JPH04257323A - ピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法

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JPH04257323A
JPH04257323A JP41654390A JP41654390A JPH04257323A JP H04257323 A JPH04257323 A JP H04257323A JP 41654390 A JP41654390 A JP 41654390A JP 41654390 A JP41654390 A JP 41654390A JP H04257323 A JPH04257323 A JP H04257323A
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JP
Japan
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fiber bundle
pitch
temperature
fiber
fibers
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Application number
JP41654390A
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English (en)
Inventor
Kikuji Komine
小峰 喜久治
Takashi Hino
日野 隆
Kiyotoshi Mase
間瀬 清年
Masaharu Yamamoto
雅晴 山本
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般には炭素繊維(本
明細書にて「炭素繊維」とは特に明記しない場合には炭
素繊維のみならず黒鉛繊維をも含めて使用する。)の製
造方法に関するものであり、特に種々の炭素質ピッチか
ら炭素繊維を極めて効率よく且つ多量に製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】石油系ピッチ、石炭系ピッチ等の炭素質
ピッチから製造されるピッチ系炭素繊維は、現在最も多
量に製造されているレ−ヨン系やPAN系の炭素繊維に
比較して炭化収率が高く、弾性率等の物理的特性も優れ
ており、更に低コストにて製造し得るという利点を有し
ているために近年注目を浴びている。
【0003】現在、ピッチ系炭素繊維は、(1)石油系
ピッチ、石炭系ピッチ等から炭素繊維に適した炭素質ピ
ッチを調製し、該炭素質ピッチを加熱溶融して紡糸機に
て紡糸し、集束してピッチ繊維束を製造し、(2)前記
ピッチ繊維束を不融化炉にて酸化性雰囲気下にて150
〜350℃までに加熱して不融化し、(3)次いで、不
融化された繊維束を炭化炉にて不活性雰囲気下にて30
00℃以下にまで加熱して炭化或は黒鉛化すること、に
より製造されている。
【0004】しかしながら、従来の技術によっては、ピ
ッチ繊維、不融化繊維の引張強度が約0.01GPaと
小さい上、脆いためにその取扱いが難しく、高性能製品
を得るのに必要なロングフィラメント状の繊維を安定し
て多量に得ることが極めて困難であった。
【0005】これらの問題解決方法の一つとして、本発
明者等は、炭素質ピッチを紡糸して得たピッチ繊維を合
糸してストレート系油剤を付与することによって繊維束
の強さを強くした上で、酸素濃度が30%以上の富酸素
ガス中で、繊維束を連続的に線状で通して不融化する方
法を提案した(特開昭63−264917号を参照せよ
)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、不融化前の
ピッチ繊維束の段階で繊維束を延伸できれば、これを炭
素繊維にしたときに、引張強度、引張弾性率及び圧縮強
度を向上できる可能性があるが、通糸するピッチ繊維束
が約0.01GPaと脆弱であるため、従来、ピッチ繊
維束の延伸処理は全く困難であった。
【0007】上記特開昭63−264917号に記載の
発明も、この問題点を根本的に解決し得るものではなか
った。
【0008】本発明者等は、連続焼成プロセスにおいて
炭素繊維を製造する方法を研究する過程で、不融化前の
ピッチ繊維束を酸化性ガス雰囲気下で、ピッチ繊維束の
溶融破断温度より30〜100℃低い温度まで急速に昇
温して、繊維束を短時間の熱処理しながら同時に延伸処
理すれば、その後に不融化、予備炭化、炭化して得られ
る炭素繊維の物性、即ち引張強及び引張弾性率が飛躍的
に向上し、又圧縮強度も増大することを見出した。
【0009】本発明は、斯る新規な知見に基づきなされ
たものである。
【0010】従って、本発明の目的は、不融化前のピッ
チ繊維束を酸化性ガス雰囲気中で、繊維束を硬化的に延
伸処理を加えた熱処理することにより、高引張強度、高
引張弾性率及び高圧縮強度を有した高品質の炭素繊維を
製造するためのピッチ系炭素繊維の製造方法を提供する
ことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
ピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法にて達成され
る。要約すれば本発明は、紡糸、集束されたピッチ繊維
束を不融化し、前記不融化された不融化繊維束を予備炭
化し、然る後に炭化し、必要に応じて更に黒鉛化するこ
とからなるピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法に
おいて、前記ピッチ繊維束を不融化する際にそれに先立
って、酸化性ガス雰囲気中で繊維束の溶融破断温度より
も30〜100℃低い温度まで100〜5000℃/分
の速度で昇温して、繊維束を1〜200秒の極く短時間
で熱処理しながら同時に延伸率5〜100%の延伸処理
し、その後に前記不融化を行なうことを特徴とするピッ
チ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法である。
【0012】尚、繊維束の溶融破断温度とは、窒素雰囲
気の一定温度(例えば400℃)に保持された加熱部長
さ2mの炉に繊維束を10m/分で通糸して(繊維束の
昇温速度5000℃/分に相当)、繊維の溶融により繊
維束が切断する温度をいう。繊維束の溶融破断温度は、
切断した繊維束を目視により観察して繊維に溶融が認め
られたときの温度として得ることができるが、正確には
走査型電子顕微鏡による観察で繊維の溶融を認めたとき
の温度として求められる。
【0013】又昇温速度とは、炉の入り口温度から炉の
均熱部の温度にピッチ繊維束が到達する時間から求めた
値をいう。
【0014】本発明においては、ピッチ繊維束の溶融破
断温度よりも30〜100℃低い温度まで急速に昇温し
て、熱処理及びこれと同時の延伸処理からなる短時間の
延伸熱処理をするが、好ましくは溶融破断温度よりも4
0〜80℃低い温度までの昇温とすることがよい。又昇
温速度は100〜5000℃/分の速度が用いられるが
、好ましくは500〜4000℃/分である。
【0015】本発明によれば、上記のように、ピッチ繊
維束の不融化前に先立って、酸化性ガス雰囲気下でピッ
チ繊維束の溶融破断温度よりも30〜100℃低い温度
まで急速に昇温して、短時間の延伸熱処理をするので、
得られる炭素繊維の物性は、引張強度及び引張弾性率が
飛躍的に向上し、又圧縮強度も増大したものになる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0017】先ず、炭素質ピッチは当業者には周知の方
法によって紡糸できる。例えば、石油系ピッチ、石炭系
ピッチ、芳香族炭化水素類を原料とするピッチ等の炭素
繊維の製造に適した炭素質ピッチを加熱溶融して1〜2
000本、好ましくは50〜1000本のフィラメント
を紡糸し、各フィラメントには通常使用されているオイ
リングローラを使用して集束剤を付与して、これら多数
のフィラメントを集束し、1本の糸条としてボビンに巻
取られる。
【0018】集束剤としては、例えば水、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、等のアルコール類又は粘度5〜
1000cst(25℃)のジメチルポリシロキサン、
アルキルフェニルポリシロキサン等を、低沸点のシリコ
ーン油(ポリシロキサン)又はパラフィン油等の溶剤で
稀釈したもの、又は乳化剤を入れて水に分散させたもの
;同様にグラファイト又はポリエチレングリコールやヒ
ンダードエステル類を分散させたもの;界面活性剤を水
で稀釈したもの;その他通常の繊維、例えばポリエステ
ル繊維に使用される各種油剤の内ピッチ繊維を犯さない
ものを使用することができる。
【0019】集束剤のピッチ繊維への付与量は、通常0
.01〜10重量%とされるが、特に0.05〜5重量
%が好ましい。
【0020】上述のようにして一旦ボビンに巻取られた
多数のフィラメントから成る糸条は、複数個の、例えば
2〜50個のボビンを同時に解舒することによって、又
は複数回に分けて、例えば1回目は2〜10本を、次い
で残余分をといつたように、解舒合糸を繰返し行なうこ
とによつて、2〜50本の糸条を合束(合糸)し、10
0〜100000本、好ましくは500〜10000本
のフィラメントからピッチ繊維束(以後単に「ピッチ繊
維」という。)が製造され、他のボビンに巻取られる。
【0021】斯る合糸時に、不融化時及び予備炭化時の
処理を考慮してピッチ繊維に耐熱性の油剤が付与される
。耐熱性の油剤としては、アルキルフェニルポリシロキ
サンが好ましく、フェニル基を5〜80%、好ましくは
10〜50%含み、又、アルキル基としてはメチル基、
エチル基、プロピル基が好ましく、同一分子に2種以上
のアルキル基を有していても良い。又、粘度は25℃に
て10〜1000cstのものが使用される。更に後述
するような酸化防止剤を添加することもできる。
【0022】他の好ましい油剤としては、ジメチルポリ
シロキサンに酸化防止剤を入れたものが使用可能であり
、粘度としては25℃で5〜1000cstのものが好
ましい。酸化防止剤としては、アミン類、有機セレン化
合物、フェノール類等、例えばフェニル−α−ナフチル
アミン、ジラウリルセレナイド、フェノチアジン、鉄オ
クトレート等を挙げることができる。これらの酸化防止
剤は、上述したように、更に耐熱性を高める目的で上記
アルキルフェニルポリシロキサンに添加することも可能
である。
【0023】更に、好ましい油剤としては、上記各油剤
を沸点が600℃以下の界面活性剤を用いて、乳化した
ものを使用することもできる。このとき界面活性剤とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレン変性
シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン等を
使用し得る。
【0024】これら油剤は、ローラ接触、スプレー塗布
、泡沫塗布等により、ピッチ繊維に0.01〜10重量
%、好ましくは0.05〜5重量%が付与される。
【0025】上述のように、合糸されたピッチ繊維に耐
熱性油剤を付与することにより、該ピッチ繊維は強度が
著しく強くなり糸扱い性が極めて向上する。
【0026】以上の如くにして製造されたピッチ繊維を
ボビンより解舒して、ピッチ繊維の延伸熱処理炉へと送
給する。
【0027】延伸熱処理炉内は酸化性ガス雰囲気とされ
、炉内には空気、酸素、空気と酸素又は空気と窒素の混
合ガス等の酸化性ガスが供給されるが、好ましいガスと
しては酸素濃度30〜90%の富酸素ガスが使用される
。場合によっては、上記のガスにNOx、SOx、Cl
2 などを含有させた混合ガスを用いてもよい。
【0028】炉内の温度は、ピッチ繊維束の溶融破断温
度より30〜100℃低い温度にセットされ、この温度
まで100〜5000℃/分の速度で昇温して、繊維束
を1〜200秒の極く短時間の延伸熱処理する。
【0029】上記の延伸熱処理は、例えば200℃とい
うような定温炉で行なってもよく、炉入り口部から出口
部にかけて170℃、180℃、190℃、200℃と
いうように、段階的に高くした温度が保持された温度傾
斜炉で行なってもよい。
【0030】本発明においては、繊維束の溶融破断温度
よりも30〜100℃低い温度まで急速に昇温して延伸
熱処理するが、好ましくは溶融破断温度より40〜80
℃低い温度がよい。上記の昇温が溶融破断温度より30
℃低い温度を超える高い温度まで行なわれると、繊維束
に融膠着が起こって繊維束が破断するので、好ましくな
い。又上記の昇温が溶融破断温度よりも100℃低い温
度未満の低い温度までであると、繊維束の延伸が困難に
なるので、同様に好ましくない。
【0031】上記の溶融破断温度よりも30〜100℃
低い温度までの繊維束の昇温速度は、100〜5000
℃/分の速度が用いられるが、好ましくは500〜40
00℃/分である。昇温速度が100℃/分未満の場合
、不融化が進み十分な延伸ができにくくなり、逆に50
00℃/分を超える場合、昇温が速すぎて繊維束の通糸
速度を速めなければならず、操作上の問題が出て来、や
はり好ましくない。
【0032】延伸熱処理の時間は、1〜200秒が用い
られるが、好ましくは5〜100秒℃の極く短時間であ
るのがよい。
【0033】延伸熱処理における延伸処理は、繊維束に
テンションを付与するか、2つのローラの差動により行
なわれ、いずれの方法によっても達成される。延伸時の
テンションは1フィラメント当たり0.001〜0.2
0gが付与される。
【0034】繊維束の延伸率は5〜100%、好ましく
は10〜80%とするのがよい。延伸率が5%未満では
十分な延伸効果が得られず、又100%を超えると、延
伸による繊維のダメージが多くなるので好ましくない。
【0035】延熱伸処理は1回で行なってもよいが、例
えば190℃で1度延伸し、引き続き200℃で延伸す
るというように複数回に分けて実施することもできる。 複数回に分けた場合には繊維のダメージが少なく、延伸
が容易にできるようになるので好ましい。
【0036】以上のように、ピッチ繊維束に積極的にテ
ンションを掛けて延伸熱処理しているので、繊維組織の
配列性が高まり、最終的に得られる炭素繊維の引張強度
、圧縮強度及び断引張弾性率を有効に向上することが可
能となる。
【0037】このように処理されたピッチ繊維束は、不
融化炉へと送給される。不融化炉内の温度は150〜3
50℃の範囲内の或る一定温度とすることもできるが、
炉入口より炉出口にかけて150℃から350℃へと次
第に増大する温度勾配を有するように設定することもで
きる。
【0038】又、不融化炉内は酸化性雰囲気とされ、不
融化炉内には空気、酸素、空気と酸素又は空気と窒素の
混合ガス等の酸化性ガスが供給されるが、好ましいガス
として酸素濃度30〜90%の富酸素ガスが使用される
【0039】本発明に従えば、不融化処理時に、繊維束
にはテンションをかけずに行なうこともできるが、不融
化炉内での繊維束のたるみによる炉底、炉壁をこするこ
とにより生じる引きずり傷の発生防止、及び外観が良く
且つ引張強度、引張弾性率などの炭素繊維の物性の向上
のために、1フィラメント当たり0.001〜0.2g
のテンションをかけながら不融化を行なうことが好まし
い。
【0040】このようにして、不融化繊維束の酸素濃度
が7〜12重量%になるように不融化される。不融化炉
で不融化された不融化繊維束は、上述したように、連続
的に予備炭化炉内に導入され、予備炭化される。
【0041】予備炭化炉内は、最高温度500〜130
0℃に加熱され、且つ炉内を不活性雰囲気とするために
化学的に不活性な窒素ガス又はアルゴンガスが供給され
る。
【0042】斯る予備炭化炉内を通糸された不融化繊維
束は予備炭化され、強度約0.2GPa以上、弾性率約
4GPa以上の予備炭化繊維束が得られる。
【0043】以上のようにして不融化繊維束の予備炭化
を行なったら、得られた予備炭化繊維束を続いて炭化炉
で不活性ガス雰囲気下にて温度1500〜2000℃ま
で加熱して炭化し、必要に応じて3000℃まで加熱し
て黒鉛化すればよい。これにより繊維の切断や毛羽立ち
がなく、且つ引張強度、引張弾性率及び圧縮強度が向上
した炭素繊維を得ることができる。
【0044】本発明で用いる原料炭素質ピッチは、公知
の原料、例えば石油系の各種重質油、熱分解タール、接
触分解タール、石炭の乾留によって得られる重質油、タ
ールなどを出発原料として、その熱分解重縮合によって
得られるメソフェースピッチ(光学的異方性ピッチ)、
芳香族炭化水素類を原料とするメソフェースピッチ、光
学的異方性相と光学的等方性相を含有するピッチ或いは
光学的等方性ピッチであってもよい。例えば、超高強度
の高性能炭素繊維を、熱分解重縮合によって得られたメ
ソフェースピッチから製造する場合、メソフェース含有
量70〜100%のメソフェースピッチが好ましく、特
に実質的に100%のメソフェースを含有するメソフェ
ースピッチが最も好ましい。
【0045】尚、不融化繊維は、ピッチ繊維を線状で連
続的に不融化するものとして説明したが、ケンス状(ピ
ッチ繊維を金網の容器の中に入れて堆積したもの、及び
これに類似のもの)で不融化したもの、メッシュベルト
上にピッチ繊維を載せて不融化したもの、或いはボビン
巻のまま不融化したものなどについても、本発明は同様
に実施でき、且つ同様の効果を奏し得る。
【0046】次に、本発明に係る炭素繊維の製造方法を
具体的な実施例に即して更に説明する。
【0047】実施例1 光学的異方性相98%からなる炭素繊維用ピッチを、5
00孔の紡糸口金を有する溶融紡糸機(ノズル孔径:直
径0.3mm)に通し、355℃で200mmHgの窒
素ガス圧で押し出して紡糸した。
【0048】紡糸した500本のフィラメントはエアー
サッカーで略集束してオイリングローラに導き、糸に対
して約0.2重量%の割合で集束用油剤を供給し、50
0フィラメントから成るピッチ繊維を形成した。油剤と
しては、25℃における粘度が14cstのメチルフェ
ニルポリシロキサンを使用した。
【0049】該ピッチ繊維は、ノズル下部に設けた高速
で回転する直径210mm、幅200mmのステンレス
鋼製のボビンに巻き取り、約500m/分の巻き取り速
度で10分間紡糸した。
【0050】次いで、ピッチ繊維を巻いた前記ボビン6
個を解舒し、そしてオイリングローラを使用して耐熱性
油剤を付与しながら合糸し、3000フィラメントから
成るピッチ繊維(束)を形成し、他のステンレス製ボビ
ンに巻取つた。
【0051】合糸時に油剤としては25℃で40cst
のメチルフェニルポリシロキサン(フェニル基含有量4
5モル%)を使用した。付与量は糸に対し0.5%であ
つた。
【0052】このようにして得た、ボビン巻のピッチ繊
維をボビンから解舒しつつ、ピッチ繊維束の延伸熱処理
炉へと送給した。ピッチ繊維束の溶融破断温度は、25
0℃であった。炉内の雰囲気は富酸素雰囲気(酸素/窒
素=60/40)であった。このピッチ繊維束を、20
0℃(ピッチ繊維束の溶融破断温度よりも50℃低い温
度)にセットされた炉に3000℃/分の昇温速度で通
糸して、延伸熱処理を施した。
【0053】この延伸熱処理時間は25秒であった。繊
維束には1フィラメント当たり0.007gのテンショ
ンが付与された。延伸率は15%であった。1時間の連
続処理を行なったが、その間炉内での繊維束の断糸は生
じなかった。
【0054】次いで上記の延伸熱処理後のピッチ繊維束
を、炉入口温度180℃、最高温度295℃の温度勾配
を持つ富酸素雰囲気(酸素/窒素=60/40)の連続
不融化炉に線状で連続的に導入した。昇温速度は6℃/
分であり、不融化時間は19分であった。繊維束にかけ
たテンションは1フィラメント当たり0.007g(3
000フィラメントの繊維束に対して20g)であった
。不融化後の不融化繊維の酸素濃度は9.5重量%であ
った。
【0055】不融化中、不融化炉内での繊維束の断糸も
なく円滑に不融化処理ができた。
【0056】このようにして不融化された不融化繊維束
を、最高温度1000℃の窒素ガス雰囲気の予備炭化炉
に線状で連続的に導入して予備炭化した。
【0057】得られた予備炭化繊維束を窒素ガス雰囲気
中で150℃まで昇温して炭素繊維を得た。炭素繊維の
糸径は9.0μmであり、引張強度は3.2GPa、引
張弾性率は320GPa、圧縮強度は1.2GPaであ
った。
【0058】又、炭素繊維をアルゴンガス雰囲気中で2
500℃まで昇温して得た黒鉛炭素繊維は、糸径が8.
9μmであり、引張強度は3.8GPa、引張弾性率は
800GPa、圧縮強度は0.5GPaであった。
【0059】実施例2 実施例1において、200℃で一度延伸熱処理をした繊
維束の溶融破断温度は260℃であった。この繊維束を
用いこれを210℃(該繊維束の溶融破断温度よりも5
0℃低い温度)の富酸素雰囲気(酸素/窒素=60/4
0)の炉に3000℃/分の昇温速度で通糸し、再度延
伸熱処理を施した。
【0060】処理時間は25秒で、繊維束には1フィラ
メント当たり0.007gのテンションが付与された。 このときの延伸率は21%であった。200℃のときの
延伸と210℃のときの延伸の合計の延伸率は36%で
あった。
【0061】上記以外は実施例1と同様に処理した。1
時間の連続処理をしたが、その間炉内での断糸はなかっ
た。
【0062】この繊維束を不融化した後予備炭化処理に
掛けたところ、1時間の連続運転中、予備炭化炉内で断
糸することはなく、得られた予備炭化繊維束に毛羽立ち
も殆どなかった。
【0063】この予備炭化繊維束を窒素ガス雰囲気中で
1500℃まで昇温して炭素繊維を得た。炭素繊維の糸
径は8.6μmであり、引張強度は3.5GPa、引張
弾性率は330GPaであった。
【0064】更に、炭素繊維をアルゴンガス雰囲気中で
2500℃まで昇温して得た黒鉛炭素繊維は、糸径が8
.5μmであり、引張強度は3.9GPa、引張弾性率
は830GPaであった。
【0065】実施例1〜2に示されるように、ピッチ繊
維束の不融化前に先立って、本発明の範囲の繊維束の溶
融破断温度よりも30〜100℃低い温度まで急速に昇
温して、短時間の延伸熱処理を行なったので、不融化炉
内でのピッチ繊維束の断糸を生じることなく不融化する
ことができ、その結果、得られた炭素繊維及び黒鉛繊維
は繊維の毛羽立ちが少ないことは勿論、断糸もわずかで
あった。又上記の延伸熱処理によりピッチ繊維束に5〜
100%の延伸を加えたので、得られた炭素繊維及び黒
鉛繊維は引張強度、引張弾性率及び圧縮強度が共に向上
したものになった。
【0066】比較例1 実施例1において、延伸熱処理炉の温度を230℃(繊
維束の溶融破断温度より20℃低い温度)とした以外は
、実施例1と同様に処理した。
【0067】その結果、繊維束は炉内で断糸し、連続運
転することができなかった。
【0068】比較例2 実施例1において、延伸熱処理炉の温度を130℃(繊
維束の溶融破断温度よりも120℃低い温度)とした以
外は、実施例1と同様に処理した。この場合は、繊維束
の延伸は起こらなかった。
【0069】この場合、延伸処理炉内で断糸することは
なく、1時間の連続運転ができた。この処理された繊維
束を不融化し、予備炭化して得られた予備炭化繊維束を
窒素ガス雰囲気中で15000℃まで昇温して得た。炭
素繊維の糸径は9.8μmであり、引張強度は2.5G
Pa、引張弾性率は270GPa、圧縮強度は1.0G
Paであった。
【0070】更に、炭素繊維をアルゴンガス雰囲気中で
2500℃まで昇温して得た黒鉛炭素繊維は、糸径が9
.7μmであり、引張強度は3.2GPa、引張弾性率
は690GPa、圧縮強度は0.4GPaであった。
【0071】比較例3 実施例1において、昇温速度を50℃/分とした以外は
、実施例1と同様に処理した。この場合、繊維束の延伸
は起こらなかった。
【0072】この場合に得られた炭素繊維の物性は、比
較例2と同様に、延伸したもの比べ低いものであった。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
では、不融化前のピッチ繊維束を不融化処理に先立って
、酸化性ガス雰囲気中で繊維束の溶融破断温度よりも3
0〜100℃低い温度まで100〜5000℃/分の速
度で昇温して、繊維束を1〜200秒の極く短時間の熱
処理しながら同時に延伸率5〜100%の延伸処理する
ので、不融化炉内でのピッチ繊維束の断糸や毛羽立ちを
押さえて、不融化の際の歩留りを向上するだけでなく、
繊維の引張強度、引張弾性率及び圧縮強度を向上した炭
素繊維を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  紡糸、集束されたピッチ繊維束を不融
    化し、前記不融化された不融化繊維束を予備炭化し、然
    る後に炭化し、必要に応じて更に黒鉛化することからな
    るピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法において、
    前記ピッチ繊維束を不融化する際にそれに先立って、酸
    化性ガス雰囲気中で繊維束の溶融破断温度よりも30〜
    100℃低い温度まで100〜5000℃/分の速度で
    昇温して、繊維束を1〜200秒の極く短時間で熱処理
    しながら同時に延伸率5〜100%の延伸処理し、その
    後に前記不融化を行なうことを特徴とするピッチ系炭素
    繊維及び黒鉛繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】  前記ピッチ繊維束の熱処理及び延伸処
    理を複数回に分けて行なう請求項1の製造方法。
JP41654390A 1990-12-28 1990-12-28 ピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 Pending JPH04257323A (ja)

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