JP2686908B2 - ホスフィニルカルボン酸エステルの製法 - Google Patents

ホスフィニルカルボン酸エステルの製法

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JP2686908B2 JP6026068A JP2606894A JP2686908B2 JP 2686908 B2 JP2686908 B2 JP 2686908B2 JP 6026068 A JP6026068 A JP 6026068A JP 2606894 A JP2606894 A JP 2606894A JP 2686908 B2 JP2686908 B2 JP 2686908B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルの難燃剤
もしくは二官能の反応性難燃剤またはその中間体として
利用可能なホスフィニルカルボン酸エステルの製法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ホスフィニルカルボン酸エステル
は、ジクロロフェニルホスフィンとアクリル酸を反応さ
せ加水分解して得られた3−[ヒドロキシ(フェニル)
ホスフィニル]プロピオン酸を経由して得る方法が知ら
れている。(特公昭60−21600号公報、特開平4
−364196号公報、特開平5−194562号公報
記載)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]
プロピオン酸の純度が悪く、ポリエステルの重合用難燃
剤等工業原料として用いるには、加水分解工程の後、再
結晶等の方法で、精製する必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、
本発明は、ジクロロフェニルホスフィンと(メタ)アク
リル酸とを触媒不存在下で反応させて得られた反応混合
物を低級アルコールと反応させ、得られた反応混合物を
アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物
の固体または水溶液を用いて中和して精製することによ
り、下記一般式(1)で示されるホスフィニルカルボン
酸エステル(A)の精製物を得ることを特徴とするホス
フィニルカルボン酸エステルの製法;および該ホスフィ
ニルカルボン酸エステル(A)を、エチレングリコール
と反応させることを特徴とする下記一般式(2)で示さ
れるホスフィニルカルボン酸エステル(B)および/ま
たは下記一般式(3)で示されるホスフィニルカルボン
酸エステル(C)の製法である。 [式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜4のア
ルキル基であり、少なくとも1つは炭素数1〜4のアル
キル基である。Rは水素原子またはメチル基である。
Phはフェニル基である。] [式中、Rは水素原子またはメチル基である。Phは
フェニル基である。] [式中、Rは水素原子またはメチル基である。Phは
フェニル基である。]
【0005】本発明において、(メタ)アクリル酸はア
クリル酸またはメタクリル酸である。
【0006】ジクロロフェニルホスフィンと(メタ)ア
クリル酸との反応は触媒不存在下でおこなう。ジクロロ
フェニルホスフィンと(メタ)アクリル酸との反応は、
反応率の観点から、ジクロロフェニルホスフィンと(メ
タ)アクリル酸とのモル比を通常1:1.01〜1:
1.5、好ましくは1:1.25〜1:1.45でおこ
なう。
【0007】ジクロロフェニルホスフィンと(メタ)ア
クリル酸とを反応させるにあたり、ジクロロフェニルホ
スフィンにアクリル酸を加えても、アクリル酸にジクロ
ロフェニルホスフィンを加えても、あらかじめジクロロ
フェニルホスフィンとアクリル酸を混合しておいてもか
まわない。好ましくはジクロロフェニルホスフィンにア
クリル酸を加える方法である。反応温度は通常80〜1
50℃、好ましくは90〜120℃である。反応時間は
通常1〜3時間である。
【0008】得られた反応混合物は、特定できないが生
成物として下記構造(4)〜(6)の3種類の成分と過
剰な(メタ)アクリル酸からなっている。 [式中、R3 は水素原子またはメチル基である。Phは
フェニル基である。] [式中、R3 は水素原子またはメチル基である。Phは
フェニル基である。] [式中、R3 は水素原子またはメチル基である。Phは
フェニル基である。]
【0009】本発明において上記反応混合物を低級アル
コールと反応させて一般式(1)で示されるホスフィニ
ルカルボン酸エステル(A)が得られる。低級アルコー
ルとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールな
どの一官能アルコールやエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、グリセリンなどの多官能アルコール等を
用いることができるが、反応後の除去のしやすさの点か
ら、メタノールおよびエタノールが好ましい。
【0010】反応に用いる低級アルコールの使用量は、
ジクロロフェニルホスフィンに対し、2倍モル以上、好
ましくは2〜4倍モルである。
【0011】低級アルコールと反応させる時の温度は、
通常0〜150℃であり、時間は通常1〜5時間であ
る。
【0012】上記反応で得られる一般式(1)で示され
るホスフィニルカルボン酸エステル(A)の具体例とし
ては、3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プ
ロピオン酸メチルエステル、3−[メトキシ(フェニ
ル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエステル、3−
[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸
エチルエステル、3−[エトキシ(フェニル)ホスフィ
ニル]プロピオン酸エチルエステル等が挙げられる。
【0013】本発明において一般式(1)で示されるホ
スフィニルカルボン酸エステル(A)をエチレングリコ
ールと反応させることにより、一般式(2)で示される
ホスフィニルカルボン酸エステル(B)および/または
一般式(3)で示されるホスフィニルカルボン酸エステ
ル(C)が得られる。エチレングリコールとの反応に際
し、前記反応で得られたホスフィニルカルボン酸エステ
ル(A)は、難燃の目的等でポリエステルの共重合成分
として用いる点から精製処理することにより得られる。
【0014】精製方法としては、前記反応で得られた一
般式(1)で示されるホスフィニルカルボン酸エステル
(A)を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸
化物の固体もしくは水溶液で中和し精製する。
【0015】アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水
酸化物の固体を用いる場合は、ホスフィニルカルボン酸
エステル(A)と混合し、中和によって生成した析出塩
を濾過することにより精製する。水酸化物の水溶液を用
いる場合はホスフィニルカルボン酸エステル(A)を混
合し、その後通常の分液により精製する。
【0016】一般式(1)で示されるホスフィニルカル
ボン酸エステル(A)をエチレングリコールと反応させ
て、目的の(B)および/または(C)を得るにあた
り、用いるエチレングリコールの使用量は、(A)に対
し、1〜20倍モル当量であり、好ましくは2〜10倍
モル当量である。
【0017】反応を促進する目的で、必要により触媒を
添加してもよい。触媒としては、例えば、ジブチルチン
オキサイド等の錫系触媒、HCl、硫酸、ヘテロポリ酸
等の酸性触媒;トリエチルアミン、ジアザビシクロウン
デセン等のアミン系触媒等あるいはこれらの混合物が挙
げられ、好ましくは、錫系触媒である。添加量は(A)
に対し、通常0.01〜5重量%である。
【0018】温度は、通常50〜220℃であり、好ま
しくは、60〜150℃である。反応は、加圧、常圧、
減圧のいずれでもかまわない。反応の終点はガスクロマ
トグラフィー分析等により確認することができる。
【0019】反応後の精製は、過剰に用いたエチレング
リコールを通常の方法で除去しても良いが、そのまま
(B)および/または(C)の中に残留し、製品として
用いてもかまわない。
【0020】(B)の具体例としては、3−[ヒドロキ
シ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒドロキシ
エチルエステル等が挙げられ、(C)の具体例として
は、3−[ヒドロキシエトキシ(フェニル)ホスフィニ
ル]プロピオン酸ヒドロキシエチルエステル等が挙げら
れる。
【0021】本発明の製法で得られる一般式(2)で示
されるホスフィニルカルボン酸エステル(B)と一般式
(3)で示されるホスフィニルカルボン酸エステル
(C)は反応性難燃剤として使用可能であり、使用する
場合の(B)と(C)のモル比は40:60〜99:1
である。好ましくは50:50〜97:3である。
(B)のモル比が40未満では、これを用いてポリエス
テル重合した場合、得られるポリエステルのガラス転移
温度(以下Tgと記す)が低くなり、熱安定性が劣る。
(B)のモル比が99を超えると、これを用いてポリエ
ステル重合した場合、共重合性が悪く、得られるポリエ
ステルの分子量が低くなり、強度が劣る。
【0022】
【0023】該反応性難燃剤にはエチレングリコールを
含有していてもよい。エチレングリコールの含有量は特
に制限はなく、ポリエステル製造用に用いる際のアルコ
ール成分の比率を考慮した範囲内とするとよい。
【0024】該反応性難燃剤は、ポリエステル繊維、ポ
リエステルフィルム、成形用不飽和ポリエステル樹脂、
アルキッド塗料などの各用途に用いるポリエステル樹脂
組成物の共重合成分として有用である。すなわち、ジメ
チルテレフタレートなどの酸成分と、エチレングリコー
ルなどのアルコール成分とを共重合させポリエステルを
製造する際、該反応性難燃剤をその一成分として用いる
ことにより難燃性ポリエステルが得られる。ポリエステ
ル樹脂組成物中の反応性難燃剤の割合は、リン原子に換
算して、通常、0.1〜5重量%、好ましくは、0.3
〜2.5重量%である。0.1重量%未満では難燃化が
不十分であり、5重量%を越えるとポリエステルの機械
的強度が低下する。
【0025】この難燃性ポリエステルの製法としては、
例えば繊維用の場合は、米国特許第4,033,936
号明細書記載の方法で用いられているホスフィン酸誘導
体にかえて本発明の反応性難燃剤を用いる以外は同明細
書記載の方法と同様の方法で難燃性ポリエステルが得ら
れる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】実施例1 攪はん可能な200mlのガラス容器に、ジクロロフェ
ニルホスフィン35.80gを投入し、アクリル酸2
0.90gを温度が90〜110℃で30分かけて滴下
した。これに、メタノール16.34gを20℃で滴下
し、その後60℃で3時間還流した。ついで、85℃、
10mmHgで過剰のメタノール及びアクリル酸を留去
し、3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロ
ピオン酸メチルエステルと3−[メトキシ(フェニル)
ホスフィニル]プロピオン酸メチルエステルの混合物
(A−1)47.06gを得た。生成物は 1H−NM
R、13C−NMRにより確認し、 1H−NMRの各シグ
ナルの面積比から3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフ
ィニル]プロピオン酸メチルエステルと3−[メトキシ
(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエステ
ルは、ほぼ1:1のモル比で生成していることを確認し
た。また、 1H−NMRの各シグナルの面積比から、反
応率は原料のジクロロフェニルホスフィンに対して9
7.0%であった。
【0028】実施例2 実施例1において、メタノール16.34gの代わり
に、n−ブタノール37.76gを用い、還流温度を1
30℃にした他は同様にして、3−[ヒドロキシ(フェ
ニル)ホスフィニル]プロピオン酸ブチルエステルと3
−[ブトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸
ブチルエステルの混合物(A−2)59.67gを得
た。生成物は実施例1同様の方法で確認し、3−[ヒド
ロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ブチル
エステルと3−[ブトキシ(フェニル)ホスフィニル]
プロピオン酸ブチルエステルのモル比はほぼ1:1であ
った。反応率は、実施例1同様の方法で確認し97.0
%であった。
【0029】実施例3 実施例1で得られた3−[ヒドロキシ(フェニル)ホス
フィニル]プロピオン酸メチルエステルと3−[メトキ
シ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエス
テルの混合物(A−1)において、残留しているアクリ
ル酸、塩酸および副生した亜ホスホン酸の1.1倍当量
の水酸化ナトリウム15%水溶液を用い、(A−1)を
洗浄し、静置分液により精製した。攪はん可能な200
mlのガラス容器に、精製された3−[ヒドロキシ(フ
ェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエステルと
3−[メトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン
酸メチルエステルの混合物47.06gとエチレングリ
コール74.64gを投入し、攪拌しながら20mmH
gの減圧下で、室温から100℃までゆっくり昇温し、
さらに100〜105℃で2.5時間攪拌加熱を続け、
メタノールを系外に除去し、エステル交換反応をおこな
い、3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロ
ピオン酸ヒドロキシエチルエステル(B−1)と3−
[ヒドロキシエトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロ
ピオン酸ヒドロキシエチルエステル(C−1)の混合物
(BC−1)のエチレングリコール溶液112.10g
を得た。生成物は 1H−NMR、13C−NMRにより確
認し、 1H−NMRの各シグナルの面積比から3−[ヒ
ドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒド
ロキシエチルエステル(B−1)と3−[ヒドロキシエ
トキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒドロ
キシエチルエステル(C−1)は、ほぼ1:1のモル比
で生成していることを確認した。また、1H−NMRの
各シグナルの面積比から、反応率は原料の3−[ヒドロ
キシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエ
ステルと3−[メトキシ(フェニル)ホスフィニル]プ
ロピオン酸メチルエステルの混合物に対して98.0%
であった。
【0030】実施例4 実施例3において、3−[ヒドロキシ(フェニル)ホス
フィニル]プロピオン酸メチルエステルと3−[メトキ
シ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエス
テルの混合物(A−1)の代わりに、実施例2で得られ
た3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピ
オン酸ブチルエステルと3−[メトキシ(フェニル)ホ
スフィニル]プロピオン酸ブチルエステルの混合物(A
−2)を用いて、実施例3と同様の方法で精製した。精
製された3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]
プロピオン酸ブチルエステルと3−[メトキシ(フェニ
ル)ホスフィニル]プロピオン酸ブチルエステルの混合
物59.67gを用いた他は、実施例3と同様にして、
3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオ
ン酸ヒドロキシエチルエステル(B−2)、3−[ヒド
ロキシエトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン
酸ヒドロキシエチルエステル(C−2)の混合物(BC
−2)のエチレングリコール溶液112.10gを得
た。生成物は、実施例3と同様の方法で確認し、3−
[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸
ヒドロキシエチルエステル(B−2)と3−[ヒドロキ
シエトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒ
ドロキシエチルエステル(C−2)とは、ほぼ1:1の
モル比で生成していることを確認した。また、反応率は
原料の3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プ
ロピオン酸ブチルエステルと3−[ブトキシ(フェニ
ル)ホスフィニル]プロピオン酸ブチルエステルの混合
物に対して97.0%であった。
【0031】実施例5 実施例1において、メタノールの滴下の温度を20℃で
する代わりに、40℃でする以外は同様にして、3−
[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸
メチルエステルと3−[メトキシ(フェニル)ホスフィ
ニル]プロピオン酸メチルエステルの混合物(A−3)
45.8gを得た。生成物は 1H−NMR、13C−NM
Rにより確認し、 1H−NMRの各シグナルの面積比か
ら3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピ
オン酸メチルエステルと3−[メトキシ(フェニル)ホ
スフィニル]プロピオン酸メチルエステルは、ほぼ8:
2のモル比で生成していることを確認した。また、 1
−NMRの各シグナルの面積比から、反応率は原料のジ
クロロフェニルホスフィンに対して97.0%であっ
た。
【0032】実施例6 実施例3において、実施例1で得られた3−[ヒドロキ
シ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチルエス
テルと3−[メトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロ
ピオン酸メチルエステルの混合物(A−1)の代わり
に、実施例5で得られた3−[ヒドロキシ(フェニル)
ホスフィニル]プロピオン酸メチルエステルと3−[メ
トキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチル
エステルの混合物(A−3)を用いた以外は同様にし
て、3−[ヒドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロ
ピオン酸ヒドロキシエチルエステル(B−1)、3−
[ヒドロキシエトキシ(フェニル)ホスフィニル]プロ
ピオン酸ヒドロキシエチルエステル(C−1)の混合物
(BC−3)のエチレングリコール溶液111.10g
を得た。生成物は 1H−NMR、13C−NMRにより確
認し、 1H−NMRの各シグナルの面積比から3−[ヒ
ドロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒド
ロキシエチルエステル(B−1)と3−[ヒドロキシエ
トキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒドロ
キシエチルエステル(C−1)とは、ほぼ8:2のモル
比で生成していることを確認した。また、1H−NMR
の各シグナルの面積比から、反応率は原料の3−[ヒド
ロキシ(フェニル)ホスフィニル]プロピオン酸メチル
エステルと3−[メトキシ(フェニル)ホスフィニル]
プロピオン酸メチルエステルの混合物に対して98.5
%であった。
【0033】比較例1 実施例1においてメタノール16.34gの代わりに水
9.18gを用いたが、水酸化ナトリウム水溶液で精製
する際、均一系となり分液できず、精製できなかった。
【0034】使用例1 テレフタル酸40部、イソフタル酸10部、エチレング
リコール25部を反応槽に仕込み、220℃、0.5K
g/cmの加圧下の条件で、脱水エステル化した。こ
れに、酢酸リチウム0.34部、三酸化アンチモン0.
015部、隣酸0.005部、及び実施例3で得られた
(BC−1)のエチレングリコール溶液を13部を仕込
み、260℃、2mmHgの減圧下、2.5h、重合
し、ポリエステル(P−1)63部を得た。このものの
Tgは51℃であった。 1,2−ジクロロエタン/フ
ェノール(1/1重量比混液)を溶剤に用いた時の極限
粘度は0.386(20℃)であった。
【0035】使用例2 使用例1において、(BC−1)のエチレングリコール
溶液を10部の代わりに、(BC−3)のエチレングリ
コール溶液を10部を用いた他は同様にして、ポリエス
テル(P−2)63部を得た。このもののTgは53℃
であった。極限粘度は0.371(20℃)であった。
【0036】比較使用例1 使用例1において、(B−1)のエチレングリコール溶
液を10部の代わりに、特開平5−194562号公報
記載の方法で得た3−[ピドロキシエトキシ(フェニ
ル)ホスフィニル]プロピオン酸ヒドロキシエチルエス
テルの純分50%のエチレングリコール溶液10部を用
いた他は、同様にして、ポリエステル(P−4)64部
を得た。このもののTgは36℃であった。極限粘度は
0.376(20℃)であった。
【0037】
【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。本発明
の製法は(1)ホスフィニルカルボン酸エステル(A)
の精製が容易で工業的に有利なプロセスである。(2)
収率が高く、コストメリットがある。(3)得られるホ
スフィニルカルボン酸エステル(B)および/またはホ
スフィニルカルボン酸エステル(C)は、純度が高く、
難燃の目的等でポリエステルの共重合成分として用いる
のに好適である。(4)反応性難燃剤としてポリエステ
ルの共重合成分として用いた場合、優れた難燃性を付与
し、高分子量のポリエステルが得られ易く、かつ、得ら
れたポリエステルのガラス転移温度が高く有用である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジクロロフェニルホスフィンと(メタ)
    アクリル酸とを触媒不存在下で反応させて得られた反応
    混合物を低級アルコールと反応させ、得られた反応混合
    物をアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸
    化物の固体または水溶液を用いて中和して精製すること
    により、下記一般式(1)で示されるホスフィニルカル
    ボン酸エステル(A)の精製物を得ることを特徴とする
    ホスフィニルカルボン酸エステルの製法。 [式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜4のア
    ルキル基であり、少なくとも1つは炭素数1〜4のアル
    キル基である。Rは水素原子またはメチル基である。
    Phはフェニル基である。]
  2. 【請求項2】 ジクロロフェニルホスフィンと(メタ)
    アクリル酸とのモル比が1:1.25〜1:1.45で
    ある請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 0〜150℃の温度で低級アルコールと
    反応させる請求項1または2記載の製法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の方法で得
    られるホスフィニルカルボン酸エステル(A)を、エチ
    レングリコールと反応させることを特徴とする下記一般
    式(2)で示されるホスフィニルカルボン酸エステル
    (B)および/または下記一般式(3)で示されるホス
    フィニルカルボン酸エステル(C)の製法。 [式中、Rは水素原子またはメチル基である。Phは
    フェニル基である。] [式中、Rは水素原子またはメチル基である。Phは
    フェニル基である。]
JP6026068A 1993-11-12 1994-01-27 ホスフィニルカルボン酸エステルの製法 Expired - Fee Related JP2686908B2 (ja)

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