JP2695355B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents
炭素繊維の製造方法Info
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Description
するものであり、特に種々のピッチから炭素繊維を安定
して、大量に製造しかつ、プリプレグの製造に好適な開
繊性に優れる炭素繊維を製造する方法に関する。
い材料で近年、航空宇宙分野、自動車工業、その他の工
業分野で、強くて軽い素材として注目を浴びている。
りながら安価な材料が望まれている。
(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維とピッチ類を
原料とするピッチ系炭素繊維が製造されているが、現状
では高強度、高弾性率の高性能炭素繊維としては主にP
AN系炭素繊維が使用されている。
性率なものを製造するには限界があり、超高弾性率炭素
繊維はピッチ系炭素繊維の独壇場となっている。
グと呼ばれる、炭素繊維を一方向に引き揃えならべたも
のに樹脂を含浸させた中間体を作成し、このプリプレグ
を積層することで複合材料とする方法が広く一般的に行
われている。
しては、繊維束に毛羽がなく開繊性に優れ、かつ長尺で
あることを要求されるのである。
らに中間工程品である不融化繊維もその強度が5〜10
kgf/mm2と著しく脆いために、その繊維が100
〜100,000本集合した、不融化繊維糸条はその取
扱が難しく、長尺な繊維の製造が困難であったり、毛羽
立ちが多いとの問題があった。
法としては、特公昭51―12740号公報には、紡糸
した繊維を金網のカゴに堆積し、これを金網ごと不融化
し、さらに700℃以上の温度で炭化を行い繊維引張強
度を高め、その後さらに線状に1500℃の温度で炭化
を行なう方法が開示されている。
段階で糸条に堆積時の癖がつき、この癖がその後の炭化
でもなかなか元に戻らず、したがって糸条の毛羽と開繊
性の点で劣る繊維が得られるのみであった。
は、炭化処理温度が500〜600℃の間で繊維の破断
伸度が著しく向上する点が存在し、この破断伸度が大き
いことを利用してこの温度領域で炭化を行い、その後繊
維糸条を緊張下にさらに高温雰囲気で炭化、黒鉛化を行
いフィラメント揃いのよい炭素繊維束を製造する方法が
記載されている。
不融化繊維に耐熱性の油剤をつけて集束させた後で、熱
処理温度400〜1800℃で炭化処理し、その後、3
000℃以下の温度で、フィラメントあたり0.001
〜0.2gの張力を加え焼成する方法が開示されてい
る。
けた油剤が炭化、黒鉛化の際に分解し、炉内の汚染等が
生じたり、繊維に付着した油剤が炭化し、融着して開繊
性に問題を生じたりした。
後繊維が収縮する間、すなわち1300〜1500℃以
下の温度では0〜50mg/デニールの張力で炭化し、
その後自発伸長率より0.1〜1.2%高い延伸率で黒
鉛化する方法が開示されている。
を含むガスで不融化を行なった場合、開繊性に優れる繊
維を安定的に得ることができなかった。
ガスを用いて得られた不融化繊維を炭化、黒鉛化する際
に、長尺な糸条を効率的に生産し、かつ得られる炭素繊
維の糸条が開繊性に優れ、毛羽の少ない高品位な炭素繊
維を得る方法を提供することを目的とする。
ピッチを原料とするピッチ繊維を、二酸化窒素と酸素を
含む酸化性ガス雰囲気で酸化処理し、この酸化繊維を3
50℃以上、400℃未満で10min以上不活性化雰
囲気で焼成し、その後、800〜1250℃の温度で連
続的に炭化を行うことにより、糸条の破断強度を15k
gf/mm2以上とした炭化繊維糸条を得、該炭化繊維
糸条を最終温度が1500℃以上となる条件で黒鉛化を
行なう際に、該炭化繊維糸条に1.5〜10kgf/m
m2の張力を加えながら連続的に焼成することを特徴と
する炭素繊維の製造方法である。
は、コールタール、コールタールピッチ等の石炭系ピッ
チ、石炭液化ピッチ、エチレンタールピッチ、流動接触
触媒分解残査油から得られるデカントオイルピッチ等の
石油系ピッチ、あるいはナフタレン等から触媒などを用
いて作られる合成ピッチ等、各種のピッチを包含するも
のである。
ズピッチは、前記のピッチを、従来公知の方法でメソフ
ェーズを発生させたものである。
チ繊維の配向性が高いものが望ましく、このためメソフ
ェーズ含有量は40%以上、より好ましくは70%以上
含有するものが望ましい。
は、軟化点が200〜400℃、より好ましくは250
〜350℃のものがよい。
れている方法にて、溶融紡糸を行うことにより、ピッチ
繊維が得られる。
100ポイズ〜2000ポイズを示す温度で、口径0.
1mm〜0.5mmのキャピラリーから、圧力0.1〜
100kgf/cm2程度で押し出しながら100〜2
000m/minの引き取り速度で延伸し、繊維径が5
〜20μmで、これらが1000〜100,000本集
まったピッチ繊維の束(繊維糸条)を得る。
で集束を行なっても良いが、本発明の場合、油剤を用い
ない方が、より好ましい結果が得られる。
が2〜10体積%、酸素濃度が2〜20体積%、必要に
応じて水蒸気を2〜10体積%加え、残りのガスを窒素
等の不活性ガスとした混合ガス雰囲気下で、温度100
〜320℃、処理時間30〜300min、好ましくは
40〜200minの条件で不融化する。
の温度で、10min以上、窒素ガス等の不活性雰囲気
で最初の炭化(本発明では便宜上1次炭化と呼ぶ)を行
なうことが肝要である。
炭化した際の繊維の破断伸びと、3,000本の繊維が
集合した炭化繊維糸条の破断強度を測定した結果を示し
た。
程度の炭化温度で最大値を示すが、炭化繊維糸条の破断
強度は不融化糸から390℃の焼成温度で緩やかに向上
し、400℃以上で急激に強度が減少することがわか
る。
および破断伸度は、炭化温度の上昇と共に向上するもの
の、そのばらつきは大きくなる。
度、破断伸び共に400〜500℃程度の炭化糸に比べ
小さいものの、ばらつきは少なく、糸条にした際の強度
発現率が高いものと考えられる。
化の過程で繊維長さが約3.2%、500℃では4.5
%程度収縮する。
時の収縮により不均一となり、繊維の揃いが乱れ炭化繊
維糸条の強度が著しく低下したり、最終製品である炭素
繊維あるいは黒鉛化繊維の品質を著しく低下させるの
で、1次炭化は400℃未満で行うのがよい。
00〜1200℃の温度で5秒〜2分という、糸条を連
続的に炭化(本発明では2次炭化と呼ぶ)を行なうと炭
化の際に生じる分解物により、繊維の融着あるいは剛直
といった問題が生じる。
で10min以上、好ましくは15〜90分、不融化繊
維を一旦1次炭化することが肝要である。
好ましくは1000〜1200℃の温度で、不活性ガス
雰囲気で、2次炭化を行なう際に、好ましくは50〜
1,000gf/mm2、より好ましくは60〜800
gf/mm2の張力を加えながら焼成を行なうことによ
り、400℃以上の炭化温度で生じる繊維長さ方向の収
縮を均一にすることが可能となり、糸揃いの改善された
糸条を得ることができる。
m2未満では繊維糸条の揃いは改善されず、また100
0gf/mm2超では2次炭化中に糸条が破断し易くま
た、毛羽の発生も多くなる。
合、2次炭化繊維糸条の強度が15kgf/mm2より
も小となり、次工程である黒鉛化工程で開繊性を改善す
るほどの張力を与えることが困難となる。
超えると、黒鉛化工程で張力を加え焼成しても開繊性の
改善が不十分となる。
0〜1250℃で5秒〜2分間、連続的に搬送させなが
ら行うのが好ましい。
炭化、黒鉛化を総称して黒鉛化と呼び、得られる繊維は
炭素繊維と呼ぶ。)では、不活性ガス雰囲気下、130
0℃以下の温度から、昇温して最高温度1500℃以
上、好ましくは1800℃以上とした黒鉛化炉内を2次
炭化繊維糸条に1.5〜10kgf/mm2、好ましく
は1.5〜7.5kgf/mm2の張力を加えながら連
続的に焼成することで、開繊性に優れる、高品位な炭素
繊維を得ることが可能となる。
℃以下の温度から張力を加えながら黒鉛化を行い、かつ
最高到達温度を1500℃以上としないと開繊性が向上
するほどの、繊維の引き揃えは困難であり、また、この
時の張力が1.5kg/mm2未満では加える張力が不
十分であり、10kgf/mm2を超えると加える張力
が過大で、黒鉛化炉内で糸条の破断が頻繁に生じるため
好ましくない。
常5秒〜2分程度である。
り、2次炭化炉で一旦、ボビンに巻とる、あるいは収納
容器に収納して、これから繊維を繰り出し黒鉛化炉に供
してもよいし、2次炭化炉と黒鉛化炉を直列とし、その
間にローラー等を介して繊維糸条の張力を変化させる方
法をとることでもよい。
と、図3に従来方法で得られた炭素繊維の開繊性試験結
果を示した。
に切断し、当該繊維を、濾紙を下部に敷いたシャーレー
に入れ、MEK溶液を注いだ後、軽く振動を与えた後、
濾紙を引き上げ、濾紙の上に広がった繊維の開繊状態を
見たものである。
維の広がり方が良好で、繊維に絡みや融着がなく、開繊
性に優れることがわかる。
引張強度と黒鉛化時の張力の関係を示したが、本発明の
方法で得られる繊維は引張強度が著しく改善され、高品
位な炭素繊維が得られることがわかる。
に説明する。なお、本発明において、原料ピッチの特性
を表わすのに用いた諸物性値は以下の定義によった。
ユ式から算出される、見掛けの粘度が20,000ポイ
ズとなる温度である。
25(1978年)に示された方法に準じて測定した。
に示された方法に準じて測定した。
条を、測定長が1mになるように、繊維糸条両端に、タ
ブを接着剤で固定した試料を多数作成し、これを引張速
度50mm/minの速度で引張り、引張破断荷重を求
めた。
示される、樹脂含浸ストランド法に準じて測定した。
化点80℃のコールタールピッチを、触媒を用い直接水
素化を行った。
で熱処理した後、低沸点分を除きメソフェーズピッチを
得た。
ン不溶分が85重量%、ピリジン不溶分が40重量%、
メソフェーズ含有量が95%であった。
ャピラリー径0.14mm、ノズルホール数3000の
ノズルパックを有する紡糸機を用いて、メソフェーズピ
ッチの粘度800ポイズで、糸径13μmのピッチ繊維
を紡糸し、このピッチ繊維を油剤を用いずに、エアーサ
ッカーで集束させながらケンスに収納した。
空気に二酸化窒素ガスを5体積%、および水蒸気を5体
積%添加した酸化ガスを、ケンス下部から吹き込みなが
ら、150℃から300℃まで1℃/minで昇温し、
そのまま300℃に30分保持して不融化繊維を得た。
ま、窒素ガス雰囲気下におき、不融化繊維を10℃/m
inで昇温し、350℃以上400℃未満まで昇温しそ
の温度で30min保持し、一次炭化を行った。また比
較のため、不融化繊維を10℃/minで昇温し、30
0℃以上350℃未満及び400〜600℃まで昇温し
その温度で30min保持した一次炭化も行なった。
長さでの繊維糸条の強度を測定した結果を図1に示し
た。
温度が1100℃、窒素ガス雰囲気の長さ2mの炉に、
ケンスから繰り出した繊維糸条を線状に、張力を100
gf/mm2、速度4m/minの速度で通しながら、
1100℃で10秒間、2次炭化を行ない、得られた2
次炭化繊維をボビンに巻とった。
次炭化の際に糸条が剛直となり糸条の破断が生じた。
は糸条の剛直はないものの、1次炭化温度が400℃以
上のものは、毛羽立ちが非常に多い2次炭化糸であっ
た。
炭化繊維を原料に、2次炭化ならびに黒鉛化を行なっ
た。2次炭化条件は入口温度は500℃で一定であり、
出口温度を700〜1400℃まで変化させ、この温度
で10秒間熱処理した。
2、速度4m/minの速度で2次炭化を行ないボビン
に巻とった。
1900℃で16秒間熱処理し、有効炉長1mであり、
張力を変化させながら速度2m/minの速度で2次炭
化糸をボビンから解舒させながら線状に焼成し、表面処
理、サイジングを行いボビンに巻とった。黒鉛化の張
力、ならびに得られた炭素繊維の物性を第1表に記載し
た。
を、図3には実験No.6の開繊試験結果を示した。ま
た図4には実験No.6〜9の炭素繊維の引張強度と黒
鉛化の張力の関係を示した。
は図5のとおりであり、黒鉛化炉における焼成温度と時
間は図6のとおりである。
な開繊性に優れる炭素繊維を生産性良く製造できた。
係図。
図。
図。
関係図。
係図。
Claims (1)
- 【請求項1】 メソフェースピッチを原料とするピッチ
繊維を二酸化窒素と酸素を含む酸化性ガス雰囲気で酸化
不融化処理し、この不融化繊維を350℃以上400℃
未満で10min以上不活性化雰囲気で焼成して1次炭
化し、その後、800〜1250℃の温度で5秒〜2分
間連続的に2次炭化を行うことにより、糸条の破断強度
を15kgf/mm2以上とした炭化繊維糸条を得、該
炭化繊維糸条を最終温度が1500℃以上となる条件で
焼成して黒鉛化を行なう際に該炭化繊維糸条に1.5〜
10kgf/mm2の張力を加えながら連続的に焼成す
ることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4267842A JP2695355B2 (ja) | 1992-09-11 | 1992-09-11 | 炭素繊維の製造方法 |
US08/437,921 US5595720A (en) | 1992-09-04 | 1995-05-09 | Method for producing carbon fiber |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
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JPH06101118A JPH06101118A (ja) | 1994-04-12 |
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Family
ID=17450386
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4267842A Expired - Lifetime JP2695355B2 (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-11 | 炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2695355B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103014918A (zh) * | 2012-12-14 | 2013-04-03 | 济宁碳素集团有限公司 | 一种煤系通用级沥青炭纤维的制备方法 |
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---|---|---|---|---|
JP6738202B2 (ja) * | 2016-05-27 | 2020-08-12 | 帝人株式会社 | 極細炭素繊維の製造方法 |
-
1992
- 1992-09-11 JP JP4267842A patent/JP2695355B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103014918A (zh) * | 2012-12-14 | 2013-04-03 | 济宁碳素集团有限公司 | 一种煤系通用级沥青炭纤维的制备方法 |
CN103014918B (zh) * | 2012-12-14 | 2014-01-15 | 济宁碳素集团有限公司 | 一种煤系通用级沥青炭纤维的制备方法 |
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JPH06101118A (ja) | 1994-04-12 |
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