JP2708055B2 - ピッチ系炭素繊維の製造法 - Google Patents

ピッチ系炭素繊維の製造法

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JP2708055B2 JP7247680A JP24768095A JP2708055B2 JP 2708055 B2 JP2708055 B2 JP 2708055B2 JP 7247680 A JP7247680 A JP 7247680A JP 24768095 A JP24768095 A JP 24768095A JP 2708055 B2 JP2708055 B2 JP 2708055B2
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正己 鍵崎
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は石炭系ピッチ、石油
系ピッチ、高分子焼成ピッチ等のピッチ類から炭素繊維
を製造する方法に関するものであり、詳しくは繊維の取
扱いを容易にすると同時に繊維相互間の接着や融着のな
い高品質の炭素繊維を得る方法に関するものである。 【0002】 【従来技術】ピッチ系炭素繊維は、通常、原料ピッチを
溶融紡糸し、得られたピッチ繊維を不融化処理及び炭化
処理を行うことによって製造される。ピッチ系炭素繊維
はポリアクリロニトリル系等の炭素繊維に比較して高収
率で工業的に有利に製造できる利点がある反面、ピッチ
繊維が極めて脆弱なため、不融化処理や炭化処理での取
扱いが難しく、これらの工程において繊維の毛羽立ち、
ガイドロールへの捲つき、糸切れ等を起こしやすい。さ
らに不融化処理、炭化処理時にピッチ繊維相互間の接着
や融着が生じ、かつ得られた炭素繊維の表面に損傷を生
じ易い難点がある。 【0003】これらの問題点は原料及び製造法の異なっ
たポリアクリロニトリル系炭素繊維の場合とは大きく異
なるものである。即ちポリアクリロニトリル系炭素繊維
の場合は、ジメチルホルムアルデヒドと水の混合物又は
ジメチルスルホキシドと水との混合物を主体とする紡糸
浴中に設置された紡糸ノズルを通して、溶融ポリアクリ
ロニトリルが押出される湿式紡糸法により紡糸され、か
かる湿式紡糸法に於いては、紡糸された各単繊維は紡糸
浴の液体によってその表面を濡らされ、紡糸浴中でトウ
の状態に集束される。紡糸浴中から取り出したトウに対
し、次いで200〜300℃の酸化性雰囲気中で耐炎化
処理を行う際及びその後300〜1400℃の不活性雰
囲気中で炭化処理を行う際にポリエチレングリコール等
を油剤としてトウ(通常500〜1万本程度のフィラメ
ントを集束したもの)の表面に付着させる方法が有効で
あるとされている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところがこれらのポリ
アクリロニトリル系炭素繊維の集束剤として好適な油剤
をピッチ繊維に適用しても、ピッチ繊維はポリアクリロ
ニトリル繊維に比べ、熱や力などの物理的な力にも弱
く、又ポリアクリロニトリルのように重合しているわけ
でもないので化学的にもはるかに不安定であり、その殆
どがピッチ繊維の一部を溶解したり、繊維同志が接着ま
たは融着し剛直になる等の欠点を生じる。 【0005】そこで本発明者らは、このようなピッチ繊
維の集束における難点を解消する方法として、集束剤と
してシリコーン油を用いることについて先に提案を行っ
た。この方法によれば円滑に集束ができるが、操作如何
では場合によりシリコーン油が過度に付着することがあ
り、その場合、集束そのものに不都合はないが、不融化
処理後又は炭化処理後のトウが堅くなりやすく、極端な
場合には融着して開繊しにくくなる場合が生じる。 【0006】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはこ
れらの問題点を解決するため更に検討を重ねた結果、集
束剤としてシリコーン油の水エマルジョンを用いる方法
が好ましいことを見出し、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明の要旨は原料ピッチを溶融紡糸して得られた
ピッチ繊維を集束後、不融化処理、さらに必要に応じて
黒鉛化処理を行うことによりピッチ系炭素繊維を製造す
る方法に於いて、集束の際又は集束前のピッチ繊維に、
集束剤としてシリコーン油の濃度が0.1〜35重量%
であるシリコーン油の水エマルジョンを付着させた後、
更に不融化炉の直前に設けた乾燥炉か不融化炉の最初の
過程において50〜100℃に5分〜2時間保持して乾
燥することを特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法に
存する。 【0007】 【実施の態様】以下本発明を詳細に説明するに、本発明
に用いられる原料ピッチとしては、コールタールピッ
チ、石炭液化物等の石炭系ピッチ、原油の常圧蒸留残
油、減圧蒸留残油、またはその熱処理物、ナフサ等の熱
分解副生タールの熱処理物等の石油系ピッチ及び合成樹
脂や天然樹脂を乾留することによって得られる高分子焼
成ピッチ等が挙げられる。 【0008】原料ピッチの溶融紡糸は通常の合成繊維の
乾式法溶融紡糸と同様に行うことができ、特に制限はな
く、溶融した紡糸ピッチを下向きの紡糸口金から気相中
に押し出し冷却固化させる方法を採用する。紡糸口金と
しては吐出孔の孔径が0.1〜0.5mm程度のものを
用いる。紡糸口金の温度は原料ピッチの種類に依存し紡
糸に適当な溶融粘度を考慮して決められるが、通常は2
50〜350℃の範囲が適当である。紡糸口金の下には
保温筒を設けておくと紡糸状態の安定化に有効である。 【0009】本発明においては、紡糸されたピッチ繊維
に集束剤としてシリコーン油の水エマルジョンを付着さ
せるが、具体的なシリコーン油としては、通常ジメチル
ポリシロキサンが用いられるが、このジメチルポリシロ
キサンに種々の基を導入して変性したものも用いられ
る。具体的には、例えばメチルフェニルポリシロキサ
ン、ハイドロジェンポリシロキサンが挙げられるが、そ
の他エポキシ基、エチル、プロピル等のアルキル基、ア
ミノ基、カルボキシル基、アルコール、フェニル基、ポ
リエーテル基の1種又は2種以上で変性したものが用い
られる。また、これらのシリコーン油は、1種又は2種
以上の混合物を用いてもよい。 【0010】シリコーン油の水エマルジョンは周知の混
合装置例えば高速ミキサ−、コロイドミル、ホモゲナイ
ザー等を用いてシリコーン油が0.1〜35重量%とな
るように水と混合することによって調整される。エマル
ジョンの形成に当たっては、シリコーン油の濃度が高く
なって良好なエマルジョン状態が維持出来なくなる場合
は乳化剤を0.25〜2重量%添加すればよい。乳化剤
は従来公知のものでよく、これにはソルビタン脂肪酸エ
ステル、たとえばソルビタンパルミチン酸エステル、ソ
ルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタ
ンカプロン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸
エステル、アセチル化モノグリセライド、アセチル化グ
リセリルモノステアレートおよびポリオキシエチレンラ
ノリン誘導体などの非イオン系乳化剤、アルキル硫酸エ
ステル、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウム
セチルサルフェート、ジアルキルスルホサクシネート、
ジー2−エチルヘキシルスルホサクシネート(ナトリウ
ム塩)などのアニオン系乳化剤、または塩化アルキルピ
リジウムなどのカチオン系乳化剤が例示される。また、
シリコーン油の水エマルジョンに少量の固体微粒子を添
加混合して集束剤として用いてもよい。 【0011】固体微粒子としては、好ましくは炭素質微
粒子、無機酸化物微粒子、無機塩微粒子あるいはこれら
の混合物が用いられるが、具体的には、黒鉛、カーボン
ブラック、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、タル
ク、クレー、硫酸バリウム、チタン酸カリ、二硫化モリ
ブデン等の微細な粒子が用いられる。集束剤をピッチ繊
維に付着させる方法としては、スプレーにより吹きつけ
る方法、ローラーに付けて接触させる方法、浸漬させる
方法等がある。繊維に対する付着量は通常2〜14重量
%の範囲であり、特に2〜10重量%が好適である。付
着量が2.0重量%より少ないと紡糸した繊維の十分な
集束状態が維持されず、繊維束のハンドリングが極めて
難しくなりひいては繊維を損傷させる。また油剤の濃度
にもよるが14重量%以上になると不融化処理の際の揮
散が不十分となって繊維上に残存し不融化反応を阻害す
る原因となり、さらに不融化処理に於いて繊維から発生
する低分子量ガスの飛散が十分に行えないためにかえっ
て炭素繊維の強度を低下させる原因となる。 【0012】本発明の製造法では、シリコーン油の水エ
マルジョンが付着され、集束されたピッチ繊維はさら
に、不融化炉の直前に設けられた乾燥炉、あるいは不融
化炉の最初の過程で50〜100℃下に5分〜2時間保
持されてピッチ繊維の水付着量を0.1重量%以下に乾
燥される。その後、周知の方法に従って不融化処理及び
炭化処理が行われる。例えば、不融化処理は、繊維を酸
素、オゾン、空気、窒素酸化物、ハロゲン亜硫酸ガス等
の酸化性雰囲気下、150〜360℃の温度に5分〜1
0時間加熱することによって行われる。また炭化処理は
繊維を窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、100
0〜2500℃の温度に0.5分〜10時間加熱するこ
とによって行われる。 【0013】さらに黒鉛化処理を行う場合には、250
0〜3500℃の温度に1秒〜1時間加熱保持すればよ
い。また不融化、炭化あるいは黒鉛化処理の際、必要で
あれば収縮や変形等を防止する目的で、被処理体に若干
の荷重あるいは張力をかけておくこともできる。 【0014】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明ではシリコ
ーン油の水エマルジョンを付着させるという簡単な操作
で脆弱な繊維の取扱いを容易ならしめると同時に繊維相
互間の接着や融着あるいは繊維表面の損傷の発生が防止
されるので、性状の良好なピッチ系炭素繊維を連続フィ
ラメント状で工業的有利な条件の下で加熱処理を行うこ
とができるので、すぐれた性能を有するピッチ系炭素繊
維が廉価に得られるという利点もある。 【0015】 【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はその要旨をこえない限り以下の実施例
に限定されるものではない。 (実施例1〜9)タール系の原料ピッチ(光学的異方性
100%のメソ相ピッチ)を紡糸口金温度330℃で溶
融紡糸し、得られた糸系10μmのピッチ繊維に、第1
表に示す集束剤を噴霧して付着させ集束した。次いで集
束繊維(トウ)を空気中に於いて80℃に30分間保持
して乾燥した。次いで150℃より350℃まで2時間
40分を要して昇温した後その温度に30分間保持して
不融化処理を行った。その後アルゴン中に於いて、室温
より1400℃までに2時間20分を要して昇温した後
その温度に1時間保持して炭化処理を行い炭素繊維を得
た。炭素繊維製造工程における糸の集束状態、不融化繊
維の性状、単糸の融着状態を観察し、また炭素繊維の引
張強度を測定し、その結果を第1表及び第2表に記載す
る。又、紡糸以降の工程については簡単な説明図を図1
として示す。 【0016】(比較例1〜7)実施例1において、集束
剤を使うことなく、又は集束剤添着量、エマルジョン濃
度あるいは集束剤種を変えて実施例1と同様に実施した
結果を第1表及び第2表に併記する。 【0017】 【表1】【0018】 【表2】
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明における炭素繊維の紡糸以降の工程に関
する説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 博志 北九州市八幡西区大字藤田2447番地の1 三菱化成工業株式会社黒崎工場内 (56)参考文献 特開 昭58−208465(JP,A) 特開 昭59−179885(JP,A) 特開 昭60−173121(JP,A) 特開 昭60−146079(JP,A) 特公 昭43−21511(JP,B1)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.原料ピッチを溶融紡糸して得られたピッチ繊維を集
    束後、不融化処理、さらに必要に応じて黒鉛化処理を行
    うことによりピッチ系炭素繊維を製造する方法に於い
    て、集束の際又は集束前のピッチ繊維に、集束剤として
    シリコーン油の濃度が0.1〜35重量%であるシリコ
    ーン油の水エマルジョンを付着させた後、更に不融化炉
    の直前に設けた乾燥炉か不融化炉の最初の過程において
    50〜100℃に5分〜2時間保持して乾燥することを
    特徴とするピッチ系炭素繊維の製造方法。 2.集束剤を繊維に対して2〜14重量%付着させるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
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JPS60173121A (ja) * 1984-02-16 1985-09-06 Toa Nenryo Kogyo Kk 炭素繊維及び黒鉛繊維の製造方法

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