JPH05295620A - ピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維の製造方法

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JPH05295620A
JPH05295620A JP4094426A JP9442692A JPH05295620A JP H05295620 A JPH05295620 A JP H05295620A JP 4094426 A JP4094426 A JP 4094426A JP 9442692 A JP9442692 A JP 9442692A JP H05295620 A JPH05295620 A JP H05295620A
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pitch
fiber
bundle
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fibers
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JP4094426A
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Yasuki Aida
泰規 合田
Masaaki Tatsumi
雅昭 辰巳
Tadaaki Goto
忠明 後藤
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 不融化工程における繊維の融着を防ぎ柔軟性
と集束性とを併せて改善する。 【構成】 光学的に異方性のピッチを溶融紡糸して得ら
れるピッチ繊維を合糸した後、不融化処理し、予備炭化
し、炭化乃至黒鉛化して炭素繊維を製造する方法におい
て、紡糸されたピッチ繊維束を複数個のローラーを介し
て張力をかけ、耐熱性集束油剤を付与しつつ合糸ローラ
ーで500〜10000フィラメントの束に合糸し、開
繊ローラーによって繊維束を開繊しつつ500〜100
00フィラメントの束を互いに絡み合わせ、さらに耐熱
性集束油剤を付与して集束させた後、ピッチ繊維を含酸
素雰囲気中で不融化し、次いで不活性雰囲気中で予備炭
化し、炭化乃至黒鉛化する。繊維束への印加張力は開繊
ローラー間で5〜150g/1000フィラメントとす
る。また、開繊ローラーの形状が円筒型の馬蹄型であ
り、その表面の曲率半径が10〜200mmであり、且
つ少なくとも3個の開繊ローラーを通過させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的異方性ピッチを
原料とする炭素繊維または黒鉛化繊維(本明細書におい
ては、特に必要でない限り、この両者を単に炭素繊維と
いう)の製造方法に関する。
【0002】なお、本明細書において、“%”とあるの
は、“重量%”を意味するものとする。
【0003】
【従来技術とその問題点】ピッチ系材料を原料とする炭
素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)などの有機
合成繊維をプリカーサーとする炭素繊維(PAN系炭素
繊維など)に比して、ピッチの黒鉛化が容易であり、高
結晶性、高配向性などに由来する引張弾性率に優れてい
るので、高性能材料として注目されている。また、ピッ
チ系炭素繊維は、原料であるピッチが安価であること、
炭化収率が高いことなどの理由により、コスト的にも、
PAN系炭素繊維よりも有利である。
【0004】しかしながら、従来技術においては、ピッ
チ繊維の脆さに起因して、繊維の切断、毛羽立ちなどが
多発して、高品質の炭素繊維を得ることは、実質上困難
であった。
【0005】この様な問題点を解決するために、種々の
集束剤が提案されている。例えば、25℃における粘度
が2〜10000cstであるシリコーン油をそのまま
または溶剤で希釈してピッチ繊維に付着させる方法(特
開昭59−223315号公報)、25℃における粘度
が0.5〜500cstであるジメチルポリシロキサン
を用いる方法(特開昭60−88124号公報)、或い
は非イオン系界面活性剤を減圧蒸留して得た沸点600
℃以下の留出物を乳化剤として、25℃における粘度が
10〜1000cstであるアルキルフェニルポリシロ
キサンを乳化した水エマルジョン系油剤を使用する方法
(特開昭62−133122号公報)などが提案されて
いる。しかしながら、これらの方法では、溶剤に対する
集束剤の溶解性が低かったり、油剤が分解ないし劣化す
るなどの理由により、不融化工程中に繊維の融着或いは
固着を生じやすく、繊維の柔軟性が著しく損なわれる。
また、ピッチ繊維を1000フィラメント以上に合糸
し、不融化を行なうに際し、集束油剤を繊維に付着させ
て、合糸および不融化した繊維の集束状態は、フィラメ
ント数の増加とともに、低下するという欠点がある。
【0006】一般に、従来提案されている集束油剤を使
用して束数の多いフィラメントを合糸し、不融化するに
際しては、必然的に単繊維間の融着による繊維束の柔軟
性の欠如或いは繊維束の集束の欠如が起こり、高品質の
繊維を得ることはできなかった。即ち、柔軟性を保持し
ようとすれば集束性が損なわれ、集束性を向上させよう
とすれば柔軟性が損なわれることは、避けられなかっ
た。
【0007】この様な問題を解決するために、ピッチ繊
維の合糸時に1m当たり0.1〜30回のよりを強制的
にかけて集束する方法(特開昭62−184125号公
報、特公平4−3435号公報)も提案されているが、
炭素繊維の引張張力が低下したり、繊維の中間加工時に
問題を生じる場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、不
融化工程における繊維の融着を防止し、柔軟性と集束性
とを併せて改善し得るピッチ系炭素繊維の製造方法を提
供することを主な目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記の如
き従来技術の現状に鑑みて研究を重ねた結果、特定の工
程の組合わせにより、従来技術の問題点が実質的に解消
ないし大幅に軽減されることを見出した。
【0010】すなわち、本発明は、下記のピッチ系炭素
繊維の製造方法を提供するものである: 1 光学的に異方性のピッチを溶融紡糸して得られるピ
ッチ繊維を合糸した後、不融化処理し、予備炭化し、炭
化乃至黒鉛化して炭素繊維を製造する方法において、紡
糸されたピッチ繊維束を複数個のローラーを介して張力
をかけ、耐熱性集束油剤を付与しつつ合糸ローラーで5
00〜10000フィラメントの束に合糸し、開繊ロー
ラーによって繊維束を開繊しつつ500〜10000フ
ィラメントの束を互いに絡み合わせ、さらに耐熱性集束
油剤を付与して集束させた後、ピッチ繊維を含酸素雰囲
気中で不融化し、次いで不活性雰囲気中で予備炭化し、
炭化乃至黒鉛化することを特徴とするピッチ系炭素繊維
の製造方法。
【0011】2 繊維束への印加張力が開繊ローラー間
で5〜150g/1000フィラメントである上記項1
に記載のピッチ系炭素繊維の製造方法。
【0012】3 開繊ローラーの形状が鼓型であり、そ
の表面の曲率半径が10〜200mmであり、且つ少な
くとも3個の開繊ローラーを通過させる上記項1に記載
のピッチ系炭素繊維の製造方法。
【0013】本発明において使用するピッチは、光学的
に異方性であれば、石炭系ピッチ、石油系ピッチおよび
合成ピッチのいずれであってもよい。石炭系ピッチとし
ては、コールタールピッチ、石炭液化油などが例示され
る。石油系ピッチとしては、エチレンタールなどが例示
される。合成ピッチとしては、ナフタレンなどを原料と
して、例えば、特開平1−139621号公報、特開平
1−254796号公報などに開示された方法で製造さ
れたピッチなどが例示される。また、これらのピッチ
は、必要に応じて、比重差による沈降分離、濾過、蒸
留、溶剤抽出、水素化反応、重縮合反応などの公知の方
法により改質した後、使用しても良い。本発明において
使用するピッチの異方性成分量は、光学的顕微鏡観察に
よる面積率で80%以上であれば良く、90%以上であ
ることがより好ましい。ピッチの軟化点は、特に限定さ
れるものではないが、紡糸性の観点から、220〜32
0℃程度であることが好ましく、240〜300℃程度
であることがより好ましい。
【0014】以下本発明方法を各処理工程毎に詳細に説
明する。
【0015】(1)紡糸 紡糸工程は、実質的に常法と異なるところはない。即
ち、光学的に異方性のピッチを所定の温度で溶融し、1
00〜2000穴を有する紡糸口金から吐出したマルチ
フィラメントにオイリングローラー、スプレーなどによ
り集束剤を付着させながら、ゴデットローラーにより高
速延伸し、ケンス上に落とし、ピッチ繊維を逐次カゴ
(ケンス)に集積させるか、或いはボビンに巻き取る。
【0016】この際使用する集束剤としては、公知のも
のが使用可能であり、水、エチルアルコールなどのアル
コール類、粘度5〜500cst(25℃)のジメチル
ポリシロキサンなどの低沸点のシリコーン油などが例示
される。これらの集束剤は、溶剤で希釈したり、乳化剤
により水に分散させたり、界面活性剤を添加したりし
て、使用しても良い。繊維に対する集束剤の付着量は、
通常0.05〜10%程度であり、より好ましくは0.
08〜4%程度である。
【0017】(2)合糸および集束 上記の様にして集積したピッチ繊維束の2〜20本程度
を同時に取り上げ、若干の張力を掛けながら500〜1
0000フィラメントに合糸する。この際、複数個(好
ましくは3〜10個)のローラーを介してピッチ繊維束
に張力をかけ、耐熱性集束油剤を付与しながら合糸ロー
ラー(図2に符号1として示す様に、ピッチ繊維に最初
に接触する開繊ローラーをいう)で500〜10000
フィラメントの束に合糸し、次いで開繊ローラーによっ
て繊維束を開繊しつつ、500〜10000フィラメン
トの繊維束を互いに絡み合わせ、再度耐熱性集束油剤を
付与して、集束させる。
【0018】耐熱性集束油剤としては、粘度5〜100
0cst(25℃)程度のジメチルポリシロキサン、メ
チルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油が挙げ
られる。これらは、溶剤で希釈したり、乳化剤により水
に分散させたり、界面活性剤を添加したりして、使用し
ても良い。また、耐熱性集束油剤には、必要に応じてア
ミン類(フェニルアルファナフチルアミンなど)、ジラ
ウリルセレナイド、フェノチアジンなどの酸化防止剤を
配合しても良い。
【0019】繊維束への印加張力は、開繊ローラー間で
10〜150g/1000フィラメント程度(より好ま
しくは30〜80g/1000フィラメント程度)であ
る。印加張力が低すぎる場合には、合糸した際に1本の
束が直状にならず、複数本の束の束長さに分布ができる
ので、好ましくない。一方、印加張力が大きすぎる場合
には、ピッチ繊維束が切れてしまう危険性があり、やは
り好ましくない。
【0020】開繊ローラーの形状は、図1に平面図とし
て示すように、馬蹄型ローラーが好ましく、繊維束を上
面および下面の両面から通過させるために、円筒型の馬
蹄型ローラー(鼓型ローラー)とすることが好ましい。
この様なローラーでは、表面の曲率半径Rを10〜20
0mm程度(より好ましくは50〜150mm程度)と
するのが良い。合糸ローラーおよび開繊ローラーは、図
2に示すように、集束油剤を付与しているので、回転さ
せてもさせなくても良いが、通糸速度が遅い場合には、
回転させた方が良い。開繊ローラーは、繊維束の上面と
下面との両面からの開繊が必要であるため、3個以上使
用することが特に望ましい。開繊ローラーの材質は、ピ
ッチ繊維を傷付けないものであれば、特に制限されず、
ポリテトラフルオロエチレン樹脂などが適している。
【0021】耐熱性集束油剤の付与方法は、ローラー接
触法、スプレー法などのいずれの方法でも良い。繊維に
対する耐熱性集束油剤の付着量は、通常0.05〜10
%程度であり、より好ましくは0.08〜4%程度であ
る。
【0022】合糸した500〜1000フィラメントの
繊維束は、再度ケンス上に集積しても良く、或いはボビ
ンに巻き取っても良い。
【0023】上記の様にして合糸された500〜100
00フィラメントの繊維束は、繊維束同士が互いに絡ん
でおり、炭化ないし黒鉛化時に張力を印加させても、分
離することはない。また、耐熱性集束油剤によって、繊
維は十分に集束されつつも、シリコーン系成分などの存
在により、単繊維同士が融着することなく、最終製品ま
での製造が可能となる。
【0024】(3)不融化 上記の様にして集積されたピッチ繊維は、含酸素雰囲気
下に不融化処理される。不融化処理は、特に限定される
ものではないが、昇温速度0.5〜3℃/分程度、保持
温度210〜350℃程度、保持時間1時間程度まで
(より好ましくは2〜30分間)の条件を適宜組合わせ
て行なえば良い。含酸素雰囲気としては、空気、酸素富
化空気、酸素−不活性ガス混合物などが挙げられる。炭
素繊維或いは黒鉛化繊維の物性の改善という観点から
は、ピッチ繊維の半径方向に均一なプロファイルとなる
様に処理を行なうことが望ましい。
【0025】或いは、不融化の促進およびコストの削減
という観点からは、250℃以下の温度でNO2 、オゾ
ンなどの酸化剤を含む雰囲気中で不融化処理を開始し、
その後必要に応じて最高350℃まで昇温して、不融化
を完了させても良い。但し、均一な不融化を目的とする
場合には、酸化剤を使用しないことが好ましい。従っ
て、酸化剤を使用するか否かは、目的に応じて決定すべ
きである。
【0026】不融化時に合糸されたピッチ繊維束に対し
張力をかけることは、必須ではないが、好ましい。
【0027】不融化を終えた繊維には、再度耐熱性集束
油剤を付与する。この油剤は、上記の合糸時に付与した
と同様のもので良い。不融化繊維に対する耐熱性集束油
剤の付着量は、通常0.05〜10%程度であり、より
好ましくは0.08〜5%程度である。
【0028】(4)予備炭化 上記の様にして不融化を終えた繊維は、常法に従って、
予備炭化処理される。予備炭化は、特に限定されるもの
ではないが、不活性雰囲気中で通常昇温速度5〜300
℃/分程度(より好ましくは10〜150℃/分程
度)、最高到達温度500〜1000℃程度(より好ま
しくは600〜800℃程度)での保持時間3〜20分
間程度の条件下に行なわれる。
【0029】(5)炭化ないし黒鉛化 予備炭化を終えた繊維は、常法に従って不活性雰囲気中
1000〜2000℃で炭化処理され、炭素繊維とされ
る。
【0030】また、必要ならば、炭素繊維は、さらに常
法に従って不活性雰囲気中2000〜3000℃で黒鉛
化処理され、黒鉛化繊維となる。
【0031】
【発明の効果】本発明方法によれば、不融化処理前のピ
ッチ繊維に付与する耐熱性集束油剤の作用と繊維束同士
の物理的な絡まりにより、10000フィラメント以上
というフィラメント数の多い繊維束においても、繊維束
に良好な集束性および柔軟性を同時に発現させることが
できるので、炭素繊維の製造コストが著るしく低減され
る。
【0032】さらに、本発明においては、ピッチ繊維の
合糸時に繊維束に強制的に“より”をかける必要がない
ので、殆どよりのない炭素繊維を製造することができ
る。
【0033】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明らかにする。
【0034】実施例1 石炭系熱重合ピッチ(光学的異方性成分=約95%、軟
化点=309℃、キノリン不溶分=33.2%)を10
00穴の紡糸口金を有する溶融紡糸機を用いて約350
℃で紡糸して得た直径13μmのピッチ繊維束に、オイ
リングローラーにより耐熱性集束油剤(ジメチルポリシ
ロキサン:25℃での粘度30cst)を付与しつつ、
ゴデットローラーで延伸し、15分間ケンスに集積させ
た。ピッチ繊維に対する集束剤の付着量は、0.6%で
あった。
【0035】次いで、ピッチ繊維の入ったケンス6個を
同時に引上げ、張力をかけながらローラー接触法により
ピッチ繊維に耐熱性集束油剤(上記に同じ)を付与しつ
つ合糸を行なって、6000フィラメントの繊維束を得
た。繊維に対する集束油剤の付着量は、1.0%であっ
た。
【0036】次いで、上記の6000フィラメントのピ
ッチ繊維束を開繊ローラー5個を順次通過させ、ピッチ
繊維束の上下面を交互に押えてピッチ繊維を絡ませた。
この際の開繊ローラー5個間での平均印加張力は、48
g/1000フィラメントであった。開繊ローラーは、
図1に示す形状の馬蹄型のもの(R=80mm)であ
り、その材質は、ポリテトラフルオロエチレンであっ
た。また、最後に位置する開繊ローラーにおいては、合
糸時に使用したものと同様の耐熱性集束油剤をローラー
接触により付与した後、再度ケンスに集束させた。この
ときの繊維に対する集束油剤の付着量は、1.0%であ
った。
【0037】次いで、上記のようにして集束した繊維束
を不融化炉に入れ、空気雰囲気中且つブロワーによる空
気攪拌下に昇温速度2℃/分で炉内温度を150℃から
300℃まで昇温し、310℃で5分間保持した後、繊
維を炉から取り出した。不融化による繊維の酸素摂取量
は、8.0%であった。
【0038】次いで、上記の様にして得られた不融化繊
維を窒素雰囲気下に800℃で予備炭化した後、アルゴ
ン雰囲気下に2200℃で黒鉛化に供した。
【0039】得られた黒鉛化繊維の引張強度は、335
kg/mm2 であり、引張弾性率は、49.5ton/
mm2 であった。また、繊維束の集束性および柔軟性
は、ともに良好であった。
【0040】比較例1 開繊ローラーを使用することなくピッチ繊維を合糸する
以外は実施例1と同様にして黒鉛化繊維を得た。
【0041】得られた黒鉛化繊維の引張強度は、328
kg/mm2 であり、引張弾性率は、49ton/mm
2 であった。この繊維束では、柔軟性は比較的良好であ
ったが、1000フィラメント毎にかなりの部分で分離
が認められた。
【0042】実施例1および比較例1の対比から、本発
明方法による優れた効果が明確である。
【0043】比較例2 開繊ローラーの数を1個のみとしてピッチ繊維を合糸
し、且つ繊維に対する耐熱性集束油剤の付着量を1.2
%とする以外は実施例1と同様にして黒鉛化繊維を得
た。この時の開繊ローラー前後における繊維への印加張
力は、約320g/1000フィラメントであった。ま
た、不融化後の繊維の酸素摂取量は、8.2%であっ
た。
【0044】得られた黒鉛化繊維の引張強度は、330
kg/mm2 であり、引張弾性率は、49.2ton/
mm2 であった。繊維束の集束性は、開繊ローラーを全
く使用しない場合に比して、かなり改善されていたが、
1000フィラメント毎に一部で分離が認められた。、
また、繊維の柔軟性は、良好であった。
【0045】実施例2 開繊ローラー間の印加張力を(1)10g/1000フ
ィラメント、(2)280g/1000フィラメントま
たは(3)1000g/1000フィラメントとする以
外は実施例1と同様にして黒鉛化繊維の製造を行なった
ところ、それぞれ以下の結果が得られた。
【0046】 (1)不融化繊維の酸素含有量:8.0% 黒鉛化繊維の引張強度:301kg/mm2 引張弾性強度:48.2ton/mm2 繊維の集束性:2〜3000フィラメントが湾曲(引張
強度低下の原因と推測される) 繊維の柔軟性:良好 (2)不融化繊維の酸素含有量:8.1% 黒鉛化繊維の引張強度:327kg/mm2 引張弾性強度:47.6ton/mm2 繊維の集束性:良好 繊維の柔軟性:良好 (3)不融化繊維の酸素含有量:8.0% 黒鉛化繊維の引張強度:299kg/mm2 引張弾性強度:47.9ton/mm2 繊維の集束性:良好(但し単糸切れが認められ、引張強
度低下の原因となっているものと推測される) 繊維の柔軟性:良好 実施例3 実施例1と同様にして得た1000フィラメントのピッ
チ繊維の入ったケンス9個を使用して、実施例1と同様
にして9000フィラメントの合糸を行なうに際し、開
繊ローラーを7個使用して繊維束同士を十分に絡ませ
た。開繊ローラー間での印加張力は、580g/900
0フィラメントとし、開繊ローラー表面のRを120m
mとした。合糸後のケンスに集積された繊維の耐熱性集
束油剤の付着量は、2%であった。
【0047】次いで、上記の処理を終えた繊維を実施例
1と同様にして不融化した。繊維の酸素摂取量は、8.
3%であった。
【0048】次いで、実施例1と同様にして不融化繊維
の予備炭化および黒鉛化を行ない、黒鉛化繊維を得た。
【0049】得られた黒鉛化繊維の引張強度は、305
kg/mm2 であり、引張弾性率は、49ton/mm
2 であった。繊維束の集束性および柔軟性は、ともに良
好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する開繊ローラーの1例の概要を
示す平面図である。
【図2】複数個の開繊ローラーを使用する本発明方法の
1実施態様の概要を示す図面である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に異方性のピッチを溶融紡糸して
    得られるピッチ繊維を合糸した後、不融化処理し、予備
    炭化し、炭化乃至黒鉛化して炭素繊維を製造する方法に
    おいて、紡糸されたピッチ繊維束を複数個のローラーを
    介して張力をかけ、耐熱性集束油剤を付与しつつ合糸ロ
    ーラーで500〜10000フィラメントの束に合糸
    し、開繊ローラーによって繊維束を開繊しつつ500〜
    10000フィラメントの束を互いに絡み合わせ、さら
    に耐熱性集束油剤を付与して集束させた後、ピッチ繊維
    を含酸素雰囲気中で不融化し、次いで不活性雰囲気中で
    予備炭化し、炭化乃至黒鉛化することを特徴とするピッ
    チ系炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維束への印加張力が開繊ローラー間で
    5〜150g/1000フィラメントである請求項1に
    記載のピッチ系炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 開繊ローラーの形状が鼓型であり、その
    表面の曲率半径が10〜200mmであり、且つ少なく
    とも3個の開繊ローラーを通過させる請求項1に記載の
    ピッチ系炭素繊維の製造方法。
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