JP2000096352A - ピッチ系炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直線性に優れたピッチ系炭素繊維トウを生産
し、製品品質の向上、製造コストの低減を図る。 【解決手段】 異方性ピッチより炭素繊維を製造する方
法において、異方性ピッチを溶融紡糸し、得られたピッ
チ系繊維を集束して得られる繊維トウを、実質的に張力
を与えない状態で酸化性雰囲気下で不融化処理及び不活
性ガス雰囲気で一次炭化処理し、得られた一次炭化繊維
トウに、張力を付加して線状に走行行させながら不活性
ガス雰囲気下で500〜1200℃の温度範囲で二次炭
化処理する際、500〜1000℃における平均昇温速
度を50℃/秒以下として二次炭化処理とすることを特
徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維の製造方法
に関するものであり、より詳しくは繊維トウの直線性に
優れ、かつ毛羽立ち、糸切れのない炭素繊維の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、比強度及び比弾性率が高い
材料であり、高性能のフィラー繊維として注目されてい
る。現在、炭素繊維はポリアクリルニトリル(PAN)
を原料とするPAN系炭素繊維とピッチ類を原料とする
ピッチ系炭素繊維等が製造されているが、一般に開発が
先行していたためにPAN系がより広く使用され、高強
度、高弾性の高特性炭素繊維として主にPAN系炭素繊
維が種々の工夫を加えて使用されている現状にある。し
かしながら、PAN系炭素繊維は、更なる高弾性化には
限界があるという問題がある。また、その原料であるP
ANが高価であること、更には、原料当たりの炭素繊維
の収量が低いという難点を有する。
【0003】そこで、近年、より高弾性な特徴を有し、
より広範な用途の期待されるピッチ系炭素繊維の高特性
化が種々検討されている。一般にピッチ系炭素繊維の製
造は、石炭、石油などより得られるピッチを原料とし、
溶融紡糸して、ピッチ繊維を得、次いで不融化、炭化、
あるいは、更に必要に応じて黒鉛化することにより製造
される。こうして得られる炭素繊維は、例えば、エポキ
シ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等のマトリッ
クス樹脂に含浸され、いわゆるプリプレグとし、これを
種々の成形法にて成形し、繊維強化プラスチックとして
用いられる。この場合、炭素繊維がマトリックス樹脂中
で、良好に分散し、炭素繊維自体の機械的特性が充分に
発揮されることが重要な要因となる。マトリックス樹脂
中での分散性に対しては使用する炭素繊維トウを構成す
る単繊維同士の融着がないこと、即ち、該トウが充分に
開繊されなければならない。ここで「繊維トウ」とは、
多数のフィラメントからなる繊維の束で、よりのかかっ
ていないもの、あるいはよりのかかっているものをい
う。そして、繊維トウが不揃いなため、取り扱い性が悪
く効率的に生産できない。又繊維トウの不揃いな部分が
後の処理工程において擦れ易く毛羽の発生や、繊維トウ
の切断等の問題がある。
【0004】そこで、かかる問題を解決しうる方法とし
て、特開平7−26423号公報には、ピッチ原料を溶
融紡糸したピッチ繊維を、実質的に張力を与えない状態
で不融化処理及び一次炭化した後、繊維に強制的に張力
を付与し線状に走行させながら二次炭化する方法が開示
されている。特に、該公報には、一次炭化繊維を不活性
ガス雰囲気下で700〜1200℃の温度で二次炭化す
る際の昇温速度は、1000℃/秒以下、好ましくは2
50℃/秒以下とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法により得られる炭素繊維は、繊維トウの揃いがなお
十分ではなく、取り扱い性があまり向上せず、生産効率
も必ずしも十分とはいえない。そして、繊維トウの不揃
いな部分が後の処理工程において擦れ易く毛羽の発生
や、繊維トウの切断等の問題がなお存在する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、従来は一次炭化糸を
熱処理する過程で一次炭化繊維中に残存している酸素等
の揮発成分が700〜1200℃の温度域で繊維から抜
ける際、繊維が収縮するため、繊維トウが10000フ
ィラメントを超えるような炭素繊維では、昇温速度が早
いと糸束内での温度差が発生し、その結果繊維の寸法変
化が不均一になり、繊維トウが不揃いな繊維束ができて
いたが、その間の昇温速度を一定以下の速度で処理する
ことにより、直線性に優れかつ毛羽の発生や、繊維トウ
の切断のない炭素繊維束を製造できることを見いだし
た。即ち、本発明は、異方性ピッチより炭素繊維を製造
する方法において、異方性ピッチを溶融紡糸し、得られ
たピッチ系繊維を集束して得られる繊維トウを、実質的
に張力を与えない状態で酸化性雰囲気下で不融化処理及
び不活性ガス雰囲気で一次炭化処理し、得られた一次炭
化繊維トウに、張力を付加して線状に走行させながら不
活性ガス雰囲気下で500〜1200℃の温度範囲で二
次炭化処理する際、500〜1000℃における平均昇
温速度を50℃/秒以下として二次炭化処理とすること
を特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明で製造する炭素繊維を得るピッチ原料としては、配
向しやすい分子種が形成されており、光学的に異方性の
炭素繊維を与えるような異方性ピッチであれば特に制限
はなく使用できる。かかる異方性ピッチを得るための炭
素質原料としては、例えば、石炭系のコールタール、コ
ールタールピッチ、石炭液化物、石油系の重質油、ター
ル、ピッチ又はナフタレン、アントラセン等の芳香族炭
化水素の触媒反応による重合反応生成物等挙げられる。
これらの炭素質原料にはフリーカーボン、未溶解石炭、
灰分、触媒等の不純物が含まれているが、これらの不純
物はろ過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈降
分離などの周知の方法があらかじめ除去しておくことが
望ましい。また、前記炭素質原料を例えば、加熱処理し
た後、特定溶剤で可溶分を抽出する方法、あるいは水素
供与性溶剤、水素ガスの存在下に水素添加する方法等で
予備処理を行っておいてもよい。
【0008】本発明における異方性ピッチ原料として
は、通常40%以上、好ましくは70%以上、更に好ま
しくは90%以上の光学的異方性組織を含む炭素質原料
が好適である。このためには前記炭素質原料あるいは予
備処理を行った炭素質原料を、必要に応じて通常350
〜500℃、好ましくは380〜450℃で、2分〜5
0時間、好ましくは5分〜5時間、窒素、アルゴン、水
蒸気等の不活性ガス雰囲気下、あるいは、吹込み下に加
熱処理するとよい。なお、ピッチの光学的異方性組織割
合は、常温下、偏光顕微鏡でのピッチ試料中の光学的異
方性を示す部分の面積割合として求められる。具体的に
は、例えばピッチ試料を数mm角に粉砕したものを常法
に従って約2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に試料片
を埋込み、表面を研磨した後、表面全体をくまなく偏光
顕微鏡(倍率100倍)下で観察し、試料の全表面積に
占める光学的異方性部分の面積の割合を測定することに
よって求める。
【0009】上記のような異方性ピッチを用いて溶融紡
糸し、ピッチ繊維を得るのであるが、ピッチ単繊維の断
面構造はランダム配向であることが望ましい。ここでラ
ンダム配向であるとは、実質的にラジアル配向でないこ
とを意味する。これは後で述べる二次炭化処理を行う際
に繊維軸方向に伸びるくさび状のクラックの発生を抑え
るために重要である。
【0010】このようなランダム配向を有するピッチ繊
維を得る紡糸方法としては、例えば、紡糸ピッチを網目
層を通過させた後、紡糸ノズルへ供給し紡糸する方法が
ある。ここで網目層とは、紡糸ピッチ流通路内であっ
て、紡糸ノズルより上流部に配設されたものであり、溶
融状態の紡糸ピッチが該層を通過することにより、紡糸
ピッチの流れを細分化し、かつ該層を通過する間に紡糸
ピッチのメソフェーズの積層状態が乱れ、その結果実質
的にラジアル配向でない繊維断面構造を有するピッチ繊
維を与えるものである。網目層を構成する網としては、
具体的には350〜400℃程度の温度に充分耐えられ
るような、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属材
料、又はセラミック、ガラス、黒鉛等の無機質材料の微
細な繊維を平織、綾織あるいは畳織したものである。ま
た、金属の平板に無数の小孔を打ち抜いたもの、あるい
は金属板に成型工具でスリットを入れて、それを引張っ
て得られるいわゆるエキスバンドメタルのようなものも
使用される。網目の大きさは、目開きが大きすぎると得
られる繊維の断面構造を細分化してラジアル配向でない
構造とする効果が減少するので、目開きは小さいもの程
好ましい。具体的には目開きが通常50メッシュより小
さいもの、好ましくは100メッシュより小さいもの、
更に好ましくは200メッシュより小さなものが用いら
れる。これらの網は1枚でもよく、5枚程度まで重ねて
用いることもできるが、網目層の厚さとして2mm以下
となるよう構成することが好ましい。
【0011】溶融紡糸によって得られたピッチ繊維は、
単繊維としての破断強度が低く、ガイド、ローラー等で
の毛羽の発生を防止するため、集束剤で集束してピッチ
繊維トウを得る。ここで集束剤としては、ピッチ繊維の
一部を溶解したり、不融化処理の際に繊維同士を接着又
は融着させたりすることの少ないものが必要であり、例
えばシリコーン油の水エマルジョンが好ましい。また、
シリコーン油のみで使用することも可能であるが、ピッ
チ繊維に対するシリコーン油の付着量を制御するために
はシリコーン油の水エマルジョンとして使用することが
望ましい。シリコーン油としては、通常ジメチルポリシ
ロキサンが用いられるが、このジメチルポリシロキサン
に種々の基を導入して変性したものも用いられる。具体
的には、例えばメチルフェニルポリシロキサン、ハイド
ロジェンポリシロキサンが挙げられるが、その他エポキ
シ基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、アミノ
基、カルボキシル基、アルコキシ基、フェニル基、ポリ
エーテル基の1種又は2種以上で変性したものが用いら
れる。また、これらのシリコーン油は、1種又は2種以
上の混合物を用いてもよい。
【0012】シリコーン油の水エマルジョンは周知の混
合装置、例えば高速ミキサー、コロイドミル、ホモゲナ
イザー等を用いてシリコーン油が0.1〜35重量%と
なるように水と混合することによって調製される。エマ
ルジョンの形成に当っては、シリコーン油の濃度が高く
なって良好なエマルジョン状態が維持できなくなる場合
は乳化剤を0.25〜2重量%添加すればよい。乳化剤
は従来公知のものでよく、ソルビタン脂肪酸エステル、
例えばソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンス
テアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンカプロン
酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル、
アセチル化モノグリセリド、アセチル化グリセリルモノ
ステアレート及びポリオキシエチレンラノリン誘導体等
の非イオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル、ナトリウ
ムラウリルサルフェート、ナトリウムセチルサルフェー
ト、ジアルキルスルホサクシネート、ジ−2−エチルヘ
キシルスルホサクシネート(ナトリウム塩)等のアニオ
ン系乳化剤、又は塩化アルキルピリジニウム等のカチオ
ン系乳化剤が例示される。
【0013】次に、本発明の炭素繊維の製造方法におい
ては、以上のような方法により、異方性ピッチを溶融紡
糸し、得られたピッチ系繊維を集束して得られる繊維ト
ウを、実質的に張力を与えない状態で不融化処理及び一
次炭化処理を行う。一次炭化処理が終了するまでの繊維
の破断強度は、張力を付加するのに十分でなく、張力を
付加すると、ガイド、ローラー等での毛羽の発生は避け
られない。実質的に張力を与えない方法としては、例え
ば、バーに繊維トウをすだれ状に吊るして搬送する方
法、ベルトコンベアー上に繊維トウを載せて搬送する方
法、多数の駆動ローラー上で繊維トウを搬送する方法、
あるいは、繊維トウを受器に積載した状態に置いておく
方法等が挙げられる。
【0014】通常、不融化処理は、空気、オゾン、二酸
化窒素等の酸化性雰囲気中で行い、一次炭化処理は窒
素、アルゴン等の不活性雰囲気中で行うため、通常はこ
れら2つの処理の間で繊維トウを載せ変えて別々の搬送
系で処理するか、不融化処理及び一次炭化処理の間にシ
ール機構を設けるか、酸化性雰囲気の濃度を段階的に下
げることにより、これら2つの処理を連結した1つの搬
送系で行うことも可能である。また、一次炭化処理の雰
囲気ガスとして水蒸気を使用することも可能である。
【0015】不融化処理は、通常150〜450℃の温
度範囲で行うが、具体的には、通常は、150〜250
℃の温度より昇温し、250〜450℃、好ましくは3
00〜400℃で終了する。250℃を超える温度より
昇温を開始すると、ピッチ繊維表面の一部が溶融して、
不融化処理の目的が達せられない。また、450℃を超
える温度では、酸化の度合いが過剰となり、炭素繊維と
しての特性が低下しやすい。また、250℃以下では、
処理時間が長くかかり効率が悪い。不融化処理の際の昇
温は、一定の昇温速度でも、段階的に昇温してもかまわ
ない。
【0016】また、一次炭化処理は次に述べる二次炭化
処理の際に付加する張力に対して充分な破断強度を得さ
せるために行うもので、不活性雰囲気中で、通常450
〜600℃の温度範囲で処理する。本発明において、一
次炭化処理後の炭素繊維の繊度は、通常0.5g/m以
上、好ましくは1.0〜4.0g/m、特に好ましくは
1.2〜3.0g/mである。繊度が0.5g/mより
低い場合は、繊維トウ内での温度差が発生しづらく繊維
トウが不揃いになりにくいからである。
【0017】上記で得られた一次炭化繊維トウは、張力
を付加して線状に走行させながら、二酸化炭素を含有す
る不活性ガス雰囲気中での二次炭化処理、すなわち二酸
化炭素炭化処理を行って炭素繊維を得る。なお、一次炭
化繊維トウには、必要に応じて、予めよりをかけておい
てもよい。本発明において、二次炭化処理は500〜1
200℃の温度範囲で行い、500〜1000℃におけ
る平均昇温速度を50℃/秒以下、好ましくは30〜2
℃/秒とすることを最大の特徴とする。これにより、直
線性に優れかつ毛羽の発生や、繊維トウの切断のない炭
素繊維トウを効果的に製造することができる。そして、
平均昇温速度50℃/秒を超える急速な熱処理を行うと
繊維の直線性が不揃いになり、かつ集束性が悪化する。
【0018】二次炭化処理における張力は、一次炭化繊
維トウのフィラメント数1000本当たり、通常50〜
300g、好ましくは80〜200g付加する。該張力
がフィラメント数1000本当たり50g未満であると
張力不足により、繊維トウの不揃いな炭素繊維が得ら
れ、300gを超えると繊維トウ内で部分的な破断を生
じ毛羽の発生が増加する傾向があるからである。また、
一次炭化繊維トウに付加する張力は150〜3000g
/mm2 であることが望ましい。付加する張力が150
g/mm2 未満であると得られた炭素繊維トウの糸ぞろ
いが不十分となり、3000g/mm2 を超えると繊維
トウ内で部分的な破断を生じ毛羽の発生が増大する傾向
があるからである。更に、二次炭化処理は窒素ガス、ア
ルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行われるが、二酸
化炭素、水蒸気等のガスが混入してもよい。
【0019】なお、一次炭化繊維トウに張力を付加する
際に、一次炭化繊維トウに工程油を添着すると毛羽の発
生を防止するのに更に効果的である。これは工程油を添
着することにより、単繊維間の滑りが良くなり張力が均
一にかかりやすくなるばかりでなく、ガイド、ローラー
に対する滑りも良くなり、ガイド、ローラーとのこすれ
による毛羽発生が防止されるためである。工程油として
は、例えばシリコーン油又はシリコーン油の水エマルジ
ョン、多価アルコール、エーテル類、ワックス等を用い
ることができる。
【0020】以上のように二次炭化処理して得られた炭
素繊維は、更に弾性率を高める等のために、公知の方法
により、更に高い温度での三次炭化処理及び/又は黒鉛
化処理を行うことができる。また、上記炭化処理及び/
又は黒鉛化処理の後、必要に応じて、公知の表面処理及
び/又はサイジング処理を行うこともできる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、その要旨を越えない限り、本発明は実施例に限定
されるものでない。実施例、比較例の特性を表すのに用
いた諸物性値は、以下の方法で測定した。 (1)繊維トウの直線不揃い率 黒鉛化処理の終了した炭素繊維を、ワインダーにて巻き
取り、炭素繊維パッケージを作製する工程において、ワ
インダーに巻き取る前のガイドローラーで700m炭素
繊維トウを連続通糸し、繊維の幅、集束状態を調査し、
全体の長さの中で、直線性が不揃いな糸が発生する比率
を測定した。 (2)糸切れ率 黒鉛化処理が終了し、一旦ボビンに巻き取った炭素繊維
を、プリプレグなどの加工工程と同様に、700m解舒
し、解舒の際に糸切れの発生するボビンの数を測定し、
通糸した全体ボビンとの比率を糸切れ率とした。 実施例1 コールタールピッチを熱処理することにより軟化点30
0℃、かつ偏光顕微鏡下で観察した光学的異方性割合で
100%の紡糸ピッチを調合した。これをノズル径0.
1mm、孔数7000の紡糸口金を用い、口金温度33
0℃で溶融紡糸し、得られた10μmのピッチ繊維にシ
リコーン系の油剤を付着させ集束した。このピッチ繊維
トウをベルトコンベアーで搬送しながら、310℃で3
0分間空気中で加熱処理することにより、不融化繊維ト
ウを得た。更に、この不融化繊維トウをベルトコンベア
ーで搬送しながら、窒素ガス中で550℃で炭化し、一
次炭化繊維トウを得た。
【0022】この一次炭化繊維トウにフィラメント数1
000本当たり100gの張力を付加して線状走行させ
ながら窒素ガス雰囲気中で、500〜1000℃の範囲
を30℃/秒の昇温速度の条件で加熱処理した。更に、
この炭素繊維トウをアルゴン雰囲気中で2500℃、滞
留時間60秒で黒鉛化処理した。かくして得られた炭素
繊維トウは優れた直線性、集束性を示し、かつ毛羽立
ち、糸切れも少なく取り扱い性も良好であった。また繊
維トウの直線不揃い率、糸切れ率を測定したところ表−
1の通りであった。 比較例1 実施例1にて得られた一次炭化繊維トウにフィラメント
数1000本当たり100gの張力を付加して線状走行
させながら窒素ガス雰囲気中で、500〜1000℃の
範囲を60℃/秒の昇温速度の条件で加熱処理した。更
に、この炭素繊維トウをアルゴン雰囲気中で2500
℃、滞留時間60秒で黒鉛化処理した。
【0023】かくして得られた炭素繊維トウは糸揃いが
不十分であり、かつ繊維トウの毛羽立ち、糸切れが激し
く発生した。また繊維トウの不揃いの不揃い率、糸切れ
率を測定したところ表−1の通りであった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、直線性に優れたピッチ
系炭素繊維トウの生産ができ、工程中での毛羽の発生、
糸切れが防止され製品の品質を向上するばかりでなく、
生産効率が向上し、製造コストの大幅な低減化を実現す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 孝徳 香川県坂出市番の州町1番地 三菱化学株 式会社坂出事業所内 Fターム(参考) 4L037 CS03 CS04 FA03 PC12 PF18 PF22 PF44 PG04 PP02 PP39 PS02 PS16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性ピッチより炭素繊維を製造する方
    法において、異方性ピッチを溶融紡糸し、得られたピッ
    チ系繊維を集束して得られる繊維トウを、実質的に張力
    を与えない状態で酸化性雰囲気下で不融化処理及び不活
    性ガス雰囲気で一次炭化処理し、得られた一次炭化繊維
    トウに、張力を付加して線状に走行行させながら不活性
    ガス雰囲気下で500〜1200℃の温度範囲で二次炭
    化処理する際、500〜1000℃における平均昇温速
    度を50℃/秒以下として二次炭化処理とすることを特
    徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 一次炭化処理で得られる繊維の繊度が
    0.5g/m以上であることを特徴とする請求項1のピ
    ッチ系炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 一次炭化処理した繊維トウに付加する張
    力が、フィラメント数1000本当たり50g〜300
    gであることを特徴とする請求項1又は2のピッチ系炭
    素繊維の製造方法。
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