分解を受けるため、温度は150℃以下、時間は
120分以下が好ましい。
【0022】γ線法またはオートクレーブ法で滅菌する
と、多糖類分子が分解され、分子量が低下する。このた
め組成物の粘度が低下し、本発明で規定する粘度を有す
る癒着防止材を得ることができず、良好な癒着防止効果
が得られないことがある。滅菌後の癒着防止効果を充分
確保するために、滅菌前の上記の組成物の粘度は500
mPa・s以上であるのが好ましい。粘度が500mP
a・s未満の場合には、滅菌処理後に300mPa・s
以上の粘度を有する組成物を得ることが困難となり、充
分な癒着防止効果が得られなくなる。滅菌前の組成物の
粘度としては、1000mPa・s以上が好ましく、5
000mPa・s以上がより好ましい。滅菌前の組成物
の粘度の上限に特に制限はなく、また組成物の性状は、
溶液状態であっても溶液としての粘度測定が不可能なペ
ースト状であっても差し支えない。
【0023】本発明の癒着防止材は、生体内安定性の向
上、粘度の調節などの目的で、必要に応じて、塩化ナト
リウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機
塩類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グ
リセリン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコー
ル類などを含有していてもよい。また、本発明の癒着防
止材は、治癒の促進、細菌感染の防止などの目的で、必
要に応じて、構造蛋白質(コラーゲン、フィブロネクチ
ンなど)、消毒剤、抗生剤(例えばペニシリンなど)、
抗菌剤(例えばオフロキサシンなど)、血行改善薬(例
えばアクトシン、PGEIなど)、酵素阻害剤(例えば
ウリナスタチン、TIMPなど)、増殖因子(例えばP
DGF、FGFなど)、ステロイド剤、抗炎症剤(例え
ばインドメタシンなど)、各種アミノ酸、ビタミン類な
どの1種または2種以上を含有していてもよい。また、
癒着の過程では、フィブリンの生成が関係しているとい
われており、これを阻害するためカルシウムイオンの不
活化剤を含有してもよい。不活化剤としては一般に多価
金属イオンのキレート剤が用いられる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。癒着
防止効果および粘度は以下の方法で評価または測定し
た。
【0025】[癒着防止効果の評価] (1)8週齢のCrj:CD(SD)系雄性ラットを各
癒着防止材に対して6匹ずつ準備し試験に供した。 (2)上記(1)で準備したラットの盲腸の漿膜をガー
ゼで摩擦して、そのおよそ1/2を剥離した。 (3)上記(2)で盲腸の漿膜を剥離したラットの漿膜
を剥離した盲腸の周囲に、癒着防止材を、ラット1匹当
たり約0.1mlの割合で塗布した。 (4)上記(3)の癒着防止材の塗布後1週間目に剖検
して、癒着状態を肉眼で観察し、下記の表1に示す評価
基準にしたがって点数評価し、6匹の平均値を採った。
また、剖検したラットの全身症状および内臓の状態を肉
眼で観察して、下記の表1に示す評価基準にしたがって
点数評価し、6匹の平均値を採った。 (5)また、対照として癒着防止材の代わりに生理食塩
水を塗布し、1週間後に剖検して、癒着状態、全身症
状、内臓等の状態を肉眼で観察し、下記の表1に示す評
価基準にしたがって点数評価し、6匹の平均値を採っ
た。
【0026】
【表1】
【0027】[溶液粘度の測定]E型粘度計を用いて、
37℃における粘度を測定した。
【0028】実施例1〜4 表2に示すアルギン酸ナトリウムを表2に示す濃度とな
るように生理食塩水に溶解し、アルギン酸ナトリウムと
水の組成物を得た。該組成物をバイアルに充填・密封
し、オートクレーブ滅菌(121℃、20分間)して癒
着防止材を得た。滅菌前後の組成物の粘度および得られ
た癒着防止材の癒着防止効果を表2に示す。
【0029】比較例1〜5 表2に示すアルギン酸ナトリウムを用い、実施例1〜4
と同様の方法で表2に示す濃度の癒着防止材を得た。滅
菌前後の組成物の粘度および得られた癒着防止材の癒着
防止効果を表2に示す。
【0030】比較例6 対照として生理食塩水を用い癒着防止効果の評価を行っ
た。癒着防止効果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2の結果から、粘度が300〜500,
000mPa・sであり、アルギン酸ナトリウムの含有
量が0.1〜25%の範囲である実施例1〜4の癒着防
止材は高い癒着防止効果を有し、生体に対しても安全で
あることわかる。一方、多糖類を含有しない生理食塩水
を用いた比較例6では極めて癒着が激しく、粘度が30
0mPa・sより低い比較例1および2の癒着防止材は
実施例1〜4の癒着防止材に比べて癒着防止効果が低い
ことがわかる。また、アルギン酸の濃度が0.01%で
ある比較例5の癒着防止材は癒着防止効果がなく、濃度
が30%である比較例3の癒着防止材では生体に悪影響
が生じ、さらに濃度が50%である比較例4の場合には
滅菌時にアルギン酸が焦げ付き、癒着防止材の調製がで
きなかった。以上のことから、実施例1〜4の癒着防止
材が癒着防止効果および生体に対する安全性に優れてい
ることがわかる。さらに、オートクレーブ滅菌前の溶液
粘度が500mPa・s未満である比較例1および2で
は300mPa・s以上の粘度を有する癒着防止材を得
ることができない。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、複雑な構造の患部や奥
まった位置にある患部にも容易に施すことができ、しか
も生体組織によって適度に吸収・排泄され、それによっ
て所望の期間にわたって安定してその癒着防止効果を発
揮することができる、生物学的に安全な癒着防止材を提
供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖類および水を含有する滅菌された組
    成物からなり、多糖類の含有量が組成物の総重量に対し
    て0.1〜25重量%であり、かつ37℃における粘度
    が300〜500,000mPa・sである癒着防止
    材。
  2. 【請求項2】 多糖類がアルギン酸、その誘導体および
    それらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化
    合物である請求項1記載の癒着防止材。
  3. 【請求項3】 多糖類および水を含有する組成物であっ
    て、多糖類の含有量が組成物の総重量に対して0.1〜
    25重量%であり、かつ37℃における粘度が500m
    Pa・s以上である組成物をオートクレーブ滅菌するこ
    とを特徴とする癒着防止材の製造方法。
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