JP3644271B2 - ピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents
ピッチ系炭素繊維の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3644271B2 JP3644271B2 JP25789498A JP25789498A JP3644271B2 JP 3644271 B2 JP3644271 B2 JP 3644271B2 JP 25789498 A JP25789498 A JP 25789498A JP 25789498 A JP25789498 A JP 25789498A JP 3644271 B2 JP3644271 B2 JP 3644271B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pitch
- fiber
- fiber tow
- primary
- based carbon
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素繊維の製造方法に関するものであり、より詳しくは繊維トウの直線性に優れ、かつ毛羽立ち、糸切れのない炭素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は、比強度及び比弾性率が高い材料であり、高性能のフィラー繊維として注目されている。現在、炭素繊維はポリアクリルニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維とピッチ類を原料とするピッチ系炭素繊維等が製造されているが、一般に開発が先行していたためにPAN系がより広く使用され、高強度、高弾性の高特性炭素繊維として主にPAN系炭素繊維が種々の工夫を加えて使用されている現状にある。しかしながら、PAN系炭素繊維は、更なる高弾性化には限界があるという問題がある。また、その原料であるPANが高価であること、更には、原料当たりの炭素繊維の収量が低いという難点を有する。
【0003】
そこで、近年、より高弾性な特徴を有し、より広範な用途の期待されるピッチ系炭素繊維の高特性化が種々検討されている。一般にピッチ系炭素繊維の製造は、石炭、石油などより得られるピッチを原料とし、溶融紡糸して、ピッチ繊維を得、次いで不融化、炭化、あるいは、更に必要に応じて黒鉛化することにより製造される。こうして得られる炭素繊維は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等のマトリックス樹脂に含浸され、いわゆるプリプレグとし、これを種々の成形法にて成形し、繊維強化プラスチックとして用いられる。この場合、炭素繊維がマトリックス樹脂中で、良好に分散し、炭素繊維自体の機械的特性が充分に発揮されることが重要な要因となる。マトリックス樹脂中での分散性に対しては使用する炭素繊維トウを構成する単繊維同士の融着がないこと、即ち、該トウが充分に開繊されなければならない。ここで「繊維トウ」とは、多数のフィラメントからなる繊維の束で、よりのかかっていないもの、あるいはよりのかかっているものをいう。そして、繊維トウが不揃いなため、取り扱い性が悪く効率的に生産できない。又繊維トウの不揃いな部分が後の処理工程において擦れ易く毛羽の発生や、繊維トウの切断等の問題がある。
【0004】
そこで、かかる問題を解決しうる方法として、特開平7−26423号公報には、ピッチ原料を溶融紡糸したピッチ繊維を、実質的に張力を与えない状態で不融化処理及び一次炭化した後、繊維に強制的に張力を付与し線状に走行させながら二次炭化する方法が開示されている。特に、該公報には、一次炭化繊維を不活性ガス雰囲気下で700〜1200℃の温度で二次炭化する際の昇温速度は、1000℃/秒以下、好ましくは250℃/秒以下とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法により得られる炭素繊維は、繊維トウの揃いがなお十分ではなく、取り扱い性があまり向上せず、生産効率も必ずしも十分とはいえない。そして、繊維トウの不揃いな部分が後の処理工程において擦れ易く毛羽の発生や、繊維トウの切断等の問題がなお存在する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来は一次炭化糸を熱処理する過程で一次炭化繊維中に残存している酸素等の揮発成分が700〜1200℃の温度域で繊維から抜ける際、繊維が収縮するため、繊維トウが10000フィラメントを超えるような炭素繊維では、昇温速度が早いと糸束内での温度差が発生し、その結果繊維の寸法変化が不均一になり、繊維トウが不揃いな繊維束ができていたが、その間の昇温速度を一定以下の速度で処理することにより、直線性に優れかつ毛羽の発生や、繊維トウの切断のない炭素繊維束を製造できることを見いだした。即ち、本発明は、異方性ピッチより炭素繊維を製造する方法において、異方性ピッチを溶融紡糸し、得られたピッチ系繊維を集束して得られる繊維トウを、実質的に張力を与えない状態で酸化性雰囲気下で不融化処理及び不活性ガス雰囲気で一次炭化処理し、得られた一次炭化繊維トウに、張力を付加して線状に走行させながら不活性ガス雰囲気下で500〜1200℃の温度範囲で二次炭化処理する際、500〜1000℃における平均昇温速度を50℃/秒以下として二次炭化処理とすることを特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明で製造する炭素繊維を得るピッチ原料としては、配向しやすい分子種が形成されており、光学的に異方性の炭素繊維を与えるような異方性ピッチであれば特に制限はなく使用できる。かかる異方性ピッチを得るための炭素質原料としては、例えば、石炭系のコールタール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油系の重質油、タール、ピッチ又はナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素の触媒反応による重合反応生成物等挙げられる。これらの炭素質原料にはフリーカーボン、未溶解石炭、灰分、触媒等の不純物が含まれているが、これらの不純物はろ過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈降分離などの周知の方法があらかじめ除去しておくことが望ましい。また、前記炭素質原料を例えば、加熱処理した後、特定溶剤で可溶分を抽出する方法、あるいは水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水素添加する方法等で予備処理を行っておいてもよい。
【0008】
本発明における異方性ピッチ原料としては、通常40%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上の光学的異方性組織を含む炭素質原料が好適である。このためには前記炭素質原料あるいは予備処理を行った炭素質原料を、必要に応じて通常350〜500℃、好ましくは380〜450℃で、2分〜50時間、好ましくは5分〜5時間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下、あるいは、吹込み下に加熱処理するとよい。なお、ピッチの光学的異方性組織割合は、常温下、偏光顕微鏡でのピッチ試料中の光学的異方性を示す部分の面積割合として求められる。具体的には、例えばピッチ試料を数mm角に粉砕したものを常法に従って約2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に試料片を埋込み、表面を研磨した後、表面全体をくまなく偏光顕微鏡(倍率100倍)下で観察し、試料の全表面積に占める光学的異方性部分の面積の割合を測定することによって求める。
【0009】
上記のような異方性ピッチを用いて溶融紡糸し、ピッチ繊維を得るのであるが、ピッチ単繊維の断面構造はランダム配向であることが望ましい。ここでランダム配向であるとは、実質的にラジアル配向でないことを意味する。これは後で述べる二次炭化処理を行う際に繊維軸方向に伸びるくさび状のクラックの発生を抑えるために重要である。
【0010】
このようなランダム配向を有するピッチ繊維を得る紡糸方法としては、例えば、紡糸ピッチを網目層を通過させた後、紡糸ノズルへ供給し紡糸する方法がある。ここで網目層とは、紡糸ピッチ流通路内であって、紡糸ノズルより上流部に配設されたものであり、溶融状態の紡糸ピッチが該層を通過することにより、紡糸ピッチの流れを細分化し、かつ該層を通過する間に紡糸ピッチのメソフェーズの積層状態が乱れ、その結果実質的にラジアル配向でない繊維断面構造を有するピッチ繊維を与えるものである。網目層を構成する網としては、具体的には350〜400℃程度の温度に充分耐えられるような、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属材料、又はセラミック、ガラス、黒鉛等の無機質材料の微細な繊維を平織、綾織あるいは畳織したものである。また、金属の平板に無数の小孔を打ち抜いたもの、あるいは金属板に成型工具でスリットを入れて、それを引張って得られるいわゆるエキスバンドメタルのようなものも使用される。網目の大きさは、目開きが大きすぎると得られる繊維の断面構造を細分化してラジアル配向でない構造とする効果が減少するので、目開きは小さいもの程好ましい。具体的には目開きが通常50メッシュより小さいもの、好ましくは100メッシュより小さいもの、更に好ましくは200メッシュより小さなものが用いられる。これらの網は1枚でもよく、5枚程度まで重ねて用いることもできるが、網目層の厚さとして2mm以下となるよう構成することが好ましい。
【0011】
溶融紡糸によって得られたピッチ繊維は、単繊維としての破断強度が低く、ガイド、ローラー等での毛羽の発生を防止するため、集束剤で集束してピッチ繊維トウを得る。ここで集束剤としては、ピッチ繊維の一部を溶解したり、不融化処理の際に繊維同士を接着又は融着させたりすることの少ないものが必要であり、例えばシリコーン油の水エマルジョンが好ましい。また、シリコーン油のみで使用することも可能であるが、ピッチ繊維に対するシリコーン油の付着量を制御するためにはシリコーン油の水エマルジョンとして使用することが望ましい。シリコーン油としては、通常ジメチルポリシロキサンが用いられるが、このジメチルポリシロキサンに種々の基を導入して変性したものも用いられる。具体的には、例えばメチルフェニルポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサンが挙げられるが、その他エポキシ基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、フェニル基、ポリエーテル基の1種又は2種以上で変性したものが用いられる。また、これらのシリコーン油は、1種又は2種以上の混合物を用いてもよい。
【0012】
シリコーン油の水エマルジョンは周知の混合装置、例えば高速ミキサー、コロイドミル、ホモゲナイザー等を用いてシリコーン油が0.1〜35重量%となるように水と混合することによって調製される。エマルジョンの形成に当っては、シリコーン油の濃度が高くなって良好なエマルジョン状態が維持できなくなる場合は乳化剤を0.25〜2重量%添加すればよい。乳化剤は従来公知のものでよく、ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンカプロン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル、アセチル化モノグリセリド、アセチル化グリセリルモノステアレート及びポリオキシエチレンラノリン誘導体等の非イオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムセチルサルフェート、ジアルキルスルホサクシネート、ジ−2−エチルヘキシルスルホサクシネート(ナトリウム塩)等のアニオン系乳化剤、又は塩化アルキルピリジニウム等のカチオン系乳化剤が例示される。
【0013】
次に、本発明の炭素繊維の製造方法においては、以上のような方法により、異方性ピッチを溶融紡糸し、得られたピッチ系繊維を集束して得られる繊維トウを、実質的に張力を与えない状態で不融化処理及び一次炭化処理を行う。一次炭化処理が終了するまでの繊維の破断強度は、張力を付加するのに十分でなく、張力を付加すると、ガイド、ローラー等での毛羽の発生は避けられない。実質的に張力を与えない方法としては、例えば、バーに繊維トウをすだれ状に吊るして搬送する方法、ベルトコンベアー上に繊維トウを載せて搬送する方法、多数の駆動ローラー上で繊維トウを搬送する方法、あるいは、繊維トウを受器に積載した状態に置いておく方法等が挙げられる。
【0014】
通常、不融化処理は、空気、オゾン、二酸化窒素等の酸化性雰囲気中で行い、一次炭化処理は窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で行うため、通常はこれら2つの処理の間で繊維トウを載せ変えて別々の搬送系で処理するか、不融化処理及び一次炭化処理の間にシール機構を設けるか、酸化性雰囲気の濃度を段階的に下げることにより、これら2つの処理を連結した1つの搬送系で行うことも可能である。また、一次炭化処理の雰囲気ガスとして水蒸気を使用することも可能である。
【0015】
不融化処理は、通常150〜450℃の温度範囲で行うが、具体的には、通常は、150〜250℃の温度より昇温し、250〜450℃、好ましくは300〜400℃で終了する。250℃を超える温度より昇温を開始すると、ピッチ繊維表面の一部が溶融して、不融化処理の目的が達せられない。また、450℃を超える温度では、酸化の度合いが過剰となり、炭素繊維としての特性が低下しやすい。また、250℃以下では、処理時間が長くかかり効率が悪い。不融化処理の際の昇温は、一定の昇温速度でも、段階的に昇温してもかまわない。
【0016】
また、一次炭化処理は次に述べる二次炭化処理の際に付加する張力に対して充分な破断強度を得させるために行うもので、不活性雰囲気中で、通常450〜600℃の温度範囲で処理する。
本発明において、一次炭化処理後の炭素繊維の繊度は、通常0.5g/m以上、好ましくは1.0〜4.0g/m、特に好ましくは1.2〜3.0g/mである。繊度が0.5g/mより低い場合は、繊維トウ内での温度差が発生しづらく繊維トウが不揃いになりにくいからである。
【0017】
上記で得られた一次炭化繊維トウは、張力を付加して線状に走行させながら、二酸化炭素を含有する不活性ガス雰囲気中での二次炭化処理、すなわち二酸化炭素炭化処理を行って炭素繊維を得る。なお、一次炭化繊維トウには、必要に応じて、予めよりをかけておいてもよい。
本発明において、二次炭化処理は500〜1200℃の温度範囲で行い、500〜1000℃における平均昇温速度を50℃/秒以下、好ましくは30〜2℃/秒とすることを最大の特徴とする。これにより、直線性に優れかつ毛羽の発生や、繊維トウの切断のない炭素繊維トウを効果的に製造することができる。そして、平均昇温速度50℃/秒を超える急速な熱処理を行うと繊維の直線性が不揃いになり、かつ集束性が悪化する。
【0018】
二次炭化処理における張力は、一次炭化繊維トウのフィラメント数1000本当たり、通常50〜300g、好ましくは80〜200g付加する。該張力がフィラメント数1000本当たり50g未満であると張力不足により、繊維トウの不揃いな炭素繊維が得られ、300gを超えると繊維トウ内で部分的な破断を生じ毛羽の発生が増加する傾向があるからである。また、一次炭化繊維トウに付加する張力は150〜3000g/mm2 であることが望ましい。付加する張力が150g/mm2 未満であると得られた炭素繊維トウの糸ぞろいが不十分となり、3000g/mm2 を超えると繊維トウ内で部分的な破断を生じ毛羽の発生が増大する傾向があるからである。更に、二次炭化処理は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行われるが、二酸化炭素、水蒸気等のガスが混入してもよい。
【0019】
なお、一次炭化繊維トウに張力を付加する際に、一次炭化繊維トウに工程油を添着すると毛羽の発生を防止するのに更に効果的である。これは工程油を添着することにより、単繊維間の滑りが良くなり張力が均一にかかりやすくなるばかりでなく、ガイド、ローラーに対する滑りも良くなり、ガイド、ローラーとのこすれによる毛羽発生が防止されるためである。工程油としては、例えばシリコーン油又はシリコーン油の水エマルジョン、多価アルコール、エーテル類、ワックス等を用いることができる。
【0020】
以上のように二次炭化処理して得られた炭素繊維は、更に弾性率を高める等のために、公知の方法により、更に高い温度での三次炭化処理及び/又は黒鉛化処理を行うことができる。また、上記炭化処理及び/又は黒鉛化処理の後、必要に応じて、公知の表面処理及び/又はサイジング処理を行うこともできる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、その要旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものでない。実施例、比較例の特性を表すのに用いた諸物性値は、以下の方法で測定した。
(1)繊維トウの直線不揃い率
黒鉛化処理の終了した炭素繊維を、ワインダーにて巻き取り、炭素繊維パッケージを作製する工程において、ワインダーに巻き取る前のガイドローラーで700m炭素繊維トウを連続通糸し、繊維の幅、集束状態を調査し、全体の長さの中で、直線性が不揃いな糸が発生する比率を測定した。
(2)糸切れ率
黒鉛化処理が終了し、一旦ボビンに巻き取った炭素繊維を、プリプレグなどの加工工程と同様に、700m解舒し、解舒の際に糸切れの発生するボビンの数を測定し、通糸した全体ボビンとの比率を糸切れ率とした。
実施例1
コールタールピッチを熱処理することにより軟化点300℃、かつ偏光顕微鏡下で観察した光学的異方性割合で100%の紡糸ピッチを調合した。これをノズル径0.1mm、孔数7000の紡糸口金を用い、口金温度330℃で溶融紡糸し、得られた10μmのピッチ繊維にシリコーン系の油剤を付着させ集束した。このピッチ繊維トウをベルトコンベアーで搬送しながら、310℃で30分間空気中で加熱処理することにより、不融化繊維トウを得た。更に、この不融化繊維トウをベルトコンベアーで搬送しながら、窒素ガス中で550℃で炭化し、一次炭化繊維トウを得た。
【0022】
この一次炭化繊維トウにフィラメント数1000本当たり100gの張力を付加して線状走行させながら窒素ガス雰囲気中で、500〜1000℃の範囲を30℃/秒の昇温速度の条件で加熱処理した。更に、この炭素繊維トウをアルゴン雰囲気中で2500℃、滞留時間60秒で黒鉛化処理した。
かくして得られた炭素繊維トウは優れた直線性、集束性を示し、かつ毛羽立ち、糸切れも少なく取り扱い性も良好であった。また繊維トウの直線不揃い率、糸切れ率を測定したところ表−1の通りであった。
比較例1
実施例1にて得られた一次炭化繊維トウにフィラメント数1000本当たり100gの張力を付加して線状走行させながら窒素ガス雰囲気中で、500〜1000℃の範囲を60℃/秒の昇温速度の条件で加熱処理した。更に、この炭素繊維トウをアルゴン雰囲気中で2500℃、滞留時間60秒で黒鉛化処理した。
【0023】
かくして得られた炭素繊維トウは糸揃いが不十分であり、かつ繊維トウの毛羽立ち、糸切れが激しく発生した。また繊維トウの不揃いの不揃い率、糸切れ率を測定したところ表−1の通りであった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、直線性に優れたピッチ系炭素繊維トウの生産ができ、工程中での毛羽の発生、糸切れが防止され製品の品質を向上するばかりでなく、生産効率が向上し、製造コストの大幅な低減化を実現することができる。
Claims (5)
- 異方性ピッチより炭素繊維を製造する方法において、異方性ピッチを溶融紡糸し、得られたピッチ系繊維を集束して得られる繊維トウを、実質的に張力を与えない状態で酸化性雰囲気下で不融化処理及び不活性ガス雰囲気下で一次炭化処理し、得られた一次炭化繊維トウに、張力を付加して線状に走行させながら不活性ガス雰囲気下で500〜1200℃の温度範囲で二次炭化処理する際、500〜1000℃における平均昇温速度を50℃/秒以下として二次炭化処理することを特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法。
- 500〜1000℃における平均昇温速度を30〜2℃/秒として二次炭化処理することを特徴とする請求項1に記載のピッチ系炭素繊維の製造方法。
- 一次炭化処理で得られる繊維の繊度が0.5g/m以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のピッチ系炭素繊維の製造方法。
- 一次炭化処理した繊維トウに付加する張力がフィラメント数1000本当たり50〜300gであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のピッチ系炭素繊維の製造方法。
- 一次炭化処理した繊維トウに付加する張力が150〜3000g/mm 2 であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のピッチ系炭素繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25789498A JP3644271B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | ピッチ系炭素繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25789498A JP3644271B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | ピッチ系炭素繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000096352A JP2000096352A (ja) | 2000-04-04 |
JP3644271B2 true JP3644271B2 (ja) | 2005-04-27 |
Family
ID=17312675
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25789498A Expired - Lifetime JP3644271B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | ピッチ系炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3644271B2 (ja) |
-
1998
- 1998-09-11 JP JP25789498A patent/JP3644271B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000096352A (ja) | 2000-04-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3644271B2 (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JP3321913B2 (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JP3291847B2 (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH06173120A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH06102852B2 (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造法 | |
JPH0726425A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH0726426A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH0726423A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH06192918A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH06173121A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPS63303123A (ja) | ピッチ系炭素繊維と製造方法 | |
JPS62133123A (ja) | 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JP2711918B2 (ja) | ピッチ系炭素繊維 | |
JPS62191515A (ja) | 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JPS62156316A (ja) | 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JPS62191518A (ja) | 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JPH043453B2 (ja) | ||
JPS59150115A (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
EP0481762A2 (en) | Pitch-based carbon fiber | |
JPH05171519A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPS62289616A (ja) | 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JPH04272235A (ja) | ピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JPH0491229A (ja) | ピッチ系炭素繊維の製造方法 | |
JPH04272234A (ja) | ピッチ系炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法 | |
JPH05247730A (ja) | 開繊性に優れた高強度、高弾性率ピッチ系炭素繊維及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040223 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040302 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041005 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050111 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050124 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080210 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 4 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 4 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090210 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210 Year of fee payment: 9 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |