JP2001139951A - 反応性難燃剤、難燃性ポリマーおよびポリエステル繊維 - Google Patents

反応性難燃剤、難燃性ポリマーおよびポリエステル繊維

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JP2001139951A
JP2001139951A JP2000303264A JP2000303264A JP2001139951A JP 2001139951 A JP2001139951 A JP 2001139951A JP 2000303264 A JP2000303264 A JP 2000303264A JP 2000303264 A JP2000303264 A JP 2000303264A JP 2001139951 A JP2001139951 A JP 2001139951A
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reaction
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reactive flame
mol
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Seiji Shimura
征爾 志村
Junji Taguchi
純二 田口
Tomio Yanai
富雄 柳井
Yasuko Funabashi
康子 船橋
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2−ヒドロキシカルボニルエチルアルキルホ
スフィン酸からなる反応性難燃剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される2−ヒドロ
キシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸からなり、
不純物含有量が10重量%以下である反応性難燃剤。 【化1】 (式中、R1は炭素原子数7〜12のアルキル基、R2
水素原子又はメチル基を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−ヒドロキシカ
ルボニルエチルアルキルホスフィン酸からなる優れた難
燃効果を示す反応性難燃剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、次の一般式(3)
【0003】
【化2】
【0004】(式中、R1′は炭素原子数1〜6のアル
キル基、R2は水素原子またはメチル基、R3 は水素原
子または低級アルキル基を示す)で表わされるホスフィ
ン酸誘導体は、医薬,農薬の中間体、難燃剤として有用
な有機リン化合物である。
【0005】特に、このホスフィン酸誘導体は、安定な
P−C結合をもつ二官能基含有有機リン化合物であると
ころから、ポリエステルやポリアミドの合成の際のモノ
マー成分として、これを用いて該高分子物質、例えば繊
維に半永久的に難燃性を付与することができる、いわゆ
る反応性難燃剤として有望なものである。(例えば、特
公昭53−13479号公報) その製造方法については、例えば、特公昭53−134
79号公報には、不飽和カルボン酸、特にアクリル酸に
アルキルジクロルホスフィンを添加して反応させ、次い
で加水分解することによりホスフィン酸誘導体を製造す
る方法が開示されている。
【0006】また、特開昭52−33628号公報に
は、メチルホスフィンとアクリル酸を塩酸水溶液中で反
応させ、生成したホスホニウムクロリドに酸化剤を加え
ることによりホスフィン酸誘導体を製造する方法が開示
されている。
【0007】しかしながら、これらアルキルホスフィン
又はアルキルジクロロホスフィンと不飽和カルボン酸と
の反応は、高温高圧反応であるため取扱が困難であり、
且つ塩素ガス等の副生物が発生し、作業を困難にする。
しかも、生成するホスフィン酸誘導体は、実質的には、
メチルやエチルの低級アルキルホスフィン酸に実質的に
限定されることから、生成するホスフィン酸誘導体は、
熱安定性に劣るものである。
【0008】従って、これを反応性難燃剤等に使用する
場合、反応の際に熱分解し易いことや不純物の影響が支
障となって、これまで期待されている程には、実用性が
難しいものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
実に鑑み、高純度で且つ熱安定性のよいホスフィン酸誘
導体の研究を鋭意行った結果、次亜リン酸又はその塩と
アルケンとを反応させ、生成した有機酸にアクリル酸エ
ステルまたはメタアクリル酸エステルを反応させた後、
加水分解させることにより、高収率、高純度で2−ヒド
ロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸を得るこ
とができ、その得られた特定化合物が優れた反応性難燃
剤であることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式(1)で表される2−ヒドロキシカルボニルエチル
アルキルホスフィン酸からなり、不純物含有量が10重
量%以下であることを特徴とする反応性難燃剤である。
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1は炭素原子数7〜12のアル
キル基、R2は水素原子又はメチル基を示す)
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明をす
る。本発明に係る一般式(1)で表される2−ヒドロキ
シカルボニルエチルアルキルホスフィン酸の製造方法
は、下記のように基本的には、三つの工程からなる。
【0014】即ち、次亜リン酸または次亜リン酸塩と炭
素原子数7〜12のアルケンとをアルコール溶媒中でラ
ジカル開始剤の存在下で反応させて、下記一般式(2)
【0015】
【化4】 (式中、R1は炭素原子数7〜12のアルキル基を示
す)
【0016】で表されるアルキルホスフィン酸を生成さ
せる第一工程、次いで生成した該アルキルホスフィン酸
とアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルと
をラジカル開始剤の存在下で反応させて2−ヒドロキシ
カルボニルエチルアルキルホスフィン酸エステルを生成
させる第二工程、次いで該エステルを加水分解する第三
工程よりなる下記一般式(1)
【0017】
【化5】 (式中、R1は前記と同義、R2水素原子又はメチル基を
示す)で表される2−ヒドロキシカルボニルエチルアル
キルホスフィン酸の製造方法である。
【0018】(第一工程)まず、第一工程は、次亜リン
酸(塩)とアルケンとの反応により前記一般式(2)で
示されるアルキルホスフィン酸を生成させる工程であ
る。
【0019】従来のように、アルキルホスフィンをリン
の出発原料とする代わりに、本発明では、次亜リン酸ま
たはその塩を出発原料とすることが、その特徴の1つと
なっている。
【0020】次亜リン酸またはその塩としては、次亜リ
ン酸,次亜リン酸ナトリウム,次亜リン酸カリウム又は
次亜リン酸アンモニウム等が挙げられるが、工業的には
最も安価な次亜リン酸ナトリウムが用いられる。
【0021】他の原料として使用するアルケンは、炭素
原子数7〜12のものが用いられ、例えば1−ヘプテ
ン,1−オクテン,1−ノナン,1−デセン,シクロオ
クテン等が挙げられる。
【0022】なお、炭素原子数3以下のアルケン、例え
ばエチレン,プロピレン等は、次亜リン酸またはその塩
とエチレンガス,プロピレンガスとの高圧反応であるた
めに、操作性が困難であるばかりでなく、生成物中の不
純物が多く、精製が必要となるため工業的に不利であ
る。また、炭素原子数が12を越えるアルケンの場合
は、極端に収率が低くなるために経済性が悪くなること
によるものである。
【0023】上記二つの原料をアルコール溶媒中でラジ
カル開始剤の存在下で反応させる。反応条件は、原料の
物性、溶媒の種類及び選択されるラジカル開始剤によっ
て異なるが、反応温度は通常50〜120℃、好ましく
は50〜100℃であり、反応時間は通常1〜24時
間、好ましくは2〜10時間である。反応は常圧又は加
圧下のいずれで行ってもよいが、好ましくは常圧下で行
うのがよい。
【0024】アルケンと次亜リン酸またはその塩とのモ
ル比は、1:1乃至1:5モル、好ましくは1:1乃至
1:3モルが適当である。次亜リン酸またはその塩はア
ルケンに対して1〜5倍モルを添加するが、これは不純
物であるジアルキルホスフィン酸の生成を少なくするた
めであり、過剰の次亜リン酸またはその塩は、回収して
反応に繰り返して使用すことができる。
【0025】反応溶媒は、メタノール,エタノール,イ
ソプロピルアルコール,n−プロピルアルコール等のア
ルキルアルコールを使用するのが好ましい。
【0026】また使用するラジカル開始剤は、半減期が
上記反応温度に適したものを使用するのが好ましく、例
えば、アセチルパーオキサイド,イソブチルパーオキサ
イド,オクタノイルパーオキサイド,デカノイルパーオ
キサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピ
ルパーオキシジカルボネート,ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネー
ト類、t−ブチルパーオキシイソブチレート,t−ブチ
ルパーピバレート等のパーオキシエステル類、2,2′
−アゾビス(2−メチルプロピルニトリル),2,2′
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル),ジメ
チル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネイ
ト)等のアゾビス類等が挙げられる。
【0027】反応終了後は、過剰の次亜リン酸またはそ
の塩、及び溶媒のアルコールを分離回収し、生成したア
ルキルホスフィン酸を回収する。
【0028】次に、次亜リン酸ナトリウムを出発原料と
する場合の反応終了後の工程について説明する。すなわ
ち、反応終了後、冷却することにより過剰の次亜リン酸
ナトリウムを晶折せしめ、これを固液分離する。次い
で、溶媒のアルコールを減圧下により分離回収し、残っ
た反応生成物を塩酸又は硫酸の如き鉱酸と反応させて脱
アルカリ後、ジクロルメタンの如き所望な抽出溶媒を用
いて反応生成物を抽出し、次いで両者を分離して、一般
式(2)で表わされるアルキルホスフィン酸を回収す
る。
【0029】(第二工程)次に、第二工程は、上記で得
られたアルキルホスフィン酸とアクリル酸エステルまた
はメタアクリル酸エステル(以下、(メタ)アクリル酸
エステルと記す)とを無溶媒で、ラジカル開始剤を添加
して反応させ2−ヒドロキシカルボニルエチルアルキル
ホスフィン酸エステルを生成させる工程である。
【0030】使用する(メタ)アクリル酸エステルとし
ては、例えばアクリル酸メチル,アクリル酸エチル,ア
クリル酸ブチル,アクリル酸ヘキシル,アクリル酸オク
チルなどのアクリル酸エステル、メタアクリル酸メチ
ル,メタアクリル酸エチル,メタアクリル酸ブチル,メ
タアクリル酸ヘキシル,メタアクリル酸オクチル等のメ
タアクリル酸エステルが代表的に挙げられるが、特にこ
れらに限定されるものではない。
【0031】なお、元来、ここでは、(メタ)アクリル
酸エステルではなく、アクリル酸またはメタアクリル酸
(以下、(メタ)アクリル酸と記す)の方が、次の加水
分解工程を省略でき、直接的で好ましいのであるが、こ
の工程における反応においては、(メタ)アクリル酸は
自己重合し易く、アルキルホスフィン酸との反応がうま
くいかないことから、(メタ)アクリル酸は上記のよう
にエステル体でなければならない。
【0032】反応条件は、反応剤の物性、選択されるラ
ジカル開始剤によって異なるが、一般的に反応温度は、
通常50〜150℃、好ましくは100〜150℃であ
り、反応時間は通常1〜24時間、2〜10時間であ
る。
【0033】アルキルホスフィン酸と(メタ)アクリル
酸エステルとのモル比は、1:1乃至1:5モルが適当
で、多くの場合(メタ)アクリル酸エステルを過剰に用
いる。ラジカル開始剤の使用量は、アルキルホスフィン
酸1モルに対して0.001〜0.1モル、好ましくは
0.01〜0.1モルが適当である。なお、この工程で
の反応において、溶媒は必ずしも必須ではなく無溶媒で
よいが、反応等を制御する場合、溶媒を使用しても構わ
ない。
【0034】その場合、例えばキシレン,クロルベンゼ
ン,クロルトルエン,ジクロルベンゼン,テトラリン,
デカリン,ドデシルベンゼン,高沸点のベンゼン留分、
メチルホルムアミド,ヘキサメチルリン酸トリアミド等
の酸アミド、エチレングリコール,ポリエチレングリコ
ールエーテル,プロピレングリコール,ポリプロピレン
グリコールエーテル等のジアルキルエーテル、ジメチル
スルフォキシド等の溶媒を挙げることができる。
【0035】また使用するラジカル開始剤としては、半
減期が前記反応温度範囲に適したものを使用すればよ
く、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド,シク
ロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド
類、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン,1,1−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケター
ル類、ジ−t−ブチルパーオキサイド,t−ブチルクミ
ルパーオキサイド,ジクミルパーオキサイド等のジアル
キルパーオキサイド類、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド,クミルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイ
ド類、t−ブチルパーオキシアウレイト,t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類等を挙
げることができる。
【0036】反応終了後、冷却すると無色油状液体の2
−ヒドロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸エ
ステルを得ることができる。
【0037】(第三工程)次いで、第三工程は、前工程
で得られた2−ヒドロキシカルボニルエチルアルキルホ
スフィン酸エステルを加水分解させて、本発明に係る目
的物である2−ヒドロキシカルボニルエチルアルキルホ
スフィン酸を得る工程である。カルボン酸エステルの加
水分解は、公知であり、例えば酸の存在下で加熱し、副
生するアルキルアルコールを水と共沸で系外に除去しな
がら加水分解させる。
【0038】酸水溶液は、10〜20wt%の塩酸、硫
酸、過塩素酸等でよく、反応温度は通常70〜120
℃、好ましくは100〜110℃である。反応時間は、
通常1〜24時間、好ましくは1〜10時間である。反
応は、常圧又は減圧下のいずれでも行えるが、好ましく
は常圧で行うのがよい。
【0039】反応終了後、生成した有機層と水層を分離
し、分離した有機層を冷却すると目的物であるホスフィ
ン誘導体が結晶化するので、これを分離回収する。更
に、常法によりn−ヘキサン等で洗浄・乾燥して製品と
する。
【0040】上記の製造方法で得られる、本発明の一般
式(1)で表わされるホスフィン酸誘導体、即ち2−ヒ
ドロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸は、例
えば2−ヒドロキシカルボニルエチルヘプチルホスフィ
ン酸,2−ヒドロキシカルボニルエチルオクチルホスフ
ィン酸,2−ヒドロキシカルボニルエチルデシルホスフ
ィン酸,2−ヒドロキシカルボニルエチルノニルホスフ
ィン酸,2−ヒドロキシカルボニルエチルシクロオクチ
ルホスフィン酸,2−ヒドロキシカルボニル−2−メチ
ルエチルヘプチルホスフィン酸,2−ヒドロキシカルボ
ニル−2−メチルエチルオクチルホスフィン酸,2−ヒ
ドロキシカルボニル−2−メチルエチルデシルホスフィ
ン酸,2−ヒドロキシカルボニル−2−メチルエチルド
デシルホスフィン酸等が挙げられる。
【0041】また、本発明に係る上記高純度ホスフィニ
ル化合物は、反応性難燃剤として優れており、特に一般
式(1)のR1が炭素原子数が7〜12、好ましくは7
〜10のアルキル基である場合は、熱安定性に優れ、例
えばポリエステルやポリアミド等のポリマー製造時に共
重合させる場合、成形時に熱分解を起こして成形物に好
ましくない着色を与えたり、重合度を低下させる等の欠
点を防止することができる。
【0042】更に、R1が炭素原子数が7〜12のアル
キル基の場合は、上記の製法上において特にポリマーと
共重合する時に、重合を阻害する不純物、たとえば第一
工程で生成する一般式(2)で表わされる未反応のアル
キルホスフィン酸や、下記の一般式(4)
【0043】
【化6】
【0044】(式中、R1は前記と同じものを示す)で
表されるジアルキルホスフィン酸、第三工程で未加水分
解物の第二工程の生成物のホスフィニル系エステル体等
が少なく、これらの不純物が10wt%以下、好ましく
は5wt%以下の高純度品として得られるため、反応性
難燃剤として優れた特徴をもつている。
【0045】本来、ポリマーの難燃性は、含リン量に比
例することから、一般式(1)で表される化合物におい
て、R1がメチルやエチルなどのアルキル基が小さいほ
うが有利であるが、それらは熱安定性が悪くかつ、不純
物含有量も多いことから共重合の際に熱分解を起こし、
ポリマーの色調および物性も悪化する。従って、本発明
に係る反応性難燃剤は、上記のように含リン量は低いに
も拘らず、上記二つの理由から、優れたポリエステルや
ポリアミド系の反応性難燃剤として利用することができ
る。
【0046】本発明に係る反応性難燃剤は、上記ホスフ
ィン酸誘導体をポリマー中のリン原子含有量が500p
pm以上となるように添加するのが好ましい。500p
pm未満では難燃性が不十分であり、また含有量をあま
り多くするとポリマーとして必要な重合度に達する前
に、ゲル化が生じたり、ポリマー本来の良好な物理的性
質が損なわれる等、操業上、ポリマーの物性上問題が生
じることがある。
【0047】ホスフィン酸誘導体は、常法によってポリ
マー、例えばポリエステルを製造する際に添加すればよ
い。すなわち、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステル
とジオールとからエステル化又はエステル交換反応及び
重縮合反応によりポリエステルを製造する際に、エステ
ル化又はエステル交換反応から重縮合反応の初期までの
任意の段階で添加することができる。
【0048】
【実施例】以下に実施例によって更に詳細に説明する。
【0049】実施例1 (第一工程)撹拌機、温度計、滴下ロート、還流コンデ
ンサーを付けた500mlの四つ口丸底フラスコに次亜
リン酸ナトリウム・1水塩79.5g(0.75モル)
と水20.0g、メタノール175.0gを仕込み、よ
く撹拌し、滴下ロートに仕込んだラジカル開始剤1,
1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサネート2.05gを1−オクテン56.1g
(0.5モル)に溶解させた溶液を、約3時間かけてメ
タノール還流下に、滴下した。滴下終了後、同温度で2
時間熟成させ、その後20mmHgの減圧で60℃まで
昇温させてメタノールを留去させた。
【0050】この残液に、水300mlを加えて溶解
し、50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9〜10に
調製した後、トルエン50mlで未反応の1−オクテン
や不純物等を抽出除去した。
【0051】分離した水層に50%硫酸水溶液でpHを
1に調整して2液に分離した。その分離した液に、塩化
メチレン200mlを加え抽出分離し、塩化メチレンを
回収すると無色透明油状物質であるn−オクチルホスフ
ィン酸87.6g(1−オクテン基準で収率98.3
%)を得た。
【0052】(第二工程)得られたn−オクチルホスフ
ィン酸53.5g(0.30モル)をフラスコに仕込
み、窒素下130℃に昇温した。次いで、滴下ロートに
仕込んだラジカル開始剤ジ−t−ブチルパーオキサイド
0.88gをアクリル酸2−エチルヘキシル55.3g
(0.30モル)に溶解させた溶液を、約90分で滴下
した。滴下終了後、同温度にて2時間熟成を行い、冷却
後無色透明油状液体109.1gを得た。
【0053】(第三工程)この油状物に、15%塩酸水
溶液240mlを加え、フラスコにディーン・スターン
の装置を取り付けて、100〜105℃で還流下加熱反
応を行った。加水分解反応により副生する2−エチルヘ
キサノールを水と共沸(共沸点99℃)にて、反応の系
外に除去した。この加水分解反応を8時間行い、2−エ
チルヘキサノール40.2gを留出し、反応を終了し
た。反応物は有機層と水層とにわかれており、それを約
70℃にて分離し、有機層を室温まで冷却すると結晶化
し沈殿した。その生成物をn−ヘキサン300mlで2
回洗浄を行ない、更に乾燥を行なった結果、白色結晶の
2−ヒドロキシカルボニルエチルオクチルホスフィン酸
が61.0g(n−オクチルホスフィン酸基準で収率8
1.3%)得られた。(試料Aとする)結晶をメチル化
してガスクロマトグラフィーで分析をしたところ純度9
8.3%であった。
【0054】結晶の融点:104.5〜105.5℃ 質量分析(FAB):(M+H)+ 251,(2M+
H)+ 501 元素分析(P%):測定値 12.29%(理論値 1
2.38%)
【0055】実施例2 (第一工程)実施例1と同様に、次亜リン酸ナトリウム
・1水塩79.5g(0.75モル)と水15.0g、
エタノール105.0gを丸底フラスコに仕込み、滴下
ロートに仕込んだラジカル開始剤t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサネート1.97gを1−ドデセン5
0.5g(0.30モル)に溶解した溶液を、80℃で
約3時間かけて滴下した。滴下終了後、熟成を2時間行
った。その後、実施例2と同様の処理を行ない無色透明
油状物であるn−ドデシルホスフィン酸56.2g(1
−ドデセン基準で収率98.6%)を得た。
【0056】(第二工程)得られたn−ドデシルホスフ
ィン酸56.2g(0.24モル)をフラスコに仕込
み、滴下ロートに仕込んだラジカル開始剤ジーt−ブチ
ルパーオキサイド0.70gをアクリル酸−2−エチル
ヘキシル44.2g(0.24モル)に溶解させた溶液
を滴下し、実施例1と同様の操作を行なった結果、無色
透明油状物101.0gを得た。
【0057】(第三工程)更に、この油状物に10%硫
酸水溶液240mlを加え、実施例1と同様に加水分解
反応を10時間行ない、副生2−エチルヘキサノール3
1.3gを留去し、反応を終了した。後処理も実施例1
と同様に行なった結果、白色結晶の2−ヒドロキシカル
ボニルエチルドデシルホスフィン酸を59.6g(n−
ドデシルホスフィン酸基準で収率81.0%)が得られ
た。(試料Bとする)結晶をメチル化してガスクロマト
グラフィーで分析をしたところ純度97.4%であっ
た。
【0058】結晶の融点:117.0〜119.0℃ 質量分析(FAB):(M+H)+ 307,(2M+
H)+ 613 元素分析(P%):測定値 9.94%(理論値 1
0.11%)
【0059】参考例1 (第一工程)実施例1と同様に、次亜リン酸ナトリウム
・1水塩159.0g(1.50モル)と水25.0g
をオートクレーブに仕込み、ラジカル開始剤t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサネート2.05gをエタ
ノール50mlに溶解させた溶液を高圧用マイクロポン
プで、また1−ブテン28.1g(0.50モル)をガ
ス仕込みにより80℃で約3時間かけて同時に注入し
た。注入終了後、熟成を2時間行なった。その後、実施
例2と同様の処理を行ない無色透明油状物であるn−ブ
チルホスフィン酸53.2g(1−ブテン基準で収率8
7.1%)を得た。
【0060】(第二工程)得られたn−ブチルホスフィ
ン酸48.4g(0.24モル)をフラスコに仕込み、
滴下ロートに仕込んだラジカル開始剤ジーt−ブチルパ
ーオキサイド1.17gをアクリル酸−2−エチルヘキ
シル73.7g(0.40モル)に溶解させた溶液を滴
下し、実施例1と同様の操作を行なった結果、無色透明
油状物123.1gを得た。
【0061】(第三工程)更に、この油状物に10%塩
酸水溶液320mlを加え、実施例1と同様に加水分解
反応を10時間行ない、副生2−エチルヘキサノール3
1.7gを留去し、反応を終了した。後処理も実施例1
と同様に行なった結果、粗結晶70.4gを得た。それ
をアセトン−ヘキサン溶媒により再結晶を行ない白色結
晶の2−ヒドロキシカルボニルエチルブチルホスフィン
酸を60.2g(n−ブチルホスフィン酸基準で収率7
7.5%)が得られた。結晶をメチル化してガスクロマ
トグラフィーで分析をしたところ純度96.8%であっ
た。
【0062】結晶の融点:87.0〜88.5℃ 質量分析(FAB):(M+H)+ 195,(2M+
H)+ 389 元素分析(P%):測定値 15.77%(理論値 1
5.95%)
【0063】実施例3 (第二工程)実施例1で得られたn−オクチルホスフィ
ン酸53.5g(0.30モル)をフラスコに仕込み、
窒素下130℃に昇温した。次いで、仕込んだラジカル
開始剤ジーt−ブチルパーオキサイド0.88gをメタ
クリル酸−2−エチルヘキシル59.5g(0.30モ
ル)に溶解させた溶液を、約90分で滴下した。滴下終
了後、同温度で2時間熟成を行ない、冷却後無色透明油
状物113.5gを得た。
【0064】(第三工程)この油状物に15%塩酸水溶
液240mlを加え、実施例1と同様に加水分解反応を
10時間行ない、副生2−エチルヘキサノール40.7
gを留去し、反応を終了した。後処理も実施例1と同様
に行なった結果、白色結晶の2−ヒドロキシカルボニル
−2−メチルエチルオクチルホスフィン酸を65.3g
(n−オクチルホスフィン酸基準で収率82.3%)が
得られた。(試料Cとする)結晶をメチル化してガスク
ロマトグラフィーで分析をしたところ純度96.2%で
あった。
【0065】結晶の融点:97.0〜99.0℃ 質量分析(FAB):(M+H)+ 265,(2M+
H)+ 529 元素分析(P%):測定値 11.5%(理論値 1
1.72%)
【0066】実施例4 クライゼン管及び冷却管を付けた500mlの丸底フラ
スコにテレフタル酸ジメチル194重量部にエチレング
リコール155重量部と、触媒としての酢酸カルシウム
0.25重量部を加え、窒素下180℃でエステル交換
した。浴温を200℃に上げて2時間加熱しメタノール
を脱離した。
【0067】メタノール脱離の終了後220℃に昇温
し、2−ヒドロキシカルボニルエチルオクチルホスフィ
ン酸(純度98.3%、試料A)10重量部を加えエス
テル化する。三酸化アンチモン0.10重量部を添加
後、反応容器を更に加熱し280℃まで昇温すると同時
に、真空アダプターを取り付けて0.2mmHgまで徐
々に減圧し重縮合反応を約3時間行なった。重合縮合終
了後、溶融状態から糸状に引き伸ばし、繊維にして燃焼
試験(JIS−L1091、繊維製品の難燃性試験方法
D法:接炎試験)を行なった。また、このポリエステ
ルのリン含有量は6000ppmであり、繊維の接炎回
数は4.4回であった。
【0068】実施例5〜6 ホスフィン酸誘導体の種類を変えて、実施例4と同様に
して、ポリエステルを製造した。得られたポリエステル
の特性値を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】実施例4〜6(試料A,B,C)の場合、
ポリエステルの着色はなかったが、2−ヒドロキシカル
ボニルエチルメチルホスフィン酸を実施例4と同様の方
法により添加したポリエステルは着色していた。
【0071】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、2
−ヒドロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸を
高収率、高純度で得ることができ、その得られた2−ヒ
ドロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸の特定
化合物からなる反応性難燃剤は優れた難燃効果が得られ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月4日(2000.10.
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 反応性難燃剤、難燃性ポリマーおよび
ポリエステル繊維
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、R1は炭素原子数7〜12のアルキル基、R2
水素原子又はメチル基を示す)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2−ヒドロキシカ
ルボニルエチルアルキルホスフィン酸からなる優れた難
燃効果を示す反応性難燃剤、それを含有する難燃性ポリ
マーおよび難燃性ポリエステル繊維に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】(式中、R1は炭素原子数7〜12のアル
キル基、R2は水素原子又はメチル基を示す)また本発
明は、上記の反応性難燃剤をポリエステルまたはポリア
ミドにポリマー中のリン原子含有量が500ppm以上
となるように含有してなることを特徴とする難燃性ポリ
マーである。さらに、本発明は、上記の反応性難燃剤を
ポリマー中のリン原子含有量が500ppm以上となる
ように含有してなることを特徴とする難燃性ポリエステ
ル繊維である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正内容】
【0071】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、2
−ヒドロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸を
高収率、高純度で得ることができ、その得られた2−ヒ
ドロキシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸の特定
化合物からなる反応性難燃剤は優れた難燃効果が得られ
る。また、本発明は、上記の反応性難燃剤を含有する難
燃性ポリマーおよび難燃性ポリエステル繊維を提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (72)発明者 柳井 富雄 東京都江東区亀戸9丁目15番1号 日本化 学工業株式会社内 (72)発明者 船橋 康子 東京都江東区亀戸9丁目15番1号 日本化 学工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される2−ヒドロ
    キシカルボニルエチルアルキルホスフィン酸からなり、
    不純物含有量が10重量%以下であることを特徴とする
    反応性難燃剤。 【化1】 (式中、R1は炭素原子数7〜12のアルキル基、R2
    水素原子又はメチル基を示す)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100654525B1 (ko) * 2005-12-30 2006-12-05 제일모직주식회사 카르복시에틸 포스피네이트 에스테르 염 화합물과 이를함유하는 난연성 열가소성 수지조성물
JP2007254468A (ja) * 2006-03-21 2007-10-04 Clariant Internatl Ltd リン含有混合物、それの製造及び使用
JP2007254467A (ja) * 2006-03-21 2007-10-04 Clariant Internatl Ltd リン含有混合物、それの製造及び使用

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KR100654525B1 (ko) * 2005-12-30 2006-12-05 제일모직주식회사 카르복시에틸 포스피네이트 에스테르 염 화합물과 이를함유하는 난연성 열가소성 수지조성물
JP2007254468A (ja) * 2006-03-21 2007-10-04 Clariant Internatl Ltd リン含有混合物、それの製造及び使用
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