JP2000038398A - 架橋性(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸およびその製造方法 - Google Patents
架橋性(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸およびその製造方法Info
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Abstract
ル型の化合物は、耐熱性、耐加水分解性、耐候性等の安
定性が十分ではない。 【解決手段】 本発明は、樹脂の改質剤として優れた特
徴を有する一般式(1)の新規な架橋性(メタ)アクリ
ル基を有するホスフィン酸及びその製造方法を提供す
る。 【化1】
Description
を目的として、種々の高分子材料に共重合可能な新規な
架橋性モノマーであるホスフィン酸化合物、その製造法
及びその有機高分子材料用改質剤としての用途に関す
る。
汚性等樹脂の改質などのためにリンを含む種々の化合物
が用いられれており、この中でリンを含む重合可能なア
クリル系モノマーとしては、次の一般式(4)に示すよ
うなリン酸型のモノマーが知られており、すでに市場に
供給されている。しかし、本発明の(メタ)アクリル基
を有するホスフィン酸化合物は、まったく知られていな
い。
表わす。)
るようなリン酸型の化合物は、エステル結合によって構
成されているため、このエステル結合が加水分解等によ
って分解されやすく、樹脂の改質剤等に使用した場合に
安定性が十分でなく,従って耐熱性、耐加水分解性、耐
候性等において十分満足すべきものではなかった。
に鑑み、新規な架橋性(メタ)アクリル基を有するホス
フィン酸化合物およびその製造方法について鋭意研究を
重ねた結果、次亜リン酸または次亜リン酸塩と不飽和ア
ルコールより2段階の付加反応により得られるビス(ヒ
ドロキシアルキル)ホスフィン酸と、(メタ)アクリル
酸ハロゲン化物と反応させることにより、新規な架橋性
の(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸化合物が得
られることを知見し、本発明を完成させた。即ち、本発
明は、下記の一般式(1)で表わされる、共重合可能な
架橋性の(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸化合
物に関するものである。
はメチル基を表わし、A及びBは炭素数3〜10の直鎖
または分岐状のアルキレンを表わす。A及びBは、互い
に同一であっても、異なっていてもよい。
般式(1)で表わされる、共重合可能な架橋性の(メ
タ)アクリル基を有するホスフィン酸化合物の製造法を
提供するものである。即ち、まず第一工程として、次亜
リン酸または次亜リン酸塩と不飽和アルコール化合物と
をアルコール溶媒中でラジカル開始剤の存在下で反応さ
せて、下記一般式(2)で表されるヒドロキシアルキル
ホスフィン酸化合物を生成させ;
アルコール化合物をラジカル開始剤の存在下で反応させ
て、下記一般式(3)で表されるビス(ヒドロキシアル
キル)ホスフィン酸化合物を生成させ;
ゲン化物を反応させる;以上の3工程から成る式(1)
の架橋性の(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸化
合物の製造方法である。ここで、式(2)及び(3)に
おいて、A及びBは式(1)と同義である。
本発明の前記一般式(1)で表わされる化合物は、共重
合可能な架橋性の(メタ)アクリル基を有するホスフィ
ン酸化合物で、R1が水素原子又はメチル基であるビス
((メタ)アクリロイルオキシアルキル)ホスフィン酸
である。
例えば、ビス(3−アクリロイルオキシプロピル)ホス
フィン酸、ビス(4−アクリロイルオキシブチル)ホス
フィン酸、ビス(5−アクリロイルオキシペンチル)ホ
スフィン酸、ビス(6−アクリロイルオキシへキシル)
ホスフィン酸、ビス(7−アクリロイルオキシへプチ
ル)ホスフィン酸、ビス(8−アクリロイルオキシオク
チル)ホスフィン酸、ビス(9−アクリロイルオキシノ
ニル)ホスフィン酸、ビス(10−アクリロイルオキシ
デシル)ホスフィン酸、ビス(4−アクリロイルオキシ
−2−メチルブチル)ホスフィン酸、(3−アクリロイ
ルオキシプロピル)(4−アクリロイルオキシ−2−メ
チルブチル)ホスフィン酸、(3−アクリロイルオキシ
プロピル)(10−アクリロイルオキシデシル)ホスフ
ィン酸、ビス(3−メタクリロイルオキシプロピル)ホ
スフィン酸、ビス(4−メタクリロイルオキシブチル)
ホスフィン酸、ビス(5−メタクリロイルオキシペンチ
ル)ホスフィン酸、ビス(6−メタクリロイルオキシへ
キシル)ホスフィン酸、ビス(7−メタクリロイルオキ
シへプチル)ホスフィン酸、ビス(8−メタクリロイル
オキシオクチル)ホスフィン酸、ビス(9−メタクリロ
イルオキシノニル)ホスフィン酸、ビス(10−メタク
リロイルオキシデシル)ホスフィン酸、ビス(4−メタ
クリロイルオキシ−2−メチルブチル)ホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)(4−メタクリ
ロイルオキシ−2−メチルブチル)ホスフィン酸、(3
−メタクリロイルオキシプロピル)(10−メタクリロ
イルオキシデシル)ホスフィン酸などが挙げられる。
で表わされるビス(ヒドロキシアルキル)ホスフィン酸
は、例えば、ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィ
ン酸、ビス(4−ヒドロキシブチル)ホスフィン酸、ビ
ス(5−ヒドロキシペンチル)ホスフィン酸、ビス(6
−ヒドロキシへキシル)ホスフィン酸、ビス(7−ヒド
ロキシへプチル)ホスフィン酸、ビス(8−ヒドロキシ
オクチル)ホスフィン酸、ビス(9−ヒドロキシノニ
ル)ホスフィン酸、ビス(10−ヒドロキシデシル)ホ
スフィン酸、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルブチ
ル)ホスフィン酸、(3−ヒドロキシプロピル)(4−
ヒドロキシ−2−メチルブチル)ホスフィン酸、(3−
ヒドロキシプロピル)(10−ヒドロキシデシル)ホス
フィン酸などが挙げられる。
重合可能な架橋性の(メタ)アクリル基(アクリル基)
を有するホスフィン酸化合物は、前記一般式(4)の従
来公知のリン酸型の化合物がP−O−C結合であるのに
対して、全てのリンの結合がP−C結合からなり,この
P−C結合はC−C結合に匹敵するほどの強力な結合エ
ネルギーを持つので、種々の高分子材料に使用した場合
に従来のリン酸型にはない、耐熱性、耐加水分解性、耐
候性等の機能性を高めることができる。特に、耐加水分
解特性に優れている。従って、本発明の架橋性(メタ)
アクリル基を有するホスフィン酸化合物は、これを種々
の高分子材料に添加もしくは共重合させることによっ
て、得られる接着剤組成物、コーティング組成物、ラテ
ックス組成物、塗料組成物等の難燃性、防汚性、耐熱
性、耐加水分解性、耐候性等の諸性質を改質することが
でき種々の有機高分子材料の改質剤として極めて有用で
ある。
(1)で表わされる架橋性の(メタ)アクリル基を有す
るホスフィン酸化合物単量体と均一に溶解混合し、ラジ
カル共重合性が良好であれば特に限定されるものではな
い。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト等のアルキル基の炭素数が1〜8の低級アルキルアク
リレート;メチルメタアクリレート、エチルメタアクリ
レート、n−プロピルメタアクリレート、n−ブチルメ
タアクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜8の低級
アルキルメタアクリレート;グリシジルアクリレート、
グリシジルメタククリレート等のグリシジルアルキル
(メタ)アククリレート;2−ヒドロキシメチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、
4−ヒドロキシブチルメタアクリレート等のヒドロキシ
アルキ(メタ)ルアクリレート;エチレングリコールジ
メタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールメタクリレート、1,4−
ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオー
ルジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキ
シエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ペンタエリトリットトリメタクリ
レート、ペンタエリトリットテトラメタクリレート等の
多官能(メタ)アクリレート;アクリル酸,メタアクリ
ル酸等の不飽和カルボン酸;スチレン、α−メチルスチ
レン、ハロゲン化スチレン、ジビニルスチレン等の芳香
族ビニル化合物を挙げることができる。これらの単量体
は、単独で或いは2種以上混合して共重合性単量体とす
ることができる。
性の(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸化合物単
量体と、共重合性単量体との共重合の割合は、1:99
〜90:10の範囲にあることが好ましく、更に詳しく
言えば30:70〜50:50の範囲が好ましい。ホス
フィン酸化合物単量体が1重量%よりも少ない場合は、
得られた樹脂組成物の特性を十分に改質することができ
ず、また90重量%よりも多い場合には、得られた樹脂
の機械的、化学的な特性が損なわれる。
性の(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸化合物の
製造方法は、次の3つの工程からなる。 「第一工程」:まず、第一工程は、次亜リン酸またはそ
の塩と不飽和アルコール化合物との反応により、前記一
般式(2)で示されるヒドロキシアルキルホスフィン酸
を生成させる工程である。次亜リン酸またはその塩とし
ては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸
カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシ
ウム、または次亜リン酸アンモニウム等が挙げられる
が、工業的には最も安価な次亜リン酸ナトリウムが用い
られる。
しては、炭素数3〜10の脂肪族不飽和アルコールであ
り、例えばアリルアルコール、β−メタリルアルコー
ル、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン
−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、
4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オー
ル、6−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−オ
ール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オー
ル等が挙げられる。
カル開始剤の存在下で反応させる。反応条件は、原料の
物性、溶媒の種類およびラジカル開始剤によって異なる
が、反応温度は通常50〜120℃、好ましくは50〜
100℃であり、反応時間は通常1〜24時間、好まし
くは2〜10時間である。反応は常圧または加圧下のい
ずれで行ってもよいが、好ましくは常圧下で行うのが工
業的に有利である。不飽和アルコール化合物と次亜リン
酸またはその塩とのモル比は、1:1〜1:5モル、好
ましくは1:1〜1:2モルが適当である。
ソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等の低
級アルコールを使用するのが好ましく、容量で1〜50
%の水分を含んでいてもかまわない。また使用するラジ
カル開始剤は、半減期が上記反応温度に適したものを使
用するのが好ましく、例えばアセチルパーオキサイド、
イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイ
ド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサ
イド類、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ
−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート等のパ
ーオキシジカルボネート類、t−ブチルパーオキシイソ
ブチレート、t−ブチルパーピバレート等のパーオキシ
エステル類、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピル
ニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオ
ネイト)等のアゾビス類等が挙げられる。ラジカル開始
剤の使用量は、不飽和アルコール化合物に対して、0.
05〜5%モル、好ましくは0.1〜1%モルが適当で
ある。反応終了後は、過剰の次亜リン酸またはその塩、
および溶媒のアルコールを分離し、生成したヒドロキシ
アルキルホスフィン酸を抽出等の操作により得ることが
できる。
られたヒドロキシアルキルホスフィン酸化合物と不飽和
アルコール化合物を反応させて、一般式(3)で示され
るビスヒドロキシアルキルホスフィン酸化合物を生成さ
せる工程である。反応原料である不飽和アルコール化合
物としては、炭素数3〜10の脂肪族不飽和アルコール
であり、例えばアリルアルコール、β−メタリルアルコ
ール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテ
ン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オー
ル、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オ
ール、6−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−
オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オ
ール等が挙げられる。
びラジカル開始剤によって異なるが、反応温度は通常5
0〜200℃、好ましくは150〜180℃であり、反
応時間は通常1〜24時間、好ましくは2〜10時間で
ある。反応は常圧または加圧下のいずれで行ってもよい
が、好ましくは常圧下で行うのが工業的に有利である。
ホスフィン酸化合物と不飽和アルコール化合物とのモル
比は、1:1〜1:2モル、好ましくは1:1〜1:
1.5モルが適当である。なおこの工程の反応におい
て、反応溶媒は必ずしも必要ではなく無溶媒でよいが、
反応等を制御する必要がある場合は、溶媒を使用しても
差し支えない。その場合、例えばベンゼン、トルエン、
キシレン、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロ
ベンゼン、テトラリン、デカリン、ドデシルベンゼン等
の芳香族炭化水素、メチルホルムアミド、ヘキサメチル
リン酸トリアミド等の酸アミド、エチレングリコール、
ポリエチレングリコールエーテル、プロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールエーテル等のジアルキル
エーテル、ジメチルフォルムアミド等の溶媒を挙げるこ
とができる。
上記反応温度に適したものを使用するのが好ましく、例
えばアセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイ
ド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキ
サイド等のジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピル
パーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルパ
ーオキシジカルボネート等のパーオキシジカルボネート
類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチル
パーピバレート等のパーオキシエステル類、2、2’−
アゾビス(2−メチルプロピルニトリル)、2、2’−
アゾビス(2−メチルプロピオネイト)等のアゾビス類
等が挙げられる。ラジカル開始剤の使用量は、不飽和ア
ルコール化合物に対して、0.05〜5%モル、好まし
くは0.1〜1%モルが適当である。反応終了後は、溶
媒、原料の不飽和アルコールを濃縮分離し、生成したビ
スヒドロキシアルキルホスフィン酸化合物を抽出、晶析
等の操作により得ることができる。
られたビスヒドロキシアルキルホスフィン酸化合物と
(メタ)アクリル酸ハロゲン化物とを反応させて、一般
式(1)で示される架橋性の(メタ)アクリル基を有す
るホスフィン酸化合物を生成させる工程である。本発明
では、(メタ)アクリル酸ハライドとアルコール性水酸
基を有するホスフィン酸とのエステル化反応であるた
め、反応触媒を必要とせず、比較的低温で短時間で反応
が終了する。また、得られる生成物は、容易な操作で高
純度に収率よく得ることができ、工業的にきわめて有利
である。反応温度は、限定的ではなく、通常0〜100
℃、好ましくは30〜80℃であり、反応時間は通常1
〜24時間、好ましくは1〜10時間である。また必要
に応じて熟成反応を行えばよい。(メタ)アクリル酸ハ
ライドと一般式(3)のビスヒドロキシアルキルホスフ
ィン酸との反応時のモル比は、2:1〜5:1モル、好
ましくは2:1〜3:1モルが適当である。
溶媒を添加して反応を行う。重合禁止剤の種類は、例え
ば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテ
ル、フェノチアジン、2、6−ジ−tert−ブチル−
p−クレゾール、チオ尿素、尿素、N−フェニル−N’
−イソプロピル−p−フェニルンジアミン等を挙げるこ
とができるが、これに特に制限されるものではない。重
合禁止剤の添加量は、得られる目的物に対して100〜
10000ppm、好ましくは500〜5000ppm
程度であるが、これらは特に制限されるものではない。
溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトニル、ブチロニ
トリル等のニトリル化合物、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン等の脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチル
ケトン、MIBK等のケトン類、DMSO、スルホラ
ン、THF、DMF、ジメチルアセトアミド等が挙げら
れるが、特に限定されるものでない。上記の溶媒量は、
特に数量の限定はないが、溶媒や原料中の微量の水分を
除去するために、共沸脱水を行うことが望ましい。共沸
脱水後の反応系内の水分は、10〜1000ppm、好
ましくは10〜100ppmである。
が、これらに限定されるものではない。又、「%」及び
「部」は特に記載が無い限り重量基準である。 実施例1: ビス(3−アクリロイルオキシプロピル)ホスフィン酸
の合成 (第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロート、コンデンサ
ーを備えた1000mLの四つ口フラスコに、次亜リン
酸ナトリウム・1水塩106.0g(1.0モル)と純
水30mL、エタノール300mLを仕込み、ラジカル
開始剤tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネー
ト3.50gをアリルアルコール58.1g(1.0モ
ル)に溶解させた溶液を、約4時間かけてエタノール還
流下に、滴下反応させた。滴下終了後、同温度で2時間
熟成させ、室温まで冷却した。この反応液に(1+1)
塩酸水溶液をpH1の酸性となるまで添加したところ、
塩化ナトリウムが析出してきた。液量を1/2まで濃縮
し、生成した塩化ナトリウムを濾別除去し、エバポレー
ターで濃縮することにより無色透明な液体128.6g
を得た。分析結果は、以下の通りで、生成物は3−ヒド
ロキシプロピルホスフィン酸であった。中和滴定より求
めた純度は、93.7%で、収率は97.1%であっ
た。
6(m,4H), 3.68(t,J=5.6Hz,2H), 5.84(s,1H), 7.06(d,J=
543Hz,1H)
2950,2880(ν-CH), 2760(ν-POOH), 2370(ν-PH),1145
(ν-P=O),952(ν-P-O-(H))
ピルホスフィン酸105.9g(0.8モル)を500
mL四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、100℃に
昇温した。次いで、滴下ロートに仕込んだラジカル開始
剤ジ−tert−ブチルパーオキサイド3.17gをアリル
アルコール55.7g(0.96モル)に溶解した溶液
を、約4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で2
時間熟成した。冷却後、過剰のアリルアルコールを真空
ポンプで完全に留去させると、微黄色の粘性液体14
7.0gを得た。分析の結果、生成物は、ビス(3−ヒ
ドロキシプロピル)ホスフィン酸で、中和滴定純度9
6.8%、収率は97.7%であった。分析結果は、以
下の通りである。
8H), 3.37(m,4H), 4.65(s,1H)
2940,2880(ν-CH), 1150(ν-P=O), 950(ν-P-O-(H))
ラインを備えた1Lの四つ口フラスコに、得られたビス
(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸56.5g
(0.3モル)、アセトニトリル500mLを仕込み、
常圧にて攪拌しながら加熱して、アセトニトリルを約2
00mL留出させた。冷却後、重合禁止剤としてハイド
ロキノンモノメチルエーテル1.5gを添加した。木下
式ボールフィルターで窒素ガスを系内に絶えず導入しな
がら、滴下ロートからアクリロイルクロライド45.3
g(0.5モル)を室温にて1時間かけて滴下した。反
応温度は、ほとんど上昇しなかった。さらに、同温度に
て3時間熟成した。反応液を濃縮し、さらに真空ポンプ
で乾燥すると、微黄色の粘性液体を148.5g得た。
分析の結果、生成物は、ビス(3−アクリロイルオキシ
プロピル)ホスフィン酸で、過塩素酸滴定純度95.0
%で、収率は97.2%であった。分析の結果は、以下
の通りである。
6(m,8H), 4.20-4.24(m,4H), 5.85(dd,J=10.2Hz,J=1.5H
z,2H), 6.13(dd,J=10.2Hz,J=17.4Hz,2H), 6.42(dd,J=1
7.4Hz,J=1.5Hz,2H), 9.12(s,1H)
2960,2880(ν-CH), 2300(ν-PH), 1730(ν-C=O), 1150
(ν-P=O), 950(ν-P-O-(H))
酸の合成 (第三工程)攪拌機、温度計、および蒸留ラインを備え
た500mLの四つ口フラスコに、実施例1で得られた
ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン酸18.2
g(0.1モル)、アセトニトリル200mLを仕込
み、常圧にて攪拌しながら加熱して、アセトニトリルを
約80mL留出させた。冷却後、重合禁止剤としてハイ
ドロキノンモノメチルエーテル0.5gを添加した。木
下式ボールフィルターで窒素ガスを系内に絶えず導入し
ながら、滴下ロートからメタクリロイルクロライド2
0.9g(0.2モル)を室温にて30分かけて滴下し
た。反応温度は、ほとんど上昇しなかった。さらに、同
温度にて3時間熟成した。反応液を、濃縮しさらに真空
ポンプで乾燥すると、微黄色の粘性液体を30.0g得
た。分析の結果、生成物は、ビス(3−メタアクリロイ
ルオキシプロピル)ホスフィン酸で、過塩素酸滴定純度
95.2%で、収率は94.3%であった。分析の結果
は、以下の通りである。
=6.8Hz,3H), 1.73-2.06(m,8H), 4.20-4.24(m,4H), 5.51
(d,J=1.8Hz,1H), 6.08(d,J=1.8Hz,1H), 9.28(s,1H)
2950,2880(ν-CH), 2310(ν-PH), 1732(ν-C=O), 1155
(ν-P=O), 945(ν-P-O-(H))
スフィン酸の合成 (第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロート、コンデンサ
ーを備えた100mLの四つ口フラスコに、次亜リン酸
ナトリウム・1水塩12.31g(116ミリモル)と
純水3.58mL、エタノール35.1mLを仕込み、
ラジカル開始剤tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサネート0.46gを3−メチル−3−ブテン1−オ
ール10.0g(116ミリモル)に溶解させた溶液
を、約1時間かけてエタノール還流下に、滴下反応させ
た。滴下終了後、同温度で2時間40分熟成させ、室温
まで冷却した。この反応液に(1+1)塩酸水溶液をp
H1の酸性となるまで添加したところ、塩化ナトリウム
が析出してきた。液量を1/2まで濃縮し、生成した塩
化ナトリウムを濾別除去し、エバポレーターで濃縮する
ことにより無色透明液体16.71gを得た。分析結果
は、以下の通りで、生成物は4−ヒドロキシ2−メチル
ブチルホスフィン酸であった。中和滴定より求めた純度
は、97.2%で、収率は94.7%であった。
2(m,3H), 1.45-1.72(m,2H), 1.77-2.13(m,2H), 3.59-3.
64(m,2H), 4.21-4.40(m,1H), 5.08(s,1H), 7.12(d,J=53
6Hz,1H)
2980,2950(ν-CH), 2760(ν-POOH), 2350(ν-PH), 120
0(ν-P=O), 960(ν-P-O-(H))
メチルブチルホスフィン酸16.62g(109.2ミ
リモル)を100mL四つ口フラスコに仕込み、窒素気
流下、100℃に昇温した。次いで、滴下ロートに仕込
んだラジカル開始剤ジ−tert−ブチルパーオキサイド
1.01gを3−メチル−3−ブテン1−オール11.
54g(134ミリモル)に溶解した溶液を、約1時間
かけて滴下した。滴下終了後、同温度で5時間熟成し
た。冷却後、過剰の3−メチル−3−ブテン1−オール
を真空ポンプで完全に留去させると、微黄色の粘性液体
21.66gを得た。分析の結果、生成物は、ビス(4
−ヒドロキシ2−メチルブチル)ホスフィン酸で、中和
滴定純度96.9%、収率は83.2%であった。分析
結果は、以下の通りである。
1(m,6H), 1.28-1.74(m,4H), 2.08-2.12(m,4H), 3.59-3.
63(m,4H), 4.13-4.29(m,2H), 5.15(s,1H)
2980,2950(ν-CH), 1200(ν-P=O), 960(ν-P-O-(H))
ラインを備えた300mLの四つ口フラスコに、得られ
たビス(4−ヒドロキシ2−メチルブチル)ホスフィン
酸7.92g(0.033モル)、アセトニトリル10
0mLを仕込み、常圧にて攪拌しながら加熱して、アセ
トニトリルを約40mL留出させた。冷却後、重合禁止
剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.15g
を添加した。木下式ボールフィルターで窒素ガスを系内
に絶えず導入しながら、滴下ロートからアクリロイルク
ロライド7.63g(0.083モル)を50℃にて2
0分かけて滴下した。反応温度は、ほとんど上昇しなか
った。さらに、同温度にて10時間熟成した。反応液
を、濃縮しさらに真空ポンプで乾燥すると、微黄色の粘
性液体を7.83g得た。分析の結果、生成物は、ビス
(3−アクリロイルオキシ−2−メチルブチル)ホスフ
ィン酸で、過塩素酸滴定純度95.0%で、収率は9
2.0%であった。
6(m,6H), 1.65-2.15(m,8H), 4.17-4.23(m,4H), 4.94-4.
21(m,2H), 5.84(dd,J=10.4Hz,J=1.5Hz,2H), 6.12(dd,J=
10.4Hz,J=17.4Hz,2H), 6.41(dd,J=17.1Hz,J=1.5Hz,2H),
8.98(s,1H)
2930,2850(ν-CH), 2320(ν-PH), 1730(ν-C=O),1190
(ν-P=O),970(ν-P-O-(H))
イルオキシデシル)ホスフィン酸の合成 (第一工程)攪拌機、温度計、滴下ロート、コンデンサ
ーを備えた1000mLの四つ口フラスコに、次亜リン
酸ナトリウム・1水塩106.55g(1.01モル)
と純水31.15mL、エタノール418mLを仕込
み、ラジカル開始剤tert−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサネート3.99gをアリルアルコール58.6
7g(1.01モル)に溶解させた溶液を、約6時間か
けてエタノール還流下に、滴下反応させた。滴下終了
後、同温度で2時間熟成させ、室温まで冷却した。この
反応液に(1+1)塩酸水溶液をpH1の酸性となるま
で添加したところ、塩化ナトリウムが析出してきた。液
量を1/2まで濃縮し、生成した塩化ナトリウムを濾別
除去し、エバポレーターで濃縮することにより無色透明
液体106.48gを得た。分析結果は、以下の通り
で、生成物は3−ヒドロキシプロピルホスフィン酸であ
った。中和滴定より求めた純度は、98.8%で、収率
は85.0%であった。
4(m,4H), 3.60(t,J=6.3Hz,2H), 5.41(s,1H), 7.03(d,J=
556Hz,1H)
2960, 2900(ν-CH), 2370(ν-PH), 1160(ν-P=O),970
(ν-P-O-(H))
ピルホスフィン酸6.79g(54.7ミリモル)を1
00mL四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、100
℃に昇温した。次いで、滴下ロートに仕込んだラジカル
開始剤ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.22gを9
−デセン1−オール10.6g(67.5ミリモル)に
溶解した溶液を、約2時間かけて滴下した。滴下終了
後、同温度で5時間熟成した。冷却後、過剰の9−デセ
ン1−オールを真空ポンプで完全に留去させると、微黄
色の粘性液体17.15gを得た。分析の結果、生成物
は、(3−ヒドロキシプロピル)(10−ヒドロキシデ
シル)ホスフィン酸で、中和滴定純度98.3%、収率
は98.1%であった。分析結果は、以下の通りであ
る。
0(m,24H), 3.40-3.52(m,4H), 4.91(s,1H)
2930,2850(ν-CH), 2360(ν-PH), 970(ν-P-O-(H))
ラインを備えた300mLの四つ口フラスコに、得られ
た(3−ヒドロキシプロピル)(10−ヒドロキシデシ
ル)ホスフィン酸12.44g(0.044モル)、ア
セトニトリル150mLを仕込み、常圧にて攪拌しなが
ら加熱して、アセトニトリルを約50mL留出させた。
これは共沸脱水により系内の微量の水分を除去すること
を目的とする。冷却後、重合禁止剤としてハイドロキノ
ンモノメチルエーテル0.15gを添加した。木下式ボ
ールフィルターで窒素ガスを系内に絶えず導入しなが
ら、滴下ロートからアクリロイルクロライド10.33
g(0.114モル)を50℃にて20分かけて滴下し
た。反応温度は、ほとんど上昇しなかった。さらに、同
温度にて10時間熟成した。反応液を、濃縮しさらに真
空ポンプで乾燥すると、微黄色の粘性液体を13.11
g得た。分析の結果、生成物は、(3−アクリロイルオ
キシプロピル)(10−アクリロイルオキシデシル)ホ
スフィン酸で、過塩素酸滴定純度94.1%で、収率は
81.2%であった。
7(m,24H), 4.12-4.16(m,4H), 4.96(s,1H), 5.87(dd,J=1
0.5Hz,J=1.8Hz,2H), 6.14(dd,J=10.5Hz,J=17.3Hz,2H),
6.36(dd,J=17.3Hz,J=1.8Hz,2H), 9.56(s,1H)
2960,2980(ν-CH), 2360(ν-PH), 1720(ν-C=O), 1200
(ν-P=O), 960(ν-P-O-(H))
するホスフィン酸化合物は、これを種々の高分子物質に
添加もしくは共重合させることによって、得られる接着
剤組成物、コーティング組成物、ラテックス組成物、塗
料組成物等の難燃性、防汚性等の性質を改質することが
でき、又、鉄、アルミ、銅などの金属の表面に塗布し
て、これらの金属への密着性或いは接着性の向上、防錆
性、耐薬品性等の機能を付与することができる。さら
に、ホスフィン酸はすべてP−C結合から成るので、P
−O−C結合のリン酸基に比べて、耐熱性、耐加水分解
性等が良好で、樹脂、塗料、接着剤等において耐候性、
耐久性、耐熱性、耐加水分解性などを向上させることが
できる。
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、A及び
Bは炭素数3〜10の直鎖または分岐状のアルキレンを
表わす。A及びBは、互いに同一であっても、異なって
いてもよい。)で表わされる架橋性(メタ)アクリル基
を有するホスフィン酸。 - 【請求項2】 次亜リン酸または次亜リン酸塩と不飽和
アルコール化合物とをアルコール溶媒中でラジカル開始
剤の存在下で反応させて、下記一般式(2) 【化2】 (式中、Aは炭素数3〜10の直鎖または分岐状のアル
キレンを表わす。)で表されるヒドロキシアルキルホス
フィン酸化合物を生成させる第一工程、次いで該生成物
と不飽和アルコール化合物をラジカル開始剤の存在下で
反応させて、下記一般式(3) 【化3】 (式中、A及びBは炭素数3〜10の直鎖または分岐状
のアルキレンを表わし、互いに同一であっても、異なっ
ていてもよい。)で表されるビス(ヒドロキシアルキ
ル)ホスフィン酸化合物を生成させる第二工程、次いで
該生成物と(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させ
て架橋性(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸化合
物を生成させることを特徴とする一般式(1)記載の架
橋性(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸の製造方
法。 【化4】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、A及び
Bは炭素数3〜10の直鎖または分岐状のアルキレンを
表わす。A及びBは、互いに同一であっても、異なって
いてもよい。) - 【請求項3】 不飽和アルコール化合物が、炭素数1〜
10の脂肪族不飽和アルコールでである請求項2記載の
架橋性(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸の製造
方法。 - 【請求項4】 一般式(1) 【化5】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を表わし、A及び
Bは炭素数3〜10の直鎖または分岐状のアルキレンを
表わす。A及びBは、互いに同一であっても、異なって
いてもよい。)で示される架橋性(メタ)アクリル基を
有するホスフィン酸を必須成分として含有することを特
徴とする有機高分子材料用改質剤。
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JP20521998A JP4158841B2 (ja) | 1998-07-21 | 1998-07-21 | 架橋性(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000098130A (ja) * | 1998-09-25 | 2000-04-07 | Nippon Chem Ind Co Ltd | 光学フィルターおよびその製造方法 |
JP2010229367A (ja) * | 2009-03-30 | 2010-10-14 | Lintec Corp | 粘着剤組成物および粘着シート |
JP2012507475A (ja) * | 2008-11-05 | 2012-03-29 | クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド | アリルアルコールによるモノヒドロキシ官能化ジアルキルホスフィン酸、そのエステルおよび塩の製造方法ならびにその使用 |
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-
1998
- 1998-07-21 JP JP20521998A patent/JP4158841B2/ja not_active Expired - Fee Related
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