JPH05287617A - ピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維の製造方法

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JPH05287617A
JPH05287617A JP11421992A JP11421992A JPH05287617A JP H05287617 A JPH05287617 A JP H05287617A JP 11421992 A JP11421992 A JP 11421992A JP 11421992 A JP11421992 A JP 11421992A JP H05287617 A JPH05287617 A JP H05287617A
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JP
Japan
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fibers
fiber
pitch
carbon fiber
carbon
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Withdrawn
Application number
JP11421992A
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English (en)
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Masakazu Higuchi
雅一 樋口
Norio Tomioka
紀夫 富岡
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 毛羽が少なく、しなやかな、高強度ピッチ系
炭素繊維の製造方法を提供する。 【構成】 原料ピッチから溶融紡糸したピッチ糸を集束
して不融化し、不活性ガス中で400℃〜900℃で熱
処理した後気相中で開繊処理を行ない膠着している繊維
を分離し、さらに炭化、黒鉛化を行うことを特徴とする
ピッチ系炭素繊維の製造方法。 【効果】 膠着している繊維を分離して炭素化を行なう
ことで、強度を改善したしなやかな炭素繊維を製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、毛羽が少なく、しなや
かな、高強度のピッチ系炭素繊維の製造法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、炭素繊維は、複合材料の強化用繊
維としてさまざまな製品に広く利用されるようになって
いる。
【0003】炭素繊維は、炭素質ピッチ、ポリアクリロ
ニトリル(PAN)、レーヨン等を原料に製造されてい
る。
【0004】特に、ピッチ系炭素繊維のうちメソフェー
スと呼ばれる液晶を含むピッチから製造される炭素繊維
は炭化収率が高く、引張弾性率等の物理的特性も優れて
おり注目を浴びている。
【0005】高強度のピッチ系炭素繊維は、メソフェー
スピッチの調製、溶融紡糸、不融化、炭化黒鉛化の各工
程を経て製造されている。
【0006】ピッチ系炭素繊維は、紡糸した直後のピッ
チ繊維が脆弱であるので、取扱を容易にしかつ繊維の切
断を防止するため、溶融紡糸により繊維の形状を付与し
たのち数百〜数万本の繊維をシリコン油等で集束するこ
とが行なわれている。
【0007】ピッチ繊維を集束しない場合には、脆弱な
繊維が開繊した状態になり、繊維の一部が切断して毛羽
が発生し製品の品質を低下させる、あるいは繊維束全体
が切断して生産性が著しく低下するなどの問題点があ
る。
【0008】ピッチ繊維を集束すると、製品中で繊維同
志が融着あるいは膠着して、炭素繊維の強度物性低下、
繊維の剛直化、融着点での切断による毛羽の発生、さら
には複合材料とした場合の均質性の低下等の問題を起こ
すことが知られている。
【0009】本明細書中では’融着’とは複数本の繊維
が互いに一体化して一つの組織を形成する程に至ったも
のを、’膠着’とは複数本の繊維が一体化しているが一
つの組織を形成するほどではなく容易に元の繊維へ分離
できる状態をいう。
【0010】繊維の集束性と融着、膠着の防止という相
反する問題点を解決するために、集束剤の改良とともに
製造工程の改良について種々の提案がなされているが、
未だに完全に解決していない。
【0011】例えば、特開昭61―138739号報で
は、焼成が終了した炭素繊維を開繊ローラーに通して繊
維間の膠着、融着をなくして繊維をしなやかにする方法
が開示されている。
【0012】しかしながらこの方法では膠着、融着して
いる高弾性率の繊維をむりやりに分離することになり、
炭素繊維表面に有害な傷を付ける原因になる。
【0013】したがってこの方法では炭素繊維が剛直に
なっているのをしなやかにする効果はあるが、物性の低
下を防止することができない。
【0014】また、特開平3―8808号公報には、不
融化工程の終了後及び/又は予備炭化工程の終了後に液
体中で開繊する方法が開示されている。
【0015】この方法では、液体中で開繊を行なうため
一旦開繊した炭素繊維が再び膠着あるいは融着してしま
うという欠点を有している。
【0016】そのため多段の開繊処理を必要とし、製造
設備が複雑になる、あるいは脆弱な繊維を何度も開繊処
理を行なうので繊維表面に傷を作り物性を低下させると
いった問題点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脆弱なピッ
チ繊維を集束して取り扱った後に、炭素繊維の強度を低
下させず、かつ簡単な方法で容易に膠着、融着を防止し
て、高強度、高品質の炭素繊維を製造することを目的と
している。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピッチ系炭素
繊維を製造するにあたり、原料ピッチから溶融紡糸した
ピッチ糸を集束して酸化雰囲気で不融化し、不活性ガス
中で400℃〜900℃で熱処理した後、気相中で開繊
処理を行ない膠着している繊維を分離し、さらに120
0℃〜3000℃で炭素化、黒鉛化処理を行なうことを
特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法である。
【0019】また具体的な開繊処理としては、セラミッ
クス製のローラーによる圧下が望ましい。これは繊維へ
与える悪影響が少なく最適なためである。
【0020】本発明者らは、炭素繊維の製造工程での膠
着、融着の発生について鋭意研究した結果、900℃ま
での予備炭化では炭素繊維は単に膠着しているのみであ
り、その後の炭化、黒鉛化により膠着が融着に変わるこ
とを見いだし本発明に至った。以下にその詳細を述べ
る。
【0021】
【作用】光学的異方性相を含む石炭系メソフェースピッ
チを紡糸した後、不融化、850℃で予備炭化、215
0℃で黒鉛化して炭素繊維を製造した。
【0022】図1に各工程終了後の繊維の融着点数の測
定結果を示す。ここで融着点数とは3000本の繊維束
を5mmの長さに切りドデシルベンゼンスルホン酸0.
05%溶液にいれ、超音波及び攪拌して、強力に分散さ
せて分離しない繊維の数を数えたものである。
【0023】この図から融着点数は予備炭化工程までは
少なく、炭化工程で急増することがわかる。
【0024】融着が炭化工程で急増しているのは、熱に
より不融化したピッチ繊維が有機物から炭素へ変化する
過程で膠着していただけの繊維が揮発成分で接着される
等の理由で強固に融着するためであると考えられる。
【0025】また、予備炭化後に一度気相中で開繊処理
を行なうと炭化後の繊維の融着点数が減少していること
がわかる。
【0026】炭素繊維の表面を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、開繊処理をしない繊維は表面に傷がついる
繊維が多数観察できたが、開繊を行なった繊維には傷つ
いた繊維はほとんど存在しなかった。
【0027】このことから予備炭化工程までは膠着して
いても繊維に傷を与えることなく開繊でき、繊維間の融
着が繊維に傷を与えるほど強固になるのは炭化工程であ
るといえる。
【0028】予備炭化工程を終了した繊維は伸度が大き
くなっているので取り扱いやすく、この段階で開繊処理
をしても炭素繊維の品質にはほとんど影響がない。
【0029】したがって開繊処理を伸度のでる400℃
〜900℃での予備炭化処理後に行なうことが合理的で
ある。
【0030】繊維は、400℃以下では炭素化反応が進
んでおらず脆弱であり、900℃以上では炭素化反応が
進み過ぎ伸度が低下して好ましくない。
【0031】開繊装置としては種々のものが考えられる
が、気相中で開繊を行なうことから、開繊後の繊維を大
きく広げるような方法はかえって毛羽を発生することに
なり好ましくない。
【0032】種々の実験の結果、図2に示すようなセラ
ミックス製のローラーによる圧下が繊維の毛羽の発生が
少なく好ましいものであった。
【0033】ローラーの材料はアルミナ、ジルコニア等
のセラミックスが硬く磨耗が少なく好ましいものであっ
た。
【0034】ローラーの表面をダイアモンド粉をもちい
て鏡面研磨を施したものがローラーへの繊維の絡みがな
く好ましい。
【0035】また繊維束1本当たり20gf〜150g
f程度の圧下力をローラーへ与えたときが開繊性が良く
かつ毛羽の発生が少なく好ましいものであった。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明
する。
【0037】石炭系メソフェースピッチ(軟化点305
℃、光学的異方性相の割合95%)を3000hole
の紡糸口金を用いて340℃で溶融紡糸を紡糸を行ない
ピッチ繊維束を得た。
【0038】溶融紡糸の際に、シリコン油(ジメチルポ
リシロキサン系)のエマルジョンをスプレーして繊維束
の集束を行なった。繊維束をケンスに捕集して酸化性ガ
ス雰囲気で不融化処理を行なった。
【0039】不融化後の繊維を巻き上げながら糸を走ら
せて850℃で予備炭化を行なってボビンに巻き取っ
た。
【0040】得られた繊維を黒鉛化炉の入口に開繊装置
を設置して開繊処理を行なった後に2150℃で黒鉛化
して炭素繊維を得た。
【0041】開繊装置は図2に示したようにセラミック
ス製のローラーで繊維をはさんで圧下する形式をもちい
た。炭素繊維は、表面酸化処理、サイジング処理を行な
い製品とした。
【0042】得られた炭素繊維は、ストランド法で測定
した引張強度が352Kgf/mm2、弾性率52to
nf/mm2であった。また光電式毛羽計数装置を用い
て測定した製品の毛羽は7個/mであった。
【0043】
【比較例1】開繊処理を行なわないほかは実施例と同じ
処理を行ない、炭素繊維を得た。
【0044】得られた炭素繊維は引張強度318Kgf
/mm2、弾性率51tonf/mm2であった。
【0045】また製品の毛羽は6個/mであった。毛羽
は実施例と同程度であるが実施例に比較して強度の低い
繊維しか得られなかった。
【0046】
【比較例2】溶融紡糸で集束剤を塗布することなく、さ
らに開繊処理を行なわないほかは実施例と同じ処理を行
ない、炭素繊維を得た。
【0047】得られた炭素繊維は引張強度356Kgf
/mm2 、弾性率51tonf/mm2であった。
【0048】また製品の毛羽は186個/mであった。
集束を行なわない場合に比べて強度は改善されたが、毛
羽が非常に多くまた不融化繊維の巻き上げ時に繊維が切
断して取り扱いにくい繊維であった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、集束による強度低下を
防止して取り扱いやすくかつ毛羽が少ない、しなやか
な、炭素繊維を簡単な工程で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素繊維の製造工程別の融着点数の測定結果を
示す図である。
【図2】本発明の開繊装置の例を示す説明図である。
【符号の説明】 1 黒鉛化炉 2 繊維束 3 ベアリング 4 セラミック製パイプ表面ダイアモンド研磨品 5 軸受け 6 圧下用おもり

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ピッチから溶融紡糸したピッチ糸を
    集束して酸化雰囲気で不融化し、不活性ガス中で400
    ℃〜900℃で熱処理した後、気相中で開繊処理を行な
    い膠着している繊維を分離し、さらに1200℃〜30
    00℃で炭素化、黒鉛化処理を行なうことを特徴とする
    ピッチ系炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 開繊処理が鏡面仕上げを施したセラミッ
    クスローラー間に繊維束を通過させることにより、繊維
    束に圧縮力を作用させることである請求項(1)記載の
    ピッチ系炭素繊維の製造方法。
JP11421992A 1992-04-08 1992-04-08 ピッチ系炭素繊維の製造方法 Withdrawn JPH05287617A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008105225A1 (ja) * 2007-02-27 2008-09-04 Nec Corporation 炭素繊維ロービング、これを用いた長繊維ペレット及び繊維強化樹脂成形体
WO2019146487A1 (ja) 2018-01-26 2019-08-01 東レ株式会社 耐炎化繊維束および炭素繊維束の製造方法
US11319648B2 (en) 2018-01-26 2022-05-03 Toray Industries, Inc. Stabilized fiber bundle and method of manufacturing carbon fiber bundle

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